JP4071840B2 - 水平軸の周囲を回転し得るドラムを有する衣服洗濯機又は同様の機器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣服洗濯機、あるいは洗濯・乾燥機のような同様の機器、特に、水平軸の周囲を回転し得る穴あきドラムを有する家庭用の衣服洗濯機等に関する。
【０００２】
【従来の技術】
良く知られているように、この種の機械は、洗濯すべき衣服を入れ・取り出すための前部又は上部ドアの開口部が設けられた外部キャビネット、洗濯溶液を含む内部タブ、及び上述したドラムを有する。通常ベローズとして知られている弾性ダクトは、洗濯物挿入用ドアの外部キャビネットに設けられた上記開口部と内部タブに設けられた補助開口部との間に位置している。
【０００３】
正面に洗濯物挿入用ドアを有する洗濯機に現在用いられているベローズの最近の構造は、本出願人の英国特許出願第２，２９６，０１８号に開示されている。上部に洗濯物挿入用ドアを有する洗濯機においても、本機運転中に外部キャビネットに対して内部タブを自由に振動させるためにベローズ長さの実質的部分に沿って複数の周縁の渦線を有することが知られている。ベローズもまた、上記渦線と一体的に作られた第１及び第２のフランジ端を有し、前者のフランジ端は洗濯物挿入用ドアの外部キャビネットに設けられた開口部に固定され、後者のフランジ端は内部タブに設けられた開口部に固定されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
全体として単一の部品として作られているので、公知のベローズは、エラストマー性を有する混合物であり、様々なあるいは対立さえする諸要求を満足し得る材料で作られることが必要である。特に、そのような材料は、ベローズの上述した内部タブに設けられた開口部に固定された後者のフランジ端によって課せられる厳格な要求を満足しなければならない、即ち、回転ドラム内の動きによって保たれる摩擦によって生じる磨耗の繰り返しや洗濯溶液に起因する腐食に耐え、同時に、ベローズは、漏水に対するシールを保証するために優れた寸法精度を持たねばならない。その結果、今や洗濯機の製作者にとって上述したすべての要求を満足するために、３３〜３５以上のショアーＡの硬さを有するエラストマー性の混合物でベローズ全体を単一の部品として作ることは常識になっている。
【０００５】
そのような構造のベローズでは、洗濯機の運転中に内部タブ内で生じる実質的にすべての振動が外部キャビネットまで伝達されることが共通の欠点である。より正確には、以下のような負の効果が注目される。
【０００６】
当該洗濯機によって高い（風媒）ノイズが放出される。
【０００７】
特に木製又は他のあまり固くない床の場合には、振動（発振と加速）が筐体の構造を介して洗濯機を囲んでいる家具に拡がり得る。
【０００８】
洗濯機の製作者にとって衣服がバランスを欠いた荷重となる場合には、低いリミットを受け入れざるを得ないこと。これは、ファジィ理論により制御される機械の場合には特に、回転ドラム内の衣服を求められる分布にするためには、自転の試みを繰り返さなければならない可能性が高いことを意味する。
【０００９】
従って、本発明の主たる目的は、簡単且つ信頼性があり低コストの構成で販売後にサービスエンジニアによっても容易に使用され得るベローズによって、上述した負の効果を無くすことである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上述し、また、以下に述べる他のすべての結果は、請求項１の特徴部分に開示された構成要素を有する洗濯機により実現される。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明をより良く理解できるように、好適な、しかしこれに限定はされない実施例について、以下、添付図面を参照して述べる。
【００１２】
