JP4073178B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両においてルームランプの遅延消灯制御を実行する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ルームランプの遅延消灯機能を備えた車両が増加している。これは、車両のドアの開動作或いはキー抜き操作によって車内のルームランプが自動点灯した場合において、その後ドアが閉じられても即座にルームランプを消灯させるのではなく、例えば図3に示すように、ドアの閉動作後に所定の消灯遅延時間Tが経過するまでルームランプを点灯状態に維持し、この消灯遅延時間Tが経過した時点でルームランプを自動消灯させる機能である。このような機能があると、ユーザが車両のドアを開けて車両内に乗り込む乗車時や、エンジンを停止させキーを抜いて降車する際に、ユーザがなんら操作しなくても一定時間だけルームランプが点灯して車内が明るくなるので、ユーザの乗降動作や乗降時のなんらかの作業(例えば、荷物の出し入れ等)が行いやすくなるとともに、高級感を演出することが可能となる。
ところで、上記消灯遅延時間Tは、乗車時の利便性を考慮すると比較的長く設定すべきであるのに対して、降車時のことを考慮すると短く設定すべきである。降車後にドアを閉めた時(特に、ドアを閉めて施錠し車両から離れる時)に、ルームランプが長時間消灯しないと、ドアが完全に閉まっているのか否か(或いは施錠されているのか否か)がユーザにとって分かり難く、また本当にルームランプが自動消灯するのか否かユーザが不安になる恐れがあるからである。
【0003】
このため、ドアロック機構の作動状態(施錠状態か解錠状態か)を検出するドアロックスイッチ(ドアロックセンサ)が装着されている車両(即ち、センタードアロック装着車両)では、ドア閉動作後にドアロック機構の施錠が検出された時点で、上記消灯遅延時間Tを経過していなくても短時間(例えば、1秒)でルームランプを自動消灯してしまう機能(いわゆる短時間消灯機能)を設け、上記消灯遅延時間T(ドア閉動作後にルームランプを消灯させる遅延時間)については、乗車時の利便性を考慮して比較的長い時間(例えば、30秒)に設定している。そして、ドアロックスイッチが装着されていない車両(即ち、センタードアロック非装着車両)では、上記短時間消灯機能が実現不可能なため、降車時の前述の不具合防止を重要視して、上記消灯遅延時間Tを比較的短い時間(例えば、5秒)に設定している。なお、センタードアロック装着車両とは、車室内に設けられたセンタードアロックスイッチによって、各ドアのドアロック機構の動作を一括して操作できる構成の車両で、このような車両には必ずドアロックセンサが設けられるので、上記短時間消灯機能が可能となる。
そして従来では、上述した遅延消灯機能を実現する制御装置として、センタードアロック装着/非装着という車両装備の違いに応じて消灯遅延時間が長短何れかに設定された2種類の制御装置を用意し、これらを車両の生産工場において車種毎に区別して取り付けることで、上述の消灯遅延時間の設定を実現していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、上記従来の車両においては、以下のような問題があった。
即ち、上述したルームランプの遅延消灯機能を実現する制御装置を2種類用意して、センタードアロック装着/非装着という車両装備の違いに対して区別して車両に取り付けなければならないので、車両の生産性やコスト面で不利になるという問題があった。ちなみに、この種の制御装置は、国内外の多様な車種設定に対応して、上述した消灯遅延時間の設定のみならず、その他の仕様の違いによっても多くの種類があるのが現状であり、できるだけ機種を減らすことが重要な課題となっている。
【0005】
なお、上記制御装置を消灯遅延時間の仕様の違いに対して共用化する方法としては、制御装置に消灯遅延時間設定用の専用端子を設け、この専用端子の接続状態(例えば、グランド接続状態又はオープン状態)によって制御装置内の消灯遅延時間の設定が切り替わるようにしておき、例えば生産工場の作業者等が、センタードアロック装着/非装着という車両装備の違いに対して上記専用端子の何れかの状態の配線を選択的に行うようにする方法がある。しかしこの方法は、制御装置のハード構成をコストアップの方向に変更する必要があり、実用的ではない。また、生産工場の作業者等が、センタードアロック装着/非装着という車両装備の違いに対して上記専用端子の接続状態を異なる状態に配線する必要があるため、やはり生産性や生産コストの面で不利である。
