JP4071423B2 - スクロール流体機械、およびその組立方法 - Google Patents

スクロール流体機械、およびその組立方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の圧縮、膨張、及び圧送を行う流体機械、特に、旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該駆動軸を偏芯させ、該偏芯量だけ旋回スクロールを前記駆動軸によって位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させるスクロール流体機械、およびその組み立て方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スクロール流体機械は、旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該駆動軸を偏芯させ、該偏芯量だけ旋回スクロールを前記駆動軸によって位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させる技術は、特開平8−261280号公報によって、知られている。
【0003】
しかしながら、この従来技術によると、前記駆動軸を2個設けるとともに前記駆動軸を回転駆動するモータを1個設け、前記駆動軸の一つと前記モータの回転軸とを連結させ、該駆動軸と他方の駆動軸との間をプーリを用いてベルト連結したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
よって、この従来技術は、駆動源が一つですむために経済的であったが、両駆動軸との回転角度位置の位相を一致させることに高度な技術を必要とした。
また、前記位相を一致させて組み込んだとしても、プーリ間を連結するベルトが使用するに連れて摩耗したり、伸びたり緩みが生じたり両駆動軸の回転角度に位相差が生じるという問題があった。
また、これを防止するためには、位置調整可能はアイドルプーリを設け、ベルト張力を調整するか、また、ベルト自体を交換する必要が生じ調整、メンテナンスが面倒である。
また、両プーリ間にベルトを張架した場合は、べルトの張力により両駆動軸間に加重がかかり各駆動軸を保持するベアリングの寿命が短くなるという問題がある。
また、機械的な接触部分がおおく、摩耗による発熱やエネルギロスが多く、かつベルトにより騒音が発生するという問題がある。
【0005】
上述の事情に鑑み、本発明は、旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸との回転角度位置の位相を容易に一致させることが可能なスクロール流体機械、およびその組立方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、複数の駆動軸間に軸間張力が発生しないスクロール流体機械、およびその組立方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、機構が簡単で調整、メンテナンスが容易なスクロール流体機械、およびその組立方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本第1発明は、旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該駆動軸を偏芯させ、前記旋回スクロールを前記駆動軸によって位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させるスクロール流体機械において、
複数の前記駆動軸の一端部に、それぞれ別のモータの回転軸を連結し、前記駆動軸の中央部分に前記駆動軸の中心軸線より偏芯した偏芯部分を有し、該偏芯部分を前記旋回スク ロールの外周側に設けた軸受部分に回転可能に支持し、前記駆動軸の他端部にそれぞれ該駆動軸の回転角度位置を検出する軸位置検出部を設け、前記偏芯部分の両側の前記駆動軸にそれぞれバランスウエイトを取り付け、該バランスウエイトを前記駆動軸の中心軸線に対して前記偏芯部分の反対側に位置し、さらに前記モータの回転軸と前記駆動軸との連結部のキーを前記駆動軸の中心軸線に対して前記バランスウエイトの反対側に位置し、前記位置関係を有して前記軸位置検出部に取り付けられ、該軸位置検出部からの信号に基づいて前記モータを互いに同期運転させることを特徴とする。
【0007】
本第1発明は、旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該複数の前記駆動軸に、それぞれ別のモータの回転軸を連結して、前記モータを互いに位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させており、複数の駆動軸との間をベルトにより連結しないので、複数の駆動軸間に軸間張力が発生せず、各駆動軸を保持するベアリングの摩耗や、ベルトの緩み等による駆動部の寿命が短縮する事を防止し、機構が簡単で調整、メンテナンスが容易なスクロール流体機械を提供することができる。