当該技術分野で良く知られているように、衣服洗濯機、あるいは洗濯・乾燥機は、図１（図４も参照）に示すように、主に、正面１を有する平行六面体の外部キャビネット、２つの側壁２、及び上平面３から成る。現在述べている実施例のように、正面から衣服を挿入する機械の場合には、衣服を入れ・取り出すためのドアは、正面１にその開口部５の位置で開閉可能に取り付けられた、いわゆる覗き窓４の形態である。いわゆる洗濯ユニットは、外部キャビネットの内側に設けられ、本発明に直接関連する部分は、水平軸の周囲を回転し得る穴あきドラム１１を含む洗濯液及び衣服用のタブ１０である。通常、参照番号１２（図２及び図３を参照）で示される可撓性ダクト又はベローズは、外部キャビネットにおける覗き窓４用の開口部５と内部タブ１０との間に位置している。
【００１３】
より正確には、図２−５に示すように、ベローズ１２は、外側周縁１３と内側周縁１４を含み、外側周縁１３は、公知の手段により外部キャビネットに設けられた開口部５のエッジ６に固定され、内側周縁１４は、図４及び５に最も良く見られるように、洗濯タブ１０の補助開口部８のエッジ７に、ドラム１１の開口部９に近接するように固定されている。ベローズ１２は、衣服をタブ１０に入れ・タブ１０から取り出すためのトンネルとして機能し、更にまた、洗濯液がそこから漏れるのを防ぐガスケットとして機能する。ベローズ１２は、円筒状の帯１５を有し、この円筒状の帯１５の周縁には、ベローズ長の大きな方に伸長する複数の折り目１６が設けられている。図５に示すような洗濯・乾燥機の場合には、ベローズ１２は、上記円筒状の帯１５のところに、内部タブ１０に積まれた衣服を乾かすのに使用される暖気を供給するダクト１８用の開口部１７を含んでいる。本発明の好適実施例に従うと、ベローズ１２は、現在まで知られているように、比較的硬い材料で全体が単一の部品として作られているわけではなく、それぞれ異なる硬さの様々な部品から成る。より正確には、
ベローズ１２の折り目１６と、好ましくは、外側周縁１３及び円筒状の帯１５も、エラストマー性を有し極めて低い硬度の材料で作られている。とくに適した材料は、約２０−３０のショアＡの硬さを有するＥＰＤＭ（エチレン・プロピレン三量体）の混合物である。言い換えると、それらの著しく低い弾性率によって、ベローズの上述した部分は、特に、内部洗濯ユニットから洗濯機の外部キャビネットまで伝達される振動を減衰させるのに十分であり、以下、このことを更に明らかにする。
【００１４】
ベローズの内側周縁１４は、約４０−５０のショアＡの硬さ、即ち、ベローズ１２の折り目１６の硬度よりも高い硬度を有する（エラストマー性あるいはプラストマー性の）合成材料で作られており、これにより、高い耐摩耗（衣服による摩擦）性と高い耐腐食（洗濯液のアルカリ滴定）性を有している。ベローズ１２の内側周縁１４を作るのに特に適した材料は、例えば、ＥＰＤＭ（エチレン・プロピレン三量体）ベースで３０％の二酸化ケイ素を充填した混合物である。
【００１５】
暖気ダクト１８用の開口部１７は、円筒状の帯１５のところに設けられた挿入物であり、好ましくは、約摂氏１６０−１７０度（華氏３２０−３３８度）の温度まで耐えられ、大きな硬度（約４０−５０のショアＡ）を有する合成材料で作られている。適した材料例としては、過酸化物で硬化されたＥＰＤＭ（エチレン・プロピレン三量体）ベースの混合物やシリコンベースの合成材料がある。
【００１６】
本発明のベローズ１２の製造に適用される技術は、例えば、今日、異なる色調の混合物でできた様々な部分から成るスポーツシューズの製造工程ですでに知られ使用されている。それぞれ異なる硬度を有し連続して互いに結合されたこれらの部品を射出及び／又は圧力成型、例えば、従来の接着又は高周波溶接技術により、あるいは硫化工程を介することにより、別々に生産することも可能である。ベローズ１２の上述した内部洗濯ユニットから洗濯機の外部キャビネットまで伝達される振動を減衰させる能力を試験するため、出願人は、現在生産しているものの中から、毎分４５０−１２００回転の範囲でユーザが回転速度を選べる、通常、図１に示される種類の衣服洗濯機を使用した。
