JP4075633B2 - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプ給湯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ヒートポンプ給湯機が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
ヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプ式の冷媒回路及び水回路を備えている。
【0004】
冷媒回路には、膨張弁、室外熱交換器、圧縮機、水熱交換器、及び蓄熱器が順に配置されている。
【0005】
水回路はその始端が上水道に接続され、その終端が蛇口に接続されている。水回路には、蓄熱器、及び水熱交換器が配置されている。
【0006】
水熱交換器には、冷媒回路の一部である冷媒用配管と、水回路の一部である第1給湯用配管とが設けられている。そして、冷媒用配管を流通する冷媒と第1給湯用配管を流通する水道水とが熱交換を行うことにより、水道水が加熱される。
【0007】
蓄熱器には蓄熱材が充填されるとともに、冷媒回路の一部である蓄熱用配管と、水回路の一部である第2給湯用配管とが設けられている。そして、蓄熱材と蓄熱用配管を流通する冷媒とが熱交換を行うことにより、蓄熱材に温熱が蓄えられる。また、蓄熱材と第2給湯用配管を流通する水道水とが熱交換を行うことにより、水道水が加熱される。
【0008】
給湯を行うときには、蛇口を開き、圧縮機を起動する。それにより、給水が開始され、ヒートポンプ(HP)が起動する。
【0009】
ここで、ヒートポンプ起動直後は冷媒の温度が低いため、冷媒とともに、蓄熱器に蓄えられた温熱により水道水は加熱される。また、蓄熱器は給湯中に冷媒から吸熱して温熱を蓄える。
【0010】
給湯を終了するときには、蛇口を閉じ、圧縮機を停止する。それにより、給水が停止され、ヒートポンプが停止する。
【0011】
【特許文献1】
特開平2−197761号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平2−223768号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このヒートポンプ給湯機では、冷媒の凝縮温度が蓄熱材の温度より高いため、蓄熱用配管で発生した凝縮熱によって蓄熱材から水道水への熱の移動が妨げられる。そのため、従来のヒートポンプ給湯機では、蓄熱材に蓄えられた温熱を有効に利用することができなかった。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒートポンプ給湯機において、蓄熱手段から水への熱の移動を円滑に行うことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張機構、及び蒸発器をそれぞれ有する第1及び第2冷媒回路と、水を流通させる水回路とを備え、上記第2冷媒回路の冷媒の凝縮温度が、上記第1冷媒回路の冷媒の凝縮温度より低く設定され、第1及び第2冷媒回路の少なくとも一方は、温熱を蓄える蓄熱手段と、該蓄熱手段を加熱する加熱熱交換器と、該加熱熱交換器をバイパスするバイパス通路とを更に有し、水回路が、上記凝縮器及び上記蓄熱手段の温熱を利用して温水を供給し、冷媒を上記バイパス通路に流通させ、且つ、水を上記水回路に流通させることにより、上記凝縮器及び上記蓄熱手段で水を加熱する給湯運転と、冷媒を上記バイパス通路に流通させず、且つ、水を上記水回路に流通させないことにより、上記加熱熱交換器で上記蓄熱手段を加熱する蓄熱運転とを行うヒートポンプ給湯機である。
【0016】
これにより、給湯運転時には冷媒をバイパス通路に流通させるため、給湯運転時には冷媒は加熱熱交換器を流通しない。そのため、給湯運転時には加熱熱交換器で冷媒が凝縮しないため、加熱熱交換器において凝縮熱は発生しない。よって、蓄熱手段から水への熱の移動が、上記凝縮熱により妨げられることはない。したがって、給湯運転時において、蓄熱手段から水への熱の移動を円滑に行うことができる。
【0017】
また、ヒートポンプ給湯器が第1及び第2冷媒回路を有しているため、単一の冷媒回路を有しているヒートポンプ給湯機と比較して、立ち上げ時に高温の湯をユーザーに対して迅速に提供することができる。
【0018】
さらに、第2冷媒回路の冷媒の凝縮温度が第1冷媒回路の冷媒の凝縮温度より低く設定されているため、第2冷媒回路のCOPが向上する。したがって、ヒートポンプ給湯機全体の平均のCOPはヒートポンプ給湯機が単一の冷媒回路で形成されている場合に比べて高くなる。
【0019】
請求項2の発明は、第1融点を有する第1潜熱蓄熱材を備えている第1蓄熱手段と、上記第1融点より低温の第2融点を有する第2潜熱蓄熱材を備えている第2蓄熱手段と、圧縮機、凝縮器、上記第1蓄熱手段を加熱する加熱熱交換器、膨張機構、及び蒸発器を有する第1冷媒回路と、圧縮機、凝縮器、上記第2蓄熱手段を加熱する加熱熱交換器、膨張機構、及び蒸発器を有する第2冷媒回路と、上記凝縮器及び上記蓄熱手段の温熱を利用して温水を供給する水回路とを備え、第2冷媒回路の冷媒の凝縮温度が、第1冷媒回路の冷媒の凝縮温度より低く設定され、上記第1及び第2冷媒回路の少なくとも一方には、上記加熱熱交換器をバイパスするバイパス通路が設けられ、冷媒を上記バイパス通路に流通させ、且つ、水を上記水回路に流通させることにより、上記凝縮器及び上記蓄熱手段で水を加熱する給湯運転と、冷媒を上記バイパス通路に流通させず、且つ、水を上記水回路に流通させないことにより、上記加熱熱交換器で上記蓄熱手段を加熱する蓄熱運転とを行うヒートポンプ給湯機である。
【0020】
これにより、給湯運転時には冷媒をバイパス通路に流通させるため、給湯運転時には、バイパス通路が設けられた冷媒回路の冷媒は加熱熱交換器を流通しない。そのため、給湯運転時には加熱熱交換器で冷媒が凝縮しないため、加熱熱交換器において凝縮熱は発生しない。よって、蓄熱手段から水への熱の移動が、上記凝縮熱により妨げられることはない。したがって、給湯運転時において、蓄熱手段から水への熱の移動を円滑に行うことができる。
【0021】
また、第2冷媒回路の冷媒の凝縮温度が第1冷媒回路の冷媒の凝縮温度より低く設定されているため、第2冷媒回路のCOPが向上する。したがって、ヒートポンプ給湯機全体の平均のCOPはヒートポンプ給湯機が単一の冷媒回路で形成されている場合に比べて高くなる。
【0022】
請求項3の発明は更に、水回路が、上記第1蓄熱手段に設けられた第1熱回収熱交換器と、上記第2蓄熱手段に設けられた第2熱回収熱交換器とを有し、水回路において、上記第1熱回収熱交換器は上記第2熱回収熱交換器の下流側に設けられているものである。
【0023】
