JP4082899B2 - スロットルポジションセンサの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、バタフライバルブを使用するスロットルボディやキャブレータ等にスロットルポジションセンサを取り付ける取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
キャブレータやスロットルボディは、内燃機関へ供給する吸気量を調整して、エンジン回転数を制御するために使用されている。
【0003】
図3は、従来のスロットルポジションセンサの取付構造を示す図である。同図において、スロットルボディのボディ本体1には、円形断面の吸気通路2が貫通形成され、この吸気通路2内に円板形状のスロットルバルブ3が取り付けられている。スロットルバルブ3は、その中心をスロットルシャフト4で支持され、スロットルシャフト4は、その両端をボディ本体1に形成されたボス5,6に回動自在に支持されている。
【0004】
スロットルシャフト4のボス6側の端部にはスロットルレバー7が取り付けられ、このスロットルレバー7を回動することでスロットルシャフト4が回動し、スロットルシャフト4に固定されたスロットルバルブ3が回動して吸気通路2を開閉し、通過する吸気量を制御する。スロットルレバー7は、リターンスプリング8により常時閉方向に付勢されている。
【0005】
スロットルシャフト4の回転角度は、そのままスロットルバルブ3の開度を示すことになる。そこで、スロットルシャフト4に回転角度を検知するスロットルポジションセンサ9を取り付けて、常時スロットルバルブ3の開度を知ることができるようにしている。
【0006】
図4(a)は、図3の要部拡大図で、(b)は(a)のIV−IV線で切断したボスの断面図である。これらの図に示すように、スロットルシャフト4のスロットルポジションセンサ9側には、最も太い径の部分4aと、その先端の細径部4bとの間に段差があり、細径部4bの先端には回り止めとしての切欠部4cが形成されている。この切欠部4cが、スロットルポジションセンサ9に設けられた図示しない孔に嵌合してスロットルポジションセンサ9を回動し、スロットルシャフト4の回転角度を検知するのである。
【0007】
スロットルボディは、エンジンが停止したときや外気温度が低下した場合など、内部の空気中の水分が凝縮する等によって水分が溜まる。この水分がスロットルポジションセンサ9に浸入すると故障の原因となる。そこで、細径部4bの切欠部4cの手前側にシール部材11を設け、スロットルポジションセンサ9へ水が浸入しないようにしている。
なお、シャフト4aの外周にはシール部材10が嵌装されていて、吸気通路2へのエアー漏れや水浸入を防止している。
【0008】
ところで、スロットルシャフト4とスロットルポジションセンサ9との接続部分は、ボス5内の空間5aにあるが、この空間5a内の温度は、エンジンの運転時と停止時とにより大きく変動する。そのため、この空間5aをシール部材10,11を通して空気が外部と呼吸する。また、この空間5a内に水が浸入することもあり、その場合には、外部に水を排除する必要もある。
【0009】
そこで、空間5aと外部とを連通する通路を形成している。この通路は、通常、2つあり、図4(b)に示すように、一方を呼吸用の切欠溝5b、もう一方を排水用の切欠溝5cとしている。これらの切欠溝5b,5cは、ボス5の先端面からスロットルシャフト4の軸方向に形成されている。
【0010】
上記の構成なので、空気や浸入した水は、これらの呼吸用の切欠溝5bと排水用の切欠溝5cの上を通過することになる。シール部材11は、ボス5の内壁等の接触面に圧接することで気密性を保持できるのであるが、呼吸用の切欠溝5bと排水用の切欠溝5cの上にある部分は、圧接されないのでシールが不完全になるという問題があった。
【0011】
また、図4(b)に示すように、呼吸用の切欠溝5bと排水用の切欠溝5cが共にボス5の下方に位置していると、空間5a内の水量が多く、双方の切欠溝5b,5cが共に被水した場合には、排水できなくなることになる。
【0012】
これらの問題のうち前者の不完全シールの問題に対しては、呼吸用の切欠溝5bと排水用の切欠溝5cをボス5のシール部材11と接触しないようにすればよい。たとえば、ボス5のシール部材11と接触しない位置に孔として形成すれば解決できることになる。
【0013】
