JP4081198B2 - 車両用遠隔操作装置のアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアンテナに係り、詳しくは、車両に配設される遠隔操作装置のアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車においては、その基本性能や安全性の向上はもとより、その操作性の向上が求められている。例えば、車両に設けられている諸装置を遠隔操作する車両用遠隔操作装置などはその代表例である。
【0003】
こうした車両用遠隔装置として、車両のドアロックを自動的に施錠・解錠するいわゆるスマートエントリ装置がある。このスマートエントリ装置は、通常、車両の所有者(運転者)が携帯する携帯機と、車両に搭載される送受信装置とを備えている。送受信装置からは、車両に配設されたアンテナを介して磁気信号からなるリクエスト信号が車両周辺の所定領域に出力されるようになっている。携帯機は、この領域内に入るとリクエスト信号に応答して送信信号を送信するようになっている。そして、送受信装置は、この送信信号を受信したときにドアロックを自動的に解錠し、この送信信号を受信できなくなったときにドアロックを自動的に施錠するようになっている。このため、運転者は、ドアロックを施錠・解錠するための特別な動作をする必要がなく、車両の操作性が向上することとなる。
【0004】
しかしながら、こうしたスマートエントリ装置においては、リクエスト信号として磁気信号を用いているため指向性が顕著にあらわれる。すなわち、リクエスト信号の出力領域内においても、アンテナに対する携帯機の向きや位置などによって、リクエスト信号の受信感度が異なる。このため、リクエスト信号の出力領域内に携帯機が位置していたとしても、場合によってはリクエスト信号を受信できなくなるといった不都合がある。
【0005】
こうした不都合に鑑みて、従来、例えば特開昭60−160228号公報に記載の車両用無線伝達装置が提案されている。同装置は、運転席側ドアミラーと運転席シートとに内装された2つのアンテナを備えている。そして、各アンテナからは、それぞれ重なり合う所定領域にリクエスト信号としての磁気信号が出力される。すなわち、各アンテナは、それぞれ所定領域に磁界を発生するようになっている。また、各アンテナは、各磁界が互いに直交するように配置されている。
【0006】
一方、片側のアンテナには、双方向性移相器が設けられている。この双方向性移相器は、定抵抗・全域透過型の移相器であり、入力側と出力側とで90゜の位相差が生じる構成となっている。このため、このアンテナから発生する磁界の位相は、他方のアンテナから発生する磁界の位相に対して90゜の位相差を持つこととなる。その結果、各磁界が直交する地点における合成磁界は、360゜の方向性を有する回転磁界となっている。このように回転磁界を発生させることにより、磁界の指向性に起因して携帯機がリクエスト信号を受信できなくなるといった不都合を解消している。すなわち、運転者がいかなる状態で携帯機を携帯していたとしても、携帯機は、各アンテナから発生される磁界の領域内に位置すれば、確実にリクエスト信号を受信することとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、こうした車両用遠隔操作装置を、スマートエントリ装置としての機能の他に、スマートイグニッション装置として機能させることも提案されている。スマートイグニッション装置とは、携帯機が車両室内に位置することを検知してエンジンの始動許可を行う装置である。このため、車両用遠隔操作装置をスマートイグニッション装置として機能させるためには、車両室内のみに磁界を発生させる必要がある。
【0008】
しかしながら、前記公報に記載の装置においては、各アンテナのうちの一つが運転席側ドアミラーに配設されている。このため、車両室内のみに磁界を発生させることは困難であり、こうしたスマートイグニッション装置として機能させることはできない。
【0009】
