JP4074478B2 - 木質系素材乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系素材乾燥装置、特に、木質系燃料の燃焼により発生する煙で木質系素材を燻して乾燥させるための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
針葉樹や広葉樹等の樹木を伐採して得られた丸太などの木質系素材は、多量の水分を含んでいるため、そのままの状態で所要の形状に裁断等して建材や家具用材として利用するのは困難である。そのため、木質系素材は、通常、乾燥処理を施すことにより商品価値を高め、建材や家具用材として用いられている。
【0003】
ところで、木質系素材の一般的な乾燥方法として、木質系素材をそのまま放置する自然乾燥法が知られている。しかし、自然乾燥法は、3〜5年単位の長期間を要し、しかもその間に木質系素材の積み替えなどの煩雑な作業が必要となることから、木質系素材の効率的な乾燥方法とは言い難い。そこで、自然乾燥法に代わる木質系素材の乾燥方法が種々検討されており、例えば、木質系素材を真空環境下に配置する真空乾燥法や、木質系素材を収容した室内に熱風を吹き込む熱風乾燥法などが提案されている。しかし、これらの乾燥方法は、木質系素材を短時間で乾燥させることができる点において有効であるが、乾燥処理後の木質系素材が割れを生じたり、水分を再吸収して歪やねじれを生じるといった欠点がある。
【0004】
そこで、最近では、木質系素材を収容した処理室内に、木質系の燃料を燃焼させて得られる高温の煙を導入し、当該煙により処理室内の木質系素材を燻して乾燥する燻煙熱処理法が注目されている。この燻煙熱処理法は、煙の温度と、当該煙中に含まれる各種の成分との協働作用により、比較的短時間で木質系素材を乾燥させることができ、しかも、割れや歪が少ない乾燥木質材料を得られるという特徴を有している。
【0005】
このような燻煙熱処理法を実施するための装置として、例えば、特許第2516467号公報や特許第2540100号公報には、乾燥処理する木材(木質系素材の一例)を収容するための木材収容室と、燃焼ガス発生炉と、燃焼ガス発生炉の上部から木材収容室の上部に通じる燃焼ガス供給路と、木材収容室の底部から煙突に通じるガス排出路とを主に備えた木材乾燥装置が記載されている。この木材乾燥装置では、燃焼ガス発生炉において木材屑などを燃焼させ、煙を含む燃焼ガスを発生させる。発生した燃焼ガスは、燃焼ガス供給路を通じて木材収容室の上部に流れ込む。木材収容室内に流れ込んだ燃焼ガスは、木材の間を通過して木材を乾燥させながら木材収容室の底部に向けて流れ、ガス排出路を通じて煙突から排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の木材乾燥装置において、燃焼ガス発生炉において発生した燃焼ガスは、燃焼ガス供給路を通じて木材収容室の上部から木材収容室内に流れ込むことになるため、木材収容室内において均一に行き渡り難い。すなわち、木材収容室内において、燃焼ガスの分布が不均一になる。したがって、木材収容室内に収容された木材は、燃焼ガスにより均等に処理されにくく、乾燥品質が不均一になるおそれがある。より具体的には、木材収容室において処理された木材は、局部的に乾燥処理が不十分であったり、異なる木材間で乾燥品質が異なるおそれがある。特に、この木材乾燥装置は、大量の木材を同時に乾燥処理するために大型化した場合、木材収容室内において燃焼ガスの分布がさらに不均一になり、木材の乾燥品質を均質化するのが極めて困難である。
【0007】
本発明の目的は、木質系燃料の燃焼により発生する煙で木質系素材を燻して乾燥させるに当り、木質系素材の乾燥品質を均質化することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の木質系素材乾燥装置は、木質系燃料の燃焼により発生する煙で木質系素材を燻して乾燥させるためのものであり、木質系燃料を燃焼させるための燃焼室と、燃焼室に隣接して横方向に延びるよう配置された、燃焼室において発生する煙を案内するための煙道と、煙道の上部に配置されかつ底部に煙道に連絡する複数の開口部が形成された、木質系素材を収容するための素材収容室と、煙道を通じて素材収容室内に導入される燃焼室からの煙を素材収容室の外部に排出するための排煙路とを備えている。ここで、煙道は、燃焼室から離れるに従って底部が上方に傾斜している。また、素材収容室の底部に形成された複数の開口部のそれぞれの大きさは、燃焼室に近い位置側のものよりも燃焼室から離れた位置側のものの方が漸次大きくなるよう設定されている。
