JP4075083B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力用変圧器の鉄心等として用いられる方向性電磁鋼板製造方法に関し、特に磁束密度の高い方向性電磁鋼板を安定して製造しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性電磁鋼板については、多くの製造方法が経験的に見出され、磁気特性は年々向上してきている。しかし、製造条件と製品の磁気特性との関係についてはこれまで多くの知見が蓄積されているにしても、製造条件と中間材料である一次再結晶焼鈍板の性質との関係については多くは知られていない。方向性電磁鋼板の中間材料である一次再結晶焼鈍板の段階で、素材の特質を把握できれば、不良品の発生を未然に防げる他、素材を選別して効果的に磁区細分化処理を施すことができ、また、最適工程を的確に定めることができる等の多くの利点があるといえる。
【0003】
一次再結晶焼鈍板の性質を規定した従来技術に関して、特開平6−73453号公報、特開平5−171370号公報、特開平5−171371号公報においては、一次再結晶焼鈍板の集合組織における{110}あるいは{111}極密度を、特定の範囲内に制御している技術が開示されている。これらの技術の技術思想において{110}極密度はゴス方位({110}〈001〉)の存在頻度を示す指標として、また、{111}極密度はゴス方位と対応方位Σ9に近くゴス方位粒に蚕食され易い{111}〈112〉方位粒の存在頻度の指標として、それぞれ使用されている。ところが、ゴス方位は、{110}面を法線に持つ方位群の中の一つの方位であり、ゴス方位粒の指標として{110}極密度を用いることは正確でない。同様に{111}極密度は{111}〈112〉方位粒の指標として適当ではない。そのため、それらの値で制御する従来技術では、製品板の磁気特性のばらつきが大きく実用的には問題が多い。
【0004】
例えば上掲特開平6−73453号には{110}極密度に関して一次再結晶粒の粒径を特定の範囲に制御する方法が開示されているが、一次再結晶粒径が同じであっても集合組織が異なると磁束密度は変化するので、この技術のように一次再結晶粒径のみで制御する方法では、製品の磁気特性のばらつきが必然的に大きくなり有用な方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、中間材としての一次再結晶焼鈍板の集合組織を制御することにより、磁束密度の著しく高い方向性電磁鋼板を安定して製造することできる方法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)C:0.075 wt%以下、
Si:2.0 〜8.0 wt%、
Mn:0.05〜0.15wt%、
S及びSeの1種又は2種:0.01〜0.04wt%、
N:0.0010〜0.0150wt%を含むとともに、
窒化物形成元素として、
酸可溶性Al:0.0050〜0.040 wt%、
Nb:0.01〜0.40wt%、
B:0.002 〜0.02wt%、
V:0.01〜0.30wt%
Ti:0.01〜0.40wt%
の少なくとも一種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるスラブを、加熱後、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍後、中間焼鈍を挟む冷間圧延を施して最終板厚としたのち、一次再結晶焼鈍ついで仕上焼鈍を施すことからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
前記一次再結晶焼鈍後の鋼板段階において、下記式で定義されるK値が0.7 %以上となるように、材料成分、スラブ加熱温度、熱延板焼鈍の均熱温度および冷却速度、中間焼鈍の均熱温度および冷却速度、冷間圧延の圧下率、圧延温度および時効温度ならびに一次再結晶焼鈍の均熱温度の条件を定め、その条件で製造することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

K=P(Goss)−{P(5) +P(7.5) }/2
ここに、
P(Goss):ゴス方位{110}〈001〉粒に対する方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)、
P(5) :ゴス方位粒を板面法線方向を軸として5度回転させた方位に対する方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)、
P(7.5) :ゴス方位粒を板面法線方向を軸として7.5 度回転させた方位に対する方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)
(2)上記(1)において、スラブが、さらに
Sb:0.005 〜0.20%、
Cu:0.02〜0.20%、
Sn:0.02〜0.30%、
Ni:0.02〜0.20%及び
Mo:0.01〜0.05%
のうち少なくとも一種を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
なお、この発明において、方位差角は2方位を重ねるための最小回転角度で定義される。
【0007】
