JP4080309B2 - 光ファイバの融着接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス転移点が互いに異なる2本のガラス光ファイバをアーク放電により融着する光ファイバの融着接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ通信の普及で、高速・大容量の通信が可能となり、通信サービスの多様化に備えるために伝送容量の拡大を図る波長多重通信方式(WDM)の導入が進められている。また、WDMでは波長多重のチャンネル数が増加するほど伝送容量を大きくでき、そのためWDMの使用帯域1.2μm〜1.7μmでの増幅可能な光増幅媒体が求められている。この光増幅媒体として、一般的には、石英ガラスに希土類イオンであるエルビウム(Er)を含有させた光ファイバがよく知られている。
【0003】
しかし、Er含有光ファイバで利得が得られる波長帯は1.5μm帯の32nm程度の狭い波長幅である。これを解決する光増幅媒体として、モル%表示でBi2O3:20〜80モル%、B2O3:15〜80モル%、CeO2等からなるマトリクスガラスにErを質量百分率表示で0.01〜10重量%添加した非石英系の光増幅ガラス(Er含有Bi2O3系ガラス)が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に例示されている光増幅ガラスの例1〜10で、前記利得が得られる波長幅はいずれも100nm以上であり、Er含有石英系ガラスの2.5倍以上である。
【0004】
しかし、Er含有Bi2O3系光ファイバのガラス転移点は600℃以下であり、一方、光通信用に用いられて一般的な石英系光ファイバの転移点は1000℃以上である。したがって、これらのガラス転移点の異なる2種の光ファイバを、アーク放電を用いて融着接続しようとすると、Er含有Bi2O3系光ファイバ側は所定の加熱温度で軟化溶融するのに対し、石英系光ファイバ側は軟化もしない状態となる。また、石英系光ファイバを軟化溶融するように加熱すると、Er含有Bi2O3系光ファイバ側は溶けてしまい、融着接続は不可能であるという問題がある。
【0005】
このような問題を解決する融着接続技術として、特許文献2が開示されている。図7は、前記特許文献2で開示されている光ファイバの融着接続方法の一例を示す図である。図中、1は高融点光ファイバ、1aは高融点光ファイバの接続端、2は低融点光ファイバ、2aは低融点光ファイバの接続端、3は放電電極を示す。
【0006】
図7において、高融点光ファイバ1とは、上述の石英系光ファイバでガラス転移点が1000℃以上のものを意味し、低融点光ファイバ2とは、Er含有Bi2O3系光ファイバ等のガラス転移点が600℃以下のものを意味するものである。何れの光ファイバも、コア部とクラッド部からなる光信号伝送に用いられるもので、両者のコア部のモードフィールド径及びクラッド径は、ほぼ等しいものが用いられるものとする。
【0007】
高融点光ファイバ1と低融点光ファイバ2とを融着接続するに際して、双方の接続端1aと2aを軸方向に対して直角にカット、又は、信号光の反射防止のために所定の角度でカットし、光軸を調心して光ファイバの接続端1a,2aを突き合わせる。一対の放電電極3は、光ファイバの接続端1a,2aを挟んで対向配置され、放電電極先端Y−Yを結ぶ最も高温となるラインと光ファイバ軸線の交点Cが、高融点光ファイバ1の接続端1aの位置より距離X分だけ、内側に位置するように配置される。また、距離Xは1μm以上となるように設定されている。
【0008】
以上のように、放電電極3によるアーク放電位置を、接続端1a,2aの位置から高融点光ファイバ1側に偏らせることで、高融点光ファイバ1側の接続端1aの温度より、低融点光ファイバ2側の接続端2aの温度が低くなるようにする。この結果、高融点光ファイバ1側の接続端1aを軟化溶融させるが、低融点光ファイバ2側の接続端2aは顕著な軟化溶融を起こしていない状態として、融着接続することができるようにしている。また、融着接続に際して、一方又は双方の光ファイバの接続端1a,2aを、相手方に押し込むことにより融着接続を確実にしている。
【0009】
また、石英系の同種のガラス光ファイバ同士を、アーク放電により融着接続する場合、融着接続のためのアーク放電に先立って一次放電を行ない、光ファイバの接続端における水分やごみを除去し、端面状態を改善することが行なわれている(例えば、特許文献3参照)。この一次放電は、通常、僅かな間隙を持たせて対向配置された2本の光ファイバの接続端に、アーク放電で均一に放電エネルギーを与え、均一に加熱して行なわれる。この後、双方の光ファイバの接続端同士を密着させ、二次放電により融着接続させている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−317561号公報(図2とその説明)
