JP4082126B2 - 複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド駆動ユニット等に適用される複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータのロータ支持ベアリング取り付け構造としては、例えば、特開平11−18386号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来公報には、内輪、或いは、外輪の嵌め合い公差を締まり嵌めとして半径方向の固定を行い、軸方向については、締め付けナットやボルトを用いて端面を固定する構成が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のモータのロータ支持ベアリング取り付け構造は、内輪、或いは、外輪の嵌め合い公差を締まり嵌めとして半径方向の固定を行なうようにしているため、下記に列挙する問題点がある。
▲1▼ロータ支持ベアリングを圧入により組み付ける必要があるため、ベアリング組み付け作業性が低い。
▲2▼ベアリング支持部が、締まり嵌め公差の設定が難しい脆性材料や低剛性材料や部分支持構造体等である場合、これらの材料や構造体との嵌合ができない。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、組み付ける常温時には隙間公差とし、高温となる運転時には締まり公差としてアウターロータ支持ベアリングを固定することで、ベアリング組み付け作業性の向上を図るとことができると共に、締まり嵌め公差の設定が難しい材料や構造体との嵌合を可能にすることができる複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造では、ステータを挟んで同心円状にインナーロータとアウターロータとを配置し、前記アウターロータと一体回転するアウターロータケース部材を、モータケース部材に支持する一対のアウターロータ支持ベアリングを備えた複軸多層モータにおいて、前記モータケース部材に、前記ステータの構成要素である樹脂モールド部を固定し、前記一対のアウターロータ支持ベアリングのうち、ステータシャフトが貫通している側のアウターロータ支持ベアリングの内輪を、前記樹脂モールド部に対し支持し、樹脂モールド部の線膨張係数を、アウターロータ支持ベアリングの内輪の線膨張係数よりもが大きく設定し、前記樹脂モールド部の内周側にステータシャフトを有し、該ステータシャフトの一部を外径方向に突出する径方向突出部とし、前記径方向突出部の外周面は、前記アウターロータ支持ベアリングの内輪支持面より低い面とし、かつ、この径方向突出部とモータケース部材とをボルトにより固定した。
【0007】
【発明の効果】
よって、本発明のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造にあっては、組み付け時の常温では隙間公差で、モータ運転時の高温状態ではベアリングの内輪よりも線膨張係数の大きな樹脂モールド部が外径を大きくするように体膨張し、ベアリングの内輪を締まり嵌め状態で固定する構成としたため、ベアリング組み付け作業性の向上を図ることができると共に、締まり嵌め公差の設定が難しい材料や構造体との嵌合を可能にすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を実現する実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
【0010】
[ハイブリッド駆動ユニットの全体構成]
図1は第1実施例の複軸多層モータが適用されたハイブリッド駆動ユニットの全体図であり、図1において、Eはエンジン、Mは複軸多層モータ、Gはラビニョウ型複合遊星歯車列、Dは駆動出力機構、1はモータカバー、2はモータケース、3はギヤハウジング、4はフロントカバーである。
【0011】
前記エンジンEは、ハイブリッド駆動ユニットの主動力源であり、エンジン出力軸5とラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第2リングギヤR2とは、フライホイールダンパー6及び多板クラッチ7を介して連結されている。
【0012】
前記複軸多層モータMは、外観的には1つのモータであるが2つのモータジェネレータ機能を有する副動力源である。この複軸多層モータMは、前記モータケース2に固定され、コイルを巻いた固定電機子としてのステータSと、前記ステータSの内側に配置し、永久磁石を埋設したインナーロータIRと、前記ステータSの外側に配置し、永久磁石を埋設したアウターロータORと、を同軸上に三層配置することで構成されている。前記インナーロータIRに固定の第1モータ中空軸8は、ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第1サンギヤS1に連結され、前記アウターロータORに固定の第2モータ軸9は、ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第2サンギヤS2に連結されている。
