JP4078234B2 - フラップ式止水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば浴室と脱衣室間の床面に設けられて、浴室側からの漏水、オーバフローを防ぐフラップ式止水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、バリアフリーの観点から、浴室の床面と脱衣室の床面との段差を無くし、両室の床面が同一または略同一のレベルになるような構成が知られている。
この場合には、浴室から脱衣室側への漏水等を防ぐため、戸本体の下枠にフラップ状の止水材を取付ける場合がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−90449号公報(第3頁段落0011、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、前記フラップ状の止水材5を起倒させるためのスイッチとなる第1、第2の当接部23,24がドア3を開いたときに、入浴者の目に入ってしまう、
また、第1、第2の当接部23,24を取付ける駆動装置20と止水部材5との取付構造が複雑である、
さらに、前記駆動装置20は、浴室ドアにつき1組のみが取付けられており、起立している前記止水部材5が撚れるおそれがある、等を指摘できる。
【0005】
そこで、本発明は、上記諸点を解決するためになされたもので、意匠性を高め、入浴者が安心して入浴することができ、また止水部材とその駆動部間の取付構造及び止水部材と下枠間の取付構造も簡単で、止水部材の交換を簡単に行うことができ、さらに止水部材の撚れを防ぐことができるフラップ式止水装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、フラップ式止水装置は、戸枠に取付けられる浴室ドアが閉じられるときに、その初期位置から略水平方向にスライドし、一方、前記浴室ドアが開けられるときに、その初期位置に戻るラッチ部材と、一端が前記ラッチ部材のスライド動作に同調し、その初期位置から略水平方向にスライドすると共に、他端が斜め上方にスライドし、一方、前記ラッチ部材の戻り動作に同調し、その初期位置に戻る第1アーム部材と、一端が前記第1アーム部材の斜め上方へのスライド動作に同調し、その初期位置から上方に変位し、一方、前記第1アーム部材の戻り動作に同調し、その初期位置に戻る第2アーム部材と、前記第2アーム部材の他端に着脱自在に取付けられ、且つ、前記ラッチ部材のスライド力により起立されるフラップ材を備えると共に、前記第2アームはバネであり、且つ、前記ラッチ部材、第1アーム部材及び第2アーム部材を筐体に収容し、且つ 少なくとも前記戸枠の何れかの竪枠に配置したことを特徴とする(請求項1に記載の発明)。
【0007】
前記フラップ材の起倒は、前記ラッチ部材のスライド力が、前記第1アーム部材に伝達されて吊上げ力又は吊下げ力に変換され、それらの力が第2アーム部材に伝達されて、前記フラップ材を吊上げたり、吊下げることによって行なわれる。
これらの起倒の機構は、ラッチ部材、第1アーム部材及び第2アーム部材が筐体に納められることで、柔らかな外観を作り出し、意匠性を高める。
また、前記フラップ材は、前記第2アーム部材の他端に着脱自在に取付けられ、また前記戸枠の下枠に着脱自在に取付けられるので、フラップ材の交換を簡単に行うことができる。
【0008】
前記筐体が少なくとも前記戸枠の何れかの竪枠に配置されることでフラップ材の起倒を行うことができるが、前記戸枠の左右竪枠に配置することで、フラップ材の両サイドの吊上げ、吊下げを行なうので、その捩れを防ぐことができる。
【0009】
上記発明において、前記フラップ材は、第1硬質部と前記戸枠の下枠に着脱自在に取付けられた第2硬質部とその中間の軟質部が2種成形されたことを特徴とする(請求項2に記載の発明)。
前記フラップ材の起倒は、フラップ材の軟質部が中心となり、特別な回動機構を必要としない。