【特許文献2】
特開2002−48935号公報(図1とその説明)
【特許文献3】
特公昭60−28321号公報(第1図とその説明)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス光ファイバを融着により接続する場合、特許文献3で示されているように、その前処理として光ファイバの端面状態の改善処理が行なわれている。特に、アーク放電で融着接続を行なう場合、融着接続する前に接続端に同じくアーク放電による光ファイバを溶融しない程度で加熱するスパッタリング放電(特許文献3の一次放電に相当)を行なう。これにより、接続端及びその近傍の水分、アルコール、ごみ、ファイバ切断時の切削屑等の不純物の除去、さらには、ファイバカット時の欠け、リップル、ハックルに代表される表面の微小な凹凸の排除や成形等が行なわれる。
【0012】
そして、石英系光ファイバ同士の融着接続の場合、左右光ファイバの端面を十分に溶融し、その後接続点が細らないように十分な押し込みを行ない、接触した左右光ファイバに自己調心作用が大きく働く手前まで放電を継続させることで、低い接続損失と接続点の強度が得られる接続を行なっている。例えば、押し込み量を15μm、放電の継続時間も1.5秒で行なう。
【0013】
しかし、図7のように、高融点光ファイバと低融点光ファイバとを融着接続する場合、スパッタリング放電は低融点光ファイバ側の溶融温度以下で行なわなければならない。低融点光ファイバ側の溶融温度に合わせたスパッタリング放電を行なうと、低融点光ファイバの変形や溶融は抑えられるものの、その放電エネルギーは、通常の石英系光ファイバ同士の場合に比べて少なくなる。このため、光ファイバの接続端に存在する不純物の除去や接続端の凹凸改善は不十分のままとなる。融点に差がある融着接続の場合、特許文献2にあるように押し込み量は、好ましくは2μm以下、特に好ましくは0μmであり、放電の継続時間も0.2秒と非常に短い。このため、石英系光ファイバの不完全な端面状態の影響により、ファイバの溶融、接続が十分行なわれず、特に接続点の強度が得られないことがある。
【0014】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、高融点光ファイバと低融点光ファイバとをアーク放電により融着接続するに際して、接続端へのスパッタリング放電を適正に行なうことで接続端を改善し、接続損失を損なうことなく接続点強度を得る光ファイバの融着接続方法の提供を課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による光ファイバの融着接続方法は、ガラス転移点が異なる一対の光ファイバを、アーク放電により融着する光ファイバの融着接続方法であって、融着のためのアーク放電に先立って一対の光ファイバの接続端に対して、光ファイバのそれぞれのガラス転移点に対応させてアーク放電時間及びアーク放電エネルギーを個別に設定し、ファイバ溶融温度以下で個別にスパッタリング放電を行なう。また、融着のためのアーク放電に先立って一対の光ファイバの接続端に対して、光ファイバのそれぞれのガラス転移点に対応させてアーク放電の位置との離間距離を異ならせ、ファイバ溶融温度以下で同時にスパッタリング放電する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1により本発明の実施の形態を説明する。図1(A)は光ファイバの融着接続前の前処理の状態を示す図、図1(B)は融着接続時の状態を示す図である。図中、1は高融点光ファイバ、1aは高融点光ファイバの接続端、1bは高融点光ファイバのファイバ被覆、2は低融点光ファイバ、2aは低融点光ファイバの接続端、2bは低融点光ファイバのファイバ被覆、3は放電電極、4はV溝クランプ、5は被覆クランプ、6は撮像カメラ、7は投光器を示す。
【0017】
本発明における光ファイバの融着接続方法は、図7で説明したのと同様に、高融点光ファイバ1と低融点光ファイバ2を、放電電極3を用いた放電エネルギーにより融着接続することを対象とする。ここで、図7でも説明したように、高融点光ファイバ1とは、石英系光ファイバ等のガラス転移点が1000℃以上のもので、通常のシングルモードファイバで代表される通信用光ファイバを意味するものである。
【0018】
