JP4079000B2 - ワイパ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、船舶、航空機などのウィンドガラスに付着した雨滴を自動的に払拭するワイパ制御装置に関し、特に雨滴量に応じた制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の基本的な装備として、ウィンドシールドの外側の表面に付着した雨滴を払拭するワイパがある。ワイパはワイパ制御装置により払拭速度や間欠時間が調整され、雨の強さに応じた作動状態にされる。ワイパの払拭速度や間欠時間の調整を自動で行うべく、ウィンドシールドの車室側の面に、雨滴を検出するレインセンサを設けて、レインセンサの検出信号に基づいて雨滴の量を演算し、ワイパの払拭速度や間欠時間にフィードバックするようにしたものがある(特許文献1参照)。レインセンサは発光素子と受光素子とを有しており、ウィンドシールドを透過しその外側の板面で反射した発光素子からの光を受光素子で受けて、受光強度に応じた信号を出力するようになっている。ウィンドシールドの外側板面に雨滴が厚く、そして広くつくほどウィンドシールド外側板面で反射する光の強度が減少することを利用している。
【0003】
このレインセンサ出力に基づく雨滴量の演算の方法として、次のような手法がある。図9は晴れの状態若しくはワイパによる払拭が行われた直後におけるレインセンサ出力の経時変化を示すもので、雨滴が滴下するとウィンドシールド外側板面における反射光の低下で雨滴検出出力としてのレインセンサ出力が低下する。レインセンサ出力は雨滴が滴下するごとに段階的に低下していく。低下したレインセンサ出力が少し戻るのは、ウィンドシールド外側板面における撥水性に基因している。雨滴量は、前記ウィンドシールド外側板面に雨滴が滴下して前記反射光が弱まる方向にレインセンサ出力が変化するごとにその変化量(図中、*)を演算し、該変化量の積算値を雨滴量とする。これは、レインセンサが感応するウィンドシールド外側板面位置に雨滴が連続して滴下する訳ではなく断続的に滴下することから、1つ1つの雨滴の滴下に対応する前記変化量を積算することで、ごく狭い範囲内の雨滴の滴下に対してのみ感応するレインセンサでも高い確度で雨滴量を知ることができるようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−89430号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、ウィンドシールドの外側板面に塗布することで該板面に撥水性を付与する撥水剤が普及している。通常、雨滴は、ウィンドシールド外側板面に滴下すると、面方向に広がってウィンドシールド外側板面の全体を覆って視界を妨げることになるが、撥水剤が塗布されたウィンドシールドでは、滴下直後は面方向に広がろうとしても直ぐに撥水剤の作用で多数の島状に集まり、視界の低下を抑制する。特に車速の高速域でウィンドシールドを通した前方の視界を改善する効果を奏する。
【0006】
しかしながら、撥水剤を用いるとレインセンサ出力の戻りが大きなものとなるため、実際には撥水剤の作用で見えやすくなっているのに、ワイパ制御装置において雨滴量が過剰に演算され、ワイパの払拭速度や間欠時間が実際の視認状態と不整合となるおそれがあった。
【0007】
また、撥水剤は塗布しても徐々にとれてしまうものであり、また、自動車のユーザの中には撥水剤を用いない者もある。そのため、撥水剤が塗布されたウィンドシールドと撥水剤が塗布されていないウィンドシールドとのいずれにも、ある程度の誤差を許容して、妥協せざるを得ない。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、レインセンサが取付けられたウィンドシールドに撥水剤が塗布されているか否かによらず、適正にワイパを制御することのできるワイパ制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、ウィンドシールドを透過し該ウィンドシールドの外側の板面に向けて光を照射するとともに、該板面で反射する反射光を受けて雨滴検出を行う雨滴検出手段と、該雨滴検出手段からの雨滴検出出力に基づいて、前記ウィンドシールドの外側の板面に付着した雨滴の量を演算する雨滴量演算手段とを具備し、演算された雨滴量に基づいて前記雨滴を払拭するワイパの払拭速度と間欠時間を制御するワイパ制御装置において、
