JP4080832B2 - 原子力プラントの遠隔試験装置およびその試験方法 - Google Patents

原子力プラントの遠隔試験装置およびその試験方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラントの監視および制御をデジタル信号により行なうデジタル制御装置およびデジタル計算機(以下、単に「計算機」という。)において、プラントのプロセス値を計測する検出器よりデジタル制御装置および計算機へ入力、またはデジタル制御装置および計算機より現場機器に対して出力される回路の健全性ならびに精度を確認するループ試験で用いるプラント遠隔試験装置とその試験方法に関する。
【0002】
また、同様に接点入力信号のデジタル制御装置および計算機への入力動作を確認するデジタル入力試験、およびデジタル制御装置および計算機からの接点出力動作を確認するデジタル出力試験で用いるプラント遠隔試験装置とその試験方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
デジタル信号でプラントの制御を行なうデジタル制御装置ならびに計算機では、流量、圧力等のアナログ信号を入力する必要がある。この際、流量、圧力等のアナログプロセス値は検出器で電圧/電流等のアナログ入力信号へ変換された後、デジタル制御装置のアナログ入力基板によってアナログ信号レベルに応じたデジタル信号に変換(A/D変換)され、ロジック処理に用いられる。
また、ポンプの起動/停止、弁の開/閉、流量、圧力スイッチのオン/オフなどの信号も同様に入力され、ロジック処理に用いられる。
【0004】
一方、デジタル制御装置ならびに計算機では、運転員に対してプラントの状態情報を提供するため、指示計、ディスプレイ(タッチパネルを含む)等マンマシンインターフェイスへアナログ信号を出力する必要がある。この際、制御用のデジタル値はデジタル制御装置のアナログ出力基板によってデジタル値に応じた電圧/電流等のアナログ出力信号に変換(D/A変換)され、指示計、ディスプレイ(タッチパネルを含む)への指示に用いられる。
また、指示計、ディスプレイ(タッチパネルを含む)等のアナログ的な制御以外では、ポンプの起動/停止、弁の開/閉など指令を接点信号の形で出力する。
【0005】
デジタル制御装置ならびに計算機を含むプラント制御装置は、その試験項目として、流量、圧力等の検出器からディジタル制御装置、ならびに計算機を経由して指示計、ディスプレイ(タッチパネルを含む)へ出力される計装回路のループ精度が判定値以内であることを確認する計装ループ試験、ポンプの起動/停止、弁の開/閉、流量、圧力スイッチのオン/オフ状態の接点信号の読み込み動作を確認するデジタル入力試験、およびポンプの起動/停止、弁の開/閉指令等の接点信号の出力動作を確認するデジタル出力試験がある。
【0006】
デジタル制御装置ならびに計算機を含むプラント制御装置の試験においては、デジタル信号への変換精度およびロジック処理の健全性評価のため、デジタル制御装置ならびに計算機の内部ロジックにて当該デジタル信号をモニタする必要がある。デジタル信号のモニタにおいては、デジタル制御装置ならびに計算機の設置場所にそれそれ人員を配置し、機器とのインターフェイス機能を有した保守装置より当該デジタル信号を要求・表示している。
【0007】
なお、プラントの中央制御装置と現場制御装置の遠隔試験装置とその試験方法に関する公知文献として、特許文献1がある。これは、原子炉の制御棒操作監視制御システムに関するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−237490号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
デジタル制御装置ならびに計算機を含むプラント制御装置の計装ループ試験を行なう場合、プラント各所に分散して設置された検出器、デジタル制御装置、計算機、指示計(またはCRT(陰極線管)、タッチパネル等)の入出力値を確認するため、各機器の設置場所にそれぞれ試験員を配置する必要がある。
【0010】
また、同様にポンプ、弁、計装スイッチ等現場機器との取り合い試験を行なう場合も、それぞれの機器の設置場所に試験員を配置する必要がある。従来の試験方法では、1回路の試験に少なくとも4〜5名の試験員を配置しなければならず、複数系統の試験が平行して行なわれる大規模プラントにおいては、試験員の増大といった課題がある。
【0011】