しかも、前記回転磁界は各アンテナから発生する磁界の交わる角度によってその磁界の発生領域が変化するため、各アンテナの取付精度を高く維持する必要がある。ところが、前記装置においては、各アンテナは別所に配設されているため、高精度に取付けることが困難である。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナから発生される磁界によって生成される回転磁界を車両室内のみに発生させるとともに、各アンテナから発生される磁界の交わる角度を高精度に維持することのできる車両用遠隔操作装置のアンテナを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、所定の領域に第1の磁界を発生する第1の磁界発生手段と、その第1の磁界の方向に対して所定の角度で交わる第2の磁界を発生する第2の磁界発生手段と、前記第2の磁界の位相を前記第1の磁界の位相に対して90゜移相させる移相手段とを備える車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、前記第1及び第2の磁界発生手段はともに一つの収容部材内に収容されて互いに近接した位置に設置され、その収容部材は、少なくとも運転席をカバーする車両室内の特定領域のみに前記第1及び第2の磁界からなる回転磁界を発生する車両室内における運転席側窓ガラスの窓枠の下端よりも車両下方に設置されることを要旨とする。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、前記収容部材は、運転席と助手席との間に設置され、運転席と助手席とをカバーする領域に前記第1及び第2の磁界を発生することを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、前記収容部材は、運転席側シート内に配置され、運転席と運転席側後部座席とをカバーする領域に前記第1及び第2の磁界を発生することを要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、前記収容部材は、車両室内の略中央部に配置され、車両室内全体に前記第1及び第2の磁界を発生することを要旨とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、前記第1及び第2の磁界発生手段は、前記収容部材の側壁に沿わせて収容されることを要旨とする。
【0016】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、第1及び第2の磁界は車両室内のみに発生する。このため、車両遠隔操作装置をスマートイグニッション装置として適用することができる。また、少なくとも運転席には第1及び第2の磁界からなる回転磁界が発生する。このため、携帯機を所持する運転者が運転席に着座した際に、携帯機がいかなる方向を向いていても、第1及び第2の磁界の指向性に起因して携帯機がリクエスト信号を受信できなくなるといった不都合が解消される。すなわち、運転者が運転席に着座すれば、携帯機は確実に第1及び第2の磁界を検知することとなる。
【0017】
しかも、第1及び第2の磁界発生手段は、一つの収容部材内に収容されている。このため、各磁界発生手段は互いに近接した位置に設置されることとなる。したがって、各磁界発生手段を収容部材内に収容する際に、それらの配置角度を設定しやすくなる。その結果、各磁界発生手段の高精度な配置を容易に行うことができるようになる。
【0018】
また、運転席側窓ガラスの窓枠の下端よりも車両下方に収容部材を設置するようにしている。車両のボディは一般に金属製であるため、磁界が外部へ出力されるのを遮る働きをする。このため、窓枠の下端よりも車両下方に収容部材を設置することによって、第1及び第2の磁界が車両外部に出力しにくくなる。したがって、第1及び第2の磁界を車両室内のみにより確実に発生させることができるようになる。
【0019】
請求項2に記載の発明によると、収容部材を運転席と助手席との間に設置して、運転席と助手席とをカバーする領域に第1及び第2の磁界を発生させるようにしている。これにより、携帯機が助手席に位置する場合であっても磁界を検知させることができる。このため、車両遠隔操作装置としての使い勝手が向上する。
【0020】
請求項3に記載の発明によると、収容部材を運転席側シート内に配置して、運転席と運転席側後部座席とをカバーする領域に第1及び第2の磁界を発生させるようにしている。これにより、携帯機が後部座席の運転席側に位置する場合であっても磁界を検知させることができる。このため、車両遠隔操作装置としての使い勝手が向上する。
【0021】