これにより、水は第2熱回収熱交換器、第1熱回収熱交換器の順に流れる。ここで、第1蓄熱手段の第1潜熱蓄熱材の融点は、第2蓄熱手段の第2潜熱蓄熱材の融点より高い。そのため、水は、加熱温度が高くなる順に加熱されることになる。したがって、水と各蓄熱手段との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0024】
請求項4の発明は更に、水回路が、第1分岐通路と第2分岐通路とを有する並列回路を備え、第1分岐通路は上記第1蓄熱手段に設けられた熱回収熱交換器を有し、第2分岐通路は上記第2蓄熱手段に設けられた熱回収熱交換器を有しているものである。
【0025】
これにより、水回路が第1分岐通路と第2分岐通路とに分岐しているため、第1蓄熱手段の熱回収熱交換器及び第2蓄熱手段の熱回収熱交換器のそれぞれに流通する水の量は、水回路に流通する水の量より小さくなる。そのため、第1及び第2蓄熱手段から第1蓄熱手段の熱回収熱交換器及び第2蓄熱手段の熱回収熱交換器に流通する水への熱の移動量が大きくなる。したがって、給湯運転時において、蓄熱手段から水への熱の移動を更に円滑に行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(参考例1)
図1に示すように、本参考例のヒートポンプ給湯機(1)は、ヒートポンプ式の冷媒回路(3)及び水回路としての給湯用回路(5)を備えている。
【0028】
冷媒回路(3)は蒸気圧縮冷凍サイクルを行うものであり、回路(3)内にはHFC系又はHC系の冷媒が充填されている。冷媒の凝縮温度は、例えば、約60℃である。
【0029】
冷媒回路(3)には、冷媒の循環方向において、膨張弁(7)、蒸発器としての室外熱交換器(9)、アキュムレータ(12)、圧縮機(11)、蓄熱手段としての蓄熱ユニット(15)、及び凝縮器としての水熱交換器(13)が順に配置されている。
【0030】
冷媒回路(3)には、蓄熱ユニット(15)をバイパスするバイパス通路(4)が設けられている。バイパス通路(4)は、冷媒回路(3)における圧縮機(11)及び蓄熱ユニット(15)の間に位置する分岐点(6)と、冷媒回路(3)における蓄熱ユニット(15)及び水熱交換器(13)の間に位置する合流点(8)とに接続されている。
【0031】
この分岐点(6)には三方弁(10)が設けられている。三方弁(10)は、冷媒の流通先を蓄熱ユニット(15)又はバイパス通路(4)に切換自在に構成た切換装置である。言い換えれば、三方弁(10)を切り換えることにより、冷媒を蓄熱ユニット(15)又はバイパス通路(4)を流通させることができる。
【0032】
給湯用回路(5)はその始端が上水道(図示せず)に接続され、その終端が給水栓(図示せず)に接続されている。給湯用回路(5)には、水道水の循環方向において、水熱交換器(13)、及び蓄熱ユニット(15)が順に配置されている。
【0033】
膨張弁(7)は、主に冷媒回路(3)の冷媒を減圧し、体積増加させるものである。膨張弁(7)は、冷媒回路(3)の冷媒の流量を調整する機能も有する。
【0034】
室外熱交換器(9)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。この室外熱交換器(9)は、冷媒回路(3)の冷媒を室外空気と熱交換させる。
【0035】
圧縮機(11)は、冷媒回路(3)の冷媒を圧縮するものである。
【0036】
蓄熱ユニット(15)には蓄熱材が充填され、冷媒回路(3)の一部である蓄熱用伝熱管(15a)と給湯用回路(5)の一部である第2給湯用伝熱管(15b)とが設けられている。なお、本発明に係る加熱熱交換器は蓄熱用伝熱管(15a)によって構成されている。
【0037】
蓄熱材は潜熱蓄熱用の蓄熱物質である。蓄熱材は、例えば、融点55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)によって形成されている。この蓄熱材としては、融点が50℃以上90℃以下の物質を用いるのが好ましい。また、蓄熱材の融点の温度は、冷媒の凝縮温度より低い。
【0038】
蓄熱用伝熱管(15a)は銅で形成されている。そして、蓄熱材と蓄熱用伝熱管(15a)を流通する冷媒とが熱交換を行う。
【0039】
第2給湯用伝熱管(15b)は銅で形成されている。そして、蓄熱材と第2給湯用伝熱管(15b)を流通する水道水とが熱交換を行う。
【0040】
水熱交換器(13)には、冷媒回路(3)の一部である冷媒用伝熱管(13a)と給湯用回路(5)の一部である第1給湯用伝熱管(13b)とが設けられている。冷媒用伝熱管(13a)及び第1給湯用伝熱管(13b)は銅で形成されている。そして、冷媒用伝熱管(13a)を流通する冷媒と第1給湯用伝熱管(13b)を流通する水道水とが熱交換を行う。
【0041】
−ヒートポンプ給湯機の運転動作−
本参考例のヒートポンプ給湯機(1)では、蓄熱ユニット(15)に温熱を蓄える蓄熱運転と、蓄熱ユニット(15)に蓄えた温熱及び水熱交換器(13)の冷媒を利用して給湯を行う給湯運転とが行われる。
【0042】
《蓄熱運転》
蓄熱運転時には、圧縮機(11)を動かす。それにより、冷媒回路(3)において冷媒が循環し、冷凍サイクルが行われる。このとき、給水栓は閉じられている。そのため、水道水は給湯用回路(5)を流通しない。また、このとき、冷媒を蓄熱ユニット(15)に流通させるように、三方弁(10)は切り換えられている。
【0043】
具体的には、圧縮機(11)から吐出された冷媒は蓄熱用伝熱管(15a)へ導入され、蓄熱ユニット(15)の蓄熱材に対して放熱して凝縮する。この蓄熱材は、冷媒から吸熱して融解し、冷媒から付与された温熱を蓄える。
【0044】
蓄熱材へ放熱した冷媒は冷媒用伝熱管(13a)を介して膨張弁(7)へ導入され、膨張弁(7)を通過する際に減圧される。
【0045】
膨張弁(7)を通過した冷媒は室外熱交換器(9)へ導入される。室外熱交換器(9)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。
【0046】
室外熱交換器(9)で蒸発した冷媒は圧縮機(11)へ導入される。圧縮機(11)では、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
【0047】
以上により、蓄熱ユニット(15)に、ある程度高温の温熱が蓄えられる。
【0048】
《給湯運転》
給湯運転時にも圧縮機(11)を動かす。それにより、冷媒回路(3)において冷凍サイクルが行われる。このとき、給水栓は開かれている。そのため、上水道から圧送された水道水が給湯用回路(5)を流通する。また、このとき、冷媒をバイパス通路(4)に流通させるように、三方弁(10)は切り換えられている。
【0049】
具体的には、圧縮機(11)から吐出された冷媒はバイパス通路(4)を介して冷媒用伝熱管(13a)へ導入され、第1給湯用伝熱管(13b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0050】
