JP4071395B2 - 利得可変増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の通信機器に用いられる利得可変増幅器に関するものである。
【0002】
近年の携帯電話には、高い通話品質を得るために、受信の電波強度に応じて送信の電波強度を正確に制御することと、高い音質が要求されている。そのため、送受信部に用いられるAGC(Automatic Gain Control)回路に用いられる利得可変増幅器には、広範囲において直線性の良い利得特性と、雑音指数の小さい特性を持つことが求められている。
【0003】
【従来の技術】
図8は、従来の利得可変増幅器10の回路図である。
利得可変増幅器10は、利得制御信号(制御入力電圧Vc )に応じた利得で入力信号Pinを増幅して生成した出力信号Pout を出力する。この利得可変増幅器10は、直列接続された複数(この例では3個)の単位可変利得増幅器(以下、単位増幅器という)11,12,13と、それらの利得を制御する信号を制御入力電圧Vc から生成するための直流増幅器14、レベルシフト回路15,16,17、及び電圧制限回路18,19,20を備えている。
【0004】
直流増幅器14は、制御入力電圧Vc を増幅して生成した信号を各レベルシフト回路15,16,17に出力する。各レベルシフト回路15,16,17は、入力電圧をそれぞれ所定の直流電圧値だけレベルシフトした電圧Vb1,Vb2,Vb3を出力する。電圧制限回路18,19,20は、対応するレベルシフト回路15,16,17の出力電圧Vb1,Vb2,Vb3を一定の直流電圧範囲に電圧制限して生成した制御電圧Vc1,Vc2,Vc3を対応する単位増幅器11,12,13に出力する。
【0005】
図9(a)は、制御入力電圧Vc と各レベルシフト回路15,16,17が出力する電圧Vb1,Vb2,Vb3の関係を示す特性図、図9(b)は、制御入力電圧Vc と各電圧制限回路18,19,20が出力する制御電圧Vc1,Vc2,Vc3の関係を示す特性図である。
【0006】
このようにして、各単位増幅器11,12,13の制御電圧Vc1,Vc2,Vc3を生成すると、各単位増幅器11,12,13が制御入力電圧Vc の上昇とともに順次増幅動作する。これにより、図9(c)に示すように、利得可変増幅器10は、制御入力電圧Vc の変化に対してほぼ直線的な利得特性を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の利得可変増幅器10では、総合での高利得領域(制御入力電圧Vc が最大値に近い領域)において、雑音指数が大きくなるという問題がある。これは、利得可変増幅器10が、利得特性をほぼ直線的に変化させるために、各段の単位増幅器11〜13の利得を制限しているからである。
【0008】
従って、この利得可変増幅器10では、雑音指数を小さくするために初段の単位増幅器11の利得を大きくすると利得変化の直線性が劣化し、直線性をよくするために単位増幅器11の利得を小さく抑えると雑音指数が劣化するという問題を生じていた。
【0009】
また、各レベルシフト回路15〜17は、入力信号をそれぞれ別々にレベルシフトして電圧Vb1からVb3を生成しているため、プロセスバラツキによって各レベルシフト回路15〜17のシフト量がずれると、各段の単位増幅器11〜13の動作を切り替えるタイミングが図10(a)又は図10(c)のようにずれる。このことは、利得特性の直線性を阻害するという問題を生じていた。同様に、プロセスバラツキによって各電圧制限回路18〜20に発生する電圧制限値のばらつきは、利得特性の直線性を阻害する。