JP4078744B2 - 電動シ−ト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着座者を支持又は保護する部材を電動機構で駆動する電動シ−トに関し、特に、これに限定する意図ではないが、着座者から見て前後方向にシ−トを駆動する電動駆動機構Aおよびヘッドレストを上下方向に駆動する電動駆動機構Bを含み、乗物に装備される電動シ−トに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両上のドライバシ−トや、その隣りのシ−ト(前部シ−ト)には、この種の電動シ−トが用いられる。駆動機構には位置検出器が結合され、着座者が設定したシ−ト前後位置がメモリに記憶される。いったんメモリに記憶すると、自動設定指示キ−を押すだけで、記憶位置が再現される。位置検出器は例えば、機構の移動限界点を検出するリミットスイッチと、機構に連結されたロ−タリエンコ−ダで構成され、シ−ト姿勢コントロ−ラの主体であるCPUが、リミットスイッチによる限界位置検知が成立したときに、位置デ−タを、限界位置に割り付けられたデ−タに更新する。例えば、下限位置を検知したときには、位置デ−タを0を示すデ−タに初期化し、上限位置を検知したときには、位置デ−タを、上限位置Pmaxを示すものに更新する。下限位置から上限位置に向かう方向の機構駆動中にCPUは、ロ−タリエンコ−ダが発生する移動同期パルスをカウントアップし、逆方向の機構駆動中にはカウントダウンして、位置デ−タを更新する。通常の場合、駆動モ−タの過電流を検出する過負荷検出器を備えて、それが過電流を検出すると、機構トラブル又は限界位置到達と見なして機構駆動を停止する。これを利用して、機構の下限位置到達,上限位置到達を認知する位置検出も知られている。
【0003】
記憶位置への位置設定(自動姿勢設定)が指示されるとCPUは、メモリの記憶位置を目標位置として、保持している位置デ−タ(現在位置)を目標位置と比較して機構駆動方向(電気モ−タの回転方向)を定めて機構を駆動し、位置デ−タが目標位置になると機構駆動を停止する。
【0004】
電源が遮断(車両バッテリとの接続断,又はエンジンキ−スイッチオフ)になる度に、位置デ−タが消滅する電動シ−トの場合には、電源が投入された直後に、機構を下限位置に駆動し、リミットスイッチが下限位置到達を検知したとき、又は、下限位置での機構の移動限界による過負荷を検出したときに、位置デ−タに初期値(例えば下限位置を表わす零)を与えて、それから元位置への戻し駆動と機構位置の追跡(ロ−タリエンコ−ダの発生パルスのカウントによる位置デ−タの更新)を開始する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この態様では、電源オンのたびに、シ−トを限界位置に駆動する必要がある。限界位置は、通常の位置決め領域より外れているので、電源オンになったときの機構位置から限界位置までの駆動には比較的に長い時間がかかり、また、限界位置から元位置(電源オン時の位置)に戻すにも同程度の時間がかかる。
【0006】
最近は、シ−トの前後位置(スライド位置)からヘッドレストの目標位置を算出して、シ−ト前後位置対応で自動的にヘッドレストの上下位置を定めるヘッドレスト自動調整設定も知られている(例えば独国実用新案第9421781号公報)。この場合には、シ−トを限界位置に駆動してシ−ト前後位置デ−タを初期化し、ヘッドレストを限界位置に駆動して上下位置デ−タを初期化し、そしてシ−トを、位置を追跡しつつ(シ−ト位置デ−タを更新しつつ)元位置に戻し、そしてシ−ト位置デ−タからヘッドレスト目標位置を算出してヘッドレストを、その位置を追跡しつつ目標位置に駆動することになり、ヘッドレストの位置設定にかなりの時間がかかる。
【0007】
これを避けるため、不揮発性メモリを備えるか、あるいは、コントロ−ラの主体であるCPUには、エンジンキ−スイッチオフの間も常にデ−タ保持および入力(指示,センサ)監視が可能な電圧を印加して、常時位置デ−タを保持する態様もある。これによればエンジンキ−スイッチのオン,オフにかかわらず、現在位置デ−タが保持されるので、エンジンキ−スイッチのオンの度に機構を限界位置に駆動する必要はなく、例えば、通常は、エンジンキ−スイッチのオフの間もオンのままとされ、電動シ−トの電源回路を車両バッテリに接続する電動シ−ト用電源スイッチを、オフからオンにした直後、あるいはオンにしたまま車両バッテリを交換した直後、つまり電動シ−トの電源回路を元電源(車両バッテリ)に接続したときに、機構を限界位置に駆動して位置デ−タを初期化すればよく、車上でのエンジンキ−スイッチオンの度に、限界位置に駆動する必要はない。しかし、この態様では、位置デ−タの初期化の機会がほとんどないので、位置デ−タ処理誤差(微小値),メカ部のガタや外乱ノイズ等により、実際の位置とコントロ−ラが認識している位置(位置デ−タが表わす位置)との間のズレが蓄積して行き、シ−ト位置が、記憶位置からずれ、ヘッドレストが最適高さから大きくズレる可能性が考えられる。
【0008】
本発明は、電動シ−トの位置設定ズレの増大を抑止することを第1の目的とし、位置デ−タの初期化に要する時間を節減することを第2の目的とし、ヘッドレストの高さ自動設定の位置が最適高さより低く設定されないことを第3の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための技術手段】
(1)着座者を支持するかまたは保護するための部材(1/3)を駆動する電動駆動機構(A/B);前記部材(1/3)の位置(RPA/RPB)を検出する位置検出手段(A2,A3,6a,9a,10/B2,B3,6b,9b,10);駆動指示を入力する手段(SB,SC);および、該入力手段による駆動指示に応答して前記電動駆動機構を制御する手段(10,9a/10,9b);を備える電動シ−トにおいて:
前記位置検出手段(A2,A3,6a,9a,10/B2,B3,6b,9b,10)は、前記部材(1/3)の移動領域の略中央の一点(IPb;基準点)を境にした2領域(B+C,A+D/B+A,C+D)のいずれに部材があるかを検出する領域検出手段(A3/B3),前記電動駆動機構に連結され部材移動同期パルスを発生するパルス発生器(A2/B2)、および、該部材移動同期パルスをカウントして部材位置デ−タを生成し前記領域検出手段の領域検出が切換わったときに該部材位置デ−タ(RPA/RPB)を前記一点の位置(PAref/PBref)を表わすものに更新する位置デ−タ処理手段(9a/9b,10,図6の42,43)、を含む;ことを特徴とする。
【0010】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素の符号又は対応事項を、参考までに付記した。以下も同様である。
【0011】
これによれば、位置デ−タ処理手段(9a/9b,10,図6の42,43)が、部材移動同期パルスをカウントして部材位置デ−タ(RPA/RPB)を更新し、部材位置が、前記一点(IPb)を通過して領域検出手段(A3/B3)の検出領域が切換わったときに、部材位置デ−タ(RPA/RPB)を初期化する。ここでは、前記一点(IPb)の位置(PAref/PBref)を表わすものに定める。
【0012】
この一点が、部材(1/3)の移動領域(PAmin〜PAmax/PBmin〜PBmax)の略中央の位置(PAref/PBref)であり、移動領域(PAmin〜PAmax/PBmin〜PBmax)の限界位置(PAmin,PAmax/PBmin,PBmax)の近くであるほど、そこに部材(1/3)が位置決めされるとか、通過する確率が低く、移動領域(PAmin〜PAmax/PBmin〜PBmax)の略中央に近いほど部材(1/3)が位置決めされるとか、通過する確率が高いので、部材(1/3)が該一点(PAref/PBref)を通過し、これに応答して位置デ−タ処理手段(9a/9b,10,図6の42,43)が位置デ−タ(RPA/RPB)を該一点の位置(PAref/PBref)を表わすものに初期化する可能性が高く、これにより、部材位置設定のズレの増大の可能性が低減する。
【0013】
例えば、位置デ−タ処理手段(9a/9b,10,図6の42,43)への動作電圧(少くとも位置デ−タを保持しうる電圧)が途断え、その後動作電圧が与えられたが位置デ−タが消失しているとき、領域検出手段(A3/B3)の領域検出にて、部材位置が前記一点(PAref/PBref)を境にした2領域のいずれであるかが分かる。そこで、仮に、前述のように元電源(車両バッテリ)と接続した時に部材(1/3)を駆動して位置デ−タを初期化する態様を想定すると、領域検出手段(A3/B3)の検出領域に対応して、それが前記一点(PAref,PBref)より基点側の領域であると機構(A/B)を終点向きに駆動し、終点側の領域であると基点向きに駆動する。すると、該一点(PAref,PBref)が移動領域(PAmin〜PAmax/PBmin〜PBmax)の略中央であるので、機構(A/B)の駆動開始からすぐに、部材(1/3)が該一点(PAref,PBref)を通過し、これに応答して位置デ−タ処理手段(9a/9b,10,図6の42,43)が位置デ−タ(RPA/RPB)を該一点の位置(PAref,PBref)を表わすものに初期化する。したがって、電動シ−トの位置デ−タの初期化に要する時間が大幅に低減する。
【0014】
【発明の実施の形態】
(2)位置デ−タ処理手段は、部材移動同期パルスをカウントして部材位置デ−タを更新するとき、更新により部材位置デ−タが、領域検出手段が検出している領域とは違った領域の位置デ−タとなるときは、該更新は保留または前記一点の位置を表わすものに更新する。
【0015】
これによれば、部材(1/3)が該一点(PAref,PBref)の近くにあるとき、領域検出手段が該一点を境にした2領域の一方を検出しているのに、部材位置デ−タは他方の領域内の位置を表わすなどの、領域検出と位置デ−タとの不整合を生じない。領域切換わりに応じた部材位置デ−タの校正精度がより向上する。
(3)位置検出手段は更に、部材の移動領域の端での電動駆動機構の過負荷を検出する手段(ra,6a/rb,6b)を含み;位置デ−タ処理手段は、部材の駆動中に該過負荷検出手段が過負荷を検出すると部材位置デ−タを端位置を表わすもの(PAmin,PAmax/PBmin,PBmax)に更新する。
【0016】
これによれば、移動領域の端での過負荷検出によっても位置デ−タが更新される。これも位置デ−タの初期化であり、初期化の確率が高くなるので、その分、デ−タ処理誤差,機構ガタ,外乱ノイズ等による位置デ−タずれの累積が抑制される。
(4)位置デ−タ処理手段(9a/9b,10)は、部材位置デ−タ(RPA/RPB)を保持しうる電圧を与える電源に接続されたときに、領域検出手段(A3/B3)が、部材(1/3)が前記一点(PAref/PBref)より基点(PAmin=0/PBmin=0)側の領域を検出していると、部材位置デ−タ(RPA/RPB)を該一点の位置または基点の位置を表わすもの(PAref/PBref,PAmin/PBmin)に定め、終点側の領域を検出していると、部材位置デ−タを終点の位置(PAmax,PBmax)または前記一点の位置(PAref/PBref)を表わすものに定める(図3の7〜9)。
【0017】
