JP4478258B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラ等の画像処理装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ等の画像処理装置では、撮像素子等の影響により撮影画像に2次元的な歪が生じることがある。例えば、レンズ、光学ローパスフィルタ、CCDの開口などにより画像信号の高域の周波数特性が低下し、画像の解像度が悪化する。これはアパーチャ歪と呼ばれ、2次元的な歪である。このため、アパーチャ補正回路で輝度信号の高周波成分を補正することが必要になる。
【0003】
図12は、従来のアパーチャ補正回路の一例を示す図である。
図12において、1301はフィルタ等で構成される輝度信号生成回路であり、図示しないCCDより出力される画像信号から輝度信号を生成して出力する。出力された上記輝度信号は、水平アパーチャ補正信号生成回路1302、垂直アパーチャ補正信号生成回路1303、加算器1304に供給される。
【0004】
水平アパーチャ補正信号生成回路1302は、入力された輝度信号に対して水平方向のアパーチャ補正を行い、水平アパーチャ補正信号を出力する。また、垂直アパーチャ補正信号生成回路1303は、入力された輝度信号に対して垂直方向のアパーチャ補正を行い、垂直アパーチャ補正信号を出力する。そして、輝度信号生成回路1301から出力される輝度信号、水平アパーチャ補正信号生成回路1302から出力される水平アパーチャ補正信号、垂直アパーチャ補正信号生成回路1303から出力される垂直アパーチャ補正信号を、加算器1304で加算することにより、CCDより入力された画像信号からアパーチャ補正の施された輝度信号を生成して出力する。
【0005】
このように従来は、図12に示すように輝度信号生成回路1301から出力される輝度信号に対して、水平アパーチャ補正信号生成回路1302で水平方向のアパーチャ補正を行い、垂直アパーチャ補正信号生成回路1303で垂直方向のアパーチャ補正を行うことで画像信号をアパーチャ補正するアパーチャ補正方法が一般に用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアパーチャ補正方法では、水平方向の画像補正と垂直方向の画像補正のみを行っていたため、アパーチャ補正を強めようとすると、丸い被写体が角ばったり画像の輪郭がつき過ぎたりS/N比が悪くなったりするなど、不自然な画像を生成してしまうという問題があった。
【0007】
また、回路規模の制約等により垂直方向のアパーチャ補正回路を少ないディレイラインで構成しなければならないため、垂直方向の補正に対して水平方向の補正を強調し過ぎる結果を招いてしまう。そのため、垂直方向の画像補正と水平方向の画像補正との均衡がとれず、不自然な画像を生成してしまうという問題があった。
【0008】
また、輝度信号生成回路から出力される輝度信号に基づきアパーチャ補正を行っていたため、良好なアパーチャ補正特性を得ることができなかったり、アパーチャ補正特性を容易に制御できない等の問題があった。
【0009】
本発明は、上述の問題を解決するために成されたものであり、アパーチャ補正等の画像補正を施しても、不自然な画像を生成することなく高画質な画像を生成できるようにすることを目的とする
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る画像処理装置は、入力された画像信号の水平方向のアパーチャ補正に必要な第1の画像補正信号を生成する第1の画像補正信号生成手段と、前記画像信号の斜め方向のアパーチャ補正に必要な第2の画像補正信号を生成する第2の画像補正信号生成手段と、前記画像信号の垂直方向のアパーチャ補正に必要な第3の画像補正信号を生成する第3の画像補正信号生成手段と、前記画像信号と、前記第1、第2および第3の画像補正信号とを用いて、アパーチャ補正された輝度信号を生成する輝度信号生成手段とを備え、前記第1の画像補正信号生成手段は、前記画像信号から垂直方向の低周波成分を有する垂直低域信号を抽出する垂直低域信号抽出手段と、前記垂直低域信号から水平方向の高周波成分を有する第1の水平高域信号を抽出する第1の水平高域信号抽出手段と、前記第1の水平高域信号抽出手段と異なる周波数特性を有しており、前記垂直低域信号から水平方向の高周波成分を有する第2の水平高域信号を抽出する第2の水平高域信号抽出手段と、前記第1の水平高域信号の出力レベルおよびベースクリップレベルを調整する第1の調整手段と、前記第2の水平高域信号の出力レベルおよびベースクリップレベルを調整する第2の調整手段とを有し、前記第1の水平高域信号と前記第2の水平高域信号とを用いて、前記第1の画像補正信号を生成し、前記入力された画像信号は撮像手段により得られた信号であり、前記第1および第2の調整手段は、前記第1の水平高域信号抽出手段が低い周波数領域を幅広い領域で抽出し、前記第2の水平高域信号抽出手段が前記第1の水平高域信号抽出手段よりも高い周波数領域で狭く抽出するように前記出力レベルおよびベースクリップレベルを調整することにより、前記撮像手段のS/N比の特性に対応させることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による画像処理装置の一構成例を示すブロック図である。図1において、1はイエロー、シアン、マゼンタ、グリーン等の色フィルタが配列されたCCD等の撮像素子であり、CCD1の前段には撮像レンズ30、光学ローパスフィルタ31等が配置される。
【0021】
2はCCD1から出力される画像信号をサンプリングし、そのゲインを調整する相関2重サンプリング・自動ゲイン制御回路(CDS・AGC回路)、3はCDS・AGC回路2から出力されるアナログCCD信号をデジタルCCD信号に変換するA/D変換器である。4は減算器、乗算器等で構成されている補正回路であり、A/D変換器3から出力されたデジタルCCD信号に対してオプティカルブラック補正やホワイトバランス補正を行う。5はメモリ等で構成されているディレイラインであり、補正回路4より信号線L3に出力される信号に対して6ライン分の遅延出力(L0〜L2、L11〜L13)をそれぞれ得ることができる。
【0022】
