JP4073170B2 - 輝度信号処理回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機上に映し出される映像の境界部をシャープに際立たせるための信号処理を行う輝度信号処理回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビジョン受像機に映し出される映像をより鮮明にするために輝度信号処理回路(一種のフィルター回路)を用いて境界部にシャープネス付すことが行われている。例えば、映像が黒から白に変化する境界部において、黒部をさらに暗い黒に表示し、白部をさらに明るい白に表示するという手法が用いられていた。
【0003】
図4にかかる信号処理を行うための輝度信号処理回路の回路図を示す。入力端子10に印加された輝度信号Aは第1の遅延回路11によって遅延される。その遅延量をDL1とする。第1の遅延回路11の出力信号はさらに第2の遅延回路12によって遅延される。その遅延量をDL2とする。そして、輝度信号A、第1の遅延回路11の出力信号B及び第2の遅延回路12の出力信号Cは演算回路13に入力され、(2B−A−C)の信号が作成される。そして、この演算回路13の出力信号と第1の遅延回路11の出力信号Bとは加算回路14によって加算され、出力端子15に出力される。
【0004】
図5に上記構成の輝度信号処理回路における各ノードの波形を示す。例えば、入力輝度信号Aが図5に示すようにロウレベル(例えば黒レベル)からハイレベル(例えば白レベル)に変化すると、入力輝度信号AをDL1だけ遅延した信号B及びこの信号BをDL2だけ遅延した信号Cが発生する。そして、これらの信号A,B,C,に対して上述したような信号処理を施すことにより、輝度信号Aにプリシュートとオーバーシュートが付加された出力信号OUTを得ることができる。したがって、この輝度信号処理回路によれば、テレビジョン受像機の映像にシャープネスを付することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでテレビジョン受像機の周波数特性によってプリシュートが大きかったり、逆にオーバーシュートが大きかったりする場合があった。しかしながら、従来の第1の遅延回路11の遅延量DL1、第2の遅延回路12の遅延量DL2は固定されていたために、プリシュートとオーバーシュートの量を調整することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明はテレビジョン受像機に適したプリシュートとオーバーシュートの量を容易に調整可能な輝度信号処理回路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の輝度信号処理回路は、入力輝度信号を遅延する第1の遅延回路と、この第1の遅延回路の出力信号をさらに遅延する第2の遅延回路と、前記入力輝度信号、第1の遅延回路、及び第2の遅延回路の出力信号に応じて前記入力輝度信号のプリシュート及びオーバーシュートを発生させる信号処理回路と、を備えた輝度信号処理回路であって、前記第1及び第2の遅延回路の遅延量を独立に調整する遅延調整部を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1及び第2の遅延回路の遅延量を独立に調整する遅延調整部を設けたので、これらの遅延量を適宜設定することによりプリシュートとオーバーシュート量を独立に調整することができる。例えば、第1の遅延回路の遅延量を大きくすることによりプリシュートの量を大きくすることができる。また、第2の遅延回路の遅延量を大きくすることによりオーバーシュートの量を大きくすることができる。
【0009】
また、前記遅延調整部は、IICバスを経由して供給されたデジタルデータをアナログデータに変換するデジタルアナログ変換部を含み、前記デジタルアナログ変換部から出力されるアナログデータに応じて前記第1及び第2の遅延回路の遅延量を調整することを特徴とする。
【0010】
この輝度信号処理回路が搭載されたテレビジョン信号処理用LSIの外部に設けられた、例えばマイクロコンピュータからIIC(Inter Integrated Circuit)バスを経由してデジタルデータを送信する。ここで、第1及び第2の遅延回路はアナログデータに基づいて動作するため、デジタルアナログ変換部によって変換されたアナログデータに応じて遅延量が調整される。こうして、前記第1及び第2の遅延回路の遅延量を外部から供給されるデジタルデータに応じて調整することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る輝度信号処理回路の回路図である。入力端子10に印加された輝度信号Aは第1の遅延回路11によって遅延される。
【0012】
また、第1の遅延回路11の出力信号はさらに第2の遅延回路12によって遅延される。そして、輝度信号A、第1の遅延回路11の出力信号B及び第2の遅延回路12の出力信号Cは演算回路13に入力され、(2B−A−C)の信号が作成される。そして、この演算回路13の出力信号と第1の遅延回路11の出力信号Bとは加算回路14によって加算され、出力端子15に出力される。
【0013】
ここで、第1の遅延回路11の遅延量DL1と、第2の遅延回路12の遅延量DL2は外部から調整可能に構成されている。輝度信号処理回路が内蔵されたテレビジョン信号処理LSIは、IICバス23を介してマイクロコンピュータ21と通信可能な状態に接続されている。IICバス23は、アドレス・データラインとクロックラインとの2ラインから成るシリアルバスである。