前記ウィンドシールドの外側の板面に雨滴が滴下して前記反射光が弱まる方向に雨滴検出出力が変化した後、前記反射光が強まる方向に雨滴検出出力が戻るときにその戻り量を演算し、該戻り量が予め設定した値より大きいか否かで前記ウィンドシールドの外側の板面の撥水性が高いか否かを判定する撥水性検知手段を具備せしめ、
前記撥水性が高いと判定されると、前記雨滴量演算手段を、所定期間の始期から終期までの雨滴検出出力が、前記反射光が弱まる方向に最も変化したときの雨滴検出出力に基づいて雨滴量を演算し、前記戻り量に相当する雨滴量を積算しないことで、雨滴量の演算に際し、前記雨滴検出出力の戻り量に基因した誤差が減じられるように設定する。
また、前記判定が否定判断されると、前記雨滴量演算手段を、所定期間に、前記ウィンドシールド外側板面に雨滴が滴下して前記反射光が弱まる方向に雨滴検出出力が変化するごとに、雨滴検出出力の変化量を積算して雨滴量を演算するように設定したものである。
【0010】
ウィンドシールド外側板面の撥水性が高いほど、雨滴の滴下直後はウィンドシールドの面方向に広がろうとしても直ぐに撥水性に基因して多数の島状に集まる。雨滴検出出力は、雨滴の滴下で反射光が弱まる方向に変化するが、前記のごとく島状に集まることで、反射光が強まる方向に戻る。この戻り量はウィンドシールド外側板面の撥水性とよく対応し、撥水性が高いほど戻り量が大きくなる。したがって、雨滴検出出力の戻り量により、撥水性を判断することができる。
【0011】
したがって、撥水性を反映して雨滴量を演算することで、撥水性が高く前方視界がさほど不良でもないのに、ワイパが高速で払拭する等の不整合を生じるのを回避することができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記撥水性検知手段は、今回の雨滴検出出力と前回の雨滴検出出力とを比較して、前記反射光が弱まる方向に雨滴検出出力が変化しているか否かを判定し、該判定が否定判断されると判定時における前回の雨滴検出出力を基準値とする基準値設定手段と、前記基準値と今回の雨滴検出出力から演算される前記戻り量を、前記予め設定した値である閾値と比較することで前記撥水性が高いか否かを二値判定し、該閾値以上、前記反射光が強まる方向に雨滴検出出力が戻ると、前記ウィンドシールド外側板面の撥水性が高いものと、判定する判定手段とを具備する構成とする。
【0013】
前記基準値は、ウィンドシールド外側板面の撥水性により雨滴検出出力が戻り始めるときの値であり、そこからの戻り量の変化量が前記ウィンドシールド外側板面の撥水性とよく対応することになる。演算処理のみで実現できるから実施が容易である。
【0014】
請求項3記載の発明では、請求項1また2の発明の構成において、
前記雨滴量演算手段は、前記所定期間を、ワイパが雨滴を払拭した後、次に前記ワイパが雨滴を払拭するまでの期間とし、
前記撥水性が低い側では、前記所定期間において、雨滴による検出出力低下率の前回値と今回値を比較し、前回より今回の雨滴検出出力低下率が上昇したときのみ、前記雨滴検出出力の変化量である前回と今回の雨滴検出出力低下率の差を加算して、その積算値を雨滴量とし、前記撥水性が高い側では、前記所定期間の始期から終期までの雨滴検出出力に基づき演算される検出出力低下率の最大値である最大低下率を雨滴量とするように設定する。
【0015】
ウィンドシールド外側板面の撥水性が低いときには、雨滴検出出力の変化量の積算により、雨滴が断続的に滴下しても雨滴量を高い確度で知ることができる。撥水性が高いときには、撥水性に基因した、雨滴の滴下ごとの雨滴検出出力の戻りの積算による誤差の影響を回避することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用したワイパ制御装置の全体構成を示す。雨滴検出手段であるレインセンサ11およびスイッチ12と、これらからの信号を入力とする制御回路13とからなり、制御回路13が、ワイパ2の駆動モータを駆動する駆動回路14に制御信号を出力する。レインセンサ11は図2に示すように、一般的な構成のもので、自動車のワイパ2が雨滴を払拭する扇状の範囲内で、かつルームミラーの陰など目立たない位置で、図示しないブラケット等を介してウィンドシールドWの内側の板面Wbに取り付けられる。ウィンドシールドW側が開放した形状のハウジング31内に、レンズ4とプリント基板5とが、レンズ4がウィンドシールドW側となるように格納されている。