さて、方向性電磁鋼板は、二次再結晶現象を利用して圧延面に{110}面を、圧延方向に〈001〉軸を揃えた、いわゆるゴス方位粒を得ることにより製造される。発明者らは、二次再結晶の途中過程における結晶粒の方位分布を解析することにより、方位差角が20〜40度の粒界の移動速度が速いことを見い出した。更に、全ての方位に関して、方位差角が20〜40度である結晶粒の、一次再結晶組織における存在頻度を調査した。その結果、方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度は、ゴス方位に対する場合に最大値をとり、そのときの存在頻度は60〜70%程度であることが分かった。なお、方位差角は2方位間の最小回転角により定義する。
【0008】
ここで、従来技術である特開平5−171371号公報にて強調されていたところの、ゴス方位粒とΣ9対応関係にある一次再結晶粒は2%程度の存在量しかかった。更にゴス方位粒以外にも2%程度のΣ9対応関係にある一次再結晶粒を持つ方位の粒が幾つか存在した。そのため、Σ9対応関係は二次再結晶粒の方位とは無関係と判断した。
【0009】
以上の知見により、方位差角が20〜40度である結晶粒の存在頻度を調べることで一次再結晶組織と二次再結晶方位との関係を予測できる可能性が示唆されたことから、発明者らは以下に述べる実験1を行って、この発明を完成させたのである。
【0010】
(実験1)
C:0.070 wt%、Si:3.22wt%、Mn:0.075 wt%、Se:0.022 wt%、sol.Al:0.022 wt%及びN:0.0095wt%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなるスラブを連続鋳造法にて製造した。次いでこのスラブを1400℃の加熱温度で30分均熱した後、熱間圧延により2.6 mmの板厚に仕上げた。この熱延板を多数用い、研究室の実験で以下に述べる各種の処理を行った。
【0011】
これらの熱延板はそれぞれ1100℃の窒素雰囲気中で1分間均熱したのち急冷した。次いで冷間圧延を行って1.0 〜2.2 mmの種々の板厚に仕上げた。冷間圧延後1100℃で窒素雰囲気中で1分間均熱し急冷した。次いで、0.7 mmの板厚まで再度冷間圧延した。次いで300 ℃で2分間の熱処理を施したのち、常温から300 ℃の範囲の温度で圧延し、0.22mmの最終板厚とした。次いで水素75%、窒素25%、露点65℃の雰囲気で840 ℃で均熱120 秒の一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を行いCを0.0020%に低減した。しかる後、MgO を焼鈍分離剤として塗布してから、仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍においては窒素中で20℃/時間の昇温速度で1200℃まで加熱し、水素中で20時間の均熱の純化焼鈍を行った。次いで窒素雰囲気で800 ℃,2時間の歪取焼鈍を行った。
【0012】
かかる処理を経た鋼板の磁束密度B8 を測定した。また、一次再結晶焼鈍を終えた段階での、鋼板表面における集合組織粒の方位を、Electron Scattering Pattern を用いて各々 10000個測定した。それらのデータを解析し、ゴス方位と方位差角20〜40度である結晶粒の存在頻度(以下、「P(Goss)」と定義する。)、ゴス方位を板面法線方向を軸として5度回転させた方位と方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)(以下、「P(5) 」と定義する。)、及びゴス方位粒を板面法線方向を軸として7.5 度回転させた方位と方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)(以下、「P(7.5) 」と定義する。)をそれぞれ計算した。これらの値を用い下式で定義されるK値と磁束密度(B8)の関係をプロット結果を図1にグラフで示す。
K=P(Goss)−{P(5) +P(7.5) }/2
【0013】
図1から明らかなように、K値が0.7 %以上の時に著しく高い磁束密度が得られている。K値が1%以上であると更に安定して高磁束密度を得ることができる。すなわち、集合組織から定まるK値を0.7 %以上を満足するように制御された一次再結晶焼鈍板を用いることにより、磁束密度の著しく高い一方向性電磁鋼板を製造することができることが判明した。
【0014】
このようにK値を0.7 %以上とするように制御する方法としては、材料成分、スラブ加熱温度、熱延板焼鈍及び中間焼鈍条件(特に均熱温度と冷却速度)、冷間圧延条件(特に圧下率と圧延温度及び時効処理条件)、一次再結晶条件等の調整が挙げられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
一次再結晶粒の集合組織から定まるK値を0.7 %以上を満足させることにより著しく高い磁束密度の方向性電磁鋼板が得られる理由については必ずしも明らかではないが、発明者らは以下のように考えている。