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は利得特性の直線性がよく、雑音指数の小さい利得可変増幅器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、利得制御信号に基づいて生成した複数の制御信号により複数段の単位可変利得増幅器の利得をそれぞれ制御し、該複数の単位可変利得増幅器により入力信号を多段増幅して生成した信号を出力する利得可変増幅器において、前記各単位可変利得増幅器の利得が前段のものほど大きくなるように前記複数の制御信号を生成する利得制御部を備えた。これにより、直線性の高い利得特性が得られ、多段増幅器における雑音指数が低くなる。また、前記利得制御部は、前記利得制御信号を分岐して前記複数の単位可変利得増幅器に対応して複数の分岐電圧を生成する制御電圧分岐回路と、前記複数の分岐電圧の傾きを調整して前記複数の制御信号を生成する電圧傾斜調整回路と、を備える。
【0012】
さらに、前記利得制御部は、前記利得制御信号が所定の電圧を超えると、前段の単位可変利得増幅器に供給した制御電圧を分岐してその単位可変利得増幅器と次段の単位可変利得増幅器にそれぞれ供給する制御電圧を生成する。これにより、単位可変利得増幅器の切替タイミングが各段において一致する。
【0013】
前記利得制御部は、請求項に記載の発明のように、前記利得制御信号が前記所定の電圧を超えるときに、前段の第1の単位可変利得増幅器に供給される制御電圧における前記利得制御信号の変化量に対する変化量を、第1の変化量から該第1の変化量よりも小さい第2の変化量に連続的に少なくするとともに、前記第1の単位可変利得増幅器の次段の第2の単位可変利得増幅器に供給される制御電圧における前記利得制御信号の変化量に対する変化量を、前記第2の変化量よりも小さい第3の変化量になるように連続的に大きくするオーバーラップ領域を、各制御電圧特性が有するように前記各制御電圧を生成する。これにより、総合の利得特性の直線性が高くなる。
【0014】
前記利得制御部は、請求項に記載の発明のように、オーバーラップ領域において、所定段の前記制御電圧をその次段の前記制御電圧が補うように各制御電圧を生成する。これにより、総合の利得特性の直線性が高くなる。
【0016】
前記制御電圧分岐回路は、請求項に記載の発明のように、前記複数の単位可変利得増幅器の数より1つ少ない数だけ設けられ、入力電圧を分岐して2つの分岐電圧を生成し、前記電圧傾斜調整回路は、前記複数の単位可変利得増幅器の数と同数設けられ、前記分岐電圧の傾きを調整して生成した前記制御電圧を出力する。
【0017】
前記制御電圧分岐回路は、請求項に記載の発明のように、直列接続した抵抗及びダイオードを備え、前記ダイオードのアノードに前記抵抗を介して入力電圧を供給し、前記ダイオードと前記抵抗の間のノードから第1の分岐電圧を出力し、前記抵抗の両端の電位差を持つ第2の分岐電圧を出力する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図5に従って説明する。
図1は、本実施の形態の利得可変増幅器30のブロック回路図である。
【0019】
利得可変増幅器30は、直列接続された複数(本実施の形態では3個)の単位利得可変増幅器(以下、単位増幅器という)31,32,33と、それらの利得を制御する利得制御部34を含む。
【0020】
利得制御部34は、入力される利得制御信号(制御入力電圧Vcnt )を分割して生成した制御電圧Vc1,Vc2,Vc3を単位増幅器31,32,33に出力する。初段の第1単位増幅器31には入力信号Pinが入力される。各単位増幅器31〜33は、制御電圧Vc1〜Vc3に応じて利得を可変し、入力信号を増幅した信号を出力する。これにより、利得可変増幅器30は、制御入力電圧Vcnt に応じた利得(各単位増幅器31〜33の利得の総和)にて入力信号Pinを増幅して生成した信号Pout を出力する。
【0021】