低融点光ファイバ2とは、ガラス転移点の低い光ファイバ或いは同一の放電エネルギーでのモードフィールド径の拡散速度が異なる光ファイバで、例えば、Er含有Bi2O3系光ファイバ等のガラス転移点が600℃以下のものを意味するものである。そして、何れの光ファイバも、コア部とクラッド部からなり、両者のコア部のモードフィールド径及びクラッド径は、ほぼ等しいものが用いられるものとする。
【0019】
図1(A)に示すように、高融点光ファイバ1と低融点光ファイバ2とは、融着接続に際して、端部のファイバ被覆1b,2bを除去してガラスの裸ファイバ部を露出させ、双方の光ファイバのファイバ被覆部1b,2bを被覆クランプ5で固定し、裸ファイバ部をV溝クランプ4で保持して位置決めされる。双方の光ファイバの接続端1aと2aは、軸方向に対して直角にカットするか又は信号光の反射防止のために所定の角度でカットして対向配置される。また、光ファイバの接続端1a,2aの位置及び端面状態は、投光器7と撮像カメラ6を用いた画像観察機構により監視される。
【0020】
融着接続に先立って、図1(A)の状態で、後述するように双方の光ファイバの接続端1aと2aを、それぞれ個別に放電電極3によりスパッタリング放電を行ない、端面処理する。この後、図1(B)に示すように、撮像カメラ6による画像観察機構により、被覆クランプ5及びV溝クランプ4を駆動機構(図示されず)により調整して、双方の光ファイバの光軸及び接続端1a,2aの位置を調整して互いに突き合わせる。
【0021】
一対の放電電極3は、光ファイバの接続端1a,2aを挟んで対向配置され、電極先端Y−Yを結ぶ最も高温となるラインと光ファイバ軸線との交点Cが、高融点光ファイバ1の接続端1aの位置より距離X分だけ、ファイバ被覆1b側に移動して配置される。また、距離Xは1μm以上となるように設定される。
【0022】
放電電極3によるアーク放電の位置は、接続端1a,2aの位置から高融点光ファイバ1側に偏っているので、高融点光ファイバ1側の接続端1aの温度より、低融点光ファイバ2側の接続端2aの温度が低くなる。これにより、高融点光ファイバ1側の接続端1aを軟化溶融させるが、低融点光ファイバ2側の接続端2aは顕著な軟化溶融を起こしていない状態として、融着接続することができる。また、融着に際して、双方の接続端1a,2aを、相手方に押し込むことにより融着接続を確実にすることができる。
【0023】
本発明は、高融点光ファイバ1と低融点光ファイバ2との接続においても、アーク放電で融着接続する前に、予め光ファイバの接続端1a及び2aの不純物の除去や凹凸状態の改善をスパッタリング放電で行ない、接続損失を損なうことなく接続点の強度を得るものである。しかし、通常の高融点光ファイバ同士の場合は、左右の光ファイバを同時かつ均等にスパッタリング放電するのに対し、本発明では、高融点光ファイバ1と低融点光ファイバ2とを、光ファイバの融点に対応させた状態で個別にスパッタリング放電することにある。
【0024】
図2及び図3は、本発明のスパッタリング放電の実施形態を説明する図である。図2(A)は、ファイバ端の溶融量と放電時間或いは放電エネルギーとの関係を示す図、図2(B)はファイバ端の溶融量と放電電極中心位置との関係を示す図である。なお、これらの図2(A)及び(B)は、説明のための傾向を示す図で、実測値ではない。図3(A)は高融点光ファイバ側をスパッタリング放電する図、図3(B)は低融点光ファイバ側をスパッタリング放電する図、図3(C)は高融点光ファイバと低融点光ファイバとを同時にスパッタリング放電する図を示す。
【0025】
図2(A)に示すように、光ファイバの接続端を横切ってアーク放電を行なうと、放電エネルギーを一定とすれば、その放電時間(又は放電回数)が多ければファイバ溶融量は多く、放電時間が少なければファイバ溶融量は少ない。また、放電時間を一定とすれば、放電エネルギーが多ければファイバ溶融量は多く、放電エネルギーが少なければファイバ溶融量は少ない。なお、放電エネルギーは放電電極間に流れる電流値によって制御することができる。また、図2(B)に示すように、放電電極の中心位置とファイバ端との距離によってもファイバ溶融量が異なる。対向配置される2つの放電電極の中心を結ぶライン上の温度が最も高く、電極中心から離れるにしたがってファイバ溶融量が急速に減少する。
【0026】
上記のことから、スパッタリング放電によるファイバ端(接続端1a,2aと同じ)の端部処理は、アーク放電時間、或いはアーク放電エネルギー、さらにはアーク放電発生の位置となる放電電極との離間距離を変えることにより調整することができる。したがって、ガラス転移点が異なる光ファイバ1と2に対して、それぞれ個別に、アーク放電時間、アーク放電エネルギー、アーク放電電極との離間距離を設定することにより、光ファイバの融点に応じた適正なスパッタリング放電を行なうことができる。これにより、低融点光ファイバ2の接続端2aを溶融させることなく、また、高融点光ファイバ1の接続端1aの加熱不足で不十分な端部処理のまま融着接続されるのを回避することができる。