本発明は、デジタル制御装置ならびに計算機を含むプラント制御装置の計装ループ試験を行なう場合に、その試験に必要な試験員の人数を減らし、効率よく作業できるような原子力プラントの遠隔試験装置および遠隔試験方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するものであって、一つの態様では、原子力プラントの監視および制御をデジタル信号により行なうデジタル制御装置および計算機を用いる原子力プラントの計装ループ試験を行うための遠隔試験装置において、前記遠隔試験装置はデジタル制御装置および計算機内部ロジックの任意のデジタル信号値を読み出し試験用LANに伝送するためのインターフェイス装置と、プラント内の任意の位置に配置され前記試験用無線LANの信号の送受信及び表示をおこなう携帯型の端末装置とを具備するとともに、前記携帯型の端末装置に試験対象機器のアドレスを入力し、前記デジタル制御装置および計算機は前記アドレスに相当する内部ロジックのデジタル信号値を前記端末装置に伝送、表示することにより、原子力プラントのプロセス値を計測する検出器よりデジタル制御装置および計算機へ入力される回路及びデジタル制御装置および計算機より現場機器に対して出力される計装回路の健全性ならびに精度を確認する計装ループ試験を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明のもう一つの態様では、原子力プラントの監視および制御をデジタル信号により行なうデジタル制御装置および計算機を用いる原子力プラントの計装ループ試験を行うための遠隔試験方法において、前記遠隔試験方法は、携帯型の端末装置に試験対象機器のアドレスを入力し、前記デジタル制御装置および計算機は前記アドレスに相当する内部ロジックの任意のデジタル信号値をインターフェイス装置により試験用LANに伝送し、プラント内の任意の位置に配置された前記携帯型の端末装置に前記試験用LANから伝送された前記デジタル信号値を表示させることにより、原子力プラントのプロセス値を計測する検出器よりデジタル制御装置および計算機へ入力される回路及びデジタル制御装置および計算機より現場機器に対して出力される計装回路の健全性ならびに精度を確認する計装ループ試験をおこなうことを特徴とする。
【0018】
本発明のもう一つの態様では、プラントの監視および制御をデジタル信号により行なうデジタル制御装置および計算機を用いる遠隔試験方法において、プラントのプロセス値を計測する検出器よりデジタル制御装置および計算機へ入力される回路またはデジタル制御装置および計算機より現場機器に対して出力される回路の健全性ならびに精度を確認するループ試験に際し、デジタル制御装置および計算機に備えられた保守用インターフェイスを使用することで、プラント制御応答速度を要求されるロジックに対し、影響を与えることなくデジタル制御装置および計算機内部ロジックの任意のデジタル信号値を読み出し、試験用LANに伝送することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を、図1を参照して説明する。図1は計装ループ試験の一実施の形態の構成図である。プラント遠隔試験装置5は中央制御室と現場にまたがって配置されており、試験用LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)4が設置されている。プラント遠隔試験装置5の中央制御室側に、無線アンテナ(固定局)2およびインターフェイス(I/F)装置3が配置され、これらは試験用LAN4に接続されている。
【0020】
デジタル制御装置8aおよび計算機8bと、試験用LAN4とを保守用インターフェイスによりインターフェイス装置3を介して接続し、内部ロジックのデジタル信号を試験用LAN4に伝送する。試験用LAN4上のデジタル信号は、無線アンテナ(固定局)2または有線により端末装置1に伝送される。端末装置1は指示計10または検出器9に配置される試験員が携帯し、デジタル値表示を確認する。
【0021】
これにより、従来の試験員配置6では検出器9、デジタル制御装置8a、計算機8b、指示計10にそれぞれ配置していた試験員6、7(計4名)が、検出器9および指示計10のみ(計2名)で試験可能となる。
【0022】
この第1の実施の形態の試験方法では、デジタル信号値を、無線または有線の端末装置1の入力装置より、試験対象のアドレスを要求することで、遠隔試験装置5によって、要求されたアドレスに相当するデジタル制御装置8aおよび計算機8b内部ロジックのデジタル信号値を試験用LAN4を介して、プラントの任意の場所に設置した無線または有線の端末装置1に伝送し表示することができる。
【0023】
この際、検出器9または指示計10に配置された試験員7が端末装置1を携帯することにより、従来デジタル制御装置8aおよび計算機8bの設置場所に配置されていた試験員6が不要となる。計測器の操作等、試験員の両手が塞がった状態においても、音声入力装置(図示せず)により試験を進めることもできる。
