JP4074910B2 - 床材の現場施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冬期の低温低湿条件下での使用時の初期粘着力発現性に優れ、且つ、夏期の高温高湿条件下での使用時の貼付可能時間が長い1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤、特に建築現場にて床材を下地材に施工する場合に適した接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、床材を下地材に施工する際に使用される接着剤として、2液配合型のエポキシ樹脂系接着剤に代わり、2液配合の手間が不要で、且つ、エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤として使用されるアミンのようなかぶれの問題が少ない1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤が主流になりつつある。1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤の多くは、活性NCO基と空気中や基材中の水分との反応により硬化する「湿気硬化型」である。活性NCO基と空気中や基材中の水分との反応は、温度や湿度に大きく影響される為、冬期等の低温低湿条件下では反応促進剤を多量に添加し初期粘着力発現性を付与する必要があり、逆に、夏期等の高温高湿条件下では反応促進剤の添加量の低減、若しくは未添加により高温高湿条件下での貼付可能時間を確保する必要がある。しかし、このような対処方法では、冬期施工用配合は夏場の貼付可能時間が短く、逆に、夏期施工用配合は冬期の初期粘着力発現性が遅いという問題が発生してしまい、そのため、冬期施工用配合と夏期施工用配合との切り替えの手間が生じていた。
【0003】
かかる問題を解決するために幾つかの提案がなされている。例えば、特開平9−235540号公報には、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−トを使用した1液反応型ウレタン樹脂とアミン系触媒を使用して、初期粘着力発現性と貼付可能時間の施工環境への依存性を低減する手法が開示されている。この組成物により、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト単独使用時よりも、初期粘着力発現性と貼付可能時間の施工環境への依存性は低減可能であるものの不充分であり、冬期と夏期による反応促進剤量の増減の問題、即ち、冬期施工用配合と夏期施工用配合との切り替えの問題は解決されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、初期粘着力発現性、及び、貼付可能時間の施工環境への依存度が低減され、冬期と夏期で接着剤の配合組成の切り替えが不必要となる、即ち、通年使用が可能な1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリウレタン樹脂(A)と、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(B)、及び、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分とする1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤により、初期粘着力発現性、及び、貼付可能時間の施工環境への依存度が低減され、冬期と夏期で接着剤の配合組成の切り替えが不必要となる、即ち、通年使用が可能な1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤を提供出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に活性NCO基を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ、イソシアヌレ−トタイプ、2官能プレポリマータイプの中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、ポリウレタン樹脂(A)の活性NCO基含有量とポリイソシアネ−ト(B)の活性NCO基含有量が(A) NCO /(B) NCO =75/25〜50/50重量比であり、3級アミン型反応促進剤(C)の使用量がポリウレタン樹脂(A)とポリイソシアネ−ト(B)の樹脂分の合計重量に対して1.0〜3.0重量%であり、3級アミン型反応促進剤(C)がビス(2−ジモルホリノエチル)エ−テルである1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤を建築現場の下地材へ塗布し、ついでその上に床材を貼ることを特徴とする床材の現場施工方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
次いで、本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。
【0008】
本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に未反応イソシアネ−ト基(以下、活性NCO基と記載)を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ(下記構造式[1])、イソシアヌレ−トタイプ(下記構造式[2])、2官能プレポリマータイプ(下記構造式[3])の中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する。
【0009】