請求項4に記載の発明によると、収容部材を車両室内の略中央部に配置して、車両室内全体に第1及び第2の磁界を発生させるようにしている。これにより、携帯機が車両室内のどの位置にあっても磁界を検知させることができる。すなわち、運転者が携帯機を車両室内のどの位置に置いても、車両遠隔操作装置を動作させることができるようになる。このため、車両遠隔操作装置としての使い勝手が向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図7に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1に示すように、車両用遠隔操作装置1は、車両内に搭載される送受信装置2と、車両の所有者(運転者)に所持される携帯機3とを備えている。
送受信装置2は、マイクロコンピュータ(マイコン)4、リクエスト信号を出力するアンテナ5、受信回路6、及び受信アンテナ7を備えている。アンテナ5は、マイコン5から出力される制御信号に基づいてリクエスト信号を出力するリクエスト信号出力回路8と、そのリクエスト信号を磁気信号として出力する磁界発生手段としての磁界発生部9とから構成されている。なお、磁界発生部9は、第1及び第2の磁界発生部9a,9bから構成されている。
【0024】
一方、携帯機3は、マイコン10、受信回路11、受信アンテナ12、送信回路13、及び送信アンテナ14を備えている。
このように構成された車両用遠隔操作装置1においては、まず、アンテナ5からリクエスト信号が出力される。このリクエスト信号は、所定領域に発生される磁界であり、各磁界発生部9a,9bから間欠的に発生されるようになっている。そして、携帯機3がこの磁界内に入ると、携帯機3の受信アンテナ12によって磁界が検知され、受信回路11からマイコン10に受信信号が出力される。マイコン10は、この受信信号を受けて所定のIDコードを含む送信信号を送信回路13、送信アンテナ14を介して送受信装置2に出力するようになっている。この送信信号は、送受信装置2の受信アンテナ7によって受信され、受信回路6によってA/D変換された後にマイコン4に入力される。マイコン4は、送信信号に含まれるIDコードが予め設定されたIDコードと一致した際に、この送信信号に基づいて、各種アクチュエータを駆動制御するようになっている。
【0025】
このため、運転者は、携帯機3を所持した状態でリクエスト信号の出力領域(磁界の発生領域)内に入ることで、各種アクチュエータを駆動させることができる。すなわち、アクチュエータを駆動させるための特別な操作をする必要がない。したがって、車両の操作性が向上することとなる。
【0026】
ところで、こうした車両用遠隔操作装置1においては、図3に示すように、前記アンテナ5が収容部材としてのアンテナケース15内に収容されている。アンテナケース15は、例えば合成樹脂等の非金属材料によって形成された略直方体状をなしている。
【0027】
アンテナケース15内には、後記する前記リクエスト信号出力回路8を構成する種々の部品を搭載したプリント配線板8aが収容されている。前記第1及び第2の磁界発生部9a,9bは、ともにフェライト等の透磁率の高い部材を芯材としたコイルによって構成されている。
【0028】
各磁界発生部9a,9bは、アンテナケース15の各側壁15a,15bに沿わせた状態で、プリント配線板8aと各側壁15a,15bとの間に収容されている。ここで、各磁界発生部9a,9bの各芯材の軸線が交わる角度θは90゜となっている。すなわち、アンテナケース15は略直方体状をなしているため、各磁界発生部9a,9bを各壁部15a,15bに沿わせた状態で収容すると、角度θは90゜となる。前述したように、リクエスト信号出力回路8は、90゜の位相差を有する各磁界を各磁界発生部9a,9bから発生させるようになっている。したがって、各磁界の合成磁界は、360゜の方向性を有する回転磁界となる。その結果、前記携帯機3がこの回転磁界内、すなわちリクエスト信号の出力領域に位置していれば、携帯機3が磁界の指向性に起因してリクエスト信号を受信できなくなるといった不都合が解消されることとなる。
【0029】
このようにアンテナ5を収容したアンテナケース15は、図2に示すように、車両21の車両室内22内において、運転席23と助手席25との間に設けられたコンソールボックス26内に設置されている。そして、同図に破線で示すように、車両室内22において運転席23と助手席25とをカバーする領域に、第1及び第2の磁界による回転磁界が発生するようになっている。また、図3に示すように、アンテナケース15は、車両21における窓24の窓枠24aの下端よりも下方に設置されている。そして、同図に破線で示すように、車両21内の領域に回転磁界が発生するようになっている。すなわち、第1及び第2の磁界発生部9a,9bは、車両21の外部にまで出力しない程度の強さの第1及び第2の磁界を出力するように設定されている。また、アンテナケース15は、こうした回転磁界が運転席23と助手席25とをカバーする領域に発生する場所に設置されている。なお、車両室内22とは、車両ドアの片側の内壁から対向する内壁の間を指し、車両ドアの内部は含まないものとする。