【0009】
このような本発明の木質系素材乾燥装置において、木質系燃料を燃焼室において燃焼させると、それにより発生する煙が煙道内に供給される。煙道内に供給された煙は、複数の開口部を通じて素材収容室の底部から内部に流入し、素材収容室内に充填される。ここで、複数の開口部のそれぞれの大きさは、燃焼室に近い位置側のものよりも燃焼室から離れた位置側のものの方が漸次大きくなるよう設定されているため、素材収容室は、その底部に設けられた複数の開口部のそれぞれから、燃焼室で発生した煙が概ね均等に流入し、当該煙が概ね均一に充填される。このため、素材収容室内に収容された木質系素材は、燃焼室からの煙により均等に処理され易くなり、乾燥品質が均質化され易くなる。素材収容室内に充填された煙は、排煙路を通じて適宜外部に排出される。
【0010】
なお、この木質系素材乾燥装置において、素材収容室は、例えば、木質系素材を載せるための通気性の棚板を上下方向に多段に有している。また、排煙路は、例えば、素材収容室の上部に設けられている。さらに、排煙路は、例えば、煙の排出量を調節するための流量調節装置を有している。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1および図2(図1のII−II断面図)を参照して、本発明の実施の一形態に係る木質系素材乾燥装置が採用された木質系素材乾燥システムの概略構成を説明する。図において、木質系素材乾燥システム100は、木質系素材乾燥装置200と、木質系素材乾燥装置200において処理された木質系素材を養生させるための養生装置300とを主に備えている。
【0012】
木質系素材乾燥装置200は、図3(図1のIII−III断面図)に示すように、燃焼室210、煙道220、素材収容室230および排煙路240を主に備えている。燃焼室210は、木屑や材木の廃材などの木質系燃料を燃焼させるためのものであり、木質系燃料に着火するための着火バーナー211を有している。また、燃焼室210は、煙道220に連絡する連絡孔212を上部に有しており、また、燃焼用の外気を取り込むための吸気孔213が設けられている。吸気孔213は、吸気量を調節するためのダンパー(図示せず)を備えている。
【0013】
煙道220は、燃焼室210で発生した煙を素材収容室230に案内するためのものであり、燃焼室210に隣接して設けられている。また、煙道220は、燃焼室210の連絡孔212から横方向(概ね水平方向)に延びており、底部221が燃焼室210から離れるに従って上方に傾斜している。
【0014】
素材収容室230は、乾燥処理する木質系素材を収容するための扉231を有しており(図1)、煙道220の上部に配置されている。素材収容室230の底部232は、煙道220と素材収容室230とを連絡するための複数の開口部233を有している。各開口部233は、図4(底部232の平面図)に示すように、素材収容室230の幅方向に互いに平行に延びており、また、大きさが燃焼室210に近い位置側のものよりも、燃焼室210から離れた位置側のものの方が漸次大きくなるよう設定されている。すなわち、複数の開口部233は、燃焼室210から離れるに従って徐々に大きくなるよう設定されている。
【0015】
また、素材収容室230は、乾燥処理する木質系素材を載せるための2枚の棚板234を内部に備えている。各棚板234は、素材収容室230内において水平方向に格子状に架け渡された多数の桟235上に水平に配置されており、上下方向に配列されている。すなわち、棚板234は、素材収容室230内において、上下方向に多段(この実施の形態の場合は2段)に配置されている。ここで、下側の棚板234は、桟235の厚みにより形成される、底部232からの僅かな隙間236を隔てて底部231と平行に配置されている。一方、上側の棚板234は、素材収容室230の高さ方向の概ね中央部に水平に配置されている。ここで用いられる各棚板234は、通気性を有する部材であり、例えば、多数の通気孔を有する板状部材や網状部材である。
【0016】
