JP4082757B2 - 電線接続部の被覆チューブ及び電線接続装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線の接続部に防水・防湿、電気的絶縁、及び機械的保護処理を施すための、電線接続部の被覆チューブに関する。本発明はさらに、そのような被覆チューブを備えた電線接続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線同士の接続部や電線と他の導電端末部材との接続部(一般にコネクタ及び露出電線を含む)を、防水・防湿、電気的絶縁、及び機械的保護の目的で被覆処理するために、接続部の外径寸法を上回る内径寸法と接続部の全長を超える長さとを有した管状部材を、接続部を囲繞して配置した後に何らかの手段を用いて収縮させ、その収縮力によって接続部を密接被覆する被覆チューブを使用する施工方法が知られている。この種の収縮式被覆チューブは、慣例的な防水性粘着テープを使用する場合に比べて、作業時間の短縮及び仕上がり状態の安定化が可能であり、また、管状部材がそれ自体の収縮力によって電線導体及び電線外被に密着するので、防水性粘着テープを使用せずとも充分な防水・防湿性、電気絶縁性、及び機械的保護特性を接続部に付与できる利点を有する。
【0003】
特に、永久伸びの小さなエラストマーからなる管状部材の全長部分を、硬質プラスチック等からなる筒状のコア部材によって予め弾性的に拡径(すなわち径方向へ拡張)し、接続部への装着時にコア部材を除去することによって弾性収縮させるコア付被覆チューブ(一般にPST(プレストレッチドチューブ)と称する)は、熟練を要しない容易な作業により所望の被覆作用を迅速かつ確実に接続部に付与できるものとして、近年有効に利用されている(例えば特開平3−143217号公報、特開平7−298473号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したPST構造の被覆チューブは、所望の被覆効果をあげるために、被覆対象の電線接続部に要求されるシール距離(確実なシールを得るに必要とされる長さ)に基づいて接続部に対し予め定められた所定位置に正確に取付ける必要がある。しかし、一般に管状部材が不透明であるので、被覆チューブを拡径状態で電線接続部の周囲に配置したときに、目視により被覆チューブと接続部との相対位置を確認することはできない。しかもコア部材の存在により、管状部材の筒状壁を指で圧搾して触感により管状部材内での電線接続部の位置を確認することもできない。したがって従来、被覆チューブを電線接続部に対し所定位置に正確に位置決めするために、施工時に接続部の中央(一般にコネクタの中央)から、所望の被覆効果を奏するに必要な所定距離の位置で、相互接続された一方の電線の外被表面に粘着テープ等によるマーキングを施し、管状部材の軸方向一端面をこのマーキングに整合させる方法が採用されていた。この場合、被覆チューブは接続部中央からマーキングまでの上記所定距離の少なくとも2倍の長さを有しなければならない。
【0005】
上記した従来の位置決め作業は、距離測定作業及びマーキング形成作業を高精度に実施しなければならないので、煩雑で時間を浪費する作業であった。しかも、位置決め後にコア部材を除去する際に、コア部材に加わる引張力の影響を受けて管状部材が所定位置からずれる危惧があるので、少なくともコア部材の除去開始時には、管状部材を電線接続部に対して動かないように保持する必要があった。この場合、施工作業者は通常、一方の手でコア部材を除去すると同時に、他方の手で管状部材を電線に対して固定的に保持することになるが、このような片手での保持は信頼性に欠け、最終的に正確な位置に管状部材を取付けることが困難となる課題があった。
【0006】