【0030】
したがって、携帯機3は、運転席23または助手席25に位置するときにリクエスト信号を受信できるようになる。なお、アンテナケース15は、図示しない種々の金属部品から所定距離だけ離間した状態で設置されている。すなわち、アンテナケース15は、図3に示した窓枠24aの下方において、車両21の下方に位置する図示しない金属底板等よりも5〜10センチ程度以上の上方に設置されている。
【0031】
次に、こうしたアンテナ5の電気的構成及び動作について、図5に従って詳細に説明する。
アンテナ5を構成するリクエスト信号出力回路8は、水晶発振器31、信号出力手段としての発振回路32、ディジタル移相手段としてのD型フリップフロップ33、第1及び第2の増幅回路34,35、変調回路36を備えている。
【0032】
水晶発振器31は、発振回路32に接続されている。発振回路32は2つの出力端子Q1,Q2を有し、水晶発振器31から出力された所定の周波数の正弦波信号をパルス信号に変換して各出力端子Q1,Q2から出力する回路である。出力端子Q1からは、原発振周波数(水晶発振器31から出力された正弦波信号の周波数)の分周値となる周波数を有する第1のパルス信号が出力されるようになっている。また、出力端子Q2からは、第1のパルス信号の倍の周波数を有する第2のパルス信号が出力されるようになっている。そして、これら第1及び第2のパルス信号は同期して出力される。すなわち、例えば、第1のパルス信号の周波数が原発振周波数の1/4分周値であれば、第2のパルス信号の周波数は原発振周波数の1/2分周値となる。こうした出力端子Q1はフリップフロップ33のD入力端子及び第1の増幅回路34の入力端子に接続され、出力端子Q2はD型フリップフロップ33のクロック端子に接続されている。
【0033】
D型フリップフロップ33は、ネガティブエッジトリガ形のフリップフロップであり、前記第1及び第2のパルス信号に基づいて動作する。すなわち、その動作を図6にタイムチャートで示すように、出力Qは、クロックの立ち下がり毎に反転するパルス波形となる。このため、出力端子Qからは、前記出力端子Q1から出力されるパルス信号に対して90゜の位相差を有する同一周波数のパルス信号が出力されることとなる。すなわち、フリップフロップ33の出力Qからは、第1のパルス信号を90゜移相した移相パルス信号が出力されることとなる。そして、この出力端子Qは、第2の増幅回路35の入力端子に接続されている。したがって、第1の増幅回路34に入力されるパルス信号と、第2の増幅回路35に入力されるパルス信号とでは、相対的に90゜の位相差を有することとなる。換言すれば、D型フリップフロップ33を用いることで、第2の増幅回路35へ入力されるパルス信号の位相を、第1の増幅回路34へ入力されるパルス信号の位相に対して90゜移相させている。すなわち、フリップフロップ33によって、ディジタル的に90゜移相させている。
【0034】
第1の増幅回路34の出力端子は第1の磁界発生部9aの一端に接続され、同磁界発生部9aの他端はコンデンサC1を介して接地されている。また、第2の増幅回路35の出力端子は第2の磁界発生部9bの一端に接続され、同磁界発生部9bの他端はコンデンサC2を介して接地されている。さらに、各増幅回路34,35には変調回路36の出力端子が接続されている。変調回路36の入力端子には、マイコン4の出力端子が接続されている。
【0035】
第1及び第2の増幅回路34,35は、それぞれ入力された前記各パルス信号を増幅するとともに、そのパルス信号を変調回路36からの制御信号に基づいて駆動信号D1,D2を出力する。変調回路36は、その入力端子が前記マイコン4に接続され、出力端子が第1及び第2の増幅回路34,35に接続されている。そして、マイコン4からの入力信号に基づいて、増幅回路34,35に制御信号を出力する。この制御信号は、図7に示すように、所定時間T1毎に所定時間T2間だけHレベルの信号を出力するようになっている。そして、前記各増幅回路34,35は、この制御信号がHレベルの間に前記駆動信号D1,D2を出力するようになっている。このため、各増幅回路34,35からは、所定時間T1毎に所定時間T2間だけ各パルス信号を出力されることとなる。そして、各磁界発生部9a,9bは、これらの増幅回路34,35から出力された各駆動信号D1,D2に基づいて磁界を発生する。したがって、第1及び第2の磁界発生部9a,9bからは、90゜の位相差を有する磁界が間欠的に発生されることとなる。