なお、請求項1の発明において、前記第2アームはバネであることから、起立時のフラップ材が誤って踏まれたとしても、フラップ材が倒れ込むことで、その毀損を防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1はフラップ式止水装置が配置された浴室ドアの脱衣室側正面図、図2は同装置の要部斜視図、図3(A)は同装置のスイッチとなる「押圧部材」を取付けた浴室ドア竪框の要部斜視図、同図(B)は同装置を収納した筐体の斜視図である。
これら各図及び後述の各図において同一符号は、同一の構成を意味し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1〜図3に示したように、前記フラップ式止水装置1は、戸枠2に取付けられた浴室ドアとしての折戸3を閉じた時に、フラップ材10の両端が略同時に吊上げられるように、フラップ材10の起倒機構を収容した筐体4が戸枠2両サイドに配置されている。
そして、浴室側と脱衣側の床面を略同一にしたバリアフリー仕様において、浴室側からのオーバーフロー等の漏水を防止している。
【0012】
前記折戸3は、その吊先框30がスライド可能に、その吊元框31が回転可能に、それぞれ前記戸枠2の上枠20に取付けられている。
前記折戸3の一方の竪框33には、手掛け5が取付けられ、その手掛け5を浴室側に押出すことで折戸3が開き、脱衣側に引くことで折戸3を閉じるようになっている。
【0013】
前記折戸3の吊先框30及び吊元框31の下部には、浴室に向かって、それぞれ押圧部材6が取付けられている(図3(A))。
この押圧部材6は、前記起倒機構のスイッチとなるもので、吊元框31側の押圧部材6は、その先端から除除に肉厚となるように、横断面形状が略J字状に成形されている。
これは、吊元框31側の押圧部材6は、回転しながら前記筐体4のラッチ部材11(詳細は後述)に当接することを考慮したものである。このような形状は吊先框30側の押圧部材6には必要ないことから、その押圧部材6の横断面形状は略長方体となっている(図10参照)。
【0014】
これら押圧部材6は、前記各框30、31に形成されている孔(図示せず)を介して取付けられるもので、合成樹脂等で成形されるが、これに代わり框30、31自体を押圧部材状に成形してもよい。
【0015】
前記筐体4は、図1に示したように前記戸枠2の竪枠21、22にそれぞれ固定されている。これら左右の筐体4の構成は、略同一であるので、左筐体を右筐体に代表させて説明する。
【0016】
前記筐体4は、ケース40と蓋41から構成され、ケース40が前記竪枠21に固定され、入浴者の視線に入る脱衣室側の前記筐体4にはラウンドRが付けられている。
よって、入浴者に違和感を与えることがない外観となっている。
この筐体4内には、前記折戸3が閉じられたときに前記押圧部材6により押されて初期位置から略水平方向にスライドし、一方、前記折戸3が開けられたときに前記押圧部材6から解放されて初期位置に戻るラッチ部材11と、一端が前記ラッチ部材11のスライドに同調し、初期位置から略水平方向にスライドすると共に、他端が斜め上方にスライドし、一方、前記ラッチ部材戻り動作に同調してその初期位置に戻る第1アーム部材としてのアーム12と、一端が前記アーム12と同調し、その初期位置から上方に変位し、一方、前記アームの戻り動作に同調して前記初期位置に戻る第2アーム部材としてのバネ13が収容されている。
【0017】
前記ラッチ部材11は、図3及び図4のように、平面形状が楔状に成形され、その楔部110が前記筐体4の開口42から出没可能に取付けられている。
前記ラッチ部材11の基部111には、ラッチ部材11を常時、前記開口42方向に附勢するバネ112が取付けられ、楔部110が前記開口42から突出している状態が初期位置となっている。
また、前記ラッチ部材11の側部のスライド軸113は筐体4の横長穴部114に沿ってスライド可能に構成されている。
なお、前記楔部110が臨む筐体4の開口42は、前記押圧部材6を受入れ可能なように受入れ切欠溝43が形成されている(図3(B))。
【0018】
