JP4077326B2 - インバータ装置の回生電力の処理方法およびこの方法に使用するインバータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、並列配置された複数のインバータ装置に関わり、特に各々のインバータ装置内にあるインバータにて交流に変換される直流電圧を各インバータ装置にわたり共通に接続した方式(直流電圧部の共通母線方式)にあって、この直流電圧の回生回路内にあるスイッチング素子の駆動時間を合致させたインバータ装置(モータ制御装置を含む)の回生電力の処理方法とこの方法に使用するインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図14、図15は、インバータ装置を複数台使用しかつ各インバータ装置におけるインバータにて交流に変換される直流電圧を複数のインバータにつき共通とする接続をした場合、つまり回生および力行のエネルギ授受を効率的に行うことを目的として複数のインバータ装置の直流電圧部を共通にしたいわゆる共通母線方式のシステムブロック図を示す。
【0003】
同じインバータ装置が複数(ここでは二つ)存在する図14において、交流電源1に共通接続されたインバータ装置2、2aには、交流電源1の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部3、3a、コンバータ部3、3aにより変換された直流電圧を平滑するコンデンサ4、4a、端子PXにつながる制動抵抗50、50aと端子PRにつながるスイッチング素子51、51aとから構成され端子PX、PRを短絡することで制動抵抗50、50aを通電させて回路を動作させ得る回生回路5、5a、平滑コンデンサ4、4aにより平滑された直流電圧を交流電圧に再変換するためブリッジ接続されたスイッチング素子とダイオードで構成されたインバータ部6、6aを有し、このインバータ装置2、2aには誘導電動機7,7aが接続される。
【0004】
更に、インバータ装置2、2aには、出力周波数、出力電圧、加速時間等を演算するためのマイコン(マイクロコンピュータ)8、8a、整流し平滑された直流電圧部の直流電圧を検出してその検出値をマイコン8、8aに出力する直流電圧検出回路9、9a、マイコン8、8aにて演算した結果をもとにインバータ部6,6aを駆動するためPWM信号を作成出力するPWM信号作成装置10、10a、マイコン8、8aからの指令を受けて回生回路5、5aのスイッチング素子51、51aを駆動するための信号を作成出力する回生回路用駆動回路11、11a、インバータ制御用のパラメータや速度指令を与える設定器12、12a、設定器12、12aからマイコン8、8aへデータを伝えるための入力インターフェース13、13a、マイコン8、8aから設定器12、12aへデータを伝えるための出力インターフェース14、14aを有する。そしてここでは、インバータ装置2、2aの直流電圧部を共通母線方式とするために、すなわち整流し平滑された直流電圧部の直流電圧をインバータ装置2、2a間にて共通接続するためにそれぞれの端子P、N同士が接続されている。
【0005】
また、図15において、インバータ装置2、2aの外部に設置され上記端子P、Nに接続されて回生電力を消費させる処理を行う外付け制動装置17には、その外付け制動装置用の制動抵抗181と制動ユニット182とを有し、制動ユニット182には、制動抵抗18に通電して回路を動作させるためのスイッチング素子19、スイッチング素子19を動作させるか判断するための比較器20、比較器20に使用する直流電圧値の検出を実施するための分圧抵抗21がそれぞれ備えられている。この場合、外付け制動装置17が接続されている場合には、一般にインバータ装置2、2aにそれぞれ内蔵する回生回路5、5aは使用せず、したがって端子PX、PRを短絡することなく、この外付け制動回路17にて制動が行われる。なお、図15においては、各インバータ装置2、2aの直流電圧部の共通母線に外付け制動装置17を接続し、比較器20にて外付け制動装置17の分圧抵抗21による分圧値である直流電圧と基準電圧値VBとを比較し、直流電圧値が基準電圧値を越えるとスイッチング素子19が動作を開始させ、スイッチング素子19を駆動させることで制動抵抗18に電流が流れ回生電力を消費するようになっている。
【0006】
このようなインバータ装置2、2aにあってインバータ装置2を中心として動作を説明する。図14において、コンバータ部3では交流電圧を直流電圧に変換し、コンデンサ4では変換された直流電圧を平滑する。この平滑された直流電圧は、直流電圧検出回路9にて常に検出されマイコン8へ直流電圧の値を伝える。なお、端子P、Nを介して一方のインバータ装置2の直流電圧は他方のインバータ装置2aの直流電圧検出回路9aにて検出され得る。インバータ部6では、PWM信号作成装置10より出力されるPWM信号に従って直流電圧を交流電圧に変換して、インバータ装置2に接続された誘導電動機7を駆動する。
【0007】
この場合、マイコン8は、設定器12に入力した速度指令やパラメータの値を、入力インターフェース13を介して受け取り、設定器12は、マイコン8に設定されている速度指令やパラメータの値を、出力インターフェース14を介して受け取る。そして、速度指令やパラメータをもとにマイコン8にて演算を行い、演算結果をPWM信号作成装置10に送る。PWM信号作成装置10ではマイコン8から送られてくる演算結果をもとにPWM信号を作成してインバータ部6へ出力する。
【0008】
インバータ装置2で誘導電動機7を駆動する場合には、設定器12を用いて速度指令とパラメータとして加速時間、減速時間を設定して運転を開始する。ここでは、インバータ装置2の出力周波数を変化させることにより、加速の際には設定された加速時間にて速度指令値まで加速し、運転を終了する際には速度指令値から設定された減速時間にて減速し停止する。
【0009】