【0036】
すなわち、D型フリップフロップ33を用いることにより、第2の磁界発生部9bから発生される磁界の位相が、第1の磁界発生部9aから発生される磁界の位相に対してディジタル的に90゜移相される。
【0037】
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)車両室内22内において、運転席23と助手席25との間に設けられたコンソールボックス26内にアンテナケース15を設置することで、第1及び第2の磁界を車両室内22内のみに発生させることができる。このため、車両遠隔操作装置1をスマートイグニッション装置として適用することができる。また、第1及び第2の磁界は回転磁界となって運転席23をカバーする領域に発生する。このため、携帯機3を所持する運転者が運転席に着座した際に、携帯機3は、いかなる方向を向いていても磁界を検知することができる。すなわち、第1及び第2の磁界の指向性に起因して携帯機3が磁界を検知できなくなる(リクエスト信号を受信できなくなる)といった不都合を解消することができる。
【0038】
しかも、第1及び第2の磁界発生部9a,9bは、一つのアンテナケース15内に収容されている。このため、各磁界発生部9a,9bは近接した位置に設置されることとなる。したがって、各磁界発生部9a,9bをアンテナケース15内に収容する際に、それらの配置角度を設定しやすくなる。その結果、各磁界発生部9a,9bの高精度な配置を容易に行うことができる。
【0039】
さらに、各磁界発生部9a,9bをアンテナケース15の各側壁15a,15bに沿わせて収容することによって、各磁界発生部9a,9bの芯材の軸線が交わる角度を90゜に設定している。このため、これら各側壁15a,15bがなす角度を所望の角度に高精度に設定することにより、各磁界発生部9a,9bの芯材の軸線が交わる角度を所望の角度に設定することができる。したがって、各磁界発生部9a,9bの高精度な配置をより容易に行うことができる。
【0040】
(2)アンテナケース15は、窓24の窓枠24aの下端よりも下方に設置されている。一般に、車両21のボディは金属製であるため、磁界が外部へ出力されるのを遮る働きをする。このため、窓枠24aの下端よりも下方にアンテナケース15を設置することによって、第1及び第2の磁界が車両21の外部に出力してしまうことが抑制される。したがって、第1及び第2の磁界を車両室内22のみにより確実に発生させることができる。その結果、車両用遠隔操作装置1をスマートイグニッション装置としてより好適に適用することができる。
【0041】
(3)車両室内22内において、運転席23と助手席25との間に設けられたコンソールボックス26内にアンテナケース15を設置することで、第1及び第2の磁界を運転席23及び助手席25をカバーする領域に発生させることができる。このため、例えば携帯機3を鞄等に入れておき、運転者が運転席23に着座してその鞄等を助手席25に置いた場合においても携帯機3は磁界を検知することができる。このため、こうした運転者の行いうる行為にも対応させることができ、車両遠隔操作装置1としての使い勝手を向上させることができる。
【0042】
(4)D型フリップフロップ33を用いることにより、第2の磁界の位相を第1の磁界の位相に対してディジタル的に90゜移相させることができる。このため、アナログ的に磁界を移相させる前記従来の双方向性移相器とは異なり、温度変化等に起因する移相角度のバラツキを確実に防止することができる。したがって、第1の磁界と第2の磁界との合成磁界を確実に回転磁界として維持することができ、アンテナ5の信頼性を向上させることができる。
【0043】
(5)前述した従来の双方向性移相器は、LC共振回路によって構成されており、コイルとコンデンサとを共振させて磁界を発生させている。こうした構成によって磁界を発生させるためには、移相器に50ボルト以上の高電圧を付与する必要がある。このため、移相器を設計する際には、高い耐電圧性を確保する必要がある。しかも、この移相器においては、熱損失などの損失も大きいという不都合もある。これに対して、D型フリップフロップ33はディジタルICであるため、こうした不都合を解消することができる。