【0013】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列Gは、二つのモータ回転数を制御することにより無段階に変速比を変える無段変速機能を有する遊星歯車機構である。このラビニョウ型複合遊星歯車列Gは、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2との5つの回転要素を有して構成されている。前記第1リングギヤR1とギヤハウジング3との間には多板ブレーキ10が介装されている。前記共通キャリヤCには、出力ギヤ11が連結されている。
【0014】
前記駆動出力機構Dは、出力ギヤ11と、第1カウンターギヤ12と、第2カウンターギヤ13と、ドライブギヤ14と、ディファレンシャル15と、ドライブシャフト16L,16Rにより構成されている。そして、出力ギヤ11からの出力回転及び出力トルクは、第1カウンターギヤ12→第2カウンターギヤ13→ドライブギヤ14→ディファレンシャル15を経過し、ドライブシャフト16L,16Rから図外の駆動輪へ伝達される。
【0015】
すなわち、ハイブリッド駆動ユニットは、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸5を連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータ中空軸8とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータ軸9とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ11を連結することにより構成されている。
【0016】
[複軸多層モータの構成]
図2は第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造が適用された複軸多層モータMを示す縦断側面図、図3は第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造が適用された複軸多層モータMを示す一部縦断正面図、図4は第1実施例のステータを背面側から視た図である。
【0017】
図2において、1はモータカバー、2はモータケースであり、これらに囲まれたモータ室17内にインナーロータIRとステータSとアウターロータORとにより構成された複軸多層モータMが配置されている。
【0018】
前記インナーロータIRは、その内筒面が第1モータ中空軸8の段差軸端部に対して圧入(或いは、焼きばめ)により固定されている。このインナーロータIRには、図3に示すように、ロータベース20に対し磁束形成を考慮した配置によるインナーロータマグネット21(永久磁石)が軸方向に12本埋設されている。但し、2本が対をなしてV字配置されて同じ極性を示し、3極対としてある。
【0019】
前記ステータSは、ステータピース40を積層したステータピース積層体41とコイル42とステータ冷却用水路43とインナー側ボルト・ナット44とアウター側ボルト・ナット45と樹脂モールド部46とを有して構成されている。そして、ステータSの正面側端部が、正面側エンドプレート47とステータシャフト48とを介してモータケース2に固定されている。
【0020】
前記コイル42は、コイル数が18で、図4に示すように、6相コイルを3回繰り返しながら円周上に配置される。
【0021】
そして、前記6相コイルに対しては、図外のインバータから給電接続端子50とバスバー径方向積層体51と給電コネクタ52とバスバー軸方向積層体53を介して複合電流が印加される(図9参照)。この複合電流は、アウターロータORを駆動させるための3相交流と、インナーロータIRを駆動させるための6相交流を複合させたものである。
【0022】
前記アウターロータORは、その外筒面がアウターロータケース62に対してロー付け、或いは、接着により固定されている。そして、アウターロータケース62の正面側には正面側連結ケース63が固定され、背面側には背面側連結ケース64が固定されている。そして、この背面側連結ケース64に第2モータ軸9がスプライン結合されている。このアウターロータORには、図3に示すように、ロータベース60に対し磁束形成を考慮した配置によるアウターロータマグネット61(永久磁石)が、両端位置に空間を介して軸方向に12本埋設されている。但し、アウターロータマグネット61は、インナーロータマグネット21と異なり、1本づつ極性が違い、6極対をなしている。
【0023】
図2において、80,81はアウターロータ6をモータケース2及びモータカバー1に支持する一対のアウターロータ支持ベアリングである。82はインナーロータIRをモータケース2に支持するインナーロータ支持ベアリング、83はアウターロータORに対しステータSを支持するステータ支持ベアリング、84は第1モータ中空軸8と第2モータ軸9との間に介装される中間ベアリングである。
【0024】