下記構造式[1]〜[3]において、Rは−(CH2)6−であり、また、R'は炭素数が2〜300の直鎖又は分岐のアルキル鎖から選ばれるアルキル鎖である。
【0010】
【化4】
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
本発明で使用するポリウレタン樹脂(A)は、活性NCO基を分子内に有する化合物であり、ジフェニルメタンジイソシアネ−トと、NCO基と反応可能な活性水素基(以下、OH基と記載)を含有する化合物とをNCO基/OH基当量比が1.0を越えるように反応させて得られる、分子内にウレタン結合基、ジフェニルメタンジイソシアネ−トの未反応NCO基を有するポリウレタン樹脂である。
【0014】
本発明で使用するジフェニルメタンジイソシアネ−トとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(以下、a−1と略す)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(以下、a−2と略す)等の分子内にNCO基を2個有するピュア−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(P−MDI)、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネ−ト(L−MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ−ト(C−MDI)から選択される1種、又は、2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
本発明で使用するNCO基と反応可能な活性水素基、即ち、OH基を含有する化合物とは、ポリエ−テル系ポリオ−ル、ポリエステル系ポリオ−ル、その他のポリマ−ポリオ−ル等から選択される少なくとも1種以上からなるポリオ−ルである。
【0016】
前記ポリエ−テル系ポリオ−ルとしては、分子内に活性水素基を2個以上有する化合物(例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ビスフェノ−ルA等のジオ−ル類;グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、グルコ−ス、ソルビト−ル、シュ−クロ−ズ等の多価アルコ−ル類;エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等)の少なくとも1種の存在下に、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の少なくとも1種から選ばれるアルキレンオキサイドを開環重合させて得られるポリオ−ル等が挙げられる。
【0017】
また、前記ポリエステル系ポリオ−ルとしては、多価アルコ−ル(例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ビスフェノ−ルA、シクロヘキサンジメタノ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等)から選ばれる少なくとも1種と、多塩基酸(例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、ダイマ−酸、水添ダイマ−酸等)から選ばれる少なくとも1種との縮合重合体、ラクトン(例えば、カプロラクトン、バレロラクトン等)の開環重合体等が挙げられる。
【0018】
更に、前記その他のポリマ−ポリオ−ルとしては、例えば、ポリカ−ボネ−トポリオ−ル、ポリブタジエンポリオ−ル、水素添加されたポリブタジエンポリオ−ル、アクリルポリオ−ル等が挙げられる。
【0019】
本発明においては、鎖伸長剤として、分子内に活性水素基を2個以上有する低分子化合物(例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ビスフェノ−ルA等のジオ−ル類;グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、グルコ−ス、ソルビト−ル、シュ−クロ−ズ等の多価アルコ−ル類;エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等)を使用してもよい。
【0020】
更に、分子内にNCO基を2個以上有するポリイソシアネ−ト(例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソアシアネ−ト、水添キシリレンジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト等)を、NCO基/OH基当量比=1.0未満で使用してもよい。
【0021】
本発明で使用するポリイソシアネ−ト(B)とは、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレ−トタイプ、ビュウレットタイプ、2官能プレポリマータイプを云い、それぞれ前記構造式[1]、[2]、及び[3]で表される。本発明においては、これら3種のポリイソシアネートを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
ポリイソシアネ−ト(B)の市販品としては、例えば、デュラネ−ト24A−100(ビュウレットタイプ)、デュラネ−トTPA−100、デュラネ−トTHA−100(イソシアヌレ−トタイプ)、デュラネ−トD−101、デュラネ−トD−201(2官能プレポリマータイプ)(以上、旭化成工業株式会社製)、コロネ−トEH(イソシアヌレ−トタイプ)(以上、日本ポリウレタン工業株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を含有することが好ましい。
