JP4081316B2 - 多層熱収縮性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱収縮性フィルムに関し、詳細には、自然収縮率が低く、低温収縮性及びインキ密着性に優れ、ラベル用として好適なポリスチレン系熱収縮性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ペットボトルのラベル用途では、より短時間且つ低温において優れた収縮仕上がり外観を与えると共に、自然収縮率の小さいフィルムが要求されるようになっている。これは、最近主流のラベリング工程である蒸気シュリンカーにおいて、内容物の温度による品質低下を回避するために、処理温度を低くすることが望まれているため、ラベルの収縮が低温で開始して、シュリンカー内で温度が上がるにつれて、徐々に収縮が進行することが、仕上がり外観を向上させるのに重要であるからである。また、自然収縮は、常温よりやや高い温度、例えば30℃、における収縮率であるが、この値が大きいと、夏場などにおいてフィルムが使用前に収縮してしまうため、好ましくない。
【0003】
熱収縮性フィルムの材質としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル系、ポリスチレン系が知られている。PVCは、機械強度、剛性、光学特性、収縮特性、および低コスト性に優れる。しかしながら、PVCは廃棄物処理の問題がある。
【0004】
ポリエステル系熱収縮性フィルムは、室温の剛性、いわゆる腰の強さが良好で、自然収縮率が小さい点で優れる。しかし、PVC系と比較すると、加熱収縮時に収縮斑やしわが発生しやすく、収縮仕上がり性に問題がある。
【0005】
ポリスチレン系熱収縮フィルムとしては、例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレン−ブチルアクリレート共重合体の混合物からなる単層の熱収縮性硬質フィルム、両外層がスチレンーブタジエンブロック共重合体とポリスチレンやスチレン−ブチルアクリレートとの混合物からなり、中間層がスチレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレン−ブチルアクリレート共重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合体水添物の混合物からなる積層構造を有する熱収縮性多層フィルムなどが知られている(特開2000−932、特開2000−6329、特開2000−94598、特開2000−238192)。
【0006】
これらのポリスチレン系フィルムは自然収縮率、低温収縮性、腰の強さ等にある程度の改善はみられるものの、伸び特性が主収縮方向とその直角方向ともに満足できるものではない。主収縮方向の伸び特性が不足すると、ラベル装着物が落下時にミシン目で破れる場合がある。また、主収縮方向と直角方向の伸び特性が不足すると、印刷工程やスリーブ加工工程等でのキレを生じるという問題がある。
【0007】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を主たる材料とするポリスチレン系熱収縮性フィルムが知られている。このポリスチレン系フィルムは、PVCフィルムに比べ、収縮仕上がり性は良好である。しかし、低温収縮性が充分ではない。ところが、これを大きくしようとすると、自然収縮率も大きくなり、スリーブ上に加工したラベル折り径が減少し、ラベルを容器に被覆できにくくなるという問題がある。また、印刷加工時にインキの密着性が悪く、印刷以後の工程でインキが落ちてしまうという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、低温収縮性が良く、自然収縮率が低く、及び、インキ密着性が良好な、ポリスチレン系熱収縮性フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、以下のものである。
少なくとも1層の中間層と両外層からなる多層熱収縮性ポリスチレン系フィルムにおいて、中間層が、
(a)40℃での貯蔵弾性率(E’)が2.0×10Pa以上であり、且つ、損失弾性率(E”)のピークが30℃〜80℃に1つ存在し、ブタジエン含有量が共重合体重量の10重量%以下であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体、
(b)0℃での貯蔵弾性率(E’)が1.0×10Pa以下であり、且つ、損失弾性率(E”)の低温側の少なくとも1つのピーク温度が−30℃以下であり、ブタジエン含有量が共重合体重量の20重量%以上30重量%以下であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体、及び
(c)ポリスチレン系樹脂、
からなり、(a)、(b)及び(c)の合計重量に基づき、(a)が50〜80重量%で、(b)が50〜20重量%で、及び(c)が0〜10重量%で含まれ、