こうした課題は、チューブ開口端の近傍領域のみにPST構造のシール部を備えて構成される被覆チューブ(例えば特開平7−57798号公報参照)においても同様に生じている。この被覆チューブは、複数の開口端を備えた管状のスリーブ部と、スリーブ部の各開口端に設けられる管状のシール部とを具備し、各シール部が、スリーブ部に一体に連結される管状部材と、管状部材の径方向内側に配置されて管状部材を弾性的拡径状態に保持する除去可能なコア部材とから形成されるものである。このような開口端領域のみにPST構造を有する被覆チューブは、予めコア部材により弾性的に拡径されない(つまり施工完了時に収縮しない)スリーブ部が、施工完了時に電線接続部との間に隙間を介して配置される構造となっている。したがって、電線接続部にてコネクタを電線にかしめる際に生じがちなバリが、被覆チューブに接触して被覆チューブを損傷したり漏電を生じたりする危惧を排除できる。
【0007】
この形式の被覆チューブでは、電線接続部を被覆するスリーブ部にコア部材が配置されないので、被覆作業時にスリーブ部内の電線接続部の位置を手の触感で確認できる利点がある。しかし、被覆チューブを電線接続部に対し正確に位置決めするためには、上記工法と同様にして一方の電線の外被表面にマーキングを施し、一方のシール部の軸方向一端面をこのマーキングに整合させる方法が採用されていた。コア部材を除去するときには、スリーブ部を片手で圧搾してスリーブ部ごと電線接続部を握持することができるので、前述した全長にコア部材を有する被覆チューブよりは施工が容易であるが、距離測定作業及びマーキング形成作業の煩雑さは排除できない。
【0008】
さらにこの形式の被覆チューブでは、各シール部に配置されるコア部材のスリーブ部に隣接する内方端部に、弾性拡径された管状部材の復原力による多大な応力が集中する傾向がある。一般にコア部材は、被覆チューブから破壊的に除去される構造(例えば軸方向一端から軸方向他端に向けて螺旋状に延びる弱め線を有した構造)を有するが、コア部材の内方端部には通常この破壊の起点が設けられており、上記した応力集中により、特に高温環境下において、被覆チューブの保管時等に意に反してコア部材の破壊が起点から進行してしまう危惧がある。
【0009】
したがって本発明の主目的は、PST構造を有する電線接続部の被覆チューブにおいて、電線接続部に対し所望の被覆効果を奏し得る所定位置に正確に位置決めでき、かつコア部材除去時に位置ずれを生じることなく正確に取付けることができる高い信頼性を有した被覆チューブを提供することにある。
本発明の他の目的は、チューブ開口端の各々に設置された複数のコア部材を有するPST構造の被覆チューブにおいて、コア部材の内方端部から意に反して破壊が生じることを効果的に防止できる被覆チューブを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、そのような被覆チューブを備えて、電線接続部に所望の防水・防湿、電気的絶縁、及び機械的保護処理を施すことができる優れた性能を有する電線接続装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、電気絶縁性のエラストマーからなり、軸方向両端で開口する管状部材と、管状部材の径方向内側に配置され、管状部材の少なくとも開口端に隣接する部分を弾性的拡径状態に保持するコア部材とを具備し、コア部材がその軸方向一端から軸方向他端に向けて漸次破壊可能に構成された電線接続部の被覆チューブにおいて、コア部材は、それぞれが管状部材の異なる開口端から管状部材の軸方向中途位置まで延びる第1及び第2コア部材を含み、第1コア部材の破壊起点となる軸方向一端に隣接する第1コア部材の一部分が、第2コア部材の破壊起点となる軸方向一端に隣接する第2コア部材の一部分の内径よりも小さい外径を有して、管状部材の軸方向中途位置で、第2コア部材の該一部分の径方向内側に隙間を介して受容され、第1コア部材の軸方向一端に、第2コア部材に挿入した物体を当接できるようになっていること、を特徴とする電線接続部の被覆チューブを提供する。
【0011】
このような構成によれば、被覆施工時に電線接続部のコネクタの軸方向端面を第1コア部材の軸方向一端に当接することにより、被覆チューブが電線接続部に対し所定位置に位置決めされる。この状態で、先に第2コア部材を破壊すれば、第2コア部材に加わる破壊のための力の方向は、第1コア部材とコネクタとの当接を維持する方向となるので、施工初期段階において、被覆チューブが電線接続部に対し所定位置に保持される。
