JP4075202B2 - 硫化アルケンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はより高純度の硫化アルケンの製造方法に関する。より具体的には、アミン触媒存在下、アルケン、硫黄、硫化水素を反応させて得られるジアルキルポリスルフィド構造を有する硫化アルケンの透明性、鉱油及び溶剤への溶解性、硫黄析出、及び加熱時の硫化水素発生の改良法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジアルキルポリスルフィドに代表される硫化アルケンは、例えば金属同士の摩擦、摩耗減少及び焼き付きを防止する硫黄系極圧添加剤として、切削油、塑性加工油、ギヤー油、摺動面油、グリースなどに幅広く利用されている。
【0003】
このジアルキルポリスルフィドの製法としては、例えばアルキルメルカプタンと硫黄から合成する方法、及び、オレフィン(アルケン)、硫黄、硫化水素を触媒存在下に反応させ、ジアルキルポリスルフィド構造を有する硫化アルケンとして合成する方法がある。
【0004】
後者の硫化アルケン合成法は、安価なアルケンが出発原料であり、工業的に有利な方法であり、その合成方法は、数多くの文献により、既に公知である。
【0005】
これら公知の合成法の触媒としては、アミン、アンモニア、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムなど)、アルカリ金属酸化物(酸化カルシウムなど)などの塩基性触媒が有効であるが、特にアミンを用いた場合が最も収率も高く微臭な生成物が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、反応性の高いアミンを触媒として用いると、反応中に副生した硫黄化合物とこのアミンとが塩を作り生成物中に残留する。この副生したアミン塩は生成物への溶解性が高く、ろ過を行ってもいったんは透明になるが、長期間保管すると再び分離して、濁りや沈澱の原因となり、製品外観の透明性に悪影響を及ぼす。
【0007】
また、この硫黄化合物のアミン塩を含む硫化アルケンを、鉱油に溶解した場合は当初は透明でも、長期間放置すると、やはりこの副生アミン塩が分離して濁りが発生するなど、硫黄系極圧添加剤等としての実使用時においても、製品の油溶性を悪化させる。さらにミネラルターペン、ガソリン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサなどの炭化水素系溶剤に溶解した場合も、やはり当初は透明でも長期間放置すると濁り、沈殿が発生するなど溶剤への溶解性を悪化させるなどの欠点を有する。また、硫化アルケン、特にアルキル基の炭素数が9以下のものは
加熱時硫化水素が少量発生する欠点がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、硫黄化合物アミン塩を含む硫化アルケン、例えばアミンを触媒として合成した硫化アルケンに残留するアミン塩を効率よく除去し、高純度の硫化アルケンを製造する方法、各種添加剤として用いる場合において、透明性、油溶性、炭化水素系溶剤への溶解性を向上させる方法、及び加熱時に発生する硫化水素を減少させる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために硫化アルケン粗生成物中に残留するアミン塩の効率良い除去方法を検討した。その結果、硫黄化合物のアミン塩をそのまま硫化アルケン粗生成物から除去するのではなく、酸化してチオ硫酸アミン塩または硫酸アミン塩として有機溶媒で抽出することで上記課題を解決することを見い出した。
【0010】
なかでも、例えば、反応終了後、未反応アルケンを減圧蒸留で留去した硫化アルケン粗生成物中に残留する副生した硫黄化合物のアミン塩を、酸素を含むガスによって酸化してチオ硫酸塩及び硫酸塩に変換させると、例えばアルコールで高選択的に抽出出来る。さらにこのアルコール抽出液を分離することにより、アミン塩を効率良く系外に除去出来ることを見いだした。また、過酸化水素で緩慢に酸化処理をすると加熱時に分解して硫化水素を発生するような不安定な部分を安定化することができ、発生硫化水素量を減少させることができることを見いだした。
【0011】
本発明は、次の発明を提供する。
【0012】