これにより電源オン直後の部材位置デ−タ(RPA/RPB)は、実位置よりも終点側のものとなる。例えばシ−ト前後位置に対応する高さにヘッドレストを自動設定する態様では、シ−ト前後位置デ−タ(RPA)に対応する高さにヘッドレストが位置決めされ、この高さは、実際のシ−ト前後位置に対応する適正なヘッドレスト位置より高い位置となる。車両前部のシ−トの場合、例えばドライバシ−トの場合、ヘッドレストが適正位置より低いと、例えば追突されたときに首まわりに障害を生ずる可能性が高いが、ヘッドレストが適正位置よりも高い場合には、障害を生ずる可能性は格別に高くならない。したがって、電源オン直後は自動的に安全サイドの、シ−ト前後位置に対応するヘッドレストの高さより高い位置に、ヘッドレストが位置決めされる。
(5)前記電動駆動機構は、着座者から見て前後方向にシ−ト(1)を駆動する電動駆動機構Aおよび着座者を保護するヘッドレストを上下方向に駆動する電動駆動機構Bを含み;制御手段(10,9a,9b)は、シ−トの前後位置に予め対応付けられているヘッドレスト位置(PBs)に、電動駆動機構Bを介して連動してヘッドレスト(3)を駆動する(図4のHRA,図7の58〜60)。この内容は後に、更に詳しく展開して示す。
(6)着座者から見て前後方向にシ−ト(1〜3)を駆動する電動駆動機構A;該前後方向のシ−ト位置(RPA)を検出する前後位置検出手段(A2,A3,6a,9a,10);前記シ−トのヘッドレスト(3)を上下駆動する電動駆動機構B;該ヘッドレストの上下方向の位置(RPB)を検出するヘッドレスト位置検出手段(B2,B3,6b,9b,10);駆動指示を入力する手段(SB,SC);および、該入力手段による駆動指示に応答して電動駆動機構を制御する手段(10,9a,9b);を備える電動シ−トにおいて:
前後位置検出手段(A2,A3,6a,9a,10)は、前後方向のシ−ト移動領域(PAmin〜PAmax)の略中央の一点(PAref)を境に、該点より前側のとき(PAmin〜PAref)と後側のとき(PAref〜PAmax)で状態が切換わる前後検出手段(A3),電動駆動機構Aに連結されシ−ト移動同期パルスを発生するパルス発生器(A2)、および、該シ−ト移動同期パルスをカウントして前後位置デ−タ(RPA)を生成し前記前後検出手段(A3)の状態の切換わりのときに該前後位置デ−タ(RPA)を前記一点(PAref)の位置を表わすものに更新する位置デ−タ処理手段(9a,10,図6の42,43)、を含む;ことを特徴とする。
【0018】
これによれば、位置デ−タ処理手段(9a,10,図6の42,43)が、シ−ト移動同期パルスをカウントして前後位置デ−タ(RPA)を更新し、シ−ト前後位置が、前記一点(基準点)を通過して前後検出手段(A3)の状態が切換わったときに、前後位置デ−タ(RPA)を初期化する。ここでは、基準点(前記略中央の一点)の位置PArefを表わすものに定める。
【0019】
この基準点が、前後方向のシ−ト移動領域(PAmin〜PAmax)の略中央の一点(PAref)であり、シ−ト移動領域(PAmin〜PAmax)の限界位置(PAmin,PAmax)の近くであるほど、そこにシ−トが位置決めされるとか、通過する確率が低く、移動領域(PAmin〜PAmax)の略中央に近いほどシ−トが位置決めされるとか、通過する確率が高いので、シ−トが該一点(PAref)を通過し、これに応答して位置デ−タ処理手段(9a,10,図6の42,43)が位置デ−タ(RPA)を前記一点(PAref)の位置を表わすものに初期化する可能性が高く、これにより、シ−ト前後位置設定のズレの増大の可能性が低減する。
【0020】
例えば位置デ−タ処理手段(9a,10,図6の42,43)への動作電圧(少くとも位置デ−タを保持しうる電圧)が途断え、その後動作電圧が与えられたが位置デ−タが消失しているとき、前後検出手段(A3)の状態にて、シ−ト位置が前記一点(PAref)より前側か後側かが分かる。そこで、仮に、前述のように元電源(車両バッテリ)と接続した時にシ−トを駆動して位置デ−タを初期化する態様を想定すると、前後検出手段(A3)の状態に対応して、それが前記一点(PAref)より前側であると機構Aを後側向きに駆動し、後側であると前側向きに駆動する。すると、前記一点(PAref)がシ−ト移動領域(PAmin〜PAmax)の略中央であるので、機構Aの駆動開始からすぐに、シ−トが前記一点(PAref)を通過し、これに応答して位置デ−タ処理手段(9a,10,図6の42,43)が位置デ−タ(RPA)を前記一点(PAref)の位置を表わすものに初期化する。したがって、電動シ−トの位置デ−タの初期化に要する時間が大幅に低減する。
(7)着座者から見て前後方向にシ−ト(1〜3)を駆動する電動駆動機構A;該前後方向のシ−ト位置(RPA)を検出する前後位置検出手段(A2,A3,6a,9a,10);前記シ−トのヘッドレスト(3)を上下駆動する電動駆動機構B;該ヘッドレストの上下方向の位置(RPB)を検出するヘッドレスト位置検出手段(B2,B3,6b,9b,10);駆動指示を入力する手段(SB,SC);および、該入力手段による駆動指示に応答して電動駆動機構を制御する手段;を備える電動シ−トにおいて:
ヘッドレスト位置検出手段(B2,B3,6b,9b,10)は、上下方向のヘッドレスト移動領域(PBmin〜PBmax)の略中央の一点(PBref)を境に、該点より下側のとき(PBmin〜PBref)と上側のとき(PBref〜PBmax)で状態が切換わる上下検出手段(B3),電動駆動機構Bに連結されヘッドレスト移動同期パルスを発生するパルス発生器(B2)、および、該ヘッドレスト移動同期パルスをカウントしてヘッドレスト位置デ−タ(RPB)を生成し前記上下検出手段(B3)の状態の切換わりのときに該ヘッドレスト位置デ−タ(RPB)を前記一点(PBref)の位置を表わすものに更新する位置デ−タ処理手段(9b,10,図8の65,66)、を含む;ことを特徴とする電動シ−ト。
【0021】
これによれば、上記(6)項にて説明した作用,効果と同様なものが、ヘッドレストの上下位置決めに関して、同様にもたらされる。
(8)位置デ−タ処理手段(9a,10)は、ヘッドレスト位置デ−タ(RPB)を保持しうる電圧を与える電源に接続されたときに、上下検出手段(B3)が、ヘッドレストが前記一点(PBref)より下側のとき(PBmin〜PBref)の状態であると、ヘッドレスト位置デ−タ(RPB)をヘッドレスト移動領域(PBmin〜PBmax)の下端(PBmin)の位置を表わすものに定め、上下検出手段(B3)が、ヘッドレストが前記一点(PBref)より上側のとき(PBref〜PBmax)の状態であると、ヘッドレスト位置デ−タ(RPB)を前記一点(PBref)の位置を表わすものに定める(図3の10〜12)。
【0022】
これにより電源オン直後のヘッドレスト上下位置デ−タ(RPB)は、実位置よりも下側のものとなる。この上下位置デ−タ(RPB)に基づきシ−ト前後位置に対応するヘッドレスト位置(PBs)との差分だけヘッドレスを駆動するため、実際の適正位置より高い位置にヘッドレストが位置決めされる。
(9)ヘッドレスト位置検出手段(B2,B3,6b,9b,10)は更に、ヘッドレスト移動領域(PBmin〜PBmax)の端(PBmin,PBmax)での電動駆動機構Bの過負荷を検出する手段(6b)を含み;位置デ−タ処理手段(9b,10)は、ヘッドレストの下方向駆動中に該過負荷検出手段(6b)が過負荷を検出するとヘッドレスト位置デ−タ(RPB)を下側の端の位置を表わすもの(PBmin)に更新し、ヘッドレストの上方向駆動中に該過負荷検出手段(6b)が過負荷を検出するとヘッドレスト位置デ−タ(RPB)を上側の端の位置を表わすもの(PBmax)に更新する。
【0023】
これによれば、ヘッドレスト移動領域(PBmin〜PBmax)の端(PBmin,PBmax)での過負荷検出によっても上下位置デ−タ(RPB)が更新される。上下位置デ−タの初期化の確率が高いので、その分、デ−タ処理誤差,機構ガタ,外乱ノイズ等による位置デ−タずれの累積が抑制される。
(10)着座者から見て前後方向にシ−ト(1〜3)を駆動する電動駆動機構A;前記シ−トのヘッドレスト(3)を上下駆動する電動駆動機構B;前記前後方向のシ−ト位置(RPA)およびヘッドレストの上下方向の位置(RPB)を検出する、位置検出手段(A2,A3,6a,9a,B2,B3,6b,9b,10);駆動指示を入力する手段(SB,SC);および、該入力手段による駆動指示に応答して電動駆動機構を制御する手段(10,9a,9b);を備える電動シ−トにおいて:
位置検出手段(A2,A3,6a,9a,B2,B3,6b,9b,10)は、前記前後方向および上下方向を直交2軸とし、前後方向のシ−ト移動領域(PAmin〜PAmax)および上下方向のヘッドレスト移動領域(PBmin〜PBmax)にて形成される面領域を、その中心近くの一点を通る各軸平行線にて4分割した、
前後方向の位置が前記一点又はそれより後側かつヘッドレスト上下位置が
前記一点又はそれより上側であるエリアA,
前後方向の位置が前記一点より前側かつヘッドレスト上下位置が
前記一点より上側であるエリアB,
前後方向の位置が前記一点より前側かつヘッドレスト上下位置が
前記一点より下側であるエリアC,および、
前後方向の位置が前記一点より後側かつヘッドレスト上下位置が
前記一点より下側であるエリアD、
のいずれに、シ−ト前後位置(RPA)とヘッドレスト上下位置(RPB)を各軸値とする点が属するかを判定するための領域検出手段(A3,B3),電動駆動機構Aに連結されシ−ト移動同期パルスを発生するパルス発生器(A2),電動駆動機構Bに連結されヘッドレスト上下移動同期パルスを発生するパルス発生器(B2),および、シ−ト移動同期パルスをカウントして前後位置デ−タ(RPA)を生成し、ヘッドレスト上下移動同期パルスをカウントして上下位置デ−タ(RPB)を生成し、領域検出手段(A3,B3)による検出領域に切換わりがあったとき前後方向の切換わりのときには前後位置デ−タ(RPA)を前記一点の前後位置(PAref)を表わすものに更新し、ヘッドレスト上下方向の切換わりのときには上下位置デ−タ(RPB)を前記一点の上下位置(PBref)を表わすものに更新する位置デ−タ処理手段(9a,9b,10,図6の41,42,図8の64,65)、を含む;ことを特徴とする。
【0024】
これは前記(6)の態様と(7)の態様とのコンビネ−ションであり、上記(6)および(7)に記述した作用,効果が共に実現する。
(11)位置デ−タ処理手段(9a,9b,10)は、位置デ−タ(RPA,RPB)を保持しうる電圧を与える電源に接続されたときに、
領域検出手段(A3,B3)がエリアAであると検出したときは、
位置デ−タ(RPA,RPB)を、前後方向の後側の端の、エリアAと
エリアDが接する点(IPa)の位置デ−タ(PAmax,PBref)に定め、
領域検出手段(A3,B3)がエリアBであると検出したときは、
位置デ−タ(RPA,RPB)を、前記4分割する各軸平行線が通る
前記一点(IPb)の位置デ−タ(PAref,PBref)に定め、
領域検出手段(A3,B3)がエリアCであると検出したときは、
位置デ−タ(RPA,RPB)を、上下方向の下側の端の、エリアCと
エリアDが接する点(IPc)の位置デ−タ(PAref,PBmin)に定め、あるいは、
領域検出手段(A3,B3)がエリアDであると検出したときは、
位置デ−タ(RPA,RPB)を、前後方向の後側の端と上下方向の下側の端である、