発明者は、二次再結晶における不純物の役割について基礎的な調査を行った結果、粒界に存在する析出物の粗大化速度が粒界の方位差によって異なることを見い出した。すなわち、方位差角が20〜40度程度である粒界は、C.G.Dunnらによる実験データ(AIME Transaction 188巻(1949) 368頁)によれば、粒界エネルギーの高い粒界に対応している。粒界エネルギーの高い粒界ほど、粒界拡散が速く析出物粗大化速度が大きいものと考えられる。方位差角20〜40度の粒界上の析出物は最終仕上焼鈍時に他の粒界に比べて早く消失するために、析出物によるピン止め効果が失われる。その結果、方位差20〜40度の粒界は移動できるようになる。そのため、20〜40度の方位差となる粒の存在頻度の高い粒方位の粒ほど二次再結晶しやすいものと考えられる。電磁鋼板の一次再結晶焼鈍板においては多くの場合、ゴス方位が最も高い、方位差20〜40度の結晶粒の存在頻度を持つが、その集積度は近傍の方位と比較して、ゴス方位に対する方位差が20〜40度となる粒の頻度が高ければ高いほど、二次再結晶粒のゴス方位への集積度は向上するものと考えられる。実際の二次再結晶粒にしばしば観察されるゴス方位からの変位角は、板厚方向、すなわち板面の法線方向を軸として5〜7.5 度回転させた方位が多い。そのためゴス方位とそれらのゴス方位からずれた方位について方位差角20〜40度である粒の存在頻度から計算されるK値と磁束密度との高い相関が得られたものと考えられる。
【0016】
K値の計算は、Electron Back Scattering Pattern(EBSP)あるいはElectron Channeling Pattern (ECP)等を用いて一次再結晶焼鈍板の粒方位を測定した結果から求めることができる。その他の方法として、X線回折により極点図を測定し、その結果から方位分布関数(ODF)を計算し、そのデータから各方位の体積分率を計算して求めることもできる。各方位の体積分率を求める方法としてはベクトル法も用いることができる。
【0017】
次にこの発明の構成要件の限定理由について述べる
は、スラブ段階では 0.075 wt %以下であればよいが、脱炭・一次再結晶焼鈍後の段階では磁気時効を防ぐために0.0030wt%以下に低減しなければならい。Siは、含有させることにより電気抵抗を増大させるため、鉄損の低減のために2.0wt%以上が必要であり、また8.0wt%を超える多量の含有では磁束密度が低下すること及び加工性が著しく劣化することから、2.0〜8.0wt%に制限される。Mn、S及びSeは、二次再結晶を生じさせるためのインヒビター形成元素として含有させる。Mn量が、0.05wt%未満であると析出物の形成量が不足し、多すぎると分散状態が悪化するため0.05〜0.15wt%の範囲に限定される。S及びSeは、MnS又はMnSeを析出させるために、単独及び併用の両方の場合において0.01〜0.04wt%が好適である。
【0018】
上記した硫化物、セレン化物系インヒビターの他に、窒化物系インヒビターを併用させて、磁気特性の改善を図ることができる。この窒化物系インヒビターとしては代表例としてAlN を使用できる。AlN は二次再結晶前に微細に分散し、一次再結晶粒の成長に対し強い抑制作用を有する。このために酸可溶性Al及びNはそれぞれ酸可溶性Al:0.0050〜0.040 wt%、N:0.0010〜0.0150wt%が必要である。これらの範囲を超えると析出物が粗大化して抑制力が減少し、それ未満だとAlN の量として不十分となる。Alは、Nb, B,V,Ti等の別の窒化物生成元素と代替又は併用することができる。好適な分散状態を実現し良好な磁気特性を得るためには、Nbは0.01〜0.40wt%、Bは0.002 〜0.02wt%、Vは0.01〜0.30wt%、Tiは0.01〜0.40%wt%の範囲での添加が有効である。
【0019】
また、インヒビター補強成分であるSbを添加することにより更に磁気特性が良好な材料を得ることができる。Sbの添加によりSbが粒界に偏析し、仕上焼鈍中に一次粒成長の抑制力を補うことにより磁気特性が更に改善させるものと考えられる。ただし、多すぎると加工が困難になるためSb量は0.005 〜0.20wt%の範囲とすることが必要である。Sbの他に、Cu:0.02〜0.20wt%、Sn:0.02〜0.30wt%、Ni:0.02〜0.20wt%及びMo:0.01〜0.05wt%を単独で又は複合して添加することも磁気特性を改善する上で好ましい。
【0020】
一次再結晶集合組織から求められるK値は、0.7 %未満であると良好な磁束密度が得られないので、K値の下限を0.7 %以上とし、好ましくは1.0 %以上となるように製造条件を制御する必要がある。
なお、一次再結晶焼鈍後の工程については、とくに制限はなく、常法に従って行えばよい。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
C:0.075 wt%、Si:3.30wt%、Mn:0.072 wt%、Se:0.025 wt%、sol.Al:0.020 wt%、N:0.0085wt%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなるスラブを連続鋳造法にて製造した。このスラブを1430℃で30分加熱し熱間圧延にて2.5 mmに仕上げた。次いで熱延板焼鈍を、熱延板焼鈍温度と冷却速度を表1に示すように変更して種々の条件にて行った。次いで冷間圧延を、表1に示される圧延温度で行って0.34mmの最終板厚に仕上げた。この冷間圧延途中の板厚0.60mmの時に表1に表わされる温度で2分間均熱する時効処理を行った。
次いで水素75%、窒素25%、露点60℃の雰囲気で830 ℃で均熱120 秒の一次再結晶焼鈍を兼ねる脱炭焼鈍を行い、C量を0.0020%に低減した。その後、MgO を焼鈍分離剤として塗布してから、仕上焼鈍を行った。この仕上焼鈍においては窒素中で25℃/時間の昇温速度で1200℃まで加熱し、水素中で20時間の均熱の純化焼鈍を行った。次いで窒素雰囲気で800 ℃,2時間の歪取焼鈍を行った。
【0022】