その後、冷媒は、蓄熱運転時と同じ経路をたどる。
【0051】
一方、上水道から給湯用回路(5)へ流入した水道水は第1給湯用伝熱管(13b)へ導入され、冷媒用伝熱管(13a)の冷媒から吸熱する。
【0052】
冷媒から吸熱した水道水は第2給湯用伝熱管(15b)へ導入され、蓄熱ユニット(15)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第2給湯用伝熱管(15b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0053】
そして、冷媒と蓄熱材の両方から吸熱した水道水は温水として給水栓へ供給される。
【0054】
給湯運転終了後、蓄熱運転を再び行う。
【0055】
以上により、本参考例によれば、給湯運転時には冷媒をバイパス通路(4)に流通させるため、給湯運転時には冷媒は蓄熱用伝熱管(15a)を流通しない。そのため、給湯運転時には蓄熱用伝熱管(15a)で冷媒が凝縮しないため、蓄熱用伝熱管(15a)において凝縮熱は発生しない。よって、蓄熱ユニット(15)から水道水への熱の移動が、上記凝縮熱により妨げられることはない。したがって、給湯運転時において、蓄熱ユニット(15)から水道水への熱の移動を円滑に行うことができ、蓄熱ユニット(15)の温熱を有効に利用することができる。
【0056】
また、ヒートポンプ給湯機(1)は給湯運転とともに蓄熱運転を行う。そして、蓄熱運転時には水道水を流通させないため、冷媒回路(3)により蓄熱ユニット(15)の蓄熱材だけを加熱することができる。その結果、蓄熱ユニット(15)の蓄熱材に十分な温熱を蓄えることができる。したがって、給湯運転時には、水熱交換器(13)及び十分な温熱を蓄えた蓄熱ユニット(15)により水道水を加熱することができ、ヒートポンプの能力以上の給湯を行うことができる。
【0057】
また、給湯運転時には冷媒回路(3)の冷媒をバイパス通路(4)に流通させるため、給湯運転時には、冷媒回路(3)の冷媒は、ある程度高温の温熱が蓄えられた蓄熱ユニット(15)を流通しない。そのため、冷媒回路(3)の冷媒の凝縮温度が下がる。したがって、ヒートポンプ給湯機(1)のCOPが向上する。
【0058】
なお、本参考例の蓄熱材は酢酸ナトリウム3水和物によって形成されているが、他の潜熱蓄熱材であってもよい。例えば、蓄熱材は、他の水和物、パラフィン、糖アルコール等で形成されてもよい。
【0059】
(参考例2)
図2に示すように、本参考例のヒートポンプ給湯機(1)は、参考例1のヒートポンプ給湯機(1)の水熱交換器(13)及び蓄熱ユニット(15)の配置順が逆になったものである。その他の点に関しては、参考例1のヒートポンプ給湯機(1)とほぼ同じ構造である。
【0060】
冷媒回路(3)には、冷媒の循環方向において、膨張弁(7)、室外熱交換器(9)、アキュムレータ(12)、圧縮機(11)、水熱交換器(13)、及び蓄熱ユニット(15)が順に配置されている。
【0061】
給湯用回路(5)には、水道水の循環方向において、蓄熱ユニット(15)、及び水熱交換器(13)が順に配置されている。
【0062】
分岐点(6)は冷媒回路(3)における水熱交換器(13)及び蓄熱ユニット(15)の間に位置し、合流点(8)は冷媒回路(3)における蓄熱ユニット(15)及び膨張弁(7)の間に位置する。
【0063】
−ヒートポンプ給湯機の運転動作−
《蓄熱運転》
本参考例の蓄熱運転は、参考例1の蓄熱運転とほぼ同様である。
【0064】
《給湯運転》
圧縮機(11)から吐出された冷媒は冷媒用伝熱管(13a)へ導入され、第1給湯用伝熱管(13b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0065】
水熱交換器(13)から流出した冷媒はバイパス通路(4)を介して膨張弁(7)へ導入される。
【0066】
一方、上水道から給湯用回路(5)へ流入した水道水は第2給湯用伝熱管(15b)へ導入され、蓄熱ユニット(15)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第2給湯用伝熱管(15b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0067】
蓄熱材から吸熱した水道水は第1給湯用伝熱管(13b)へ導入され、冷媒用伝熱管(13a)の冷媒から吸熱する。
【0068】
そして、蓄熱材と冷媒の両方から吸熱した水道水は、温水として給水栓へ供給される。
【0069】
以上により、本参考例によれば、参考例1と同様の効果が得られる。
【0070】
(参考例3)
図3に示すように、本参考例のヒートポンプ給湯機(1)は、参考例2のヒートポンプ給湯機(1)に水熱交換器(17)をさらに加えたものである。その他の点に関しては、参考例2のヒートポンプ給湯機(1)とほぼ同じ構造である。
【0071】
冷媒回路(3)には、冷媒の循環方向において、膨張弁(7)、室外熱交換器(9)、アキュムレータ(12)、圧縮機(11)、第1水熱交換器(13)、蓄熱ユニット(15)及び第2水熱交換器(17)が順に配置されている。
【0072】
給湯用回路(5)には、水道水の循環方向において、第2水熱交換器(17)、蓄熱ユニット(15)、及び第1水熱交換器(13)が順に配置されている。
【0073】
分岐点(6)は冷媒回路(3)における第1水熱交換器(13)及び蓄熱ユニット(15)の間に位置し、合流点(8)は冷媒回路(3)における蓄熱ユニット(15)及び第2水熱交換器(17)の間に位置する。
【0074】
第2水熱交換器(17)には、第2冷媒用伝熱管(17a)と、第3給湯用伝熱管(17b)とが設けられている。なお、本発明に係る第1熱回収熱交換器は第2給湯用伝熱管(15b)によって構成され、第2熱回収熱交換器は第1給湯用伝熱管(13b)によって構成され、第3熱回収熱交換器は第3給湯用伝熱管(17b)によって構成されている。
【0075】
−ヒートポンプ給湯機の運転動作−
《蓄熱運転》
本参考例の蓄熱運転は、参考例1の蓄熱運転とほぼ同様である。
【0076】
《給湯運転》
圧縮機(11)から吐出された冷媒は第1冷媒用伝熱管(13a)へ導入され、第1給湯用伝熱管(13b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0077】
水道水へ放熱した冷媒はバイパス通路(4)を介して第2冷媒用伝熱管(17a)へ導入され、第3給湯用伝熱管(17b)の水道水に対して放熱して過冷却される。
【0078】
一方、上水道から給湯用回路(5)へ流入した水道水は第3給湯用伝熱管(17b)へ導入され、第2冷媒用伝熱管(17a)の冷媒から吸熱する。
【0079】