エリアDのコ−ナ(IPd)の位置デ−タ(PAmax,PBmin)に定める(図3の7〜12)。
【0025】
この態様は、前記(4)の態様と(8)の態様とのコンビネ−ションであり、上記(4)および(8)に記述した作用,効果が共に実現する。
(12)位置検出手段(A2,A3,6a,9a,B2,B3,6b,9b,10)は更に、前後方向のシ−ト移動領域(PAmin〜PAmax)の端(PAmin,PAmax)での電動駆動機構Aの過負荷を検出する手段(6a)および上下方向のヘッドレスト移動領域(PBmin〜PBmax)の端(PBmin,PBmax)での電動駆動機構Bの過負荷を検出する手段(6b)を含み;
位置デ−タ処理手段(9a,9b,10)は、シ−トの前方向駆動中に過負荷検出手段(6a)が過負荷を検出すると前後位置デ−タ(RPA)を前側の端の位置を表わすもの(PAmin)に更新し、シ−トの後方向駆動中に該過負荷検出手段(6a)が過負荷を検出すると前後位置デ−タ(RPA)を後側の端の位置を表わすもの(PAmax)に更新し、ヘッドレストの下方向駆動中に過負荷検出手段(6b)が過負荷を検出すると上下位置デ−タ(RPB)を下側の端の位置を表わすもの(PBmin)に更新し、ヘッドレストの上方向駆動中に過負荷検出手段(6b)が過負荷を検出すると上下位置デ−タ(RPB)を上側の端の位置を表わすもの(PBmax)に更新する。
【0026】
これは前記(3)の態様をシ−トの前後位置デ−タとヘッドレストの上下位置デ−タの処理に適用したものであり、上記(3)に記述した作用,効果が実現する。
【0027】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0028】
【実施例】
図1に、本発明の一実施例の、機構概要を示す。図1に示す電動シ−トは、ドライバシ−トであって、シ−トクッション1(着座部),シ−トバック2およびヘッドレスト3から構成されるものであって、周知の電動駆動機構A(スライド調整機構)を介して車両フロアに対して、車両の前後軸が延びる方向(以下前後方向)に移動自在に支持されている。シ−トクッション1の前部および後部は、周知の電動駆動機構CおよびDで、それぞれ上下駆動され、これによりシ−トクッション1の高さおよび前後方向の傾斜が調整される。
【0029】
シ−トバック2は、周知の電動駆動機構E(リクライニング機構)にてシ−トクッション1に対して前後方向に傾動可に結合されている。ヘッドレスト3は、シ−トバック2の上部に、周知の電動駆動機構B(昇降機構)を介して上下方向(正しくはシ−トバック2の先端に対して接離する方向)に移動自在に支持されている。シ−トバック2には更に、水平軸廻りに回動することによって着座者に対して突出し/退避するランバ−サポ−トがあり、このランバサポ−トを周知の電動駆動機構Fが回転(突出し/退避)駆動する。
【0030】
図2に、上述の電動駆動機構A〜Fに組込まれた電気要素と、各機構を駆動するシ−トECU(シ−ト姿勢制御用の電子制御装置)の構成を示す。シ−トを前後方向に駆動する電動駆動機構Aの原動機である電気モ−タA1は、逆転回路4aおよび正転回路5aに接続されており、逆転回路4aは、モ−タコントロ−ラ9aが逆転(後方へ駆動)を指示すると電気モ−タA1に逆転用の通電をし、これにより電気モ−タA1が逆回転して、シ−トが前方向(フロント方向)に移動する。正転回路5aは、モ−タコントロ−ラ9aが正転(前方へ駆動)を指示すると電気モ−タA1に正転用の通電をし、これにより電気モ−タA1が正回転して、シ−トが後方向(リア方向)に移動する。いずれの通電の場合も、電流が過負荷検出用の抵抗器raに流れ、過負荷検出器6aが抵抗器raの電圧降下(電流値)を監視し、それが機構の移動限界位置到達に相当する高い値(過負荷検出用の参照値以上の値)になると、過負荷信号(過負荷であることを示す信号)を発生してモ−タコントロ−ラ9aに与える。
【0031】
電気モ−タA1の回転軸にはロ−タリエンコ−ダA2が連結されており、電気モ−タA1のロ−タの所定小角度の回転につき1パルスの移動同期パルスを発生し、パルス処理回路7aが、このパルスを増幅および整形してモ−タコントロ−ラ9aに与える。電動駆動機構Aのシ−ト駆動範囲(移動領域)の前側限界位置PAmin〜後側限界位置PAmaxの、略中央である中程の基準点PArefを境に、シ−トが前側から基準点PArefまでの前半範囲にある間はオン(スイッチ接)、基準点PArefおよびそれから後側の後半範囲にある間はオフ(スイッチ開)を維持するシ−ト前後位置検出用のスイッチA3およびスイッチ操作カム(図示せず)が電動駆動機構Aにあり、スイッチA3に接続された検出回路8aが、該スイッチA3のオン/オフを表わす検出信号をモ−タコントロ−ラ9aに与える。
【0032】
電動シ−ト用の電源スイッチSPSが車上バッテリBATに接続され、しかも電源スイッチSPSが閉(オン)で、更には、自己保持リレ−PRYがオンの間、電源回路PSCが、図2に示す電気回路各部に所要の動作電圧のすべてを印加するが、電源スイッチSPSがオンであっても、自己保持リレ−PRYがオフの間は、電源回路PSCは、CPU10,ROM11およびRAM12、ならびに、CPU10による入力スイッチSA〜SEおよび検知スイッチSF,SGの状態変化認知に所要のインタ−フェ−ス部分に、位置デ−タ保持および入力検知に所要の微小電力を常時供給する。
【0033】
ここで、電源スイッチSPSがオフ又は車上バッテリBATが非接続のときの、図2に示すシ−トECU内電気回路のすべてが電源から遮断されている状態を、「電源オフ状態」と称し、上述の微小電力のみ部分的に供給している状態を「待機状態」と称し、電気回路のすべてに所要の動作電圧を印加している状態を「活性状態」と表現すると、「電源オフ状態」では、電動駆動機構A〜Fが駆動するものの位置デ−タは、シ−トECU内に存在しない。
【0034】
車上バッテリBATに電源スイッチSPSが接続されかつ電源スイッチSPSがオンになると、電源回路PSCが微小電力の給電を開始し、これによりシ−トECUは「待機状態」となるが、この「待機状態」に入ったときに、CPU10が、自己保持リレ−PRYをオンにしこれにより電源回路PSCが電気回路のすべてに所要の動作電圧を印加して、シ−トECUを「活性状態」とし、I/Oポ−ト16を介して電動駆動機構A〜Fの位置検出用スイッチA3,B3,・・・の状態を読込んで、CPU10の内部メモリに割り当てた各機構宛ての位置レジスタRPA〜RPFに、仮の位置デ−タを書込む。この処理の内容は、図3および図4を参照して、後に詳細に説明する。
【0035】
「活性状態」としてから、スイッチ入力又は検出スイッチの状態変化が無い状態が設定時間Twの間継続するとCPU10は、自己保持リレ−PRYをオフにして、シ−トECUを「待機状態」とする。これにより、機構A〜Fおよび機構駆動装置Ad〜Fdの電源が落ちる。「待機状態」のときにスイッチ入力又は検出スイッチの状態変化があるとCPU10は、自己保持リレ−PRYをオンにして「活性状態」(Ad〜Fdへ電源オン)とし、入力又は状態変化に対応した処理を実行する。すなわち、入力又は状態変化をエンコ−ドして機構駆動装置Ad〜Fdに対するコマンドを生成してそれらに与える。この処理の内容も、図4以下を参照して、後に詳細に説明する。
【0036】
機構駆動装置Adのモ−タコントロ−ラ9aは、コマンドを実行し、電気モ−タA1を駆動している間は、ロ−タリエンコ−ダA2が1パルス発生する毎に、コントロ−ラ9aの内部メモリに割り宛てた前後位置レジスタの位置デ−タを、インクレメント又はデクレメントして位置デ−タを更新し、スイッチA3にオン/オフの切換わりがあると、そこで位置デ−タを基準点位置を表わすPArefに更新し、過負荷検出回路6aが過負荷を検出すると、モ−タ駆動を停止し、前方向に駆動中であったときには前後位置レジスタに前側限界位置を表わすPAminを、後方向に駆動中であったときには前後位置レジスタに後側限界位置を表わすPAmaxを書込み、位置デ−タを保持するが、「電源オフ状態」はもとより「待機状態」でも、コントロ−ラ9aは電源オフでありそれ自身で位置デ−タを保持しえない。したがって、各機構A〜Fの駆動中には、CPU10も同様に上述の位置デ−タの更新を行なって保持し、「待機状態」から「活性状態」に切換えた直後に、CPU10が、それが保持する各機構A〜F宛ての位置デ−タRPA〜RPFを、各機構駆動装置Ad〜Fdに転送する。
【0037】
機構駆動装置Ad〜Fdは、ハ−ドウェア構成は同一であり、機能も同様である。ただし、設定値や定数等、機構A〜Fの個別特性に合せて設定するデ−タは、個別に定められている。
【0038】
操作表示パネルには、各種入力スイッチSA〜SEおよび表示灯である発光ダイオ−ドLDがあり、CPU10は、パネルI/F14を介して入力スイッチの状態変化すなわちドライバ(ユ−ザ)入力を読取る。また、シ−トクッション1に装備された着座センサSGおよびドライバドア開閉検知スイッチSFの状態も、外部I/F15を介して、CPU10が読取る。次の表1に、図2に示す入力スイッチおよび検知スイッチに割り当てた符号と、機能を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
3個のスイッチSA1〜3でなるスイッチ群SAは、シ−ト使用者識別用の開,閉スイッチであり、それらの中の1個SAi(i=1,2又は3)を押すとそれが閉となって他の2つが機械的に開に強制される。すでに閉となっているスイッチを再度押すとそれが開に切換わり、前スイッチ開となる。シ−トECUに対しては、スイッチSA1〜3は、シ−ト姿勢デ−タ(前後位置デ−タRPA,ヘッドレスト上下位置デ−タRPB,クッション前部上下位置デ−タRPC,クッション後部上下位置デ−タRPD,シ−トバック傾斜デ−タRPE、および、ランバ−サポ−ト回動位置デ−タRPF、の集合、すなわち位置デ−タ群)を、シ−トECU(のRAM12)に登録し、それから読出す場合の、アクセス先のデ−タテ−ブルの名宛て又は名指をするものである。
【0041】
指で押している間のみオンとなるモ−メンタリスイッチSBは、表1に示すように、各機構A〜Fに各1対割り当てられた、総計12個の手動駆動用の往,復方向駆動指示スイッチであり、例えば1対であるSBAfとSBArの一方SBAfは、機構Aによるシ−トの前方向への駆動を指示するスイッチ、SBArは後方向への駆動を指示するスイッチであり、指で押されている間オンで、これが駆動を指示する。SBBuとSBBdは、ヘッドレスト2の上駆動指示用および下駆動指示用である。SBCuとSBCdは、シ−トクッション2の前部の上駆動指示用および下駆動指示用である。SBDuとSBDdは、シ−トクッション2の後部の上駆動指示用および下駆動指示用である。SBEfとSBErは、シ−トバック2の前方向への回動駆動指示用および後方向への回動駆動指示用である。SBFfとSBFrは、ランバ−サポ−トの前方向(着座者に向けて突出す方向)への回動駆動指示用および後方向への回動駆動指示用である。
【0042】
自動姿勢設定スイッチSCは、メモリ(RAM12)に登録しているシ−ト姿勢デ−タ又はROM11の標準姿勢デ−タを読出して、その姿勢にシ−トを定めることを指示するものである。このスイッチSCがオンにされると、そのときSA1〜SA3のいずれかSAiがオンであると、そのスイッチSAiに宛てられた姿勢デ−タが、RAM12の姿勢デ−タテ−ブルi(メモリの一領域)から読み出される。SA1〜SA3すべてがオフであったときには、ROM11の標準姿勢デ−タテ−ブル(メモリの一領域)に書込まれている標準姿勢デ−タが読出される。