また、前記旋回スクロールの軸受部分の前記駆動軸の方向の両側にバランスウエイトを配置して構成とするので、バランスウエイトが駆動軸方向に偏して設けることによる軸受部分の一方側に重量が偏りベアリングの片摩耗を防止し、耐久性を向上することができる。
また、前記バランスウエイトが、前記スクロール側の回転角度位置に対応した角度位置で前記駆動軸に配置されるので、駆動軸にバランスウエイトを組み込んだ後に次の工程である、例えば、スクロール側の回転角位置を検出する軸位置検出部の基準位置とを合わせる目安として前記バランスウエイトの位置を用いて前記軸位置検出部を組み込むことができる。
【0008】
また、前記複数の駆動軸は、固定スクロールの中心部分を中心として略対称位置に設けられるように構成することも本第1発明の有効な手段である。
かかる技術手段によると、固定スクロールの中心部分を中心として略対称位置に前記駆動軸が配置されているので、前記駆動軸により駆動される旋回スクロールへの駆動力伝達において回転駆動力に重量が片掛かりしすぎることがなく重量バランスがよいので振動の発生を防止してスムーズな駆動力伝達を行うことができる。
【0009】
また、前記複数の駆動軸にそれぞれ連結するモータはそれぞれインバータを介して制御されるように構成することも本第1発明の有効な手段である。
かかる技術手段によると、電源が三相、単相、または供給電圧、周波数など違いがあっても、インバータで容易に調整設定することができ、電源に応じたモータを用意する必要がない。
【0010】
また、前記モータの前記回転軸の軸端に設けたモータ側カプラと、前記旋回スクロールの前記駆動軸の軸端に設けたスクロール側カプラとを連設して構成することも本第1発明の有効な手段である。
かかる技術手段によると、モータ側カプラとスクロール側カプラとカップリングにより両者を連結するので、前記モータの前記回転軸の回転方向基準位置と前記旋回スクロールの前記駆動軸の回転方向基準位置とを容易に一致させてカップリングすることができる。
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
また、前記旋回スクロールの軸受部分の前記駆動軸の方向幅は、旋回スクロールラップを除いた本体部分の前記駆動軸の方向幅より狭く形成することも本第1発明の有効な手段である。
かかる技術手段によると、前記駆動軸と前記軸受部分との関係において、旋回スクロールの停止時、始動時、駆動時旋回スクロールが受ける応力は、方向幅の狭い前記軸受部分がより多く受け、前記本体部分へ伝達される応力は前記軸受部分で大部分吸収され、軸受部分を強固にしたり、調整部材を配設したりして旋回スクロールを大型化しなくても、旋回スクロールを簡単な構成でかつ軽量コンパクトに構成することができる。
【0014】
また、前記本体部分には前記駆動軸の方向に複数のフィンで区画した冷却風流通通路が形成されるように構成することも本第1発明の有効な手段である。
かかる技術手段によると、旋回スクロールの背面側に複数のフィンで区画した冷却風流通通路を有しているので、旋回スクロールの旋回揺動により、冷却風を攪乱して流体の圧縮過程で発生する高熱を冷却することができる。この際には、冷却風流通方向に沿って波形にフィンを形成することによりフィンへの接触面積が増し冷却効果が向上する。
【0015】
また、前記同期運転を行う制御装置を備え、該制御装置は前記軸位置検出部で前記複数の駆動軸の回転角度位置を測定する位相差測定工程を行い、位相差が適切でない場合は位相差ズレデータに基づく位相差補正制御を行い、位相差が適切である場合は前記複数の駆動軸の回転数を測定し、該複数の駆動軸の回転数が定格回転数でない場合は前記駆動軸の回転数ズレデータに基づく回転数制御を行い、定格回転数である場合は前記位相差測定工程に戻ることを特徴とする。
よって、まず位相差測定工程を行うので、位相差がずれたまま定格回転数にまで回転数が上昇することがない。そして、定格回転数に到達した場合は、前記位相差測定工程に戻るので、動作中は常時位相差と定格回転数がチェックされる。
【0016】
また、前記同期運転を行う制御装置を備え、該制御装置は前記軸位置検出部で前記複数の駆動軸の回転角度位置を測定し、測定された位相差が適切でないが所定範囲内にある場合は位相差ズレデータに基づく位相差補正制御を行い、位相差が所定範囲内にない場合は、前記旋回スクロールの駆動動作を中止することを特徴とする。
