JP4072247B2 - 地盤安定化工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、掘削工事において、ヒービング、ボイリング、盤ぶくれ等の現象を防止し、有効な止水効果を得て地盤を安定化させるための工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、掘削工事においては、土砂の崩壊を防止するために掘削部分の周囲を山留め壁によって山留めするが、掘削地盤が軟弱である場合には、地盤が滑り出して掘削面に流れ込む、いわゆるヒービング現象が発生することがある。また掘削地盤が透水性地盤であれば、湧水により掘削工事が阻害されるだけでなく、揚水圧で土砂が流動する、ボイリングとよばれる現象が発生するおそれもある。さらに掘削地盤が不透水性地盤であっても、その下層に透水性地盤があれば楊水圧により盤ぶくれが発生することがある。
【0003】
そこで、これらの障害に対処するためには、山留め壁の根入れを深くすることや地盤改良を行う方法が従来より行われていたが、より安価で簡便な方法として特開平4−272388号で記載されているような工法が提案されていた。
【0004】
この工法は水中掘削によって掘削した底部地盤上に、下層に位置する安定地盤まで到達するよう形成した削孔に引張材を挿入し、硬化材料を削孔内に充填してアンカーを形成し、さらにそのアンカーを緊張させた後、底部地盤上にアンカーと定着するように水中コンクリートを打設する工法である。この工法によって掘削後の底部地盤は有効な止水効果を得ることができ、盤ぶくれ等の現象を防止するため、底部地盤を安定化させることができる。
【0005】
一方、掘削工事において山留め壁を安定化させるためには、従来より切梁や腹起しなどの支保工を設置して山留め壁を支持することが行われているが、土圧の荷重が過大であると、座屈により、山留め壁の倒壊を引き起こすおそれがあるため、中間杭を底部地盤に打ち込んで、これを切梁と固定することが行われていた。
【0006】
さらに、市街地において路面等の地下に大規模な掘削工事を行う場合には、路面交通等を阻害しないように掘削地盤の上面に覆工作業が行われる。かかる覆工作業においては、通常、底部地盤上に支柱を設けて覆工板を支持することが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の底部地盤の安定化工法では、アンカーの芯棒として、専用の部材であるPC鋼材等の引張材を使用することを要し、工事費が増大するため、より安価な工法が必要とされていた。また、アンカーの形成後はこの引張材を緊張させる工程が必要であり、工事全体の工程が複雑化するため、さらに簡便な工法が切望されていた。
【0008】
また、地盤安定化工法におけるアンカーの形成や、切梁を固定する中間杭や覆工板を支持する支柱の設置はそれぞれ別途に行われていたため、効率性の面で問題があり、工事全体の工程を簡素化できるより効率的な工法が切望されていた。
【0009】
本発明は上述のような事情に鑑みてされたもので、アンカーを使用して底部地盤を安定化させる場合に、安価で簡便な工法で同様の効果を実現することを目的とし、さらにアンカーとして使用する部材を、切梁を支持する中間杭や、覆工板を支持する支柱としても使用可能とすることで、底部地盤だけでなく山留め壁や覆工板をも安定化させる、地盤安定化工法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を達成するために以下のような構成としている。
【0011】
すなわち、掘削地盤に山留め壁を打ち込む工程と、山留め壁の内側を掘削する工程と、山留め壁の内側に水を溜める工程と、掘削地盤中に、堅固な安定地盤層に到達するまでH型鋼やI型鋼からなる定着部材を打ち込んで定着させる工程と、水中コンクリートを掘削後の底部地盤上に打設してコンクリート盤を形成し、このコンクリート盤に前記定着部材を定着させる工程と、コンクリート盤の硬化後に、排水作業を行う工程と、前記山留め壁の内側にこれを支持するH型鋼からなる支保部材を形成する工程と、この支保部材と前記定着部材を溶接又はボルト締めで固定する工程と、前記掘削地盤の上面に覆工板を形成する工程と、この覆工板を前記定着部材で支持させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
