JP4082734B2 - 安定化された臭化アルカン溶媒 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、1,4−ジオキサンを含まない安定剤系と臭化アルカン溶媒を基とする新規な高性能溶媒組成物に関する。
脱グリースおよび洗浄産業では、現在、1,1,1−トリクロロエタン(TCE)の洗浄用溶媒としての使用が禁止されると言ったことに直面している。この禁止は1,1,1−トリクロロエタンが比較的高いODP(オゾンを枯渇させる可能性)を有することを基にしている。代替物がいくつか提案されてはいるが、溶媒機能が高くないこと、コスト、毒性および可燃性が理由でその多くは不合格であった。1つの代替品である臭化n−プロピルは理想的であるように見える。これがオゾンを枯渇させる可能性は低くて容認され得る。これが示す溶媒機能は1,1,1−トリクロロエタンのそれに類似しておりかつそれの製造を容認されるコストで比較的高い純度、即ち99+重量%の純度で行うことができることが示された。更に、臭化n−プロピルは毒性試験で有望さを示している。本技術分野では、それが示す可燃性に関していくらか混乱があるが、最近の試験でそれは不燃性であると見なすことができることが示された。
臭化n−プロピルは冷洗浄系および蒸気洗浄系の両方で使用可能であることが実験研究で示されている。驚くべきことに、臭化n−プロピルはそれを低い温度、即ち55℃以下の温度で用いる時にはかなり安定であることを確認した。冷洗浄系の場合、臭化n−プロピルに安定化を受けさせるとしても必要な安定化は僅かのみであることが試験で示された。しかしながら、臭化n−プロピルを蒸気洗浄系で用いる場合には安定化が必要である。温度をより高くする、即ち69−71℃にすると、鋼、アルミニウム、チタンおよびマグネシウムなどの如き金属の腐食がもたらされる可能性がある。この金属が臭化n−プロピルの脱臭化水素化反応の触媒になることでHBrが生じ、今度はそれが上記金属の腐食で利用され得ると考えている。
上記金属の触媒活性を低くしそして/または生じる全てのハロゲン化水素を失活させる安定剤が従来技術に豊富に記述されている。この従来技術が最も利用できる分野は、高い興味が持たれていた分野、即ちクロロヒドロカーボン溶媒に関する分野である。ブロモヒドロカーボン溶媒の分野で利用できる技術はずっと少ない。この技術分野で臭化溶媒が魅力的であることが見い出されたのは新しいことからようやく今活発に臭化溶媒と安定剤系の最良組み合わせの選択が調査されるようになったところである。このような組み合わせの可能性は無数であるが、特別な臭化溶媒と特別な安定剤系の間の理想的な適合を見付け出した人には利益が与えられるであろう。今日の健康および環境に関する懸念から、現在では、古い従来技術の溶媒系に含まれる成分の必ずしも全部が容認され得る候補品であるとは見なされない。例えば、昔から使用されている非常に一般的な安定剤成分である1,4−ジオキサンは、健康の懸念から、現在では好ましいものではない。
従って、本発明の目的は、使用者および環境の両方に優しくて高い効果を示す脱グリース用および洗浄用溶媒を提供することにある。
本発明
本発明は安定化を受けさせた(stabilized)脱グリース用および洗浄用溶媒組成物に関し、これに、臭化n−プロピルを少なくとも90重量%含む溶媒部分を含有させ、かつニトロアルカン、1,2−ブチレンオキサイドおよび1,3−ジオキソラン組成物を含んでいて1,4−ジオキサンを含まない安定剤系を含有させる。特に明記しない限り、本明細書で用いる重量%およびppm値は本溶媒組成物の全重量を基にした値である。
上記臭化n−プロピルを好適には99+重量%の臭化n−プロピルとして上記組成物に供給し、それの最も一般的な不純物は臭化イソプロピルである。このパラグラフに示す重量%およびppmは臭化n−プロピルと不純物の全重量を基準にしている。商業的に適切な臭化n−プロピルは臭化イソプロピルを6重量%の如き多い量で伴う可能性がある。ずっと純度が低い臭化n−プロピルも容認され得るが、望ましくはない。この不純物である臭化イソプロピルは原生成物である臭化n−プロピル中に自然と存在するが、その存在量を蒸留で少なくすることができる。これは臭化n−プロピルよりもずっと低い安定性を示すことから良性の不純物ではなく、従ってそれが存在していると結果として攻撃的な腐食が起こり得る。典型的な臭化n−プロピル原生成物には臭化n−プロピルが96重量%と臭化イソプロピルが4重量%含まれている。蒸気による脱グリースおよび洗浄の場合、好適には、臭化イソプロピル含有量を低く保つ、即ち0.01から0.5重量%の範囲内に保つようにする。臭化n−プロピルはAlbemarle Corporation(Richmond Virginia)から商業的に購入可能である。
前述したように、本溶媒系に1,4−ジオキサンを含めない、即ちこれが本溶媒組成物を構成する量を不純物量のみ、即ち500ppm未満にする。少しの1,4−ジオキサンも本溶媒組成物に存在させないのが好適である。
本溶媒系に含めるニトロアルカン成分は好適にはニトロメタン、ニトロエタンまたはそれらの混合物である。ニトロメタンが最も好適である。このニトロアルカンの使用量は一般に0.045から1.0重量%の範囲内である。好適な量は0.25から1.0重量%の範囲、最も好適には0.3から0.6重量%の範囲内である。
