JP4071703B2 - はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置 - Google Patents

はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4071703B2
JP4071703B2 JP2003389707A JP2003389707A JP4071703B2 JP 4071703 B2 JP4071703 B2 JP 4071703B2 JP 2003389707 A JP2003389707 A JP 2003389707A JP 2003389707 A JP2003389707 A JP 2003389707A JP 4071703 B2 JP4071703 B2 JP 4071703B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crack
life
joint
solder joint
solder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003389707A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005148016A (ja
Inventor
裕二 久里
義康 伊藤
雅雄 板谷
誠二 北野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2003389707A priority Critical patent/JP4071703B2/ja
Publication of JP2005148016A publication Critical patent/JP2005148016A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4071703B2 publication Critical patent/JP4071703B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)

Description

本発明は、電子回路機器におけるはんだ接合部の熱疲労寿命を診断するはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法、及びはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置に関する。
一般に、電子回路においては、プリント配線が形成された基板上に電子部品が搭載され、電子部品が基板にはんだ接合されている。
しかしながら、はんだ接合部は経年的に劣化し、特に熱ストレス等に応じて、き裂や剥離を発生させる性質を持つ。また、この種のき裂や剥離は、負荷の大小に応じて、基板上に実装された電子部品の寿命よりも電子回路全体の寿命を短くさせる。
従来、電子回路のはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法については、非特許文献1において論じられている。また、金属系材料の疲労寿命は多くの研究と疲労破壊事故の経験とに基づいて、様々な評価法、寿命式が表1に示すように提案され、一部は実際に用いられている。
Figure 0004071703
但し、No.1の寿命式において
Δεp・Nn=C …(1)
Δεp:塑性ひずみ、 N:繰り返し寿命、 n,C:定数
また、No.2のき裂進展速度式において
da/dn=Ca(Δεp)n・fm …(2)
f;繰り返し周波数、 a:き裂長さ n:繰り返し回数
である。
特にNo.1のコフィン・マンソン(Coffin-Manson)則は多くの金属低サイクル疲労寿命評価に用いることが可能であることが知られている。さらに、この式の疲労の繰り返し周波数fとき裂長さaに対して修正したNo.2の繰り返し修正速度式(き裂進展式)が実際の寿命を評価できると言われている。
さらに、特許文献1において、挿入実装のはんだ接合部の場合は、表面に発生したき裂長さaを測定して下式の裂進展速度式を求めて、
da/dn=Aa+B …(3)
進展速度を算出している。但し、A、B:定数
ソリッドステイツテクノロジー、7月号(1970年)第48頁〜第54頁 特開平3−128431号公報
しかしながら、上記従来技術は以下の点について配慮されておらず、正確にして簡単な寿命診断ができないという問題があった。