冷媒から吸熱した水道水は第2給湯用伝熱管(15b)へ導入され、蓄熱ユニット(15)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第2給湯用伝熱管(15b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0080】
蓄熱材から吸熱した水道水は第1給湯用伝熱管(13b)へ導入され、第1冷媒用伝熱管(13a)の冷媒から吸熱する。
【0081】
そして、冷媒と蓄熱材の両方から吸熱した水道水は、温水として給水栓へ供給される。
【0082】
以上により、本参考例によれば、給湯用回路(5)において、第2水熱交換器(17)の第3給湯用伝熱管(17b)が蓄熱ユニット(15)の第2給湯用伝熱管(15b)の上流側に設けられているため、給湯運転時において、水道水は第2水熱交換器(17)、蓄熱ユニット(15)、第1水熱交換器(13)の順に加熱される。すなわち、第2水熱交換器(17)に流入する水道水の温度は、蓄熱ユニット(15)及び第1水熱交換器(13)に流入する水道水の温度より低い。そのため、水道水が第2水熱交換器(17)を流通することにより、第2水熱交換器(17)を流通する冷媒は過冷却される。したがって、ヒートポンプ給湯機(1)のCOPが向上する。
【0083】
なお、本参考例では、ヒートポンプ給湯機(1)が2つの水熱交換器(13,17)を備えているが、3以上の水熱交換器を備えていてもよい。
【0084】
(実施形態1)
図4に示すように、本実施形態のヒートポンプ給湯機(1)は、冷媒回路(3a,3b)を2つ備えているものである。その他の点に関しては、参考例3のヒートポンプ給湯機(1)とほぼ同じ構造である。
【0085】
高温側冷媒回路(3a)には、冷媒の循環方向において、高温側膨張弁(7a)、高温側室外熱交換器(9a)、高温側アキュムレータ(12a)、高温側圧縮機(11a)、第1高温側水熱交換器(19)、高温側蓄熱ユニット(21)、及び第2高温側水熱交換器(27)が順に配置されている。高温側冷媒回路(3a)の冷媒の凝縮温度は、例えば、約60℃である。
【0086】
高温側冷媒回路(3a)には、高温側蓄熱ユニット(21)をバイパスする高温側バイパス通路(4a)が設けられている。高温側バイパス通路(4a)は、高温側冷媒回路(3a)における第1高温側水熱交換器(19)及び高温側蓄熱ユニット(21)の間に位置する分岐点(6a)と、高温側冷媒回路(3a)における高温側蓄熱ユニット(21)及び第2高温側水熱交換器(27)の間に位置する合流点(8a)とに接続されている。この分岐点(6a)には三方弁(10a)が設けられている。
【0087】
低温側冷媒回路(3b)には、冷媒の循環方向において、低温側膨張弁(7b)、低温側室外熱交換器(9b)、低温側アキュムレータ(12b)、低温側圧縮機(11b)、第1低温側水熱交換器(29)、低温側蓄熱ユニット(23)、及び第2低温側水熱交換器(25)が順に配置されている。低温側冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度は、例えば、約36℃である。 低温側冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度は、高温側冷媒回路(3a)の冷媒の凝縮温度より低く設定されている。
【0088】
低温側冷媒回路(3b)には、低温側蓄熱ユニット(23)をバイパスする低温側バイパス通路(4b)が設けられている。低温側バイパス通路(4b)は、低温側冷媒回路(3b)における第1低温側水熱交換器(29)及び低温側蓄熱ユニット(23)の間に位置する分岐点(6b)と、低温側冷媒回路(3b)における低温側蓄熱ユニット(23)及び第2低温側水熱交換器(25)の間に位置する合流点(8b)とに接続されている。この分岐点(6b)には三方弁(10b)が設けられている。
【0089】
給湯用回路(5)には、水道水の循環方向において、第2低温側水熱交換器(25)、低温側蓄熱ユニット(23)、第1低温側水熱交換器(29)、第2高温側水熱交換器(27)、高温側蓄熱ユニット(21)、及び第1高温側水熱交換器(19)が順に配置されている。
【0090】
高温側水熱交換器(19)には、高温側冷媒用伝熱管(19a)と、第1高温側給湯用伝熱管(19b)とが設けられている。
【0091】
高温側蓄熱ユニット(21)には、高温側蓄熱用伝熱管(21a)と、第2高温側給湯用伝熱管(21b)とが設けられている。
【0092】
高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材は、例えば、融点55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)によって形成されている。この蓄熱材としては、融点が50℃以上90℃以下の物質を用いるのが好ましい。
【0093】
第2高温側水熱交換器(27)には、第2高温側冷媒用伝熱管(27a)と、第3高温側給湯用伝熱管(27b)とが設けられている。
【0094】
第1低温側水熱交換器(29)には、第1低温側冷媒用伝熱管(29a)と、第3低温側給湯用伝熱管(29b)とが設けられている。
【0095】
低温側蓄熱ユニット(23)には、低温側蓄熱用伝熱管(23a)と、第1低温側給湯用伝熱管(23b)とが設けられている。
【0096】
低温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材は、例えば、融点31℃の硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)によって形成されている。この蓄熱材としては、融点が20℃以上40℃以下の物質を用いるのが好ましい。
【0097】
低温側水熱交換器(25)には、第2低温側冷媒用伝熱管(25a)と、第2低温側給湯用伝熱管(25b)とが設けられている。
【0098】
−ヒートポンプ給湯機の運転動作−
《蓄熱運転》
蓄熱運転時には、高温側及び低温側圧縮機(11a,11b)を動かす。それにより、高温側及び低温側冷媒回路(3a,3b)において冷凍サイクルが行われる。このとき、給水栓は閉じられている。そのため、水道水は給湯用回路(5)を流通しない。また、このとき、各冷媒回路(3a,3b)の冷媒を高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)に流通させるように、各三方弁(10a,10b)は切り換えられている。
【0099】
その他の点に関しては、参考例1の蓄熱運転とほぼ同様である。
【0100】
《給湯運転》
蓄熱運転時にも、高温側及び低温側圧縮機(11a,11b)を動かす。それにより、高温側及び低温側冷媒回路(3a,3b)において冷凍サイクルが行われる。このとき、給水栓は開かれている。そのため、上水道から圧送された水道水が給湯用回路(5)を流通する。また、このとき、各冷媒回路(3a,3b)の冷媒を高温側及び低温側バイパス通路(4a,4b)に流通させるように、各三方弁(10a,10b)は切り換えられている。