【0012】
さらに本発明は、上記した電線接続部の被覆チューブと、電線接続部で電線同士を接続するコネクタであって、第1コア部材の軸方向一端の開口最大寸法より大きな横断方向最大寸法を有するコネクタ、とを具備して構成される電線接続装置を提供する。
このような構成によれば、被覆チューブが電線接続部に対し所定位置に容易かつ正確に位置決めされ、電線接続装置の性能が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明をその好適な実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態による電線接続部の被覆チューブ10を示す。被覆チューブ10は、全長に渡ってPST構造を有したものであり、2つの開口端12a、12bを有する直線円筒状の管状部材12と、管状部材12の径方向内側に配置され、管状部材12の全体を弾性的拡径状態に保持する2個の筒状のコア部材14、16とを備える。被覆チューブ10は、主として電線同士の直線接続部を防水・防湿、電気的絶縁、及び機械的保護の目的で被覆できる。
【0014】
被覆チューブ10の管状部材12は、図4に示すように、2本の被覆電線18、20の端部で露出された導体22、24と、それら導体22、24を相互に連結するコネクタ26と、各電線18、20のそれら導体22、24に隣接する外被28、30の末端所定長部分とを囲繞可能な長さを有する(この実施形態では、導体22、24とコネクタ26と外被28、30の末端所定長部分とを合わせて「電線接続部」と称する)。また管状部材12は、コア部材14、16を配置しない非拡径時(つまり応力が加わらない状態)では、コネクタ26及び外被28、30の外径より小さな内径を呈し、電線接続部へ取付けたときに、所望の被覆効果を奏するに十分な収縮圧力のもとで電線接続部に弾性的に密着するようになっている。
【0015】
管状部材12は、電気絶縁性、高い弾性回復率、優れた永久伸び特性等の、PSTとして好ましい物性を有するエラストマーからなる。管状部材12の材料の具体例としては、エチレンプロピレンゴム(特にEPDM)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、フッ素系ゴム、シリコーン変性EPDM等が挙げられる。これらのうちでEPDMは、耐候性、電気絶縁性及び耐水性に優れ、しかも安価である点で、特に好ましい材料である。
【0016】
図1に示すように、被覆チューブ10のコア部材14、16は、それぞれ管状部材12の異なる開口端12a、12bから所定の軸方向中間位置までの部分を弾性的拡径状態に支持し得る略円筒形状を有する。各コア部材14、16は、円筒壁の全長に亙って螺旋状に延びる溝又は弱め線32と、コア壁上で隣接する弱め線32の間に画成されるストリップ状の壁部分の延長部として、コア部材の軸方向一端から延長される延長片34とを備える。延長片34は、各コア部材14、16の内側を通されて、その先端がコア部材の軸方向他端から延出される。各コア部材14、16は、延長片34を引っ張って弱め線32に沿って壁を引き裂くことにより、比較的容易に破壊される。
【0017】
各コア部材14、16は、延長片34の基端すなわち破壊の起点となる軸方向一端14a、16aを、管状部材12の開口端12a、12bから所定距離の位置に配置し、かつ軸方向他端14b、16bを開口端12a、12bから外方へ僅かに突出させて、管状部材12の内側に配置される。各コア部材14、16は、1本の電線18、20の外被28、30(図4)の外径寸法より充分に大きな内径寸法を有して、管状部材12を弾性的に拡径するとともに、その弾性回復(収縮)力に抗してコア部材自体の内径寸法を維持しつつ管状部材12を弾性的拡径状態に保持する。
【0018】
一方のコア部材14は、他方のコア部材16の軸方向長さよりも短い軸方向長さと、他方のコア部材16の内径よりも小さい外径とを有する。そしてコア部材14は、破壊の起点となる軸方向一端14aの隣接部分が、コア部材16の破壊の起点となる軸方向一端16aの隣接部分の径方向内側に隙間を介して受容される。すなわち両コア部材14、16は、それらの一端14a、16aで互いに重畳して配置され、それにより管状部材12の全体を、各コア部材14、16の外径に対応する段差を有した弾性的拡径状態に保持する。