【0024】
無線による伝送を用いる場合は、現場等、試験用LAN4のケーブル布設の困難な状況においても、容易に試験用LAN4が構築可能である。ただし、原子力プラント等ノイズによる影響が懸念される場合または無線電波の届かない場所においては、有線により試験を行なうこととしてもよい。
【0025】
また、デジタル制御装置8aおよび計算機8b側において、取り合いの追加、変更または削除が発生した場合、端末装置1に内蔵された、任意のデジタル制御装置8aおよび計算機8bへアクセスする際に必要な内部ロジックのアドレス選択用の取り合いデータベースを、または、端末装置1に内蔵された、複数のデジタル制御装置8aおよび計算機8bのアドレスまたは同一デジタル制御装置8aおよび計算機8bの複数のアドレスを同時に要求するための取り合いデータベースを自動で更新することができる。
【0026】
なお、図1において、現場側の検出器9の前にいる試験員7は、試験の際に検出器9へ圧力などの模擬を行なう。携帯端末1の情報は中央制御室側の指示計10の前の試験員7が確認し、仮設電話などの通信手段(図示せず)により、現場側の試験員7へ伝達する。この例では、現場側の試験員7は模擬作業を行なっているため、手があいている中央制御室側の試験員7が携帯端末1を確認する構成としている。
【0027】
また、図1では、デジタル制御装置8a、指示計10などが中央制御室に設置されているので、プラント制御監視用LAN4の中央制御室側が使用されているが、デジタル制御装置8a、指示計10などが現場側に設置される場合(図示せず)は、現場のLANが使用されることになる。
【0028】
第1の実施の形態の変形例として、上記「試験用LAN4」を「プラント制御監視用LAN」に置き換えることができる(図示せず)。この場合の試験方法では、プラント制御監視用LANを使用することにより、試験用ケーブルの布設範囲を最小限にすることができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態を図2を参照して説明する。ただし、図1と共通または類似の部分には共通の符号を付して重複説明は省略する。図2はプラント監視および制御のマンマシンインターフェイス部にCRT、タッチパネルを適用したプラントにおける計装ループ試験の一実施の形態の構成図である。デジタル制御装置8aおよび計算機8bと、試験用LAN4とを保守用インターフェイスによりインターフェイス(I/F)装置3を介してを接続し、内部ロジックのデジタル信号を試験用LAN4に伝送する。
【0030】
また、同様にタッチパネル11上に表示されるプロセス値等のデジタル信号値も、インターフェイス装置3を介して試験用LAN4へ伝送される。試験用LAN4上のデジタル信号は、無線アンテナ(固定局)2または有線により端末装置1に伝送される。端末装置1は検出器9に配置される試験員7が携帯し、デジタル値表示を確認する。
【0031】
これにより、従来の試験員配置では検出器9、デジタル制御装置8a、計算機8b、指示計10にそれぞれ配置していた試験員6、7(計4名)が、検出器9のみ(計1名)で試験可能となる。
【0032】
この第2の実施の形態の試験方法では、無線または有線の端末装置1の入力装置から試験対象のアドレスを要求することで、プラント遠隔試験装置5によって要求されたアドレスに相当するデジタル制御装置8aおよび計算機8b内部ロジックのデジタル信号値を試験用LAN4を介して、プラントの任意の場所に設置した無線または有線の端末装置1に伝送し表示することができる。
【0033】
また、無線または有線の端末装置1の入力装置から試験対象のアドレスを要求することで、マンマシンインターフェイス機能によって、要求されたアドレスに相当するCRT、タッチパネル(またはその制御装置)のデジタル信号値を試験用LAN4を介して、プラントの任意の場所に設置した端末装置1に伝送し表示することができる。
【0034】
この際、デジタル信号値を試験用LAN4から送受信できる無線または有線の端末装置1を検出器9に配置された試験員7が携帯することにより、従来デジタル制御装置8aおよび計算機8bの設置場所に配置されていた試験員6、ならびにCRT、タッチパネル設置場所に配置されていた試験員6が不要となる。計測器の操作等、試験員の両手が塞がった状態においても、音声入力装置により試験を進めることができる。
【0035】
現場等試験用LAN4のケーブル布設の困難な状況においても、無線化すれば容易に試験用LAN4が構築可能である。ただし、原子力プラント等ノイズによる影響が懸念される場合または無線電波の届かない場所においては、有線により試験を行なうことができる。