(a)電子回路の接合部は、はんだの融点(Sn63mass%−Pb37mass%は183℃)に比べ、部品の発熱や使用環境温度変化によってかなりの高温に達するという厳しい温度環境にある。この温度変化に伴う電子回路のはんだ接合部の熱疲労における寿命評価ができない。この1つの例として、温度の繰り返しパターンが一定でないことやはんだ量が実装工程や部品により一様でないことがある。そのため、電気回路毎の精度の高い疲労寿命が評価できない。
(b)電気回路毎にはんだ接合部の形状が個々に異なるため、き裂が発生し進展した場合に、時系列的にき裂進展速度が変化し、これを配慮した寿命評価ができず、残りのはんだ接合部の断面積が把握できないため、初期段階での寿命評価で必ずしも最適な設計ができない。このように、はんだ接合部の寿命評価が正確にできないため、多くの製品不良が発生する可能性がある。
(c)前述したように、特許文献1においては、挿入実装のはんだ接合部の場合は、(3)式を測定によって求めて、進展速度を算出している。これでは挿入実装の場合にはき裂進展過程が複雑なため、正確な寿命予測が困難となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、有限要素法の弾塑性解析による塑性ひずみと温度サイクル試験による裂進展速度とから裂進展速度式を予め求めておくことにより、最終破断に至る以前に最終破断寿命を予測することができ、その結果、診断対象の電子回路に対する非破壊での診断を実施できるはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法、及びはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法においては、予め電気回路のはんだ接続部に発生する繰返し熱応力に起因する塑性ひずみを有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて求める工程と、電気回路に対する温度サイクル試験実施過程で観察されたはんだ接合部の長さ方向のき裂進展速度と、弾性解析にて求められた塑性ひずみとの関係を示すき裂進展速度式を求める工程と、き裂進展速度とはんだ接合部の残り接合長とからき裂が接合部の接合長方向貫通するまでの長さ方向寿命の寿命評価基準式を求める工程と、予め求められた電気回路のはんだ接続部のき裂のき裂開口量とき裂深さの関係を記憶保持する工程と、はんだ接合部における深さ方向残り寸法と前記接合部におけるき裂開口量とからき裂が接合部の深さ方向貫通するまでの深さ方向寿命の寿命評価基準式を求める工程と、診断対象の電気回路のはんだ接合部における残り接合長を指定した診断指示に応じて、残り接合長に対応する長さ方向の寿命サイクル数を長さ方向の寿命評価基準式を用いて求める工程と、診断対象の電気回路のはんだ接合部における深さ方向当初寸法及びき裂開口量を指定した診断指示に応じて、深さ方向当初寸法及びき裂開口量に対応する深さ方向の寿命サイクル数を深さ方向の寿命評価基準式を用いて求める工程とを備えている。
このように構成されたはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法においては、有限要素法の弾塑性解析による塑性ひずみと温度サイクル試験による裂進展速度とから裂進展速度式を予め求めておくことにより、診断対象の電気回路の最終破断に至る以前に最終破断寿命を予測することができる。
さらに、場合によっては、診断対象の電気回路のはんだ接合部が、例えば、電子部品のリードを基板の貫通孔に挿入して、はんだでリードを貫通孔に固定する場合において、はんだ接合部のき裂ははんだ接合部の表面方向に進展するとともに、深さ方向にも進展する。このき裂深さが基板の貫通孔の長さに達するとはんだ接合部が破断となる。しかし、き裂深さははんだ接合部の表面から観察できない。
そこで、このように構成されたはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法においては、はんだ接合部のき裂開口量とき裂深さの関係を記憶保持し、き裂開口量からき裂深さを求めて、はんだ接合部における深さ方向の寿命サイクル数を用いて求めている。このように、はんだ接合部における深さ方向の寿命をも、診断対象の電気回路を非破壊状態で求めることが可能となる。