6は補間回路であり、垂直7タップ、水平7タップ程度の2次元フィルタで構成され、CCD1のそれぞれの色フィルタから出力される画像信号を補間処理して同時化する。7はマトリクス回路であり、補間回路6で補間処理が施された画像信号を色差信号もしくはRGB信号等の色信号に変換する。8は色抑圧回路であり、低輝度時や高輝度時には第2の抑圧制御信号Ys’に従って、マトリクス回路7から出力された色信号のゲインを下げることにより偽色の発生を抑圧する。9は色信号のガンマ変換を行う色ガンマ回路である。
【0023】
10は垂直ノッチ回路、11は水平ノッチ回路であり、CCD1の色フィルタで変調された画像信号から補正の施されていない輝度信号である輝度基準信号Yhを生成する。垂直ノッチ回路10および水平ノッチ回路11は、ナイキスト周波数に零点を持った7タップのフィルタでそれぞれ構成されている。12は輝度基準信号Yhとアパーチャ補正信号Yaとを加算する加算器、13は加算器12でアパーチャ補正が施された輝度信号のガンマ変換を行う輝度ガンマ回路である。
【0024】
14は7タップのフィルタで構成される垂直ローパスフィルタ(LPF)回路であり、画像信号の垂直低域成分を抽出する。15は7タップのフィルタで構成される第1の水平バンドパスフィルタ(BPF)回路、16は11タップのフィルタで構成される第2の水平BPF回路であり、それぞれ画像信号の水平高域信号を抽出する。17、18は第1、第2のゲイン調整回路であり、それぞれ入力される画像信号に対してベースクリップレベルおよび出力ゲインの調整を行う
【0025】
ここで、上記14〜18の各ブロックは水平方向のアパーチャ補正信号を生成するブロックである。
【0026】
19は7タップのフィルタで構成される第1の垂直BPF回路であり、画像信号の垂直高域信号を抽出する。20は7タップのフィルタで構成される第3の水平BPF回路であり、画像信号の水平高域信号を抽出する。21は第3のゲイン調整回路であり、入力される画像信号に対してベースクリップレベルおよび出力ゲインの調整を行う。上記19〜21の各ブロックは斜め方向のアパーチャ補正信号を生成するブロックである。
【0027】
22は7タップのフィルタで構成される第2の垂直BPF回路であり、画像信号の垂直高域信号を抽出する。23は7タップのフィルタで構成される水平LPF回路であり、画像信号の水平低域信号を抽出する。24は第4のゲイン調整回路であり、入力される画像信号に対してベースクリップレベルおよび出力ゲインの調整を行う。上記22〜24の各ブロックは垂直方向のアパーチャ補正信号を生成するブロックである。
【0028】
25〜27は加算器であり、第1および第2のゲイン調整回路17、18から出力される水平方向のアパーチャ補正信号と、第3のゲイン調整回路21から出力される斜め方向のアパーチャ補正信号と、第4のゲイン調整回路24から出力される垂直方向のアパーチャ補正信号とを加算する。28はアパーチャ抑圧回路であり、低輝度時や高輝度時には第1の抑圧制御信号Ysに従って、加算器27から出力されたアパーチャ補正信号のゲインを下げることにより、アパーチャ補正の効果を抑圧する。29はLPF回路で構成された抑圧制御信号生成回路であり、水平ノッチ回路11より出力された輝度基準信号Yhの低周波成分を抽出して、第1の抑圧制御信号Ysおよび第2の抑圧制御信号Ys’を生成する。
【0029】
図2は、図1中に示した垂直LPF回路14の詳細な構成を示す図である。
図2において、201〜209は加減算器であり、211〜219は除算器である。ここで、除算はすべて2の階乗分の1であるため、除算器211〜219はビットシフト回路により構成される。例えば、除算器211は入力された信号の各ビットを下位ビット側(右側)へ3ビットシフトすることで、上記入力された信号を1/8倍して出力する。また、加算器などの演算器の語長は、図1のA/D変換器3でアナログCCD信号からデジタルCCD信号に変換された画像データ間で演算が可能な語長である。例えば、デジタルCCD信号のデータ語長が10〜12ビット程度の場合は、それに見合った語長が確保される。
【0030】
次に、図2に示した垂直LPF回路14の動作について説明する。
入力端子IN20には図1の信号線L3が、入力端子IN21には図1の信号線L2が、入力端子IN22には図1の信号線L1が、入力端子IN23には図1の信号線L0がそれぞれ接続される。また、入力端子IN24には図1の信号線L11が、入力端子IN25には図1の信号線L12が、入力端子IN26には図1の信号線L13がそれぞれ接続されている。そして、これらの信号線L0〜L3、L11〜L13を介して垂直LPF回路14に画像信号が供給される。
【0031】
これらの信号線L0〜L3、L11〜L13より画像信号が垂直LPF回路14に入力されると、まずフィルタの対称性により、信号線L3を介して入力された画像信号と信号線L13を介して入力された画像信号とが加算器201で加算される。また、信号線L2を介して入力された画像信号と信号線L12を介して入力された画像信号とが加算器202で加算され、信号線L1を介して入力された画像信号と信号線L11を介して入力された画像信号とが加算器203で加算される。
【0032】
上記加算器201で加算された画像信号は、除算器211により右へ3ビットシフトすることで1/8倍されて出力される。除算器211より出力された画像信号は、減算器204を介して除算器216〜218に入力され、これらの除算器216〜218とその後段に接続された加算器205、206とにより乗加算演算が行われる。その結果として、除算器211の出力信号は、11/16(1/16+1/8+1/2)倍されて加算器206から出力される。この加算器206の出力信号は、他の加算器207〜209を介して除算器219に入力され、ここで1/2倍の演算処理が行われた後、出力端子OUT20を介して出力される。
【0033】
したがって、上記信号線L3、L13を介して入力端子IN20またはIN26より垂直LPF回路14に入力された画像信号は、垂直LPF回路14で11/256((1/8)×(11/16)×(1/2))倍されて、出力端子OUT20を介して出力される。
【0034】
また、上記加算器202で加算された画像信号は、除算器213で1/4倍され、さらに除算器219で1/2倍されて出力端子OUT20を介して出力される。したがって、上記信号線L2、L12を介して入力端子IN21またはIN25より垂直LPF回路14に入力された画像信号は、垂直LPF回路14で32/256((1/4)×(1/2))倍されて、出力端子OUT20を介して出力される。
【0035】