上記のインバータ装置2において、回生電力を消費しながらインバータ装置2が誘導電動機7を運転(回生運転とよぶ)する状態と、回生電力を消費しないでインバータ装置2が誘導電動機7を運転(力行運転とよぶ)する状態をもつ機械システムにおいては、インバータ装置2の直流電圧部に返される回生電力を有効利用するために、前述のように端子P、Nの共通母線による接続によって直流電圧部を共通とする接続をして複数のインバータ装置を運転するシステムがある。このシステムの場合、大きな回生電力が誘導電動機7より返された時は直流電圧部の電圧は上昇し、外付け制動装置17を使用しあるいはインバータ装置2にある回生回路5を使用して回生電力を消費する必要があることも前述したとおりである。
【0010】
この共通母線方式での電力の回生に対応して、図14、図15に示すように各インバータ装置2、2aの端子P、Nを接続した共通母線につながる外付け制動装置17を設置した場合、前述したように一般には各インバータ装置2、2aに内蔵する回生回路5、5aは動作させず端子PX、PRは短絡することなく図示のとおり解放のままである。この外付け制動装置17は、内蔵の回生回路5、5aでは能力不足で大きな回生電力の処理が必要な場合に設置されるが、更には回生回路5、5aによる処理をする場合でも後述のように各インバータ装置2、2aの回生回路5、5aの動作がばらつくことから、実際の使用では共通母線に接続されることが一般に行われている。
【0011】
ここで、図15に示すように外付け制動装置17を共通母線に接続することはしないで、各インバータ装置2、2aに内蔵する回生回路5、5aを活かすため図14の端子PX、PRを短絡した場合について、以下に若干説明する。例えば減速時の電力回生に際し、直流電圧検出回路9により直流電圧の値が回生制動動作開始電圧至ったとマイコン8内での演算の結果判断されれば、マイコン8から回生回路用駆動回路11に指令が出され、端子PX、PRが短絡された回生回路5のスイッチング素子51を導通して制動抵抗50、50aにて回生電力が消費される。ついで直流電圧の値が回生制動動作開始電圧より高い過電圧保護レベルを越えた場合、マイコン8からPWM信号作成装置10へ出力遮断指令が出力されて、インバータ部6を停止し保護する。
【0012】
すなわち、上記のような回生電力を消費するに際しては、減速時などにおいて、誘導電動機7からインバータ装置2へ回生電力が返されるので、直流電圧を上昇させる運転状態となる。この場合、回生電力が大きな場合には過電圧保護レベルまで直流電圧が上昇しインバータ装置が過電圧による故障を防ぐためにインバータ部6を停止し出力遮断動作をするという過電圧保護動作をすることがあるが、この過電圧保護が動作する前に直流電圧が回生制動動作開始電圧に至ると直流電圧の上昇を抑えるために回生回路5にある制動抵抗50にてこの回生電力を消費させている。
【0013】
回生回路用駆動回路11への指令の送出は、予め設定されている回生回路5を動作させる回生制動動作開始電圧値(以下制動動作開始電圧値とよぶ)と直流電圧検出回路9によりマイコン8へ伝えられた直流電圧値とを比較する。直流電圧値が制動動作開始電圧値を越えると、マイコン8より制動抵抗50が接続されている回路を動作させるスイッチング素子51を駆動させる制動動作信号を出力させることで制動抵抗50に電流が流れ回生電力を消費する。
【0014】
なお、従来の技術として別の特開2001−157303号公報には、複数台のインバータの回生制御時にA/D変換器のばらつきによるコンデンサ電圧の検出誤差を考慮して最大コンデンサ電圧を基準に開始電圧を設定することが開示されるが、本発明方式とは全く相違する。
【0015】
【特許文献】
特開2001−157303号公報(〔0003〕から〔0005〕)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の技術においては、インバータ装置2、2aを複数台(ここでは二台)使用しかつそのインバータ装置2、2aにおける直流電圧部を共通とする接続をした場合において、内蔵の回生回路5、5aにて回生動作をさせる場合には回生動作のばらつきが生ずるという問題点がある。すなわち、各々のインバータ装置2、2aにある直流電圧検出回路9、9aに内蔵されるアナログ/デジタル変換回路などによる特性上のばらつきによりマイコン8、8aに取り込まれる直流電圧値に誤差が発生し、回生回路5、5aにおける回生制動動作開始電圧(制動動作開始電圧という)にばらつきが発生するため、各々のインバータ装置2、2aにある回生回路5、5aを使用した場合、制動動作開始電圧が相対的に低いインバータ装置の回生回路が動作して他のインバータ装置の回生回路の制動動作開始電圧には到達しないというばらつき、あるいは制動動作開始電圧が相対的に低いインバータ装置の回生回路が動作した後次いで他のインバータ装置の回生回路が動作したとき最初に動作したインバータ装置の回生回路の制動動作時間が長くなるというばらつき、が発生してしまうという問題があった。すなわち、図7に示すように、インバータ装置2の制動動作開始電圧とインバータ装置2aの制動動作開始電圧が食い違っており、このためインバータ装置2の回生回路5への制動動作信号とインバータ装置2aの回生回路5aへの制動動作信号とがばらつき、制動動作時間T1,T2もばらつくこととなる。