かかる技術手段によると、前記位相差測定工程により測定された位相差が適切でなく、かつ位相差が所定範囲内にない場合は、前記旋回スクロールの駆動動作を中止するので、位相差がズレた状態のまま動作して固定スクロールラップと旋回スクロールラップとが無理な接触が行われ、ラップ同士に傷が生じることがない。
そして、その際には、位相差を測定した後の位相差が適切かどうかの判断工程と、位相差が所定範囲内にあるかどうかの判断工程とは、どちらを先に行ってもよいが、設定されたスクロール流体機械の圧力値が小さい場合は、短い時間で定格回転数に到達するので、位相差が所定範囲内にあるかどうかの判断工程を位相差が適切かどうかの判断工程より先に行って、位相差が所定範囲内にない場合は速やかにモータを停止することが望ましい。
【0017】
また、本第2発明はスクロール流体機械の組立方法に関するものであり、旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該駆動軸を偏芯させ、前記旋回スクロールを前記駆動軸によって位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させるスクロール本体を有するスクロール流体機械の組立方法において、
前記旋回スクロールの単体での重心から対称的に配置された前記軸受部分に一方から、前記駆動軸を挿入もしくは嵌入し、前記駆動軸の偏芯部分を駆動軸の中心軸線より最も外側にした状態で、前記軸受部分の両側にバランスウエイトを、前記駆動軸の中心軸線に対して反対側に取り付けるとともに、
かかる状態で、固定スクロール側に取付けられた前記駆動軸の回転位置を検出する軸位置検出部に、前記バランスウエイトが前記固定スクロール側に最も近づいた位置を目安として前記駆動軸の先端部を前記軸位置検出部に連結して、前記軸位置検出部の初期位置と一致させて組み立てることを特徴とする。
【0018】
本第2発明は、先ず第1の工程として、前記旋回スクロールの単体での重心から対称的に配置された前記軸受部分に一方から、前記駆動軸を挿入もしくは嵌入し、前記駆動軸の偏芯部分を駆動軸の中心軸線より最も外側にした状態で、前記軸受部分の両側にバランスウエイトを、前記駆動軸の中心軸線に対して反対側に取り付ける。
そして、第2の工程として、固定スクロール側に取付けられた前記駆動軸の回転位置を検出する軸位置検出部に、前記バランスウエイトが前記固定スクロール側に最も近づいた位置を目安として前記駆動軸の先端部を前記軸位置検出部に連結して、前記軸位置検出部の初期位置と一致させて組み立てる。その際には、バランスウエイトを、前記固定スクロール側に最も近づいたように取り付けてあるので、該バランスウエイトの位置を目安として容易に前記軸位置検出部を、前記軸受部分の前記駆動軸の先端部と連結させることができ、前記軸位置検出部の初期位置と一致させて組み立てることができる。
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【0021】
(削除)
【0022】
(削除)
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施の形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施の形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るスクロール流体機械のブロック構成図、図2は、図1に用いられるスクロール流体機構本体を示す断面図、図3は、スクロール流体機構本体とモータとの連結部を説明する説明図、図4は、旋回スクロールを駆動する駆動軸の軸位置検出部を示す部分的断面図、図5は、図2のC−C断面図、図6は、図2のD−D断面図、図7は、モータを回転制御する場合の流れ図、図8は、モータを回転制御する場合の他の流れ図である。
【0025】
図1において、スクロール流体機構本体1は、後述するように旋回スクロールを駆動する2個の回転駆動軸26A、26Bを有し、これらの回転駆動軸26A、26Bはそれぞれカプラ3、3を介してモータ2A、2Bのモータ軸27A、27Bと連結している。
【0026】
また、モータ2A、2Bは金属性のモータケース38A、38B内に載置され、該モータケース2A、2Bはインバータ4A、4Bとそれぞれ連結している。
回転駆動軸26A、26Bの回転位置信号は、信号線8A、8Bによって後述するように制御装置5に入力され、該回転位置信号を演算して各インバータ4A、4Bに指令信号を送出するように構成されている。
【0027】
次に図2を用いて、スクロール流体機構本体(以下スクロール本体)1を説明する。
図2において、スクロール本体1の回転駆動軸26は、26A、及び26Bと2本備え、該回転駆動軸26A、26Bはそれぞれモータ2A、2Bのモータ軸27A、27Bに連結され、該モータの回転力により回転可能に設けられている。しかしながら、両回転駆動軸とも同じ働きをするものであり、一方側の回転駆動軸26Aのみを説明する。