【0043】
姿勢登録スイッチSDは、RAM12にシ−ト姿勢デ−タを登録することを指示するものであり、このスイッチSDがオンにされると、そのときSA1〜SA3のいずれかSAiがオンであると、RAM12上の、そのスイッチSAiに宛てられた姿勢デ−タテ−ブルiに、そのときのシ−ト姿勢デ−タ(RPA〜RPFの集合)が書込まれる。SA1〜SA3すべてがオフであったときには、この書込みは行なわれない。
【0044】
ヘッドレスト連動許可スイッチSEは、開閉スイッチであり、その閉(オン)は、シ−トの前後位置RPAの変更に対応して、該位置RPAに対応した適位置にヘッドレストの高さを自動調整するヘッドレスト自動調整モ−ドを指定(許可)し、スイッチSEの開(オフ)は、ヘッドレスト自動調整モ−ドを解除(禁止)する。
【0045】
ドア開閉検知スイッチSFは、ドライバ席ドアの開閉を検出するものであり、スイッチSFの閉(オン)はドア開を、開(オフ)はドア閉を意味する。ドライバシ−ト(シ−トクッション1)の着座センサSGは、ドライバシ−トに着座者があるか否かを検出し、着座センサSGのオン(閉)は着座者ありを、オフ(開)は着座なしを意味する。操作表示パネルには9個の発光ダイオ−ドLDが備わっている。その内訳を次の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
発光ダイオ−ドLD1〜LD3は、それぞれスイッチSA1〜SA3がオンのときに点灯するもので、RAM12上の、姿勢デ−タテ−ブル1〜3のいずれが指定であるかを意味する。発光ダイオ−ドLDA〜LDFのそれぞれは機構A〜Fのそれぞれに割り当てられており、割り宛てられた機構対応の位置レジスタの位置デ−タが、検出値でないとき、該機構が駆動中のとき、ならびに、過負荷検出と位置レジスタの位置デ−タとが解離している(機構異常が考えられる)ときに点灯される。
【0048】
図11の(a)に、機構Aによるシ−トの前後駆動範囲と前後位置デ−タを横軸に、機構Bによるヘッドレストの上下移動範囲と上下位置デ−タを縦軸にして、位置検出スイッチA3とB3のオン/オフで規定される領域区分を示す。機構AのスイッチA3と図示しないスイッチ操作カムとの組合せにより、スイッチA3は、シ−ト前後位置RPAが、基準点PAref(130mm)より、移動領域の基点である前限界位置(PAmin=0mm)側の間オン、基準点PArefおよびそれより移動領域の終点である後限界位置(PAmax=240mm)側の間オフとなる。機構BのスイッチB3と図示しないスイッチ操作カムとの組合せにより、スイッチB3は、ヘッドレスト上下位置RPBが、基準点PBref(35mm)より基点である下限界位置(PBmin=0mm)側の間オン、基準点PBrefおよびそれより終点である上限界位置(PBmax=72mm)側の間オフとなる。すなわち、位置検出スイッチA3,B3が切換わる基準点(PAref=130mm,PBref=35mmの点IPb)は、各移動領域(PAmin=0mm〜PAmax=240mm,PBmin=0mm〜PBmax=72mm;中間点は120mm,36mm)の中程(PAref=130mm,PBref35mm)に定められている。
【0049】
他の機構C〜Fのそれぞれにも1個の、同様な位置検出スイッチ(C3〜F3:図示せず)およびスイッチ操作カム(図示せず)があり、上述と同様に、各移動領域の中程の一点PCref,PDref,PEref,PFrefにて、該スイッチのオン/オフが切換わる。
【0050】
図11上の太い左下り斜線は、シ−ト前後位置に連動してヘッドレストの上下位置を自動調整する場合の、シ−ト前後位置対応のヘッドレスト目標位置(適位置)を示し、この自動調整モ−ドが指定されているときには、シ−トの前後移動に伴って、ヘッドレストが該斜線の位置に自動的に駆動される。
【0051】
図3〜図10に、図2に示すCPU10の制御動作の概要を示す。まず図3を参照されたい。電動シ−トの電源スイッチSPSが車上バッテリBATに接続されて該電源スイッチSPSがオン(閉)になると、電源回路PSCがCPU10等の待機監視要素に微小電力を供給し、これによりシ−トECUが「待機状態」になる。CPU10は、この電源オン(微小電力の供給)に応答して、その内部のレジスタ,カウンタ,タイマ等を待機時の状態に設定し、入出力ポ−トを待機時の信号レベルに定める(ステップ1)。なお、以下においてカッコ内では、ステップという語を省略してステップNo.数字,記号のみを記す。
【0052】
この時点では、CPU10は、各機構A〜Fの位置デ−タを保持していない。次にCPU10は、自己保持リレ−PRYをオンにし、タイマTwをスタ−トする(2,3)。リレ−PRYのオンにより電源回路PSCが機構駆動装置Ad〜Fdに動作電圧を与え、シ−トECUは「活性状態」になる。これにより、各駆動装置Ad〜Fdのモ−タコントロ−ラ9a,9b,・・・が、自身の電源オン応答の初期化を実行し、そしてCPU10からのコマンドを待つ指令待機状態となり、位置検出スイッチA3,B3,・・・の状態を読むことができる。また、CPU10も、I/O16および各モ−タコントロ−ラ9a,9b,・・・を介して、位置検出スイッチA3,B3,・・・の状態を知ることができる。しかしこの時点では、モ−タコントロ−ラ9a,9b,・・・も現在位置デ−タを保持していないので、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9a,9b,・・・共に、各機構A〜Fの現在位置(A〜Fの位置の集合をシ−ト姿勢と称す)を知らない。
1.電源スイッチSPSのオン直後の、シ−ト姿勢初期値の決定(IVD)
ここでCPU10は、検出値に基づいた位置デ−タの設定は未完であることを示すために、レジスタFIA〜FIFに1を書込み(4)、発光ダイオ−ドLDA〜LDFを点灯し(5)、機構駆動装置Ad〜Fd(のモ−タコントロ−ラ)に順次に状態情報を要求して、自己に読込む(6)。ここでは、読込んだ状態情報の中の、位置検出スイッチA3,B3,・・・,F3の状態信号を摘出して、CPU10の内部メモリに割り宛てた、各機構A〜F宛ての位置レジスタRPA〜RPFに、仮のものとして、所定の位置デ−タを書込む(7〜22)。
【0053】
すなわち、位置検出スイッチA3,B3のオン/オフの組合せが、図11の(a)に示すエリアAであるときは、位置レジスタRPAにPAmax=240mmを、位置レジスタRPBにはPBref=35mmを書込み、すなわち、図11の(a)に示す点IPaの位置デ−タを位置レジスタRPA,RPBに書込み、
エリアBであるときは、位置レジスタRPAにPAref=130mmを、位置レジスタRPBにはPBref=35mmを書込み、すなわち、図11の(a)に示す点IPb(基準点)の位置デ−タを位置レジスタRPA,RPBに書込み、
エリアCであるときは、位置レジスタRPAにPAref=130mmを、位置レジスタRPBにはPBmin=0mmを書込み、すなわち、図11の(a)に示す点IPcの位置デ−タを位置レジスタRPA,RPBに書込み、
エリアDであるときは、位置レジスタRPAにPAmax=240mmを、位置レジスタRPBにはPBmin=0mmを書込む。すなわち、図11の(a)に示す点IPdの位置デ−タを位置レジスタRPA,RPBに書込む(7〜12)。
【0054】
他の機構C〜Fのそれぞれ宛ての位置レジスタRPC〜RPFにも、機構A宛ての位置レジスタへの書込みと同様に、機構移動の上限位置PCmax,PDmax,PEmax,PFmax又は基準点位置PCref,PDref,PEref,PFrefを書込む(12A−13〜22)。この、各位置レジスタRPA〜RPFへの位置デ−タの設定を終えると、各位置レジスタRPA〜RPFの各デ−タRPA〜RPFを、各機構駆動装置Ad〜Fdのモ−タコントロ−ラ9a,9b,・・・に転送し、各モ−タコントロ−ラも、その内部メモリに割り宛てた位置レジスタに、受信した位置デ−タを書込む。すなわち、モ−タコントロ−ラ9aは、その内部メモリの位置レジスタに前後位置デ−タRPAを書込む。他のコントロ−ラ9b,・・・はその内部メモリの位置レジスタに、それぞれ位置デ−タRPB,・・・のそれぞれを書込む。なお、ここまでに位置レジスタに設定したデ−タは、仮のものであって、現在位置を正しく現わすものではない。
2.電源スイッチSPSのオン直後の、ヘッドレストの自動調整(HRA)
図4を参照する。CPU10は次に、シ−トクッション1に対するシ−トバック2の傾斜角度デ−タRPEを位置レジスタRPEから読出して(pa1)、それが基準角度(基準点)PEref以下であるかをチェックする。角度デ−タRPEが表わす角度値の最低値(PEmin=0°)は、シ−トバック2が前方向の限界位置に到れてシ−トクッション1に対してシ−トバック2が略60度の角度(車両の床面に対して60度)で前に到れた前傾姿勢であり、角度デ−タRPEが表わす角度値の最高値(PEmax=120°)では、シ−トバック2が車両の床面と平行(水平)である。基準角度(基準点)PEref=50°(車両の床面に対しては110°)である。
【0055】
ステップpa1で、シ−トバック2の位置(傾斜角度)デ−タRPEがPEref以下であると、すなわち、シ−トバック2の、車両床面に対する角度が110°以下であると、シ−トバック2は実質上起立しておりヘッドレスト3の上昇駆動すなわち押出しに問題がない。この場合にはCPU10は、位置レジスタRPAのデ−タ(ここでは、PAref=130mm又はPAmax=240mm)に対応する、ヘッドレスト目標位置(高さ)PBs(PAref=130mm対応のPBref=35mm又はPAmax=240mm対応のPBmax=72mm)を算出して(pa2)、コントロ−ラ9bに、PBsへのヘッドレスト駆動を指示する(pa3)。すなわち、コントロ−ラ9bに、ヘッドレスト駆動目標位置としてPBsを与え、目標位置への駆動を指示する。コントロ−ラ9bは、目標位置PBs(=PBref又はPBmax)と、コントロ−ラ9bの内部の位置レジスタRPBのデ−タRPB(この時点では、RPB=PBref)とを比較して、ヘッドレスト2の位置RPBが目標位置PBsに合致する方向に、電気モ−タB1を駆動する。CPU10は、コントロ−ラ9bが、目標位置PBsへの駆動完了を報知して来るまで、過負荷検出回路6b,パルス処理回路7bおよび位置検出回路8bの出力信号を監視する。
【0056】