【0101】
高温側圧縮機(11a)から吐出された冷媒は第1高温側冷媒用伝熱管(19a)へ導入され、第1高温側給湯用伝熱管(19b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0102】
水道水へ放熱した冷媒は高温側バイパス通路(4a)を介して第2高温側冷媒用伝熱管(27a)へ導入され、第3高温側給湯用伝熱管(27b)の水道水に対して放熱して過冷却される。
【0103】
一方、低温側圧縮機(11b)から吐出された冷媒は第1低温側冷媒用伝熱管(29a)へ導入され、第3低温側給湯用伝熱管(29b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0104】
水道水へ放熱した冷媒は低温側バイパス通路(4b)を介して第2低温側冷媒用伝熱管(25a)へ導入され、第2低温側給湯用伝熱管(25b)の水道水に対して放熱して過冷却される。
【0105】
また、上水道から給湯用回路(5)へ流入した水道水は第2低温側給湯用伝熱管(25b)へ導入され、第2低温側冷媒用伝熱管(25a)の冷媒から吸熱する。
【0106】
冷媒から吸熱した水道水は第1低温側給湯用伝熱管(23b)へ導入され、低温側蓄熱ユニット(23)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第1低温側給湯用伝熱管(23b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0107】
低温側蓄熱ユニット(23)から吸熱した水道水は第3低温側給湯用伝熱管(29b)へ導入され、第1低温側冷媒用伝熱管(29a)の冷媒から吸熱する。
【0108】
冷媒から吸熱した水道水は第3低温側給湯用伝熱管(27b)へ導入され、第2高温側冷媒用伝熱管(27a)の冷媒から吸熱する。
【0109】
冷媒から吸熱した水道水は第2高温側給湯用伝熱管(21b)へ導入され、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第2高温側給湯用伝熱管(21b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0110】
高温側蓄熱ユニット(21)から吸熱した水道水は第1高温側給湯用伝熱管(19b)へ導入され、第1高温側冷媒用伝熱管(19a)の冷媒から吸熱する。
【0111】
そして、冷媒と蓄熱材の両方から吸熱した水道水は、温水として給水栓へ供給される。
【0112】
以上により、本実施形態によれば、低温側冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度が高温側冷媒回路(3a)の冷媒の凝縮温度より低く設定されているため、低温側冷媒回路(3b)のCOPが向上する。したがって、ヒートポンプ給湯機(1)全体の平均のCOPはヒートポンプ給湯機が単一の冷媒回路で形成されている場合に比べて高くなる。
【0113】
また、ヒートポンプ給湯機(1)が2つの冷媒回路(3a,3b)を有しているため、単一の冷媒回路を有しているヒートポンプ給湯機と比較して、立ち上げ時に高温の湯をユーザーに対して迅速に提供することができる。
【0114】
なお、本実施形態では、低温側蓄熱ユニット(23)の蓄熱材の融点が高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材の融点より低いものであるが、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材の融点と低温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材の融点が同じものであってもよい。
【0115】
また、本実施形態では、高温側及び低温側冷媒回路(3a,3b)の両方に蓄熱ユニット(21,23)が設けられているが、少なくとも一方の冷媒回路に蓄熱ユニットが設けられていればよい。このとき、蓄熱ユニットが設けられた冷媒回路には、蓄熱ユニットをバイパスするバイパス通路が設けられる。
【0116】
また、本実施形態では、ヒートポンプ給湯機(1)が2つの冷媒回路(3a,3b)を備えているが、3以上の冷媒回路を備えていてもよい。
【0117】
(実施形態2)
図5に示すように、本実施形態のヒートポンプ給湯機(1)は、低温側冷媒回路(3b)にのみバイパス通路(4b)が設けられたものである。その他の点に関しては、実施形態1のヒートポンプ給湯機(1)とほぼ同じ構造である。
【0118】
高温側冷媒回路(3a)には、冷媒の循環方向において、高温側膨張弁(7a)、高温側室外熱交換器(9a)、高温側アキュムレータ(12a)、高温側圧縮機(11a)、高温側水熱交換器(19)、及び高温側蓄熱ユニット(21)が順に配置されている。
【0119】
低温側冷媒回路(3b)には、冷媒の循環方向において、低温側膨張弁(7b)、低温側室外熱交換器(9b)、低温側アキュムレータ(12b)、低温側圧縮機(11b)、低温側蓄熱ユニット(23)、及び低温側水熱交換器(25)が順に配置されている。
【0120】
低温側冷媒回路(3b)には、低温側蓄熱ユニット(23)をバイパスする低温側バイパス通路(4b)が設けられている。分岐点(6b)は低温側冷媒回路(3b)における低温側圧縮機(11b)及び低温側蓄熱ユニット(23)の間に位置し、合流点(8b)は低温側冷媒回路(3b)における低温側蓄熱ユニット(23)及び低温側水熱交換器(25)の間に位置する。
【0121】
給湯用回路(5)には、水道水の循環方向において、低温側水熱交換器(25)、低温側蓄熱ユニット(23)、高温側蓄熱ユニット(21)、及び高温側水熱交換器(19)が順に配置されている。
【0122】
高温側水熱交換器(19)には、高温側冷媒用伝熱管(19a)と、第1高温側給湯用伝熱管(19b)とが設けられている。
【0123】
高温側蓄熱ユニット(21)には、高温側蓄熱用伝熱管(21a)と、第2高温側給湯用伝熱管(21b)とが設けられている。
【0124】
高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材は、例えば、融点55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)によって形成されている。
【0125】
低温側蓄熱ユニット(23)には、低温側蓄熱用伝熱管(23a)と、第1低温側給湯用伝熱管(23b)とが設けられている。
【0126】