前記アーム12は、その一端が前記スライド軸113に回動自在に取付けられ、前記スライド軸113が図面上、前記横長穴部114の左隅にある位置の初期位置から前記ラッチ部材11と同調して前記横長穴部114に沿ってスライドされる。前記アーム12の他端は斜行軸121に軸着され、その斜行軸121が筐体4に形成された右上がり穴部122に沿ってスライドされる。
【0019】
前記バネ13は、その一端が前記斜行軸121に取付けられ、他端が前記フラップ材10に取付けられている。
そして前記斜行軸121が前記右上がり穴部122の下部隅にあるときが初期位置となっている。
【0020】
前記フラップ材10は図5、図6に示されているように前記戸枠2の下枠23に沿って配置されていると共に、前記バネ13に取付けられる第1硬質部100と、下枠に取付けられる第2硬質部101と、その中間の軟質部102を2色成形した合成樹脂から構成されている。
前記第1硬質部100は、前記バネ13の一端が取付けられて起倒する部分であり、その両端部103が前記筐体4の下部のガイド面44(図4参照)に臨まされている。そして前記バネ13の一端を取付けるための取付ボタン104が取付孔105を介して固着されている。
なお、第1硬質部100の先端は、戸枠下枠23に向かってラウンド処理されている。
前記第2硬質部101は、前記戸枠2の下枠23に着脱自在に取付けられるように、その裏面に前記下枠23の溝230への係止片106が形成されている。このような構成により、前記フラップ材10の高さ寸法を低く押えることができる。
前記軟質部102は、前記第1硬質部100が起倒する場合に、折曲部となる部分である。
【0021】
このように構成されたフラップ材の第1、第2硬質部100、101は、例えばAAS樹脂で、硬度100度にて成形する。また、軟質部102は、例えばTPO(熱可塑性オレフィン・ポリマー・ブレンド)樹脂で、硬度60〜70度にて成形する。
合成樹脂の種類は、上記のものに限定されることはなく、その他の合成樹脂であってもよい。
【0022】
以上のように構成されたフラップ式止水装置の動作例を図7及び図8に基づいて説明する。
図7は、前記ラッチ部材11、前記アーム12及び前記バネ13がそれぞれ初期位置にあることを示している。
この状態から、折戸3が除除に閉められると、前記押圧部材6が前記ラッチ部材11を筐体4の開口42に押し込むようになる。その結果、ラッチ部材11のスライド力が、前記アーム部材12に伝達されて吊上げ力に変換され、バネ13により前記フラップ材10の吊上げが行なわれる。フラップ材10はその軟質部102を中心に前記第1硬質部100が起立される。
【0023】
なお、この状態で、万が一、フラップ材10が踏まれても、その力は前記バネ13によりかわされるので、フラップ材10等が保護される。
【0024】
一方、折戸3が除除に開けられると、前記押圧部材6が前記ラッチ部材11を解放する。その結果、前記バネ112がラッチ部材11を初期位置に戻すと、その逆スライド力が前記アーム部材12に伝達されて吊下げ力に変換され、バネ13を介して前記フラップ材10の吊下げが行なわれる。
よって、上記フラップ式止水装置では、メカニカルな部分が筐体4でカバーされており、且つ、意匠的にスマートな装置となっている。
また、フラップ材10の取替えも、前記バネ13の一端と取付ボタン104の着脱と、前記戸枠2の下枠23と前記係止片106の着脱のみでよく、スムーズに行うことができる。
【0025】
上記実施形態では浴室ドアは折戸であったが、図9〜図11のように開き戸3Aの戸枠2両サイドに上記押出部材6、筐体4を、下枠に前記フラップ材10を配置してもよい。
即ち、上記実施形態と略同一の構成により、同一の作用効果を奏する。
【0026】
また、図12のように、前記フラップ式止水装置1の浴室側に、一次止水としての下框止水材7と、二次止水としてボトム式止水材8を配置し、前記フラップ式止水装置1を三次止水としてもよい。
【0027】
なお、上記実施形態では、戸枠2側両サイドに上記押出部材6、筐体4を配置しているが、何れか一方のサイドでもよい。