例えば、電源スイッチSPSが車両バッテリBATに接続され、かつ電源スイッチSPSがオフからオンに切換わったときに、シ−トの前後位置RPAが、図11の(a)上のエリアA又はDであったときには、位置デ−タRPA=PAmax(240mm)であるので、目標位置PBs=PBmax(72mm)と算出される。この場合に、ヘッドレスト3がエリアA内(例えば、図11の(b)に示す点a0)であったときには、位置デ−タRPB=PBref(35mm)であるので、コントロ−ラ9bが、PBmax(72mm)−PBref(35mm)分の駆動が必要であるとして、ヘッドレスト3を上駆動する。ヘッドレスト3の、この駆動前の実際の位置はPBref(35mm)以上であるので、PBmax(72mm)−PBref(35mm)分の駆動を完了するまでに、あるいはその分の駆動をしたときに、ヘッドレスト3が上限界位置PBmax(72mm)に到達して、過負荷検出回路6aの出力信号が、過負荷なしを示すレベルから、過負荷ありを示すレベルに切換わる。コントロ−ラ9bはこの切換りに応答して電気モ−タB1の駆動を停止する。コントロ−ラ9bおよびCPU10は、過負荷ありに応答して、それぞれの位置レジスタRPBの位置デ−タを、PBmaxに書替える。そしてCPU10は、レジスタFIBをクリアして、発光ダイオ−ドLDBを消灯する。以上により、ヘッドレスト3は、例えば図11の(b)に示す点a0からa1に移動する。すなわち、電源オン応答の初期位置設定により、エリアAにあったヘッドレスト3は、該エリアの上限位置PBmaxに設定される。
【0057】
電源スイッチSPSがオフからオンに切換わったときに、シ−ト位置およびヘッドレスト位置がエリアD内(例えば、図11の(b)に示す点d0)にあって、目標位置PBs=PBmax(72mm)と算出した場合には、ヘッドレスト位置デ−タRPB=PBmin(0mm)であるので、コントロ−ラ9bが、PBmax(72mm)−PBmin(0mm)分の駆動が必要であるとして、ヘッドレスト3を上駆動する。ヘッドレスト3の、この駆動前の実際の位置はPBmin(0mm)以上であるので、PBmax(72mm)−PBmin(0mm)分の駆動を完了するまでに、まず、位置検出スイッチB3がオンからオフに切換わる。そのときヘッドレスト3は、基準点の位置RBrefである。コントロ−ラ9bおよびCPU10は、この切換りに応答して、それぞれの位置レジスタRPBの位置デ−タを、PBrefに書替える。そしてCPU10は、レジスタFIBをクリアして、発光ダイオ−ドLDBを消灯する。ここで、目標位置がPBmax(72mm)、現在位置RPBがPBref(35mm)であるのでコントロ−ラ9bはヘッドレスト3の上駆動を継続し、パルス処理回路7bが移動同期パルスを出力する度に、コントロ−ラ9bおよびCPU10は、割込処理により位置デ−タレジスタRPBの位置デ−タRPBを最小単位更新する。すなわちヘッドレストの移動に伴って、位置デ−タRPBを更新する。そして、位置デ−タRPBがPBmax(72mm)になるか、あるいは過負荷検出回路6aの出力が過負荷を示すものに切換わったときに、コントロ−ラ9bはヘッドレスト3の駆動を停止する。以上により、ヘッドレスト3は、例えば図11の(b)に示す点d0からd1を経て上限位置PBmaxに移動する。すなわち、電源オン応答の初期位置設定により、シ−ト前後位置RPAに対応する適正位置(太い実線)よりも低い位置であるエリアDにあったヘッドレスト3は、上限位置PBmaxに設定される。すなわち、追突された場合着座者を保護する可能性が高い位置に自動的に設定される。
【0058】
電源スイッチSPSがオフからオンに切換わったときに、シ−トの前後位置RPAが、図11の(a)上のエリアB又はCであったときには、位置デ−タRPA=PAref(130mm)であるので、目標位置PBs=PBref(35mm)と算出される。この場合に、ヘッドレスト3がエリアB内(例えば、図11の(c)に示す点b0)であったときには、位置デ−タRPB=PBref(35mm)であるので、コントロ−ラ9bはヘッドレスト3は駆動しない。ヘッドレスト3がエリアB内にあるということは、ヘッドレスト3がシ−トの前後位置RPDに対応するヘッドレスト適正位置PBs以上の位置、すなわち追突された場合着座者を保護する可能性が高い位置であることを意味する。今回電源オンになったときのドライバが、前回電源オフになったときのドライバと同一の可能性が高く、シ−ト位置(ヘッドレスト位置)も、同一でよい可能性が高いので、エリアB内にあるときには、ヘッドレストを駆動しないのが望ましい。
【0059】
シ−ト位置およびヘッドレスト位置がエリアC内(例えば、図11の(c)に示す点c0)にあって、目標位置PBs=PBref(35mm)と算出した場合には、ヘッドレスト位置デ−タRPB=PBmin(0mm)であるので、コントロ−ラ9bが、PBref(35mm)−PBmin(0mm)分の駆動が必要であるとして、ヘッドレスト3を上駆動する。ヘッドレスト3の、この駆動前の実際の位置はPBmin(0mm)以上であるので、PBref(35mm)−PBmin(0mm)分の駆動を完了するまで又はその分の駆動をしたときに、位置検出スイッチB3がオンからオフに切換わる。そのときヘッドレスト3は、基準点の位置RBrefである。コントロ−ラ9bおよびCPU10は、この切換りに応答して、それぞれの位置レジスタRPBの位置デ−タを、PBrefに書替える。そしてCPU10は、レジスタFIBをクリアして、発光ダイオ−ドLDBを消灯する。ここで、目標位置PBsがPBref(35mm)、現在位置RPB(位置レジスタRPBのデ−タ)がPBref(35mm)であるので、コントロ−ラ9bはヘッドレスト3の駆動を停止する。以上により、ヘッドレスト3は、例えば図11の(c)に示す点c0からc1に移動する。すなわち、電源オン応答の初期位置設定により、シ−ト前後位置RPB対応の適正位置RBsよりも低いエリアDにあったヘッドレスト3は、適正位置又はそれより高い基準位置PBrefに設定される。
【0060】
3.定常時のシ−ト姿勢制御
図4を参照する。各機構A〜F宛ての各位置レジスタRPA〜RPFに上述のように初期値を設定し(IVD:4〜22)、ヘッドレストの初期調整(HRA:pa1〜pa3)を行なった後は、所定周期でパネルI/F14および外部I/F15に接続されたスイッチの状態読込み(24)を繰返し、スイッチSBのすべてがオフ、しかも状態変化がなく、タイマTwがタイムオ−バすると、自己保持リレ−PRYをオフにする(24〜27)。これによりシ−トECUは「待機状態」となり、機構駆動装置Ad〜Fdが電源オフとなる。
【0061】
しかしCPU10は、状態読込み(24)を繰返す。そしてスイッチSBの中の1つのスイッチのオン又は状態変化があると、タイマTwをスタ−トして(28A)、自己保持リレ−PRYをオンにする(28B)。これによりシ−トECUは「活性状態」となる。次にCPU10は、その位置レジスタRPA〜RPBに保持する各位置デ−タRPA〜RPBを、各機構駆動装置Ad〜Fdのモ−タコントロ−ラに転送し、各モ−タコントロ−ラ9a,9b,・・・は、受信した各位置デ−タRPA〜RPBを、コントロ−ラ内部の位置レジスタに書込む。次にレジスタFIA〜FIF(図3のステップ4参照)のデ−タを参照して、それが1であると対応する発光ダイオ−ドLDA〜LDFを点灯する。例えば、レジスタFIAのデ−タが1であると、発光ダイオ−ドLDAを点灯とする。そして、図5を参照すると、最新に実行した「状態読込み」(24)で読込んだ状態デ−タを参照して、スイッチSA1〜SA3のいずれがオンかをチェックして(29,31,33)、いずれかSAiがオンであると、それに対応付けられている発光ダイオ−ドLDiを点灯にする(30,32,34,35)。
【0062】
3A.シ−トのスライド前進制御(AfP)
図6を参照する。次にCPU10は、シ−ト前進指示スイッチSBAfがオンかをチエックして(36)、オンであると、スライド前進制御(AfP)を実行する。このスライド前進制御(AfP)では、シ−トを前方向に駆動し(40)、シ−トの前駆動に伴って(移動同期パルスが発生する毎に)、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9aの、それぞれのシ−ト前後位置レジスタRPAの位置デ−タRPAを更新する(45)。このシ−ト駆動中に、位置検出スイッチA3がオフからオンに切換わると、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9aは、それぞれの位置レジスタRPAの位置デ−タを、PArefに書替え(42)、レジスタFIAの、位置デ−タの正確な設定が未完であることを示す「1」をクリアし(43)、該未完を示す発光ダイオ−ドLDAを消灯にする(44)。
【0063】
なお、移動同期パルスの発生に応答した位置デ−タRPAの更新(45)によって、位置検出スイッチA3がオフ(エリアA)からオン(エリアB)に切換わる前に、位置レジスタRPAの位置デ−タRPAが、移動同期パルスの発生に応答した位置デ−タRPAのデクレメントにより、エリアA内の位置を示すものからエリアB内の位置を示すものに切換わる可能性がある。すなわち位置検出スイッチA3による領域検出と移動同期パルスのアップ/ダウンカウントによる位置デ−タとが不整合となることが考えられる。したがって、本実施例では、位置検出スイッチA3がオフ(エリアA)の間は、移動同期パルスのダウンカウントにより位置デ−タRPAがエリアB内の位置を示すものになるときには、位置デ−タRPAは、エリアAの限界値(RPref=130mm)に留め(45a〜45c−45f−45g)、デクレメント(カウントダウン;位置デ−タの更新)は保留する(45f,45g)。また、シ−ト位置が下限位置(基点;PAmin=0)に達していない(過負荷を検知しない)のに位置デ−タRPAが下限位置を越える値(負値)になるときには、位置デ−タRPAを下限位置(PAmin=0)に留める(45d,45e)。これはスライド後退制御(ArP)のときも同様であり、スライド後退駆動中に位置検出スイッチA3がオン(エリアB)の間は、移動同期パルスのアップカウントにより位置デ−タRPAがエリアA内の位置を示すものになるときには、位置デ−タRPAは、エリアBの限界値(RPref−1)に留め、インクレメント(カウントアップ)は保留する。また、シ−ト位置が上限位置(終点;PAmax)に達していない(過負荷を検知しない)のに位置デ−タRPAが上限位置を越える値(PAmax+1)になるときには、位置デ−タRPAを上限位置(PAmax)に留める。
【0064】
電気モ−タA1が過負荷(抵抗器raに流れるモ−タ電流値が設定値以上)になると、シ−トの前方向駆動を停止し、位置レジスタRPAのデ−タを基点値PAmin(=0)に更新する(37a,37b,46)。また、シ−ト前進指示スイッチSBAfがオンからオフに戻ったときにも、シ−トの前方向駆動を停止する(36−46)。
【0065】
なお、シ−ト前進駆動を開始するときには、それからの駆動量と経過時間を監視するために、そのときの位置レジスタRPAの位置デ−タRPAをレジスタPRPAにセ−ブし(38)、タイマThをスタ−トする(39)。CPU10は、これらの駆動量,経過時間を、次に説明するヘッドレストの自動調整に関連する制御で参照する。
【0066】
3B.ヘッドレストの自動調整
シ−トを前後方向に駆動している間、CPU10は、シ−トの前後移動に連動したヘッドレスト自動調整を実施すべき条件が整っているかをチェックする。条件は、
1)ヘッドレスト自動調整モ−ド指示スイッチSEがオン(許可),シ−トバック2の傾斜角度RPEが基準値PRref以下,シ−トクッション1に着座者あり(SGオン)、および(AND:論理積)、「活性状態」になってから、ここまでに、ヘッドレスト上下駆動指示スイッチSBBu,SBBdがオンになったことがない(FEB=0)、
2)ヘッドレスト自動調整モ−ド指示スイッチSEがオン(許可),シ−トバック2の傾斜角度RPEが基準値PRref以下,シ−トクッション1に着座者あり(SGオン)、および(AND:論理積)、シ−ト前後駆動量が設定値ΔPAp以上となった、