低温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材は、例えば、融点31℃の硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)によって形成されている。
【0127】
低温側水熱交換器(25)には、低温側冷媒用伝熱管(25a)と、第2低温側給湯用伝熱管(25b)とが設けられている。
【0128】
−ヒートポンプ給湯機の運転動作−
《蓄熱運転》
蓄熱運転時には、低温側冷媒回路(3b)の冷媒を低温側蓄熱ユニット(23)に流通させるように、三方弁(10b)は切り換えられている。
【0129】
高温側圧縮機(11a)から吐出された冷媒は高温側冷媒用伝熱管(19a)を介して高温側蓄熱用伝熱管(21a)へ導入され、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材に対して放熱して凝縮する。この蓄熱材は、冷媒から吸熱して融解し、冷媒から付与された温熱を蓄える。
【0130】
一方、低温側圧縮機(11b)から吐出された冷媒は低温側蓄熱用伝熱管(23a)へ導入され、低温側蓄熱ユニット(23)の蓄熱材に対して放熱して凝縮する。この蓄熱材は、冷媒から吸熱して融解し、冷媒から付与された温熱を蓄える。
【0131】
蓄熱材へ放熱した冷媒は低温側冷媒用伝熱管(25a)を介して膨張弁(7)へ導入される。
【0132】
以上により、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)に、温熱が蓄えられる。ただし、高温側蓄熱ユニット(21)には、低温側蓄熱ユニット(23)より高温の温熱が蓄えられる。
【0133】
《給湯運転》
給湯運転時には、低温側冷媒回路(3b)の冷媒を低温側バイパス通路(4b)に流通させるように、三方弁(10b)は切り換えられている。
【0134】
高温側圧縮機(11a)から吐出された冷媒は高温側冷媒用伝熱管(19a)へ導入され、第1高温側給湯用伝熱管(19b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0135】
水道水へ放熱した冷媒は高温側蓄熱用伝熱管(21a)へ導入され、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材に対して放熱して凝縮する。このとき、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材には、温熱は蓄えられない。
【0136】
一方、低温側圧縮機(11b)から吐出された冷媒は低温側バイパス通路(4b)を介して低温側冷媒用伝熱管(25a)へ導入され、低温側給湯用伝熱管(25b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0137】
また、上水道から給湯用回路(5)へ流入した水道水は第2低温側給湯用伝熱管(25b)へ導入され、低温側冷媒用伝熱管(25a)の冷媒から吸熱する。
【0138】
冷媒から吸熱した水道水は第1低温側給湯用伝熱管(23b)へ導入され、低温側蓄熱ユニット(23)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第1低温側給湯用伝熱管(23b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0139】
低温側蓄熱ユニット(23)から吸熱した水道水は第2高温側給湯用伝熱管(21b)へ導入され、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第2高温側給湯用伝熱管(21b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0140】
高温側蓄熱ユニット(21)から吸熱した水道水は第1高温側給湯用伝熱管(19b)へ導入され、高温側冷媒用伝熱管(19a)の冷媒から吸熱する。
【0141】
そして、冷媒と蓄熱材の両方から吸熱した水道水は、温水として給水栓へ供給される。
【0142】
以上により、本実施形態によれば、水道水は第1低温側給湯用伝熱管(23b)、第2高温側給湯用伝熱管(21b)の順に流れる。ここで、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材の融点は低温側蓄熱ユニット(23)の融点より高い。そのため、水道水は、加熱温度が高くなる順に加熱されることになる。したがって、水道水と各蓄熱ユニット(21,23)との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0143】
なお、本実施形態では、低温側冷媒回路(3b)にのみバイパス通路(4b)が設けられているが、少なくとも一方の冷媒回路に蓄熱ユニットをバイパスするバイパス通路が設けられていればよい。
【0144】
また、本実施形態では、ヒートポンプ給湯機(1)が2つの冷媒回路(3a,3b)を備えているが、3以上の冷媒回路を備えていてもよい。
【0145】
(参考例4)
本参考例のヒートポンプ給湯機(1)は、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)の蓄熱材の融点が同じものである。その他の点に関しては、実施形態2のヒートポンプ給湯機(1)の構造とほぼ同様である。
【0146】
高温側蓄熱ユニット(21)及び低温側蓄熱ユニット(23)の蓄熱材は、例えば、融点55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)によって形成されている。この蓄熱材としては、融点が50℃以上90℃以下の物質を用いるのが好ましい。
【0147】
《蓄熱運転》
蓄熱運転時には、高温側及び低温側冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度は、例えば、約60℃である。
【0148】
その他の点に関しては、実施形態2の蓄熱運転とほぼ同様である。
【0149】
以上により、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)のそれぞれに、ある程度高温で、且つ、ほぼ同じ温度の温熱が蓄えられる。
【0150】
《給湯運転》
本参考例の給湯運転は、実施形態2の蓄熱運転とほぼ同様である。
【0151】
以上により、本参考例によれば、給湯運転時には低温側冷媒回路(3b)の冷媒を低温側バイパス通路(4b)に流通させるため、給湯運転時には、低温側冷媒回路(3b)の冷媒は、ある程度高温の温熱が蓄えられた低温側蓄熱ユニット(23)を流通しない。そのため、低温側冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度が下がる。したがって、ヒートポンプ給湯機(1)のCOPが向上する。