【0027】
図3(A)は、高融点光ファイバ1側の接続端1aをスパッタリング放電する場合で、低融点光ファイバ2側の接続端2aは、アーク放電Sの影響を受けないように放電電極3から離れた位置に後退させる。放電電極3間に生じるアーク放電Sは、ある程度の広がりを持ち、電極中心と一致するアーク中心が最も強く、外側は弱くなり、図2(B)で示したように、ファイバ端がどの部分に位置するかによってファイバ溶融量が変わる。アーク放電Sの放電時間及び放電エネルギーを所定値に設定し、ファイバ端と放電電極中心との相対位置を適切に選定することにより、高融点光ファイバ1の接続端1aを溶融に至る温度には加熱されないが、端面改善には十分な温度で加熱されるようにする。
【0028】
図3(B)は、低融点光ファイバ2側の接続端2aをスパッタリング放電する場合で、接続端2aを放電電極3に近接する位置に戻すと共に、高融点光ファイバ1側の接続端1aを、アーク放電Sの影響を受けない放電電極3から離れた位置に後退させる。この場合も図3(A)の場合と同様に、アーク放電Sの放電時間及び放電エネルギーを所定値に設定し、ファイバ端と放電電極中心との相対位置を適切に選定し、低融点光ファイバ2の接続端2aを溶融に至る温度には加熱されないが、端面改善には十分な温度で加熱されるようにする。なお、低融点光ファイバ2側を先にスパッタリング放電した後、図3(A)の高融点光ファイバ1側のスパッタリング放電を行なうようにしてもよい。
【0029】
図3(C)は、高融点光ファイバ1側と低融点光ファイバ2側の双方を同時にスパッタリング放電する場合で、高融点光ファイバ1の接続端1aを放電電極3の近くに位置させ、低融点光ファイバ2の接続端2aを放電電極3から離れた位置にする。すなわち、双方のファイバ端間の間隔中心に対して、放電電極3を相対的に高融点光ファイバ1側に移動させ、アーク放電Sの放電時間及び放電エネルギーを同じとしても、高融点光ファイバ1の接続端1aより低融点光ファイバ2の接続端2aが低い温度となるように設定する。この例は、双方の光ファイバを同時にスパッタリング放電しているが、放電電極からの距離を異ならせ、アーク放電から受ける放電エネルギーが異なるように設定されており、個別にスパッタリング放電しているのと同等となる。
【0030】
なお、上述した例では、放電電極3に対して光ファイバの接続端1a,2aの位置をそれぞれ移動させる形態で説明したが、放電電極3と接続端1a,2aの位置関係は相対的なもので、光ファイバ側を固定して、放電電極3側を移動させるようにしてもよい。また、双方の光ファイバの接続端1aと2aは、光ファイバ軸線に対し垂直にカットされている例で説明したが、所定の傾斜角で形成すると共に、双方の光ファイバを直線状に融着接続する以外に、角度を持たせて融着接続するようにしてもよい。
【0031】
図4は、光ファイバの接続端の画像観察を説明する図である。スパッタリング放電するに際して、融着接続時と同様に画像観察機構による光ファイバの接続端を監視し、スパッタリング放電の処理状態、及び、接続端の位置調整を行なう。観察画像を表示する表示装置は、通常、光ファイバの接続部を監視する程度であまり大きなものが用いられていない。
【0032】
このため、スパッタリング放電で図3(A)及び図3(B)の方法でスパッタリング放電する場合、一方の光ファイバをスパッタリング放電しているとき、他方の光ファイバをアーク放電の影響を受けない位置に移動させるため、表示装置の画面から外れ、画像処理できない場合がある。しかし、駆動制御機構からその位置を正確に把握することは可能であり、観察画像として表示されなくても特に問題はない。
【0033】
本発明のスパッタリング放電の効果を確認するための評価試験を行なった。高融点光ファイバ1には石英系光ファイバを用い、低融点光ファイバ2には非石英系のEr含有Bi2O3系光ファイバ(ガラス転移点400℃〜520℃)を用いた。スパッタリング放電は、図3において、V溝クランプ4間の距離を5mm、放電電極先端間の距離を1mm、低融点光ファイバの接続端を放電電極先端から300μm後退させ、放電時間を0.15secで2回行ない、図3(C)の双方の光ファイバに同時にスパッタリング放電する方法で行なった。
【0034】