詳述すると、利得制御部34は、低利得領域では初段の第1単位増幅器31の利得のみが変化するように第1制御電圧Vc1を生成し、高利得領域に移るに従って得ようとする利得を第2単位増幅器32へ、第2及び第3単位増幅器32,33へ分配するように各制御電圧Vc1,Vc2,Vc3を生成する。更に、利得制御部34は、高利得領域における利得配分を、前段の単位増幅器31,32の利得の方がそれぞれの後段の単位増幅器32,33のそれより大きくなるように利得変化率を調整する。そして、利得制御部34は、格段の単位増幅器31〜33への利得の分配タイミングを、図2(a)〜(c)に示す切替電圧Vs1,Vs2で行う。
【0022】
図2(a)〜(c)は、制御入力電圧Vcnt に対する各制御電圧Vc1,Vc2,Vc3の関係をそれぞれ示す図である。図3(a)は、制御入力電圧Vcnt と各制御電圧Vc1,Vc2,Vc3の総和の関係を示す図、図3(b)は、制御入力電圧Vcnt に対する利得の特性を示す図である。
【0023】
図2(a)に示すように、利得制御部34は、制御入力電圧Vcnt が第1切替電圧Vs1より小さいとき、該電圧Vcnt の変化量に対して所定の変化量を持つ第1制御電圧Vc1を第1単位増幅器31に出力する。この制御入力電圧Vcnt の変化量に対する第1制御電圧Vc1の変化量(第1制御電圧Vc1の変化を示す直線の傾きθ1)を、第1制御電圧Vc1の変化率といい、この変化率は第1単位増幅器31の利得の変化率に対応する。
【0024】
このようにして、利得可変増幅器30は、第1単位増幅器31の利得の変化率と実質的に同一の変化率を有する利得にて入力信号Pinを増幅して生成した信号Pout を出力する。
【0025】
次に、利得制御部34は、制御入力電圧Vcnt が第1切替電圧Vs1より大きいとき、総合の利得を第1及び第2単位増幅器31,32に分配するように、第1及び第2制御電圧Vc1,Vc2の傾き(変化量)を調整する。即ち、図2(a)に示すように、利得制御部34は、第1制御電圧Vc1の傾き(角度θ1)を角度θ2aに変更し、第2制御電圧Vc2の傾きを第1制御電圧Vc1のそれよりも小さい角度θ2b(=θ1−θ2a)に変更する。
【0026】
更に次に、利得制御部34は、制御入力電圧Vcnt が第2切替電圧Vs2より大きいとき、総合の利得を第1〜第3単位増幅器31〜32に分配し、第2単位増幅器32の利得を第2及び第3単位増幅器32,33に分配するように、第1〜第3制御電圧Vc1〜Vc3の傾き(変化量)を調整する。即ち、図2(b)に示すように、利得制御部34は、第2制御電圧Vc2の傾き(角度θ2b)を角度θ3aに変更し、第3制御電圧Vc3の傾きを第2制御電圧Vc2のそれよりも小さい角度θ3b(=θ2b−θ3a)に変更する。
【0027】
このようにして、利得制御部34は、利得の変化率を前段の単位増幅器ほど利得が大きくなるように各段の単位増幅器31〜33の利得変化率に分岐した。これにより、前段の単位増幅器31が高利得/低雑音で動作するため、総合(利得可変増幅器30全体)での雑音指数が小さくなる。
【0028】
また、利得制御部34は、制御入力電圧Vcnt を分岐して第1〜第3制御電圧Vc1〜Vc3を生成すると共に、各制御電圧Vc1〜Vc3を所定の切替電圧Vs1,Vs2で切り替える。従って、プロセスバラツキなどによる直線性の劣化を防止する。さらに、プロセスバラツキにより切替電圧Vs1,Vs2が変動する、又は分岐比率が変動しても、切り替えのタイミング(電圧)、又は各単位増幅器31〜33の利得変化率がプロセスバラツキに応じて変動するだけであるため、総合の利得を一定の変化率に保持し、直線性の高い利得特性が得られる。
【0029】
更に、利得制御部34は、各単位増幅器31〜33の制御を切り替えるタイミングを、各段の単位増幅器31〜33の利得制御を行う期間がオーバーラップするように制御する。