【0036】
また、デジタル制御装置8aおよび計算機8b側において、取り合いの追加、変更または削除が発生した場合、自動で更新することもできる。
第2の実施の形態の変形例として、「試験用LAN」を「プラント制御監視用LAN」に置き換えることもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、デジタル制御装置および計算機を含むプラント制御装置の計装ループ試験を行なう場合、デジタル制御装置および計算機内部ロジックの確認を検出器等に配置された試験員が兼ねることが可能となり、試験員を削減できる効果がある。同様にポンプ、弁、計装スイッチ等の現場機器との取り合い試験を行なう場合も、デジタル制御装置および計算機内部ロジックの確認を他の試験員が兼ねることが可能となり、試験員を削減できる効果がある。
【0038】
また、プラントの監視および制御を行なうマンマシンインターフェイス部に表示と入力が可能な表示入力装置を適用した原子力プラントにおいても、それら機器の確認を検出器に配置された試験員が兼ねることが可能となり、さらに試験員を削減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成図。
【符号の説明】
1…携帯端末、2…無線アンテナ(固定局)、3…インターフェイス装置、4…試験用LAN、5…プラント遠隔試験装置、6…従来の配置の試験員、7…本発明の配置の試験員、8a…デジタル制御装置、8b…計算機、9…検出器、10…指示計、11…タッチパネル。

Claims (5)

  1. 原子力プラントの監視および制御をデジタル信号により行なうデジタル制御装置および計算機を用いる原子力プラントの計装ループ試験を行うための遠隔試験装置において、
    前記遠隔試験装置はデジタル制御装置および計算機内部ロジックの任意のデジタル信号値を読み出し試験用LANに伝送するためのインターフェイス装置と、プラント内の任意の位置に配置され前記試験用無線LANの信号の送受信及び表示をおこなう携帯型の端末装置とを具備するとともに、前記携帯型の端末装置に試験対象機器のアドレスを入力し、前記デジタル制御装置および計算機は前記アドレスに相当する内部ロジックのデジタル信号値を前記端末装置に伝送、表示することにより、原子力プラントのプロセス値を計測する検出器よりデジタル制御装置および計算機へ入力される回路及びデジタル制御装置および計算機より現場機器に対して出力される計装回路の健全性ならびに精度を確認する計装ループ試験を行うことを特徴とする原子力プラントの遠隔試験装置。
  2. 前記端末装置は、任意のデジタル制御装置および計算機へアクセスする際に必要な内部ロジックのアドレス選択用の取り合いデータベースを内蔵したことを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの遠隔試験装置。
  3. 前記端末装置は、1台の検出器から複数のデジタル制御装置および計算機へ入力またはデジタル制御装置および計算機から複数の現場機器に対して出力される回路において、複数のデジタル制御装置および計算機のアドレスまたは同一デジタル制御装置および計算機の複数のアドレスを同時に要求するための取り合いデータベースを内蔵したことを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの遠隔試験装置。
  4. 前記端末装置は、任意の表示と入力が可能な表示入力装置またはそれらの制御装置へアクセスする際に必要な内部アドレス選択用の取り合いデータベースを内蔵したことを特徴とする請求項3記載の原子力プラントの遠隔試験装置。
  5. 原子力プラントの監視および制御をデジタル信号により行なうデジタル制御装置および計算機を用いる原子力プラントの計装ループ試験を行うための遠隔試験方法において、
    前記遠隔試験方法は、携帯型の端末装置に試験対象機器のアドレスを入力し、前記デジタル制御装置および計算機は前記アドレスに相当する内部ロジックの任意のデジタル信号値をインターフェイス装置により試験用LANに伝送し、プラント内の任意の位置に配置された前記携帯型の端末装置に前記試験用LANから伝送された前記デジタル信号値を表示させることにより、原子力プラントのプロセス値を計測する検出器よりデジタル制御装置および計算機へ入力される回路及びデジタル制御装置および計算機より現場機器に対して出力される計装回路の健全性ならびに精度を確認する計装ループ試験をおこなうことを特徴とする原子力プラントの遠隔試験方法。
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