また、別の発明のはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置は、予め電気回路のはんだ接続部に発生する繰返し熱応力に起因する塑性ひずみを有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて求める手段と、電気回路に対する温度サイクル試験実施過程で観察されたはんだ接合部の長さ方向のき裂進展速度と、弾性解析にて求められた塑性ひずみとの関係を示すき裂進展速度式を求める手段と、この求められたき裂進展速度式を記憶保持するき裂進展速度式メモリと、き裂進展速度とはんだ接合部の残り接合長とからき裂が接合部の接合長方向貫通するまでの長さ方向寿命の寿命評価基準式を求める手段と、予め求められた電気回路のはんだ接続部のき裂のき裂開口量とき裂深さの関係を記憶保持する開口・き裂深さ対応メモリと、はんだ接合部における深さ方向残り寸法と接合部におけるき裂開口量とからき裂が接合部の深さ方向貫通するまでの深さ方向寿命の寿命評価基準式を求める手段と、診断対象の電気回路のはんだ接合部における残り接合長を指定した診断指示に応じて、残り接合長に対応する長さ方向の寿命サイクル数を長さ方向の寿命評価基準式を用いて求める手段と、診断対象の電気回路のはんだ接合部における深さ方向当初寸法及びき裂開口量を指定した診断指示に応じて、深さ方向当初寸法及びき裂開口量に対応する深さ方向の寿命サイクル数を深さ方向の寿命評価基準式を用いて求める手段とを備えている。
このように構成されたはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置においては、上述した発明のはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とほぼ同じ作用効果を奏することが可能である。
このように構成されたはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法、及びはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置においては、有限要素法の弾塑性解析による塑性ひずみと温度サイクル試験によるき裂進展速度とからき裂進展速度式を予め求めている。したがって、このき裂進展速度式を用いて、最終破断に至る以前に最終破断寿命を予測することができ、その結果、診断対象の電子回路に対する非破壊での診断を実施できる。
さらに、はんだ接合部における深さ方向の寿命をも、診断対象の電気回路を非破壊状態で求めることが可能となる。
(概要)
先ず、本発明のはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法の概要を説明する。
通常、疲労寿命を支配するひずみとして、前述したように、表1のNo.1、No.2の寿命式における塑性ひずみ(Δεp)が採用されている。はんだのバルク材による塑性ひずみ(Δεp)とき裂進展速度(da/dn)との関係は、図7の対数グラフに示すように、ほぼ直線関係にあるが、必ずしも直線近似した場合の相関係数(R2=0.6)は高くない。
これは、バルク材を用いた評価は電気回路に組込まれた状態の実際の温度サイクルを受ける環境とは異なり、一定温度条件で試験される。しかし、電子部品の基板に対するはんだ接合部は、はんだ材にかなりの高温から低温までの温度サイクルがあり、これにより、部品と基板とはんだの熱膨張差によって最も強度の弱いはんだ接合部にひずみが集中するからである。
そのため図7に示す従来のはんだバルク材からの実験では、疲労寿命を支配する塑性ひずみ(Δεp)を求めることは難しく、データのばらつきがでるため、この直線近似したき裂進展速度式から寿命を算出した場合に、誤差が生じる可能性が高い。
そこで、上記の問題を解決するために、予め電気回路のはんだ接合部に発生する繰返し熱応力に起因する塑性ひずみ(Δεp)を有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて求める。次に、図4に示すように、電子回路における電子部品2の基板1に対するのはんだ接合部3に実験的に繰り返しの温度サイクルを与え、各繰り返し数(サイクル数)nにおけるはんだ接合部3の断面に発生したき裂4を観察し、図5に示すようにその時の繰り返し数n(サイクル数)とき裂長さaの関係を求める。
その観察結果からき裂進展速度(da/dn)を算出し、先に算出した塑性ひずみ(Δεp)との関係を導き出して、図6に示すき裂進展速度(da/dn)と塑性ひずみ(Δεp)との関係を示すき裂進展速度式を求める。
da/dn=C1・(Δεp)m …(4)
但し、C1、m:定数
この裂進展速度式における塑性ひずみとき裂進展速度とはんだ接合部の接合長Lと貫通に至るまでの寿命サイクル数Nf1との関係を示す寿命評価基準式を求める。
Nf1=L/(da/dn) …(5)
現地で観察した診断対象の電子回路のはんだ接合部の現在の(残りの)接合長Lから、寿命評価基準式を用いて、診断対象の電子回路のはんだ接合部の接合長Lに対応する貫通に至るまでの寿命サイクル数Nf1が算出される。
したがって、診断対象の電子回路のはんだ接合部3の非破壊での診断で、観察したはんだ接合部3にき裂が発生していない場合でも、例えばデータベースに記憶された塑性ひずみ(Δεp)と裂進展速度式を用いれば、診断対象の電子回路のはんだ接合部3の余寿命の診断が可能である。