1,2−ブチレンオキサイド成分を一般に0.045から1.0重量%の範囲内の量で存在させ、好適には0.25重量%から1.0重量%、最も好適には0.3から0.6重量%の範囲内の量で存在させる。
1,3−ジオキソラン成分の適切な量は0.1から10.0重量%の範囲内の量である。好適な量は2.0から6.0重量%の範囲内である。
他の溶媒または溶媒系および添加剤を存在させてそれらと協力させて本発明の溶媒組成物を用いることは本発明の範囲内である。例えば、本発明の溶媒組成物をヘキサンまたは臭化n−ブチルなどの如き溶媒と混合することも可能である。典型的な添加剤は防錆添加剤である。本発明の溶媒組成物が構成する量は本発明の溶媒組成物と上記他の溶媒または溶媒系または添加剤の全体重量の50重量%以下から90重量%を越える量であってもよい。
本発明の溶媒組成物に含有させる臭化n−プロピルの量は、前述したように、定量的に少なくとも90重量%であり、その残りに不純物、例えば臭化イソプロピルなど、本発明の安定剤系、および実施者が望む他の任意添加剤が含まれる。使用する臭化n−プロピルが特に高純度ではない典型的な溶媒組成物は臭化n−プロピルを90−92重量%および臭化イソプロピルを4−6重量%含有し、それにニトロメタンを0.25−1.0重量%、1,2−ブチレンオキサイドを0.25−1.0重量%および1,3−ジオキソランを2.0−6.0重量%含有させる。臭化n−プロピルが高純度の場合には、臭化n−プロピルが本溶媒組成物の94−97重量%になるようにしてもよい。
本発明の溶媒組成物は冷洗浄用途および蒸気洗浄作業で用いるに適切である。前者は、一般に、洗浄すべき物品を通常は室温から55℃の範囲内の温度の本溶媒組成物に浸漬することを特徴とする。蒸気洗浄は洗浄すべき物品を本溶媒組成物の蒸気の中に通すことを特徴とし、ここでは、上記物品の温度をそれの表面に蒸気が凝縮するような温度にする。この凝縮物はそれの洗浄機能を果した後に落下する。この蒸気の温度は一般に本溶媒組成物の沸点に近い温度であり、このインスタントケース(instant case)における温度は、使用する溶媒組成物の特別な定量的および定性的同定に応じて約65から75℃である。臭化n−プロピル含有量が非常に高い、即ち95重量%以上の溶媒組成物の場合の沸点は約69−72℃であろう。
以下に本発明の溶媒組成物が有する効果的性質を説明する。本実施例は本明細書に記述する発明の範囲を限定するとして決して解釈されるべきでないことを意図する。
実施例
以下に示す材料を一緒に混合することによって溶媒組成物を調製した:
臭化n−プロピルを96.5重量%
1,3−ジオキソランを2.5重量%
1,2−ブチレンオキサイドを0.5重量%
ニトロメタンを0.5重量%。
試験クーポン(test coupons)であるアルミニウム合金(2024)、マグネシウム(AZ−31B)およびチタン(MIL−T−9046)を布やすりで曇りがなくなって明るく輝くまで磨いた。次に、この磨いたクーポンを石鹸で洗浄した後、蒸留水で濯いだ。この濯いだクーポンを素手で取り扱わないようにしてアセトンで乾燥させた。次に、この乾燥させたクーポンを上記溶媒組成物に24時間浸漬した。この浸漬期間中、上記溶媒組成物を還流に維持した。24時間後、上記クーポンを回収し、冷却した後、腐食を目で検査した。腐食は全く観察されなかった。

Claims (10)

  1. 安定化された溶媒組成物であって、臭化n−プロピルを少なくとも90重量%含有する溶媒部分とニトロアルカン、1,2−ブチレンオキサイドおよび1,3−ジオキソランを含んでいて1,4−ジオキサンを含まない安定剤系部分を含む溶媒組成物。
  2. 該ニトロアルカンがニトロメタン、ニトロエタンまたはそれらの混合物である請求の範囲第1項記載の溶媒組成物。
  3. 該ニトロアルカンがニトロメタンである請求の範囲第1項記載の溶媒組成物。
  4. 該溶媒部分が臭化n−プロピルを90から92重量%含有する請求の範囲第1項記載の溶媒組成物。
  5. 該溶媒部分が臭化n−プロピルを94から98重量%含有する請求の範囲第1項記載の溶媒組成物。
  6. 該安定剤系部分がニトロアルカンを0.045から1.0重量%、1,2−ブチレンオキサイドを0.045から1.0重量%および1,3−ジオキソランを2.0−6.0重量%含む請求の範囲第1項記載の溶媒組成物。
  7. 該溶媒部分が臭化n−プロピルを90から92重量%含有する請求の範囲第6項記載の溶媒組成物。
  8. 該溶媒部分が臭化n−プロピルを94から98重量%含有する請求の範囲第6項記載の溶媒組成物。
  9. 物品を洗浄する方法であって、臭化n−プロピルを少なくとも90重量%含有する溶媒部分とニトロアルカン、1,2−ブチレンオキサイドおよび1,3−ジオキソランを含んでいて1,4−ジオキサンを含まない安定剤系部分を含む室温から55℃の範囲内の温度の溶媒組成物に該物品を浸漬することを含む方法。
  10. 物品を洗浄する方法であって、臭化n−プロピルを少なくとも90重量%含有する溶媒部分とニトロアルカン、1,2−ブチレンオキサイドおよび1,3−ジオキソランを含んでいて1,4−ジオキサンを含まない安定剤系部分を含む溶媒組成物の沸騰体から発散して来る蒸気に該物品をさらすことを含む方法。
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