【0017】
レンズ4は細長のブロック状で、細長の底面4aがシリコンシート32を挟みウィンドシールドWの内側の面Wbと対向せしめてある。レンズ4の上面4bは、レンズ4の長手方向の端面4c,4dに連なる部分が滑らかな凸面となっており、ここに、主光軸がレンズ4の上方で交差する2つのレンズ部41,42が形成される。
【0018】
プリント基板5には、一方のレンズ部41の主光軸上に発光ダイオード(以下、適宜、LEDという)61が実装され、他方のレンズ部41の主光軸上にフォトダイオード(以下、適宜、PDという)62が配置される。プリント基板5にはまた、LED61の駆動用、およびPD62の出力信号の処理用の回路が形成される。LED61から照射された光は、一方のレンズ部41を通り、レンズ端面4c、ウィンドシールドWの外側の板面Wa、およびレンズ端面4dで反射してPD62に入射する。PD62への入射光の強度は、ウィンドシールド外側板面Waに雨滴が付着していないとき、すなわち晴れのとき最も高く、雨滴Rが付着すると、ウィンドシールド外側板面Waにおける反射率の低下で、ウィンドシールドWから外側への散乱光が増え、雨滴の付着量に応じて低下する。このPD62への入射光の強度に応じた信号がセンサ出力として制御回路13に入力する。センサ出力は雨滴の付着量に応じた雨滴検出出力であり、これに基づいてワイパ2の制御が行われる。
【0019】
スイッチ12は、ワイパ2の制御モードを運転者により切り替えるためのもので、ウィンカースイッチの先端部等に取付けられる。スイッチ12で切り替えられる制御モードには、前記レインセンサ11からのセンサ出力に基づきワイパ2を制御するモードの他、強制的にワイパ2の作動を禁止するオフモードや、強制的にワイパ2を作動せしめるためのいくつかのマニュアルモードがある。
【0020】
制御回路13は例えばマイクロコンピュータを中心に構成され、これより出力される制御信号が駆動回路14を構成するリレー等のオンとオフとを切り替える。図3、図4に制御回路13のマイクロコンピュータで実行される制御プログラムの内容を示す。本フローはイグニッションオンとともに立ち上がる。ステップS101では本フローにおいて使用される変数等を初期化する。
【0021】
ステップS102では、センサ出力低下率を算出する。これは、雨滴によるセンサ出力の低下が実質的にない状態のセンサ出力値(基準のセンサ出力値)から、今回のセンサ出力値を減じ、これをセンサ出力低下率とするものである。前記のごとく、センサ出力は雨滴の付着が多いほど低下するから、かかる演算内容より知られるようにセンサ出力低下率は雨滴の付着率を示しており、以下の説明において適宜、雨滴付着率という。なお、基準のセンサ出力値は、ワイパ2作動開始後は、ワイパ2が最初にレインセンサ11の前方を横切った直後の出力値により与えられている。これは、雨滴がないときのセンサ出力値がウィンドシールドWの仕様等により変動し、固定値とすると、汎用性が減じられるからである。
【0022】
ステップS103では、ワイパ停止モードか否かを判定する。ワイパ停止モードはレインセンサ2が雨滴を無感状態で晴れとみなせ、かつ、ワイパ2が停止している状態である。その他のワイパ2の作動モードには、所定のインターバルをおいてワイパ2が作動するようにワイパ2を制御する「間欠払拭モード」、作動間隔をおかずに連続してワイパ2が往復動するようにワイパ2を制御する「連続払拭モード」がある。「連続払拭モード」には、ワイパ2の作動速度により複数種類(例えば高速(HI)、低速(LO))用意される。
【0023】
ステップS104では、雨滴がウィンドシールド外側板面Waに付着したか否かを判定する。これは、センサ出力が予め設定した閾値以下になると肯定判断される。ここで、閾値は、例えば、PD62で受ける反射光の強度が、LED61から発射された光の強度の2%以下であるとみなせる値とする。否定判断されるとステップS102に戻り、ステップS104で雨滴ありとされるまでステップS102〜S104が繰り返される。
【0024】
ステップS104が肯定判断されると、ステップS105以降の、ワイパ2をセンサ出力に基づいて制御するための処理を実行する。先ず、ステップS105で初回雨滴量を平均雨滴量とする。ここで平均雨滴量は雨滴量の代表値であり、後述するように基本的には移動平均により演算される。ステップS106で、平均雨滴量が予め設定した高速払拭雨滴量以上か否かを判定する。肯定判断されると、ステップS107で平均雨滴量を前記高速払拭雨滴量の値とし、ステップS108に進む。否定判断されると、ステップS107をスキップしてステップS108に進む。
