JP4074788B2 - 閃光アークから保護する電気構成部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の閃光アークから保護する電気構成部材に関する。この構成部材は、柱として構成された絶縁体を有する。第1の電位、例えば高電位になり得る第1通電系が、この絶縁体の頭部に固定されている。第2の電位、例えば接地電位になり得る第2通電システムが、絶縁体の脚部に固定されている。第1通電系及び第2通電系はそれぞれ、1つのアーク電極を有する。この第1通電系及びこの第2通電系自体がそれぞれ、柱の軸線方向に互いにかつ絶縁体の半径方向に間隔をあけて形成された円形の2つの電極部分のうちの1つを有する。両通電系間の望まない放電時に発生する閃光アークが、円形に形成された電極部分の方に向かって発生する。これらの円形の電極部分を流れる電流の磁場の作用下で、ほぼ軸線方向に指向された閃光アークが、回転中に移動し、次いで例えば電流零通過中に消滅する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、上位概念で米国特許発明第 5,903,427号明細書中に記されているような閃光アークから保護する電気構成部材の従来の技術を引用している。この特許公報中に記された閃光アークから保護する電気構造は、柱状の屋外絶縁体によって互いに電気絶縁保持され、かつ異なる電位にある2つの通電系を有する。この各通電系は、むき出しのリングとして形成され、かつ絶縁体の頭部又は絶縁体の脚部の領域内に絶縁体の周りに間隔をあけて敷設された導線部を1本ずつ有する。望まない閃光アークが、高電圧設備内の構成部材の運転の間に−例えば、落雷によって又は切換え過程によって発生すると、この閃光アークが、導線部をアーク電極として含む電流経路に沿って通電される。この閃光アークは、ほぼ軸線方向に指向されていて、かつ周囲方向に沿って敷設されたリング状の両アーク電極間で発生する。アークが、例えば閃光アーク電流の零通過中に消滅するまで、このアークは、電磁力に基づいてアーク電極間で構成部材の絶縁体の周りを回転する。したがって、この構成部材は、閃光アークの浸食と腐食の作用から保護されている。
【0003】
過電圧避雷器として構成された閃光アークから保護する別の電気構成部材が、米国特許発明第 6,018,453号明細書中に記されている。軸線周りに回転させて、例えば電流零通過中に消滅させるため、この構成部材でも、望まない閃光アークが、構成部材の軸線方向に沿って互いに隔てられた2つのアーク電極の方に向かって発生する。先に説明した従来の技術とは違って、この構成部材では、両アーク電極がそれぞれプレートとして形成されている。ほぼ半径方向に指向された多数のスリットが、これらのプレートにそれぞれ形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許請求の範囲で規定されているように、本発明の課題は、閃光アークの浸食と腐食の作用が特に有効に抑制されている冒頭で述べた種類の閃光アークから保護する電気構成部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による構成では、両アーク電極のうちの少なくとも1つのアーク電極が、杯状に形成されていて、構成部材の電流端子に固定された杯状容器底部と、この杯状容器底部に続きかつ絶縁体の軸線の方向にほぼ沿って延在する杯状容器壁部とを有する。杯状容器低部から杯状容器縁部の方に向かって延在し、ほぼ周囲方向に沿って敷設された少なくとも2つの材料打抜部が、この杯状容器壁部内に形成されている。高電圧設備内の本発明の電気構成部材の運転時に発生した閃光アークのこの構成部材の発生地点から外側に杯状容器の縁部への移動が、アーク電極を杯状に形成することによって促進される。杯状壁部内のアーク電流が、ほぼ周囲方向に沿って形成され、スプール状に部分的に重なり合って配置され、かつ材料打抜部仕切られた複数の部分電流導体中で流れるので、ほぼ放射状に指向された強い磁場が、閃光アークの脚点に形成される。この磁場に対して垂直にかつアーク軸線に対して垂直に指向された電気力学的な力が、ほぼ軸線方向に発生した閃光アークに対して作用する。この電気力学的な力は、この閃光アークを構成部材の軸線周りに所望の速さで回転させる。閃光アークは、事実上その閃光アークの強さと位置に関係なくアーク侵食とアーク腐食の危険に曝される本発明の構成部材の領域から遠ざけられ得、消滅され得る。
【0006】
杯状容器としてのアーク電極のこの構造は、閃光アークの安定化に対して非常に重要である。何故なら、アーク脚点が、杯状容器縁部に沿って軸線方向にかつ半径方向に固定されていて、周囲方向に沿って適切に移動し得るからである。アーク電極の材料の損耗を可能な限り少なく保持するため、杯状容器縁部を耐損耗性の材料から形成することが望ましい。
【0007】
両材料打抜部のうちの少なくとも1つの材料打抜部が、スリットとして形成されていて、かつ異なる幅の2つの部分を有するときに、スプールとしての杯状容器壁部の特に有効な構造、及びこれによる閃光アークのとりわけ迅速な回転が実現される。この場合、杯状容器低部に形成されている大きなスリット幅の部分が、周囲方向に沿って敷設されている一方で、この部分に続く小さいスリット幅の2番目の部分が、ほぼ周囲方向に沿ってかつ軸線方向に沿って形成されている。