以下、上記の構成をさらに詳細に説明する。(山留め壁)前記山留め壁としては、公知の山留めである地中連続壁、鋼管矢板、鋼矢板、ソイルセメント柱列壁等を使用することができる。これは掘削完了後も撤去されずに水中コンクリートと一体化するものである。(掘削)本発明においては、掘削は立坑を形成する場合や、溝状に掘削を行う場合などのあらゆる掘削作業を意味するものとし、掘削後の掘削地盤の形状や大きさによって特に限定されるものではない。また掘削工事においては公知のあらゆる方法を使用することができるが、水中掘削によるのが一般的である。すなわち、山留め壁の内側を一定深度掘削した後に、山留め壁の倒壊防止のために注水作業を行いながら掘削する工法である。さらに水中掘削に使用する機械としてはバケットのほか、ハンマー等を使用することができる。尚、掘削地盤が透水性地盤であり、湧水が発生している場合には、注水作業は不要である。
(定着部材)前記定着部材は、底部地盤の下方に位置する安定地盤層と、水中コンクリートの打設によって形成されたコンクリート地盤の両方に定着されて、アンカーとして底部地盤を安定化させるものであるため、土圧や揚水圧に対抗しうる剛性が必要である。従って、公知の鋼矢板や鋼杭などの鋼性部材が適当であり、公知のH型鋼やI型鋼等を使用することができる。
【0013】
これらの定着部材を安定地盤層に定着させる工法としては、定着地盤層にオーガーやボーリングによって削孔を形成した後に、上述の定着部材を挿入し、削孔との間の空隙をグラウト注入によって充填する工法が適当である。定着部材を打ち込む段階は、掘削工事のいずれの段階でもよく、水中掘削による掘削中または掘削後に、掘削地盤上に削孔を行い、定着部材を定着させるほか、掘削の開始前、すなわち山留め壁の打ち込みと同時に定着部材をあらかじめ安定地盤層まで打ち込んでもよい。
【0014】
この定着部材は、後述するように、切梁等の支保部材と固定して、切梁で山留め壁を支持する場合の中間杭とすることができるほか、掘削の開始前に定着部材を安定地盤層に打ち込んだ場合は、これを支柱として掘削地盤の上面に覆工板を形成することができる。尚、定着部材を切梁の中間杭や覆工板の支柱として使用することなく、アンカーとしてのみ使用することができる。この場合には定着部材において、コンクリート盤が形成された後にコンクリート盤より突出した部分を切断するほか、定着部材をより安定地盤層に深く打ち込むようにしてもよい。
【0015】
また、削孔にあたって他の工法を使用することもできるほか、硬化材料も、セメントミルクやモルタル等のグラウトに代えて、他の硬化材料を使用することもできる。この定着部材には、削孔内の硬化材料または水中コンクリートとの一体性を高めるために、適宜係止部材を付設してもよい。尚、係止部材の形状は特に限定されるものでもなく、係止部材の材料も鋼製、コンクリート製等公知の材料を用いることができる。
(水中コンクリート)
水中コンクリート工法は、水中においてコンクリートを打設する公知の工法であり、材料の分離を防ぐため、特に粘性に富んだコンクリートを使用することを要する。また、水溶性混和剤を用いた特殊水中コンクリートを使用してもよい。一般的にはトレミー管を使用するトレミー工法によって施工されるが、これに代えてコンクリートポンプを使用してもよい。
(支保部材)
前記支保部材は、排水後の山留め壁支持のために山留め壁に設置される部材であり、鋼性やコンクリート製の切梁及び腹起しが一般的に使用される。切梁は底部地盤に対し、水平に設置しても斜めに設置してもよく、また切梁間隔が大きいときには方づえを設置してもよい。また定着部材を中間杭として使用する場合には、この定着部材と固定することができる。固定の手段は溶接、ボルト締めなどを使用することができる。
(覆工板)
前記覆工板は、覆工作業、すなわち市街地で大規模な掘削工事を行う場合に路面交通を妨げないよう掘削地盤の上面を被覆する工程において用いられる部材であり、掘削作業開始前に、鋳鉄や鋼矢板、H型鋼等の公知の材料より構成される。また、覆工作業にあたっては、山留め壁を支点としてH型鋼等の部材を受桁として掘削地盤の上面に覆設し、その上に覆工板を設置するのが通常である。
尚、施工時には、覆工板と路面が接する部分にはアスファルト混合物を充填して補強してもよい。
【0016】