(1) アミン触媒の存在下で、アルケンと硫黄と硫化水素から反応して得られた、硫化アルケン(A)と硫黄化合物アミン塩(B)とを含む硫化アルケン粗生成物を、酸化剤(C)で酸化し、チオ硫酸アミン塩及び/又は硫酸アミン塩(D)とし、当該アミン塩(D)を有機溶媒で抽出除去することを特徴とする高純度硫化アルケンの製造方法。
【0013】
(2) 硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物が、アミン触媒の存在下、アルケンと硫黄と硫化水素から硫化アルケンを合成し、少なくとも未反応アルケンを除去した、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物である上記(1)記載の硫化アルケンの製造方法。
【0014】
(3)アミン触媒の存在下で、アルケンと硫黄と硫化水素から反応して得られた、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物アミン塩(B)とを含む硫化アルケン粗生成物を、酸化剤(C)で酸化し、チオ硫酸アミン塩及び/又は硫酸アミン塩(D)とし、当該アミン塩(D)を有機溶媒で抽出除去することを特徴とする高純度硫化アルケンの製造方法であって、前記酸化剤(C)として、空気と過酸化水素とを併用し、これらをこの順に用いて酸化を行うことを特徴とする高純度硫化アルケンの製造方法。
【0017】
(4) 有機溶媒が、アルコールである上記(1)記載の硫化アルケンの製造方法。
【0018】
(5) アルコールがメタノールまたはエタノールである上記(1)記載の硫化アルケンの製造方法。
【0019】
(6) 硫黄化合物のアミン塩(B)が、アルキルアミン塩、アリールアミン塩又はポリアミン塩である上記(1)記載の硫化アルケンの製造方法。
【0020】
(7) アミン触媒が、アルキルアミン、アリールアミン又はポリアミンである上記(1)記載の硫化アルケンの製造方法。
【0021】
(8) アルケンが、炭素原子数4〜18のアルケンである上記(1)記載の硫化アルケンの製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明では、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)とを含む硫化アルケン粗生成物を、酸化剤(C)で酸化し、チオ硫酸アミン塩及び/又は硫酸アミン塩(D)とし、当該アミン塩(D)を有機溶媒で抽出除去して、より高純度の硫化アルケンを製造する。
【0023】
本発明の対象となる、硫化アルケン(A)と硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物は、下記の合成方法で得ることが出来る。
【0024】
より具体的には、例えばアミン触媒の存在下、アルケンと硫黄と硫化水素とを反応させることにより、前記硫化アルケン粗生成物を合成することが出来る。
【0025】
この合成方法としては、例えばUSP4119549、特開昭53−52510(GB39822/76)、特開昭55−38819、特開昭55−38820、特開昭62−240387(US831967)、特開昭63−245493、特開昭63−500949(US777475)、特開平2−28145(US195246)、特公平4−5718(US304526)などの公知の方法が挙げられる。
【0026】
ここでの原料アルケンは、生成した硫化アルケンの臭気や硫黄含有量を考慮すると、炭素原子数4〜18のアルケンが適当である。一例としては、イソブチレン、1−ヘキセン、1ーオクテン、ジイソブチレン、1ーノネン、1ードデセン、1−ヘキサデセンなどが挙げられる。これらは混合物であっても良い。
【0027】
硫黄及び硫化水素も公知慣用のものがいずれも使用できる。必要なら溶融状態の硫黄を用いてもよい。
【0028】
使用するアミン触媒としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、反応性の良い、例えばアルキルアミン、アリールアミン、ポリアミンを用いることが好ましい。一例としては、例えばブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、n−オクチルアミン、tert−オクチルアミン、ジオクチルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アリールアミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0029】