なお、素材収容室230は、底部232および排煙路240部分を除き、燃焼室210からの煙が外部に漏出しないよう気密に構成されている。また、素材収容室230は、各棚板234上に木質系素材を載せたときに、当該木質系素材と上側の棚板234若しくは素材収容室230の天井との間に空間が形成されるよう十分な高さに設定されている。
【0017】
排煙路240は、素材収容室230内に導入された、燃焼室210からの煙を素材収容室230の外部に排出するためのものであり、素材収容室230の上部に設けられておりかつ集煙路241、主排煙路242および循環路243を主に備えている。集煙路241は、素材収容室230の天井部から上方に突出するよう、天井部の幅方向の中央に設けられており、天井部の長さ方向の全体に延びている。
【0018】
主排煙路242は、集煙路241の長さ方向中央部から養生装置300に向けて直角方向に延びており、素材収容室230からの排煙量を調節するためのダンパー250(流量調節装置の一例)を有している。また、主排煙路242は、養生装置300側が第1分岐路244、第2分岐路245および第3分岐路246の3系統に分岐している。各分岐路244,245,246は、それぞれ煙の流量を調節するためのダンパー247,248,249を有している。
【0019】
循環路243は、集煙路241の燃焼室210側の端部から突出しており、2本の分岐路251に分岐している。各分岐路251は、素材収容室230の幅方向に延びかつ燃焼室210方向に屈曲しており、先端が燃焼室210の底部近傍に連絡している。すなわち、燃焼室210の底部近傍には、分岐路251に連絡する開口部252が設けられている(図3)。また、各分岐路251は、集煙路241からの煙の流量を調節するためのダンパー(図示せず)を内蔵している。
【0020】
養生装置300は、木質系素材乾燥装置200の素材収容室230において同時に処理された木質系素材の全てを収容可能でありかつ素材収容室230と概ね同形状で同容積に形成された養生室310を備えている。養生室310は、図2に示すように、底部の位置が素材収容室230の天井部の高さ位置と同じに、若しくはそれよりも高い位置になるよう配置されており、木質系素材を収容するための扉311を有している(図1)。また、養生室310は、長さ方向の一端側の壁面の底部近傍において、排煙路240の第1分岐路244、第2分岐路245および第3分岐路246が等間隔に並んで連絡している。この結果、素材収容室230と養生室310とは、排煙路240を通じて連絡している。
【0021】
また、養生室310内には、素材収容室230で処理された木質系素材を載せるための2枚の棚板312が配置されている。各棚板312は、養生室310内において水平方向に格子状に架け渡された多数の桟313上に水平に配置されており、上下方向に配列されている。すなわち、棚板312は、養生室310内において、上下方向に多段(この実施の形態の場合は2段)に配置されている。ここで、下側の棚板312は、各分岐路244、245,246の連絡位置よりも上方に配置されている。一方、上側の棚板312は、養生室310の高さ方向の概ね中央部に水平に配置されている。ここで用いられる各棚板312は、素材収容室230において用いられる棚板234と同様のもの、すなわち、通気性を有する部材であり、例えば、多数の通気孔を有する板状部材や網状部材である。
【0022】
さらに、養生室310は、長さ方向の他端側、すなわち、分岐路244、245,246が連絡している側とは反対側の天井部から上方に突出する4本の煙突314を有している。
なお、養生室310は、分岐路244、245,246の連絡部分および煙突314部分を除き、排煙路240から内部に供給される煙が外部に漏出しないよう気密に構成されている。また、養生室310は、各棚板312上に木質系素材を載せたときに、当該木質系素材と上側の棚板312若しくは養生室310の天井との間に空間が形成されるよう十分な高さに設定されている。
【0023】
次に、上述の木質系素材乾燥システム100を用いて木質系素材を乾燥処理する方法を説明する。
