JP4083416B2 - 燃料電池スタック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質膜を一対の電極で挟持して構成される電解質膜・電極構造体が、セパレータを介して複数個積層された積層体を備え、該積層体の積層方向両端に配設される一対のエンドプレートを、締め付け機構により互いに近接する方向に押圧して一体的に締め付ける燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の燃料電池が開発されており、例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)が知られている。この固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜を採用している。この電解質膜の両側に、それぞれ触媒電極と多孔質カーボンからなるアノード側電極およびカソード側電極を対設して構成される電解質膜・電極構造体を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより構成される単位セル(単位発電セル)を備え、通常、この単位セルを所定数だけ積層して燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池スタックにおいて、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、触媒電極上で水素がイオン化され、電解質を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出されることにより、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
上記の燃料電池スタックは、車載用としての利用が注目されており、例えば、図7に示すように、自動車等の車両を構成する車体1に燃料電池スタック10が搭載される。この燃料電池スタック10は、複数個の単位セル12が互いに電気的に直列接続されるとともに、前記単位セル12が、図7中、左右方向に積層されて構成される積層体13を備える。
【0005】
単位セル12は、アノード側電極14とカソード側電極16との間に電解質層18が介装されることにより構成された電解質膜・電極構造体20と、前記電解質膜・電極構造体20を挟持する一対のセパレータ22a、22bとを備える。セパレータ22a、22bには、それぞれアノード側電極14に対向する面に、前記アノード側電極14に燃料ガス(例えば、水素含有ガス)を供給・排出するための第1ガス流路24が設けられる一方、それぞれカソード側電極16に対向する面に、前記カソード側電極16に酸化剤ガス(例えば、空気等の酸素含有ガス)を供給・排出するための第2ガス流路26が設けられている。
【0006】
積層体13の積層方向両端に位置する単位セル12には、集電体34a、34bがそれぞれ電気的に接続される。集電体34a、34bの外側には、漏電防止用の絶縁プレート36a、36bを介してエンドプレート(加圧板)38a、38bがそれぞれ配置され、各エンドプレート38a、38bの外側には、バックアッププレート(加圧補助板)40a、40bがそれぞれ配置されることにより、燃料電池スタック10が構成される。
【0007】
エンドプレート38aとバックアッププレート40aとの間には、単位セル12同士の電気的な接触を維持するための複数個のばね部材、例えば、皿ばね(加圧力発生装置)42が介装されている。
【0008】
燃料電池スタック10の周縁部には、一方のバックアッププレート40aから他方のバックアッププレート40bに至るまで延在する複数個の貫通孔44が形成されている。これらの貫通孔44にはそれぞれタイロッド46が通されており、前記タイロッド46にナット48が螺合される。これにより、両バックアッププレート40a、40bが緊締されることに伴って、積層体13、集電体34a、34bおよびエンドプレート38a、38bが加圧保持される一方、皿ばね42が圧縮される。
【0009】
ここで、燃料電池スタック10は、エンドプレート38a、バックアッププレート40bにそれぞれ連結されたマウント用ブラケット50、52を介して車体1に搭載されている。マウント用ブラケット52は、ボルト54で車体1に連結されることによって位置決め固定されており、一方、マウント用ブラケット50は、車体1に対して摺動自在である。
【0010】
すなわち、マウント用ブラケット50の下端部に突出形成されたアーム部56には、段部58を有する長円状溝60が設けられている。この長円状溝60に挿入されたボルト62は、その頭部を介して段部58の底面を適切な力で押圧することにより、マウント用ブラケット50が車体1に対して摺動自在に連結される。
【0011】
以上の構成において、燃料電池スタック10の運転中、積層体13が積層方向に沿って熱膨張により寸法変化を起こすと、その熱膨張量に応じて皿ばね42が縮小する。また、運転が停止されて燃料電池スタック10の温度が下降すると、積層体13が収縮するとともに皿ばね42が伸張する。このように、積層体13が熱膨張または収縮することに追従して皿ばね42が縮小または伸張することにより、積層体13に対する締め付け力が略均等に維持される。
【0012】