そこで本発明は、前述したルームランプの遅延消灯機能を実現する車両の制御装置であって、消灯遅延時間の仕様の違いに対して共用化が可能であり、生産性やコスト面で有利な制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の制御装置は、車両のドア開閉センサから、ドア開閉状態を示すドア開閉信号を入力するためのドア開閉信号入力部と、
車両のドアロックセンサから、車両のドアロック機構の状態を示すロック状態信号を入力するためのロック状態信号入力部と、
車両のルームランプが自動点灯されている状態において、前記ドア開閉信号入力部から入力されるドア開閉信号に基づいて車両ドアの閉動作が検知されると、所定の消灯遅延時間が経過した時点で前記ルームランプを消灯させる遅延消灯制御を実行する制御手段とを備えた車両の制御装置であって、
前記制御手段は、前記ロック状態信号入力部から入力される信号に基づいて、車両に前記ドアロックセンサが装備されていると判定した場合には、前記消灯遅延時間を比較的長い時間に設定し、前記ドアロックセンサが装備されていないと判定した場合には、前記消灯遅延時間を比較的短い時間に設定する機能を有し、前記ドアロックセンサが装備されていると判定され、かつ前記ドア開閉信号に基づいて車両ドアの閉動作が検知された後に前記ロック状態信号に基づいて前記ドアロック機構が施錠されたことが検知されると、前記比較的長い時間に設定された消灯遅延時間を所定の短時間に変更して前記ルームランプを自動消灯するものである。
【0007】
この制御装置によれば、車両にドアロックセンサが装着されているか否か(即ち、センタードアロック装着車両か非装着車両か)が、前記制御手段の処理機能によって自動判定され、消灯遅延時間がこの判定結果に応じて長短何れか好ましい時間に自動的に設定される。このため、消灯遅延時間の仕様の違いに対して制御装置の共用化が可能となり、従来低減することが困難であった制御装置の機種を減らすことが可能となる。またこの制御装置であれば、現行品に対してハード構成を変更する必要がないし(即ち、制御手段の処理内容を変更するだけでよく)、生産工場等において消灯遅延時間の仕様を設定するための作業は全く発生しない。このため、車両の生産性向上やコスト低減に貢献できる。
なお、前記制御手段がドアロックセンサが装備されていると判定した場合には、前述した短時間消灯機能を実行する構成であるので、ドアロックセンサが装備されている車両に対して、前述したルームランプの好ましい遅延消灯機能(乗車時には長い消灯遅延時間で自動消灯が実現され、降車の際にドアを施錠すると短時間で自動消灯されるもの)が実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、車両の制御システムの主要回路構成を示す図である。なお、装置の外観や操作部の機械的構造などは図示省略している。また図1は、センタードアロック装着車両の場合を図示しており、センタードアロック非装着車両の場合には、図に示すセンタドアロックスイッチ41及びドアロックスイッチ42は無い。この制御システムは、車両におけるルームランプの遅延消灯制御と、ドアロック関係の制御とを行う制御装置10を備える。
制御装置10は、CPUを含むマイクロコンピュータよりなる制御回路11、電源回路12、ロック信号入力部13、アンロック信号入力部14、ロック検出信号入力部15(ロック状態信号入力部)、アンロック検出信号入力部16(ロック状態信号入力部)、ドア開閉信号入力部17、ルームランプ駆動部18を有する。
【0009】
ここで、ロック信号入力部13は、車両のセンタドアロックスイッチ41が施錠側に操作されて対応する接点が閉じると、アクティブとなる(この場合、電圧がHレベルからLレベルに変化する)入力ラインである。そして、車両のドアロック機構が解錠状態において、このロック信号入力部13が規定時間以上アクティブになると(即ち、ロック信号が入力されると)、例えばこの制御装置10によってドアロック機構を施錠する制御が実行される。
アンロック信号入力部14は、車両のセンタドアロックスイッチ41が解錠側に操作されて対応する接点が閉じると、アクティブとなる入力ラインである。そして、車両のドアロック機構が施錠状態において、このアンロック信号入力部14が規定時間以上アクティブになると(即ち、アンロック信号が入力されると)、例えばこの制御装置10によってドアロック機構を解錠する制御が実行される。