また、加算器203で加算された画像信号は、除算器212および除算器214に入力される。除算器212に入力された画像信号はここで1/8倍された後、減算器204でマイナスに符号反転され、減算器204から出力される。減算器204の出力信号は除算器216〜218に入力され、これらの除算器216〜218とその後段に接続された加算器205、206とにより乗加算演算が行われる。その結果として、除算器212の出力信号は11/16倍されて加算器206から出力され、加算器207を介して加算器208に入力される。一方、除算器214に入力された画像信号はここで1/2倍されて、加算器208に入力される。加算器208では、加算器207の出力信号と除算器214の出力信号とを加算する。
【0036】
よって、加算器203の出力信号は106/256((1/8)×(−1)×(11/16)+1/2)倍され、加算器208から出力される。加算器208の出力信号は加算器209を介して除算器219に入力され、ここで1/2倍されて出力端子OUT20を介して出力される。したがって、上記信号線L1、L11を介して入力端子IN22またはIN24より垂直LPF回路14に入力された画像信号は、垂直LPF回路14で53/256倍されて、出力端子OUT20を介して出力される。
【0037】
また、信号線L0を介して入力端子IN23より垂直LPF回路14に入力された画像信号は、除算器215および219でそれぞれ1/2倍され、その結果64/256倍となり出力端子OUT20を介して出力される。したがって、垂直LPF回路14のフィルタ係数は〔11 32 53 64 53 32 11〕/256となる。よって、この垂直LPF回路14は、周波数が0Hz、すなわち直流成分でゲインが1となり、周波数が増加するとともにゲインが減少するような図7に示す周波数特性を持つLPF回路を構成する。なお、図7については後述する。
【0038】
図3は、図1中に示した第1の水平BPF回路15の詳細な構成を示す図である。なお、第3の水平BPF回路20の構成もこれと同様である。
図3において、301〜306は遅延素子であり、フリップフロップ(FF)等で構成される。307〜310は加減算器であり、311〜313は除算器である。ここで、図2に示した垂直LPF回路14と同じく、除算器311〜313はビットシフト回路により構成される。また、加算器などの演算器の語長は、図1のA/D変換器3で変換された画像データ間で演算が可能な語長である。
【0039】
次に、図3に示した第1の水平BPF回路15の動作について説明する。
入力端子IN30を介して第1の水平BPF回路15に入力された信号は、遅延素子301および加算器307に入力される。遅延素子301に入力された信号は、ここで所定時間遅延され、その出力信号は遅延素子302〜304で更に遅延される。そして、遅延素子302の出力信号は減算器308に入力され、遅延素子304の出力信号は加算器307に入力される。
【0040】
加算器307は、入力端子IN30を介して第1の水平BPF回路15に入力された信号と遅延素子304の出力信号との加算演算を行い、その結果を除算器311に出力する。加算器307の出力信号は、除算器311で1/2倍され、減算器308に入力される。そして、減算器308は遅延素子302の出力信号から除算器311の出力信号を減算する。したがって、減算器308の出力信号は、フィルタ係数〔−1 0 2 0 −1〕/2で表される周波数特性を持つフィルタ出力となる。
【0041】
上記減算器308の出力信号は、遅延素子305および加算器309に入力される。遅延素子305に入力された信号は、ここで所定時間遅延され、その出力信号は遅延素子306および減算器310に入力される。遅延素子306に入力された信号は、ここで更に遅延され、その出力信号は加算器309に入力される。
【0042】
一方、上記加算器308から加算器309に入力された信号は、遅延素子306の出力信号と加算演算される。この加算器309の出力信号は、除算器312に入力され、1/2倍されて減算器310に入力される。そして、減算器310は遅延素子305の出力信号から除算器312の出力信号を減算する。したがって、遅延素子305、306と加減算器309、310と除算器312とで構成されるフィルタは、フィルタ係数〔−1 2 −1〕/2で表される周波数特性を持つ。上記減算器310の出力信号は除算器313に入力され、ここで1/4倍されて出力端子OUT30を介して出力される。
【0043】
また、入力端子IN30から減算器310の出力までのフィルタ係数は、入力端子IN30から減算器308の出力までの前段のフィルタと、減算器308の出力から減算器310の出力までの後段のフィルタとのコンボリューション(畳込み)で求められ、〔1 −2 −1 4 −1 −2 1〕/2となる。したがって、第1の水平BPF回路15は、そのフィルタ係数が〔1 −2 −1 4 −1 −2 1〕/8となり、後述する図8(a)のような周波数特性を持つBPF回路を構成する。
【0044】
図4は、図1中に示した第2の水平BPF回路16の詳細な構成を示す図である。
図4において、401〜410は遅延素子であり、フリップフロップ(FF)等で構成される。411〜419は加減算器であり、420〜424は除算器である。ここで、除算器420〜424はビットシフト回路により構成される。また、加算器などの演算器の語長は、図1のA/D変換器3で変換された画像データ間で演算が可能な語長である。
【0045】
次に、図4に示した第2の水平BPF回路16の動作について説明する。
図4において、遅延素子401〜404、加減算器411、412および除算器420で構成されるフィルタは、図3に示す第1の水平BPF回路15の前段のフィルタと同じ構成である。したがって、減算器412の出力信号は、フィルタ係数〔−1 0 2 0 −1〕/2で表される周波数特性を持つフィルタ出力となる。
【0046】
上記減算器412の出力信号は、遅延素子405および加算器413に入力される。遅延素子405に入力された信号は、ここで所定時間遅延され、その出力信号は遅延素子406〜410で更に遅延される。遅延素子405〜410の出力信号は、フィルタの対称性により加算器413〜415でそれぞれ加算される。すなわち、減算器412の出力信号と遅延素子410の出力信号とを加算器413で加算し、遅延素子405の出力信号と遅延素子409の出力信号とを加算器414で加算する。また、遅延素子406の出力信号と遅延素子408の出力信号とを加算器415で加算する。
【0047】