【0017】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、インバータ装置の直流電圧部を共通として並列接続して使用する場合に、各々のインバータ装置に内蔵している回生回路において、制動動作開始電圧の動作のばらつきを最小化することで回生電力の消費処理を一部のものに片寄りなく実施可能にするインバータ装置の回生電力の処理方法およびこの方法に使用するインバータ装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧部の直流電圧をインバータ部にて交流電圧に変換し、上記直流電圧部にあって回生電力をスイッチング素子と制動抵抗が接続された回生回路にて消費し、上記直流電圧を直流電圧検出器にて検出し、この検出した直流電圧をマイコンに入力し、このマイコンの出力によって上記スイッチング素子およびインバータ部を制御するスイッチング素子を制御する機能をそれぞれに有する複数のインバータ装置の各直流電圧部を共通接続し、この共通接続された直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると制動動作開始可能信号を出力して回生電力を上記回生回路にて消費させるインバータ装置の回生電力の処理方法において、直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると、回生制動動作開始可能信号を一のインバータ装置から他のインバータ装置へ出力して、一のインバータ装置では他のインバータ装置の回生制動動作開始可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延させる処理を行い、他のインバータ装置では一のインバータ装置から入力された回生制動動作開始可能信号を認識してその入力信号を認識した時点から一のインバータ装置と同時の回生制動動作可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延する処理を行うことを特徴とする。
【0019】
上述の発明によれば、一のインバータ装置に電力を供給する直流電圧部の電圧値が制動動作開始電圧値を越えると他のインバータ装置へ制動動作開始可能信号を出力し、その制動動作開始可能信号を出力後、ある一定時間後に回生回路にあるスイッチング素子へ導通させる信号を出力し、他のインバータ装置からの制動動作開始可能信号を入力すると、その制動動作開始可能信号を入力後ある一定時間後に回生回路にあるスイッチング素子へ導通させる信号を出力することにより、たとえ各々の制動動作開始電圧値及び各々のインバータ装置が読込む直流電圧値と実際の直流電圧値とのずれが発生しても、制動動作開始電圧点を一律とさせることができ、ある一定時間後に回生回路にあるスイッチング素子へ導通させる信号を出力することで、各々のインバータ装置自体で回生回路を動作させる時間を調整するためインバータ装置の制動動作の開始を一律にさせることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1を図1、図2に示す。図1において、交流電源1に共通接続されたインバータ装置2、2aには、交流電源1の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部3、3a、コンバータ部3、3aにより変換された直流電圧を平滑するコンデンサ4、4a、端子PXにつながる制動抵抗50、50aと端子PRにつながるスイッチング素子51、51aとから構成され端子PX、PRを短絡片52、52aにて短絡することで制動抵抗50、50aを通電可能にして回路を動作させ得る回生回路5、5a、平滑コンデンサ4により平滑された直流電圧を交流電圧に再変換するためブリッジ接続されたスイッチング素子とダイオードで構成されたインバータ部6、6aを有し、このインバータ装置2、2aには誘導電動機7,7aが接続される。
【0021】
更に、インバータ装置2、2aには、出力周波数、出力電圧、加速時間等を演算するためのマイコン8、8a、整流し平滑された直流電圧を検出してその検出値をマイコン8、8aに出力する直流電圧検出回路9、9a、マイコン8、8aにて演算した結果をもとにインバータ部6,6aを駆動するためPWM信号を作成出力するPWM信号作成装置10、10a、マイコン8、8aからの指令を受けて回生回路5、5aのスイッチング素子51、51aを駆動するための信号を作成出力する回生回路用駆動回路11、11a、インバータ制御用のパラメータや速度指令を与える設定器12、12a、設定器12、12aからマイコン8、8aへデータを伝えるための入力インターフェース13、13a、マイコン8、8aから設定器12、12aへデータを伝えるための出力インターフェース14、14aを有する。そしてここでは、整流し平滑された直流電圧をインバータ装置2、2a間にて共通接続するためにそれぞれの端子P、N同士が接続されている。
【0022】
本実施の形態1では、インバータ装置2にあって、更に外部装置(ここではインバータ装置2a)からマイコン8へ信号を伝えるための入力インターフェース15、およびマイコン8から外部装置へ信号を伝えるための出力インターフェース16を有し、インバータ装置2aにあって、更に外部装置(この場合インバータ装置2)からマイコン8aへ信号を伝えるための入力インターフェース15a、およびマイコン8aから外部装置へ信号を伝えるための出力インターフェース16aを有している。
【0023】
かかる図1においてインバータ装置2を中心として動作を説明するに、コンバータ部3で交流電圧を直流電圧に変換し、コンデンサ4で変換された直流電圧を平滑する。この平滑された直流電圧は、直流電圧検出回路9にて常に検出されマイコン8へ直流電圧の値を伝える。インバータ部6では、PWM信号作成装置10より出力されるPWM信号に従って直流電圧を交流電圧に変換して、インバータ装置2に接続された誘導電動機7を駆動する。マイコン8は、設定器12に入力した速度指令やパラメータの値を入力インターフェース13を介して受け取り、設定器12はマイコン8に設定されている速度指令やパラメータの値を出力インターフェース14を介して受け取る。そして、速度指令やパラメータをもとにマイコン8にて演算を行い、演算結果をPWM信号作成装置10に送る。PWM信号作成装置10ではマイコン8から送られてくる演算結果をもとにPWM信号を作成してインバータ部6へ出力する。また、外部装置からの速度指令や始動指令などインバータ装置2を制御するための信号を、入力インターフェース15を介してマイコン8へ送る。インバータ装置の運転状態や過負荷などの警報を外部装置へ伝える信号を、出力インターフェース16を介して外部装置へ送る。