【0025】
前記平均雨滴量に基づいて、ステップS108では払拭速度を決定する。図5は払拭速度決定処理(ステップS108)の内容を示すもので、ステップS201では雨滴判定(ステップS104)が肯定判断されずにワイパ2により払拭がされたか否かを判定する。これは、雨滴判定(ステップS104)が肯定判断されると払拭が開始されるが、レインセンサ11の検知範囲が限られているので降雨がさほどでもなければ2回目以降の払拭作動では雨滴判定(ステップS104)は否定判断される。ステップS201はこれを検知する処理である。ステップS201が肯定判断されると、ステップS202で空払拭回数をインクリメントしてステップS204に進む。ステップS201が否定判断されると、ステップS203で空払拭回数をリセットしてステップS204に進む。したがって、空払拭回数は、雨滴判定(ステップS104)が連続して肯定判断された場合にのみ増え続け、降雨がさほどでもないことを、検知範囲の狭いレインセンサ11でも高い確度で知ることができるようになっている。
【0026】
ステップS204では平均雨滴量が高速払拭雨滴量となっている(S107)か否かを判定し、肯定判断されると、ステップS205で高低2種類の払拭速度のうち高側の払拭速度(HI払拭速度)に設定し、払拭速度決定処理を終了する。ステップS204が否定判断されると、ステップS206で低側の払拭速度(LO払拭速度)に設定し、払拭速度決定処理を終了する。このように、雨滴量が多いと、これに追随して払拭速度がはやめられる。
【0027】
払拭速度決定処理(ステップS108)に続くステップS109では、間欠時間を設定する間欠時間設定処理を実行する。図6は間欠時間設定処理(ステップS109)の内容を示すもので、ステップS301では、前記空払拭回数(ステップS202,S203)が5回以上か否かを判定し、否定判断されると、ステップS302でインターバル(間欠時間)を算出する。ステップS303では、算出された間欠時間が予め設定した上限値(例えば12秒、以下の説明において同じ)以上か否かを判定する。
【0028】
間欠時間が12秒以下とされてステップS303が否定判断されると、ステップS304で、ワイパの停止状態が、算出された間欠時間、経過したか否かを判定する。ステップS304は当該算出間欠時間が経過するまで繰り返され、算出間欠時間が経過してステップS304が肯定判断されると間欠時間設定処理(ステップS109)を終了する。
【0029】
また、雨判定なし払拭の判定(S201)が連続して5回以上肯定判断されて空払拭回数が5回以上となり(ステップS301)、若しくは、算出された間欠時間(ステップS302)が12秒を越えるほど長い場合(ステップS303)は、ワイパ2による雨滴の払拭は不要と判断して、ステップS305でワイパ2の払拭停止を要求し、間欠時間設定処理(ステップS109)を終了する。
【0030】
間欠時間設定処理(ステップS109)に続くステップS110では、前記払拭停止要求(ステップS305)の有無に基づいて払拭停止か否かを判定する。肯定判断されるとステップS102に戻り、否定判断されると、ステップS111で、ワイパ2による雨滴の払拭を行い、ステップS102に戻る。
【0031】
ステップS103で否定判断された場合、すなわち、ワイパ2が作動するモードの場合、ステップS112に進む。ステップS112はウィンドシールドWが撥水ガラスか否かを判定する撥水性検知手段としての処理で、これを図7に示す。
【0032】
ステップS401では、撥水ガラス判定がオンが否かを判定し、肯定判断されると、ステップS402以降の処理をスキップして本フローを終了する。
【0033】
ステップS401が否定判断されるとステップS402に進む。ステップS402,S403は基準値設定手段としての処理であり、ステップ102で算出した今回低下率が前回低下率よりも大きいか否かを判定する。肯定判断されると、すなわち、前回から今回にかけてセンサ出力低下率が増大している場合は、ステップS403をスキップしてステップS404に進む。ステップS402が否定判断されると、すなわち、前回から今回にかけてセンサ出力低下率が低下している場合は、ステップS403で、センサ出力低下率の前回の値を基準値である最大低下率とし、ステップS404に進む。
【0034】