先ず、木質系素材乾燥装置200の素材収容室230内に乾燥処理すべき木質系素材400を配置する。ここでは、扉231を開放し、それにより形成される開口部から上側および下側の各棚板234上に多数の木質系素材400を載せる。このようにして木質系素材400を収容した後、扉231を閉鎖して素材収容室230を密閉する。なお、この木質系素材乾燥システム100を用いて乾燥処理可能な木質系素材400は、リグノセルロースから構成される木化植物を伐採して得られる素材であれば特に限定されるものではなく、例えば、樹木を伐採して得られる木材、油やし等のやし類や竹類等の禾本科植物を伐採して得られる生材等である。このような木質系素材400は、自然乾燥法等による乾燥処理の履歴を有するものであってもよい。また、素材収容室230内に収容する木質系素材400は、形状が特に限定されるものではないが、通常は丸太状のものである。
【0024】
次に、燃焼室210内に木質系燃料を配置し、この木質系燃料に着火バーナー211を用いて着火する。これにより、木質系燃料は、吸気孔213から取り込まれる外気により酸素が供給され、燃焼室210内で燃焼する。このような木質系燃料の燃焼の結果発生する高温の煙は、図3に矢印で示すように、連絡孔212を通じて煙道220内に連続的に流入する。そして、煙道220内に流入した煙は、煙道220の底部221が上述のように上方に傾斜しているため、連絡孔212の近傍において滞留しにくく、底部221に案内されながら煙道220の全体に行き渡る。
【0025】
また、煙道220内に流入した煙は、続いて、素材収容室230の底部232に設けられた各開口部233から素材収容室230内に連続的に流入する。ここで、各開口部233は、燃焼室210に近いものよりも燃焼室210から離れた位置側のものの方が大きくなるよう設定されているため、煙道220内の煙は、燃焼室210に近い位置側の開口部233を通過しにくく、燃焼室210から離れた位置側の開口部233を通過しやすい。したがって、各開口部233からは、燃焼室210からの距離には拘わらず、概ね均等に素材収容室230内に煙が流入することになる。この結果、素材収容室230内は、全体的に略均一に燃焼室210からの煙が充満し、また、全体の温度が均一化することになる。
【0026】
因みに、素材収容室230内に充満した高温の煙は、集煙路241により案内されながら主排煙路242内に流入する。そして、主排煙路242内に流入した煙は、ダンパー250により流量が調節されながら、養生装置300に向けて排出される。また、集煙路241内の煙は、一部が循環路243内に流入する。循環路243内に流入した煙は、各分岐路251を通じ、開口部252から燃焼室210内に還流し、再燃焼される。
【0027】
素材収容室230内に収容された各木質系素材400は、素材収容室230内に充満する高温の煙により燻され、乾燥される。すなわち、各木質系素材400は、燻煙熱処理により乾燥される(一次乾燥処理)。ここで、各木質系素材400は、素材収容室230内に均一に煙が充満し、しかも素材収容室230内の温度が全体的に均一化されているため、局部的に乾燥処理されるおそれが少なく、全体的に略均等に乾燥処理される。また、素材収容室230内に収容された各木質系素材400は、同様の理由により、素材収容室230内での配置位置に拘わらず、他の木質系素材400と略均等に乾燥処理される。換言すると、素材収容室230内に収容された木質系素材400は、燃焼室210の近くの位置に配置されたものも、燃焼室210から離れて配置されたものも、略均等に乾燥処理される。すなわち、異なる木質系素材400間において、乾燥品質の不均質化が生じ難い。
【0028】
因みに、この木質系素材乾燥装置200は、素材収容室230を大型化して木質系素材400の収容能力を高めた場合であっても、上述の通り、素材収容室230内に燃焼室210からの煙を均一に充満させることができ、しかも素材収容室230内の温度を全体的に均一化させることができるため、従来の木質系素材乾燥装置とは異なり、木質系素材400間の乾燥品質を均質化することができる。
【0029】
木質系素材乾燥装置200における木質系素材400の上述のような燻煙熱処理において、素材収容室230内の温度、すなわち、木質系素材400の燻煙熱処理時の温度は、通常、100〜300℃に設定するのが好ましく、130〜150℃に設定するのがより好ましい。この温度が100℃未満の場合は、木質系素材400を短時間で効率的に乾燥させるのが困難になる可能性がある。一方、300℃を超える場合は、木質系素材400に乾燥割れや落込みが生じたり、木質系素材400の強度が低下するおそれがある。
【0030】