【0024】
インバータ装置2で誘導電動機7を駆動する場合には、設定器12を用いて速度指令とパラメータとして加速時間、減速時間を設定して運転を開始する。ここでは、インバータ装置2の出力周波数を変化させることにより、加速の際には設定された加速時間にて速度指令値まで加速し、運転を終了する際には速度指令値から設定された減速時間にて減速し停止する。この場合、例えば減速時の電力回生に際し、直流電圧検出回路9による直流電圧の値が制動動作開始電圧を越えたとマイコン8内での演算の結果判断されれば、マイコン8から回生回路用駆動回路11に指令が出されて回生回路5のスイッチング素子51を導通して回生電力が消費される。更に、この回生回路5の動作によっても回生電力処理能力が不足しあるいは急激な回生電力が瞬間的に発生した場合には、回生処理ができずに直流電圧が上昇し、マイコン8からPWM信号作成装置10へ出力遮断指令が出力されて、インバータ部6を遮断しインバータ装置を保護する。
【0025】
インバータ装置を複数台使用し、かつインバータ装置における直流電圧部を共通とする接続をした場合においては、インバータ装置2にあって直流電圧の電圧値が制動動作開始電圧値を越えると、回生制動動作が開始可能な信号をインバータ装置2aへ出力させ、インバータ装置2aの回生制動動作が開始可能な時間までマイコン8に内蔵されているタイマを使用して遅延させる処理を行い、インバータ装置2aはインバータ装置2から入力された制動動作開始可能な信号を認識し、その入力信号を認識した時点からインバータ装置2と同時にインバータ装置2aは回生制動動作が可能な時間までマイコン8aに内蔵されているタイマを使用して遅延する処理を行うことで、各々のインバータ装置2、2aにある回生回路5、5aの制動動作開始電圧及び制動動作時間のばらつきを最小とする。
【0026】
このばらつきを最小とする処理を説明するに、まず、インバータ装置2の入力インターフェース15は、他のインバータ装置2aから制動動作開始可能な信号を入力し、マイコン8へ送る機能を、出力インターフェース16は、制動動作開始可能な信号を外部装置(ここではインバータ装置2a)へ出力できる機能を、オペレータが設定器12を使用して有効にできるインバータ装置とする。
【0027】
図1において、2台のインバータ装置2、2aを用いてそれぞれ1台ずつ誘導電動機7、7aを運転する場合、減速時もしくは昇降装置を駆動する場合の運転には誘導電動機7もしくは7aからインバータ装置2もしくは2aへエネルギが回生され、インバータ装置2もしくは2aの直流電圧が上昇する。直流電圧は直流電圧検出回路9及び9aにより検出し、マイコン8及び8aに現在の直流電圧値として入力される。インバータ運転中に回生制動動作電圧を越えた場合の処理について図2にて説明する。
【0028】
図2において、インバータ装置2は入力された現在の直流電圧値Vdcと制動動作開始電圧値VBr(=インバータ装置2の場合VBr1)とを比較し、制動動作開始電圧を越えた場合、マイコン8から出力インターフェース16を介し、インバータ装置2aへ制動動作開始可能信号Br1stを出力する。この信号Br1stをインバータ装置2aの入力インターフェース15aを介してマイコン8aへ入力した後、インバータ装置2aのマイコン8aが回生回路5aを動作させるためのスイッチング素子51aへの制動動作信号を出力できる時間を考慮した時間t1(例えば、5ms)後、インバータ装置2のスイッチング素子51へ制動動作信号Br1を、回生回路用駆動回路11を介してマイコン8より出力させる。つまり、制動動作開始可能信号Br1stを出力後インバータ装置2aの処理時間を加味してインバータ装置2でのタイミングを取っている。インバータ装置2aは、制動動作開始可能信号Br1stを入力インターフェース15aを介してマイコン8aに入力後、インバータ装置2の回生回路5とインバータ装置2aの回生回路5aを同時に動作させるための時間を考慮した時間t2(例えば、3ms)後、スイッチング素子51aへの制動動作信号Br2をマイコン8aより出力させる。つまり、インバータ装置2aでの処理時間後を計ってタイミングを取っている。
【0029】
次に、インバータ装置2、2aにとっての図2の制動動作開始可能信号である入出力信号のマイコンでの処理を図3〜図6のフローチャートにて説明する。制動動作開始可能信号が他のインバータ装置から入力されて回生制動動作を開始する場合と、制動動作開始可能信号を自己のインバータ装置から出力して回生制動動作を開始する場合があり、図3は制動動作信号を入力信号あるいは出力信号のどちらで扱うかの判別を実施する処理である。
【0030】
図3において、ステップS100にてすでに出力信号がONしている場合、他からの入力信号に関する処理は実施せず後述のステップS103へジャンプする。出力信号OFFの場合ステップS101にて、他のインバータ装置より制動動作開始可能信号が入力されているならば、入力信号ON処理へ移行する(図4)。他のインバータ装置からの入力信号がなくて、ステップS102で制動動作中に入力信号がOFFした場合、入出力信号OFF遅延処理(図6)へ移行する。ステップS103にて現在の直流電圧値Vdcが制動動作開始電圧値VBr以上の場合、出力信号ON処理(図5)へ移行する。ステップS104では制動動作中に出力信号がOFFしていた場合、または出力信号をONする処理中処理を中止する場合、入出力信号OFF遅延処理(図6)へ移行する。
【0031】