【００１７】
上記試験中の測定により以下のことが実証された。
【００１８】
ａ．洗濯機の外部キャビネットの変位振動。（図１に黒い箇所Ｒで示すように）キャビネットの正面右の角を狙ったレーザによるピックアップが図１の軸Ｘに平行なキャビネットの振動を記録するのに用いられた。
【００１９】
ｂ．適当な弾力のある床上に４つ足の台により支えられた洗濯機の加速振動。上記４つ足のひとつの足の下部に位置するセンサを有する加速度計が図１の軸Ｚに平行な加速を記録するのに用いられた。
【００２０】
最初、洗濯機には従来の、即ち、４０のショアーＡの硬度のＥＰＤＭベースの混合物で一体に作られたベローズを取り付けた。多数の回転速度に関する記録されたデータがそれぞれ図６と７のグラフＡとＣにプロットされ、便宜を高めるため、下記の表１と表２にも報告する。
【００２１】
【表１】

【表２】

ここに与えられたデータは、（それぞれｍｍ，ｍ／ｓ² で測定された）絶対的な値ではなく、最低の回転速度（４５０ＲＰＭ）におけるそれぞれの従来例（Ａ，Ｃ）の値を１００とした場合の相対値で示される。
【００２２】
続いて、同じ洗濯機に本発明のベローズを取り付けた。即ち、同一の設計であるが、２７のショアーＡの硬さを有するＥＰＤＭベースの混合物で作られた外側周縁１３、円筒状の帯１５及び周縁の折り目１６と、４０のショアーＡの硬さを有するＥＰＤＭベースの混合物で作られた内側周縁１４を有するものを取り付けた。
【００２３】
同一の回転速度で測定された第２群の試験の記録されたデータが、それぞれ図６と７のグラフＢとＤにプロットされ、便宜を高めるため、上記の表１と表２にも報告する。勿論、この場合においても、与えられたデータは、（それぞれｍｍ，ｍ／ｓ² で測定された）絶対的な値ではなく、最低の回転速度（４５０ＲＰＭ）におけるそれぞれの従来例（Ａ，Ｃ）の値を１００とした場合の相対値で示される。これによりグラフＡとＣを直接比較することが可能となる。そのような比較をより容易とするため、上記表１と表２においては、それぞれＡ対Ｂ、Ｃ対Ｄの比をも与えた。これらは、洗濯機のノイズという点では、ベローズ効率の間接的な項目だからである。
【００２４】
理解されるように、本発明により供される改良は、より運転環境に関心のあるユーザにより普通に選択される回転速度の値、即ち、１０００ＲＰＭ以上において、とくに大きな意味を持つ。
【００２５】
本発明の他の実施例によれば、これに限られるわけではないが、特に、衣服洗濯機又は洗濯・乾燥機が衣服挿入用ドアが上面に設けられた種類のものであるときは、ベローズ全体が、単一の部品として約２０〜３０のショアーＡという極めて低い硬度を有するエラストマー性の材料で作られる。ベローズの端部は、当業者には良く知られているように、環状というより正方形となる。
【００２６】
当業者により開発される本発明の他の変形例も本特許によりカバーされることが企図されている。特に、本特許は、ベローズ１２の内側周縁１４が、十分な剛性を有し熱可塑性あるいは熱硬化性の合成材料で作られ、周縁の折り目１６が、約２０〜３０のショアーＡの硬度を有する熱可塑性あるいは熱硬化性の合成材料で作られる変形例をもカバーするものである。
【００２７】
【発明の効果】
結論として、本発明の効果を要約すれば、以下の通りである。
【００２８】
衣服洗濯機により放出される風媒ノイズが減少される。
【００２９】
床を介して伝達される衣服洗濯機の振動が減少される。これは、衣服洗濯機が居間に、そして／あるいは、例えば、木製はりの床のように、軽量構造の家の２階より上に据え付けられている時には、非常に重要なことである。
【００３０】
特に、ファジィ理論により制御される最近のモデルにおいて、衣服洗濯機の不安定性を補償する装置を減らし、無くすことさえできる。
【００３１】