また、図2において、85はインナーロータIRの回転位置を検出するインナーロータレゾルバ、86はアウターロータORの回転位置を検出するアウターロータレゾルバである。
【0025】
[遊星歯車機構の構成]
図5はハイブリッド駆動ユニットのラビニョウ型複合遊星歯車列Gを示す縦断面図である。図5において、2はモータケース、3はギヤハウジング、4はフロントカバーであり、これらに囲まれたギヤ室30内にラビニョウ型複合遊星歯車列G及び駆動出力機構Dが配置されている。
【0026】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第2リングギヤR2には、フライホイールダンパー6と変速機入力軸31とクラッチドラム32とを介し、多板クラッチ7の締結時にエンジンEからの回転駆動トルクが入力される。
【0027】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第1サンギヤS1には、第1モータ中空軸8がスプライン結合され、決められたモータ動作点にしたがって、複軸多層モータMのインナーロータIRから第1トルクと第1回転数が入力される。
【0028】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第2サンギヤS2には、第2モータ軸9がスプライン結合され、決められたモータ動作点にしたがって、複軸多層モータMのアウターロータORから第2トルクと第2回転数が入力される。
【0029】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの第1リングギヤR1と、ギヤハウジング3との間には多板ブレーキ10が設けられ、発進時等において多板ブレーキ10が締結された時には、第1リングギヤR1が停止する。
【0030】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列Gの共通キャリヤCには、ステータシャフト48に対しベアリングを介して回転可能に支持された出力ギヤ11がスプライン結合されている。
【0031】
前記駆動出力機構Dは、前記出力ギヤ11と噛み合う第1カウンターギヤ12と、この第1カウンターギヤ12のシャフト部に設けられた第2カウンターギヤ13と、第2カウンターギヤ13と噛み合うドライブギヤ14とを有する。そして、第2カウンターギヤ13とドライブギヤ14の歯数比により、終減速比が決められる。
【0032】
前記多板クラッチ7のクラッチピストン33には、フロントカバー4に形成されたクラッチ圧油路34により締結圧が供給される。また、前記多板ブレーキ10のブレーキピストン35には、フロントカバー4に形成されたブレーキ圧油路36により締結圧が供給される。前記クラッチピストン33と前記ブレーキピストン35は、フロントカバー4の内側で、内周位置にクラッチピストン33が配置され、その外周位置にブレーキピストン35が配置される。
【0033】
また、前記変速機入力軸31には、軸心油路37が形成されていて、この軸心油路37には、フロントカバー4に形成された潤滑油路38を介して潤滑油が供給される。
【0034】
[ステータ構造]
図6は第1実施例の複軸多層モータのステータSを示す拡大縦断面図である。以下、ステータSの構成を、製造工程を考慮しながら説明する。
【0035】
まず、複数のステータピース40が軸方向に積層されたステータピース積層体41の外周に、平型銅線によるコイル42が軸方向に往復するように巻かれ、このコイル42が巻かれた複数のステータピース積層体41を円周上に等間隔で配列する。
【0036】
次に、ステータピース積層体41の軸方向両端位置に、ステータピース40と位置決めをしながら正面側ブラケット73と背面側ブラケット74を設置する。
【0037】
次に、両ブラケット73,74の外側に正面側エンドプレート47と背面側エンドプレート49を配置し、インナー側ボルト・ナット44を挿通すると共に、アウター側ボルト・ナット45を挿通し、ナットを回して締め上げる。なお、正面側エンドプレート47には、ステータシャフト48が固定されている。
【0038】
この両端のブラケット47,49を、インナー側ボルト・ナット44とアウター側ボルト・ナット45により締め上げることで発生する摩擦力により、ステータピース積層体41を複数のステータピース40が軸方向に積層された状態で支持する。
【0039】
このようにしてステータSの骨格構造体が完成したら、ステータ形状に合致する凹凸型を有する型枠内に、この骨格構造体と、ステータシャフト48と、ステータ冷却用水路43を形成するステータパイプ75等を入れ、高耐熱性で高強度の溶融樹脂を流し込み、溶融樹脂をコイル42が巻かれたステータピース積層体41の周りや正面側エンドプレート47及びステータシャフト48の周り部分に充填することで、樹脂モールド部46を有するステータSが成形される。
【0040】
なお、ステータSの成形後、連通するステータ冷却用水路を形成するために、正面側封鎖蓋78と背面側封鎖蓋79が水密状態で取付られる。
【0041】
[アウターロータ支持ベアリング取り付け構造]