上記加算器413の出力信号は、除算器422に入力されて1/8倍され、減算器416に入力される。そして、この除算器422の出力信号は、減算器416でマイナスに符号反転された後、加減算器417、419を介して除算器424に与えられ、ここで1/2倍される。これにより、上記加算器413の出力信号は、出力端子OUT40を介して−1/16倍で出力される。
また、上記加算器414の出力信号は、除算器421に入力されて1/2倍され、更に除算器424で1/2倍される。これにより、加算器414の出力信号は、出力端子OUT40を介して4/16倍で出力される。
【0048】
また、上記加算器415の出力信号は、減算器417に入力されてマイナスに符号反転された後、加算器419を介して除算器424に入力され、ここで1/2倍される。これにより、加算器415の出力信号は、出力端子OUT40を介して−8/16倍で出力される。
また、上記遅延素子407の出力信号は、加算器418および除算器423に入力されて演算処理が施され、5/4倍されて加算器418から出力される。この加算器418の出力信号は、加算器419を介して除算器424に与えられ、ここで1/2倍される。これにより、遅延素子407の出力信号は出力端子OUT40を介して10/16倍で出力される。
【0049】
したがって、減算器412の出力から除算器424の出力までの後段のフィルタは、フィルタ係数〔−1 4 −8 10 −8 4 −1〕/16で表されるフィルタの周波数特性を持つ。
【0050】
また、この第2の水平BPF回路16全体のフィルタ係数は、入力端子IN40から減算器412の出力までの前段のフィルタと、減算器412の出力から出力端子OUT40までの後段のフィルタとのコンボリューション(畳込み)で求められ、〔1 −4 6 −2 −7 12 −7 −2 6 −4 1〕/32となる。このフィルタ係数で表される第2のフィルタ回路16は、図8(b)に示すような周波数特性を持つBPF回路となる。
【0051】
図5は、図1中に示した第1の垂直BPF回路19の詳細な構成を示す図である。なお、第2の垂直BPF回路22の構成もこれと同様である。
図5において、501〜506は加減算器であり、507〜510は除算器である。ここで、除算器507〜510はビットシフト回路により構成される。また、加算器などの演算器の語長は、図1のA/D変換器3で変換された画像データ間で演算が可能な語長である。
【0052】
次に、図5に示した第1の垂直BPF回路19の動作について説明する。
入力端子IN50には図1の信号線L3が、入力端子IN51には図1の信号線L2が、入力端子IN52には図1の信号線L1が、入力端子IN53には図1の信号線L0がそれぞれ接続される。また、入力端子IN54には図1の信号線L11が、入力端子IN55には図1の信号線L12が、入力端子IN56には図1の信号線L13がそれぞれ接続されている。そして、これらの信号線L0〜L3、L11〜L13を介して第1の垂直BPF回路19に画像信号が供給される。
【0053】
これらの信号線L0〜L3、L11〜L13より画像信号が第1の垂直BPF回路19に入力されると、まずフィルタの対称性により、信号線L3を介して入力された画像信号と信号線L13を介して入力された画像信号とが加算器501で加算される。また、信号線L2を介して入力された画像信号と信号線L12を介して入力された画像信号とが加算器502で加算され、信号線L1を介して入力された画像信号と信号線L11を介して入力された画像信号とが加算器503で加算される。
【0054】
上記加算器501で加算された画像信号は、除算器507に入力されて1/4倍される。さらに、除算器507の出力信号は、加算器504、506を介して除算器510に入力され、ここで1/2倍される。これにより、上記信号線L3、L13を介して入力端子IN50またはIN56より第1の垂直BPF回路19に入力された画像信号は、第1の垂直BPF回路19で1/8倍されて、出力端子OUT50を介して出力される。
【0055】
また、上記加算器502の出力信号は、除算器509に入力されて1/2倍される。この除算器509の出力信号は、減算器505に入力されてマイナスに符号反転された後、加算器506を介して除算器510に入力され、1/2倍される。これにより、上記信号線L2、L12を介して入力端子IN51またはIN55より第1の垂直BPF回路19に入力された画像信号は、第1の垂直BPF回路19で−2/8倍されて、出力端子OUT50を介して出力される。
【0056】
また、上記加算器503の出力信号は、除算器508に入力されて1/2倍される。この除算器508の出力信号は、減算器504に入力されてマイナスに符号反転された後、加算器506を介して除算器510に入力され、1/2倍される。これにより、上記信号線L1、L11を介して入力端子IN52またはIN54より第1の垂直BPF回路19に入力された画像信号は、第1の垂直BPF回路19で−1/8倍されて、出力端子OUT50を介して出力される。
また、上記信号線L0を介して入力端子IN53より第1の垂直BPF回路19に入力された画像信号は、除算器510で1/2倍、すなわち4/8倍されて出力端子OUT50を介して出力される。
【0057】
したがって、第1の垂直BPF回路19は、そのフィルタ係数が〔1 −2 −1 4 −1 −2 1〕/8となり、後述する図8(a)のような周波数特性を持つBPF回路を構成する。
【0058】
図6は、図1中に示した水平LPF回路23の詳細な構成を示す図である。
図6において、601〜606は遅延素子であり、フリップフロップ(FF)等で構成される。607〜615は加減算器であり、616〜623は除算器である。ここで、除算器616〜623はビットシフト回路により構成される。また、加算器などの演算器の語長は、図1のA/D変換器3で変換された画像データ間で演算が可能な語長である。
【0059】
次に、図6に示した水平LPF回路23の動作について説明する。
入力端子IN60を介して水平LPF回路23に入力された信号は、遅延素子601および加算器607に入力される。遅延素子601に入力された信号は、ここで所定時間遅延され、その出力信号は遅延素子602〜604で更に遅延される。これら遅延素子601〜604の各出力信号は、フィルタの対称性により加算器607、608でそれぞれ加算される。すなわち、入力端子IN60を介して入力された信号と遅延素子604の出力信号とを加算器607で加算し、遅延素子601の出力信号と遅延素子603の出力信号とを加算器608で加算する。