しかしながら、ボディ本体1は、アルミダイキャスト製又は射出成形による合成樹脂製で、いずれにしても金型内に溶融した素材を流し込んで成形するものである。そのような製造方法である場合、呼吸用の切欠溝5bや排水用の切欠溝5cは、射出成形後に金型を取り外しできる、すなわち、鋳抜きできる構造にしなければならない。そのためには、ボス5の端面に開口した切欠溝として形成する必要がある。
【0014】
切欠溝を形成せずに、ボディ本体1を成形した後にドリルなどで孔を穿設する方法もあるが、その場合、孔を穿設する工程を追加することになり、工数が増え、製造コストが上がってしまう。
【0015】
また、後者の排水できなくなる問題は、呼吸用の切欠溝5bや排水用の切欠溝5cの幅を大きくすることで解決できるが、そうすると、不完全シール部が拡大することにもなり、呼吸用の切欠溝5bや排水用の切欠溝5cから水が浸入する可能性も増加してしまう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事実から考えられたもので、コストアップを極力抑えて、シール部材の密閉性を確保できるスロットルポジションセンサの取付構造を提供することを第1の目的としている。
【0017】
また、上記第1の目的に加えて、ボス内の水を確実に排水できるスロットルポジションセンサの取付構造を提供することを第2の目的としている。さらに、呼吸用の切欠溝や排水用の切欠溝からボス内に水が入りにくいスロットルポジションセンサの取付構造を提供することを第3の目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の目的を達成するために本発明は、吸気制御装置の吸気通路を開閉するスロットルバルブをスロットルシャフトに固定し、該スロットルシャフトにスロットルバルブの開度を検知するスロットルポジションセンサを取り付け、該取付部分が前記スロットルシャフトを支持するボス内にあり、該ボスの先端面からスロットルシャフトの軸方向に水抜用と呼吸用の切欠溝を形成し、スロットルシャフトとスロットルポジションセンサとを前記ボスの内面にシール面を有するシール部材でシールしたスロットルポジションセンサの取付構造において、前記切欠溝の一部を覆うリングを前記ボス内に嵌装し、該リングの内面と前記シール部材とが全周に渡って圧接してシールすることを特徴としている。
【0019】
上記第2の目的を達成するために、本発明は、前記呼吸用の切欠溝を前記ボスの上部に形成し、前記水抜き用の切欠溝をボスの下部に形成した構成を特徴としている。さらに第3の目的を達成するために本発明は、前記リングに覆部を形成し、該覆部が前記水抜き用の切欠溝の下方を覆う構成を特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のスロットルポジションセンサの取付構造を示す図で、(a)は要部の断面図、(b)は(a)のI−I線で切断したボスの断面図である。これらの図において、従来例と共通する部分は同じ符号を付し、相違する点を中心に説明する。
【0021】
ボス15には、呼吸用の切欠溝15bと水抜き用の切欠溝15cとが180゜離れた位置に形成されている。これらは、呼吸用の切欠溝15bが上側になって、水抜き用の切欠溝15cが下側になるように配置するとよい。図1の実施例では、吸気通路2は水平方向に配置されている。下側の水抜き用の切欠溝15cの下端には、広幅部15dが形成され、ボス15の出口側には、内径が若干大きくなった拡開部15eが形成されている。
【0022】
拡開部15eには、リング16が嵌合される。このリング16は、図2に示すように、短い円管状の環部16aの一カ所に突出部16bを形成し、突出部の先端に覆部16cを、突出部16bの側面には回止突起16d,16dを形成したものである。リング16は、合成樹脂の一体成形品とすることが製造コストが安価になるので望ましいが、金属製としてもよい。拡開部15eにリング16を嵌装したとき、回止突起16d,16dを広幅部15dに入れてリング16の回転を抑制することができる。
【0023】
シール部材11の外周は、全周に渡って環部16aの内壁に圧接している。環部16aは円形で、呼吸用の切欠溝15bと水抜き用の切欠溝15cの上も覆っているので、シール部材11は、円周の全体でシール性を確保することができ、不完全シール部がなくなる。一方、環部16aの幅、すなわち、軸方向の長さは、呼吸用の切欠溝15bと、水抜き用の切欠溝15cのいずれよりも短いので、呼吸用の通路と水抜き用の通路とは確保することができる。
【0024】