【0028】
この回転駆動軸26Aの中央部分は、その外周が回転中心軸線よりは幾分膨らんだ偏芯部26Aaを有し、その偏芯部26Aaは、旋回スクロールの外周側に設けた軸受凹部22Aに嵌入したベアリング23内に回転可能に嵌入されている。該偏芯部26Aaの両端部は前記ベアリング23内のグリスの漏洩を防止する動的シール部材39、40に支持され、回転可能に設けられている。
【0029】
また、回転駆動軸26Aの偏芯部26Aaより右側の26Ab部分はハウジング44に設けられたベアリング45によって回転可能に支持され、該ベアリング44の両側には動的シール41、42によりベアリング内のグリスの漏洩を防止している。
また、図4に拡大して示すように、回転駆動軸26Aの左側先端部26Adは第1固定スクロールハウジング(第1ハウジング)9に設けたベアリング24Aによって回転可能に支持され、該ベアリング24Aの両側には動的シール33、43によりベアリング内のグリスの漏洩を防止している。
【0030】
また、第1ハウジング9の軸受部9cには、回転駆動軸26Aの回転方向に軸位置を検出するエンコーダを内蔵した軸位置検出部25Aが設けられ、内部の検出端子に連結する検出軸31Aは、断面Dカット状に面31Aeが形成されている。一方回転駆動軸26Aの左側先端部26Adは断面Dカット状の孔26Afが設けられ、該孔26Afに検出軸31Aの断面Dカット部分が挿入され、回転駆動軸26Aの回転角度位置が検出可能に構成されている。
【0031】
前記回転駆動軸26Aをカバーするハウジング44は、固定スクロールを構成する第1ハウジング9とビスにより連結される。
第1ハウジング9には、ラップ摺動面(鏡面)9dが軸方向垂直に設けれ、その摺動面9dには、その中央部分に、吐出孔9bが開設され、その吐出孔9b近傍を先端として渦巻状のラップ10が植設され、該ラップ10の上端にはチップシール溝が設けられ、該溝には相手側摺動面と接触して密閉状態を完全にするフッソ系樹脂等の自己潤滑性を有するチップシール46が嵌入されている。
【0032】
また、第1ハウジング9のラップ10が植設されている部分の外周部には、吸入口9a、9aが設けられている。
一方、第1ハウジング9のラップ10と反対側の面にはフィン11が植設され該フィン11の先端には蓋12が固着され、フィン11の延設方向にそって冷却風が流れる通路を形成している。
【0033】
一方、第2固定スクロールハウジング13には、ラップ摺動面13dが軸方向垂直に設けられ、その摺動面13dには、その中央部分に、吐出孔13bが開設され、その吐出孔13b近傍を先端として渦巻状のラップ14が植設され、該ラップ14の上端にはチップシール溝が設けられ、該溝には相手側摺動面と接触して密閉状態を完全にするフッソ系樹脂等の自己潤滑性を有するチップシール46が嵌入されている。
この第2固定スクロールハウジング13は、第1ハウジング9もしくはハウジング44に、図示しない方法で取付られている。
尚、第2固定スクロールハウジング13はハウジング44と一体に形成してもよい。
一方、第2ハウジング13のラップ14と反対側の面にはフィン15が植設され該フィン15の先端には蓋16が固着され、フィン15の延設方向にそって冷却風が流れる通路を形成している。
【0034】
ハウジング9及び13が形成する内部空間には、旋回スクロール17が公転可能に嵌挿される。
旋回スクロール17は、2枚の円盤を平行に対面配置するとともに、該2枚の円盤間を一方向から他の方向に連通する多数の通路を多数のフィンによって形成した基体47に形成された摺動面47d及び47eに前記固定スクロールに設けられたラップ10、14と嵌合可能なラップ18及び19が植設されている。
【0035】
このように構成されたスクロール本体1は、図1に示すようにカプラ3を介してモータ2Aのモータ軸27Aと連結される。
スクロール本体1側の回転駆動軸26Aには、図3の(a)に示すように、モータ2Aの回転方向の初期位置に対応する位置にキー溝26Aaが削設され、該キー溝26Aaに対応してカプラ3Aには角溝3Aaが中心孔3Adの外周部分に削設されている。この角溝3Aaの位置は、(c)に示すモータ軸27Aのキー溝27Aa位置と対応する位置である。
また、モータ軸27Aのキー溝27Aaに対応してカプラ3Bには角溝3Baが中心孔3Bdの外周部分に削設されている。
【0036】
モータ軸27Aのキー溝27Aaにキー28Bを挿入した状態で、該モータ軸27Aをカプラ3Bの孔3Bdに通す。また、回転駆動軸26Aのキー溝26Aaにキー28Aを挿入した状態で、該回転駆動軸26Aをカプラ3Aの孔3Adに通す。
その後に、(b)に示すカップリングゴム48の孔48aに回転駆動軸26Aを通して、(a)に示す係合突起3Ab、3Abとの間の面3Acに、(b)に示すカップリングゴム48の突起部分48b、48bを載置する。