3)ヘッドレスト自動調整モ−ド指示スイッチSEがオン(許可),シ−トバック2の傾斜角度RPEが基準値PRref以下,シ−トクッション1に着座者あり(SGオン)、および(AND:論理積)、シ−ト前後駆動開始から時間Thが経過した、又は、
4)ヘッドレスト自動調整モ−ド指示スイッチSEがオン(許可),シ−トバック2の傾斜角度RPEが基準値PRref以下,シ−トクッション1に着座者あり(SGオン)、および(AND:論理積)、シ−ト姿勢をRAM11に登録してからシ−ト前後駆動があり、その駆動量が設定値ΔPAp以上となった又はシ−ト前後駆動開始から時間Thが経過した、
の四者のいずれか一者が成立することである。
【0067】
上記1)〜4)の各条件の成否を判定するためのレジスタFHBをCPU10は有し、CPU10は、「活性状態」(自己保持リレ−PRYをオン)にしたときにレジスタFHBをクリアする。レジスタFHBのデ−タ「0」は、ヘッドレスト自動調整可(許可)を意味し、デ−タ「1」は不可(禁止)を意味する。ヘッドレスト上下駆動指示スイッチSBBu又はSBBdのオンに応答してヘッドレストを駆動したときにCPU10は、レジスタFHBに「1」(禁止)を書込む(図8の70)。また、RAM11に登録した姿勢にシ−ト姿勢を自動設定することが指示されたときにもCPU10は、レジスタFHBに「1」(禁止)を書込む(図9の77−78)。このFHB=「1」(禁止)は、ステップ38,39が実行された後、ステップ49又は51が成立(YES)したときにクリアされる。すなわちFHB=「0」(許可)に書替えられる。
【0068】
ここで図6と図7を参照する。上記1)の条件の成否をCPU10は、図6のステップ47,48および図7のステップ52,53でチェックして、上記1)の条件が成立(ヘッドレスト自動調整:許可)のときには、ステップ47−48−52−53と経て、ステップ54に進む。また、上記2)の条件の成否をCPU10は、ステップ47,48,49,52,53でチェックして、成立しているときには、ステップ47−48−49−50−52−53と経て、ステップ54に進む。更に、上記3)の条件の成否をCPU10は、ステップ47,48,49,51,52,53でチェックして、成立しているときには、ステップ47−48−49−51−50−52−53と経て、ステップ54に進む。上記4)の条件の成否をCPU10は、ステップ78(図9),38,39,47,48,49,51,52,53でチェックして、成立しているときには、ステップ47−48−49−51−50−52−53と経て、ステップ54に進む。
【0069】
ステップ54でCPU10は、そのときのシ−ト前後位置RPA(位置レジスタRPAのデ−タ)に割り付けられたヘッドレスト標準位置PBs(図11上の太い左下りの斜線)を算出する。そして、この標準位置PBsに、ユ−ザ個別のヘッドレスト上下調整値PBaを加えた値をヘッドレスト目標位置PBoとして(56〜59)、駆動装置Bdのモ−タコントロ−ラ9bに与えて、該目標位置PBoへのヘッドレストの駆動を指示する(60)。なお、ユ−ザ個別の調整値PBaとは、各スイッチSA1〜3宛ての、RAM12上の各姿勢デ−タテ−ブル1〜3に登録されている個別調整量であり、スイッチSA1〜3の内、現在オンのスイッチSAiに対応する姿勢デ−タテ−ブルiから読出す値である。全スイッチSA1〜3がオフのときには、調整値PBaは0とする(57)。
【0070】
次に、スイッチSBAfがオン(他のスイッチはオフ)であるのでCPU10は、他の制御ArP,BuP,BdP,・・・FrPを素通りし、図9および図10のステップ71〜88又は71〜96を素通りして、図4の「状態読込み」(24)に進み、そこでスイッチSBAfオンが継続していると、ステップ25から28A〜35を経て、またスライド前進制御(AfP)に進む。このようにして、スイッチSBAfオンが継続している間は、実質上スライド前進制御(AfP)のみを、CPU10が実行する。スイッチSBAfがオンからオフに戻ると、シ−トの前方向への駆動を停止する(46)。
【0071】
3C.スライド後退制御(ArP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トの後方向への駆動を指示するスイッチSBArがオンであると、CPU10は、「スライド後退制御」(ArP)で、シ−トを後方向に駆動する。この制御の内容は、駆動方向は逆ではあるが、前述の「スライド前進制御」(AfP)の内容と同様である。
【0072】
3D.ヘッドレスト上駆動制御(BuP)
「状態読込み」(24)のときにヘッドレスト上駆動指示スイッチSBBuがオンであると、CPU10は、図7および図8に示す、ヘッドレスト上駆動制御(BuP)を実行する。このヘッドレスト上駆動制御(BuP)では、ヘッドレスト3を上方向に駆動し(63)、ヘッドレストの上昇に伴って(移動同期パルスが発生する毎に)、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9bは、それぞれのヘッドレスト上下位置レジスタRPBの位置デ−タRPBを更新する(68)。この位置デ−タの更新処理の内容は、前述のスライド前進,後退制御(AfP,ArP)の場合と同様である。
【0073】
このヘッドレスト駆動中に、位置検出スイッチB3がオンからオフに切換わると、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9aは、それぞれの位置レジスタRPBの位置デ−タRPBを、PBrefに書替える(64,65)。そしてCPU10は、レジスタFIBをクリアし、発光ダイオ−ドLDBを消灯する(66,67)。電気モ−タB1が過負荷(抵抗器rbに流れるモ−タ電流値が設定値以上)になると、ヘッドレストの上駆動を停止し、位置デ−タRPBを上限位置PBmaxに書替える(62a,62b,69)。また、ヘッドレスト上駆動指示スイッチSBBuがオンからオフに戻ったときにも、ヘッドレストの上駆動を停止する(61−69)。
【0074】
なお、ヘッドレスト上駆動指示スイッチSBBuがオンからオフに戻った(ヘッドレストの上駆動を停止した)ときに、ヘッドレストの駆動(手動調整)があったこと(これによりしばらくは、ヘッドレスト自動調整は禁止する)を示す「1」を、レジスタFHBに書込む(70)。この「1」は、その後図6に示すステップ38,39が実行され、ステップ49又は51の条件が成立(YES)したときに消去(ヘッドレスト自動調整の許可を示す0に更新)される。
【0075】
3E.ヘッドレスト下駆動制御(BdP)
「状態読込み」(24)のときにヘッドレストの下駆動を指示するスイッチSBBdがオンであると、CPU10は、ヘッドレスト下駆動制御(BdP)で、ヘッドレストを下方向に駆動する。この制御の内容は、駆動方向は逆ではあるが、前述の「ヘッドレスト上駆動制御」(BuP)の内容と同様である。
【0076】
3F.シ−トベ−ス前部の上駆動制御(CuP)
シ−トベ−スは、シ−トクッション1と一体のクッション支持フレ−ムであり、シ−トクッション1の駆動制御に関しては、シ−トクッションと同体物である。「状態読込み」(24)のときにシ−トクッション1の前部の上駆動を指示するスイッチSBCuがオンであると、CPU10は、シ−トベ−ス前部上駆動制御(CuP)で、シ−トクッション1の前部を上駆動する。この制御の内容は、前述の「ヘッドレスト上駆動制御」(BuP)の内容と同様である。ただし、ステップ70の処理に相当する処理はない。
【0077】
3G.シ−トベ−ス前部の下駆動制御(CdP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トクッション1の前部の下駆動を指示するスイッチSBCdがオンであると、CPU10は、シ−トベ−ス前部下駆動制御(CdP)で、シ−トクッション1の前部を下駆動する。この制御の内容は、「シ−トベ−ス前部の上駆動制御」(CuP)の内容と同様であるが、駆動方向は逆である。
【0078】
3H.シ−トベ−ス後部の上駆動制御(DuP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トクッション1の後部の上駆動を指示するスイッチSBDuがオンであると、CPU10は、シ−トベ−ス後部上駆動制御(DuP)で、シ−トクッション1の後部を上駆動する。この制御の内容は、前述の「ヘッドレスト上駆動制御」(BuP)の内容と同様である。ただし、ステップ70の処理に相当する処理はない。
【0079】
3I.シ−トベ−ス後部の下駆動制御(DdP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トクッション1の後部の下駆動を指示するスイッチSBDdがオンであると、CPU10は、シ−トベ−ス後部下駆動制御(DdP)で、シ−トクッション1の後部を下駆動する。この制御の内容は、「シ−トベ−ス後部の上駆動制御」(DuP)の内容と同様であるが、駆動方向は逆である。
【0080】
3J.シ−トバックの前向き回動駆動制御(EfP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トバック2の前方向への回動を指示するスイッチSBEfがオンであると、CPU10は、シ−トバック前向き回動駆動制御(EfP)で、シ−トバック2を前傾斜方向に回動駆動する。この制御の内容は、前述の「ヘッドレスト下駆動制御」(BdP)の内容と同様である。ただし、ステップ70の処理に相当する処理はない。
【0081】
3K.シ−トバックの後向き回動駆動制御(ErP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トバック2の後方向への回動を指示するスイッチSBErがオンであると、CPU10は、シ−トバック後向き回動駆動制御(ErP)で、シ−トバック2を後傾斜方向に回動駆動する。この制御の内容は、「シ−トベ−ス後部の上駆動制御」(DuP)の内容と同様である。ただし、ステップ70の処理に相当する処理はない。
【0082】
3L.ランバ−サポ−トの突出し回動駆動制御(FfP)
「状態読込み」(24)のときにシ−トバック2に装備したランバ−サポ−トを、着座者側に突出し回動駆動することを指示するスイッチSBFfがオンであると、CPU10は、ランバ−突出し駆動制御(FfP)で、ランバ−サポ−トを突出し方向に回動駆動する。この制御の内容は、前述の「ヘッドレスト下駆動制御」(BdP)の内容と同様である。ただし、ステップ70の処理に相当する処理はない。
【0083】
3M.ランバ−サポ−トの退避回動駆動制御(FrP)
「状態読込み」(24)のときにランバ−サポ−トを、着座者から退避する方向に回動駆動することを指示するスイッチSBFrがオンであると、CPU10は、ランバ−退避駆動制御(FrP)で、ランバ−サポ−トを退避方向に回動駆動する。この制御の内容は、前述の「ヘッドレスト上駆動制御」(BuP)の内容と同様である。ただし、ステップ70の処理に相当する処理はない。
【0084】
3N.シ−ト姿勢の登録