【0019】
各コア部材14、16は、例えば硬質プラスチックからなる円筒状部材であり、管状部材12をその弾性回復(収縮)力に抗して前述した弾性的拡径状態に保持するに充分な剛性を有する。コア部材14、16の好適な材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ポリアミド等が挙げられる。
【0020】
上記構成を有する被覆チューブ10は、図4に示すように、電線外被28、30の外径よりも大きな横断方向(接続対象の電線の軸方向に略直交する方向)最大寸法を有するコネクタ26を用いた電線接続部に対し、正確な位置決め機能及び位置ずれ防止機能を発揮することができる。この場合、被覆チューブ10のコア部材14は、コネクタ26の横断方向最大寸法よりも小さな内径を有するように形成される。他方、コア部材16は、コネクタ26の横断方向最大寸法よりも十分に大きな内径を有するように形成される。
【0021】
なお各コア部材14、16は、その軸方向他端14b、16bから延出する延長片34を、被覆施工時に前述したように管状部材12の各開口端12a、12bの外側から引っ張ることにより弱め線32に沿って漸進的に破壊され、被覆チューブ10から除去される。そのためにコア部材14は、被覆チューブ10に電線18を収容した状態(図4(b)参照)で、外被28とコア部材14との隙間を利用して延長片34を容易に引っ張ることができるだけの内径寸法を有することが望ましい。同様にコア部材16は、被覆チューブ10にコネクタ26及び電線20を収容した状態(図4(b)参照)で、コネクタ26とコア部材16との隙間を利用して延長片34を容易に引っ張ることができるだけの内径寸法を有することが望ましい。さらに、互いに重畳する両コア部材14、16の軸方向一端14a、16aにおいても、コア部材14とコア部材16との隙間を利用してコア部材16の延長片34を容易に引っ張ることができるように、コア部材14の外径及びコア部材16の内径を設定することが望ましい。
【0022】
上記構成を有する被覆チューブ10の作用効果を、図4及び図5を参照して説明する。電線の直線接続部では、接続される2本の電線18、20の、外被28、30及び絶縁体(図示せず)の除去により露出された導体22、24が、コネクタ26によって相互に接続される。最初に被覆チューブ10には、2本の電線18、20の相互接続に先立って、管状部材12の開口端12a側に配置された小径のコア部材14の他端14bから電線18が挿入され、その露出導体22が、管状部材12の開口端12b側に配置された大径のコア部材16の他端16bから被覆チューブ10の外側に引き出されて、コネクタ26により他の電線20の露出導体24に接続される(図4(a)参照)。次いで被覆チューブ10を移動して、コネクタ26をコア部材16の内部に挿入すると、コア部材14の内径がコネクタ26の外径より小さいので、コネクタ26の軸方向一端面がコア部材14の一端14aに当接される(図4(b)参照)。
【0023】
被覆施工完了時に電線18の外被28に密着する管状部材12の開口端12a側の部分は、電線18に印加される電圧によって決まるシール距離に対応した軸方向長さを有することが、所望の被覆効果を奏する上で肝要である。したがって、コア部材14の軸方向長さをこの所要のシール距離に対応して設定し、コア部材14の一端14aを管状部材12の開口端12aから、施工完了時に所要のシール距離を達成できる所定距離の位置に配置しておけば、コネクタ26の軸方向一端面がコア部材14の一端14aに当接された状態で、コネクタ26が被覆チューブ10内の所定位置(所望の被覆効果を奏し得る位置)に配置されたことになる。なお、大径のコア部材16の軸方向長さは、コネクタ26の長さと電線20に対する所要のシール距離との合計値に対応して設定される。
【0024】