図4は例えばインバータ装置2aが制動動作開始可能信号Br1stを入力した場合の処理である。信号を出力した側のインバータ装置2と同時に制動動作を実施させるために遅延時間を設けて制動動作を開始させる処理を実施する。すなわち、ステップS110にてすでに入力信号がONしている場合、本処理をする必要がないためステップS117までジャンプして終了するが、入力信号OFFの場合ステップS111において本処理が最初の処理である1回目の場合は、1回目のための処理(ステップS112、ステップS113)を実施する。つまり、ステップS112にて遅延時間処理タイマ開始のフラグをセットし、ステップS113にて制動動作開始可能信号が入力された場合の遅延時間B(3ms)をセットする。2回目以降の処理の場合はステップS114にて遅延時間のタイマ加算を実施し、ステップS115にて遅延時間を経過していれば、ステップS116にて回生回路5aのスイッチング素子51aを動作させるため制動動作信号Br2を出力させる。
【0032】
図5は制動動作開始可能信号Br1stを出力した場合の処理である。この信号を入力した側のインバータ装置2aと同時にインバータ装置2が制動動作を実施させるために遅延時間を設けて制動動作を開始させる処理を実施する。すなわち、ステップS120にて出力信号が既にONしている場合は、処理する必要がないためステップS127までジャンプして終了するが、出力信号OFFの場合ステップS121において本処理が最初の処理である1回目の場合は、1回目のための処理(ステップS122、ステップS123)を実施する。つまり、ステップS122にて遅延時間処理タイマ開始のフラグをセットし、ステップS123にて制動動作信号が出力された場合の遅延時間A(5ms)をセットする。2回目以降の処理の場合はステップS124にて遅延時間のタイマ加算を実施し、ステップS125にて遅延時間を経過していれば、ステップS126にて回生回路5のスイッチング素子51aを動作させるため制動動作信号Br1を出力させる。
【0033】
図6は制動動作開始可能信号がOFFした場合の処理である。制動動作開始可能信号がOFFした場合、各インバータ装置の回生回路動作の停止を一律にするために遅延時間を設けて制動動作を停止させる処理を実施する。すなわち、ステップS131において制動動作開始可能信号が入力もしくは出力され、制動動作開始前の遅延時間処理を実施している途中にて信号がOFFとなった場合は、遅延時間処理を強制終了するための処理(ステップS132、ステップS133)を実施する。すなわち、ステップS132で遅延時間処理タイマ開始のフラグをクリアし、ステップS133で遅延時間処理中のタイマ加算値をクリアして遅延時間処理を強制終了する。
【0034】
次いで、制動動作開始可能信号の終了時、ステップS134にて入力信号である制動動作開始可能信号か出力信号である制動動作開始可能信号かのどちらの信号がOFFとなっているかを判断し、入力信号OFFの場合はステップS135へ、出力信号OFFの場合はステップS141へ分岐する。
【0035】
入力信号OFFの場合はステップS135において本処理が最初の処理である1回目の場合は、1回目のための処理(ステップS136、ステップS137)を実施する。つまり、ステップS136にて遅延時間処理タイマ開始のフラグをセットし、ステップS137にて制動動作信号がOFFされた場合の遅延時間B(3ms)をセットする。2回目以降の処理の場合はステップS138にて遅延時間のタイマ加算を実施し、ステップS139にて遅延時間を経過していれば、ステップS140にて回生回路5aを動作させるスイッチング素子51aの動作を終了するため制動動作信号Br2をOFFする。
【0036】
出力信号OFFの場合はステップS141において本処理が最初の処理である1回目の場合は、1回目のための処理(ステップS142、ステップS143)を実施する。つまり、ステップS142にて遅延時間処理開始のフラグをセットし、ステップS143にて制動動作信号がOFFされた場合の遅延時間A(5ms)をセットする。2回目以降の処理の場合はステップS144にて遅延時間のタイマ加算を実施し、ステップS145にて遅延時間を経過していれば、ステップS146にて回生回路5を動作させるスイッチング素子51の動作を終了するため制動動作信号Br1をOFFする。
【0037】
以上のような処理を行うことにより、各々のインバータ装置の制動動作開始電圧VBr1 、VBr2にばらつきが発生しても、ある特定のインバータ装置の回生回路だけに責務(回生処理)が集中することを妨げることができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1においては、二台のインバータ装置2、2aについて説明したのであるが、この実施の形態2では図8、図9のように3台のインバータ装置2、2a、2bを接続した場合について述べる。この実施の形態2においても、各インバータ装置2、2a、2bの内部構造は同じである。そして、各インバータ装置2、2a、2bの直流電圧部の端子P、Nはそれぞれ共通接続され、各インバータ装置2、2a、2bの各出力インターフェース16、16a、または16bは他のインバータ装置の各入力インターフェース(15a、15b)、(15、15b)、または(15、15a)に接続されている。すなわち、各々のインバータ装置2、2a、2bに制動動作開始可能信号を出力する一個のインターフェースと、制動動作開始可能信号を入力する二個のインターフェースとを割付けており、実施の形態1と同様に各々のインバータ装置による制動動作開始可能信号を出力後スイッチング素子へ制動動作信号を出力させるまでの遅延時間と、制動動作開始可能信号を入力後スイッチング素子へ制動動作信号を出力させるまでの遅延時間を設けることで(図10参照)、実施の形態1同様各々のインバータ装置の制動動作開始電圧にばらつきが発生しても、ある特定のインバータ装置の回生回路だけに責務が集中することを妨げることができる。図10では、3台のインバータ装置での制動動作開始電圧VBr1 VBr2 VBr3、制動動作開始可能信号Br1st、制動動作信号Br1、Br2、Br3をそれぞれ示す。
【0039】
実施の形態3.