また、診断対象の電子回路のはんだ接合部3にある程度のき裂4が発生している場合は、き裂の表面から観察される残りの接合長Lから、診断対象の電子回路のはんだ接合部3の余寿命の診断が可能である。
具体的には、例えば、診断対象の電子回路の設置場所において電子部品が実装されている基板1のはんだ接合部3を拡大(例えば100倍程度の倍率)撮影し、その撮影した写真をもとに上記のような方法により診断を実施する。つまり、実際の基板1は観察や写真撮影が終了した時点で電子機器に再度据え付けるため、そのまま再利用できることになる。
よって、診断のために新たに同一の基板を準備することが必要なくなる。さらに、年代が経過した基板では、部品が古く在庫が無いことがあるため、同一の部品で同じ回路の製品を作ることができないことから、再利用できることは非常に有用である。
また、前述したように、電子部品の基板に対する実装状態においては、診断対象の電子回路のはんだ接合部の表面から計測できるき裂長さだけでは、深さ方向のき裂深さの進展量が把握できにくい。
具体的には、図12(a)(b)、図13(a)(b)に示すように、電子部品のリード6が基板1の貫通孔7に挿入されている場合、基板1の貫通孔7に沿って深さ方向のき裂5が発生する。この場合、図12(a)のようにはんだ接合部3に発生したき裂5の開口量(ψ)が小さいとき図12(b)のように裂深さDが浅く、図13(a)のようにはんだ接合部3に発生したき裂5の開口量(ψ)が大きいとき図13(b)のように裂深さDが深い傾向にある。
図14は電子回路のフィールドからサンプリングしたはんだ接合部3の断面を観察し、そのときに発生したき裂5の深さDと開口量(ψ)との関係を求めたものである。図14に示すように、き裂開口量(ψ)はき裂深さDと相関があるため、き裂の開口量(ψ)を計測することによりき裂深さDが求まる。き裂の深さDは次式により算出する。
D=C2・ψm …(6)
但し、C2、m:定数
そこで、はんだ接合部のき裂開口量とき裂深さの関係を、予め多くのサンプルから測定し記憶保持し、き裂開口量からき裂深さを求めて、はんだ接合部における深さ方向の寿命サイクル数を寿命評価基準式
Nf2=H/C2・ψm …(7)
を用いて求めている。但し、Hははんだ接合部3における深さ方向の残り長さであり、深さ方向のき裂5が発生していない時点においては、はんだ接合部3における深さ方向の長さである。このように、はんだ接合部における深さ方向の寿命をも、診断対象の電気回路を非破壊状態で求めることが可能となる。
なお、このようにき裂開口量(ψ)とき裂深さDが重要となる背景には、図11に示すような挿入実装型の電子部品のはんだ接合部3に発生するき裂5の進展過程に問題がある。電子部品のはんだ接合部3に発生するき裂5の進展の過程は、先ず、はんだ表面にリード6を中心に円周状にき裂5が進展した後、初めてき裂5が深さ方向に進展する。つまり、はんだ接合部3に発生するき裂5のき裂長さaを測定しても、表面の浅い部分のき裂のみを把握していないことなるため、実際の貫通き裂5までの寿命を算出することは困難である。よって、はんだ接合部3における深さ方向の寿命を求めることが重要となる。
(実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係わるはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法が適用されるはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置の概略構成を示すブロック図である。このはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置はコンピュータ等の一種の情報処理装置で構成されている。
このはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置は、条件入力部11、弾塑性解析部12、データベース13、温度サイクル試験結果入力部17、き裂進展速度式算出部18、長さ入力部19、寿命サイクル数算出部20、き裂深さ算出部21、開口量入力部22、表示出力部23等が設けられている。また、データベース13内には、ひずみメモリ14、き裂進展速度式メモリ15、開口・き裂深さ対応メモリ16が形成されている。
以下、各部の動作を図3に示す寿命診断手順の流れ図に従って説明していく。
条件入力部11は、図2に示す電気回路を構成する電子部品2と基板1の熱膨張差と温度差とはんだ接合部3の寸法と熱応力の繰り返し周波数等の解析条件を弾塑性解析部12へ入力する。具体的には、電気回路に対するパワーオン・オフ等を想定して、125℃〜―40℃の温度サイクルを設定する。