【0024】
本発明で使用するモルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)としては、ビス(2−ジモルホリノエチル)エ−テルが挙げられる。
【0025】
本発明で使用するポリウレタン樹脂(A)の製造で用いるジフェニルメタンジイソシアネートは、特に限定されるものではなく、異性体の混合物であってもよく、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(a−2)との混合物である。
【0026】
本発明では、上記の4,4’置換体(a−1)と2,4’置換体(a−2)との混合比は、90/10〜40/60重量比であることが好ましい。(a−1)と(a−2)がかかる混合比であれば、初期粘着力発現性と貼付可能時間のバランスが良好であり、好ましい。
【0027】
本発明で使用するポリイソシアネ−ト(B)の使用量は、ポリウレタン樹脂(A)の活性NCO基含有量とポリイソシアネ−ト(B)の活性NCO基含有量との比が、75/25〜50/50重量比である。かかる範囲の使用量であれば、初期粘着力発現性と貼付可能時間の施行環境への依存性(即ち、温度湿度に対する依存性)が少なくなり、好ましい。
【0028】
本発明で使用する3級アミン型反応促進剤(C)の使用量は、ポリウレタン樹脂(A)とポリイソシアネ−ト(B)の樹脂分の合計重量に対して、1.0〜3.0重量%である。3級アミン型反応促進剤(C)の使用量がかかる範囲であれば、初期粘着力発現性と貼付可能時間の施行環境への依存性が少なくなり、好ましい。
【0029】
本発明の1液反応型ウレタン樹脂系接着剤は、特に限定されるものではないが、好ましくは、建築施工において床材と下地材の接着に使用する接着剤と好適である。
【0030】
本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に活性NCO基を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ、イソシアヌレ−トタイプ、2官能プレポリマータイプの中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、該ポリウレタン樹脂(A)の製造に用いる原料となるジフェニルメタンジイソシアネ-トが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−2)との混合物であることを特徴とし、該接着剤は、特に、建築現場施工において、床材と下地材の接着に好適に使用することが出来る。
【0031】
また、本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に活性NCO基を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ、イソシアヌレ−トタイプ、2官能プレポリマータイプの中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、▲1▼ポリウレタン樹脂(A)の製造に用いる原料となるジフェニルメタンジイソシアネ-トが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−2)との混合物であり、▲2▼4,4’置換体(a−1)と2,4’置換体(a−2)の混合比が90/10〜40/60重量比であることを特徴とし、該接着剤は、特に、建築現場施工において、床材と下地材の接着に好適に使用することが出来る。
【0032】
更に、本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に活性NCO基を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ、イソシアヌレ−トタイプ、2官能プレポリマータイプの中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、▲1▼ポリウレタン樹脂(A)の製造に用いる原料となるジフェニルメタンジイソシアネ-トが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−2)との混合物であり、▲2▼4,4’置換体(a−1)と2,4’置換体(a−2)の混合比が90/10〜40/60重量比であり、▲3▼ポリウレタン樹脂(A)の活性NCO基含有量とポリイソシアネ−ト(B)の活性NCO基含有量が(A)NCO/(B)NCO=90/10〜50/50重量比であることを特徴とし、該接着剤は、特に、建築現場施工において、床材と下地材の接着に好適に使用することが出来る。
【0033】
また、本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に活性NCO基を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ、イソシアヌレ−トタイプ、2官能プレポリマータイプの中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、▲1▼ポリウレタン樹脂(A)の製造に用いる原料となるジフェニルメタンジイソシアネ-トが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−2)との混合物であり、▲2▼4,4’置換体(a−1)と2,4’置換体(a−2)の混合比が90/10〜40/60重量比であり、▲3▼ポリウレタン樹脂(A)の活性NCO基含有量とポリイソシアネ−ト(B)の活性NCO基含有量が(A)NCO/(B)NCO=90/10〜50/50重量比であり、▲4▼3級アミン型反応促進剤(C)の使用量がポリウレタン樹脂(A)とポリイソシアネ−ト(B)の樹脂分の合計重量に対して0.5〜5.0重量%であることを特徴とし、該接着剤は、特に、建築現場施工において、床材と下地材の接着に好適に使用することが出来る。