【0008】
杯状容器壁部が、杯状容器低部に対して 10 °より大きくて 90 °より小さい角度だけ傾けて配置されているときに、閃光アークからの十分に良好な保護が一般に得られる。保護は、 30 °〜 60 °、特に 45 °の傾斜角度によって最適化されている。
【0009】
本発明の構成部材の十分に良好なアーク保護のためには、柱の軸線の方向に延在するアーク電極の高さが、このアーク電極の直径の少なくとも 0.1倍で最高でも 0.5倍であることが重要である。このような形成は、2〜 25mm の壁の厚さの予め形成された材料打抜部を有する円形板を鋳造することによって又は成形することによって、例えば折り曲げることによって実現され得る。
【0010】
一般に本発明の構成では、絶縁体が高く形成されていて、絶縁体を通じて形成された能動部材が設けられている。特に好ましい構成部材は、屋外配管(Freiluftdurchfuehrung )や特に金属酸化物を母材とする能動部材を有する過電圧避雷器である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施の形態に基づいて詳しく説明する。
【0012】
図中では、同じ部材は、同じ符号で示されている。図1中に示された過電圧避雷器は、柱状に形成され、例えばエポキシ,シリコン,セラミック又は磁器を母材とする、例えば重合体から作られた屋外絶縁体1を有する。この絶縁体は、中空に形成されていて、かつ軸線2(柱軸線)に沿って配置された図からは分からない、特に亜鉛酸化物のような金属酸化物を母材とする少なくとも1つの非線形抵抗素子を有する能動部材を有する。
【0013】
第1の電位、例えば高電位になり得る第1通電系が、絶縁体の頭部に設けられている。この第1通電系は、能動部材の頭部の端部に導電的に接続されていて、かつ高電圧線に接続可能な電流端子4と杯状に形成されたアーク電極4とを有する。このアーク電極4は、絶縁体の脚部に向かって下方に開口して軸線2に対して同心状に指向されている。このアーク電極4は、上方が密閉された覆いフード5によって同心状に包囲されている。第2の電位、例えば接地電位になり得る第2の通電システムが、絶縁体の脚部に設けられている。この第2通電系は、能動部材の脚の端部に導電的に接続されていて、かつ接地線に接続可能な電流端子6と杯状に形成されたアーク電極7とを有する。このアーク電極7は、絶縁体の脚部に向かって上方に開口して軸線2に対して同心状に指向されている。このアーク電極7は、上方が密閉された覆いフード8によって同心状に包囲されている。両アーク電極4,7は、良導電性の材料、特に銅又は銅合金から成る。アーク電極4の下方を向いている縁部9又はアーク電極7の上方を向いている縁部10はそれぞれ、耐損耗性の材料、例えば高溶融性の銅- 亜鉛合金,銅- タングステン合金又は銅- クロム合金から作られている。
【0014】
過電圧避雷器は、電流端子6に固定された絶縁体11によって保持されている。両アーク電極4,7は、互いにミラー対称的に配置されている。
【0015】
アーク電極4の構造は、図2,3から分かる。アーク電極7が、杯状容器底部12、及びこの杯状容器底部に続きかつ柱の軸線2の方向にほぼ沿って延在する杯状容器壁部13を有することが図2,3から分かる。杯状容器底部12から杯状容器壁部10にかけて延在し、周囲方向にほぼ沿って配置され、かつスリット14として形成された5つの材料打抜部が、杯状容器壁部13内に形成されている。開口部15が、杯状容器底部12内に軸線2に対して同心状に設けられている。図1中だけに示された電流端子6の一部がこの開口部15に差込まれている。
【0016】
5つのスリット14の各々が、異なる幅の2つの部分16,17を有する。これらの部分16,17のうちの杯状容器底部12に属する部分16が、大きなスリット幅を有し、かつ周囲方向に沿って形成されている。これに対して、この部分16に続いている部分17が、僅かなスリット幅を有し、かつ杯状容器縁部10上のほぼ周囲方向に沿って軸線方向に形成されている。隣合った2つのスリット14が、杯状容器壁部の材料から形成された通電経路によって互いに分離されている。この通電経路18は、隣合った両スリット14間でほぼ軸線方向に形成されていて、一方のスリット14のスリット部分17と他方のスリット14のスリット部分16との間でほぼ周囲方向に沿って杯状容器縁部10まで続く。
【0017】
この過電圧避雷器の作用は、以下のようである:
望まない閃光アークが、高電圧設備内の過電圧避雷器の運転時に能動部材及び/又は絶縁体1沿いの電流端子3と電流端子6との間で発生すると、この閃光アークの複数の脚点(図3参照,この図3では、符号19を付記した両脚点のうちの一方が、閃光アークの供給電流Iと共に示されている)がそれぞれ、この閃光アークに固有の磁場の作用下で両アーク電極4,7のうちの一方に導かれ、杯状容器底部12上でほぼ放射状に外側に移動する。閃光アークのこの脚点19は、最後には杯状容器壁部13内に配置された1つの又は多数の通電経路18を通じて杯状容器縁部10の方へ向かって移動する。杯状容器底部12から杯状容器壁部13に移動するときに、閃光アークを供給する電流I(図3)が、通電経路18の湾曲されて形成された部分内で流れる。閃光アークの脚点に作用する磁場が、供給電流Iを増幅する。これによって、アークを杯状容器縁部10に向かって外側に移動させる電流力も増幅される。通電経路18のほぼ周囲方向に沿って形成された外側の部分内では、アークの脚点の地点の供給電流Iの磁場が、放射状に外側に指向されている。こうして、周囲方向に沿って指向された電流力が閃光アークに作用する。この閃光アークが電流の零通過中に消滅するまで、この電流力は、この閃光アークを回転させる。