「状態読込み」(24)のときに、シ−ト姿勢の登録を指示するスイッチSDがオンであると、CPU10は、図9を参照すると、ユ−ザ指定用のスイッチSA1〜3のいずれかSAiがオンであるかをチェックし(71,72)、全スイッチSA1〜3がオフのときには、シ−ト姿勢の登録をしない。スイッチSAi(i=1,2又は3)がオンであると、各位置レジスタRPA〜RPFの各位置デ−タRPA〜RPFを、RAM12上の姿勢デ−タテ−ブルiの各登録位置レジスタMRPAi〜MRPFiに書込み(73)、そのときのシ−ト前後位置デ−タRPA対応の適正ヘッドレスト位置PBsを算出し(74)、ユ−ザi(スイッチSAi)個別のヘッドレスト調整値PBa=RPB−PBsを算出して、この個別調整値PBaを、姿勢デ−タテ−ブルiの、個別調整値レジスタMPBaiに書込み、スイッチSAi(ユ−ザi)宛てのシ−ト姿勢デ−タの登録があることを示す「1」を、該スイッチSAi宛てのレジスタFSDiに書込む(76)。なお、この個別調整値PBaは、図7のステップ59で、スイッチSAi(ユ−ザi)宛てのシ−ト姿勢に利用される。
【0085】
3O.自動姿勢設定
「状態読込み」(24)のときに、自動姿勢設定を指示するスイッチSCがオンであると、CPU10は、図9を参照すると、まずレジスタFHBに、ヘッドレストの自動調整の禁止を指定する「1」を書込む(78)。なお、この「1」は、シ−トECUが「待機状態」から「活性状態」に変わったとき、ならびに、図6のステップ50で消去される。次にCPU10は、ユ−ザ指定用のスイッチSA1〜3のいずれかSAiがオンであるかをチェックし(79)、全スイッチSA1〜3がオフのときには、ROM11の標準シ−ト姿勢デ−タテ−ブル0の、各標準位置レジスタMRPA0〜MRPF0の各位置デ−タを読出して、各機構A〜Fの目標位置デ−タとし、各機構駆動装置Ad〜Fdのモ−タコントロ−ラに与え、その位置への駆動を指示する(81)。これにより、全スイッチSA1〜3をオフにして自動姿勢設定を指示したときには、ROM11に格納している標準シ−ト姿勢が自動的に設定される。
【0086】
いずれかのスイッチSAi(i=1,2又は3)がオンであったときには、レジスタFSDiのデ−タをチェックして、それが「1」(シ−ト姿勢の登録あり)であると、RAM12のシ−ト姿勢デ−タテ−ブルiの、各位置レジスタMRPAi〜MRPFiの各位置デ−タを読出して、各機構A〜Fの目標位置デ−タとし、各機構駆動装置Ad〜Fdのモ−タコントロ−ラに与え、その位置への駆動を指示する(80)。これにより、スイッチSA1〜3のいずれかSAiをオンにして自動姿勢設定を指示したときには、RAM11に格納しているシ−ト姿勢が自動的に設定される。レジスタFSDiのデ−タをチェックしたとき、それが「0」(シ−ト姿勢の登録なし)であったときには、メモリよりのデ−タ読出しを行なわず、シ−ト姿勢の自動設定は行なわない。すなわちスイッチSCのオン(自動姿勢設定の指示)を無視する。
【0087】
3P.ヘッドレスト自動調整禁止の解除
図10を参照する。CPU10は、ドライバ席ドアスイッチSFのオン,オフを監視して(82〜85)、それが、ドライバ席ドアの閉から開への変化に対応する変化を示したときに、ドライバ(着座者)が変わりシ−ト姿勢が変更される可能性があるので、レジスタFHBをクリアする(86)。すなわち、レジスタFHBのデ−タを、ヘッドレスト自動調整可(許可)を意味する0とする。
【0088】
3Q.自動調整可否指示スイッチSEのオフ(否)からオン(可)への切換り応答のヘッドレスト自動調整
CPU10は、ヘッドレスト自動調整許可/禁止を指定するスイッチSEの、オフ(禁止指示)からオン(許可指示)への切換わりを監視して(87〜90)、この切換わりがあったときに、ステップ90から図7のステップ54に進んで、ステップ54〜60の、シ−ト前後位置RPAに対応付けられた適正位置PBoへのヘッドレスト駆動を行なう。
【0089】
3R.シ−トバック2が、基準角度PFref以下の角度に立上ったときのヘッドレスト自動調整
ヘッドレスト自動調整許可/禁止を指定するスイッチSEがオン(自動調整許可指定)であるときでも、シ−トバック2が、基準角度PFrefを越える角度(例えばシ−トバック2が床面に平行)である間は、図7のステップ52でこれを認知してCPU10は、ヘッドレスト自動調整を実行しない。基準角度PFref以下では、ヘッドレストの移動に障害がないので、CPU10は、図10のステップ91〜94で、シ−トバック2が基準角度PFref以下に立上ったかをチェックして、この立上りがあると、ステップ94から図7のステップ54に進んで、ステップ54〜60の、シ−ト前後位置RPAに対応付けられた適正位置PBoへのヘッドレスト駆動を行なう。
【0090】
3S.着座者なしからありに切換わったときのヘッドレスト自動調整
ヘッドレスト自動調整許可/禁止を指定するスイッチSEがオン(自動調整許可指定)であるときでも、着座者がない(着座者センサSGがオフ)ときには、図7のステップ55でこれを認知してCPU10は、ヘッドレスト自動調整を実行しない。そこでCPU10は、図10のステップ95〜98で、着座者なし(SGがオフ)から着座者あり(SGがオン)に切換わったかをチェックして、この切換りがあると、ステップ98から図7のステップ54に進んで、ステップ54〜60の、シ−ト前後位置RPAに対応付けられた適正位置PBoへのヘッドレスト駆動を行なう。
【0091】
3T.スイッチA3,B3の位置検出に従った位置デ−タの校正
前述の「初期値設定」(IVD)を完了した直後は、シ−ト前後位置レジスタRPAおよびヘッドレスト上下位置レジスタRPBには、該前後位置と上下位置の組合せがエリアAにあるときには図11の(a)に示す点IPaの位置が、エリアBにあったときには点IPb(基準点)の位置が、エリアCにあったときには点IPcの位置が、また、エリアDにあったときには点IPdの位置が書込まれている。そして、その次の「ヘッドレスト初期調整」(HRA)を完了した直後は、先に点IPa又はIPdの位置を書込んでいた(エリアA又はDであった)ケ−スでは、ヘッドレストは上限位置PBmaxとなっており、先に点IPbを書込んでいた(エリアBであった)ケ−スでは、ヘッドレストは駆動されていない。また、先に点IPcを書込んでいた(エリアCであった)ケ−スでは、ヘッドレストは基準位置PBrefに駆動されている。
【0092】
シ−ト前後位置がエリアAにあったときには、その後スイッチSBArがオン(シ−トを後方向に駆動する指示)になると、位置レジスタRPAの位置デ−タRPAは上限位置PAmax(IPa)を示すものであるが、CPU10は電気モ−タA1を回転駆動する。すなわちシ−トを後方向に駆動する。位置デ−タRPAは更新しない。スイッチSBAfがオンになると、ヘッドレスト自動調整モ−ドが許可(スイッチSEオン)の場合には、CPU10はモ−タコントロ−ラ9aにシ−トの前方向への駆動を指示し、コントロ−ラ9aがこれを実行し、シ−トの前方向への移動に伴って発生する移動同期パルスを、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9aがカウントダウンして前後位置レジスタRPAの位置デ−タRPAを更新し、更新した位置デ−タRPAに対応するヘッドレスト適正高さPBsをCPU10が算出してそれを目標位置としてモ−タコントロ−ラ9bに与えてヘッドレスト3を該目標位置に駆動し、かつこれに伴ってCPU10およびモ−タコントロ−ラ9bのヘッドレスト位置レジスタの位置デ−タRPBを更新し、実際のシ−ト位置が基準点PArefに達したときに、すなわち図11の(a)の点a2に達したときに、位置検出スイッチA3がオフからオンに切換わり、これに応答してCPU10およびモ−タコントロ−ラ9aが、それぞれのシ−ト前後位置レジスタRPAのデ−タをPArefに変更する。加えてCPU10は、レジスタFIAをクリアし、発光ダイオ−ドLDAを消灯する。この位置デ−タRPAの変更により、ヘッドレストの目標位置PBsがPBrefとなり、ここでヘッドレスト基準点PBrefに駆動される。この時点で、シ−ト前後位置レジスタRPAおよびヘッドレスト上下位置レジスタRPBの位置デ−タはいずれも、検出値に基づいた正確な値に定まっていることになる。スイッチSBAfのオンが継続すると、その後は、シ−ト位置RPAとヘッドレスト位置RPBで規定される点(シ−ト位置およびヘッドレスト位置)は、図11の(b)に示す太い実線の左下り斜線に沿って下り移動する。
【0093】
なお、ヘッドレスト自動調整モ−ドが禁止(スイッチSEオフ)のときには、前移動指示スイッチSBAfがオンにされると、シ−トの前方向への駆動のみが行なわれ、ヘッドレスト3の高さは変わらずPBmaxである。実際のシ−ト位置がPAref(=130mm)になったときに、位置検出スイッチA3がオフからオンに切換わり、CPU10およびモ−タコントロ−ラ9aが、それぞれのシ−ト前後位置レジスタRPAのデ−タをPArefに更新し、CPU10は、レジスタFIAをクリアし、発光ダイオ−ドLDAを消灯する。
【0094】
シ−ト前後位置がエリアDにあったときには、その後、シ−ト前移動指示スイッチSBAfがオンになると、上述の、点a1にあるときにスイッチSBAfがオンになったときの動作、と同様な動作を、CPU10ならびにモ−タコントロ−ラ9aおよび9bが、実行し、シ−ト前後位置レジスタRPAの位置デ−タRPAが、スイッチA3の位置検出に基づいた正確な値に定まり、レジスタFIAがクリアされ、発光ダイオ−ドLDAが消灯する。ヘッドレスト上下位置デ−タRPBは、先行して実施された「ヘッドレスト初期調整」(HRA)において、ヘッドレストが図11の(b)に示す点d1に駆動されたときに、正確な値に定まっている。
【0095】
シ−ト前後位置がエリアBにあったときには、その後、シ−ト後移動指示スイチSBArがオンになると、図11の(c)に示す点b0から基準点PArefに達したときに、位置検出スイッチA3がオフからオンに切換わり、シ−ト前後位置レジスタRPAのデ−タがPArefに更新され、レジスタFIAがクリアされ、発光ダイオ−ドLDAが消灯する。ヘッドレスト下移動指示スイッチSBBdがオンになると、点b0から基準点PBrefに達したときに、位置検出スイッチB3がオフからオンに切換わり、ヘッドレスト上下位置レジスタRPBのデ−タがPBrefに更新され、レジスタFIBがクリアされ、発光ダイオ−ドLDBが消灯する。
【0096】
シ−ト前後位置がエリアCにあったときには、その後、シ−ト後移動指示スイチSBArがオンになると、図11の(c)に示す点c1から基準点PArefに達したときに、位置検出スイッチA3がオフからオンに切換わり、シ−ト前後位置レジスタRPAのデ−タがPArefに更新され、レジスタFIAがクリアされ、発光ダイオ−ドLDAが消灯する。ヘッドレスト上下位置デ−タRPBは、先行して実施された「ヘッドレスト初期調整」(HRA)において、ヘッドレストが図11の(c)に示す点c1に駆動されたときに、正確な値に定まっている。上記説明は、特定の手動用スイッチの操作に応答したシ−ト駆動に連動する位置レジスタの位置デ−タの校正であるが、その他の手動用スイッチの操作に応答したシ−ト前後駆動やヘッドレスト上下駆動、あるいは、スイッチSCのオンに応じた自動姿勢設定によっても、位置検出スイッチA3,B3のオン,オフの切換わりがあったとき、ならびに、シ−ト,ヘッドレストが、移動領域の端に到達して過負荷検出回路6a,6bが、過負荷を検出したときに、位置レジスタRPA,RPBの位置デ−タが、正確な既知値に定められる。
【0097】