【0152】
また、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)の蓄熱材は共に酢酸ナトリウム3水和物によって形成されているため、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)のそれぞれにほぼ同じ温度の温熱が蓄えられる。したがって、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)の蓄熱材がそれぞれ融点の異なるものによって形成されている場合と比較して、ヒートポンプ給湯機(1)全体の水道水に対する熱の伝達が向上する。
【0153】
(参考例5)
図6に示すように、本参考例のヒートポンプ給湯機(1)は、水回路(5)が途中で分岐したものである。その他の点に関しては、参考例4のヒートポンプ給湯機(1)の構造とほぼ同様である。
【0154】
高温側冷媒回路(3a)には、冷媒の循環方向において、高温側膨張弁(7a)、高温側室外熱交換器(9a)、高温側アキュムレータ(12a)、高温側圧縮機(11a)、第1高温側水熱交換器(19)、高温側蓄熱ユニット(21)、及び第2高温側水熱交換器(27)が順に配置されている。
【0155】
低温側冷媒回路(3b)には、冷媒の循環方向において、低温側膨張弁(7b)、低温側室外熱交換器(9b)、低温側アキュムレータ(12b)、低温側圧縮機(11b)、低温側蓄熱ユニット(23)、及び低温側水熱交換器(25)が順に配置されている。
【0156】
低温側冷媒回路(3b)には、低温側蓄熱ユニット(23)をバイパスする低温側バイパス通路(4b)が設けられている。
【0157】
給湯用回路(5)は、第1分岐通路(5a)と第2分岐通路(5b)とを有する並列回路を備えている。
【0158】
第1及び第2分岐通路(5a,5b)は、給湯用回路(5)の低温側水熱交換器(25)の下流側に位置する分岐点(5c)で分岐している。第1及び第2分岐通路(5a,5b)は、給湯用回路(5)の第1高温側水熱交換器(19)の上流側に位置する合流点(5d)で合流している。
【0159】
第1分岐通路(5a)には、水道水の循環方向において、第2高温側水熱交換器(27)、及び高温側蓄熱ユニット(21)が配置されている。
【0160】
第2分岐通路(5b)には、低温側蓄熱ユニット(23)が配置されている。
【0161】
−ヒートポンプ給湯機の運転動作−
《蓄熱運転》
本参考例の蓄熱運転は、参考例4の蓄熱運転とほぼ同様である。
【0162】
《給湯運転》
高温側圧縮機(11a)から吐出された冷媒は第1高温側冷媒用伝熱管(19a)へ導入され、第1高温側給湯用伝熱管(19b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0163】
水道水へ放熱した冷媒は高温側蓄熱用伝熱管(21a)へ導入され、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材に対して放熱して凝縮する。このとき、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材には、温熱は蓄えられない。
【0164】
高温側蓄熱ユニット(21)から流出した冷媒は第2高温側冷媒用伝熱管(27a)へ導入され、第3高温側給湯用伝熱管(27b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0165】
一方、低温側圧縮機(11b)から吐出された冷媒は低温側バイパス通路(4b)を介して低温側冷媒用伝熱管(25a)へ導入され、低温側給湯用伝熱管(25b)の水道水に対して放熱して凝縮する。
【0166】
また、上水道から給湯用回路(5)へ流入した水道水は第2低温側給湯用伝熱管(25b)へ導入され、第2低温側冷媒用伝熱管(25a)の冷媒から吸熱する。
【0167】
冷媒から吸熱した水道水は分岐点(5c)で分岐し、第3高温側給湯用伝熱管(27b)及び第1低温側給湯用伝熱管(23b)へ導入される。
【0168】
第3高温側給湯用伝熱管(27b)に導入された水道水は第2高温側冷媒用伝熱管(27a)の冷媒から吸熱する。
【0169】
冷媒から吸熱した水道水は第2高温側給湯用伝熱管(21b)へ導入され、高温側蓄熱ユニット(21)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第2高温側給湯用伝熱管(21b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0170】
一方、第1低温側給湯用伝熱管(23b)へ導入された水道水は低温側蓄熱ユニット(23)の蓄熱材から吸熱する。この蓄熱材は第1低温側給湯用伝熱管(23b)の水道水へ放熱して凝固する。
【0171】
高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)から吸熱した各水道水は合流点(5d)で合流する。
【0172】
合流した水道水は第1高温側給湯用伝熱管(19b)へ導入され、第1高温側冷媒用伝熱管(19a)の冷媒から吸熱する。
【0173】
そして、冷媒と蓄熱材の両方から吸熱した水道水は、温水として給水栓へ供給される。
【0174】
以上により、本参考例によれば、給湯用回路(5)が第1及び第2分岐通路(5a,5b)とに分岐しているため、第2高温側給湯用及び第1低温側給湯用伝熱管(21b,23b)のそれぞれに流通する水道水の量は、給湯用回路(5)の本流に流通する水道水の量より小さくなる。そのため、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)の蓄熱材から第2高温側給湯用及び第1低温側給湯用伝熱管(21b,23b)に流通する水道水への熱の移動量が大きくなる。したがって、給湯運転時において、各蓄熱ユニット(21,23)から水道水への熱の移動を更に円滑に行うことができる。
【0175】
なお、本参考例では、第1分岐通路(5a)に第2高温側水熱交換器(27)、及び高温側蓄熱ユニット(21)が配置され、第2分岐通路(5b)に低温側蓄熱ユニット(23)が配置されているが、第1分岐通路(5a)には少なくとも高温側蓄熱ユニット(21)が配置され、第2分岐通路(5b)には少なくとも低温側蓄熱ユニット(23)が配置されていればよい。
【0176】
また、本参考例では、高温側及び低温側蓄熱ユニット(21,23)の蓄熱材のそれぞれが同じ融点のもので形成されているが、異なる融点のもので形成されてもよい(請求項4に相当)。