両外層がスチレン−(メタ)アクリレート共重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合体の混合物からなることを特徴とする多層熱収縮性フィルム。
両外層が、(d)ブチルアクリレート含有量が共重合体重量の10〜30重量%であるスチレン−ブチルアクリレート共重合体、及び
(e)ブタジエン含有量が共重合体重量の少なくとも5重量%であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
からなり、(d)と(e)の合計重量に基き、(d)が20〜70重量%で、及び(e)が80〜30重量%で含まれる、多層熱収縮性フィルム。
フィルム総厚みに対する中間層の厚みの比率が70%以上であり、少なくとも1軸に延伸されており、及び、主収縮方向の熱収縮率(70℃の温水中に10秒間浸漬)が5%以上である、多層熱収縮性フィルム。
30℃環境下にて30日放置後の収縮率が2.0%以下である、多層熱収縮性フィルム。
主収縮方向の23℃における引張伸び率が60%以上であり、且つ、主収縮方向と垂直方向の0℃における引張伸び率が100%以上である多層熱収縮性フィルム。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルムにおいて、中間層は少なくとも1種のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を含む。該SBSとしては、非常に多くの種類のスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体が公知である。本発明においては、それらの任意の物を使用することができ、共重合組成比、分子量、ブロック共重合体の構造、各ブロック部分の構造、及び、ブタジエンのミクロ構造は特に限定されない。ブロック共重合体の構造としては、直線型、星型等がある。また、ブロック部分の構造としては、例えば完全対称ブロック、非対称ブロック、テトラブロック、テ−パ−ドブロック、ランダムブロック等がある。ブタジエンのミクロ構造としては、1,2構造、トランス−1,4構造及びシス−1,4構造がある。
【0011】
好ましくは、中間層は、以下に述べる特性を有する2種のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)と(b)の混合物からなる。ブロック共重合体(a)と(b)は、夫々単体でも2種類以上の共重合体の混合物であってもよい。
【0012】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)は、40℃での貯蔵弾性率(E’)が1.0×10Pa以上であり、好ましくは2.0×10Pa以上である。貯蔵弾性率(E’)が前記下限値未満では、常温における腰の強さが十分でなく、また自然収縮率が大きくなり好ましくない。
【0013】
さらに、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)は、損失弾性率(E”)のピークが30℃以上80℃以下に1つ存在する。該ピ−ク温度が前記下限値未満では、常温におけるフィルムの腰の強さが十分ではなく、また自然収縮率が大きくなる場合がある。一方、ピ−ク温度が前記上限値を超えると、低温での収縮性が充分発現できない場合がある。より好ましくは、該温度範囲は40℃以上80℃以下である。
【0014】
好ましくは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)は、そのブタジエン含有量が該共重合体重量の15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。 ブタジエン含有量が前記上限値を超えると、得られる多層フィルムの腰が十分でなくなる傾向がある。
【0015】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)は、0℃での貯蔵弾性率(E’)が1.0×10Pa以下、より好ましくは0.9×10Pa以下である。また、損失弾性率(E”)の少なくとも1つのピーク温度が−30℃以下、より好ましくは−40℃以下である。貯蔵弾性率が前記上限値を超える樹脂、又は、損失弾性率(E”)のピーク温度が前記上限値を超える温度域にのみ存在する樹脂では、フィルムの伸び特性が充分に付与されない場合がある。但し、このような樹脂でも、ブタジエンの量を増すことで0℃の伸び特性を所望範囲とすることができ得るが、フィルムの腰が不足する場合がある。
【0016】
好ましくは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)は、ブタジエン含有量が該共重合体重量の20重量%以上、より好ましくは25重量%以上である。ブタジエン含有量が前記下限値未満であると、主収縮方向及び/又はその直角方向の伸び特性が十分でなくなる傾向がある。