【0018】
シリコン,エポキシ,ポリカーボネート又はポリアミドを母材とする特に重合体のような絶縁性の材料から成る両(覆いフード)によって、アーク電極4,7が、例えば動物又は落ちて来る物による接触から保護される。同時にその周辺も、加熱された材料による影響から保護される。この材料は、閃光アークの作用下で場合によっては構成部材から投棄され、少なからぬ燃焼リスクを呈する。それ故に、このように保護された構成部材は、乾燥した草地や藪のような燃焼の危険に曝される草木を有する乾燥地帯で問題なく使用され得る。
【0019】
杯状容器壁部13が、杯状容器底部に対して 30 °〜 60 °の角度、特に約 45 °の角度だけ傾いて配置されていて、かつ、柱軸線2の方向に沿って延在するアーク電極4又は7の高さが、このアーク電極4又は7の直径の少なくとも 0.1倍、最高でも 0.5倍であるときに、アークが特に高い信頼性で絶縁体から離れて外側に移動できることが分かっている。
【0020】
アーク電極4,7内に設けられている材料打抜部は、必ずしもスリット14として形成する必要はなくて、溝として形成してもよい。特定の構成部材では、両アーク電極4又は7のうちの一方だけが、杯状の形をなすことで十分である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2つのアーク電極と2つの断面で示された覆いカバーとを有する本発明の過電圧避雷器として構成された構造部材の側面図である。
【図2】 図1の過電圧避雷器の両アーク電極のうちの1つの側面図である。
【図3】 図2のアーク電極の正面図である。
【符号の説明】
1 絶縁体
2 軸線
3,6 電流端子
4,7 アーク電極
5,8 覆いフード
9,10 杯状容器縁部
11 絶縁体
12 杯状容器底部
13 杯状容器壁部
14 スリット
15 開口部
16,17 スリット部分
18 通電経路
19 閃光アークの垂線の足
I 閃光アークの供給電流

Claims (8)

  1. 柱状に形成された絶縁体(1),絶縁体の頭部に設けられ、第1の電位になり得る第1通電系及び絶縁体の脚部に設けられ、第2電位になり得る第2の通電系を有する閃光アークから保護する電気構成部材であって、この構成部材では、この第1通電系及びこの第2通電系がそれぞれ、第1通電系と第2の通電系との間の放電時に発生する閃光アークを脇へそらす1つのアーク電極(4,7)を有する構成部材において、
    両アーク電極のうちの少なくとも1つのアーク電極(4,7)が、杯状に形成されていて、第1通電系又は第2通電系の電流端子(3,6)に固定された杯状容器底部(12)と、この杯状容器底部(12)に続きかつ絶縁体の軸線(2)の方向にほぼ沿って延在する杯状容器壁部(13)とを有し、杯状容器低部(12)から杯状容器縁部(9,10)の方に向かって延在し、ほぼ周囲方向に沿って敷設された少なくとも2つの材料打抜部が、この杯状容器壁部(13)内に形成されていること、及び
    両材料打抜部のうちの少なくとも1つの材料打抜部が、スリット(14)として形成されていて、かつ異なる幅の2つの部分(16,17)を有し、これらの部分(16,17)のうちの杯状容器低部(12)に形成されている大きなスリット幅の第1部分(16)が、周囲方向に沿って敷設されている一方で、この第1部分(16)に続く小さいスリット幅の第2部分(17)が、ほぼ周囲方向に沿ってかつ軸線方向に沿って形成されていることを特徴とする構成部材。
  2. 杯状容器縁部(9,10)は、耐消耗性の材料から作られていることを特徴とする請求項1に記載の構成部材。
  3. 杯状容器壁部(13)は、杯状容器低部(12)に対して30°〜60°の角度だけ傾いて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構成部材。
  4. 軸線(2)の方向に延在するアーク電極(4,7)の高さが、このアーク電極(4,7)の直径の少なくとも 0.1倍で最高でも 0.5倍であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の構成部材。
  5. アーク電極(4,7)は、予め形成された材料打抜部を有する板を鋳造することによって又は成形することによって形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の構成部材。
  6. 絶縁体(1)は、高く形成されていて、軸線方向に敷設された能動部材有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の構成部材。
  7. 構成部材は、屋外配管として構成されていることを特徴とする請求項に記載の構成部材。
  8. 構成部材は、金属酸化物を母材とする能動部材を有する過電圧避雷器として構成されていることを特徴とする請求項に記載の構成部材。
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