【0060】
上記加算器607の出力信号は、除算器616に入力されて1/2倍され、更に除算器617で1/2倍される。これにより、加算器607の出力信号は1/4倍され、除算器617から出力される。また、加算器608の出力信号は、加算器609、610を介して除算器617に入力されて1/2倍、すなわち2/4倍されて除算器617から出力される。同様に、遅延素子602の出力信号も、2/4倍されて除算器617から出力される。したがって、入力端子IN60から除算器617の出力までの前段のフィルタは、フィルタ係数〔1 2 2 2 1〕/4で表されるフィルタの周波数特性を持つ。
【0061】
上記除算器617の出力信号は、遅延素子605および加算器611に入力される。遅延素子605に入力された信号は、ここで所定時間遅延され、その出力信号は遅延素子606および除算器621、622に入力される。遅延素子606に入力されて更に遅延された信号は、加算器611に入力される。
【0062】
加算器611は、除算器617の出力信号と遅延素子606の出力信号との加算を行い、その演算結果を除算器618〜620に入力する。除算器618〜620に入力された信号は、これら除算器618〜620とその後段に接続された加算器612、613とにより演算され、11/16倍されて加算器613から出力される。この加算器613の出力信号は、加算器615を介して除算器623に入力され、ここで1/4倍されて出力される。これにより、上記加算器611の出力信号は、11/64倍されて出力端子OUT60を介して出力される。
【0063】
また、上記除算器621、622に入力された遅延素子605の出力信号は、これら除算器621、622とその後段に接続された加算器614とにより5/8倍され、加算器614から出力される。この加算器614の出力信号は、除算器623で1/4倍されて出力される。これにより、上記遅延素子605の出力信号は、10/64倍されて出力端子OUT60を介して出力される。
【0064】
したがって、除算器617の出力から出力端子OUT60までの後段のフィルタは、フィルタ係数〔11 10 11〕/64で表されるフィルタの周波数特性を持つ。
また、この水平LPF回路23全体のフィルタ係数は、入力端子IN60から除算器617の出力までの前段のフィルタと、除算器617の出力から出力端子OUT60までの後段のフィルタとのコンボリューション(畳込み)で求められ、〔11 32 53 64 53 32 11〕/256となる。このフィルタ係数で表されるフィルタは、周波数が0Hz、すなわち直流成分でゲインが1となり、周波数が増加するとともにゲインが減少するような図7に示す周波数特性を持つLPF回路となる。
【0065】
図7は、LPF回路の周波数特性を示す図である。
図7において、縦軸はゲインを示し、横軸は入力される信号の周波数を示す。また、Fnはナイキスト周波数である。この図7に示すLPF回路の周波数特性では、入力される信号の周波数が0Hz、すなわち直流成分でゲインが1となり、周波数が大きくなるとともにゲインは減少する。
【0066】
図8は、BPF回路の周波数特性を示す図である。
図8において、縦軸はゲインを示し、横軸は入力される信号の周波数を示す。また、Fnはナイキスト周波数である。
図8(a)は、比較的低い周波数で最大ゲインが得られるBPF回路の周波数特性であり、図8(b)は、図8(a)より高い周波数で最大ゲインが得られるBPF回路の周波数特性である。また、図8(c)は、図8(a)に示される周波数特性と図8(b)に示される周波数特性とを平均した場合の周波数特性である。
【0067】
図9は、図1中に示した第1のゲイン調整回路17の動作を示すフローチャートである。
図9において、ステップS903、S906中に示すa、bおよびステップS902、S904中に示すcは係数レジスタに設定された係数値であり、CPU等により自由に設定することができる。なお、第2〜第4のゲイン調整回路18、21、24の動作もこれと同様であるが、各係数値a、b、cはそれぞれのゲイン調整回路18、21、24で独立に設定することができる。
【0068】
ステップS901で信号Xが入力されると、ステップS902で、この入力信号Xの値が係数値cの符号を反転した値−cより小さいかどうかを判断する。入力信号Xが符号反転係数値−cより小さいときは、ステップS903に進む。ステップS903で第1のゲイン調整回路17は、Y=aX+bで示される信号Yを計算して出力する。
【0069】
一方、入力信号Xの値が符号反転係数値−cより小さくないときは、ステップS904に進み、入力信号Xの値が係数値c以下かどうかを更に判断する。入力信号Xの値が係数値c以下のときは、ステップS905に進み、第1のゲイン調整回路17は信号Y=0を出力する。また、入力信号Xの値が係数値c以下でないときは、ステップS906に進み、第1のゲイン調整回路17はY=aX−bで示される信号Yを計算して出力する。
【0070】
すなわち、第1のゲイン調整回路17では、入力信号Xの値が符号反転係数値−cより小さいならaX+bで与えられる値の信号Yを出力する。また、入力信号Xの値が符号反転係数値−cより大きく係数値c以下であるなら、第1のゲイン調整回路17は0を出力し、入力信号Xの値が係数値cより大きいなら第1のゲイン調整回路17はaX−bで与えられる値の信号Yを出力する。
【0071】
図10は、図1中に示した第1のゲイン調整回路17の入出力特性の一例を示す図である。
図10において、縦軸は第1のゲイン調整回路17の出力Yを示し、横軸は第1のゲイン調整回路17への入力Xを示す。ここで、係数値a、b、cの関係はc=b/aである。入力信号Xの値が−b/aより小さいかあるいはb/aより大きいとき、入力信号Xの値が大きくなるとともに出力信号Yの値は大きくなるような比例関係を示す。また、入力信号Xの値が−b/aより大きくb/aより小さいときには、入力信号Xの値に関わらず出力信号Yの値は0となる。
【0072】
次に、図1に示した画像処理装置の動作について説明する。
撮像レンズ30、光学ローパスフィルタ31を通してCCD1により被写体が撮像され、読み出されたアナログCCD信号は、CDS・AGC回路2によってサンプリングおよびゲイン調整が施され、A/D変換器3でデジタルCCD信号に変換される。
【0073】