【0017】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体として、種々の屈折率、熱的性質等の特性を有するものが市販されている。これはスチレン−ブタジエンブロック共重合体が、主として溶液中におけるリビング重合によって重合されており、重合過程において、スチレンブロックとブタジエンブロック各々の添加量等を調整することによって、種々の組成比、構造、熱的特性を有するものを調製することが可能であるからである。例えば、損失弾性率に関しては、スチレン−ブタジエンピュアーブロック共重合体では、−90℃付近と110℃付近の2個所にそれぞれブタジエンブロック、スチレンブロックに起因する損失弾性率のピークが存在する。一方、各スチレンおよびブタジエンブロックにブタジエン成分およびスチレン成分を導入してランダムブロック共重合体とすると、−90℃付近のピークを高温側へ、110℃付近のピークを低温側へそれぞれシフトさせることができる。また、各ブロックの分子量、ブタジエンの1、4結合と1、2結合の量によっても、ピーク温度は変化する。貯蔵弾性率も、これらの量により変化する。このように、ブロックの共重合過程を調整することによって、損失弾性率2つのピークの位置、そのピークにおける貯蔵弾性率の低下度合いを調整し、所定の粘弾性特性を持つポリマーを合成することが可能である。
【0018】
スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体 (a)の調製方法の例を以下に示す。まず、スチレンの一部を仕込んで重合を完結させた後、スチレンモノマーとブタジエンモノマーの混合物を仕込んで重合反応を続行させる。このようにすると重合活性の高いブタジエンの方から優先的に重合し、2つのスチレンブロックの間に、スチレン・ブタジエンモノマー比が次第に変化するスチレン・ブタジエン共重合体部位をもつスチレン−ブタジエンブロック共重合体が得られる。この重合過程をスチレンとブタジエンの混合割合を変え複数回実施してもよい。得られるスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体では、ブタジエンブロックとスチレンブロックに起因する2つの損失弾性率のピークが確認できず、見かけ上一つのピークのみが存在するようになる。
【0019】
スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体(b)は、ピュアブロックもしくはランダムブロックとなるように重合させることによって調製される。その際、ブタジエンの組成比や、ブタジエンブロック内のスチレン組成比を調整することで、所望の特性を達成することができる。
【0020】
中間層には、さらに、ポリスチレン系樹脂(c)を混合してよい。このポリスチレン系樹脂としては、スチレンのみの重合体である一般ポリスチレン、又はゴム状弾性体を分散させた耐衝撃性ポリスチレンを用いてよい。また、このポリスチレン系樹脂は単独でもよいし、2種類以上の混合物を用いてもよい。
【0021】
中間層を構成する上記共重合体の比率は、(a)、(b) 及び(c)の合計に基づき、(a)が50〜80重量%、好ましくは53〜77重量%であり、 (b)が50〜20重量%、好ましくは47〜23重量%、(c)が0〜10重量%、好ましくは0〜7重量%、より好ましくは0〜5重量%である。 (a)の重量比が前記下限値未満、即ち、(b)が前記上限値を超えると、フィルムの腰の強さが不足し、また自然収縮率が大きくなる傾向がある。一方、(a)の重量比が前記上限値を超える、即ち(b) の重量比が前記下限値未満では、主収縮方向とその直角方向の各方向フィルムの伸び特性が十分でない場合がある。(c)を、(a)と(b)の組み合わせに応じて配合することによって、フィルムの腰を適切なものとすることができる。(c)の量が前記上限値を超えると、フィルムの伸び特性が不足する場合がある。
【0022】
本発明の熱収縮性フィルムにおいて、中間層は1層設けてもよいし、2層以上設けてもよい。好ましくは、フィルムの総厚みに対する中間層の厚さの比率は70%以上、より好ましくは80%以上である。前記下限値未満では主収縮方向に直角方向のフィルムの伸び特性が充分でない場合がある。
【0023】
本発明の多層熱収縮性フィルムの両外層は、(d)スチレン−ブチルアクリレート共重合体と(e)スチレン−ブタジエンブロック共重合体からなる。
【0024】
スチレン−ブチルアクリレート共重合体(d)は、ブチルアクリレート単位を該共重合体重量に基づき10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の範囲で含有するものが用いられる。ブチルアクリレート単位が前記下限値未満のものでは、低温収縮性及びインキ密着性が不足する場合がある。また、前記上限値を超えるものでは、原料同士がブロッキングを起こし、工業生産する上で支障になる場合がある。該スチレン−ブチルアクリレート共重合体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(e)は、ブタジエン含有量が該共重合体重量に基づき5重量%以上、好ましくは7重量%以上である。前記下限値未満の共重合体では、主収縮方向に直角方向の伸び特性が不足する場合がある。
【0026】