このステップS403における処理は次の意味を有する。すなわち、センサ出力低下率は、雨滴の滴下により増大していくが、このときはステップS403は肯定判断される。そして、ウィンドシールド外側表面Waの撥水性に基因してセンサ出力低下率が戻りだすとステップS402が否定判断され、最大低下率がセンサ出力低下率の前回値とされる(ステップS403)。センサ出力低下率が戻りだしたことで、前回、センサ出力低下率が極大となったものと判断できるからである。すなわち、最大低下率は、センサ出力低下率が1回の雨滴の滴下により到達する極大値である。そして、次回以降の本処理において、センサ出力低下率は、最大低下率から漸次、減少していくことになる。その減少幅は、ウィンドシールド外側表面Waの撥水性が高いほど大きなものとなる。
【0035】
ステップS404では、後述する撥水判定カウンタが3以上か否かを判定する。撥水判定カウンタは、後述するステップS406でウィンドシールドWが撥水ガラスである可能性が肯定された回数を示すもので、3以上であればウィンドシールドWが撥水ガラスであると判断する。すなわち、ステップS404が肯定判断されると、ステップS405で撥水ガラス判定をオンして、本フローを終了する。
【0036】
ステップS404が否定判断されるとステップS406に進む。ステップS406は判定手段としての処理であり、最大低下率から今回のセンサ出力低下率を減じ、これを予め設定した閾値Tと比較し、最大低下率から今回のセンサ出力低下率を減じたものが閾値Tよりも大きいか否かを判定する。
【0037】
図8(A)、図8(B)はセンサ出力低下率の経時変化を示すもので、図8(A)が通常のウィンドシールドの場合(以下、適宜、撥水ガラスではない場合という)で、図8(B)がウィンドシールド外側板面Waに撥水剤を塗布する等で撥水性が高い場合(以下、適宜、撥水ガラスの場合という)である。これにより、ステップS406が肯定判断される場合と否定判断される場合とを説明する。降雨があり、雨滴がウィンドシールド外側板面Waに滴下すると、前記のごとくセンサ出力が低下するが、雨滴は落下時に一旦ごく薄い膜状になった後で表面張力により少し盛り上がるので、反射率がやや回復し、センサ出力がやや回復する。すなわち、雨滴の滴下により増大したセンサ出力低下率が戻る。かかる挙動は撥水ガラスであると否とによらず現れるが、撥水性が高いほど雨滴の盛り上がり方も顕著になるので、ウィンドシールドWが撥水ガラスの場合の方が、センサ出力低下率の戻り量が大きい。すなわち、センサ出力低下率が最大低下率から大きく下降する。したがって、閾値Tを適当に選べば、ウィンドシールドWが撥水ガラスの場合とそうでない場合とを区別することができる。すなわち、最大低下率から今回のセンサ出力低下率を減じたものが閾値Tよりも大きければ撥水ガラスである可能性が高く、閾値Tよりも小さければ撥水ガラスではない可能性が高いということになる。
【0038】
(最大低下率−今回のセンサ出力低下率)が閾値Tよりも大きく、ステップS406が肯定判断されれば、ステップS407で前記撥水カウンタを「1」インクリメントし、本フローを終了する。また、ステップS406が否定判断されれば、ステップS408で撥水カウンタを「0」とするとともに、ステップS409で撥水ガラス判定をオフとし、本フローを終了する。
【0039】
これにより、(最大低下率−今回のセンサ出力低下率)が閾値Tよりも大きいか否かを判定するステップS406が連続して3回、肯定判断されないと、撥水ガラス判定は オンとならず、ノイズ等に基因した誤判定を防止して、撥水ガラスか否かの判定の確度を高めている。
【0040】
撥水ガラス判定処理(ステップS112)に続くステップS113〜S117は雨滴量演算手段としての処理で、ステップS113では、ステップS112の撥水ガラス判定結果に基づいてウィンドシールドWが撥水ガラスか否かを判定し、否定判断されると、ステップS114で、前回センサ出力低下率が今回センサ出力低下率よりも小さいか否かを判定し、肯定判断されると、ステップS115で今回センサ出力低下率から前回センサ出力低下率を減じて、これを積算雨滴量に加算する。ステップS115実行後、ステップS116に進む。また、ステップS114が否定判断されると、ステップS115をスキップしてステップS116に進む。すなわち、センサ出力低下率が上昇したときのみその今回値から前回値を減じたものを積算していくことになる。
【0041】