【0030】
詳述すると、利得制御部34は、第1制御電圧Vc1の変化率(特性を示す線分の傾き)を第1の傾斜から第2の傾斜に変更するタイミング(第1切替電圧Vs1,図4(a)参照)において、図4(b)に示すように、第1制御電圧Vc1の傾きを第1の傾斜から第2の傾斜に徐々に少なくする。これに対応して、利得制御部34は、第2制御電圧Vc2の傾きを、徐々に大きくする。そして、利得制御部34は、このオーバーラップ領域における第1及び第2制御電圧Vc1,Vc2の合計の変化率を一定の変化率に制御する。即ち、利得制御部34は、第1制御電圧Vc1による利得の変化量を第2制御電圧Vc2による利得の変化量で補うように動作する。
【0031】
次に、利得制御部34の回路構成を説明する。
利得制御部34は、制御電圧分岐回路(以下、単に分岐回路という)35,36、電圧傾斜調整回路(以下、単に調整回路という)37,38,39を含む。
【0032】
第1分岐回路35は、入力される制御入力電圧Vcnt を、その電圧値に応じて分岐した値を持つ第1及び第2分岐電圧Vd1,Vd2を第1及び第2調整回路37,38に出力する。
【0033】
詳述すると、第1分岐回路35は、制御入力電圧Vcnt が所定の電圧(第1切替電圧Vs1)より小さいとき、該電圧Vcnt と同一値を持つ第1分岐電圧Vd1を出力し、制御入力電圧Vcnt が第1切替電圧より大きいとき、該電圧Vcnt を所定の比率にて2分割した電圧をそれぞれ持つ第1及び第2分岐電圧Vd1,Vd2を出力する。
【0034】
第1調整回路37は、第1分岐電圧Vd1を増幅又は減衰して生成した第1制御電圧Vc1を第1単位増幅器31に出力する。
第2調整回路38は、第2分岐電圧Vd2を増幅又は減衰して生成した電圧Vd2a を第2分岐回路36に出力する。
【0035】
第2分岐回路36は、入力電圧Vd2a を、その電圧値に応じて分岐した値を持つ第2制御電圧Vc2及び第3分岐電圧Vd3を第2単位増幅器32及び第3調整回路39に出力する。
【0036】
詳述すると、第2分岐回路36は、入力電圧Vd2a が所定の電圧(第2切替電圧Vs2に対応し、その第2切替電圧Vs2を第2分岐回路36が持つ分岐比にて分圧した電圧)より小さいとき、該電圧Vd2a と同一値を持つ第2制御電圧Vc2を出力し、入力電圧Vd2a が所定の電圧より大きいとき、該電圧Vd2a を所定の比率にて2分割した電圧をそれぞれ持つ第2制御電圧Vc2及び第3分岐電圧Vd3を出力する。
【0037】
第3調整回路39は、第3分岐電圧Vd3を増幅又は減衰して生成した第3制御電圧Vc3を第3単位増幅器33に出力する。
このようなこうせいにより、利得制御部34は、制御入力電圧Vcnt を分岐して生成した第1〜第3制御電圧Vc1〜Vc3を出力する。
【0038】
次に、第1及び第2分岐回路35,36、第1〜第3調整回路37〜39の一具体例を図4に従って説明する。
第1分岐回路35は、直列接続した抵抗R1及びダイオードD1を備える。抵抗R1の第1端子には制御入力電圧Vcnt が供給され、抵抗R1の第2端子はダイオードD1のアノードに接続され、ダイオードD1のカソードは低電位電源(本実施形態ではグランド)に接続されている。
【0039】
ダイオードD1は、制御入力電圧Vcnt が自身のフォワード電圧より小さいときにオフし、フォワード電圧より大きいときにオンする。ダイオードD1がオフしているとき、制御入力電圧Vcnt は抵抗R1を介して第1調整回路37に第1分岐電圧Vd1として供給される。
【0040】
ダイオードD1がオンすると、そのオン抵抗に従ってダイオードD1と抵抗R1の間のノードからグランドに向かって電流が流れ、これにより抵抗R1に電流が流れそれの両端にその抵抗値に応じた電位差が生じる。その結果、第1分岐電圧Vd1は、制御入力電圧Vcnt を抵抗R1とダイオードD1のオン抵抗により分圧した電圧を持ち、抵抗R1の両端の電位差を持つ第2分岐電圧Vd2が第2調整回路38に供給される。