上記デジタルCCD信号は、補正回路4においてオプティカルブラック補正(黒バランス補正)が施される。さらに、光源およびCCD個体差に基づいた係数を乗算することによりホワイトバランス補正が施される。
上記補正回路4で補正が施されたデジタルCCD信号は、ディレイライン5に入力される。ディレイライン5は、入力されたデジタルCCD信号を順次遅延して6本の信号線L0〜L2、L11〜L13に出力する。これにより、補正回路4自身の出力とディレイライン5の出力とを合わせて合計7ライン分(L0〜L3、L11〜L13)のデジタルCCD信号を得ることができる。これら7ライン分のデジタルCCD信号は、補間回路6、垂直ノッチ回路10、垂直LPF回路14、第1の垂直BPF回路19および第2の垂直BPF回路22に入力され、フィルタリング処理される。
【0074】
補間回路6に入力されたデジタルCCD信号は、ここで補間処理が施される。補間処理が施されたデジタルCCD信号は、マトリクス回路7により色差信号もしくはRGB信号等の色信号に変換される。そして、マトリクス回路7から出力された色信号は、第2の抑圧制御信号Ys’に従い、色抑圧回路8で偽色の発生が抑圧された後、色ガンマ回路9でガンマ変換されることにより、色信号UVが生成される。
【0075】
また、垂直ノッチ回路10に入力されたデジタルCCD信号は、水平ノッチ回路11とともに垂直方向および水平方向のナイキスト周波数成分がノッチされ、輝度の基準信号となる輝度基準信号Yhに変換される。
【0076】
また、垂直LPF回路14に入力されたデジタルCCD信号は、図7に示されるような周波数特性を持つフィルタ処理によって垂直方向の低周波成分が抽出される。そして、この垂直LPF回路14の後段に接続された第1の水平BPF回路15および第2の水平BPF回路16により、それぞれ図8(a)および(b)に示される周波数特性に従い、垂直方向の低周波成分のみとなったデジタルCCD信号から水平方向の高周波成分が抽出される。
【0077】
これにより、垂直方向の低周波成分でありかつ水平方向の高周波成分のデータが得られる。このデータは、第1および第2のゲイン調整回路17、18でそれぞれの係数値a、bに基づいてゲイン調整され、第1の水平方向のアパーチャ補正信号および第2の水平方向のアパーチャ補正信号として出力される。
【0078】
また、第1の垂直BPF回路19に入力されたデジタルCCD信号は、図8(a)に示される周波数特性を持つフィルタ処理によって垂直方向の高周波成分が抽出される。そして、この第1の垂直BPF回路19の後段に接続された第3の水平BPF回路20により、図8(a)に示す周波数特性に従い、垂直方向の高周波成分のみとなったデジタルCCD信号から水平方向の高周波成分が抽出される。これにより、垂直方向の高周波成分でありかつ水平方向の高周波成分のデータが得られる。このデータは、第3のゲイン調整回路21で係数値a、bに基づいてゲイン調整され、斜め方向のアパーチャ補正信号として出力される。
【0079】
また、第2の垂直BPF回路22に入力されたデジタルCCD信号は、図8(a)に示される周波数特性を持つフィルタ処理によって垂直方向の高周波成分が抽出される。そして、この第2の垂直BPF回路22の後段に接続された水平LPF回路23により、図7に示す周波数特性に従い、垂直方向の高周波成分のみとなったデジタルCCD信号から水平方向の低周波成分が抽出される。これにより、垂直方向の高周波成分でありかつ水平方向の低周波成分のデータが得られる。このデータは、第4のゲイン調整回路24で係数値a、bに基づいてゲイン調整され、垂直方向のアパーチャ補正信号として出力される。
【0080】
上記第1および第2のゲイン調整回路17、18から出力された第1および第2の水平方向のアパーチャ補正信号と、第3のゲイン調整回路21から出力された斜め方向のアパーチャ補正信号と、第4のゲイン調整回路24から出力された垂直方向のアパーチャ補正信号は、加算器25〜27で加算されて出力される。その出力されるアパーチャ補正信号の2次元周波数特性は、後述する図11に示すようになる。
【0081】
加算器27より出力されるアパーチャ補正信号は、低輝度時および高輝度時には、第1の抑圧制御信号Ysに従って、アパーチャ抑圧回路28で抑圧され、アパーチャ補正信号Yaとして出力される。そして、このアパーチャ補正信号Yaと、垂直ノッチ回路10および水平ノッチ回路11により変換された輝度基準信号Yhとが加算器12で加算される。その演算結果として出力される信号が輝度ガンマ回路13でガンマ変換されることにより、アパーチャ補正の施された輝度信号Yが得られる。
以上により、CCD1により読み出されたアナログCCD信号からデジタルのYUV画像信号を生成することができる。
【0082】
図11は、本実施形態によるアパーチャ補正信号の2次元周波数特性の一例を示す図である。
図11において、X軸は水平周波数を示し、Y軸は垂直周波数を示し、Z軸はゲインを示す。また、FnHは水平ナイキスト周波数であり、FnVは垂直ナイキスト周波数である。P1は水平方向のアパーチャ補正信号のピーク、P2は垂直方向のアパーチャ補正信号のピーク、P3は斜め方向のアパーチャ補正信号のピークである。
【0083】
水平方向のアパーチャ補正信号のピークP1と斜め方向のアパーチャ補正信号のピークP3との間の谷は、垂直LPF回路14の周波数特性によるものであり、垂直LPF回路14の周波数特性をなだらかにすることで滑らかな周波数特性に改善することができる。同様に、垂直方向のアパーチャ補正信号のピークP2と斜め方向のアパーチャ補正信号のピークP3との間の谷は、水平LPF回路23の周波数特性によるものであり、水平LPF回路23の周波数特性をなだらかにすることで滑らかな周波数特性に改善することができる。
また、斜め方向のアパーチャ補正信号のピークP3をわずかに低くすることで、高周波領域で滑らかなより円に近い2次元周波数特性を得ることができる。
【0084】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、第1のアパーチャ補正手段14〜18で画像信号の垂直低域成分および水平高域成分を抽出して水平方向のアパーチャ補正信号を生成し、第2のアパーチャ補正手段22〜24で画像信号の垂直高域成分および水平低域成分を抽出して垂直方向のアパーチャ補正信号を生成するようにする。さらに、第3のアパーチャ補正手段19〜21で画像信号の垂直高域成分および水平高域成分を抽出して斜め方向のアパーチャ補正信号を生成するようにしている。
【0085】