そして、スクロール本体1側の回転駆動軸26Aのキー28Aの端部とモータ2A側のモータ軸27Aのキー28Bの端部と対応させて両カプラ3A及び3Bを近づけるとお互いの係合突起3Ab、3Abと係合突起3Bc、3Bcが係合する。この状態で、モータ2Aとスクロール本体1の旋回スクロール17の初期位置が一致することとなる。
【0037】
次に、スクロール本体1の組み込み方法を説明する。
図2に示す旋回スクロール17を単体で用意し、軸受凹部22Aに動的シール39、ベアリング23及び動的シール40を嵌合し、回転駆動軸26Aを旋回スクロール17の右側挿入し、偏芯部分26Aaを動的シール39の内側及びベアリング23の内側リング内に嵌合するとともに、偏芯部分26Aaの右側のフランジ部分の外周と動的シール40とを嵌合させる。
【0038】
そして、偏芯部分26Aaの左側部分にバランサ34Aを取付る。このバランサ34Aは、回転駆動軸26Aの回転軸線に対して前述したキー28Aと180゜反対側に重量部分が垂下するように、予め取付位置が決められおり、そのように取り付ける。
次に、前記フランジ部分の右側にバランサ35Aを取り付ける。この取付位置も、回転駆動軸26Aの回転軸線に対して前述したキー28Aと180゜反対側に重量部分が垂下するように、予め取付位置が決められおり、そのように取り付ける。
【0039】
一方、図4に示すよう、第1固定スクロールハウジング9の軸受部9cに内側から軸位置検出部25Aをビス30によって取り付ける。そして、バランサ34Aが初期位置にあることを視認し、その状態で軸位置検出部25Aの検出軸31Aの先端部のDカット部分が回転駆動軸26Aの孔26Afと嵌合することで、軸位置検出部25Aの初期位置と一致して組み込むことができる。
【0040】
前述した組み込み操作は下側の回転駆動軸26Bにおいても同様に行う。
この組み込み操作によって、旋回スクロール17のラップ18と第1固定スクロールハウジング9のラップ10が干渉なく両者が組み込まれる。
次に、動的シール41、42及びベアリング45を備えたハウジング44を右側から装着して、第1固定スクロールハウジング9にハウジング44を取る付ける。
そして、第2固定スクロールハウジング13を、第1固定スクロールハウジング9に図示しない方法で取り付ける。例えば、旋回スクロール17の駆動域を外れたところにビスにより両者を結合させればよい。
【0041】
このように構成されたスクロール本体1は、図1に示すように、モータ2A及び2Bが同期運転されることにより、回転駆動軸26A及び26Bの同期回転により、図5に示すように、偏芯軸部26Aa、26Baが回転軸芯49a、49bを中心に回転することにより旋回スクロール17が矢印方向に揺動して公転し、図6に示すように、固定スクロールハウジング9の吸入口9a、9a′から吸入した気体は、旋回スクロールのラップ18により取り込まれ、このラップと固定スクロールのラップ10とによって形成される密閉空間により順次圧縮されS1→S2→S3→S4と圧縮し、また、T1→T2→T3→T4と圧縮されて中央部に送られ、吐出孔9bから排出される。
【0042】
これと同じ動作はハウジング13に植設された固定スクロールラップ14と旋回スクロールラップ19との間にも行われ、これらのラップにより圧縮された圧縮気体は吐出口13bから排出される。
これらの圧縮気体は逆止弁37を介して空気タンク36に貯えられる。
【0043】
この圧縮過程で、図5に示すように、旋回スクロール17が揺動し、波形に形成されたフィン17aの揺動により、送風機7によって送られる冷却風が強制撹拌され旋回スクロール17を冷却する。
【0044】
次に、本実施の形態に用いられるモータの電気的制御に関して説明する。
図2に示すように、軸位置検出部25A、及び25Bにはエンコーダが内蔵され、このエンコーダによる軸位置信号は、図1に示すように初期位置信号及び1回転内の所定位置信号を含んだ回転信号として制御装置5に送られる。この回転信号を基にインバータ4A及び4Bを介して位相差及び回転数の制御が行われる。
【0045】
次に、図7の流れ図を用いて位相差及び回転数の制御を説明する。
モータ2A、及び2Bを同時に起動すると(100)、空気タンク36内の0.2Mpa、1Mpaなどの必要とする空気圧力となるように設定された圧力設定値が選択(101)され、その圧力値に応じた回転数になるように徐々に回転数が上昇する。
【0046】
その過程で、モータ2Aのモータ軸27A、27Bにカプラ3を介して連結する第1回転駆動軸26A、26Bの回転角位置を軸位置検出部25A、25Bからの回転信号によって測定し(102)、各駆動軸の回転角のズレ量(位相差)を演算する(103)。