【0041】
即ち、ダイオードD1のフォワード電圧が第1切替電圧Vs1として設定され、抵抗R1とダイオードD1のオン抵抗の比が制御入力電圧Vcnt を第1及び第2分岐電圧Vd1,Vd2に分岐する割合として設定される。
【0042】
第1調整回路37は、オペアンプOPA1と抵抗R2,R3を備える。オペアンプOPA1の非反転入力端子には第1分岐電圧Vd1が供給され、反転入力端子は抵抗R2を介して出力端子に接続されると共に抵抗R3を介してグランドに接続される。これにより、第1調整回路37は、オペアンプOPA1及び抵抗R2,R3からなる非反転増幅器として動作し、抵抗R2,R3の抵抗値に基づく増幅度にて第1分岐電圧Vd1を増幅(又は減衰)した第1制御電圧Vc1を出力する。
【0043】
第2調整回路38は、オペアンプOPA2と抵抗R4,R5,R6,R7を備える。オペアンプOPA2の反転入力端子は抵抗R4を介して出力端子に接続されると共に抵抗R5を介して第1分岐回路35の抵抗R1とダイオードD1間のノードに接続される。オペアンプOPA2の非反転入力端子は、抵抗R6を介して第1分岐回路35の抵抗R1の第1端子が接続されると共に抵抗R7を介してグランドに接続される。
【0044】
従って、第2調整回路38は、オペアンプOPA2及び抵抗R4〜R7からなる差動増幅器として動作し、オペアンプOPA2の非反転入力端子と反転入力端子間の電位差、即ち第2分岐電圧Vd2を抵抗R4〜R7の抵抗値に基づく増幅度にて増幅(又は減衰)した電圧Vd2a を出力する。
【0045】
第2分岐回路36は、直列接続した抵抗R8及び複数のダイオードD2,D3を備える。抵抗R8の第1端子には電圧Vd2a が供給され、抵抗R8の第2端子はダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードはダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードはグランドに接続されている。
【0046】
従って、第2分岐回路36は、第1分岐回路35と同様に動作する。即ち、第2分岐回路36は、電圧Vd2a が2つのダイオードD2,D3のフォワード電圧の合計値よりも小さいときにはその電圧Vd2a と同一値を持つ第2制御電圧Vc2を出力する。そして、第2分岐回路36は、電圧Vd2a が合計値よりも大きいときには、その電圧Vd2a を抵抗R8とダイオードD2,D3のオン抵抗の合計値とで分圧した電圧を有する第2制御電圧Vc2と、抵抗R8の両端の電位差を持つ第3分岐電圧Vd3を出力する。
【0047】
第3調整回路39は、第2調整回路38と同様に、オペアンプOPA3と抵抗R9,R10,R11,R12を備え、それらにより差動増幅回路を構成する。従って、第3調整回路39は、第3分岐電圧Vd3を対抗R9〜R12の抵抗値に基づく増幅度にて増幅(又は減衰)した第3制御電圧Vc3を出力する。
【0048】
図4において、第2単位増幅器32と第3単位増幅器33の間には、ミキサ回路40が挿入接続されている。このミキサ回路40には、第2単位増幅器32の出力信号Po2と、局部発信周波数を持つ信号Minが入力される。このように構成された利得可変増幅器30は、入力信号Pinと信号Minの周波数に基づいて、アップコンバータ又はダウンコンバータとして動作する。
【0049】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)利得制御部34は、制御入力電圧(利得制御信号)Vcnt を分岐して第1〜第3制御電圧Vc1〜Vc3を生成すると共に、それらを各単位増幅器31〜33の利得が前段のものほど大きくなるように制御した。その結果、直線性の高い利得特性得ることができるとともに、多段増幅器における雑音指数を低くすることができる。