図7は第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を示す図6A−A線断面図、図8は第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を示す拡大断面図である。
【0042】
前記複軸多層モータMは、ステータSを挟んで同心円状にインナーロータIRとアウターロータORとを配置し、前記アウターロータORを支持するアウターロータケース部材62,63,64を、モータカバー1(モータケース部材)及びモータケース2(モータケース部材)に支持する一対のアウターロータ支持ベアリング80,81を備えている。
【0043】
前記モータケース2に、前記ステータSの構成要素である樹脂モールド部46を固定し、前記一対のアウターロータ支持ベアリング80,81のうち、ステータシャフト48が貫通している側のアウターロータ支持ベアリング80の内輪80aを、前記樹脂モールド部46に対し支持し、かつ、樹脂モールド部46の線膨張係数を、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aの線膨張係数よりもが大きく設定した。
【0044】
前記樹脂モールド部46の内周側には、円環状のステータSを支持するための強度部材として、スチール材によるステータシャフト48を有する。
【0045】
前記ステータシャフト48の一部は、外径方向に突出する径方向突出部48a,48b,48cとし、該径方向突出部48a,48b,48cの外周面は、前記アウターロータ支持ベアリング80の内輪支持面より低い面とし、かつ、この径方向突出部48a,48b,48cとモータケース2とをボルト100により固定している。
【0046】
前記樹脂モールド部46には、コイル42が巻かれるステータSを冷却するためのステータ冷却用水路76を有する。
【0047】
前記ステータシャフト48の径方向突出部として、図7に示すように、外径3方向に突出する第1径方向突出部48aと第2径方向突出部48bと第3径方向突出部48cを形成し、前記周方向に隣接する3つの径方向突出部48a,48b,48cにより仕切られる樹脂モールド域のうち、第1の樹脂モールド域46aに、ステータ冷却用水路76,76'(一方が入口で他方が出口)を形成し、第2の樹脂モールド域46bと第3の樹脂モールド域46cに、コイル42に給電する給電コネクタ52の取付穴を形成した。
【0048】
前記アウターロータ支持ベアリング80は、組み付け時に樹脂モールド部46と正面側連結ケース63との嵌め合い公差を内外輪80a,80b共に隙間嵌め70,71とし、前記アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aは、樹脂モールド部46の段差面46dに挿入嵌合し、他端面にシム72を配置して、モータケース2をボルト100にて締め付けることにより内輪80aを軸方向に固定している。
【0049】
次に、作用を説明する。
【0050】
[複軸多層モータの基本機能]
2ロータ・1ステータで、アウターロータ磁力線とインナーロータ磁力線との2つの磁力線が作られる複軸多層モータMを採用したことで、コイル42及び図外のコイルインバータを2つのインナーロータIRとアウターロータORに対し共用できる。そして、インナーロータIRに対する電流とアウターロータORに対する電流を重ね合わせた複合電流を1つのコイル42に印加することにより、2つのロータIR,ORをそれぞれ独立に制御することができる。つまり、外観的には、1つの複軸多層モータMであるが、モータ機能とジェネレータ機能の異種または同種の機能を組み合わせものとして使える。
【0051】
よって、例えば、ロータとステータを持つモータと、ロータとステータを持つジェネレータの2つのものを設ける場合に比べて大幅にコンパクトになり、スペース・コスト・重量の面で有利であると共に、コイル共用化により電流による損失(銅損,スイッチングロス)を防止することができる。
【0052】
また、複合電流制御のみで(モータ+ジェネレータ)の使い方に限らず、(モータ+モータ)や(ジェネレータ+ジェネレータ)の使い方も可能であるというように、高い選択自由度を持ち、例えば、第1実施例のように、ハイブリッド車の駆動源に採用した場合、これら多数の選択肢の中から車両状態に応じて最も効果的或いは効率的な組み合わせを選択することができる。
【0053】
[アウターロータ支持ベアリング取り付け作用]
組み付け時の常温では、アウターロータ支持ベアリング80の内外輪80a,80bは共に嵌め合い公差を隙間嵌め70,71としているため、アウターロータ支持ベアリング80の外輪80bの外周面に正面側連結ケース63を嵌合し、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aを、樹脂モールド部46の段差面46dに挿入嵌合し、内輪80aの他端面にシム72を配置し、この状態にてモータケース2をボルト100にて締め付けることによって組み付けることができる。
【0054】