実施の形態1、2においては、制動動作開始電圧VBr1、VBr2のばらつきを前提としてそれぞれのインバータ装置での制動動作信号の合致につき説明したのであるが、この実施の形態3ではこの制動動作開始電圧を調整することでこのばらつきを最小化する。ここでは、実際の直流電圧値に対して直流電圧検出回路9を介してマイコン8でAD変換されたアナログデジタル値を補正するものであり、基準の直流電圧値に対する設計値として決められたアナログデジタル値の補正を行うものである。
【0040】
実施の形態1記載のインバータ装置2において、インバータ動作前の停止状態の直流電圧値を直流電圧検出回路9により検出し、マイコン8に現在の直流電圧値として入力する。その検出した値と同値となる直流電圧値V0(例:300V)をオペレータは設定器12へ書き込むことで現在の直流電圧値V0としてインバータ装置へ入力インターフェース13を介してマイコン8に入力する。またこの時に直流電圧検出回路9にて検出した値に基づくアナログデジタル値(以下、AD値とする)Vdcをマイコン8にて記憶させる。インバータ装置自体で、現在の直流電圧相当の補正したAD値Vdc´(例:620相当)を算出し、このAD値Vdc´と補正前のAD値Vdcと比較した差分ΔVdcをずれとする。このずれを制動動作開始電圧に加味することで新しい制動動作開始電圧の調整をしている。
【0041】
この差分を予め設定されている制動動作開始電圧値370V相当のAD値VBr(例:760相当)を補正値(AD値は765相当)とすることで新しい制動動作開始電圧値として更新する。現在の直流電圧値が新しい制動動作開始電圧値(例:AD値765)を越えた場合、制動動作を開始させることとなる。
【0042】
この制動動作開始電圧算出処理を図11のフローチャートで説明する。オペレータが設定した現在直流電圧値とその時のAD値をマイコン8にて取り込み、この値とインバータ装置にて算出された現在直流電圧値のAD値とを比較する。そのAD値の差分を制動動作電圧値のAD値の補正値として算出する処理である。
【0043】
すなわち、ステップS201ではオペレータが実際に設定した現在直流電圧値V0を読出す。ついで、ステップS202ではオペレータが実際に設定した現在直流電圧値V0時のAD値Vdcを読出す。ステップS203では、インバータ装置が電圧検出回路9にて検出されるAD値の基準として予め記憶している最小215V時のAD値V1と、最大400V時のAD値V2を読出す。ステップS204にてステップS203にて読出したAD値をもとに、つまりインバータが記憶しているV1、V2をもとに現在直流電圧値V0相当のAD値Vdc´を算出する。ここでは、基準の直流電圧値の差分に対するAD値の差分をとり単位直流電圧値に対するAD値を得てこのAD値を(V0−215)の差分だけ算出し、215V時のAD値に加算することによって、現在直流電圧値V0相当のAD値Vdc´を得る。ついで、ステップS205にてオペレータが実際に設定した現在直流電圧値V0時のAD値Vdcと現在直流電圧値V0相当のAD値Vdc´をもとに差分ΔVdcを算出する。ステップS206にて予め設定されている制動動作電圧のAD値VBrを読出し、ステップS207にてステップS205で算出された差分ΔVdcを補正値として新しい制動動作電圧のAD値VBr´を算出して制動動作電圧値として更新する。
【0044】
図12は、直流電圧値に対するインバータ装置のAD値を示すもので、300Vの直流電圧値に対する制動動作開始電圧の基準AD値に対して、オペレータが実際に設定した現在直流電圧値V0時のAD値Vdcと現在直流電圧値V0相当のAD値Vdc´をもとにした差分ΔVdcを示している。そして、実施の形態4に関係するのであるが、直流電圧値が370Vに上昇すれば並行して制動動作開始電圧値ならびに差分ΔVdcの特性も移動することを表している。
【0045】
このようにオペレータが各々のインバータ装置について上記と同様の操作を行うことで、各々のインバータ装置の制動動作開始電圧値が調整されることとなり、各々のインバータ装置の制動動作開始電圧値のばらつきを最小化でき、ある特定のインバータ装置の回生回路だけに責務が集中することを妨げることができる。
【0046】
実施の形態4.
実施の形態1、2においては、それぞれのインバータ装置での制動動作信号の一致につき説明したのであるが、ここでの制動動作開始電圧VBr1、VBr2を得るに当たって直流電圧部の充電時間と駆動可能な電圧値(ここでは例えば230V相当のAD値)に到った後を条件として確実な制動動作開始電圧値を得るものである。
【0047】
実施の形態1記載のインバータ装置2において、インバータ装置を複数台使用し、かつそのインバータ装置における直流電圧部を共通とする接続をした場合において、一斉にインバータ装置の電源を投入後、直流電圧部の充電が終了(例:900ms)してからインバータ動作開始(例:1s)直前の間に、直流電圧値を直流電圧検出回路9により検出し、その検出値を制動動作開始電圧の基準値としてマイコン8によりそのAD値を記憶する。ついで、インバータが動作できる最小基準直流電圧値(230V)に到っているかどうか判断し、その条件を充足していることを前提として制動動作開始電圧の算出処理に入る。すなわち、制動動作開始電圧の基準値Vdcとし、この基準値(例:300V相当のAD値)よりある一定電圧上昇分(例:70V相当のAD値)を図12に示すように制動動作開始電圧値とする。これは制動動作開始電圧も基準値の上昇と同様に上昇することによる。この場合、各々のインバータ装置の直流電圧部は共通とし並列接続しているため、同時刻で測定したインバータ動作直前の実際の直流電圧部は各々同値といえる。
【0048】
図13は制動動作開始電圧算出処理のフローチャートを示したものである。電源投入後、制動動作開始電圧値の基準となる直流電圧値を直流電圧検出回路9より検出し、制動動作開始電圧値をマイコン8へ記憶する処理を説明する。
【0049】
インバータ装置の電源投入後、約1秒経過後に直流電圧部の充電が完了し、リセット処理を終了する。リセット処理終了直前には直流電圧部の充電が完了することを踏まえ、900ms後の直流電圧検出回路9より検出されたAD値を制動動作開始電圧の基準値とし、その基準値から+70V相当のAD値を加算した値を制動動作開始電圧値とする処理を実施するものである。
【0050】
すなわち、ステップS301において、マイコン8のタイマが電源投入後動作を開始して900ms後のタイマのデータをセットする。ステップS302において、現在時刻を読み出し、ステップS303にて900ms経過しているかどうか判別する。900ms未満の場合は処理を終了し、900ms経過している場合は、ステップS304へ分岐する。ステップS304において、インバータ動作可能な電圧である直流電圧230V相当のAD値V10を読出し、ステップS305にて現在の直流電圧のAD値Vdcを読出し、ステップS306にて現在の直流電圧値が230V以上であるかどうか判別する。230V未満の場合、処理を終了し、230V以上の場合はステップS307に分岐する。ステップS307にてVdcを制動動作開始電圧値の基準値(Vdcb)とする。ステップS308において、直流電圧+70V相当のAD値(ΔV)を読出しもしくは算出し、ステップS309にてVdcbとΔVを加算した値を制動動作開始電圧値VBrとして、マイコン8に記憶する。