本発明多層熱収縮性フィルムの両外層を構成する上記成分の比率は、 (d)と(e)の合計重量に基づき(d)を20〜70重量%、(e)を80〜30重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは(d)を30〜60重量%、(e)を70〜40重量%の範囲とする。(d)が前記下限値未満ではフィルムの印刷加工時のインキ密着性が阻害される場合があり、一方、前記上限値を超えると主収縮方向に直角方向の充分なフィルムの伸び特性が不十分である傾向がある。
【0027】
また、本発明のフィルムは、本発明の目的を害しない範囲で他の樹脂や添加剤を添加してよい。他の樹脂としては、例えば上で述べたもの以外のポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンエラストマー、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合、エチレン−スチレン共重合、水添スチレン−ブタジエン共重合体等、をフィルムの透明性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0028】
上記樹脂組成からなる本発明の熱収縮性フィルムは、主収縮方向の70℃温水中での10秒間の熱収縮率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは7%以上である。該収縮率が5%未満であると、低温収縮性が不十分となる場合がある。
【0029】
好ましくは、本発明のフィルムは、30℃環境下にて30日後の収縮率が2.0%以下であり、より好ましくは1.5%以下である。
【0030】
好ましくは、本発明のフィルムは、主収縮方向の23℃における引張伸び率が60%以上、より好ましくは70%以上であり且つ主収縮方向と直角方向の0℃における引張伸び率が100%以上、より好ましくは120%以上である。主収縮方向の23℃における伸び率が前記下限値より低いと、PETボトルのラベル等に設けられたミシン目でラベル破袋を起こし易くなり、また、スリーブ加工時にできる折り目に引裂きの力が加わった場合に折り目に沿って破れ易くなる。主収縮方向と直角方向の0℃における伸び率が前記下限値よりも低いと、低温環境下の印刷、スリーブ加工等で、フィルム流れ方向に張力が加わるときに破断しやすくなる。
【0031】
本発明のフィルムは、例えば各層の樹脂を一軸、もしくは二軸(同方向、異方向)押出機によって押出しすることによって調製することができる。押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法等の既存の方法を採用してもよい。溶融押出された樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却された後、熱風、温水、赤外線等の適当な方法で再加熱され、ロール法、テンター法、チューブラ法等により、1軸または2軸に延伸される。
【0032】
延伸温度はフィルムを構成している樹脂の軟化温度や熱収縮性フィルムに要求される用途によって変えることができるが、概ね60〜130℃、好ましくは80〜120℃の範囲で制御される。主収縮方向の延伸倍率は、フィルム構成組成、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に応じて2〜7倍の範囲で適宜決定される。また、1軸延伸にするか2軸延伸にするかは目的の製品の用途によって決定される。また、延伸した後フィルムの分子配向が緩和しない時間内に速やかに、当フィルムの冷却を行うことも、収縮性を付与して保持する上で重要な技術である。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに説明する。なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。ここで、フィルムの主収縮方向をTD、その直角方向をMDとした。
1)熱収縮率
フィルムを、MD100mm、TD100mmの大きさに切り取り、70℃の温水バスに10秒間浸漬してTDの収縮量を測定した。測定された収縮量の収縮前の原寸に対する比率を、熱収縮率(%)とした。
2)自然収縮率
フィルムをTDに1000mmの間隔でけがき、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置後、けがき間の長さA(mm)を測定し、下記式より自然収縮率(%)を算出した。
自然収縮率(%)=(1000−A)/1000×100
3)腰の強さ
フィルムのMDの引張弾性率を測定し、その値を腰の強さの指標とした。測定方法は、MDに350mmの長さで5mm幅の試験片を切り出し、これをチャック間300mmで23℃の恒温室に設置した引張試験機にセットした。応力−歪曲線を引張速度5mm/分で求め、試験開始直後の直線部において、下記式より引張弾性率を求めた。
引張弾性率=直線上の2点間の元の平均断面積による応力差/同じ2点間の歪差4)引張伸び率
フィルムのTD、MDの夫々に幅15mm、長さ50mmで試験片を切り取り、その試験片をチャック間40mmで恒温槽付引張試験機にセットした。これを23℃において200mm/min.で、0℃において100mm/min.の試験速度で夫々引っ張り、下記式より引張伸び率を求めた。TDの伸び率は23℃で、MDの伸び率は0℃で各々求めた。