図5は評価試験を行なった光ファイバの融着接続の突き合わせ形態を示す図である。高融点側の石英系光ファイバの端面角度を8.3°、低融点側のEr含有Bi2O3系光ファイバの端面角度を6.0°でカットし、V溝クランプ4でクランプした状態で、双方の光ファイバの接続端面が平行になるようにセットする。融着接続前の調心は、光パワーメータを用い、端面間隔が4μm以下の位置で最も光量が多くなるように調整して行なった。
【0035】
この後、スネルの法則による光の屈折方向とファイバ移動方向のズレを考慮した補正調心を行ない、左右光ファイバの端面間隔が1μm以下になるように突き合わせる。融着接続は、この突き合せ状態で、20msecの放電と40msecの休止を5回繰り返し、この放電中に右側のEr含有Bi2O3系光ファイバを1μm程度、左側の石英系光ファイバ側に押し込んで融着させた。
【0036】
図6は、スパッタリング放電を行なわずに上記の方法で融着接続した場合と、本発明のスパッタリング放電を行なった後に上記の方法で融着接続した場合で、それぞれ6サンプルについて行なったときの破断強度を示した図である。スパッタリング放電を行なわずに融着接続した場合は、5サンプルが130gf(1.27N)付近の引張力で破断し、1サンプルが180gf(1.79N)付近の引張力で破断した。スパッタリング放電を行なった後に融着接続した場合は、1サンプルが220gf(2.16N)付近の引張力で破断し、4サンプルが270gf(2.65N)付近の引張力で破断し、1サンプルが320gf(3.16N)付近の引張力で破断した。
【0037】
上記の結果から、ガラス転移点が異なる光ファイバ同士を融着接続する場合においても、ガラス転移点に対応した適正なスパッタリング放電を行なうことにより、破断強度を高めるのに極めて有効であることが確認できた。また、スパッタリング放電の有無に関わらず、接続損失は0.5dB前後の値で差がなかった。
【0038】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、ガラス転移点が異なる高融点光ファイバと低融点光ファイバを融着接続する場合に、双方の光ファイバの接続端を溶融させることなく、しかも端面改善には十分なスパッタリング放電を行なうことができる。これにより、光ファイバ接続部の接続損失を損なうことなく、接続強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパッタリング放電と融着接続を説明する図である。
【図2】光ファイバ端の溶融と放電時間、放電エネルギー、電極との相対位置関係を説明する図である。
【図3】本発明による個別のスパッタリング放電の形態を説明する図である。
【図4】光ファイバの接続端の画像観察を説明する図である。
【図5】本発明の評価時に用いた融着接続の形態を示す図である。
【図6】本発明の評価結果を示す図である。
【図7】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
1…高融点光ファイバ、1a…高融点光ファイバの接続端、1b…ファイバ被覆、2…低融点光ファイバ、2a…低融点光ファイバの接続端、2b…ファイバ被覆、3…放電電極、4…V溝クランプ、5…被覆クランプ、6…撮像カメラ、7…投光器。
Claims (4)
- ガラス転移点が異なる一対の光ファイバを、アーク放電により融着する光ファイバの融着接続方法であって、融着のためのアーク放電に先立って前記一対の光ファイバの接続端に対して、前記光ファイバのそれぞれのガラス転移点に対応させてアーク放電時間及びアーク放電エネルギーを個別に設定し、ファイバ溶融温度以下で個別にスパッタリング放電することを特徴とする光ファイバの融着接続方法。
- 前記一対の光ファイバの一方の光ファイバをスパッタリング放電しているとき、他方の光ファイバを前記スパッタリング放電の影響を受けない位置に後退させておくことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの融着接続方法。
- ガラス転移点が異なる一対の光ファイバを、アーク放電により融着する光ファイバの融着接続方法であって、融着のためのアーク放電に先立って前記一対の光ファイバの接続端に対して、前記光ファイバのそれぞれのガラス転移点に対応させて前記アーク放電の位置との離間距離を異ならせ、ファイバ溶融温度以下で同時にスパッタリング放電することを特徴とする光ファイバの融着接続方法。
- 前記一対の光ファイバの一方が石英系光ファイバであり、他方が非石英系光ファイバであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバの融着接続方法。
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