両回転駆動軸の回転角許容位置ズレ量を予め実験値などから求めておき、その許容値内であれば、位相差は適切として位相差なしと判断(104)し、その許容値を超えていると、位相差が所定範囲内かどうかが判断され(105)、スクロールラップ接触などが引き起こされ故障するために両モータ2A、2Bの回転を停止(106)する。
【0047】
位相差が所定範囲内である場合は、位相差のズレ量に対応した位相差補正(107)がされ、再度ステップ102、103及び104を繰り返すが、ステップ104で位相差が適切の場合は、第1駆動軸と第2駆動軸の回転数を測定する(108)。
【0048】
各モータ2A、及び2Bが定格回転数でない場合(109)、両モータの回転数の定格回転数と現在の回転数とのズレ量を測定し(110)、該ズレ量から回転数補正データを演算し(111)、該回転数補正データから回転数を補正(112)し、再度ステップ108に戻る。
また、ステップ108で両モータが定格回転数である場合は、ステップ102以下のステップを繰り返し、両モータの位相差及び回転数を観察する。
【0049】
尚、図8は、他の流れ図であり、図7との相違点は、図7においては、ステップ104において位相差が適切かどうかを判断し、ステップ105において位相差が所定範囲内であるかどうかを判断していたが、図8においてはステップ104において位相差が所定範囲内であるかどうかを判断し、ステップ105において位相差が所定範囲内であるかどうかを判断している点である。
本流れ図においては、位相差が所定範囲内であるかどうかを判断を先に行い、位相が所定範囲内でない場合は、即座にモータを停止しているので、設定されたクロール流体機械の圧力値が小さい場合は、短い時間で定格回転数に到達するために本流れ図での判断工程が望ましい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本第1発明は、旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該複数の前記駆動軸に、それぞれ別のモータの回転軸を連結して、前記モータを互いに位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させており、複数の駆動軸との間をベルトにより連結しないので、複数の駆動軸間に軸間張力が発生せず、各駆動軸を保持するベアリングの摩耗や、ベルトの緩み等による駆動部の寿命が短縮する事を防止し、機構が簡単で調整、メンテナンスが容易なスクロール流体機械を提供することができる。
また、前記旋回スクロールの軸受部分の前記駆動軸の方向の両側にバランスウエイトを配置して構成とするので、バランスウエイトが駆動軸方向に偏して設けることによる軸受部分の一方側に重量が偏りベアリングの片摩耗を防止し、耐久性を向上することができる。
また、前記バランスウエイトが、前記スクロール側の回転角度位置に対応した角度位置で前記駆動軸に配置されるので、駆動軸にバランスウエイトを組み込んだ後に次の工程である、例えば、スクロール側の回転角位置を検出する軸位置検出部の基準位置とを合わせる目安として前記バランスウエイトの位置を用いて前記軸位置検出部を組み込むことができる。
【0051】
また、本第2発明は、先ず第1の工程として、前記旋回スクロールの単体での重心から対称的に配置された前記軸受部分に一方から、前記駆動軸を挿入もしくは嵌入し、前記駆動軸の偏芯部分を駆動軸の中心軸線より最も外側にした状態で、前記軸受部分の両側にバランスウエイトを、前記駆動軸の中心軸線に対して反対側に取り付ける。
そして、第2の工程として、固定スクロール側に取付けられた前記駆動軸の回転位置を検出する軸位置検出部に、前記バランスウエイトが前記固定スクロール側に最も近づいた位置を目安として前記駆動軸の先端部を前記軸位置検出部に連結して、前記軸位置検出部の初期位置と一致させて組み立てる。その際には、バランスウエイトを、前記固定スクロール側に最も近づいたように取り付けてあるので、該バランスウエイトの位置を目安として容易に前記軸位置検出部を、前記軸受部分の前記駆動軸の先端部と連結させることができ、前記軸位置検出部の初期位置と一致させて組み立てることができる。
【0052】
(削除)
【0053】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るスクロール流体機械のブロック構成図である。
【図2】 図1に用いられるスクロール流体機構本体を示す断面図である。
【図3】 スクロール流体機構本体とモータとの連結部を説明する説明図である。
【図4】 旋回スクロールを駆動する駆動軸の軸位置検出部を示す部分的断面図である。
【図5】 図2のC−C断面図である。
【図6】 図2のD−D断面図である。
【図7】 モータを回転制御する場合の流れ図である。