さらに、電解質層18は、電気化学変化で生成した水分の吸収・放出や供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの湿度により、積層体13の積層方向に沿って膨潤・収縮する。加えて、電解質膜・電極構造体20は、燃料電池スタック10の運転・停止に伴う度重なる温度変化によって寸法が若干縮小する、いわゆる、へたりを生じ易い。このへたりは、電解質膜・電極構造体20を保持するシール部材(図示せず)や、セパレータ22a、22b等においても同様に発生する。
【0013】
燃料電池スタック10は、電解質層18、シール部材、セパレータ22a、22b等に上記のような寸法変化が生じた際にも、積層方向に沿って寸法変化を起こす。その際、同様に皿ばね42が縮小または伸張することによって、積層体13に対する加圧保持力を略一定に保つことができる。
【0014】
なお、燃料電池スタック10が寸法変化を起こして皿ばね42が縮小または伸張する際には、マウント用ブラケット50が、長円状溝60とボルト62との案内作用下に車体1に対して積層方向に摺動する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成される燃料電池スタック10では、一方のマウント用ブラケット50が車体1に摺動自在に連結されているため、これを堅牢に位置決め固定することはできない。すなわち、マウント用ブラケット50、52の両方を堅牢に位置決め固定した場合には、例えば、積層体13が熱膨張することが著しく抑制され、その結果、燃料電池スタック10に大きな熱応力が作用してしまうことになるからである。
【0016】
また、燃料電池スタック10を車体1に搭載した場合には、走行時の振動や衝撃を固定側のマウント用ブラケット52のみによって受けなければならず、前記マウント用ブラケット52が相当に大型化するという問題が指摘されている。しかも、通常の車体振動時においても、固定が不十分であるためにエンドプレート38a、38bのずれや面圧保持力の低下による反応ガスや冷却媒体の漏れ等が惹起されるという問題がある。
【0017】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、積層体の熱膨張等による積層方向の寸法変化を、前記積層体内で確実に吸収することができ、簡単な構成で容易に小型化を図ることが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池スタックでは、電解質膜・電極構造体を構成する電極が、作動温度の範囲内において積層方向に所定の締め付け力を保持し得るように、温度変化により発生する前記燃料電池スタックの積層方向の寸法変化量と、前記電解質膜・電極構造体およびセパレータのへたりにより発生する積層方向の寸法変化量とを、弾性変形によって吸収可能な多孔質カーボンを備え、前記多孔質カーボンは、弾性係数Eが5MPa〜20MPaの範囲内で、かつ膜厚さtが200μm〜500μmの範囲内であり、t/E>18の関係を有している。
【0019】
この場合、電解質膜・電極構造体およびセパレータが熱膨張または収縮して寸法変化を起こした際、電解質膜が電気化学変化で生成した水分を吸収・放出することに追従して膨潤・収縮した際、さらには、前記電解質膜・電極構造体、シール部材および/または前記セパレータ等にへたりによる寸法変化が生じた際、燃料電池スタックが前記電解質膜・電極構造体の積層方向に沿って寸法変化を惹起する。ここで、電極を構成する多孔質カーボンは、弾性変形することによって燃料電池スタックの積層方向の寸法変化を確実に吸収することができ、前記燃料電池スタックは、積層方向に所定の締め付け力を保持することが可能になる。
【0020】
しかも、電極自体の弾性変形によって、積層体に対する加圧保持力が維持されるので、従来の燃料電池スタックのように皿ばねを組み込む必要がなくなるとともに、バックアッププレートも不要となる。従って、燃料電池スタックにおける積層方向に沿う寸法を有効に小さくすることが可能になり、かつ軽量化を図ることができる。
【0021】
さらに、電極が弾性変形することによって、積層体に対する加圧保持力が維持されるため、前記積層体を該積層体の両端から保持する1組のエンドプレートにそれぞれ連結されたマウント用ブラケットの一方を、従来のように所定の部材に摺動自在に連結する必要がなく、堅牢に位置決め固定することが可能になる。
【0022】
その際、一方のマウント用ブラケットのみを位置決め固定する場合に比して、両マウント用ブラケットに加わる荷重が著しく低減され、小型かつ軽量なマウント用ブラケットを採用することができる。このため、燃料電池スタックの搭載スペースを有効に狭小化するとともに、車両としての総重量を小さくすることも可能になる。
【0023】
なお、上記の所定の部材の好適な例としては、車両の車体を挙げることができる。すなわち、本発明に係る燃料電池スタックは、車載用として好適に使用することが可能になる。ここで、車両は、燃料電池スタックの起電力を駆動源として走行するものであればよく、一般自家用車に特に限定されるものではない。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック100の概略全体斜視図であり、図2は、前記燃料電池スタック100の一部断面側面図である。
【0025】
