JP4079606B2 - 軌道検測車の測定枠 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道軌道の幅を測定する軌道検測車の測定枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
軌道検測車の測定枠は、2軸台車の前後の軸箱間に渡される左右一対のつり合い梁と、両つり合い梁間に取り付けられる測定梁とで構成され、測定梁に左右一対の軌道検測センサーを搭載している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
軌道検測センサーによる軌道の幅の測定は、軌道検測センサーと軌道との距離が一定の範囲に入っていなければならない。しかし、不整のある軌道上を走行することにより軸箱が加振され、その振動が測定枠に伝わり、測定枠を構成するつり合い梁及び測定梁に曲げ振動を発生させる。測定枠が有する振動減衰力が小さいと、各梁に発生した曲げ振動が十分に減衰しないうちに次の加振を受け、曲げ振動の振幅が増幅されてしまう。これが繰り返されることにより軌道検測センサーと軌道の距離が大きくなり、検測性能が低下してしまうことになる。つり合い梁と測定梁を太くして測定枠の剛性を高くすれば、振動は減少するが、ばね下重量の増加となって走行安定性に影響を及ぼす。
【0004】
そこで本発明は、測定枠を軽量化しても、つり合い梁及び測定梁に発生する曲げ振動を早期に減衰させて、軌道検測センサーと軌道との距離を一定の範囲に維持させる軌道検測車の測定枠を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明は、2軸台車の前後軸箱にそれぞれ取り付けられる左右一対のつり合い梁と、両つり合い梁間に取り付けられる測定梁とで構成される軌道検測車の測定枠において、前記つり合い梁と前記測定梁とを、振動減衰機構を有する斜め方向のリンクを介して結合し、前記つり合い梁の前記軸箱との取付部上面に、枕木方向の凹溝をそれぞれ形成した前後一対の突部を設けるととともに、該一対の突部に撓み防止の補強部材を設け、前記一対の突部の両凹溝は、内側テーパ面と外側テーパ面とを有する逆台形状であり、前記補強部材は、第1補強部材と第2補強部材とからなり、該第1補強部材は、前記両凹溝の内側テーパ面に係合するテーパ面を形成した係合部を両端にそれぞれ有する断面略コ字状に形成され、前記テーパ面を前記内側テーパ面に係合して前記突部にそれぞれ螺着されており、前記第2補強部材は、前記凹溝の外側テーパ面に係合するテーパ面が形成され、前記第2補強部材のテーパ面を前記外側テーパ面に係合して前記第1補強部材と前記外側テーパ面との間の前記凹溝に螺着されている特徴としている。また、前記測定梁の上面中央には、前記リンクの振動減衰機構とは別の振動減衰機構を有する振動減衰装置が設けられ、前記別の振動減衰機構の上に質量が付加されていることが好ましく、前記つり合い梁は、台車枠の側梁との間に前記振動減衰機構とは別の振動減衰装置が設けられていることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態例に基づいて、さらに詳細に説明する。測定枠1は、左右一対のつり合い梁2,2と、両つり合い梁2,2間に取り付けられる前後一対の測定梁3,3とで構成されている。つり合い梁2,2は、2軸台車4の両側に配置される前後の軸箱5,5下部にそれぞれ取り付けられて、軸箱5,5間にそれぞれ渡され、測定梁3,3は、2軸台車4の前後にそれぞれ配置されている。
【0007】
各つり合い梁2は、軸箱5,5の下部にボルト6にて取り付けられるとともに、両軸箱5,5間の中央部と台車枠の側梁7との間に振動減衰装置8を配設している。該振動減衰装置8は、液封減衰装置で、つり合い梁2側のカップ部8aと、側梁7側のリンク棒7aに接続された撹拌板8bと、カップ部8aを密封するストッパゴム8cとを有し、カップ部8a下部の撹拌板8bの両側に高粘性の液体が封入されている。この振動減衰装置8は、撹拌板8bが上下方向に移動する時に、カップ部8aに封入された液体が撹拌板8b外周とカップ部8a内周の狭い隙間を通る抵抗力を減衰力として利用するもので、上下振動に対して、軸箱の軸ばねの振動数の頻度が多い付近である静的に近い振動数では、減数力が弱く、共振を起こしそうな振動数に上がってきたときには減衰力が大きくなる。これにより、つり合い梁2の上下振動の並進モードに対する振動が減少する。
【0008】