【0034】
本発明の接着剤には、必要に応じて、例えば、希釈剤、充填材、チキソトロピー付与剤(揺変性付与剤)、粘着性付与剤、添加剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲で添加することが出来る。
【0035】
本発明の接着剤に使用可能な希釈剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素等の溶剤や、ジオクチルフタレ−ト、ジブチルフタレ−ト、ジノニルフタレ−ト、ジオクチルアジペ−ト、ジブチルアジペ−ト、ジノニルアジペ−ト等の可塑剤などが挙げられる。
【0036】
また、充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、クレ−、タルク、酸化チタン、有機バル−ン、無機バル−ン、ベントナイト等が使用出来る。
【0037】
また、チキソトロピー付与剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィン、樹脂酸、界面活性剤、ポリアクリル酸等で表面処理された充填材、ポリ塩化ビニルパウダ−、水添ヒマシ油、微粉末シリカ、有機ベントナイト、セピオライト等が挙げられる。
【0038】
また、粘着付与剤としては、例えば、ロジンエステル系、テルペンフェノ−ル系等が挙げられる。
【0039】
更に、添加剤としては、例えば、金属系の反応促進剤、4−パラトルエンスルフォニルイソシアネ−ト等の水分除去剤、生石灰、消石灰、ゼオライト、モリキュラ−シ−ブ等の吸着剤、シランカップリング剤等の接着性付与剤等が挙げられる。
【0040】
本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤は、初期粘着力発現性、及び、貼付可能時間の施工環境への依存度が低減され、冬期と夏期で接着剤の配合組成の切り替えが不必要となる、即ち、通年使用が可能な1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、例えば、建築施工環境に関係なく、塗布後60分以内に初期粘着力を発現し、初期粘着力発現後の貼付可能時間を20分以上有するため、建築現場にて床材を下地材に施工する接着剤として好適である。
【0041】
尚、本発明の態様は、上述したように、ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に未反応イソシアネ−ト基(以下、活性NCO基と記載)を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ(下記構造式[1])、イソシアヌレートタイプ(下記構造式[2])、2官能プレポリマータイプ(下記構造式[3])の中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有することを特徴とする1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤にかかるものである。
【0042】
(下記構造式[1]〜[3]において、Rは−(CH2)6−であり、また、R'は炭素数が2〜300の直鎖又は分岐のアルキル鎖から選ばれるアルキル鎖である。)
【0043】
【化7】
【0044】
【化8】
【0045】
【化9】
【0046】
本発明の他の態様の一つとしては、ポリウレタン樹脂(A)の製造に用いる原料となるジフェニルメタンジイソシアネ-トが、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−2)との混合物である上記の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤にかかるものである。
【0047】
本発明の他の態様の一つとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−1)と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(a−2)の混合比が、90/10〜40/60重量比である上記の各1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤にかかるものである。
【0059】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。本発明で行った合成方法、及び、評価方法について以下に述べる。
【0060】
《合成例1》ポリウレタン樹脂1の合成
清浄なフラスコに数平均分子量2000のポリプロピレンエ−テルジオ−ル900.00gと、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ルアジペ−トより得られるポリエステルジオ−ル(数平均分子量2000のもの)100.00gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト375.39g(NCO基/OH基=3.00当量比に相当)を仕込み、更に、窒素雰囲気下、攪拌しながら樹脂温度70〜90℃で、10時間反応させ、NCO重量%が6.11%のウレタン樹脂1を得た。
【0061】
《合成例2》ポリウレタン樹脂2の合成