弾塑性解析部12は、電気回路のはんだ接合部3に発生する繰返し熱応力に起因する塑性ひずみ(Δεp)を有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて求めて、データベース13のひずみメモリ14に書込む(図3のステップS1)。
温度サイクル試験結果入力部17は、電気回路に対する温度サイクル試験実施後のはんだ接合部3の観察によって求めた繰り返し数(サイクル数)nとそのときのき裂長さaをき裂進展速度式算出部18へ入力する。具体的には、図4に示した、はんだ接合部3の断面に発生したき裂4を観察し(図3のステップS2)、図5に示すようにその時の繰り返し数n(サイクル数)とき裂4のき裂長さaの関係を求める。この実施形態においては、400、600、1000、2000、3000の各サイクル数nにおける各き裂長さaを測定した(図3のステップS3)。
き裂進展速度式算出部18は、その観察結果からき裂進展速度(da/dn)を算出し(図3のステップS4)、塑性ひずみ(Δεp)をデータベース13のひずみメモリ14から読出し、き裂進展速度(da/dn)と塑性ひずみ(Δεp)との関係を導き出して、図6に示すき裂進展速度(da/dn)と塑性ひずみ(Δεp)との関係を示すき裂進展速度式を求め、データベース13のき裂進展速度式メモリ15へ記憶保持する(図3のステップS5)。
da/dn=C1・(Δεp)m …(4)
長さ入力部19は、診断対象の電気回路における観察されたはんだ接合部3の現在の接合長Lおよび現在のサイクル数nを寿命サイクル数算出部20へ入力する。
寿命サイクル数算出部20は、貫通に至るまでの寿命サイクル数Nf1との関係を示す寿命評価基準式を求め(図3のステップS6)、
Nf1=L/(da/dn) …(5)
診断対象の電子回路のはんだ接合部の接合長Lから、当該診断対象の電子回路のはんだ接合部の接合長Lに対応する貫通に至るまでの寿命サイクル数Nf1を算出して、表示出力部23を介して表示出力する(図3のステップS7)。
次に、実際に計算、測定された結果を説明する。
先ず、図4に示す電子回路に対する有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて塑性ひずみ(Δεp)を求め、さらに、電子回路に対する温度サイクル試験を実施して、図6に示す裂進展速度式を求める。
da/dn=C1・(Δεp)m=1.54×(Δεp)0.99
図8、図9、図10に、診断対象の電子回路に対して125℃〜−40℃の温度サイクルを1500サイクルまで付加した結果を示す。図8に示すように、先ず1000サイクルにおいて、チップ抵抗からなる電子部品2と基板1とのあいだのはんだ接合部3に発生したき裂4のき裂長さaを計測したところ約0.6mmであった。各サイクル数nで観察されたき裂4の最大き裂長さaを測定した値とサイクル数nとの関係をプロットしたものを図10に示す。この図より、き裂が、初期長さ0.90mmを有するはんだ接合部3を貫通までのサイクル数を推定すると1400回程度となる。
弾塑性解析にて得られるき裂先端部分の塑性ひずみ(Δεp)は1.1%であった。したがって、裂進展速度は、
da/dn=1.54×(Δεp)0.99=1.54×(1.1)0.99
=1.69μm/サイクル
となる。はんだ接合部3の当初の接合長さが0.9mmであることから、はんだ接合部3の1000サイクル時点における残りの接合長さLは0.9―0.6=0.3mmとなる。したがって、貫通に至るまでの寿命サイクル数Nf1は、
Nf1=L/(da/dn)=300μm/1.69μm=177回
となる。
診断対象の電子回路に対して1200サイクル実施後に断面観察を行ったところ、図9に示すように、既に貫通き裂4が発生していた。1000サイクル実施時点で予定していた寿命は図10に示すように、1400サイクルであったが、実際には1200サイクルで既に貫通き裂4が発生しており、今回、裂進展速度式を用いて算出した貫通に至るまでの寿命Nf1が実際の寿命と良く一致していることが確認できた。
次に、はんだ接合部3におけるき裂深さを説明する。
図1のデータベース13の開口・き裂深さ対応メモリ16内には、図14に示すはんだ接合部3におけるき裂5のき裂開口量(ψ)とき裂深さDの関係が記憶されている。開口量入力部22は診断対象の電子回路のはんだ接合部3における観察されたき裂5のき裂開口量(ψ)をき裂深さ算出部21へ入力する。