そして、組み付け後のモータ運転時の高温状態では、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aよりも線膨張係数の大きな樹脂モールド部46が外径を大きくするように体膨張するため、アウターロータ支持ベアリング80の内外輪80a,80bは締まり嵌め状態で径方向に固定される。
【0055】
また、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aのうち樹脂モールド部46への嵌合面の他端面にシム72を配置し、モータケース2をボルト37にて締め付けることにより、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aは軸方向に固定される。
【0056】
このように、組み付け時の常温ではアウターロータ支持ベアリング80の内外輪80a,80bについて共に隙間嵌め70,71を確保したため、アウターロータ支持ベアリング80の組み付け作業性の向上を図ることができると共に、締まり嵌め公差の設定が難しい樹脂モールド部46に対する嵌合を可能にすることができる。
【0057】
次に、効果を説明する。
第1実施例の複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0058】
(1) ステータSを挟んで同心円状にインナーロータIRとアウターロータORとを配置し、アウターロータORを支持するアウターロータケース部材62,63,64を、モータカバー1及びモータケース2に支持する一対のアウターロータ支持ベアリング80,81を備えた複軸多層モータMにおいて、モータケース2に、ステータSの構成要素である樹脂モールド部46を固定し、一対のアウターロータ支持ベアリング80,81のうち、ステータシャフト48が貫通している側のアウターロータ支持ベアリング80の内輪80aを、樹脂モールド部46に対し支持し、かつ、樹脂モールド部46の線膨張係数を、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aの線膨張係数よりもが大きく設定したため、アウターロータ支持ベアリング80の組み付け作業性の向上を図ることができると共に、締まり嵌め公差の設定が難しい樹脂モールド部46に対する嵌合を可能にすることができる。
【0059】
(2) ステータシャフト48の一部は、外径方向に突出する径方向突出部48a,48b,48cとし、該径方向突出部48a,48b,48cの外周面は、アウターロータ支持ベアリング80の内輪支持面より低い面とし、かつ、この径方向突出部48a,48b,48cとモータケース2とをボルト37により固定したため、モーターケース2に対する円環状のステータSの支持強度を、ステータシャフト48により確保することができる。
【0060】
(3) 樹脂モールド部46には、コイル42が巻かれるステータSを冷却するためのステータ冷却用水路76を有するため、モータ運転時にアウターロータ支持ベアリング80を支持する樹脂モールド部46が締まり嵌め量を管理できない異常な高温となるのを防止することができる。
【0061】
(4) ステータシャフト48の径方向突出部として、外径3方向に突出する第1径方向突出部48aと第2径方向突出部48bと第3径方向突出部48cを形成し、周方向に隣接する3つの径方向突出部48a,48b,48cにより仕切られる樹脂モールド域のうち、第1の樹脂モールド域46aに、ステータ冷却用水路76,76'を形成し、第2の樹脂モールド域46bと第3の樹脂モールド域46cに、コイル42に給電する給電コネクタ52の取付穴を形成したため、3つの径方向突出部48a,48b,48cが給電コネクタ52へのステータ冷却水浸入を阻止し、漏電やショート等の電気的故障を確実に防止することができる。
【0062】
(5) アウターロータ支持ベアリング80は、組み付け時に樹脂モールド部46と正面側連結ケース63との嵌め合い公差を内外輪80a,80b共に隙間嵌め70,71とし、アウターロータ支持ベアリング80の内輪80aは、樹脂モールド部46の段差面46dに挿入嵌合し、他端面にシム72を配置して、モータケース2をボルト37にて締め付けることにより内輪80aを軸方向に固定したため、内輪80aのみを隙間嵌めとする場合に比べ、さらに組み付け作業性を向上させることができると共に、アウターロータ支持ベアリング80の軸方向固定性を確保することができる。
【0063】
以上、本発明の複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
例えば、第1実施例では、ハイブリッド駆動ユニットに適用される複軸多層モータの例を示したが、単独で設置される複軸多層モータや他のシステムに適用される複軸多層モータに対しても本発明のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を有する複軸多層モータが適用されたハイブリッド駆動ユニットを示す概略全体図である。