燃料電池スタック100は、複数の単位セル102が矢印A方向に積層された積層体104を備え、前記積層体104の積層方向(矢印A方向)両端には、正極側集電体105aおよび負極側集電体105bとエンドプレート106a、106bとが絶縁プレート107a、107bを介装して配設される。
【0026】
図2に示すように、エンドプレート106a、106bは、締め付け機構であるタイロッド108によって一体的に締め付けられるとともに、前記エンドプレート106a、106bに固着されたマウント用ブラケット110a、110bを介して、燃料電池スタック100が車体112に搭載されている。両マウント用ブラケット110a、110bは、いずれも車体112に対して摺動することのないように、ボルト113を介して堅牢に位置決め固定されている。
【0027】
図3に示すように、各単位セル102は、電解質膜・電極構造体114と、前記電解質膜・電極構造体114を挟持する第1および第2セパレータ116、118とを備える。第1および第2セパレータ116、118は、金属製薄板またはカーボン製薄板により構成されている。
【0028】
電解質膜・電極構造体114と第1および第2セパレータ116、118の長辺(矢印B方向)側の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口120a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口122b、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口124bが設けられる。
【0029】
電解質膜・電極構造体114と第1および第2セパレータ116、118の長辺側の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口124a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口122a、および酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口120bが設けられる。
【0030】
電解質膜・電極構造体114は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜126と、該固体高分子電解質膜126を挟持するアノード側電極128およびカソード側電極130とを備える。
【0031】
アノード側電極128およびカソード側電極130は、図4に示すように、カーボンペーパー等からなるガス拡散層132a、132bと、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層132a、132bの表面に一様に塗布されてなる電極触媒層134a、134bとをそれぞれ有する。電極触媒層134a、134bは、互いに固体高分子電解質膜126を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜126の両面に接合されている。
【0032】
本実施形態では、作動温度の範囲内において燃料電池スタック100が積層方向に所定の締め付け力(0.2MPa〜3MPa、より好ましくは、0.4MPa〜2MPa)を保持し得るように、ガス拡散層132a、132bが、温度変化により発生する前記燃料電池スタック100の積層方向の寸法変化量と、電解質膜・電極構造体114並びに第1および第2セパレータ116、118のへたりにより発生する積層方向の寸法変化量とを、弾性変形によって吸収可能な弾性係数(5MPa〜20MPa)を有する多孔質カーボンで構成される。具体的には、ガス拡散層132a、132bとして、(株)東レ製のカーボンペーパー(TGP−H−060等)が使用される。
【0033】
図3に示すように、第1セパレータ116の電解質膜・電極構造体114側の面116aには、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部からなる酸化剤ガス流路136が設けられるとともに、この酸化剤ガス流路136は、酸化剤ガス入口120aと酸化剤ガス出口120bとに連通する。
【0034】
第2セパレータ118の電解質膜・電極構造体114側の面118aには、燃料ガス入口124aと燃料ガス出口124bとを連通する燃料ガス流路138が形成される(図3および図4参照)。この燃料ガス流路138は、矢印B方向に延在する複数本の溝部を備える。第2セパレータ118の面118bには、冷却媒体入口122aと冷却媒体出口122bとを連通する冷却媒体流路140が形成される。この冷却媒体流路140は、矢印B方向に延在する複数本の溝部を備える。
【0035】
図1に示すように、エンドプレート106a、106bの長辺側(矢印B方向)の一端縁部には、酸化剤ガス入口120a、冷却媒体出口122bおよび燃料ガス出口124bに連通する酸化剤ガス供給口142a、冷却媒体排出口144bおよび燃料ガス排出口146bが設けられる。エンドプレート106a、106bの長辺(矢印B方向)側の他端縁部には、燃料ガス入口124a、冷却媒体入口122aおよび酸化剤ガス出口120bに連通する燃料ガス供給口146a、冷却媒体供給口144aおよび酸化剤ガス排出口142bが設けられる。
【0036】
次に、このように構成される燃料電池スタック100の動作について説明する。
【0037】