ステップS114,S115は次の意味を有する。すなわち、センサ出力低下率が上昇している期間は、ウィンドシールド外側板面Waに雨滴が滴下してセンサ出力低下率が増大を開始してから、ウィンドシールド外側板面Waの撥水性に基因してセンサ出力低下率が減少方向に転じるまでの期間である。したがって、この期間内の(今回値−前回値)を積算すると、雨滴の滴下に基因したセンサ出力低下率の上昇幅だけを積算したものが得られることになる。
【0042】
一方、ウィンドシールドWが撥水ガラスか否かを判定するステップS113が肯定判断されると、ステップS118で、前回センサ出力低下率が今回センサ出力低下率よりも小さいか否かを判定し、肯定判断されると、ステップS119で今回の値を最大低下率とする。ステップS119を実行し、ステップS116に進む。また、ステップS118が否定判断されると、ステップS119をスキップしてステップS116に進む。すなわち、最大低下率が、今回までで最大となるセンサ出力低下率に更新されていくことになる。
【0043】
ステップS116では、所定期間である雨判定期間中か否かを判定する。これはウィンドシールドWを挟んでレインセンサ11と対向する位置(センサ11位置)をワイパ2が横切るタイミングか否かに基づいて判定し、ワイパ2が横切るタイミングでなければ雨判定期間中と判断する。ワイパ2の作動状態については駆動回路14への制御信号に基づいて知られる。
【0044】
肯定判断されると、ステップS102に戻る。
【0045】
ステップS116が否定判断されると、ステップS117で、ステップS115若しくはS119で得られた積算雨滴量若しくは最大低下率に基づいて平均雨滴量を算出する。なお、積算雨滴量は、雨判定期間中でステップS116が否定判断されている間、すなわち、ワイパ2が雨滴を払拭した後、次にワイパ2が雨滴を払拭するまでに、ウィンドシールドWaに付着する雨滴によりウィンドシールドWを透した前方の視界が遮られていく期間の積算量である。また、最大低下率は、前記期間に最終的に達したセンサ出力低下率の最大値であるが、前記期間の始期から終期までのセンサ出力低下率の変化量ということもできる。
【0046】
平均は、積算雨滴量若しくは最大低下率の他、過去に演算された直近の15回分の積算雨滴量若しくは最大低下率を含む16回分の積算雨滴量若しくは最大低下率の移動平均である。平均値の演算後、記憶された過去の積算雨滴量若しくは最大低下率のうち、最も旧いものが今回の積算雨滴量若しくは最大低下率により書き換えられる。なお、ステップS115で積算雨滴量の演算に用いられる変数としての積算雨滴量は、本処理の実行後に初期値にリセットされ、前記のごとく前記雨判定期間中における積算雨滴量となる。ステップS117が実行されると前記ステップS106に進む。
【0047】
本発明によれば、撥水ガラスと判断されると、最大低下率に基づいて平均雨滴量が算出されるので、雨滴の滴下ごとに生じるセンサ出力低下率の戻りが誤差となって累積しない。これにより、雨滴量が過剰に認識されることが回避され、低速の払拭速度でも十分なときに高速でワイパ2が払拭作動するということを回避することができる。
【0048】
しかも、イグニッションオン後、降雨があると、その都度、撥水ガラスか否かを判断して、雨滴量の算出方法を切り替えるから、ウィンドシールド外側面Waに撥水剤を塗布するユーザーであるとないとにかかわらず、また、撥水剤の塗布後の経過時間に応じて撥水性が変わっても適切に雨滴量が求められるから、実用性が高い。
【0049】
なお、本実施形態では撥水ガラスではない場合には積算雨滴量を求め、撥水ガラスの場合には最大低下率を求めるようにしているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、車両のウィンドシールドを透過し該ウィンドシールドの外側板面に向けて光を照射するとともに、該板面で反射する反射光を受けて反射光の強度に応じた信号を出力する雨滴検出手段を使って雨滴量を求めるものであれば、ウィンドシールド外側板面における撥水性が高ければ反射光が影響を受けて雨滴量の測定誤差が増大するので、撥水性の高低を判定して、撥水性に応じて雨滴量を求めるようにすることで、ワイパの制御を適正に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、ワイパ制御装置1として、図1に示すように、レインセンサ11とスイッチ12、制御回路13、および駆動回路14をそれぞれ独立して配設する構成を示したが、このうちの少なくとも2つ以上を組み合わせた構成でも同等の効果を奏する。例えば制御回路13を図2の基板5に形成することで、レインセンサ11と制御回路13とを一体化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイパ制御装置の構成図である。