引張伸び率=[(破断した時のチャック間長さ−40(mm))/40(mm)]×100
5)インキ密着性
フィルムにグラビア校正機で30m/minの速度で印刷をし、印刷直後に印刷面にセロテ−プ(登録商標)(ニチバン(株)製エルパックLP−18)を貼り、セロテープ(登録商標)の上から指で5回こすった。その直後、セロテ−プ(登録商標)を一気に剥がし、インキがどれほど剥離したかを目視で観察した。評価は、全くインキの剥離しないものを5とし、完全に剥離するものを1とし、5段階評価した。
使用した校正機の版は80mm角ベタ版でヘリオ彫刻175Lを使用し、インキは大日精化工業(株)のOS-M65白で希釈溶剤はイソプロピルアルコ−ルを60%と酢酸エチルを40%混合したものを使用した。
6)粘弾性測定(貯蔵弾性率、損失弾性率)
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティ−計測制御(株)製)を用い、振動周波数10Hz、昇温速度1℃/分、測定温度−120℃から120℃の範囲で測定した。測定試験片は測定する樹脂を1mm程度の厚みに無配向の状態となるように熱プレスした板を用いた。
【0034】
各原料樹脂の特性を表1−1及び表1−2に、調製したフィルムの構成及び特性データを表2に夫々示す。
[実施例1]
中間層に表1中のSBS-3樹脂60wt%とSBS-6樹脂40wt%の混合樹脂を用い、両外層に表1中のSBS-3樹脂40wt%、SBS-6樹脂40wt%、及びSt-BA樹脂20wt%の混合樹脂を用いた。各混合樹脂を押出機で溶融し、中間層の厚みの割合が全厚みの75%となるようにTダイにて押出し、押出された溶融体をキャストロールで冷却して厚さ300μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に90℃で1.2倍延伸後、その直角方向(TD)に6倍延伸し、厚さ約50μmのフィルムを製作した。但し、延伸温度は熱収縮率が14%となるように設定した。
【0035】
[実施例2]
中間層の厚み割合が90%となるようにしたことを除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0036】
[実施例3]
中間層にSBS-3樹脂55wt%とSBS-5樹脂45wt%の混合樹脂を用い、両外層にSBS-3樹脂35wt%、SBS-5樹脂45wt%、及びSt-BA樹脂20wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0037】
[実施例4]
中間層にSBS-3樹脂55wt%とSBS-6樹脂40wt%とポリスチレン「HH102」(AandM社製)5wt%の混合樹脂を用い、両外層にSBS-3樹脂30wt%とSBS-6樹脂40wt%、及びSt-BA樹脂30wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0038】
[実施例5]
両外層にSBS-3樹脂50wt%、SBS-6樹脂40wt%、及びSt-BA樹脂10wt%の混合樹脂を用いたことを除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0039】
[実施例6]
中間層にSBS-3樹脂55wt%とSBS-6樹脂45wt%の混合樹脂を用い、両外層に表1中のSBS-3樹脂10wt%、SBS-6樹脂30wt%、及びSt-BA樹脂60wt%の混合樹脂を用い、中間層の割合が60%となるようにした点を除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0040】
参考例3
中間層にSBS−1樹脂45wt%とSBS−5樹脂55wt%の混合樹脂を用い、両外層に表1中のSBS−1樹脂10wt%、SBS−5樹脂55wt%、及びSt−BA樹脂35wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0041】
参考例4
中間層にSBS−1樹脂90wt%とSBS−6樹脂10wt%の混合樹脂を用い、両外層にSBS−1樹脂50wt%、SBS−6樹脂10wt%、及びSt−BA樹脂40wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0042】
参考例5
中間層に、SBS−1樹脂55wt%とSBS−6樹脂45wt%の混合樹脂を、両外層にSBS−6樹脂50wt%とSt−BA樹脂50wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0043】
参考例6
中間層にSBS−1樹脂50wt%とSBS−6樹脂35wt%、ポリスチレン「HH102」(AandM社製)15wt%の混合樹脂を用い、両外層にSBS−1樹脂25wt%、SBS−6樹脂35wt%、及びSt−BA樹脂40wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。得られたフィルムの特性デ−タを表2に示した。また評価結果を表3に示した。