燃料電池スタック100を運転するに際しては、燃料ガス供給口146aから水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス供給口142aから酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給口144aから純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。このため、燃料電池スタック100では、矢印A方向に重ね合わされた複数組の単位セル102に対し、燃料ガス、酸素含有ガスおよび冷却媒体が直列的に供給されることになる。
【0038】
図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口120aから第1セパレータ116の酸化剤ガス流路136に導入され、電解質膜・電極構造体114を構成するカソード側電極130に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口124aから第2セパレータ118の燃料ガス流路138に導入され、電解質膜・電極構造体114を構成するアノード側電極128に沿って移動する。
【0039】
従って、各電解質膜・電極構造体114では、カソード側電極130に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極128に供給される燃料ガスとが、電極触媒層134b、134a内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0040】
次いで、アノード側電極128に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口124bに排出されて矢印A方向に流動した後、エンドプレート106aの燃料ガス排出口146bから排出される。同様に、カソード側電極130に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口120bに沿って矢印A方向に流動した後、エンドプレート106aの酸化剤ガス排出口142bから排出される。
【0041】
また、冷却媒体供給口144aに供給された冷却媒体は、冷却媒体入口122aから第2セパレータ118の冷却媒体流路140に導入された後、矢印B方向に沿って流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体114を冷却した後、冷却媒体出口122bを経てエンドプレート106aの冷却媒体排出口144bから排出される。
【0042】
上記のように、運転(発電)が継続されることによって、所定の温度まで昇温された燃料電池スタック100は、積層方向(矢印A方向)に沿って熱膨張を起こす。従って、各電解質膜・電極構造体114を構成するガス拡散層132a、132b自体が弾性変形し、燃料電池スタック100を構成する各単位セル102の寸法変化量が吸収され、積層体104に対する加圧保持力が維持される。このため、燃料電池スタック100は、積層方向に所定の締め付け力を保持することが可能になる。
【0043】
これにより、本実施形態では、積層体104の電気的な接触を良好に維持することができ、各単位セル102間の接触抵抗を低減させて燃料電池スタック100全体の発電特性を向上させることが可能になるという効果が得られる。
【0044】
さらに、積層体104を加圧保持するエンドプレート106a、106bに連結された両マウント用ブラケット110a、110bを、ともに車体112に堅牢に位置決め固定した場合であっても、燃料電池スタック100が熱膨張することを妨げることはない。このため、燃料電池スタック100に熱応力が作用することを回避することができる。
【0045】
しかも、マウント用ブラケット110a、110bとしては、燃料電池スタック10を車体1に連結するマウント用ブラケット50、52(図7参照)に比して小型のものを使用することが可能になる。この場合、2個のマウント用ブラケット110a、110bがともに堅牢に位置決め固定されるので、振動や衝撃によって個々のマウント用ブラケット110a、110bに加わる荷重は、一方のマウント用ブラケット52を位置決め固定しかつ他方のマウント用ブラケット50を車体1に対して摺動自在に連結する場合に比して著しく小さくなるからである。
【0046】
これにより、燃料電池スタック100を搭載するスペースの狭小化およびマウント用ブラケット110a、110bの軽量化が容易に図られるという利点がある。その際、燃料電池スタック100では、燃料電池スタック10を構成する皿ばね42および両バックアッププレート40a、40bが不要になる。従って、前記燃料電池スタック100全体の積層方向(矢印A方向)の寸法が大幅に短尺化されるという効果がある。
【0047】
また、燃料電池スタック100の運転が停止されて温度が下降し、該燃料電池スタック100が積層方向(矢印A方向)に沿って収縮した際には、ガス拡散層132a、132bが元の形状に弾性変形する。このため、積層体104に対する加圧保持力が有効に維持される。
【0048】
さらに、燃料電池スタック100を構成する電解質膜・電極構造体114、第1セパレータ116および第2セパレータ118等にへたりが生じた場合にも同様に、ガス拡散層132a、132bが弾性変形することによって、積層体104に対する加圧保持力が有効に維持される。