【図2】前記ワイパ制御装置を構成するレインセンサの断面図である。
【図3】前記ワイパ制御装置を構成する制御回路で実行される制御内容を示す第1のフローチャートである。
【図4】前記ワイパ制御装置を構成する制御回路で実行される制御内容を示す第2のフローチャートである。
【図5】前記ワイパ制御装置を構成する制御回路で実行される制御内容を示す第3のフローチャートである。
【図6】前記ワイパ制御装置を構成する制御回路で実行される制御内容を示す第4のフローチャートである。
【図7】前記ワイパ制御装置を構成する制御回路で実行される制御内容を示す第5のフローチャートである。
【図8】(A)(B)はそれぞれ前記ワイパ制御装置の作動を説明するための、レインセンサの出力低下率の経時変化を示すグラフである。
【図9】レインセンサの出力の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 制御装置
11 レインセンサ
12 スイッチ
13 制御回路(雨滴量演算手段、撥水性検知手段、基準値設定手段、判定手段)
14 駆動回路
2 ワイパ
W ウィンドシールド
Wa 外側の板面
Claims (3)
- ウィンドシールドを透過し該ウィンドシールドの外側の板面に向けて光を照射するとともに、該板面で反射する反射光を受けて雨滴検出を行う雨滴検出手段と、該雨滴検出手段からの雨滴検出出力に基づいて、前記ウィンドシールドの外側の板面に付着した雨滴の量を演算する雨滴量演算手段とを具備し、演算された雨滴量に基づいて前記雨滴を払拭するワイパの払拭速度と間欠時間を制御するワイパ制御装置において、
前記ウィンドシールドの外側の板面に雨滴が滴下して前記反射光が弱まる方向に雨滴検出出力が変化した後、前記反射光が強まる方向に雨滴検出出力が戻るときにその戻り量を演算し、該戻り量が予め設定した値より大きいか否かで前記ウィンドシールドの外側の板面の撥水性が高いか否かを判定する撥水性検知手段を具備せしめ、
前記撥水性が高いと判定されると、前記雨滴量演算手段を、所定期間の始期から終期までの雨滴検出出力が、前記反射光が弱まる方向に最も変化したときの雨滴検出出力に基づいて雨滴量を演算し、前記戻り量に相当する雨滴量を積算しないことで、雨滴量の演算に際し、前記雨滴検出出力の戻り量に基因した誤差が減じられるように設定し、
前記判定が否定判断されると、前記雨滴量演算手段を、所定期間に、前記ウィンドシールド外側板面に雨滴が滴下して前記反射光が弱まる方向に雨滴検出出力が変化するごとに、雨滴検出出力の変化量を積算して雨滴量を演算するように設定したことを特徴とするワイパ制御装置。 - 請求項1記載のワイパ制御装置において、前記撥水性検知手段は、今回の雨滴検出出力と前回の雨滴検出出力とを比較して、前記反射光が弱まる方向に雨滴検出出力が変化しているか否かを判定し、該判定が否定判断されると判定時における前回の雨滴検出出力を基準値とする基準値設定手段と、前記基準値から前記反射光が強まる方向への雨滴検出出力の変化量である前記戻り量を、前記予め設定した値である閾値と比較することで前記撥水性が高いか否かを二値判定し、該閾値以上、前記反射光が強まる方向に雨滴検出出力が戻ると、前記ウィンドシールド外側板面の撥水性が高いものと、判定する判定手段とを具備するワイパ制御装置。
- 請求項1または2いずれか記載のワイパ制御装置において、
前記雨滴量演算手段は、前記所定期間を、ワイパが雨滴を払拭した後、次に前記ワイパが雨滴を払拭するまでの期間とし、
前記撥水性が低い側では、前記所定期間において、雨滴による検出出力低下率の前回値と今回値を比較し、前回より今回の雨滴検出出力低下率が上昇したときのみ、前記雨滴検出出力の変化量である前回と今回の雨滴検出出力低下率の差を加算して、その積算値を雨滴量とし、前記撥水性が高い側では、前記所定期間の始期から終期までの雨滴検出出力に基づき演算される検出出力低下率の最大値である最大低下率を雨滴量とするように設定したワイパ制御装置。
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