被覆チューブ10を上記所定位置に配置した後、まず大径のコア部材16を、その延長片34の先端を管状部材12の開口端12bの外側から引っ張ることにより、弱め線32に沿って螺旋状に破壊しつつ被覆チューブ10から除去する。その結果、コア部材16により弾性的拡径状態に保持されていた管状部材12の所定長さ部分が、その弾性収縮による締付力のもとで、コネクタ26及び電線20の外被30の表面に密着する(図5(a)参照)。このとき、電線18、20を静止状態に固定的に保持しておけば、コア部材16の延長片34に加わる(図で右方向への)引張力は、コネクタ26の軸方向一端面とコア部材14の一端14aとの当接により受け止められるので、コア部材16の破壊の初期段階において、被覆チューブ10が電線接続部に対して位置ずれを生じることは、引張力を加えている限り回避される。コア部材16の破壊が進んで管状部材12のある程度の長さ部分がコネクタ26に密着した後は、電線18、20を静止状態に保持せずとも、被覆チューブ10が電線接続部に対し移動することはない。
【0025】
コア部材16を完全に除去した後、小径のコア部材14を、その延長片34の先端を管状部材12の開口端12aの外側から引っ張ることにより、弱め線32に沿って螺旋状に破壊しつつ被覆チューブ10から除去する。その結果、コア部材14により弾性的拡径状態に保持されていた管状部材12の所定長さ部分が、その弾性収縮による締付力のもとで、電線18の外被28の表面に密着する(図5(b)参照)。このようにして被覆チューブ10は、電線接続部に対し所望の被覆効果を奏し得る所定位置に正確に取付けられる。
【0026】
上記構成を有する被覆チューブ10では、大径のコア部材16の破壊の起点となる一端16aが管状部材12の内側に配置されるので、弾性拡径された管状部材12の復原力による応力集中や、高温環境下での熱の影響により、被覆チューブ10の保管時等に意に反してコア部材16の破壊が起点から進行してしまう危惧がある。しかし本発明によれば、コア部材16の破壊の起点となる一端16aの隣接部分の径方向内側に、コア部材14の一端14aの隣接部分が受容されているので、コア部材16の一端16aでそのような不慮の破壊が生じたとしても破壊部分が内側のコア部材14により支持され、破壊の進行が効果的に阻止される。他方、コア部材14の一端14aの隣接部分はコア部材16に包囲されているので、管状部材12の復原力を直接に受けることがなく、不慮の破壊が生じ難いことは容易に理解されよう。
【0027】
上記した不慮の破壊を効果的に防止するために、互いに重畳する両コア部材14、16の軸方向一端14a、16aの隣接部分の間の径方向隙間は、前述したようにコア部材16の延長片34を容易に引っ張ることができる寸法であるとともに、破壊の進行を防止できる寸法であることが肝要である。したがって好ましくはこの隙間は、コア壁上で隣接する弱め線32の間に画成されるストリップ状の壁部分の厚み(径方向寸法)すなわち延長片34の厚みより大きく、ストリップ状壁部分の幅(軸方向寸法)すなわち延長片34の幅より小さく設定される。さらに、両コア部材14、16は、少なくともストリップ状壁部分の幅に相当する長さだけ、軸方向一端14a、16aの隣接部分で互いに重畳することが望ましい。
【0028】
本発明は、上記実施形態以外の様々な構成を有することができる。
例えば本発明は、特開平7−57798号公報に開示されるような、チューブ開口端の近傍領域のみにシール部を備えて構成される被覆チューブにも適用できる。この場合に本発明によれば、シール部以外のスリーブ部は、コア部材により原形の状態か又は僅かに拡径された状態に保持される。このような適用によっても、電線接続部のコネクタを小径のコア部材に当接されることにより、被覆チューブを電線接続部に対し所定位置に正確に取付けることができる。しかも施工完了時には、スリーブ部はコネクタに非接触な状態にあるので、コネクタのバリによる損傷や漏電の危惧が排除される。
【0029】