また、各つり合い梁2は、軸箱5,5との取付部上面に撓み防止の補強部材9を設けている。すなわち、この補強部材9は、つり合い梁2の両端に測定梁3をそれぞれ結合するため、つり合い梁2と軸箱5との結合部位におけるつり合い梁2の撓み角を小さくするものである。
【0009】
つり合い梁2は、ボルト6取付部上面に前後一対の突部2a,2aを設け、両突部2aに逆台形の凹溝2bを枕木方向にそれぞれ形成している。前記補強部材9は、第1補強部材9aと第2補強部材9bとからなり、第1補強部材9aは、前記両凹溝2bの内側テーパ面2cに係合するテーパ面9cを形成した係合部9d,9dを両端に有する断面略コ字状に形成され、突部2a,2aに螺着されている。第2補強部材9bは、凹溝2bの外側テーパ面2dに係合するテーパ面9eを形成しており、第1補強部材9aの外側の凹溝2bに螺着されている。
【0010】
この構成により、補強部材9は、第1補強部材9a両端の係合部9c,9cがつり合い梁2の突部2a,2aのボルト側テーパ面2c,2cにそれぞれ係合することにより、突部2a,2aの間隔を縮める方向に作用し、つり合い梁2の端部を上方へ引っ張る。これに対し、第2補強部材9bは、テーパ面9eを凹溝2bのテーパ面2dに係合することにより、突部2a,2aの間隔を拡げる方向に作用し、つり合い梁2の端部を下方へ押し下げる。したがって、第1補強部材9aと第2補強部材9bとを組み合わせることにより、つり合い梁2の両端は上下方向に動かなくなり、つり合い梁2の撓み角が小さくなる。
【0011】
各測定梁3は、下部中央に軌道検測センサー10,10を備え、各つり合い梁2との間を斜め方向のリンク11を介して結合されている。このリンク11は、液封減衰装置からなる振動減衰機構12を有している。該振動減衰機構12は、つり合い梁2側のリンク棒11aの筒状ハウジング11b内に収納され、該ハウジング11bに固定されるカップ部12aと、測定梁3側のリンク棒11c先端に連結される撹拌板12bと、該撹拌板12bの支持部材12cとカップ部12a間に配置される引張方向ストッパゴム12d及び圧縮方向ストッパゴム12eとを有し、カップ部12a下部の撹拌板12bの両側に高粘性の液体を封入している。この振動減衰機構12は、撹拌板12bがリンク11の軸方向に移動する時に、カップ部12a下部に封入された液体が撹拌板12b外周とカップ部12a内周の狭い隙間を通る抵抗力を減衰力として利用するものである。
【0012】
また、測定梁3の上面中央には、前記振動減衰機構12と同様に構成された振動減衰機構13の上部に質量としてウエイト14を付加した振動減衰装置15が設けられている。すなわち、振動減衰機構13は、測定梁3の上面に設けられたハウジング3a内に収納され、該ハウジング3aに固定されるカップ部13aと、ウエイト14に連結される撹拌板13bと、該撹拌板13bの支持部材13cとカップ部13a間に配置される引張方向ストッパゴム13d及び圧縮方向ストッパゴム13eとを有し、カップ部13a下部の撹拌板13bの上下に高粘性の液体を封入している。ウエイト14は、支持部材13cにボルト14aにて連結されている。なお、ウエイト14は、ボルト14aが万一折損した場合に落下しないように、ハウジング3aに設けたボルト14b,14bにて支持されている。
【0013】
この振動減衰装置15は、振動により測定梁3が上方へ動くと、カップ部13aが上方へ動き、撹拌板13b下部の液体が撹拌板13bの上部に移動しようとするが、撹拌板13b外周とカップ部13a内周の狭い隙間を通る抵抗力によって移動を阻止されるので、測定梁3の上方への動きが規制される。また、振動により測定梁3が下方へ動く際も、同様に、撹拌板13b上部の液体の移動が阻止され、測定梁3の下方への動きが規制される。これにより、測定梁3の上下振動及び台車前後軸のピッチングモードに対する振動が減少する。
【0014】
以上のように構成することにより、各つり合い梁2に発生する曲げ振動は振動減衰装置8にて減衰され、また、測定梁3を結合するつり合い梁2端部の撓み角も補強部材9によって小さくなる。さらに、つり合い梁2と測定梁3間を振動減衰機構12を有する斜め方向のリンク11を介して結合することにより、測定梁3の撓み量を少なくできるとともに、つり合い梁2から測定梁3へ伝達される振動を減衰できる。また、測定梁3の上面中央に振動減衰機構13の上部に質量としてウエイト14を付加した振動減衰装置15を設けることにより、測定梁3に発生する曲げ振動を減衰できる。したがって、つり合い梁2及び測定梁3に発生する曲げ振動を早期に減衰させて、軌道検測センサー10と軌道との距離を一定の範囲に維持させることができる。
【0015】