【0050】
(2)利得制御部34は、制御入力電圧Vcnt 所定の切替電圧Vs1,Vs2を超えると、前段の単位増幅器31(32)に供給した制御電圧Vc1(Vc2)を分岐してその単位増幅器31(32)と次段の単位増幅器32(33)にそれぞれ供給する制御電圧Vc1,Vc2(Vc2,Vc3)を生成した。これにより、単位増幅器31〜33の切替タイミングが各段において一致させることができ、利得特性の直線性が向上する。
【0051】
(3)利得制御部34は、各制御電圧Vc1〜Vc3の特性がオーバーラップ領域を有するようにそれらを生成した。切り替えのタイミングにおいて、制御電圧Vc1(Vc2)を次段の制御電圧Vc2(Vc3)が補正するため、総合の利得特性の直線性を高くすることができる。
【0052】
尚、前記実施の形態は、以下の態様に変更してもよい。
○上記実施の形態では、制御電圧Vc1〜Vc3を制御した3つの単位増幅器31〜33により利得可変増幅器30の総合利得を得るようにしたが、これらに加えて従来方式により制御した単位増幅器を直列接続して利得可変増幅器を構成しても良い。また、3つの単位増幅器31〜33のうちの2つを本実施形態の方式により制御し、他の単位増幅器を従来方式により制御する構成としてもよい。
【0053】
○上記実施の形態では、各回路35〜39をそれらの構成により図2の如く接続したが、これに限定されない。例えば、第2分岐回路36を第2及び第3調整回路38,39の間に挿入接続したが、これを第1分岐回路35と第2調整回路38の間に挿入接続した構成とする。また、第1調整回路37に制御入力電圧Vcnt を入力させ、第1調整回路37の出力電圧を第1分岐回路35にて分岐して第1制御電圧Vc1と第2分岐電圧Vd2を生成する構成としても良い。
【0054】
○上記実施の形態では、第1及び第2分岐回路35,36により第1〜第3分岐電圧Vd1〜Vd3を生成したが、図6に示すように、第1〜第3分岐電圧Vd1〜Vd3を生成する1つの分岐回路51を備えた利得制御部52、利得可変増幅器53に実施しても良い。
【0055】
○上記実施の形態において、単位増幅器を並列に接続する、即ち、図7に示すように、単位増幅器31,32に対して、直列接続した単位増幅器61,62を並列に接続した利得可変増幅器64に具体化してもよい。この利得可変増幅器64は、各段の単位増幅器、即ち初段の単位増幅器31,61に第1制御電圧Vc1を供給し、2段目の単位増幅器32,62に第2制御電圧Vc2を供給する利得制御部63を有している。この利得制御部63は、分岐回路35と第1及び第2調整回路37,38を備え、それらによって制御入力電圧Vcnt から第1及び第2制御電圧Vc1,Vc2を生成する。このようにして、利得可変増幅器64は、入力信号Pinを増幅して生成した第1及び第2出力信号Pout1,Pout2を図示しない回路へそれぞれ出力する。
【0056】
○上記実施の形態では、制御電圧Vc1,Vc2,Vc3により増幅度を可変する単位増幅器31,32,33を用いたが、制御電流に応じて増幅度を可変する単位増幅器を用いて実施しても良い。その場合、利得制御部は、各単位増幅器の利得が前段のものほど大きくなるように複数の制御電流の値を制御する。このような構成によっても、上記実施の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、利得特性の直線性がよく、雑音指数の小さい利得可変増幅器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態の利得可変増幅器のブロック回路図である。
【図2】 各段の単位利得可変増幅器の特性図である。