上記のような解決手段によれば、定着部材が安定地盤層、すなわち掘削に適した良質な地盤である砂礫層等の地層と掘削地盤上に形成されたコンクリート盤の双方に定着されているため、掘削地盤がボイリングやヒービング、盤ぶくれによる影響を受けることがなく、また湧水の遮断によって有効な止水効果をえることができる。従って従来の地盤改良や山留め壁の根入れの延長はもちろん、引張材を使用したアンカーによる地盤安定化工法よりも安価にして簡易な工程で掘削地盤を安定化させることができる。
【0017】
さらに切梁等の支保工と固定されて中間杭の役割を果たし、覆工板を支持する支柱としても機能するため、これらに使用される部材を低減し、工事費全体の低廉化に寄与するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態では、掘削作業後に定着部材10を安定地盤層2まで打ち込む場合の工法を説明する。
【0019】
図1から図7は、本発明に係る地盤安定化工法によって掘削工事を行う場合の施工手順を示す断面図である。図1に示す通り、掘削しようとする地盤である掘削地盤1においては、その下方には砂礫層から成る安定地盤層2が存在するものとする。
【0020】
まず、掘削工事に先だって、山留め壁3を掘削しようとする地盤の外周に埋入する。本実施の形態においては、山留め壁3はソイルセメント柱列壁であり、図示しないオーガマシン等の機械によって、地中の土壌とセメントミルクを攪拌混合して、ソイルセメントの連続する地中壁を造成して形成される。
【0021】
次に、図2に示すように、山留め壁3の内側を掘削作業によって底部地盤4まで掘削する。本実施の形態においては、いわゆる水中掘削によって掘削工事を行う。すなわち一定深度の掘削が終了した後に、山留め壁3の倒壊を防ぐため、山留め壁3の内側に注水し、バケット5等の掘削機械を用いて掘削を行う。このため底部地盤4の上方には、注水層6が形成されることとなる。掘削作業が短期間で終了する場合は、掘削工事終了後に山留め壁3の内側に注水作業を行ってもよい。また、底部地盤4が透水性地盤であり、湧水が発生している場合は、注水作業は不要である。
【0022】
次に、定着部材10の打ち込みを行う。本実施の形態では、ボーリングによる削孔後に定着部材10の打ち込みを行う方法によって説明する。本実施の形態では特に鋼材の中でも取り扱いの容易なH型鋼材を定着部材10として使用している。
【0023】
まず、図3に示すように、ボーリングロッド7が挿通可能なボーリングガイドパイプ8を底部地盤4に対して鉛直方向に設置する。次にボーリングロッド7をボーリングガイドパイプ8の上端より挿入し、底部地盤4に対しボーリングによる削孔作業を行い、底部地盤4の下方に位置する定着地盤層2まで削孔9を穿設する。
【0024】
削孔作業が完了後、図4に示すように、定着部材10を削孔9に挿入し、安定地盤層2に定着させる。本実施の形態では、斜線部で示すように、グラウトとしてモルタル11を削孔9と定着部材10の間に生じる間隙に充填して定着部材10の定着を行う。 なお、あらかじめボーリングガイドパイプ8を底部地盤4に埋入し、内部を削孔した後にボーリングガイドパイプ8を引き上げながらモルタル11を充填してもよい。さらに本実施の形態ではボーリングマシン7を使用して削孔作業を行っているが、これに代えて削孔作業に図示しないオーガマシン等を使用してもよい。
【0025】
また、本実施の形態においては、定着部材10の挿入後にモルタル11を充填する工法を使用しているが、あらかじめ削孔9にモルタル11を充填しておき、硬化する前に定着部材10を打ち込む工法を使用してもよい。
【0026】
上述したように定着部材10の打ち込みが終了した後は、定着部材10の上端を包み込み、これらと一体化するように、以下の工程によって水中コンクリート12の打設を行う。まず、図5に示すように、底部地盤4の面積に応じて必要な数のトレミー管13を設置する。この際、トレミー管13に代えて、コンクリートポンプによる水中コンクリート12の打設を行ってもよい。
【0027】
次に、トレミー管13の上方より送られた水中コンクリート12を注入する。水中コンクリート12に使用されるコンクリート素材は、高粘度かつ難溶性の素材であればあらゆる材料を使用することができる。
注入された水中コンクリート12は水中で定着部材10を巻き込みつつ、図6に示すように一体的に硬化してコンクリート盤15となり、定着部材10はコンクリート盤15に定着され、さらにコンクリート盤15は定着部材10を通じて安定地盤層2と固定されることとなる。
【0028】