なお、素材収容室230内の温度は、燃焼室210において吸気孔213のダンパーにより吸気量を調節し、また、主排煙路242においてダンパー250により排煙量を調節すると、制御することができる。
【0031】
また、素材収容室230内における上述の燻煙熱処理は、通常、木質系素材400の含水率(一次乾燥処理後含水率)が、燻煙熱処理前の木質系素材400の含水率(処理前含水率)の20〜40%になるまで実施するのが好ましい。燻煙熱処理時の温度を上述の範囲に設定しながら木質系素材400の一次乾燥処理後含水率をこのように設定した場合、木質系素材400の成長応力を調整して均一化することができ、乾燥過程において生じる反りやねじれなどの歪を抑制しながら木質系素材400を乾燥させることができる。
【0032】
なお、処理前含水率および一次乾燥処理後含水率は、それぞれ次の式(1)および(2)により得られる。式(1)および(2)において、素材重量は、燻煙熱処理前の木質系素材400の重量を意味している。また、式(1)において、全乾重量は、燻煙熱処理前の木質系素材400を105℃の熱風温度環境下で24時間乾燥処理した後の重量を意味している。さらに、式(2)において、処理後重量は、素材収容室230内において、燻煙熱処理した後の木質系素材400の重量を意味している。
【0033】
【数1】
【0034】
次に、木質系素材乾燥装置200において燻煙熱処理された木質系素材400を素材収容室230から取り出し、養生装置300に移す。ここでは、養生室310の扉311を開放し、それにより形成される開口部から上側および下側の各棚板312上に素材収容室230から取り出した木質系素材400を載せる。木質系素材400を収容した後、養生室310は、扉311を閉鎖して密閉する。
【0035】
一方、木質系素材400が取り出された木質系素材乾燥装置200側においては、素材収容室230内に新たな木質系素材400を収容する。そして、新たに収容された木質系素材400に対し、上述の要領により、同様の燻煙熱処理を施す。
【0036】
木質系素材乾燥装置200における新たな木質系素材400の燻煙熱処理時において、素材収容室230から排出される高温の煙は、排煙路240の主排煙路242を移動中に温度が低下し、分岐路244、245,246を通じて養生室310内に流入する。そして、養生室310内に流入した煙は、煙突314から徐々に外部に排出される。これにより、養生室310内は、排煙路240からの煙による気流が通過することになる。この気流は、養生室310の片側から分岐路244、245,246を通じて流入し、養生室310の反対側に設けられた煙突314から排出されるので、養生室310内の全体に概ね均等に行き渡ることになる。また、この気流は、養生室310内を素材収容室230側の内部温度よりも低い温度に全体的に加熱する。この結果、養生室310内に配置された木質系素材400は、素材収容室230内での温度環境よりも低温の温度環境下において、煙の気流により処理され、再び乾燥処理される(二次乾燥処理)。ここで、木質系素材400は、素材収容室230内での燻煙熱処理時に生じた乾燥応力が調整されて均一化され、反りやねじれなどの歪がさらに抑制される。すなわち、木質系素材400は、養生装置300において処理されることにより、乾燥度合いがさらに高まり、同時に、反りやねじれがさらに抑制されて均質になる。
【0037】
なお、養生室310内を通過する気流は、各分岐路244、245,246のダンパー247,248,249を調節して煙の流入量を制御することにより、養生室310内により均一に行き渡らせることができる。また、そのようなダンパー247,248,249の調節により、養生室310内の温度を全体的により均一化させることができる。したがって、養生室310内に収容された木質系素材400は、配置位置に拘わらず、全体的に均質に乾燥処理され得る。
【0038】
養生装置300による木質系素材400の処理は、養生室310内の温度、すなわち、木質系素材400の二次乾燥処理時の温度を60〜90℃に設定して実施するのが好ましく、70〜80℃に設定して実施するのがより好ましい。この温度が60℃未満の場合は、木質系素材400の乾燥度合いが高まりにくくなり、また、一次乾燥処理時に木質系素材400に生じた乾燥応力が均一化されにくくなる可能性がある。一方、90℃を超える場合は、木質系素材400が過乾燥になって新たな乾燥応力が発生し、それが製材時の狂いの原因になるおそれがある。