これにより、水平方向および垂直方向のアパーチャ補正のみでは補正しにくかった垂直高域成分かつ水平高域成分にもアパーチャ補正信号が生成され、図11に示されるような2次元周波数特性のアパーチャ補正信号を得ることができる。これにより、丸い被写体が角ばって強調されるなどの不自然な画像を生成することなく、高画質な画像を生成することができるようになる。
【0086】
また、本実施形態では、垂直ノッチ回路10および水平ノッチ回路11により輝度基準信号を生成する処理と、アパーチャ補正手段14〜24によりアパーチャ補正信号を生成する処理とを並列に行うとともに、第1〜第3のそれぞれのアパーチャ補正手段の出力ゲインおよびベースクリップレベルを第1〜第4のゲイン調整回路17、18、21、24で独立に制御してアパーチャ補正を行うようにしている。これにより、輝度信号に基づきアパーチャ補正を行っていた従来と比べて、アパーチャ補正特性を容易に制御することができるとともに、各方向にバランスのとれたより良好なアパーチャ補正特性を得ることができる。
【0087】
また、第1のアパーチャ補正手段14〜18においては、図8(a)(b)のように異なる周波数特性を持った第2の抽出手段15および第3の抽出手段16によって、画像信号の水平高域成分を抽出するようにし、さらに、第1および第2のゲイン調整回路17、18では係数値a、bをそれぞれ独立に設定できるようにしている。
【0088】
これにより、第1のアパーチャ補正手段14〜18から出力される水平方向のアパーチャ補正信号の周波数特性をより細かく制御することができ、垂直アパーチャ補正信号とのバランスのとれたアパーチャ補正を行うことができる。よって、不自然な画像が生成されないようにすることができる。
【0089】
例えば、第1および第2のゲイン調整回路17、18の各係数値aをともに0.5に設定すると、これらのゲイン調整回路17、18の出力信号を加算する加算器25での加算結果は、第1の水平BPF回路15の出力信号と第2の水平BPF回路16の出力信号との平均となり、その周波数特性は図8(c)のようになる。また、上記第1および第2のゲイン調整回路17、18の各係数値aをそれぞれ適宜設定することで、水平方向のアパーチャ補正信号の周波数特性として、図8(a)と図8(b)との間の任意の周波数に周波数ピークを設定することができる。
【0090】
また、上記第1および第2のゲイン調整回路17、18の各係数値bをそれぞれ適宜設定することも可能である。例えば、第1の水平BPF回路15に接続された第1のゲイン調整回路17の係数値bよりも、第2の水平BPF回路16に接続された第2のゲイン調整回路18の係数値bに大きな値を設定する。これにより、入力信号レベルの絶対値が小さい領域での出力信号レベルは0となり、入力信号レベルの絶対値がある一定の大きさ以上にならないと出力が得られないため、第1および第2のゲイン調整回路17、18の出力信号は、それぞれ前段に接続されているフィルタ回路で、ある一定のゲインが得られた周波数領域の信号となる。例えば、図8(b)で示される周波数特性の第2の水平BPF回路16では、最大ゲインが得られるピーク近傍の周波数領域の信号は出力されるが、フィルタ回路によってほとんど遮断される周波数領域の信号は出力信号レベルが0固定となる。このように、第1および第2のゲイン調整回路17、18の各係数値bを設定することで、所望の周波数領域の信号のみ出力できるようになる。
【0091】
さらに、第1のゲイン調整回路17の係数値bよりも第2のゲイン調整回路18の係数値bに大きな値を設定した場合には、第1のゲイン調整回路17の前段に接続された第1の水平BPF回路15では比較的低い周波数領域を幅広い領域で抽出し、第2のゲイン調整回路18の前段に接続された第2の水平BPF回路16では第1の水平BPF回路15より高い周波数領域で狭く抽出することで、CCD1やアナログ系のS/N等に対応することができ、さらにより高周波領域までノイズを強調せずにアパーチャ補正を行うことができる。
【0092】
また、第3のアパーチャ補正手段19〜21においては、第3のゲイン調整回路21より出力される斜め方向のアパーチャ補正信号の符号を反転することで、色フィルタの輝度へのもれ込みを軽減することができる。
【0093】
また、第1の水平BPF回路15と第2の水平BPF回路16とで回路の一部を共通化することで、回路規模を削減することができる。さらに、フィルタの対称性により垂直ノッチ回路10、垂直LPF回路14、第1および第2の垂直BPF回路19、22が備える各垂直フィルタの初段の加算器を共通化することもでき、回路規模を削減することができる。
【0094】
なお、上記実施形態では、A/D変換器3によりアナログCCD信号から変換され出力されたデジタルCCD信号を補正回路4に直接入力しているが、A/D変換器3と補正回路4との間にDRAM等のメモリを設けてバッファリングしても良い。
【0095】
また、上記実施形態では図示していないが、各フィルタのタップ数の違いにより発生する遅延差は、それぞれの回路において吸収され、信号は同時化されている。また、上記実施形態では各フィルタの特性は固定としたが、レジスタおよびセレクタ等を用いて変更可能なようにしても良い。
【0096】
なお、以上説明した実施形態では、2次元的な歪としてアパーチャ歪に対する画像補正について示したが、本発明はアパーチャ補正に限定されるものではなく、2次元的な歪に対して画像補正を行うものであれば何れにも適用できるものである。
【0097】
なお、以上説明した実施形態では、水平方向のアパーチャ補正信号を生成する第1の補正手段で異なる周波数特性に基づき画像信号中から所望の周波数成分を抽出する複数の信号抽出手段を用いているが、水平方向のアパーチャ補正信号を生成する第1の補正手段に限られるものではなく、垂直方向および斜め方向のアパーチャ補正信号を生成する第2および第3の補正手段の何れかで複数の信号抽出手段を用いても良い。また、第1〜第3の補正手段の中の複数の補正手段が、それぞれ複数の信号抽出手段を用いてももちろん良い。
【0098】
また、本実施形態のアパーチャ補正回路を備えた画像処理装置は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても1つの機器(例えば、複写機、ファクシミリ装置)からなる装置に適用しても良い。
【0099】
また、上述した実施形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、上記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0100】