【0177】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、給湯運転時には冷媒をバイパス通路に流通させるため、給湯運転時には冷媒は加熱熱交換器を流通しない。そのため、給湯運転時には加熱熱交換器で冷媒が凝縮しないため、加熱熱交換器において凝縮熱は発生しない。よって、蓄熱手段から水への熱の移動が、上記凝縮熱により妨げられることはない。したがって、給湯運転時において、蓄熱手段から水への熱の移動を円滑に行うことができ、蓄熱手段の温熱を有効に利用することができる。
【0178】
また、ヒートポンプ給湯器が第1及び第2冷媒回路を有しているため、単一の冷媒回路を有しているヒートポンプ給湯機と比較して、立ち上げ時に高温の湯をユーザーに対して迅速に提供することができる。
【0179】
さらに、第2冷媒回路の冷媒の凝縮温度が第1冷媒回路の冷媒の凝縮温度より低く設定されているため、第2冷媒回路のCOPが向上する。したがって、ヒートポンプ給湯機全体の平均のCOPはヒートポンプ給湯機が単一の冷媒回路で形成されている場合に比べて高くなる。
【0180】
請求項2の発明によれば、給湯運転時には冷媒をバイパス通路に流通させるため、給湯運転時には、バイパス通路が設けられた冷媒回路の冷媒は加熱熱交換器を流通しない。そのため、給湯運転時には加熱熱交換器で冷媒が凝縮しないため、加熱熱交換器において凝縮熱は発生しない。よって、蓄熱手段から水への熱の移動が、上記凝縮熱により妨げられることはない。したがって、給湯運転時において、蓄熱手段から水への熱の移動を円滑に行うことができ、蓄熱手段の温熱を有効に利用することができる。
【0181】
また、第2冷媒回路の冷媒の凝縮温度が第1冷媒回路の冷媒の凝縮温度より低く設定されているため、第2冷媒回路のCOPが向上する。したがって、ヒートポンプ給湯機全体の平均のCOPはヒートポンプ給湯機が単一の冷媒回路で形成されている場合に比べて高くなる。
【0182】
請求項3の発明によれば、水は第2熱回収熱交換器、第1熱回収熱交換器の順に流れる。ここで、第1蓄熱手段の第1潜熱蓄熱材の融点は、第2蓄熱手段の第2潜熱蓄熱材の融点より高い。そのため、水は、加熱温度が高くなる順に加熱されることになる。したがって、水と各蓄熱手段との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0183】
請求項4の発明によれば、水回路が第1分岐通路と第2分岐通路とに分岐しているため、第1蓄熱手段の熱回収熱交換器及び第2蓄熱手段の熱回収熱交換器のそれぞれに流通する水の量は、水回路に流通する水の量より小さくなる。そのため、第1及び第2蓄熱手段から第1蓄熱手段の熱回収熱交換器及び第2蓄熱手段の熱回収熱交換器に流通する水への熱の移動量が大きくなる。したがって、給湯運転時において、蓄熱手段から水への熱の移動を更に円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係るヒートポンプ給湯機の回路図である。
【図2】 参考例に係るヒートポンプ給湯機の回路図である。
【図3】 参考例に係るヒートポンプ給湯機の回路図である。
【図4】 実施形態に係るヒートポンプ給湯機の回路図である。
【図5】 実施形態に係るヒートポンプ給湯機の回路図である。
【図6】 参考例に係るヒートポンプ給湯機の回路図である。
【符号の説明】
(1) ヒートポンプ給湯機
(3) 冷媒回路
(5) 給湯用回路(水回路)
(7) 膨張弁(膨張機構)
(9) 室外熱交換器(蒸発器)
(11) 圧縮機
(13) 水熱交換器(凝縮器)
(15) 蓄熱ユニット(蓄熱手段)
Claims (4)
- 圧縮機(11a,11b)、凝縮器(19,25)、膨張機構(7a,7b)、及び蒸発器(9a,9b)をそれぞれ有する第1及び第2冷媒回路(3a,3b)と、
水を流通させる水回路(5)とを備え、
上記第2冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度が、上記第1冷媒回路(3a)の冷媒の凝縮温度より低く設定され、
第1及び第2冷媒回路(3a,3b)の少なくとも一方は、温熱を蓄える蓄熱手段(21)と、該蓄熱手段(21)を加熱する加熱熱交換器(21a)と、該加熱熱交換器(21a)をバイパスするバイパス通路(4a,4b)とを更に有し、
水回路(5)は、上記凝縮器(19,25)及び上記蓄熱手段(21)の温熱を利用して温水を供給し、
冷媒を上記バイパス通路(4a)に流通させ、且つ、水を上記水回路(5)に流通させることにより、上記凝縮器(19,25)及び上記蓄熱手段(21)で水を加熱する給湯運転と、
冷媒を上記バイパス通路(4a)に流通させず、且つ、水を上記水回路(5)に流通させないことにより、上記加熱熱交換器(15a)で上記蓄熱手段(15)を加熱する蓄熱運転とを行うヒートポンプ給湯機。 - 第1融点を有する第1潜熱蓄熱材を備えている第1蓄熱手段(21)と、
上記第1融点より低温の第2融点を有する第2潜熱蓄熱材を備えている第2蓄熱手段(23)と、
圧縮機(11a)、凝縮器(19)、上記第1蓄熱手段(21)を加熱する加熱熱交換器(21a)、膨張機構(7a)、及び蒸発器(9a)を有する第1冷媒回路(3a)と、
圧縮機(11b)、凝縮器(25)、上記第2蓄熱手段(23)を加熱する加熱熱交換器(23a)、膨張機構(7b)、及び蒸発器(9b)を有する第2冷媒回路(3b)と、
上記凝縮器(19,25)及び上記蓄熱手段(21,23)の温熱を利用して温水を供給する水回路(5)とを備え、
第2冷媒回路(3b)の冷媒の凝縮温度が、第1冷媒回路(3a)の冷媒の凝縮温度より低く設定され、
上記第1及び第2冷媒回路(3a,3b)の少なくとも一方には、上記加熱熱交換器(23a)をバイパスするバイパス通路(4b)が設けられ、
冷媒を上記バイパス通路(4b)に流通させ、且つ、水を上記水回路(5)に流通させることにより、上記凝縮器(19,25)及び上記蓄熱手段(21,23)で水を加熱する給湯運転と、
冷媒を上記バイパス通路(4b)に流通させず、且つ、水を上記水回路(5)に流通させないことにより、上記加熱熱交換器(21a,23a)で上記蓄熱手段(21,23)を加熱する蓄熱運転とを行うヒートポンプ給湯機。 - 請求項2記載のヒートポンプ給湯機であって、
水回路(5)は、上記第1蓄熱手段(21)に設けられた第1熱回収熱交換器(21b)と、上記第2蓄熱手段(23)に設けられた第2熱回収熱交換器(23b)とを有し、
水回路(5)において、上記第1熱回収熱交換器(21b)は上記第2熱回収熱交換器(23b)の下流側に設けられているヒートポンプ給湯機。 - 請求項2記載のヒートポンプ給湯機であって、
水回路(5)は、第1分岐通路(5a)と第2分岐通路(5b)とを有する並列回路を備え、
第1分岐通路(5a)は上記第1蓄熱手段(21)に設けられた熱回収熱交換器(21b)を有し、
第2分岐通路(5b)は上記第2蓄熱手段(23)に設けられた熱回収熱交換器(23b)を有しているヒートポンプ給湯機。
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