従来は、図4(b)に示すように、呼吸用の切欠溝5bと排水用の切欠溝5cが共にボス5の下方に位置していたが、本発明では、呼吸用の切欠溝15bをボス15の上に、水抜き用の切欠溝15cをボス15の下に形成している。このような構成とすることで、ボス15の空間15aに多量の水が入っても、確実に水抜き用の切欠溝15cから排水することができる。
【0025】
リング16の覆部16cは、水抜き用の切欠溝15cの通路部の下方に位置している。スロットルボディを取り付けた車両を洗車する場合や、水溜まりを走行する際には、スロットルボディにも水がかかり、水抜き用の切欠溝15cからボス15の内部に水が入る可能性がある。覆部16cはこのような事態を防止するためのもので、水抜き用の切欠溝15cからボス15内の空間15aに水が入りにくくするためのものである。また、覆部16cを設けることから、水抜き用の切欠溝15cの開口面積を大きくすることが可能となる。ただし、水抜き用の切欠溝15cから空間15a内の水を外部に排出するために、覆部16cは、水抜き用の切欠溝15cの開口から若干離して設けている。
【0026】
また、呼吸用の切欠溝15bは、ボス15の上面に開口しており、この呼吸用の切欠溝15bから空間15a内に水が入るが、水は、水抜き用の切欠溝15cから外部に速やかに排出することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明のスロットルポジションセンサの取付構造は、スロットルシャフトにスロットルバルブの開度を検知するスロットルポジションセンサを取り付け、該取付部分が前記スロットルシャフトを支持するボス内にあり、該ボスの先端面からスロットルシャフトの軸方向に水抜用と呼吸用の切欠溝を形成し、スロットルシャフトとスロットルポジションセンサとを前記ボスの内面にシール面を有するシール部材でシールしたスロットルポジションセンサの取付構造において、前記ボス内に前記切欠溝の軸方向長さの一部を覆うリングを嵌装し、該リングの内面と前記シール部材とが全周に渡って圧接してシールする構成としたので、リングを取り付けるだけで、殆どコストアップすることなく、シール部材がその全周に渡ってシールされ、不完全シール部を無くしたスロットルポジションセンサの取付構造を得ることができる。
【0028】
前記呼吸用の切欠溝を前記ボスの上部に形成し、前記水抜き用の切欠溝をボスの下部に形成した構成とすれば、ボス内の空間に大量の水が入っても、前記水抜き用の切欠溝から確実に排水することができる。
【0029】
前記リングに覆部を形成し、該覆部が前記水抜き用の切欠溝の下方を覆う構成とすれば、水抜き用の切欠溝からボスの内部に水が入るのを防止することができる。また、水抜き用の切欠溝を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスロットルポジションセンサの取付構造を示す図で、(a)は要部の断面図、(b)は(a)のI−I線で切断したボスの断面図である。
【図2】リングの図で、(a)は正面図、(b)は(a)のII−II断面図である。
【図3】従来のスロットルポジションセンサの取付構造を示す図である。
【図4】(a)は、図3の要部拡大図で、(b)は(a)のIV−IV線で切断したボスの断面図である。
【符号の説明】
2 吸気通路
3 スロットルバルブ
4 スロットルシャフト
9 スロットルポジションセンサ
15 ボス
15b 呼吸用の切欠溝
15c 水抜き用の切欠溝
16 リング
16c 覆部
Claims (3)
- 吸気制御装置の吸気通路を開閉するスロットルバルブをスロットルシャフトに固定し、該スロットルシャフトにスロットルバルブの開度を検知するスロットルポジションセンサを取り付け、該取付部分が前記スロットルシャフトを支持するボス内にあり、該ボスの先端面からスロットルシャフトの軸方向に水抜き用と呼吸用の切欠溝を形成し、スロットルシャフトとスロットルポジションセンサとを前記ボスの内面にシール面を有するシール部材でシールしたスロットルポジションセンサの取付構造において、
前記切欠溝の一部を覆うリングを前記ボス内に嵌装し、該リングの内面と前記シール部材とが全周に渡って圧接してシールすることを特徴とするスロットルポジションセンサの取付構造。 - 前記呼吸用の切欠溝を前記ボスの上部に形成し、前記水抜き用の切欠溝をボスの下部に形成したことを特徴とする請求項1記載のスロットルポジションセンサの取付構造。
- 前記リングに覆部を形成し、該覆部が前記水抜き用の切欠溝の下方を覆うことを特徴とする請求項2記載のスロットルポジションセンサの取付構造。
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