この場合、現場で診断対象の電子回路のはんだ接合部3を撮影して、この撮影された画像を通信回線を介してはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置側で受信して、き裂5のき裂開口量(ψ)を観測することも可能である。
き裂深さ算出部21は、入力されたき裂開口量(ψ)を開口・き裂深さ対応メモリ16の関係を用いてき裂深さDに変換して、寿命サイクル数算出部20へ送出する。
寿命サイクル数算出部20は、はんだ接合部における深さ方向の寿命サイクル数Nf2を、前述したように、下式で示す寿命評価基準式を用いて求める。
Nf2=H/C2・ψm …(7)
但し、Hははんだ接合部3における深さ方向の残り長さであり、深さ方向のき裂5が発生していない時点においては、はんだ接合部3における深さ方向の長さである。
次に、実際に計算、測定された結果を説明する。
図11に示すように、リード6の円周上に発生するき裂5のき裂長さを最大LmとするとLm=2πrである。円周上に全くき裂5が無い場合は、円周全てにき裂5が発生するまでの寿命Nf1は、
Nf1=Lm/C1・(Δεp)m=Lm/[1.54×(Δεp)0.99]
となる。
図14に示すように、き裂深さD=C2・ψm=26×ψ0.86となるので、深さ方向の貫通き裂までの寿命Nf2は、
Nf2=H/C2・ψm=H/[26×ψ0.86
となる。
この二つの寿命式を合せたものがこの診断対象の電子回路のはんだ接合部3の最終的な寿命Nfとなる。
寿命Nf=Nf1+Nf2
=Lm/[1.54×(Δεp)0.99]+H/[26×ψ0.86
このように、はんだ接合部3における従来の幅方向の寿命に加えて深さ方向の寿命をも考慮に入れた最終的な寿命Nfを、診断対象の電気回路を非破壊状態で求めることが可能となる。
このように、実施形態のはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法及びはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置においては、有限要素法の弾塑性解析による塑性ひずみと温度サイクル試験によるき裂進展速度とからき裂進展速度式を予め求めて例えばデータベースに記憶保持している。したがって、この塑性ひずみとき裂進展速度式を用いて、診断対象の電子回路における最終破断に至る以前に最終破断寿命を予測することができる。
さらに、診断対象の電子回路に対する非破壊での診断となるため、使用基板の再利用が可能となる。基板が再利用可能となることにより、新規の代替用基板の製作、社内試験等を実施する必要がなくなり、現地での製品の停止期間最短で行うことができる。
製品開発を行う際に、はんだ接合部にかかるひずみを算出することにより、き裂進展速度がわかるため、現地環境を想定した使用期間での破断までの寿命を把握することができるため、製品寿命を設計段階で把握できる。これらにより、不良が生じる前に部品交換などのリプレースやメンテナンスが可能となる。
本発明の一実施形態に係わるはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法が適用されるはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置の概略構成を示すブロック図 診断対象の電子回路の形状を示す図 同はんだ接合部の熱疲労寿命診断装置の寿命診断手順を示す流れ図 はんだ接合部に発生したき裂を示す図 はんだ接合部に発生したき裂のき裂長さと熱応力の繰り返し数との関係を示す図 はんだ接合部における塑性ひずみとき裂進展速度の関係を示す図 はんだバルク材における塑性ひずみとき裂進展速度の関係を示す図 表面実装部品のはんだ接合部に1000回の温度サイクルを付加し実験的にき裂を発生させた状態を示す図 表面実装部品のはんだ接合部に1200回の温度サイクルを付加し実験的にき裂を発生させた状態を示す図 同表面実装部品のはんだ接合部に発生したき裂のき裂長さと熱応力の繰り返し数との関係を示す図 挿入実装部品のはんだ接合部に発生するき裂進展過程の模式図 挿入実装部品のはんだ接合部に発生するき裂の表面状態及び断面状態を示す図 同じく挿入実装部品のはんだ接合部に発生するき裂の表面状態及び断面状態を示す図 同じく挿入実装部品のはんだ接合部に発生するき裂のき裂の開口量とき裂深さの関係を示す図
符号の説明
1…基板、2…電子部品、3…はんだ接合部、4,5…き裂、6…リード、7…貫通孔、11…条件入力部、12…弾塑性解析部、13…データベース、14…ひずみメモリ、15…き裂進展速度式メモリ、16…開口・き裂深さ対応メモリ、17…温度サイクル試験結果入力部、18…き裂進展速度式算出部、19…長さ入力部、20…寿命サイクル数算出部、21…き裂深さ算出部、22…開口量入力部、23…表示出力部