【0049】
そこで、図5には、燃料電池スタック100の許容面圧範囲P1〜P2と、電解質膜・電極構造体114の弾性変形量、より具体的には、ガス拡散層132a、132bの弾性変形量との関係が示されている。
【0050】
これによれば、許容面圧範囲P1〜P2に対応して、単位セル102当たりの寸法変化許容範囲T1〜T2が設定される。そして、設計上、設定された面圧P0に対し、燃料電池スタック100の作動温度範囲内において電解質膜・電極構造体114と第1および第2セパレータ116、118のへたりにより発生する面圧低下方向への変形量と、温度上昇によって発生する前記電解質膜・電極構造体114と第1および第2セパレータ116、118の面圧が上がる方向への変形量とが、寸法変化許容範囲T1〜T2の間に収まるように、ガス拡散層132a、132bの弾性係数および膜厚さが設定される。
【0051】
具体的には、許容面圧範囲P1〜P2は、0.2MPa〜3MPa、より好ましくは、0.4MPa〜2MPaであり、ガス拡散層132a、132bの弾性係数と膜厚さとの関係が、図6に示されている。その際、500時間までの耐久性が確認されている領域は、t/E>18(μm/MPa)、より望ましい領域は、t/E>36(μm/MPa)である。
【0052】
従って、ガス拡散層132a、132bの弾性係数が5MPa〜20MPaの範囲内であり、それぞれの膜厚さが200μm〜500μmの範囲内に設定される。これにより、へたりによる寸法変化量および温度変化による寸法変化量を、ガス拡散層132a、132bの弾性変形によって確実に吸収することができる。なお、ガス拡散層132a、132bは、弾性係数および膜厚さが上記の範囲内に設定されていれば、特定の材質に限定されるものではない。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池スタックでは、該燃料電池スタックが、熱膨張または収縮やへたり等を起こした際に、電解質膜・電極構造体を構成する電極自体が弾発変形することによって、互いに隣接する単位セルの電気的な接触を有効に確保することが可能になる。このため、皿ばねやバックアッププレートを使用する必要がなく、燃料電池スタックにおける積層方向の寸法を大幅に小さくすることができるとともに、前記燃料電池スタック全体の軽量化が容易に図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの概略全体斜視図である。
【図2】前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。
【図3】前記燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視図である。
【図4】前記単位セルの一部拡大断面図である。
【図5】燃料電池スタックの許容面圧範囲と単位セル当たりの寸法変化許容範囲との関係を説明する図である。
【図6】ガス拡散層の弾性係数と膜厚さとの関係を説明する図である。
【図7】従来技術に係る燃料電池スタックの断面側面図である。
【符号の説明】
100…燃料電池スタック 102…単位セル
104…積層体 106a、106b…エンドプレート
108…タイロッド
110a、110b…マウント用ブラケット
114…電解質膜・電極構造体 116、118…セパレータ
126…固体高分子電解質膜 128…アノード側電極
130…カソード側電極 132a、132b…ガス拡散層
134a、134b…電極触媒層 136…酸化剤ガス流路
138…燃料ガス流路 140…冷却媒体流路
Claims (1)
- 固体高分子電解質膜を一対の電極で挟持して構成される電解質膜・電極構造体が、セパレータを介して複数個積層された積層体を備え、該積層体の積層方向両端に配設される一対のエンドプレートを、締め付け機構により互いに近接する方向に0.2MPa〜3MPaの範囲内の締め付け圧で一体的に締め付ける燃料電池スタックであって、
前記積層体の積層方向両端には、集電体、絶縁プレートおよび前記エンドプレートが直接積層されるとともに、
一対の前記エンドプレートは、一対のマウント用ブラケットを介して車両に対し移動不能に位置決め固定されており、
前記電極は、作動温度の範囲内において積層方向に所定の締め付け力を保持し得るように、温度変化により発生する前記燃料電池スタックの積層方向の寸法変化量と、前記電解質膜・電極構造体および前記セパレータのへたりにより発生する積層方向の寸法変化量とを、弾性変形によって吸収し、一対の前記エンドプレート間の積層方向の長さが変動することを阻止可能な多孔質カーボンを備え、
前記多孔質カーボンは、弾性係数Eが5MPa〜20MPaの範囲内で、かつ膜厚さtが200μm〜500μmの範囲内であり、t/E>18の関係を有することを特徴とする燃料電池スタック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001355980A JP4083416B2 (ja) | 2001-11-21 | 2001-11-21 | 燃料電池スタック |
Applications Claiming Priority (1)
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