清浄なフラスコに数平均分子量2000のポリプロピレンエ−テルジオ−ル900.00gと、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ルアジペ−トより得られるポリエステルジオ−ル(数平均分子量2000のもの)100.00gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−トと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−トの50/50重量比の混合物を375.39g(NCO基/OH基=3.00当量比に相当)になるように仕込み、更に、窒素雰囲気下で攪拌しながら樹脂温度70〜90℃で、10時間反応させ、NCO重量%が6.11%のウレタン樹脂2を得た。
【0062】
《実施例1〜9》及び《比較例1〜5》
密閉型プラネタリ−ミキサ−中に、表面未処理重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、NS#200)400.00g、表面処理軽質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、白艶華CCR)100.00g、及び、ジオクチルフタレ−ト(略称DOP)250.00gを仕込み、混合物温度が110〜130℃になるように設定し、約8kPaの減圧下で脱水し、混合物の水分を0.05重量%以下に調整する。次いで、50℃以下まで冷却し、4−パラトルエンスルフォニルイソシアネ−トを10.00g加え、均一になるまで混合する。更に、表1、表2、及び表3に示す通り、ポリウレタン樹脂(A)、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)、及び3級アミン型反応促進剤(C)を所定量仕込み、均一になるまで混合した後、約8kPaの減圧下で脱泡して、1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤を得た。尚、仕込み、混合、取り出しは湿気の混入を防ぐため、窒素雰囲気下で実施した。本発明の1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤の評価結果を実施例として表1及び表2に、比較例を表3に示す。
【0063】
尚、表1〜3の実施例又は比較例に用いたポリイソシアネート(B)の種類は、デュラネ−ト24A−100がビュウレットタイプであり、デュラネ−トTPA−100がイソシアヌレ−トタイプであり、デュラネ−トD−101が2官能プレポリマータイプである。
【0064】
[初期粘着力発現性の評価方法]
下地材(長さ20cm×幅10cm、厚み5mm)に接着剤を櫛目ゴテにより塗布する。塗布後10分毎に床材(長さ12.5cm×幅25mm、厚み3mm)を接着面積が長さ10cm×幅25mmになる様に約50N/25mm×2往復の線圧で圧締し、即座に荷重約200gのせん断クリ−プを測定する(加重は床材の長さ方向)。せん断クリ−プ測定開始30秒後のズレ長さが50mm以下となる時間を初期粘着力発現時間(単位;分)とし、初期粘着力発現性の評価を行った。
【0065】
[貼付可能時間の評価方法]
下地材(長さ20cm×幅10cm、厚み5mm)に接着剤を櫛目ゴテにより塗布する。塗布後10分毎に床材(長さ12.5cm×幅25mm、厚み3mm)を接着面積が長さ10cm×幅25mmになる様に約50N/25mm×2往復の線圧で圧締し、圧締30秒後に床材を剥がす。接着剤の床材への転着率が50%を保持している時間を貼付可能時間とした。ここで云う「転着率」とは、床材に接着剤が付着する割合を云う。また、「貼付可能時間」とは、床材に接着剤が付着する割合が全接着面積の50%以上の時間を云う。
【0066】
尚、初期粘着力発現性、貼付可能時間の評価には、以下の材料と用具を使用した。また、初期粘着力発現性、貼付可能時間の評価は、環境試験室内で実施し、使用した材料、用具、接着剤は評価する環境下に前もって24時間放置した後に使用した。
下地材 :JIS A 5430に規定するスレ−ト
床材 :JIS A 5705に規定するビニル床タイル
櫛目ゴテ:JIS G 3101に規定するSS330
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、初期粘着力発現性、及び、貼付可能時間の施工環境への依存度が低減され、冬期と夏期で接着剤の配合組成の切り替えが不必要となる、即ち、通年使用が可能な1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤を提供することが出来る。該接着剤は、特に、建築現場施工において、床材と下地材の接着において極めて有用である。
Claims (1)
- ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とするポリウレタン樹脂であり、分子内に活性NCO基を有するポリウレタン樹脂(A)と、ビュウレットタイプ、イソシアヌレ−トタイプ、2官能プレポリマータイプの中から選ばれる少なくとも1種のヘキサメチレンジイソシアネ−ト系ポリイソシアネ−ト(B)と、モルホリン骨格を分子内に有する3級アミン型反応促進剤(C)を必須成分として含有する1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤であり、ポリウレタン樹脂(A)の活性NCO基含有量とポリイソシアネ−ト(B)の活性NCO基含有量が(A) NCO /(B) NCO =75/25〜50/50重量比であり、3級アミン型反応促進剤(C)の使用量がポリウレタン樹脂(A)とポリイソシアネ−ト(B)の樹脂分の合計重量に対して1.0〜3.0重量%であり、3級アミン型反応促進剤(C)がビス(2−ジモルホリノエチル)エ−テルである1液反応型ポリウレタン樹脂系接着剤を建築現場の下地材へ塗布し、ついでその上に床材を貼ることを特徴とする床材の現場施工方法。
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