【0051】
上記の処理にて各々のインバータ装置の基準値のばらつきは最小化され、その基準値を用いた制動動作開始電圧を決定することで各々のインバータ装置の制動動作開始電圧値のばらつきも最小化でき、ある特定のインバータ装置の回生回路だけに責務が集中することを妨げることができる。
【0052】
実施の形態1、2、3、4においては、三相インバータ装置を用いたが、単相または他の多相のインバータ装置であってもよく、また、誘導電動機7は同期電動機であっても同様の効果がある。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧部の直流電圧をインバータ部にて交流電圧に変換し、上記直流電圧部にあって回生電力をスイッチング素子と制動抵抗が接続された回生回路にて消費し、上記直流電圧を直流電圧検出器にて検出し、この検出した直流電圧をマイコンに入力し、このマイコンの出力によって上記スイッチング素子およびインバータ部を制御するスイッチング素子を制御する機能をそれぞれに有する複数のインバータ装置の各直流電圧部を共通接続し、この共通接続された直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると制動動作開始可能信号を出力して回生電力を上記回生回路にて消費させるインバータ装置の回生電力の処理方法において、直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると、回生制動動作開始可能信号を一のインバータ装置から他のインバータ装置へ出力して、一のインバータ装置では他のインバータ装置の回生制動動作開始可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延させる処理を行い、他のインバータ装置では一のインバータ装置から入力された回生制動動作開始可能信号を認識してその入力信号を認識した時点から一のインバータ装置と同時の回生制動動作可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延する処理を行うことにより、一のインバータ装置に回生電力を供給する直流電圧部の電圧値が制動動作開始電圧値を越えると他のインバータ装置へ制動動作開始可能信号を出力し、その制動動作開始可能信号を出力後、ある一定時間後に回生回路にあるスイッチング素子へ導通させる信号を出力し、他のインバータ装置からの制動動作開始可能信号を入力すると、その制動動作開始可能信号を入力後ある一定時間後に回生回路にあるスイッチング素子へ導通させる信号を出力することで、たとえ各々の制動動作開始電圧値及び各々のインバータ装置が読込む直流電圧値と実際の直流電圧値とのずれが発生しても、制動動作開始電圧点を一律とさせることができ、ある一定時間後に回生回路にあるスイッチング素子へ導通させる信号を出力することで、各々のインバータ装置自体で回生回路を動作させる時間を調整するためインバータ装置の制動動作の開始を一律にさせることができる。第1の発明によって、各々のインバータ装置の制動動作開始電圧に誤差が発生しても、特定のスイッチング素子及び制動抵抗に責務が集中することを防止することが可能となる。
【0054】
以上より、いずれの発明においても大きな回生電力を必要としないシステムにおいては、インバータ装置に内蔵されている回生回路のみで回生電力処理が実施可能となり、装置の小型化及び装置の簡素化が図れることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による実施の形態1におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1におけるインバータ装置の回生制動動作を説明する図である。
【図3】 実施の形態1におけるインバータ装置の制動動作を実施させるためのマイコンにおける制動動作入出力信号の処理についてのフローチャートである。
【図4】 実施の形態1におけるインバータ装置の制動動作を実施させるためのマイコンにおける制動動作入出力信号の処理についてのフローチャートである。
【図5】 実施の形態1におけるインバータ装置の制動動作を実施させるためのマイコンにおける制動動作入出力信号の処理についてのフローチャートである。
【図6】 実施の形態1におけるインバータ装置の制動動作を実施させるためのマイコンにおける制動動作入出力信号の処理についてのフローチャートである。
【図7】 従来のインバータ装置における回生制動動作を説明する図である。
【図8】 実施の形態2におけるシステムの一部構成を示すブロック図である。
【図9】 実施の形態2におけるシステムの残部構成を示すブロック図である。
【図10】 実施の形態2におけるインバータ装置の回生制動動作を説明する図である。
【図11】 実施の形態3におけるインバータ装置の制動動作開始電圧値を算出するためのマイコンにおける処理についてのフローチャートである。
【図12】 実施の形態3、4におけるインバータ装置が認識する直流電圧と実際の直流電圧との関係を表わす図である。
【図13】 実施の形態4におけるインバータ装置の制動動作開始電圧値を算出するためのマイコンにおける処理についてのフローチャートである。
【図14】 従来のインバータ装置の一例を示す一部ブロック図である。
【図15】 従来のインバータ装置の一例を示す残部ブロック図である。
【符号の説明】
1 交流電源、2,2a,2b インバータ装置、3,3a,3b コンバータ部、4,4a,4b 平滑コンデンサ、5,5a,5b 回生回路、6,6a,6b インバータ部、7,7a,7b 誘導電動機、8,8a,8b マイコン、9,9a,9b 直流電圧検出回路、10,10a,10b PWM信号作成装置、11,11a,11b 回生回路用駆動回路、 12,12a,12b設定器、13,13a,13b 入力インターフェース、14,14a,14b 出力インターフェース、15,15a,15b 入力インターフェース、16,16a,16b 出力インターフェース、17 外付け制動装置、50,50a,50b,181 制動抵抗、51,51a,51b スイッチング素子、52,52a 短絡片、182 制動ユニット。
Claims (4)