【0044】
(6)ディジタル的に90゜移相を行うことにより、回路構成を簡単化することができる。すなわち、ノイズや使用環境などに影響され難いため、設計が容易となる。
【0045】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前述した回転磁界の発生領域は、第1及び第2の磁界発生部9a,9bの芯材の軸線が交わる角度によって種々の形状となるため、こうした角度の変更によって所望の領域に回転磁界を発生させることが可能となる。そこで、図8に示すように、アンテナケース15を運転席23の背もたれ23a内に設置する。そして、前記第1及び第2の磁界発生部9a,9bの芯材の軸線が交わる角度を、同図に破線で示す領域に回転磁界が発生する角度に変更する。すなわち、該角度を、運転席23と後部座席27の運転席側とをカバーする領域に回転磁界を発生させるようにする。前記角度の変更に際しては、第1及び第2の磁界発生部9a,9bを収容したときに所望の角度となるようにアンテナケース15の形状を予め変更する。
【0046】
このようにすれば、例えば携帯機3を鞄等に入れておき、運転者が運転席23に着座してその鞄等を後部座席27の運転席側に置いた場合においても、携帯機3は磁界を検知することができる。このため、こうした運転者の行いうる行為にも対応させることができ、車両遠隔操作装置1としての使い勝手を向上させることができる。
【0047】
・ 図9に示すように、アンテナケース15を車両室内22の略中央部分に設置する。そして、前記第1及び第2の磁界発生部9a,9bの芯材の軸線が交わる角度を、同図に破線で示すように、車両室内22のほぼ全体をカバーする領域に回転磁界を発生させるようにする。
【0048】
このようにすれば、携帯機3が車両室内22のどの位置にあっても磁界を検知させることができる。このため、こうした運転者の行いうる行為にも対応させることができ、車両遠隔操作装置1としての使い勝手を向上させることができる。
【0049】
・ 図10に示すように、アンテナケース15を運転席23の座部23b内に設置する。そして、同図に破線で示すように、運転席23のみをカバーする領域に回転磁界を発生させるようにする。このようにすれば、運転者が運転席23に着座した際に、携帯機3がいかなる向きに位置していても磁界を検知させることができる。しかも、アンテナケース15は運転席23の座部23bに収容されているため、小出力で磁界を発生させることによって運転席23をカバーする領域に磁界を発生させることができる。すなわち、電力消費量を低減させることができる。
【0054】
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 前記収容部材は、運転席内に配置され、運転席をカバーする領域に前記第1及び第2の磁界を発生する。
【0055】
この技術的思想(1)に記載の発明によれば、運転者が運転席に着座した際に、携帯機がいかなる向きに位置していても磁界を検知させることができる。しかも、収容部材は運転席内に収容されているため、小出力で磁界を発生させることによって運転席をカバーする領域に磁界を発生させることができる。すなわち、電力消費量を低減させることができる。
【0056】
(2) 前記収容部材は、非金属材料からなる。
【0057】
この技術的思想(2)に記載の発明によれば、磁界が収容部材に遮られることがないため、所定の領域に充分に磁界を発生させることができる。
(3) 前記第1及び第2の磁界発生手段は、透磁率の高い芯材に巻回されたコイルである。
【0058】
この技術的思想(3)に記載の発明によれば、空芯コイルに比べて小さなコイルを用いても、広い領域に磁界を発生させることができる。すなわち、コイルをコンパクト化することができる。
【0059】
(4) 前記第1及び第2の磁界発生手段は、前記収容部材内において互いの前記芯材の軸線が直交するように収容される。
【0060】
この技術的思想(4)に記載の発明によれば、収容部材を中心とするほぼ真円に近い領域に磁界を発生させることができる。
(5) 前記移相手段は、前記第2の磁界の位相をディジタル的に移相する。
【0061】