【0010】
ロック検出信号入力部15は、ドアロック機構の状態を検出するスイッチ(ドアロックスイッチ42)が、施錠状態を検出しているときにアクティブとなる入力ラインであり、アンロック検出信号入力部16は、逆に解錠状態を検出しているときにアクティブとなる入力ラインである。なお、ドアロックスイッチ42には中立状態は当然ないので、ドアロックスイッチ42が装備されていれば、スイッチ操作時の過渡的状態を除いて、これら信号入力部15,16は必ず何れか一方がアクティブとなっている。
また、ドア開閉信号入力部17は、車両ドアの開閉状態を検出するスイッチ(ドアスイッチ43)が、例えば車両ドアの開状態を検出しているときにアクティブとなる入力ラインである。
ルームランプ駆動部18は、制御回路11の制御出力に応じて車両のルームランプ44を駆動するための駆動回路(例えば、トランジスタよりなるもの)である。
【0011】
次に、上記制御システムのルームランプの制御処理内容について説明する。
まず、図示省略したルームランプスイッチ(例えば、車室天井のルームランプ近傍に操作部が設けられたもの)が、オフ位置からオン位置に操作されると、制御回路11は、ルームランプ駆動部18を作動させてルームランプ44を無条件で点灯させ、オン位置に操作されている限り、ルームランプ44を点灯状態に維持する。
また、上記ルームランプスイッチがオート位置に操作された状態では、ドアが開けられたとき、或いはキーが抜かれたときに、制御回路11がルームランプ44を自動点灯させる。そして、こうして自動点灯された後は、遅延消灯機能が働いて、センタードアロック装着/非装着という車両装備の違いに対して異なるタイミングで自動消灯が行われる。
【0012】
即ち、制御回路11は、ロック検出信号入力部15とアンロック検出信号入力部16の両方が非アクティブの場合(ドアロックスイッチ42の両方の接点がオフの場合)には、図2に示すようにセンタードアロック非装着車である(ドアロックスイッチ42等が装備されていない)と判定し、ロック検出信号入力部15とアンロック検出信号入力部16のうちのいずれか一方がアクティブの場合(ドアロックスイッチ42の一方の接点がオンの場合)には、図2に示すようにセンタードアロック装着車である(ドアロックスイッチ42等が装備されている)と判定する処理を、起動中常時行っている。但し、各入力部15,16の状態に変化があっても、所定の切替判定時間が経過してはじめて判定結果を切り替える構成となっており、これにより、例えばドアロックスイッチ42の接点の作動時に一時的にドアロックスイッチ42が装備されていないと誤判定してしまう不具合が防止される。
【0013】
そして、センタードアロック非装着車であると判定している状態では、消灯遅延時間を短い時間T1(例えば、5秒)として遅延消灯制御を行う。例えば図2の左部に示すように、ドアが開けられて閉められたときには、ドアの開動作時点からルームランプ44を自動点灯させ、ドアの閉動作時点から短い消灯遅延時間T1が経過すると、ルームランプ44を自動消灯する。また図示省略しているが、キー抜き操作があったときには、キー抜き操作時点からルームランプ44を自動点灯させ、その後ドアの閉動作があった時点から短い消灯遅延時間T1が経過すると、ルームランプ44を自動消灯する。
【0014】
一方、センタードアロック装着車であると判定している状態では、消灯遅延時間を長い時間T2(例えば、30秒)として遅延消灯制御を行う。例えば図2の中央部に示すように、判定結果がセンタードアロック有りに切り替わった状態で、ドアが開けられて閉められたときには、ドアの開動作時点からルームランプ44を自動点灯させ、ドアの閉動作時点から長い消灯遅延時間T2が経過すると、ルームランプ44を自動消灯する。また図示省略しているが、キー抜き操作があったときには、キー抜き操作時点からルームランプ44を自動点灯させ、その後ドアの閉動作があった時点から長い消灯遅延時間T2が経過すると、ルームランプ44を自動消灯する。但し、ドア閉動作後にドアロック機構が施錠され、ロック検出信号入力部15がアクティブに切り替わると(ドアロックスイッチ42の施錠側の接点がオンになると)、短時間消灯機能が働いて、長い消灯遅延時間T2を経過していなくても短時間T3(例えば、1秒)でルームランプを自動消灯してしまう(図2の右部参照)。