また、この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0101】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0102】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれることは言うまでもない。
【0103】
【発明の効果】
発明によれば水平方向の画像補正信号と垂直方向の画像補正信号のみでは補正しにくい周波数成分斜め方向の画像補正信号により補正することができるので、補正を強めても丸い被写体が角ばったり画像の輪郭がつき過ぎるなどの不自然な画像を生成することなく、高画質な画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像処理装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1中に示した垂直LPF回路の詳細な構成例を示す図である。
【図3】図1中に示した第1、第3の水平BPF回路の詳細な構成例を示す図である。
【図4】図1中に示した第2の水平BPF回路の詳細な構成例を示す図である。
【図5】図1中に示した第1、第2の垂直BPF回路の詳細な構成例を示す図である。
【図6】図1中に示した水平LPF回路の詳細な構成例を示す図である。
【図7】図2および図6に示したLPF回路の周波数特性を示す図である。
【図8】図3〜図5に示したBPF回路の周波数特性を示す図である。
【図9】図1中に示したゲイン調整回路の動作を示すフローチャートである。
【図10】図1中に示したゲイン調整回路の入出力特性を示す図である。
【図11】本実施形態によるアパーチャ補正回路の2次元周波数特性の一例を示す図である。
【図12】従来のアパーチャ補正回路の一構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 CCD
2 CDS・AGC回路
3 A/D変換器
4 補正回路
5 ディレイライン
6 補間回路
7 マトリクス回路
8 色抑圧回路
9 色ガンマ回路
10 垂直ノッチ回路
11 水平ノッチ回路
12、25〜27 加算器
13 輝度ガンマ回路
14 垂直LPF回路
15 第1の水平BPF回路
16 第2の水平BPF回路
17、18、21、24 ゲイン調整回路
19 第1の垂直BPF回路
20 第3の水平BPF回路
22 第2の垂直BPF回路
23 水平LPF回路
28 アパーチャ抑圧回路
29 抑圧制御信号生成回路
30 撮像レンズ
31 光学ローパスフィルタ
UV 色信号
Y 輝度信号
Yh 輝度基準信号
Ya アパーチャ補正信号

Claims (5)

  1. 入力された画像信号の水平方向のアパーチャ補正に必要な第1の画像補正信号を生成する第1の画像補正信号生成手段と、
    前記画像信号の斜め方向のアパーチャ補正に必要な第2の画像補正信号を生成する第2の画像補正信号生成手段と、
    前記画像信号の垂直方向のアパーチャ補正に必要な第3の画像補正信号を生成する第3の画像補正信号生成手段と、
    前記画像信号と、前記第1、第2および第3の画像補正信号とを用いて、アパーチャ補正された輝度信号を生成する輝度信号生成手段とを備え、
    前記第1の画像補正信号生成手段は、
    前記画像信号から垂直方向の低周波成分を有する垂直低域信号を抽出する垂直低域信号抽出手段と、
    前記垂直低域信号から水平方向の高周波成分を有する第1の水平高域信号を抽出する第1の水平高域信号抽出手段と、
    前記第1の水平高域信号抽出手段と異なる周波数特性を有しており、前記垂直低域信号から水平方向の高周波成分を有する第2の水平高域信号を抽出する第2の水平高域信号抽出手段と、
    前記第1の水平高域信号の出力レベルおよびベースクリップレベルを調整する第1の調整手段と、
    前記第2の水平高域信号の出力レベルおよびベースクリップレベルを調整する第2の調整手段とを有し、
    前記第1の水平高域信号と前記第2の水平高域信号とを用いて、前記第1の画像補正信号を生成し、
    前記入力された画像信号は撮像手段により得られた信号であり、前記第1および第2の調整手段は、前記第1の水平高域信号抽出手段が低い周波数領域を幅広い領域で抽出し、前記第2の水平高域信号抽出手段が前記第1の水平高域信号抽出手段よりも高い周波数領域で狭く抽出するように前記出力レベルおよびベースクリップレベルを調整することにより、前記撮像手段のS/N比の特性に対応させることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記第2の画像補正信号生成手段は、
    前記画像信号から垂直方向の高周波成分を有する第2の垂直高域信号を抽出する第2の垂直高域信号抽出手段と、
    前記第2の垂直高域信号から水平方向の高周波成分を有する第3の水平高域信号を抽出する第3の水平高域信号抽出手段とを有し、
    前記第3の水平高域信号を用いて、前記第2の画像補正信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記第2の画像補正信号生成手段は、前記第3の水平高域信号の出力レベルおよびベースクリップレベルの少なくとも一つを調整する第3の調整手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第3の画像補正信号生成手段は、
    前記画像信号から垂直方向の高周波成分を有する第1の垂直高域信号を抽出する第1の垂直高域信号抽出手段と、
    前記第1の垂直高域信号から水平方向の低周波成分を有する水平低域信号を抽出する水平低域信号抽出手段とを有し、
    前記水平低域信号を用いて、前記第3の画像補正信号を生成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記第3の画像補正信号生成手段は、前記水平低域信号の出力レベルおよびベースクリップレベルの少なくとも一つを調整する第4の調整手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
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