アミン触媒の使用量は、反応性を悪化させない範囲でより少量が好ましく、仕込原料合計の0.05〜0.5重量%、実用上は0.1〜0.2重量%となる量が適当である。
【0030】
この様な各原料を用いた硫化アルケンの合成方法のうち、好ましい方法は次の通りである。
【0031】
最初に、加圧反応容器に炭素数4〜18のアルケン、アミン触媒及び硫黄を仕込み、密閉して硫化水素ガスを、温度100〜150℃で吹き込む。アルケンの種類によってはさらに温度を140〜170℃に上げて反応を完結させる。
【0032】
次に温度70〜100℃、圧力10〜30mmHgで減圧蒸留を行い、少なくとも未反応アルケンを留去して硫化アルケン粗生成物を得る。
【0033】
本発明では、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物を酸化剤(C)で酸化する。
【0034】
硫化アルケン粗生成物としては、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物が、アミン触媒の存在下、アルケンと硫黄と硫化水素から硫化アルケンを合成したものであればよいが、少なくとも未反応アルケンを除去した、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物であることが好ましい。
【0035】
こうして好適なアミン触媒を用いた場合の硫化アルケン粗生成物に含まれる硫黄化合物のアミン塩(B)は、例えばアルキルアミン塩、アリールアミン塩またはポリアミン塩となる。
【0036】
蒸留や不活性ガスを通気することにより、未反応アルケンや未反応硫化水素を除去することが出来る。
【0037】
ここで酸化剤(C)としては、例えば酸素、空気、オゾン、過酸化水素、過炭酸、過酢酸、過塩素酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし併用することも出来る。中でも、空気と過酸化水素が好ましい。
【0038】
本発明においては、穏和な条件で比較的短時間に容易に多量のアミン塩(B)を酸化でき、経済性にも優れる点では空気が好ましく、比較的長時間を要しても確実な酸化を行いたい場合や臭気の少ない硫化アルケンを得ようとする場合には、過酸化水素を用いるのが好ましい。
【0039】
本発明では、空気で主たる酸化を行ってから、過酸化水素により補足的な酸化を行う様にするのが好ましい。緩慢な酸化作用と取り扱いの容易さから過酸化水素が実用的である。この方法では、主たる酸化により、硫黄化合物のアミン塩(B)は、チオ硫酸のアミン塩及び/又は硫酸のアミン塩(D)が主成分となる様に酸化させ、残留する少量の硫黄化合物のアミン塩(B)を過酸化水素で酸化する。こうして、硫黄化合物のアミン塩(B)を含まないが、硫酸のアミン塩及び/又はチオ硫酸のアミン塩(D)を含む硫化アルケン粗生成物を得る。
【0040】
酸素を含むガスとしては、例えば酸素ガス、空気(窒素と酸素との混合ガス)、酸素とヘリウム等の不活性ガスとの混合ガス等が挙げられる。空気が、より穏和に酸化が出来る点、経済性の点で好ましい。
【0041】
酸素を含むガスを通気して硫化アルケン粗生成物に含まれる硫黄化合物のアミン塩(B)を酸化をするに当たっては、温度は酸化反応速度、反応生成物の分解などを考慮する。酸素を含むガスの通気量は少なすぎると酸化効率が悪く、多すぎると粗生成物の飛散が起こるため、調整することが好ましい。
【0042】
好ましくは、この硫化アルケン粗生成物に、温度70〜100℃で、単位時間当たり、使用反応容器の容量の5〜10倍の通気量で空気を吹き込み、残留する未反応の硫化水素や未反応のアルケンを除去するとともに、副生した硫黄化合物のアミン塩(B)を酸化して、硫酸のアミン塩及び/又はチオ硫酸のアミン塩(D)に変換させる。
【0043】
上記した通り、蒸留や不活性ガスを通気することにより、未反応アルケンや未反応硫化水素を除去することが出来るが、この際に空気を用いてやることで酸化した上で同様な効果を得ることも出来る。
【0044】
次いで、空気の通気を終えた、アミン塩(D)を含む硫化アルケン粗生成物に酸化剤として過酸化水素を加えて、空気で酸化しただけではアミン塩(D)としきれなかったアミン塩(B)をアミン塩(D)とし、アミン塩を全てアミン塩(D)となして、硫化アルケン中に含まれる不安定成分を安定化する。