図10及び図11は、つり合い梁と測定梁とを太くして剛性を高くした測定枠(高剛性枠)と、該高剛性枠よりも細いつり合い梁と測定梁とを用いて軽量化した測定枠(高減衰枠)との比較試験データを示すものである。図10は、両枠ともに振動減衰装置を取り付けずに試験をした変位量の累積頻度を示すグラフで、このグラフより高減衰枠の性能が0.25mm〜0.75mmの間で劣っていることが判明した。
【0016】
図11は、両枠ともにリンク部、つり合い梁及び測定梁に振動減衰装置を取り付け、さらに高減衰枠に撓み防止の補強部材を取り付けて試験をした変位量の累積頻度を示すグラフで、このグラフより、高剛性枠にも効果は見られるが大きな変化はない。一方、高減衰枠の効果は大きく、高剛性枠に比較して遜色のない程度に変位量が減少している。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の軌道検測車の測定枠は、つり合い梁と測定梁とを、振動減衰機構を有する斜め方向のリンクを介して結合することにより、測定梁の撓み量を少なくできるとともに、つり合い梁から測定梁へ伝達される振動を早期に減衰させて、軌道検測センサーと軌道との距離を一定の範囲に維持させることができる。また、測定梁に振動減衰機構の上に質量を付加した振動減衰装置を設けることにより、測定梁に発生する曲げ振動を早期に減衰できる。さらに、つり合い梁と台車枠間の振動減衰装置により、つり合い梁に発生する曲げ振動を減衰でき、また、つり合い梁の軸箱との取付部に撓み防止の補強部材を設けることにより、測定梁を結合するつり合い梁端部の撓み角を小さくできる。したがって、測定枠を軽量化しても、つり合い梁及び測定梁に発生する曲げ振動を早期に減衰させて、軌道検測センサーと軌道との距離を一定の範囲に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 測定枠を取り付けた2軸台車の斜視図
【図2】 測定枠の一部拡大正面図
【図3】 リンクの振動減衰機構を示す断面図
【図4】 測定枠の一部拡大側面図
【図5】 図4のV−V断面図
【図6】 つり合い梁の補強部材を示す拡大断面図
【図7】 図6のVII−VII断面図
【図8】 測定枠の一部拡大平面図
【図9】 図2のIX−IX断面図
【図10】 振動減衰装置を取り付けていない測定梁の変位量の累積頻度を示すグラフ図
【図11】 振動減衰装置を取り付けた測定梁の変位量の累積頻度を示すグラフ図
【符号の説明】
1…測定枠、2…つり合い梁、3…測定梁、4…2軸台車、5…軸箱、6…ボルト、7…側梁、8…つり合い梁の振動減衰装置、9…補強部材、10…軌道検測センサー、11…リンク、12…リンクの振動減衰機構、13…測定梁の振動減衰機構、14…ウエイト、15…測定梁の振動減衰装置

Claims (3)

  1. 2軸台車の前後軸箱にそれぞれ取り付けられる左右一対のつり合い梁と、両つり合い梁間に取り付けられる測定梁とで構成される軌道検測車の測定枠において、前記つり合い梁と前記測定梁とを、振動減衰機構を有する斜め方向のリンクを介して結合し、前記つり合い梁の前記軸箱との取付部上面に、枕木方向の凹溝をそれぞれ形成した前後一対の突部を設けるととともに、該一対の突部に撓み防止の補強部材を設け、前記一対の突部の両凹溝は、内側テーパ面と外側テーパ面とを有する逆台形状であり、前記補強部材は、第1補強部材と第2補強部材とからなり、該第1補強部材は、前記両凹溝の内側テーパ面に係合するテーパ面を形成した係合部を両端にそれぞれ有する断面略コ字状に形成され、前記テーパ面を前記内側テーパ面に係合して前記突部にそれぞれ螺着されており、前記第2補強部材は、前記凹溝の外側テーパ面に係合するテーパ面が形成され、前記第2補強部材のテーパ面を前記外側テーパ面に係合して前記第1補強部材と前記外側テーパ面との間の前記凹溝に螺着されていることを特徴とする軌道検測車の測定枠。
  2. 前記測定梁の上面中央には、前記リンクの振動減衰機構とは別の振動減衰機構を有する振動減衰装置が設けられ、前記別の振動減衰機構の上に質量が付加されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道検測車の測定枠。
  3. 前記つり合い梁は、台車枠の側梁との間に前記振動減衰機構とは別の振動減衰装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軌道検測車の測定枠。
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