【図8】 モータを回転制御する場合の他の流れ図である。
【符号の説明】
1 スクロール流体機械本体
3 カプラ(3A、3B)
5 制御装置
17 旋回スクロール

Claims (9)

  1. 旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該駆動軸を偏芯させ、前記旋回スクロールを前記駆動軸によって位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させるスクロール流体機械において、
    複数の前記駆動軸の一端部に、それぞれ別のモータの回転軸を連結し、前記駆動軸の中央部分に前記駆動軸の中心軸線より偏芯した偏芯部分を有し、該偏芯部分を前記旋回スクロールの外周側に設けた軸受部分に回転可能に支持し、前記駆動軸の他端部にそれぞれ該駆動軸の回転角度位置を検出する軸位置検出部を設け、前記偏芯部分の両側の前記駆動軸にそれぞれバランスウエイトを取り付け、該バランスウエイトを前記駆動軸の中心軸線に対して前記偏芯部分の反対側に位置し、さらに前記モータの回転軸と前記駆動軸との連結部のキーを前記駆動軸の中心軸線に対して前記バランスウエイトの反対側に位置し、前記位置関係を有して前記軸位置検出部に取り付けられ、該軸位置検出部からの信号に基づいて前記モータを互いに同期運転させることを特徴とするスクロール流体機械。
  2. 前記複数の駆動軸は、固定スクロールの中心部分を中心として略対称位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  3. 前記複数の駆動軸にそれぞれ連結するモータはそれぞれインバータを介して制御されることを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  4. 前記モータの前記回転軸の軸端に設けたモータ側カプラと、前記旋回スクロールの前記駆動軸の軸端に設けたスクロール側カプラとを連設して構成したことを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  5. 前記軸受部分の前記駆動軸の方向幅は、旋回スクロールラップを除いた本体部分の前記駆動軸の方向幅より狭く形成したことを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  6. 前記本体部分には前記駆動軸の方向に複数のフィンで区画した冷却風流通通路が形成されることを特徴とする請求項5記載のスクロール流体機械。
  7. 前記同期運転を行う制御装置を備え、該制御装置は前記軸位置検出部で前記複数の駆動軸の回転角度位置を測定する位相差測定工程を行い、位相差が適切でない場合は位相差ズレデータに基づく位相差補正制御を行い、位相差が適切である場合は前記複数の駆動軸の回転数を測定し、該複数の駆動軸の回転数が定格回転数でない場合は前記駆動軸の回転数ズレデータに基づく回転数制御を行い、定格回転数である場合は前記位相差測定工程に戻ることを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  8. 前記同期運転を行う制御装置を備え、該制御装置は前記軸位置検出部で前記複数の駆動軸の回転角度位置を測定し、測定された位相差が適切でないが所定範囲内にある場合は位相差ズレデータに基づく位相差補正制御を行い、位相差が所定範囲内にない場合は、前記旋回スクロールの駆動動作を中止することを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  9. 旋回スクロールのラップ形成域より外側において、該旋回スクロールの軸受部分と連結して旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸を設け、該駆動軸を偏芯させ、前記旋回スクロールを前記駆動軸によって位相差が生じないように、かつ同一回転数でそれぞれ同期回転させるスクロール本体を有するスクロール流体機械の組立方法において、
    前記旋回スクロールの単体での重心から対称的に配置された前記軸受部分に一方から、前記駆動軸を挿入もしくは嵌入し、前記駆動軸の偏芯部分を駆動軸の中心軸線より最も外側にした状態で、前記軸受部分の両側にバランスウエイトを、前記駆動軸の中心軸線に対して反対側に取り付けるとともに、
    かかる状態で、固定スクロール側に取付けられた前記駆動軸の回転位置を検出する軸位置検出部に、前記バランスウエイトが前記固定スクロール側に最も近づいた位置を目安と して前記駆動軸の先端部を前記軸位置検出部に連結して、前記軸位置検出部の初期位置と一致させて組み立てることを特徴とするスクロール流体機械の組立方法。
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