【0045】
過酸化水素による酸化は、例えば酸化剤として過酸化水素水溶液及び必要に応じて有機溶媒を加えて室温〜40℃で攪拌することにより行うことが出来る。この有機溶媒は、硫化アルケンと相溶しないものを用いる様にする。好ましくは、過酸化水素水溶液と水溶性有機溶媒とを併用する。この酸化は、実質的にアミン塩(B)が検出されなくなるまで行えば良い。
【0046】
過酸化水素の使用量は、アミン塩(D)を含む硫化アルケン粗生成物に対して過酸化水素として0.1〜1.0重量%が適当である。
【0047】
本発明において水溶性有機溶媒としては、例えばアルコール、ケトン等が挙げられるが、中でもアルコールが好ましい。好適なアルコールとしては、メタノールまたはエタノールが挙げられる。
【0048】
予め過酸化水素水溶液にアルコールを含ませておくことにより、当該アミン塩(D)をアルコールで容易に抽出することができる。アミン塩(D)は専らアルコール側に抽出される。
【0049】
アミン塩(D)を含む硫化アルケン粗生成物に対して、アルコールは5〜10重量%が適当である。
【0050】
より確実に、アミン塩(D)を粗生成物から分離するに当たっては、前記操作の後にアルコールを分離後、硫化アルケン粗生成物に再度アルコールを加えて攪拌して、残った当該アミン塩(D)を抽出すれば良い。アルコールを分離後、実質的にはアミン塩(D)を全く含まない硫化アルケン粗生成物から減圧蒸留によって残留アルコールを留去すれば、高純度の硫化アルケンを得ることができる。
【0051】
尚、抽出用アルコールの使用量は、実質的にはアミン塩(D)を全く含まない硫化アルケン粗生成物の5〜15重量%が適当である。
【0052】
こうして得られた高純度の硫化アルケンは、公知慣用の用途いずれにも使用出来る。より具体的には、硫黄系極圧添加剤として、例えば切削油、塑性加工油、ギヤー油、摺動面油、グリース、スピンドル油、鉱油などに必要量添加することにより、目的とする効果を発揮することが出来る。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、%は重量%を表す。
【0054】
調製された硫化アルケンの透明性の評価は、室温で30日放置後の外観を、透明持続(○)、かすみ又は曇り発生(△)、モヤモヤ又は浮遊物発生(×)、沈殿多量発生(××)の4ランクで評価した。
【0055】
油溶性の評価は、調製された硫化アルケンを20%溶解したスピンドル溶液を室温で30日放置し、外観を透明性と同一の4ランクで評価した。炭化水素系溶剤への溶解性評価は、調製された硫化アルケンを50%溶解したイソオクタン溶液を室温で30日放置し、発生した不溶解分を秤量し、イソオクタン不溶解分%で評価した。
【0056】
硫酸のアミン塩及びチオ硫酸のアミン塩は、イオンクロマトグラフィーで、硫酸根(SO4 2-)及びチオ硫酸根(S2O3 2-)を測定し、ミリ%(10-3%)で評価した。
【0057】
イオンクロマトグラフィーの条件は、横河製カラムSAM3-125を用い、4.4Mol炭酸ナトリウムと1.2MoL重炭酸ナトリウム水溶液の溶離液を、流量2mL/分で用い、導電率検出器で検出した。硫黄析出の評価は、製品を室温で30日放置し、析出状態を、硫黄沈殿なし(○)、かすかに硫黄沈殿(△)、硫黄沈殿(×)、硫黄多量に沈殿(××)の4ランクで評価した。
【0058】
加熱時の硫化水素発生量は、100mL試験管に試料20gをとり密閉して60℃で1時間加熱後、上部の硫化水素濃度を硫化水素ガス検知管で測定した。
【0059】
<実施例1>
硫化水素吹き込み管、硫化水素吸収装置及び減圧蒸留装置をを接続した1Lオートクレーブにアルケンとしてジイソブチレン450g、硫黄220g、アミン触媒としてジシクロヘキシルアミン1.5gを仕込んだ。装置を密閉し120℃で硫化水素ガス75gを圧力6Kg/cm2で吹き込んだ。70℃まで冷却後、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻した。
【0060】
再び装置を密閉後減圧蒸留装置の接続弁を開けて70℃で圧力10mmHgまで徐々に減圧して未反応のジイソブチレンを留去した。圧力を常圧に戻し、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて、吹き込み管から空気を吹き込み、残留硫化水素、残留ジイソブチレンを留去するとともに副生した硫黄化合物アミン塩をチオ硫酸アミン塩及び硫酸アミン塩に変換させた。