- 交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧部の直流電圧をインバータ部にて交流電圧に変換し、前記直流電圧部にあって回生電力をスイッチング素子と制動抵抗が接続された回生回路にて消費し、前記直流電圧を直流電圧検出器にて検出し、この検出した直流電圧をマイコンに入力し、このマイコンの出力によって前記スイッチング素子および前記インバータ部を制御する機能をそれぞれに有する複数のインバータ装置の各直流電圧部を共通接続し、この共通接続された直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると制動動作開始可能信号を出力して回生電力を前記回生回路にて消費させ、直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると、回生制動動作開始可能信号を一のインバータ装置から他のインバータ装置へ出力して、一のインバータ装置では他のインバータ装置の回生制動動作開始可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延させる処理を行い、他のインバータ装置では一のインバータ装置から入力された回生制動動作可能信号を認識してその入力信号を認識した時点から一のインバータ装置と同時の回生制動動作可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延する処理を行うインバータ装置の回生電力の処理方法であって、
インバータ装置のある運転状態における直流電圧値を基準として算出される回生制動動作を開始させる電圧点を用意し、マイコンに入力された補正値をもとにインバータ装置自体で算出した値を新しい制動動作開始電圧値とした回生制動動作を実施することを特徴とするインバータ装置の回生電力の処理方法。 - 交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧部の直流電圧をインバータ部にて交流電圧に変換し、前記直流電圧部にあって回生電力をスイッチング素子と制動抵抗が接続された回生回路にて消費し、前記直流電圧を直流電圧検出器にて検出し、この検出した直流電圧をマイコンに入力し、このマイコンの出力によって前記スイッチング素子および前記インバータ部を制御する機能をそれぞれに有する複数のインバータ装置の各直流電圧部を共通接続し、この共通接続された直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると制動動作開始可能信号を出力して回生電力を前記回生回路にて消費させ、直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると、回生制動動作開始可能信号を一のインバータ装置から他のインバータ装置へ出力して、一のインバータ装置では他のインバータ装置の回生制動動作開始可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延させる処理を行い、他のインバータ装置では一のインバータ装置から入力された回生制動動作可能信号を認識してその入力信号を認識した時点から一のインバータ装置と同時の回生制動動作可能時間までマイコンに内蔵されているタイマを使用して遅延する処理を行うインバータ装置の回生電力の処理方法であって、
インバータ装置のある運転状態における直流電圧値を基準として算出される回生制動動作を開始させる電圧点を用意し、インバータ装置の電源投入時からインバータ動作開始直前の間に直流電圧値をインバータ装置自体で検出し、その検出した電圧値を回生制動動作が開始できる電圧点の基準値とした回生制動動作を実施することを特徴とするインバータ装置の回生電力の処理方法。 - 交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、このコンバータ部にて変換された直流電圧部の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、前記直流電圧部にあって回生電力を消費するスイッチング素子と制動抵抗が接続された回生回路と、前記直流電圧を検出する直流電圧検出器と、この検出した直流電圧が入力され、前記インバータ部および前記スイッチング素子を制御するマイコンと、を具備する構成をそれぞれに有する複数のインバータ装置と、を備え、
各インバータ装置の各直流電圧部を共通接続し、この共通接続された直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると回生制動動作開始可能信号を出力して回生電力を前記回生回路にて消費させるインバータ装置において、
前記各インバータ装置には、
一のインバータ装置のマイコンから他のインバータ装置のマイコンに回生制動動作開始可能信号を出力する出力インターフェースと、
他のインバータ装置のマイコンから一のインバータ装置のマイコンに回生制動動作開始可能信号を入力する入力インターフェースと、
が備えられ、
前記一または他のインバータ装置のある運転状態における直流電圧値を基準として算出される回生制動動作を開始させる電圧点が用意され、マイコンに入力された補正値をもとにインバータ装置自体で算出された値を新たな制動動作開始電圧値とした回生制動動作を実施することを特徴とするインバータ装置。 - 交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、このコンバータ部にて変換された直流電圧部の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、前記直流電圧部にあって回生電力を消費するスイッチング素子と制動抵抗が接続された回生回路と、前記直流電圧を検出する直流電圧検出器と、この検出した直流電圧が入力され、前記インバータ部および前記スイッチング素子を制御するマイコンと、を具備する構成をそれぞれに有する複数のインバータ装置と、を備え、
各インバータ装置の各直流電圧部を共通接続し、この共通接続された直流電圧の電圧値が回生制動開始電圧を越えると回生制動動作開始可能信号を出力して回生電力を前記回生回路にて消費させるインバータ装置において、
前記各インバータ装置には、
一のインバータ装置のマイコンから他のインバータ装置のマイコンに回生制動動作開始可能信号を出力する出力インターフェースと、
他のインバータ装置のマイコンから一のインバータ装置のマイコンに回生制動動作開始可能信号を入力する入力インターフェースと、
が備えられ、
前記一または他のインバータ装置のある運転状態における直流電圧値を基準として算出される回生制動動作を開始させる電圧点が用意され、インバータ装置の電源投入時からインバータ動作開始直前の間に直流電圧値をインバータ装置自体で検出し、その検出した直流電圧値を回生制動動作が開始できる電圧点の基準値とした回生制動動作を実施することを特徴とするインバータ装置。
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