【図2】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造が適用された複軸多層モータMを示す縦断側面図である。
【図3】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造が適用された複軸多層モータMを示す一部縦断正面図である。
【図4】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造が適用された複軸多層モータMをステータの背面側から視た図である。
【図5】第1実施例の複軸多層モータが適用されたハイブリッド駆動ユニットのラビニョウ型複合遊星歯車列Gおよび駆動出力機構Dを示す縦断側面図である。
【図6】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造が適用された複軸多層モータMのステータを示す拡大縦断側面図である。
【図7】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を示す図6A−A線断面図である。
【図8】第1実施例のアウターロータ支持ベアリング取り付け構造を示す拡大断面図である。
【図9】複軸多層モータのステータコイルに印加する複合電流の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
M 複軸多層モータ
S ステータ
IR インナーロータ
OR アウターロータ
1 モータカバー(モータケース部材)
2 モータケース(モータケース部材)
33 ステータ冷却用水路
37 ボルト
38 取付穴
42 コイル
46 樹脂モールド部
46a 第1の樹脂モールド域
46b 第2の樹脂モールド域
46c 第3の樹脂モールド域
46d 段差面
48 ステータシャフト
48a 第1径方向突出部
48b 第2径方向突出部
48c 第3径方向突出部
52 給電コネクタ
62,63,64 アウターロータケース部材
63 正面側連結ケース
70,71 隙間嵌め
80,81 アウターロータ支持ベアリング
80a 内輪
80b 外輪
Claims (4)
- ステータを挟んで同心円状にインナーロータとアウターロータとを配置し、
前記アウターロータと一体回転するアウターロータケース部材を、モータケース部材に支持する一対のアウターロータ支持ベアリングを備えた複軸多層モータにおいて、
前記モータケース部材に、前記ステータの構成要素である樹脂モールド部を固定し、
前記一対のアウターロータ支持ベアリングのうち、ステータシャフトが貫通している側のアウターロータ支持ベアリングの内輪を、前記樹脂モールド部に対し支持し、
樹脂モールド部の線膨張係数を、アウターロータ支持ベアリングの内輪の線膨張係数よりもが大きく設定し、
前記樹脂モールド部の内周側にステータシャフトを有し、該ステータシャフトの一部を外径方向に突出する径方向突出部とし、
前記径方向突出部の外周面は、前記アウターロータ支持ベアリングの内輪支持面より低い面とし、かつ、この径方向突出部とモータケース部材とをボルトにより固定したことたことを特徴とする複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造。 - 請求項1に記載された複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造において、
前記樹脂モールド部には、コイルが巻かれるステータを冷却するためのステータ冷却用水路を有することを特徴とする複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造。 - 請求項1または2に記載された複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造において、
前記ステータシャフトの径方向突出部として、外径3方向に突出する第1径方向突出部と第2径方向突出部と第3径方向突出部を形成し、
前記周方向に隣接する3つの径方向突出部により仕切られる樹脂モールド域のうち、第1の樹脂モールド域に、ステータ冷却用水路を形成し、第2の樹脂モールド域と第3の樹脂モールド域に、ステータコイルに給電する給電コネクタの取付穴を形成したことを特徴とする複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造。 - 請求項1ないし3の何れか1項に記載された複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造において、
前記アウターロータ支持ベアリングは、組み付け時に樹脂モールド部とアウターロータケース部材との嵌め合い公差を内外輪共に隙間嵌めとし、
前記アウターロータ支持ベアリングの内輪は、樹脂モールド部の段差面に挿入嵌合し、他端面にシムを配置して、モータケース部材をボルトにて締め付けることにより内輪を軸方向に固定することを特徴とする複軸多層モータのアウターロータ支持ベアリング取り付け構造。
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