【0061】
このようにして硫黄含有量39.9%を有する濁りのある黄色液体の硫化ジイソブチレン粗生成物694g(収率93%)を得た。
【0062】
この硫化ジイソブチレン粗生成物に35%過酸化水素水1.98g、メタノール69.4gを加え、温度20℃で1時間攪拌し、30分静置後メタノール層を分離する。さらにメタノール69.4gを加え、1時間攪拌し、30分静置後メタノール層を分離する。製品層を温度70℃、圧力10mmHgで減圧蒸留によりメタノールを留去し、透明黄色液体の硫化ジイソブチレンを得た。
【0063】
<実施例2>
実施例1において、過酸化水素使用量を0.3%に変えた以外は実施例1と同様に処理した。
【0064】
<実施例3>
実施例1において、過酸化水素使用量を0.5%に変えた以外は実施例1と同様に処理した。
【0065】
<実施例4>
実施例1での対象となる硫化ジイソブチレン粗生成物で、過酸化水素を使用せず通気のみで酸化し、次いでメタノール抽出のみを行った。
【0066】
<比較例1>
硫化ジイソブチレン粗生成物で通気のみを行い、メタノール抽出を行わなかった。
【0067】
各実施例及び比較例の処理条件及び透明性、油溶性、イソオクタン不溶解分、硫酸根及びチオ硫酸根、硫黄沈殿、加熱時硫化水素濃度、及び製品(調製された硫化アルケン)硫黄含有量を以下の表ー1にまとめて示した。
【0068】
【表1】
表−1
【0069】
注1)製品室温30日後の外観 4ランク評価
[○:透明 △:かすみ、曇り ×:モヤモヤ、浮遊物発生 ××:沈殿多量]
注2)20%スピンドル油溶液 室温30日後の外観
上記透明性と同一の4ランク評価
注3)50%イソオクタン溶液 室温30日後の不溶解分%
注4)イオンクロマト法
注5)製品室温30日後の硫黄析出状態 4ランク評価
[○:硫黄沈殿なし △:かすかに硫黄沈殿 ×:硫黄沈殿 ××:沈殿多量]
注6)60℃、1時間加熱後のガス検知管による硫化水素濃度(ppm)
【0070】
硫黄化合物のアルキルアミン塩を含む硫化イソブチレン粗生成物は、何ら処理を加えないで濾過するだけでは透明性、油溶性が悪く、硫黄も少量沈殿し、硫酸根及びチオ硫酸根も高い数値のままだが、メタノール抽出を行うと硫酸根及びチオ硫酸根が減少し、透明性、油溶性が明らかに向上し、イソクタン不溶解分が減少した。また、溶解硫黄が除去減少し、硫黄析出も改良された。さらに過酸化水素処理を行うと加熱時硫化水素の発生が抑制された。
【0071】
【発明の効果】
本発明の硫黄化合物のアミン塩除去方法によれば、硫化アルケンの製品の沈澱、濁りがなくなり透明性が持続し、溶存する硫黄が減少する結果、長期保存中の硫黄の析出が防止できる。さらに、鉱油への溶解性、炭化水素系溶剤への溶解性が向上する。さらに加熱時の硫化水素発生が減少する。
Claims (4)
- アミン触媒の存在下で、アルケンと硫黄と硫化水素から反応して得られた、硫化アルケン(A)と硫黄化合物アミン塩(B)とを含む硫化アルケン粗生成物を、酸化剤(C)で酸化し、チオ硫酸アミン塩及び/又は硫酸アミン塩(D)とし、当該アミン塩(D)を有機溶媒で抽出除去することを特徴とする高純度硫化アルケンの製造方法。
- 硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物が、アミン触媒の存在下、アルケンと硫黄と硫化水素から硫化アルケンを合成し、少なくとも未反応アルケンを除去した、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物のアミン塩(B)を含む硫化アルケン粗生成物である請求項1記載の高純度硫化アルケンの製造方法。
- アミン触媒の存在下で、アルケンと硫黄と硫化水素から反応して得られた、硫化アルケン(A)と、硫黄化合物アミン塩(B)とを含む硫化アルケン粗生成物を、酸化剤(C)で酸化し、チオ硫酸アミン塩及び/又は硫酸アミン塩(D)とし、当該アミン塩(D)を有機溶媒で抽出除去することを特徴とする高純度硫化アルケンの製造方法であって、前記酸化剤(C)として、空気と過酸化水素とを併用し、これらをこの順に用いて酸化を行うことを特徴とする高純度硫化アルケンの製造方法。
- 有機溶媒が、アルコールである請求項1記載の硫化アルケンの製造方法。
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