【0015】
以上説明した制御装置10よりなる本例の制御システムでは、車両にドアロックセンサ42が装着されているか否か(即ち、センタードアロック装着車両か非装着車両か)が、制御回路11の処理機能によって自動判定され、消灯遅延時間がこの判定結果に応じて長短何れか好ましい時間に自動的に設定される。このため、消灯遅延時間の仕様の違いに対して制御装置10の共用化が可能となり、従来低減することが困難であった制御装置10の機種を減らすことが可能となる。またこの制御装置10であれば、現行品に対してハード構成を変更する必要がないし(即ち、制御回路11の処理内容を変更するだけでよく)、生産工場等において消灯遅延時間の仕様を設定するための作業は全く発生しない。このため、車両の生産性向上やコスト低減に貢献できる。
【0016】
なお、本発明は上述した形態例に限られず、各種の変形や応用があり得る。
例えば上記形態例では、本発明のロック状態信号入力部が、ロック検出信号入力部15とアンロック検出信号入力部16の二つの入力ラインにより構成されているが、一つの入力ラインから施錠状態を示すロック状態信号と解錠状態を示すロック状態信号の両方が入力される態様もあり得る。この場合でも、この入力ラインから施錠状態を示すロック状態信号又は解錠状態を示すロック状態信号の何れか一方が入力されているか、或いは両方とも入力されていないかを読み取ることによって、ドアロックセンサが装備されているか否か(即ち、センタードアロック装着車両か非装着車両か)が判定できる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両の制御装置によれば、車両にドアロックセンサが装着されているか否か(即ち、センタードアロック装着車両か非装着車両か)が、制御装置内の処理機能によって自動判定され、ルームランプの消灯遅延時間がこの判定結果に応じて長短何れか好ましい時間に自動的に設定される。このため、消灯遅延時間の仕様の違いに対して制御装置の共用化が可能となり、従来低減することが困難であった制御装置の機種を減らすことが可能となる。またこの制御装置であれば、現行品に対してハード構成を変更する必要がないし、生産工場等において消灯遅延時間の仕様を設定するための作業は全く発生しない。このため、車両の生産性向上やコスト低減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の制御装置を含むシステムの回路図である。
【図2】同システムにおける信号のタイミングチャートである。
【図3】従来の問題点を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 制御装置
11 制御回路(制御手段)
15 ロック検出信号入力部(ロック状態信号入力部)
16 アンロック検出信号入力部(ロック状態信号入力部)
17 ドア開閉信号入力部
42 ドアロックスイッチ(ドアロックセンサ)
43 ドアスイッチ(ドア開閉センサ)
44 ルームランプ

Claims (1)

  1. 車両のドア開閉センサから、ドア開閉状態を示すドア開閉信号を入力するためのドア開閉信号入力部と、
    車両のドアロックセンサから、車両のドアロック機構の状態を示すロック状態信号を入力するためのロック状態信号入力部と、
    車両のルームランプが自動点灯されている状態において、前記ドア開閉信号入力部から入力されるドア開閉信号に基づいて車両ドアの閉動作が検知されると、所定の消灯遅延時間が経過した時点で前記ルームランプを消灯させる遅延消灯制御を実行する制御手段とを備えた車両の制御装置であって、
    前記制御手段は、前記ロック状態信号入力部から入力される信号に基づいて、車両に前記ドアロックセンサが装備されていると判定した場合には、前記消灯遅延時間を比較的長い時間に設定し、前記ドアロックセンサが装備されていないと判定した場合には、前記消灯遅延時間を比較的短い時間に設定する機能を有し、前記ドアロックセンサが装備されていると判定され、かつ前記ドア開閉信号に基づいて車両ドアの閉動作が検知された後に前記ロック状態信号に基づいて前記ドアロック機構が施錠されたことが検知されると、前記比較的長い時間に設定された消灯遅延時間を所定の短時間に変更して前記ルームランプを自動消灯することを特徴とする車両の制御装置。
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