【0014】
バスインターフェース回路20はマイクロコンピュータ21からの命令に基づき、供給されてくるシリアル・デジタルデータを取り込んで、これをパラレルデータに変換する。そして、バスインターフェース回路20は第1の遅延回路11に対応するデジタルアナログ変換部30、第2の遅延回路12に対応するデジタルアナログ変換部31を選択する。
【0015】
例えば、第1の遅延回路11に対応するデジタルアナログ変換部30が選択された場合、デジタルアナログ変換部30はバスインターフェース回路20から内部バス22を経由して供給されるデジタルデータをラッチし、これをアナログデータに変換して第1の遅延回路11に供給する。これにより、第1の遅延回路11の遅延量DL1は、供給されるアナログデータに基づいて調整される。
【0016】
同様にして、第2の遅延回路12に対応するデジタルアナログ変換部31が選択された場合、デジタルアナログ変換部31はバスインターフェース回路20から内部バス22を経由して供給されるデジタルデータをラッチし、これをアナログデータに変換して第2の遅延回路12に供給する。これにより、第2の遅延回路12の遅延量DL2は、供給されるアナログデータに基づいて調整される。
【0017】
図2は、第1の遅延回路11に対する遅延量調整部の回路図である。第1の遅延回路11は、電流源40,41から供給される電流Iによって遅延量DL1が調整可能に構成されている。ここで、電流源40に流れる電流はデジタルアナログ変換部30からのアナログデータに基づいて制御される。こうして、第1の遅延回路11に供給される電流Iは、デジタルアナログ変換部30からのアナログデータに基づいて変化するため、遅延量DL1を調整することが可能となる。第2の遅延回路12に対する遅延量調整部の構成も同様である。
【0018】
次に、図3を参照しながら上述した構成の輝度信号処理回路の動作例について説明する。例えば、入力輝度信号Aがロウレベル(例えば黒レベル)からハイレベル(例えば白レベル)に変化すると、第1の遅延回路11によって入力輝度信号AをDL1だけ遅延した信号Bが発生する。このとき、上述した遅延量調整部によって、第1の遅延回路11の遅延量DL1は図5に示した遅延波形(図中、破線部分)よりも大きな値に設定されているものとする。そして、この信号BをDL2だけ遅延した信号Cが発生する。そして、これらの信号A,B,C,に対して上述したような信号処理を施すことにより、輝度信号Aにプリシュートとオーバーシュートが付加された出力信号OUTを得ることができる。
【0019】
この場合、第1の遅延回路11の遅延量DL1は、図5に示した場合に比べて大きな値に設定されているので、プリシュート量を大きくすることができる。同様にして、第2の遅延回路12の遅延量DL2を大きくすることによってオーバーシュートの量を大きくすることも可能である。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、映像にシャープネスを付する輝度信号処理回路中の、2つの遅延回路の遅延量を独立に調整可能に構成したので、テレビジョン受像機に適したプリシュートとオーバーシュートの量を容易に調整することが可能になる。
【0021】
また、2つの遅延回路の遅延調整部は、IICバスを経由して供給されたデジタルデータをアナログデータに変換するデジタルアナログ変換部を含み、デジタルアナログ変換部から出力されるアナログデータに応じて2つの遅延回路の遅延量を調整するようにしたので、例えばマイクロコンピュータからの命令に基づいて外部から2つの遅延回路の遅延量を制御し、プリシュートとオーバーシュートの量を調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る輝度信号処理回路の回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係る輝度信号処理回路の遅延調整部の回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係る輝度信号処理回路の波形図である。
【図4】従来例に係る輝度信号処理回路の回路図である。
【図5】従来例に係る輝度信号処理回路の波形図である。
【符号の説明】
10 入力端子
11 第1の遅延回路
12 第2の遅延回路
13 演算回路
14 加算回路
15 出力端子
20 バスインターフェース回路
21 マイクロコンピュータ
22 内部バス
23 IICバス
30,31 デジタルアナログ変換部
40,41 電流源

Claims (2)

  1. 入力輝度信号を遅延する第1の遅延回路と、この第1の遅延回路の出力信号をさらに遅延する第2の遅延回路と、前記入力輝度信号、第1の遅延回路、及び第2の遅延回路の出力信号に応じて前記入力輝度信号のプリシュート及びオーバーシュートを発生させる信号処理回路と、を備えた輝度信号処理回路であって、前記第1及び第2の遅延回路の遅延量を独立に調整する遅延調整部を設けたことを特徴とする輝度信号処理回路。
  2. 前記遅延調整部は、IICバスを経由して供給されたデジタルデータをアナログデータに変換するデジタルアナログ変換部を含み、前記デジタルアナログ変換部から出力されるアナログデータに応じて前記第1及び第2の遅延回路の遅延量を調整することを特徴とする請求項1に記載した輝度信号処理回路。
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