Claims (2)

  1. 予め電気回路のはんだ接続部に発生する繰返し熱応力に起因する塑性ひずみを有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて求める工程と、
    前記電気回路に対する温度サイクル試験実施過程で観察されたはんだ接合部の長さ方向のき裂進展速度と、前記弾性解析にて求められた塑性ひずみとの関係を示すき裂進展速度式を求める工程と、
    前記き裂進展速度とはんだ接合部の残り接合長とからき裂が接合部の接合長方向貫通するまでの長さ方向寿命の寿命評価基準式を求める工程と、
    予め求められた電気回路のはんだ接続部のき裂のき裂開口量とき裂深さの関係を記憶保持する工程と、
    前記はんだ接合部における深さ方向残り寸法と前記接合部におけるき裂開口量とからき裂が接合部の深さ方向貫通するまでの深さ方向寿命の寿命評価基準式を求める工程と、
    診断対象の電気回路のはんだ接合部における残り接合長を指定した診断指示に応じて、残り接合長に対応する長さ方向の寿命サイクル数を前記長さ方向の寿命評価基準式を用いて求める工程と、
    診断対象の電気回路のはんだ接合部における深さ方向当初寸法及びき裂開口量を指定した診断指示に応じて、深さ方向当初寸法及びき裂開口量に対応する深さ方向の寿命サイクル数を前記深さ方向の寿命評価基準式を用いて求める工程と
    を備えたことを特徴とするはんだ接合部の熱疲労寿命診断方法。
  2. 予め電気回路のはんだ接続部に発生する繰返し熱応力に起因する塑性ひずみを有限要素法ニ次元の弾塑性解析にて求める手段と、
    前記電気回路に対する温度サイクル試験実施過程で観察されたはんだ接合部の長さ方向のき裂進展速度と、前記弾性解析にて求められた塑性ひずみとの関係を示すき裂進展速度式を求める手段と、
    この求められたき裂進展速度式を記憶保持するき裂進展速度式メモリと、
    前記き裂進展速度とはんだ接合部の残り接合長とからき裂が接合部の接合長方向貫通するまでの長さ方向寿命の寿命評価基準式を求める手段と、
    予め求められた電気回路のはんだ接続部のき裂のき裂開口量とき裂深さの関係を記憶保持する開口・き裂深さ対応メモリと、
    前記はんだ接合部における深さ方向残り寸法と前記接合部におけるき裂開口量とからき裂が接合部の深さ方向貫通するまでの深さ方向寿命の寿命評価基準式を求める手段と、
    診断対象の電気回路のはんだ接合部における残り接合長を指定した診断指示に応じて、残り接合長に対応する長さ方向の寿命サイクル数を前記長さ方向の寿命評価基準式を用いて求める手段と、
    診断対象の電気回路のはんだ接合部における深さ方向当初寸法及びき裂開口量を指定した診断指示に応じて、深さ方向当初寸法及びき裂開口量に対応する深さ方向の寿命サイクル数を前記深さ方向の寿命評価基準式を用いて求める手段と
    を備えたことを特徴とするはんだ接合部の熱疲労寿命診断装置。
JP2003389707A 2003-11-19 2003-11-19 はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置 Expired - Fee Related JP4071703B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003389707A JP4071703B2 (ja) 2003-11-19 2003-11-19 はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003389707A JP4071703B2 (ja) 2003-11-19 2003-11-19 はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005148016A JP2005148016A (ja) 2005-06-09
JP4071703B2 true JP4071703B2 (ja) 2008-04-02