【図3】 (a)は利得可変増幅器における制御入力電圧に対する制御電圧の特性図、(b)は制御入力電圧に対する利得の特性図である。
【図4】 オーバーラップ領域の説明図である。
【図5】 一実施形態の利得可変増幅器の回路図である。
【図6】 別の利得可変増幅器のブロック回路図である。
【図7】 別の利得可変増幅器のブロック回路図である。
【図8】 従来の利得可変増幅器のブロック回路図である。
【図9】 従来の利得可変増幅器の特性図である。
【図10】 各段の単位利得可変増幅器の切替タイミングを説明する図である。
【符号の説明】
30 利得可変増幅器
31,32,33 単位利得可変増幅器
34 利得制御部
35,36 制御電圧分岐回路
37,38,39 電圧傾斜調整回路
Pin 入力信号
Pout 出力信号
Vcnt 利得制御信号(制御入力電圧)
Vc1,Vc2,Vc3 制御信号(制御電圧)

Claims (5)

  1. 利得制御信号に基づいて生成した複数の制御信号により複数段の単位可変利得増幅器の利得をそれぞれ制御し、該複数の単位可変利得増幅器により入力信号を多段増幅して生成した信号を出力する利得可変増幅器において、
    前記各単位可変利得増幅器の利得が前段のものほど大きくなるように前記複数の制御信号を生成する利得制御部を備え
    前記利得制御部は、
    前記利得制御信号を分岐して前記複数の単位可変利得増幅器に対応して複数の分岐電圧を生成する制御電圧分岐回路と、
    前記複数の分岐電圧の傾きを調整して前記複数の制御信号を生成する電圧傾斜調整回路と、を備え、
    前記利得制御信号が所定の電圧を超えると、前段の単位可変利得増幅器に供給した制御電圧を分岐してその単位可変利得増幅器と次段の単位可変利得増幅器にそれぞれ供給する制御電圧を生成する、
    ことを特徴とする利得可変増幅器。
  2. 請求項1に記載の利得可変増幅器において、
    前記利得制御部は、
    前記利得制御信号が前記所定の電圧を超えるときに、前段の第1の単位可変利得増幅器に供給される制御電圧における前記利得制御信号の変化量に対する変化量を、第1の変化量から該第1の変化量よりも小さい第2の変化量に連続的に少なくするとともに、前記第1の単位可変利得増幅器の次段の第2の単位可変利得増幅器に供給される制御電圧における前記利得制御信号の変化量に対する変化量を、前記第2の変化量よりも小さい第3の変化量になるように連続的に大きくするオーバーラップ領域を、各制御電圧特性が有するように前記各制御電圧を生成する、ことを特徴とする利得可変増幅器。
  3. 請求項2に記載の利得可変増幅器において、
    前記利得制御部は、前記オーバーラップ領域において、所定段の前記制御電圧をその次段の前記制御電圧が補うように各制御電圧を生成する、ことを特徴とする利得可変増幅器。
  4. 請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の利得可変増幅器において、
    前記制御電圧分岐回路は、前記複数の単位可変利得増幅器の数より1つ少ない数だけ設けられ、入力電圧を分岐して2つの分岐電圧を生成し、
    前記電圧傾斜調整回路は、前記複数の単位可変利得増幅器の数と同数設けられ、前記分岐電圧の傾きを調整して生成した前記制御電圧を出力する、
    ことを特徴とする利得可変増幅器。
  5. 請求項4に記載の利得可変増幅器において、
    前記制御電圧分岐回路は、直列接続した抵抗及びダイオードを備え、前記ダイオードのアノードに前記抵抗を介して入力電圧を供給し、前記ダイオードと前記抵抗の間のノードから第1の分岐電圧を出力し、前記抵抗の両端の電位差を持つ第2の分岐電圧を出力する、ことを特徴とする利得可変増幅器。
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