尚、定着部材10の水中コンクリート12と一体化する部分においては、水中コンクリート12の打設前に別途係止部材14を付設してもよい。この場合は水中コンクリート12が硬化した後により強固に定着部材10が定着される。
【0029】
定着部材10をアンカーとしてのみ使用する場合は、コンクリート盤15の硬化後に、定着部材10のうち上方に突出した部分を切断してもよいが、本実施の形態では、定着部材10を中間杭としても使用するものとする。以下定着部材10と支保部材16の固定について説明する。
【0030】
定着部材10によって安定地盤層2がコンクリート盤15と固定された後は、ドライアップ、すなわち排水作業を行うが、排水後の山留め壁3を支持するために、図6に示すような支保部材16の設置が行われる。本実施の形態においては、支保部材として切梁16aが底部地盤4に平行して設置され、切梁16aが山留め壁3と接する部分には、腹起し16bが山留め壁3の内周に沿って付設される。本実施の形態において切梁16a及び腹起し16bにはH型鋼を使用している。また、排水作業にあたっては、公知のあらゆる方法を使用することができるが、本実施の形態では、図示しないポンプによる排水作業を行うものとする。本実施の形態においては、定着部材10は中間杭として用いられているため、切梁16aは定着部材10と接触するように設置され、接触部分においてボルト等で締着されている。この段階において、切梁16aの平面剛性を高めるために、図示しない方づえや火打ばりを適宜支保部材16に設置してもよい。
【0031】
また、掘削地盤4の上には注水層6が形成されているため、支保部材16の設置は排水作業と平行して行われる。すなわち支保部材16の設置位置まで注水層6の水位が下がるように排水作業を行った後、支保部材16を速やかに設置する。以降、排水作業を行いつつ底部地盤4に向けて支保部材16を所望の数だけ設置していく。
【0032】
排水作業を完了し、注水層6を除去することをもって、図7に示すように本発明に係る地盤安定化工法を使用した掘削工事は終了する。
【0033】
以上のような工程で打設された水中コンクリート12は、図2のように定着部材10によって底部地盤4を堅固に拘束して形成されているので、下方より多大な土圧が付与されても、盤ぶくれ、ヒービング等の現象が生じることがなく、また湧水が発生しても、十分な止水効果を得ることができる。さらに、硬化した後のコンクリート盤15は地中梁として土圧による山留め壁3の倒壊を防止することができ、また地中梁設置の費用を低減することができる。
<実施の形態2>
本実施の形態では、掘削工事に先だって、定着部材10を安定地盤層2まで打ち込む工法を説明する。本実施の形態においては、掘削前に定着部材10を安定地盤層2に定着するため、大規模な掘削工事において、覆工作業が必要な場合は定着部材10を覆工板19の支柱として用いることができる。以下図面を用いて説明する。
【0034】
図8から図11は、本発明に係る地盤安定化工法によって掘削工事を行う場合の他の施工手順を示す断面図である。
【0035】
まず、掘削工事に先だって図8に示すように、山留め壁3の打ち込みと前後して定着部材10の打ち込みのための削孔9の形成を行う。本実施の形態では、後の工程で覆工作業を行うことを考慮して、掘削地盤1をあらかじめ根切りして、根切り面17を形成した後に、山留め壁3と定着部材10の打ち込みを行っている。尚、削孔作業と定着部材10の埋入の後に山留め壁3の打ち込みを行ってもよい。根切り面17の形成と山留め壁3の打ち込みが終了した後は、山留め壁3で囲まれた根切り面16の所望の位置にボーリングマシン7やボーリングガイドパイプ8を使用して削孔作業を行い、安定地盤層2まで連通した削孔9を形成する。
【0036】
次に、図9に示すように、安定地盤層2まで定着部材10を挿入し、安定地盤層2中の削孔9にグラウトとしてモルタル11を充填して定着部材10を固定する。
【0037】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、定着部材10としてH型鋼を使用している。また、あらかじめ削孔9にモルタル11を注入した後、モルタル11が硬化する前に定着部材10を挿入してもよい。山留め壁3の打ち込みについては、上述した実施の形態1と同一であるので記載を省略する。
【0038】