【0044】
参考例7
中間層にSBS−2樹脂70wt%とSBS−7樹脂30wt%の混合樹脂を用い、両外層にSBS−2樹脂30wt%、SBS−5樹脂30wt%、及びSt−BA樹脂40wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例2と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0045】
[実施例
中間層に、SBS−3樹脂60wt%とSBS−6樹脂40wt%の混合樹脂を、両外層にSBS−5樹脂20wt%とSt−BA樹脂80wt%の混合樹脂を用いた点を除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0046】
[参考例1]
両外層にSt-BA樹脂を70wt%とポリスチレン「HH102」(AandM社製)30wt%の混合樹脂を用い、中間層の割合が75%となるようにしたことを除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0047】
[参考例2]
中間層及び両外層共に、SBS-3樹脂10wt%、SBS-6樹脂45wt%、及びSt-BA樹脂の混合樹脂を用いた点を除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【0048】
[比較例1]
中間層及び両外層共に、SBS−3樹脂55wt%、SBS−6樹脂45wt%を用いた点を除き、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。
【表1】
表1−1 用いたスチレン−ブタジエンブロック共重合体
Figure 0004081316
表1−2 用いたスチレン−ブチルアクリレ−ト共重合体
Figure 0004081316
【表2】
Figure 0004081316
Figure 0004081316
【0049】
【発明の効果】
表2から分かるように、本発明のフィルムはいずれも比較例フィルムに比べてインキ密着性に優れる。又、熱収縮性、自然収縮率なども含めて総合的に判断した特性も優れる。

Claims (5)

  1. 少なくとも1層の中間層と両外層からなる多層熱収縮性ポリスチレン系フィルムにおいて、中間層が、
    (a)40℃での貯蔵弾性率(E’)が2.0×10Pa以上であり、且つ、損失弾性率(E”)のピークが30℃〜80℃に1つ存在し、ブタジエン含有量が共重合体重量の10重量%以下であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体、
    (b)0℃での貯蔵弾性率(E’)が1.0×10Pa以下であり、且つ、損失弾性率(E”)の低温側の少なくとも1つのピーク温度が−30℃以下であり、ブタジエン含有量が共重合体重量の20重量%以上30重量%以下であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体、及び
    (c)ポリスチレン系樹脂、
    からなり、(a)、(b)及び(c)の合計重量に基づき、(a)が50〜80重量%で、(b)が50〜20重量%で、及び(c)が0〜10重量%で含まれ、
    両外層がスチレン−(メタ)アクリレート共重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合体の混合物からなることを特徴とする多層熱収縮性フィルム。
  2. 両外層が、
    (d)ブチルアクリレート含有量が共重合体重量の10〜30重量%であるスチレン−ブチルアクリレート共重合体、及び
    (e)ブタジエン含有量が共重合体重量の少なくとも5重量%であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
    からなり、(d)と(e)の合計重量に基き、(d)が20〜70重量%で、及び(e)が80〜30重量%で含まれることを特徴とする請求項1記載の多層熱収縮性フィルム。
  3. フィルム総厚みに対する中間層の厚みの比率が70%以上であり、少なくとも1軸に延伸されており、及び、主収縮方向の熱収縮率(70℃の温水中に10秒間浸漬)が5%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の多層熱収縮性フィルム。
  4. 30℃環境下にて30日放置後の収縮率が2.0%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の多層熱収縮性フィルム。
  5. 主収縮方向の23℃における引張伸び率が60%以上であり、且つ、主収縮方向と垂直方向の0℃における引張伸び率が100%以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の多層熱収縮性フィルム。
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