かくして得られた方向性電磁鋼板につき、磁束密度B8 を測定した。また、上記工程中における一次再結晶焼鈍を終えた段階での、表面の組織粒の方位を、Electron Scattering Pattern を用て 10000個測定した。それらのデータを解析しK値を求めた。方向性電磁鋼板の磁束密度及びK値を、表1に併記する。
【0023】
【表1】
Figure 0004075083
【0024】
(実施例2)
表2に表わされる種々の成分を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなるスラブを連続鋳造法にて製造した。このスラブを1430℃で30分加熱し、熱間圧延にて2.2 mmに仕上げた。次いで熱延板焼鈍を1100℃で60秒行ったのち、700 〜400 ℃の範囲を50℃/s の冷却速度で急冷した。しかる後、常温の冷間圧延で1.8 mmに仕上げたのち、中間焼鈍を1100℃,60秒で行い700 〜400 ℃の範囲を60℃/s の冷却速度で急冷した。次いで0.70mmまで常温の冷間圧延で仕上げたのち、150 ℃,2時間の時効処理を行った。次いで圧延温度220 ℃で0.22mmの最終板厚に仕上げた。
次いで水素75%、窒素25%、露点60℃の雰囲気で830 ℃で均熱120 秒の一次再結晶焼鈍を兼ねる脱炭焼鈍を行い、Cを0.0020%に低減した。その後、MgO を焼鈍分離剤として塗布してから、仕上焼鈍を行った。この仕上焼鈍においては窒素中25℃/時間の昇温速度で1200℃まで加熱し、水素中で20時間の均熱の純化を行った。次いで窒素雰囲気で800 ℃,2時間の歪取焼鈍を行った。
【0025】
かくして得られた方向性電磁鋼板につき、磁束密度B8 と鉄損W17/50 を測定した値を表2に示す。また、上記工程中、一次再結晶焼鈍を終えた段階において、(110)、(200)及び(211)の極点図を反射法によるX線回折で作成した。かかる極点図データを用いて方位分布関数を計算で求め、方位分布関数より各方位の体積分率を計算して、それらのデータを解析しK値を求めた。このK値も表2に示す。表2で示される成分系についても、0.7 %以上のK値が得られており、その場合に良好な磁気特性が得られている。
【0026】
【表2】
Figure 0004075083
【0027】
【発明の効果】
この発明の一次再結晶焼鈍板は、製造条件に制御して一次再結晶集合組織の解析から求められるK値を0.7 %以上とすることにより、磁束密度の著しく高い方向性電磁鋼板を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次再結晶焼鈍板のK値と方向性電磁鋼板の磁束密度との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. C:0.075 wt%以下、
    Si:2.0 〜8.0 wt%、
    Mn:0.05〜0.15wt%、
    S及びSeの1種又は2種:0.01〜0.04wt%、
    N:0.0010〜0.0150wt%を含むとともに、
    窒化物形成元素として、
    酸可溶性Al:0.0050〜0.040 wt%、
    Nb:0.01〜0.40wt%、
    B:0.002 〜0.02wt%、
    V:0.01〜0.30wt%
    Ti:0.01〜0.40wt%
    の少なくとも一種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるスラブを、加熱後、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍後、中間焼鈍を挟む冷間圧延を施して最終板厚としたのち、一次再結晶焼鈍ついで仕上焼鈍を施すことからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記一次再結晶焼鈍後の鋼板段階において、下記式で定義されるK値が0.7 %以上となるように、材料成分、スラブ加熱温度、熱延板焼鈍の均熱温度および冷却速度、中間焼鈍の均熱温度および冷却速度、冷間圧延の圧下率、圧延温度および時効温度ならびに一次再結晶焼鈍の均熱温度の条件を定め、その条件で製造することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    K=P(Goss)−{P(5) +P(7.5) }/2
    ここに、
    P(Goss):ゴス方位{110}〈001〉粒に対する方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)、
    P(5) :ゴス方位粒を板面法線方向を軸として5度回転させた方位に対する方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)、
    P(7.5) :ゴス方位粒を板面法線方向を軸として7.5 度回転させた方位に対する方位差角が20〜40度である一次再結晶粒の存在頻度(%)
  2. 請求項1において、スラブが、さらに
    Sb:0.005 〜0.20%、
    Cu:0.02〜0.20%、
    Sn:0.02〜0.30%、
    Ni:0.02〜0.20%及び
    Mo:0.01〜0.05%
    のうち少なくとも一種を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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