【0028】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記フラップ材の起倒は、第2アーム部材による前記フラップ材の吊上げと吊下げによって行なわれるので、構造が簡素である。
これらの起倒の機構は、ラッチ部材、第1アーム部材及び第2アーム部材が筐体に納められることで、柔らかな外観を作り出し、意匠性を高める。
また、前記フラップ材は、前記第2アーム部材の他端に着脱自在に取付けられ、また前記戸枠の下枠に着脱自在に取付けられるので、フラップ材の交換を簡単に行うことができる。
また、前記第2アームはバネであることから、起立時のフラップ材が誤って踏まれたとしても、フラップ材が倒れ込むことで、その毀損を防ぐことができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、前記フラップ材の起倒は、フラップ材の軟質部を中心として行われ、特別な回動機構が必要とされることはなく、極めて簡単な構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るフラップ式止水装置を配置した浴室ドアの脱衣室側正面図である。
【図2】同フラップ式止水装置の要部斜視図である。
【図3】(A)(B)同フラップ式止水装置の要部斜視図である。
【図4】(A)フラップ式止水装置の断面図、(B)同平面断面図、(C)同側面断面図である。
【図5】(A)同フラップ式止水装置のフラップ材の正面図、(B)同フラップ式止水装置のフラップ材の平面図である。
【図6】フラップ材の取付け平面図である。
【図7】フラップ式止水装置の動作説明図である。
【図8】フラップ式止水装置の動作説明図である。
【図9】他の実施形態に係るフラップ式止水装置を配置した浴室ドアの脱衣室側正面図である。
【図10】同動作説明図である。
【図11】同動作説明図である
【図12】他の実施形態に係るフラップ式止水装置を配置した浴室ドアの断面図である。
【符号の説明】
1 フラップ式止水装置 2 戸枠
3 折戸
4 筐体 5 手掛け
6 押圧部材
10 フラップ材 11 ラッチ部材
12 アーム 13 バネ
20 上枠 21、22 竪枠
23 下枠
30 吊先框 31 吊元框
32 33 竪框 40 ケース
41 蓋 42 開口
43受入れ切欠溝 44 ガイド面
100 第1硬質 101 第2硬質部
102 軟質部 103 両端部
104 取付ボタン 105 取付孔
106 係止片
110 楔部 111基部
112 バネ
113 スライド軸 114 横長穴部
121 斜行軸
122 右上がり穴部
230 溝

Claims (2)

  1. 戸枠に取付けられる浴室ドアが閉じられるときに、その初期位置から略水平方向にスライドし、一方、前記浴室ドアが開けられるときに、その初期位置に戻るラッチ部材と、
    一端が前記ラッチ部材のスライド動作に同調し、その初期位置から略水平方向にスライドすると共に、他端が斜め上方にスライドし、一方、前記ラッチ部材の戻り動作に同調し、その初期位置に戻る第1アーム部材と、
    一端が前記第1アーム部材の斜め上方へのスライド動作に同調し、その初期位置から上方に変位し、一方、前記第1アーム部材の戻り動作に同調し、その初期位置に戻る第2アーム部材と、
    前記第2アーム部材の他端に着脱自在に取付けられ、且つ、前記ラッチ部材のスライド力により起立されるフラップ材を備えると共に、
    前記第2アームはバネであり、且つ、前記ラッチ部材、第1アーム部材及び第2アーム部材を筐体に収容し、且つ 少なくとも前記戸枠の何れかの竪枠に配置したことを特徴とするフラップ式止水装置。
  2. 前記フラップ材は、第1硬質部と前記戸枠の下枠に着脱自在に取付けられた第2硬質部とその中間の軟質部が2種成形されたことを特徴とする請求項1に記載のフラップ式止水装置。
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