また、移動領域の端に到達しなくても、手動スイッチSBAf,SBAr,SBBu,SBBdの操作に応答したシ−ト,ヘッドレストの駆動があることにより、実位置に対する位置レジスタRPA,RPBの位置デ−タのずれ量が減少して行く。この点を次に例示する。
【0098】
車両上バッテリBATに接続された電源スイッチSPSがオンになったきのシ−ト前後位置とヘッドレスト上下位置の実際の位置関係が、図12の(a)に示すように、エリアBの点a(100,50)だったとする。このとき、初期値設定(IVD)により前後位置データRPAは130mm、上下位置データRPBは35mmと設定されており、位置データのズレ量はシ−ト前後位置で130−100=30mm、ヘッドレスト上下位置は35−50=−15mmである。シ−ト前後位置位置:100mmでのヘッドレスト最適標準位置は約19mmであり、実際のヘッドレスト上下位置は最適標準位置より50−19=31mm高い位置にある。
▲1▼手動スイッチSBArの操作により後方へ駆動され、前後検出スイッチA3が切換わる場合:
スイッチA3オン(エリアB)からオフ(エリアA)が切換わるまでの間は、前後位置データRPA(130mm:エリアAの起点)が、スイッチA3による検出領域(エリアB)と不整合であるので、前後位置データRPAは更新(130mmを越える値へのカウントアップ)されない。つまり前後位置データRPAは変化しない。これにより、ヘッドレストの自動調整駆動はないので、シ−トが後方へ移動すればするほどヘッドレストの最適標準位置と実際の位置とのズレ量は減少していく。スイッチA3が切換わった時点で前後位置データRPAは、シ−ト位置を正確に示すものとなる。この時のヘッドレスト最適標準位置と実際の位置とのズレ量は50−35=15mmである。スイッチA3切換わり後は、上記ヘッドレストズレ量を維持したまま(15mmオフセット)シ−ト前後位置移動に伴って上昇していく。シ−ト前後位置が152mmを超えた付近ではヘッドレストは最上端へ移動しており、過負荷検知により上下位置データRPBも、上限位置の値PBmaxに更新される。以上の経過を複数の丸印で、図12の(a)に示す。
▲2▼手動スイッチSBAfの操作により前方へ駆動された場合:
前方への駆動により前後位置データRPAは130mmより小さくなり、ヘッドレスト最適標準位置は35mmを下回る。このとき、上下検出スイッチB3が切換わるまでヘッドレストは自動調整駆動され、切換わった時点で上下位置データRPBのズレが解消する。この時、残る前後位置データのズレ量:30mmによるヘッドレスト最適標準位置と実際の位置とのズレ量は35−19=16mm。このズレ量を維持したまま(16mmオフセット)シ−ト前後移動に伴って下降していく。その後はシ−トが最前端へ移動したとき、過負荷検知により前後位置データRPAも、下限位置の値PAmin=0に更新される。以上の経過を複数の丸印で、図12の(b)に示す。
▲3▼手動スイッチSBArの操作により後方へ駆動され、前後検出スイッチA3が切換わる前の点b(120,50)で停止後、再度手動スイッチSBAfの操作により前方へ駆動された場合:
後方移動では、前後位置データRPAは更新されないので130mm、シ−ト前後位置位置RPAの変化がないのでヘッドレストの自動調整駆動も行わない。よって上下位置データRPBも35mmのままである。点b(120,50)での位置ズレ量は、前後位置データ:130−120=10mm、シ−ト前後位置120mmでのヘッドレスト最適標準位置は約30mmであり、この時のヘッドレスト最適標準位置と実際の位置とのズレ量は50−30=20mmである。その後、前方への駆動により前後位置データは130mmより小さい値に更新され、ヘッドレスト最適標準位置は35mmを下回る。このとき、上下検出スイッチB3が切換わるまでヘッドレストは自動調整駆動され、切換わった時点で上下位置データRPBのズレが解消する。この時、残る前後位置データRPAのズレ量:10mmによるヘッドレスト最適標準位置と実際の位置とのズレ量は35−30=5mmを維持したまま(5mmオフセット)シ−ト移動に伴って下降していく。その後はシ−トが最前端へ移動したとき、過負荷検知により前後位置データRPAも、下限位置の値PAmin=0に更新される。以上の経過を複数の丸印で、図12の(c)に示す。
▲4▼手動スイッチSBBuの操作により上方へ駆動される場合:
上下位置データRPBのズレ量15mmを維持したまま上方移動に伴う上下位置データRPBの更新が行われ、最上端での過負荷検知によって、上下位置データRPBは上限値PBmaxに定まる(前後位置データRPAのズレは継続)。
▲5▼手動スイッチSBBdの操作により下方へ駆動される場合:
下方移動に伴う上下位置データRPBの更新は行われず、35mmを維持。このとき、上下位置データRPBのズレ量は除々に減少し、上下位置検出スイッチB3が切換わった時点で上下位置データRPBのズレが解消する(前後位置データのズレは継続)。
【0099】
以上のように、前後・上下検出スイッチA3,B3の切換わりを検出または過負荷を検出するまでの間でも、手動スイッチの操作に応答するシ−ト前後位置移動,上下移動によって、以下のような効果がある:
・前後、上下位置データRPA,RPBのズレ量を減少するよう作用する,
・最適標準位置よりも低くならない位置でシ−ト前後位置位置に対応したヘッドレスト高さへの自動調整設定が行なわれる。
【0100】
なお、電源が復活したときのシ−ト位置(前後位置)RPAとヘッドレストの実際の高さ(上下位置)の関係が他のエリアに属する場合であっても、同様の効果を有する。他の機構C〜Fに関しても同様である。
【0101】
いずれの機構A〜Fでも、位置検出スイッチA3,B3,・・・が、各機構A〜Fの被駆動体の移動領域の中程に定まった基準点にてオン/オフが切換わり、該基準点に定まった既知位置デ−タPAref,PBref,・・・に校正され、通常のシ−ト姿勢調整,設定でシ−ト姿勢が基準点近くに定まる確率が高く、したがって位置検出スイッチA3,B3,・・・のオン/オフ切換わりの確率が高く、CPUが生成する位置デ−タに、デ−タ処理誤差,検出誤差が累積する可能性が低く、位置デ−タの信頼性が高い。したがってシ−ト姿勢の制御精度が高くなる。ユ−ザのスイッチ操作によって機構を駆動して基準位置を通過させて位置デ−タを正確な値に設定する位置デ−タの初期化を行なう場合、基準点が移動範囲の中程であるので、機構駆動量が少くて済む。すなわち、初期化に要する時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の機構概要を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す機構A〜Eに結合されたシ−トECUの構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の一部分を示すフロ−チャ−トである。
【図4】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の他の部分を示すフロ−チャ−トである。
【図5】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の他の部分を示すフロ−チャ−トである。
【図6】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の他の部分を示すフロ−チャ−トである。
【図7】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の他の部分を示すフロ−チャ−トである。
【図8】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の他の部分を示すフロ−チャ−トである。
【図9】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の他の部分を示すフロ−チャ−トである。
【図10】 図2に示すCPU10の制御機能の概要の残部を示すフロ−チャ−トである。
【図11】 図1に示すシ−トの前後位置を横軸に、ヘッドレストの高さを縦軸にして示す、シ−ト位置およびヘッドレスト高さの領域区分、ならびに、領域対応の位置検出スイッチA3,B3のオン/オフを示すグラフであり、左下りの太い実線は、シ−ト位置に対応する適正なヘッドレスト高さを示す。
【図12】 図1に示すシ−トの前後位置を横軸に、ヘッドレストの高さを縦軸にして示す、シ−ト位置およびヘッドレスト高さの領域区分、ならびに、シ−ト位置に対応する適正なヘッドレスト高さを示すグラフである。
【符号の説明】
1:シ−トクッション 2:シ−トバック
3:ヘッドレスト A〜F:電動駆動機構
A1,B1:電気モ−タ A2,B2:ロ−タリエンコ−ダ
A3,B3:位置検出スイッチ Ad〜Fd:機構駆動装置
ra,rb:抵抗器 SPS:電動シ−ト用電源スイッチ
BAT:車両バッテリ SA:ユ−ザ宛てスイッチ群
SB:手動指示スイッチ群 SC:自動姿勢設定指示スイッチ
SD:姿勢登録指示スイッチ SE:ヘッドレスト自動調整指示スイッチ
SF:ドライバ席ドアスイッチ SG:着座者センサ
LD:発光ダイオ−ド群
Claims (5)
- 着座者を支持または保護するための部材を駆動する電動駆動機構;前記部材の位置を検出する位置検出手段;駆動指示を入力する手段;および、該入力手段による駆動指示に応答して前記電動駆動機構を制御する手段;を備える電動シ−トにおいて:
前記位置検出手段は、前記部材の移動領域の略中央の一点を境にした2領域のいずれに部材があるかを検出する領域検出手段,前記電動駆動機構に連結され部材移動同期パルスを発生するパルス発生器、および、該部材移動同期パルスをカウントして部材位置デ−タを生成し前記領域検出手段の領域検出が切換わったときに該部材位置デ−タを前記一点の位置を表わすものに更新する位置デ−タ処理手段、を含む;ことを特徴とする電動シ−ト。 - 位置デ−タ処理手段は、部材移動同期パルスをカウントして部材位置デ−タを更新するとき、更新により部材位置デ−タが、領域検出手段が検出している領域とは違った領域の位置デ−タとなるときは、該更新は保留または前記一点の位置を表わするものに更新する、請求項1記載の電動シ−ト。
- 位置検出手段は更に、部材の移動領域の端での電動駆動機構の過負荷を検出する手段を含み;位置デ−タ処理手段は、部材の駆動中に該過負荷検出手段が過負荷を検出すると部材位置デ−タを端位置を表わすものに更新する;
請求項1記載の電動シ−ト。 - 位置デ−タ処理手段は、部材位置デ−タを保持しうる電圧を与える電源に接続されたときに、領域検出手段が、部材が前記一点より基点側の領域を検出していると、部材位置デ−タを前記一点の位置または基点の位置を表わすものに定め、終点側の領域を検出していると、部材位置デ−タを終点の位置または前記一点の位置を表わすものに定める;請求項1記載の電動シ−ト。
- 前記電動駆動機構は、着座者から見て前後方向にシ−トを駆動する電動駆動機構Aおよび着座者を保護するヘッドレストを上下方向に駆動する電動駆動機構Bを含み;制御手段は、シ−トの前後位置に予め対応付けられているヘッドレスト位置に、電動駆動機構Bを介して連動してヘッドレストを駆動する;請求項1,請求項2,請求項3又は請求項4記載の電動シ−ト。
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