【0039】
因みに、養生室310内の温度は、通常、素材収容室230からの煙の温度が主排煙路242を移動中に低下しているため、当該煙を養生室310内に導入すると、上述の範囲に設定され得る。
【0040】
また、養生装置300による木質系素材400の処理は、通常、木質系素材400の含水率(二次乾燥処理後含水率)が、燻煙熱処理前の木質系素材400の含水率(上述の処理前含水率)の5〜15%になるまで実施するのが好ましい。二次乾燥処理時の温度を上述の範囲に設定しながら木質系素材400の二次乾燥処理後含水率をこのように設定した場合、木質系素材400に生じた乾燥応力を効果的に調整して均一化することができ、木質系素材400の反りやねじれなどの歪をより効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、二次乾燥処理後含水率は、次の式(3)により得られる。式(3)において、二次処理後重量は、養生室310において処理した後の木質系素材400の重量を意味している。
【0042】
【数2】
【0043】
養生装置300において二次乾燥処理された木質系素材400は、燻煙熱処理のために表面に煤が付着しているので、必要に応じて表面を取り除いた後、適宜裁断して建材や家具用材として用いられる。
【0044】
[他の実施の形態]
(1)上述の実施の形態では、素材収容室230内に棚板234を2段に配置し、木質系素材400を上下方向に2段に重ねて収容できるように構成したが、棚板234を3段以上配置し、木質系素材400を3段以上に重ねて収容できるように構成することもできる。また、棚板234は、必ずしも2段以上の多段に配置する必要はなく、木質系素材400を横方向に並べて収容するように構成することもできる。
【0045】
(2)上述の実施の形態では、燃焼室210内に配置された木質系燃料に着火バーナー211を用いて着火したが、木質系燃料は、燃焼室210内に火種を投入して着火することもできる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の木質系素材乾燥装置は、木質系燃料の燃焼により発生する煙を素材収容室内に概ね均等に流入させることができるので、素材収容室内に収容して処理した木質系素材の乾燥品質を均質化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る木質系素材乾燥装置が採用された木質系素材乾燥システムの概略平面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】前記木質系素材乾燥装置を構成する素材収容室の底部の平面図。
【符号の説明】
200 木質系素材乾燥装置
210 燃焼室
220 煙道
221 底部
230 素材収容室
232 底部
233 開口部
234 棚板
240 排煙路
250 ダンパー
400 木質系素材
Claims (4)
- 木質系燃料の燃焼により発生する煙で木質系素材を燻して乾燥させるための装置であって、
前記木質系燃料を燃焼させるための燃焼室と、
前記燃焼室に隣接して横方向に延びるよう配置された、前記燃焼室において発生する前記煙を案内するための煙道と、
前記煙道の上部に配置されかつ底部に前記煙道に連絡する複数の開口部が形成された、前記木質系素材を収容するための素材収容室と、
前記煙道を通じて前記素材収容室内に導入される前記燃焼室からの前記煙を前記素材収容室の外部に排出するための排煙路とを備え、
前記煙道は、前記燃焼室から離れるに従って底部が上方に傾斜しており、複数の前記開口部のそれぞれの大きさは、前記燃焼室に近い位置側のものよりも前記燃焼室から離れた位置側のものの方が漸次大きくなるよう設定されている、
木質系素材乾燥装置。 - 前記素材収容室は、前記木質系素材を載せるための通気性の棚板を上下方向に多段に有している、請求項1に記載の木質系素材乾燥装置。
- 前記排煙路は、前記素材収容室の上部に設けられている、請求項1または2に記載の木質系素材乾燥装置。
- 前記排煙路は、前記煙の排出量を調節するための流量調節装置を有している、請求項1、2または3に記載の木質系素材乾燥装置。
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