従来作られたベローズを取り付けた衣服洗濯機の設計変更がなされないという事実に基づいたとしても、販売後にサービスエンジニアが容易に本発明のベローズと交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】正面に衣服挿入用ドアが設けられ、振動の計測において参照される３つのデカルト座標軸が設けられたタイプの衣服洗濯機、あるいは洗濯・乾燥機の簡略斜視図である。
【図２】図１に示した種類の衣服洗濯機用の本発明の弾性ダクト（ベローズ）の側面図である。
【図３】図１に示した種類の衣服洗濯・乾燥機用の本発明の弾性ダクト（ベローズ）の側面図である。
【図４】本発明のベローズを備えた衣服洗濯機の外部キャビネットの正面と内部タブとの間の部分に限った（図２のIV−IV線に沿った）縦断面図である。
【図５】本発明のベローズを備えた衣服洗濯・乾燥機の外部キャビネットの正面と内部タブとの間の部分に限った（図３のＶ−Ｖ線に沿った）縦断面図である。
【図６】従来例のベローズを備えた衣服洗濯機（グラフＡ）と本発明のベローズを備えたもの（グラフＢ）それぞれの様々な回転速度における衣服洗濯機キャビネットの変位振動の振幅を示す図である。
【図７】従来例のベローズを備えた衣服洗濯機（グラフＣ）と本発明のベローズを備えたもの（グラフＤ）それぞれの様々な回転速度における衣服洗濯機キャビネットの加速振動の振幅を示す図である。
【符号の説明】
１ 正面
２ 側壁
３ 上平面
４ 覗き窓
５ 開口部
６ エッジ
７ エッジ
８ 補助開口部
９ 開口部
１０ （内部）タブ
１１ 穴あきドラム
１２ 可撓性ダクト（ベローズ）
１３ 外側周縁
１４ 内側周縁
１５ 円筒状の帯
１６ 折り目
１７ 開口部
１８ ダクト

Claims (4)

1. 洗濯すべき衣服を入れ・取り出すためのドア（４）の開口部（５）が設けられた外部キャビネットと、内部固定タブ（１０）と、該内部固定タブ（１０）の内側に支持され、水平軸の周囲を回転可能なドラム（１１）と、前記ドア（４）の開口部（５）と前記内部固定タブ（１０）に設けられた補助開口部（８）との間に位置し、複数の折り目（１６）によって形成された伸張部分を有する可撓性ダクト又はベローズ（１２）を備える衣服洗濯機又は同様の機器において、
   前記ベローズ（１２）が、前記キャビネットにおけるドア（４）の開口部（５）のエッジ（６）上に結合可能な外側端（１３）、伸長したバンド（１５）、複数の周縁の折り目（１６）を備え、これら外側端（１３）、バンド（１５）、折り目（１６）のすべての部分がエラストマー性と約２０〜３０のショアーＡの硬度を有する材料で作られ、
   前記ベローズ（１２）は、さらに、前記タブ（１０）に設けられた補助開口部（８）のエッジ（７）上に結合可能な内側端（１４）を備え、該内側端（１４）は、前記外側端（１３）、バンド（１５）、折り目（１６）の硬度を越える硬度の合成材料で作られていることを特徴とする衣服洗濯機又は同様の機器。
2. 請求項１記載の衣服洗濯機又は同様の機器において、前記ベローズ（１２）が、約４０〜５０のショアーＡの硬度を有することを特徴とする衣服洗濯機又は同様の機器。
3. 請求項２記載の衣服洗濯機又は同様の機器において、前記ベローズ（１２）の内側端（１４）は、十分な剛性を有し熱可塑性あるいは熱硬化性の合成材料で作られ、前記周縁の折り目（１６）は、約２０〜３０のショアーＡの硬度を有する合成材料で作られていることを特徴とする衣服洗濯機又は同様の機器。
4. 請求項２記載の衣服洗濯機又は同様の機器であって、洗濯の段階の後衣服を乾かすための暖気の閉回路を有する種類の衣服洗濯機又は同様の機器において、より低い硬度のインサート（１７）がベローズ（１２）の部分（１５）に組み込まれ、該インサート（１７）は、前記内部固定タブ（１０）内に補助ダクト（１８）を介して乾かすための暖気を供給するための開口部であり、前記インサート（１７）は、少なくとも摂氏１５０度（華氏３２０−３３８度）の温度まで耐えられ、約３５−５０のショアーＡの硬度を有する合成材料で作られていることを特徴とする衣服洗濯機又は同様の機器。

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