この技術的思想(5)に記載の発明によれば、温度変化等に起因する移相角度のバラツキが防止される。このため、アナログ的に磁界を移相させる場合に比べて、アンテナの信頼性を向上させることができる。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述したように、各請求項に記載の発明によれば、第1及び第2の磁界発生手段から発生される第1及び第2の磁界によって生成される回転磁界を車両室内のみに発生させることができる。それとともに、各磁界の交わる角度を高精度に維持することができる。
【0063】
また、第1及び第2の磁界を車両室内のみにより確実に発生させることができる。
請求項2〜4に記載の発明によれば、車両遠隔操作装置としての使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンテナを備えた一実施形態の車両用遠隔操作装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の車両用遠隔操作装置を搭載した車両の平面図。
【図3】図2のA−A線断面において、同実施形態の磁界の発生領域を示す断面図。
【図4】同実施形態のアンテナにおいて、第1及び第2の磁界発生部の配置位置を示す平面図。
【図5】同実施形態のアンテナの電気的構成を示すブロック図。
【図6】同実施形態のアンテナを構成するD型フリップフロップの動作を示すタイムチャート。
【図7】同実施形態のリクエスト信号の出力間隔を示すタイムチャート。
【図8】本発明のアンテナを搭載した車両の他の実施形態を示す平面図。
【図9】本発明のアンテナを搭載した車両の他の実施形態を示す平面図。
【図10】本発明のアンテナを搭載した車両の他の実施形態を示す平面図。
【符号の説明】
1…車両用遠隔操作装置、2…送受信装置、3…携帯機、5…アンテナ、8…リクエスト信号出力回路、9…磁界発生手段としての磁界発生部、9a…第1の磁界発生部、9b…第2の磁界発生部、15…収容部材としてのアンテナケース、21…車両、22…車両室内、23…運転席、23a…背もたれ、23b…座部、24…窓、24a…窓枠、25…助手席、26…コンソールボックス、27…後部座席、32…発振回路、33…D型フリップフロップ、36…変調回路、41…切替回路。
Claims (5)
- 所定の領域に第1の磁界を発生する第1の磁界発生手段と、その第1の磁界の方向に対して所定の角度で交わる第2の磁界を発生する第2の磁界発生手段と、前記第2の磁界の位相を前記第1の磁界の位相に対して90゜移相させる移相手段とを備える車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、
前記第1及び第2の磁界発生手段はともに一つの収容部材内に収容されて互いに近接した位置に設置され、
その収容部材は、少なくとも運転席をカバーする車両室内の特定領域のみに前記第1及び第2の磁界からなる回転磁界を発生する車両室内における運転席側窓ガラスの窓枠の下端よりも車両下方に設置されることを特徴とする車両用遠隔操作装置のアンテナ。 - 請求項1に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、
前記収容部材は、運転席と助手席との間に設置され、運転席と助手席とをカバーする領域に前記第1及び第2の磁界を発生することを特徴とする車両用遠隔操作装置のアンテナ。 - 請求項1に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、
前記収容部材は、運転席側シート内に配置され、運転席と運転席側後部座席とをカバーする領域に前記第1及び第2の磁界を発生することを特徴とする車両用遠隔操作装置のアンテナ。 - 請求項1に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、
前記収容部材は、車両室内の略中央部に配置され、車両室内全体に前記第1及び第2の磁界を発生することを特徴とする車両用遠隔操作装置のアンテナ。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用遠隔操作装置のアンテナにおいて、
前記第1及び第2の磁界発生手段は、前記収容部材の側壁に沿わせて収容されることを特徴とする車両用遠隔操作装置のアンテナ。
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