定着部材10の安定地盤層2への定着が完了した後、本実施の形態では、さらに掘削工事に先だって図10に示すような覆工作業を行う。すなわち、山留め壁3を支点として、受桁18を設置し、さらに覆工板19を覆設する。本実施の形態においては、受桁18及び覆工板19にはH型鋼を使用している。
【0039】
また、定着部材10は覆工板19の支柱として使用するため、覆工板19の下面にボルト等の手段を用いて固定する。また、覆工板19と定着部材10をより強固に固定するため、図示しない溝型鋼等の補強部材を適宜使用してもよい。
【0040】
上記の工程により覆工作業が終了した後は、山留め壁3の内部を実施の形態1と同様の工法で水中掘削によって掘削作業を行う。尚、本実施の形態においても実施の形態1と同様に、係止部材14を定着部材10に付設することもできる。
【0041】
底部地盤4まで掘削作業が進行した後は、実施の形態1と同様に、底部地盤4上に水中コンクリート12を打設し、定着部材10と一体的に硬化させてコンクリート盤15を形成する。詳細は実施の形態1と同じであるので記載を省略する。
【0042】
次に、図11に示すように、注水層6内の水の排水作業の進行と並行して支保部材16の設置を行う。支保部材16である切梁16a、腹起し16bは設置される際に定着部材10を中間杭としてこれに固定して設置される。詳細は実施の形態1と同じであるので記載を省略する。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、排水作業の完了をもって本実施の形態に係る地盤安定化工法による掘削工事は終了する。
【0043】
本実施の形態においては、実施の形態1の効果に加え、定着部材10が切梁16aと固定されて中間杭として機能しているため切梁16aの座屈が起こることがない。また、定着部材10は、掘削地盤1の上面の受桁18及び覆工板19と固定されて支柱として機能しているので、受桁18及び覆工板19をより強力に支持できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、定着部材をアンカーとして使用し、これを安定地盤層と底部地盤上に形成されたコンクリート盤の双方に定着しているため、引張材をアンカーとした場合と同様の効果、すなわち盤ぶくれ等の現象を防止し、有効な止水効果を得ることができる。従って従来の地盤改良や山留め壁の根入れの延長はもちろん、引張材をアンカーとして使用する地盤安定化工法よりも安価にして簡易な工程で地盤を安定化させ、安定した工事を行うことができる。また、硬化した後のコンクリート盤は地中梁として土圧による側壁の倒壊を防止することができ、また地中梁設置の費用を低減することができる。さらに切梁等の支保部材と固定されて中間杭の役割を果たし、覆工板を支持する支柱としても機能するため、これらに使用される部材を低減し、工事費全体の低廉化に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る施工例の工程の一手順を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・掘削地盤
2・・安定地盤層
3・・山留め壁
4・・底部地盤
5・・掘削機械
6・・注水層
7・・ボーリングロッド
8・・ボーリングガイドパイプ
9・・削孔
10・・定着部材
11・・モルタル
12・・水中コンクリート
13・・トレミー管
14・・係止部材
15・・コンクリート盤
16・・支保部材
16a・・切梁
16b・・腹起し
17・・根切り面
18・・受桁
19・・覆工板
Claims (1)
- 掘削地盤に山留め壁を打ち込む工程と、
山留め壁の内側を掘削する工程と、
山留め壁の内側に水を溜める工程と、
掘削地盤中に、堅固な安定地盤層に到達するまでH型鋼やI型鋼からなる定着部材を打ち込んで定着させる工程と、
水中コンクリートを掘削後の底部地盤上に打設してコンクリート盤を形成し、このコンクリート盤に前記定着部材を定着させる工程と、
コンクリート盤の硬化後に、排水作業を行う工程と、
前記山留め壁の内側にこれを支持するH型鋼からなる支保部材を形成する工程と、
この支保部材と前記定着部材を溶接又はボルト締めで固定する工程と、
前記掘削地盤の上面に覆工板を形成する工程と、
この覆工板を前記定着部材で支持させる工程と、を含むことを特徴とする地盤安定化工法。
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