また、2つのコア部材として、互いに重畳する破壊起点側の一端隣接部分のみで外径寸法が異なり、他の部分は同一外径となるコア部材の組を使用することができる。例えば、一方のコア部材の破壊起点端隣接部分の外径を残りの部分よりも小さくして、その残りの部分と同一外径の他方のコア部材の破壊起点端隣接部分に挿入する構成とすれば、管状部材の全体を一様な外径の弾性的拡径状態に保持することができる。その結果、管状部材の全体を同一の特性(例えば永久伸び特性)を有する同一材料から形成した場合にも、管状部材により被覆される電線接続部の全体に長時間に渡り同一の被覆効果を奏することが可能となる。
【0030】
さらに、小径のコア部材の内径は、被覆対象のコネクタの外径より必ずしも小さくなくてもよい。小径のコア部材の内径がコネクタの外径よりも大きい場合は、被覆チューブと電線接続部との相対位置を適当に調整してコネクタの軸方向端面の一部分を小径のコア部材の端部に当接させれば、所望の位置決め効果を得ることができる。また、この当接状態を手操作で維持することにより、位置ずれ防止効果も得ることができる。
【0031】
コア部材は円筒形に限らず、他の多角柱形状を有することもできる。この場合、コネクタが一般に電線接続時のかしめにより変形しているので、特に小寸のコア部材は少なくともその破壊起点の軸方向一端で、コネクタの横断方向最大寸法より小さな開口最大寸法を有して、コネクタの軸方向端面に容易に当接される形状であることが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電線接続部に対し所望の被覆効果をあげ得る所定位置に正確に位置決めでき、かつコア部材除去時に位置ずれを生じることなく正確に取付けることができる高い信頼性を有した被覆チューブが提供される。さらに本発明によれば、管状部材の内方に配置されるコア部材の破壊起点から意に反して破壊が進行することを効果的に防止できる被覆チューブが提供される。したがって本発明によれば、電線接続部に所望の防水・防湿、電気的絶縁、及び機械的保護処理を施すことができる高性能の電線接続装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による被覆チューブの一部断面正面図である。
【図2】図1の被覆チューブの一部切欠正面図である。
【図3】図2の線 III−III に沿った断面図である。
【図4】図1の被覆チューブの施工作業を説明する図で、(a)電線同士をコネクタで接続した第1段階、及び(b)被覆チューブを電線接続部に対し所定位置に配置した第2段階、を示す。
【図5】図1の被覆チューブの施工作業を説明する図で、(a)第2コア部材を除去した第3段階、及び(b)第1コア部材を除去した最終段階、を示す。
【符号の説明】
10…被覆チューブ
12…管状部材
12a、12b…開口端
14、16…コア部材
14a、16a…軸方向一端
14b、16b…軸方向他端
18、20…電線
26…コネクタ
34…延長片
Claims (2)
- 電気絶縁性のエラストマーからなり、軸方向両端で開口する管状部材と、該管状部材の径方向内側に配置され、該管状部材の少なくとも開口端に隣接する部分を弾性的拡径状態に保持するコア部材とを具備し、該コア部材がその軸方向一端から軸方向他端に向けて漸次破壊可能に構成された電線接続部の被覆チューブにおいて、
前記コア部材は、それぞれが前記管状部材の異なる前記開口端から該管状部材の軸方向中途位置まで延びる第1及び第2コア部材を含み、
前記第1コア部材の破壊起点となる軸方向一端に隣接する該第1コア部材の一部分が、前記第2コア部材の破壊起点となる軸方向一端に隣接する該第2コア部材の一部分の内径よりも小さい外径を有して、前記管状部材の前記軸方向中途位置で、該第2コア部材の該一部分の径方向内側に隙間を介して受容され、
前記第1コア部材の前記軸方向一端に、前記第2コア部材に挿入した物体を当接できるようになっていること、
を特徴とする電線接続部の被覆チューブ。 - 請求項1に記載の電線接続部の被覆チューブと、
前記電線接続部で電線同士を接続するコネクタであって、前記第1コア部材の前記軸方向一端の開口最大寸法より大きな横断方向最大寸法を有するコネクタ、とを具備して構成される電線接続装置。
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