Family

ID=34696367

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003389707A Expired - Fee Related JP4071703B2 (ja) 2003-11-19 2003-11-19 はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4071703B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100706048B1 (ko) 2005-10-07 2007-04-13 삼성중공업 주식회사 용접 이음부의 피로강도 평가 방법
JP4728852B2 (ja) * 2006-03-20 2011-07-20 エスペック株式会社 接合評価方法及びその装置
JP4626577B2 (ja) * 2006-06-21 2011-02-09 株式会社デンソー はんだの寿命予測方法
JP4855947B2 (ja) * 2007-01-11 2012-01-18 富士通株式会社 き裂進展評価装置、き裂進展評価方法及びき裂進展評価プログラム
JP4938695B2 (ja) * 2008-01-23 2012-05-23 富士通株式会社 き裂進展評価装置及びき裂進展評価方法
US8160846B2 (en) 2009-05-18 2012-04-17 King Fahd University Of Petroleum & Minerals Method of modeling phase changes due to laser pulse heating
US8155933B2 (en) 2009-05-26 2012-04-10 King Fahd University Of Petroleum & Minerals Method of modeling residual stresses during laser cutting
JP5581860B2 (ja) * 2010-07-09 2014-09-03 富士電機株式会社 はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法
CN105987846A (zh) * 2015-02-02 2016-10-05 天津城建设计院有限公司 一种确定全焊桁架桥疲劳抗力的方法
JP6854480B2 (ja) * 2017-03-31 2021-04-07 国立大学法人大阪大学 試験方法、試験サンプル、試験システム、評価方法、評価システム、及び評価プログラム
WO2019061156A1 (zh) * 2017-09-28 2019-04-04 广州特种承压设备检测研究院 塑料管材寿命评价方法
CN110188451B (zh) * 2019-05-27 2023-04-25 华东理工大学 一种聚乙烯管材焊接接头的残余应力的分析方法
CN113670720B (zh) * 2021-08-12 2022-09-02 南京工业大学 基于有限体积应变能的钎焊焊接接头疲劳寿命预测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005148016A (ja) 2005-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4071703B2 (ja) はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法とその装置
JP2010073795A (ja) 損傷指標予測システムおよび損傷指標予測方法
JP5581860B2 (ja) はんだ接合部の熱疲労寿命診断方法
JP2007263603A (ja) 高温プラント機器の余寿命診断システム及びこの余寿命診断システムを用いた余寿命診断方法
JP2791174B2 (ja) 電子部品はんだ接続寿命評価法
Bani Hani et al. Reliability modeling of the fatigue life of lead-free solder joints at different testing temperatures and load levels using the Arrhenius model
JP2009236540A (ja) 溶溶接構造体の破壊性能評価方法、データベース装置
JP2004237304A (ja) はんだ接合寿命予測方法
ATE476669T1 (de) Verfahren zur bestimmung der zeit bis zum ausfall von submikrometer-metallverbindungen
EP0392471B1 (en) Method for evaluating life of connection
JP2009300142A (ja) 複合環境試験方法、故障検出方法、故障検出プログラム、および故障検出プログラムを記録した記録媒体
JP2005189064A (ja) 小型疲労試験装置及び疲労試験方法
JP2007057325A (ja) 予寿命予測方法
JP2004045343A (ja) はんだ接合部の寿命診断方法及び装置
Pantou et al. Identification of critical stress location on PCBs taking into account the influence of fixations and housing
Wijesinghe et al. Design and development of in situ fatigue sensors for structural health monitoring of highway bridges
Libot et al. Experimental SAC305 Shear Stress–Strain Hysteresis Loop Construction Using Hall's One-Dimensional Model Based on Strain Gages Measurements
JP2007225333A (ja) クリープ疲労損傷に関する金属組織による損傷評価方法
Dušek et al. Low cycle isothermal fatigue properties of lead‐free solders
JP2007303980A (ja) 金属部材のクリープ余寿命の予測方法
Zhang et al. Advances in LED Solder Joint Reliability Testing and Prediction
JP2008002869A (ja) はんだの寿命予測方法
JP2007255926A (ja) 接合評価方法及びその装置
Palmer et al. Thermomechanical fatigue testing and analysis of solder alloys
JP4168090B2 (ja) はんだ接合部の疲労評価方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080117

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4071703

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110125

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120125

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130125

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130125

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140125

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees