JP4071021B2 - ラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物、その重合体、レジスト材料及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、(1)微細加工技術に適したレジスト材料のベース樹脂用のモノマーとして有用且つ新規な(メタ)アクリレート化合物、(2)それらを原料とした重合体、(3)その重合体を含有するレジスト材料及び(4)そのレジスト材料を用いたパターン形成方法、に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められているなか、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは、0.3μm以下の超微細加工に不可欠な技術としてその実現が切望されている。
エキシマレーザー光、特に波長193nmのArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーで用いられるレジスト材料に対しては、該波長における高い透明性を確保することは当然として、薄膜化に対応できる高いエッチング耐性、高価な光学系材料に負担をかけない高い感度、そして何よりも、微細なパターンを正確に形成できる高い解像性能を併せ持つことが求められている。これらの要求を満たすためには、高透明性、高剛直性かつ高反応性のベース樹脂の開発が必要であるが、現在知られている高分子化合物の中には、これらの特性を全て備えるものがなく、未だ実用に足るレジスト材料が得られていないのが現状である。
【0003】
高透明性樹脂としては、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の共重合体、ノルボルネン誘導体由来の脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物等が知られているが、そのいずれもが満足のいくものではない。例えば、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の共重合体は、高反応性モノマーの導入や酸不安定単位の増量が自由にできるので反応性を高めることは比較的容易だが、主鎖の構造上剛直性を高めることは極めて難しい。一方、脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物については、剛直性は許容範囲内にあるものの、主鎖の構造上ポリ(メタ)アクリレートよりも酸に対する反応性が鈍く、また重合の自由度も低いことから、容易には反応性を高められない。加えて、主鎖の疎水性が高いために、基板に塗布した際に密着性が劣るという欠点も有する。従って、これらの高分子化合物をベース樹脂としてレジスト材料を調製した場合、感度と解像性は足りていても、エッチングには耐えられない、あるいは許容できるエッチング耐性を有していても低感度、低解像性で実用的でないという結果に陥ってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、300nm以下の波長、特にArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーにおいて、密着性、透明性及びエッチング耐性の全てに優れたレジスト材料用の重合体の原料となるモノマー、その重合体、その重合体をベース樹脂として含有するレジスト材料及びこのレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者は上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、後述の方法により、下記一般式(1)で示されるラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が高収率且つ簡便に得られ、更に、この(メタ)アクリレート化合物を重合して得られる樹脂が、エキシマレーザーの露光波長での透明性が高く、これをベース樹脂として用いたレジスト材料が、基板密着性及びエッチング耐性に優れることを見出した。
【0006】
本発明は以下の(メタ)アクリレート化合物、その重合体、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。即ち、下記1〜6からなるものである。
1. 下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物。
【0007】
【化4】
(式中、R1は水素原子、またはメチル基を表す。)
【0008】
2. 一般式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物の重合体であって、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位を含有し、重量平均分子量2,000〜100,000であることを特徴とする重合体。
【化5】
3. 更に、一般式(2a)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする前項2の重合体。
【0009】
【化6】
(式中、R1は水素原子、またはメチル基を、R2は炭素数4〜20の3級アルキル基を表す。)
【0010】
4. 前項2又は3に記載の重合体を含有することを特徴とするレジスト材料。
5. (A)前項2又は3に記載の重合体、(B)酸発生剤、(C)有機溶剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
6. (1)前項4又は5に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程、(2)次いで、加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線又は電子線で露光する工程、(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程、からなることを特徴とするパターン形成方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物は前記一般式(1)で表され、これは例えば、以下に示す3段階の合成法で製造できるが、本発明においてはこの方法に限定されるものではない。以下、詳しく説明する。
【0012】
まず、第1段階の反応は下記(化7)で示されるラクトン形成反応であって、式(3)で示される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸または式(4)で示される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を溶媒中で酸触媒により反応させて式(5)で示されるラクトン構造を有するカルボン酸を得る。
【0013】
【化7】
【0014】
上記(化7)で示されるラクトン形成反応に用いる酸触媒としては、硫酸、硝酸、塩酸などの無機酸及びその塩類、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸及びその塩類、陽イオン交換樹脂を例示できる。酸触媒の使用量は、原料1モルに対し0.001モルから10モル、特に0.01モルから2モルとすることが好ましい。
上記(化7)で示されるラクトン形成反応に用いられる溶媒としては酢酸などの有機酸類;トルエン、キシレン、ヘプタンなどの炭化水素類;ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;塩化メチレン、1、2−ジクロロエタンなどの塩素系溶媒類;水の中から選択して単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0015】
上記ラクトン形成の反応温度は室温から溶媒の沸点程度が好ましく、反応条件により適切な反応温度を選べるが、例えば酸触媒として硫酸を用いた場合は、80℃〜120℃が特に好ましい。
上記ラクトン形成の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常1〜20時間程度である。
なお、出発原料として5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(4)を用いた場合は酸無水物の加水分解のために、反応の際に原料1モルに対して1モル以上の水を添加する必要がある。反応は窒素雰囲気下、加熱攪拌して行われる。反応終了後は通常の水系後処理(aqueous work-up)または反応中に析出した式(5)で示される目的物を濾別、採取することにより目的物(5)のカルボン酸を得る。目的物(5)は再結晶、クロマトグラフィーなどの常法により精製することも可能であるが通常はそのまま次の反応を行なうのに充分な純度を有している。
【0016】
第2段階の下記(化8)で示される反応は式(5)で示されるカルボン酸を式(6)で示されるアルコールに還元する反応であり、通常溶媒中で原料のカルボン酸(5)に還元剤を作用させることにより行なうことができる。
【0017】
【化8】
【0018】
第2段階の反応に用いる還元剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウムなどの金属水素化物類;水素化アルミニウムリチウム、テトラヒドロホウ酸ナトリウムなどの金属水素錯化合物類;ボラン、ボラン・テトラヒドロフラン錯体などのボラン試薬類などが好ましく、収率の点から特にボラン試薬類が好ましい。還元剤の使用量は使用する還元剤の種類により異なるが、例えばボラン・テトラヒドロフラン錯体を用いた場合は原料のカルボン酸1モルに対し0.5〜5.0モル、特に1.0〜2.0モルとすることが好ましい。
第2段階の反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類を例示でき、これらの中から選択して単独または2種以上を混合して用いることができる。
第2段階の反応温度は用いる還元剤により異なるが、−78℃〜100℃、特に0℃〜60℃で行なうことが好ましい。第2段階の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応を追跡して決定することが好ましいが、通常1〜20時間程度である。反応終了後は通常の水系後処理(aqueous work-up)により目的物のアルコール(6)を取り出すことができる。得られたアルコール(6)は必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することも可能である。
【0019】
第3段階の反応は下記(化9)で示され、アルコール(6)の(メタ)アクリル化反応であり、(メタ)アクリル酸クロリドと塩基を用いる方法、(メタ)アクリル酸を用いた酸触媒エステル化反応、(メタ)アクリル酸とジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤を用いたエステル化などの常法に従って行なうことができる。必要があれば得られた(メタ)アクリレート化合物(1)はクロマトグラフィー、蒸留、再結晶などの常法により精製することが可能である。
【0020】
【化9】
(式中R1は水素原子またはメチル基を示す。)
【0021】
本発明は前記一般式(1)で示されるエステル化合物を原料とし、前記一般式(1a)で示される繰り返し単位を含有し、重量平均分子量2,000〜100,000であることを特徴とする重合体を提供する。
更に、本発明の重合体即ちレジストベースポリマーは前記一般式(2a)で示される繰り返しを含有することが好ましい。
前記一般式(2a)において、R1は水素原子またはメチル基である。R2は炭素数4〜20の3級アルキル基である。R2の炭素数4〜20の3級アルキル基として具体的には、t−ブチル基、t−ペンチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、トリエチルカルビニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−シクロペンチルシクロペンチル基、1−シクロヘキシルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−シクロペンチルシクロヘキシル基、1−シクロヘキシルシクロヘキシル基、2−メチル−2−ノルボニル基、2−エチル−2−ノルボニル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−アダマンチル−1−メチルエチル基を例示できるが、これらに限定されない。前記一般式(2a)で示される繰り返し単位を含有することにより酸で分解し、アルカリで可溶性になるような重合体を与える。
【0022】
本発明の重合体としては前記(1a)、(2a)の繰り返し単位に加え、更に、レジスト材料としての性能を向上させるために、下記のような重合性炭素−炭素2重結合を有する各種の化合物から得られる繰り返し単位を含有させることができる。
これらを例示すると、(メタ)アクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類;アクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル類;5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オンなどのα,β−不飽和ラクトン類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイミド類、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン誘導体、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等である。
本発明の重合体は、前記一般式(1)に示される(メタ)アクリレートエステル化合物と上記の他の重合性化合物とをラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの常法により重合させることにより製造することができる。
本発明の重合体即ちレジストベースポリマーの重量平均分子量は2,000〜100,000とすることが必要であり、2,000未満では製膜性、解像性に劣る場合があり、100,000を超えると解像性に劣る場合がある。
【0023】
本発明で使用される(B)成分の酸発生剤は300nm以下の高エネルギー線又は電子線の照射により酸を発生する酸発生剤であり、且つ、この酸発生剤と先に示した本発明の重合体と有機溶剤とよりなるレジスト組成物が均一溶液で、均一な塗布、製膜が可能であれば、いかなる酸発生剤でもよい。また、酸発生剤は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
本発明で使用可能な酸発生剤の例としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウムなどのトリフェニルスルホニウム塩誘導体;トリフルオロメタンスルホン酸ジp−t−ブチルヨードニウムなどのジフェニルヨードニウム塩誘導体;その他各種オニウム塩類、アルキルスルホン酸類、ジアルキルスルフォニルジアゾメタン類、ジスルホン類、スルホン酸イミド類などがある。
酸発生剤の配合量は、全ベースポリマー100部に対して、0.2〜50部、特に0.5から40部とすることが好ましく、0.2部に満たないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像性が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像性が劣る場合がある。
【0025】
本発明で使用される(C)成分の有機溶剤としては、酸発生剤、ベースポリマー等が溶解可能な有機溶剤であれば何れでも良い。このような有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン等のケトン類;1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチルの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0026】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は上記の重合体、酸発生剤及び有機溶剤であるが、必要に応じて更に、溶解阻止剤、酸性化合物、塩基性化合物、安定剤、色素、界面活性剤などの他の成分を添加してもよい。
【0027】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば、シリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.3〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜130℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線または電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射した後、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜130℃、1〜3分間ポストエクスポジャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5%、好ましくは、2〜3%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも248〜193nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。また、上記範囲が上限又は下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び参考例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 3−メタクリロイルオキシメチル−2,6−ノルボルナンカルボラクトン[一般式(1)においてR1=メチル基であるメタクリレート] の合成。
【0029】
【化10】
【0030】
式(7)で示される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物50gと30%硫酸200gの混合物を窒素雰囲気下に、120℃で2時間加熱攪拌した。生成した固形物を濾別、分離、水洗後、減圧乾燥し、式(8)で示される2、6−ノルボルナンカルボラクトン−3−カルボン酸48gを得た。得られた2、6−ノルボルナンカルボラクトン−3−カルボン酸48gとテトラヒドロフラン200mLの混合物にボラン・テトラヒドロフラン錯体(1モルのテトラヒドロフラン溶液、400mL)を加え10時間攪拌した。飽和食塩水を加えて反応を停止させ、分液後、有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。減圧濃縮により溶媒を留去し、式(9)で示される3−ヒドロキシメチル−2,6−ノルボルナンカルボラクトン44gを得た。
得られた3−ヒドロキシメチル−2,6−ノルボルナンカルボラクトン44g、トリエチルアミン38g、塩化メチレン200mLの混合物に5〜10℃で、塩化メタクリロイル32gを加え2時間攪拌した。水を加えて反応を停止後、酢酸エチルを用いて抽出、有機層を水洗後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行ない、式(10)で示される3−メタクリロイルオキシメチル−2,6−ノルボルナンカルボラクトン50gを得た。式(10)で示される目的物の、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物基準の収率は70%であった。
【0031】
(IR、NMR分析結果)
IR (KBr):
ν =2964,2883,1768,1714,1637,1456,1354,1325,1308,1173,1105,1051,1020,995,976,947cm-1
1H−NMR(270MHz in CDCl3) :
δ=1.55−1.75(3H,m),1.84(1H,dd,J=14.6,3.0Hz),1.93(3H,br.s),2.40−2.55(2H,m),2.65(1H,dd,J=14.3,4.9Hz),3.25(1H,m),4.21(1H,dd,J=11.7,8.8Hz),4.36(1H,dd,J=11.7,6.3Hz),4.78(1H,dd,J=7.8,4.9Hz),5.56(1H,m),6.11(1H,br.s).
【0032】
[実施例2] 3−アクリロイルオキシメチル−2,6−ノルボルナンカルボラクトン[一般式(1)においてR1=水素原子であるアクリレート] の合成。
【化11】
【0033】
塩化メタクリロイルの替わりに塩化アクリロイル28gを用いた以外は実施例1と同様の3段階の反応で式(11)で示される3−アクリロイルオキシメチル−2,6−ノルボルナンカルボラクトンを合成した。式(11)で示される化合物の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物基準の収率は66%であった。
【0034】
[実施例3] 下記構造式(12)で示される重合体の合成(式中x=0.5、y=0.5)。
【化12】
【0035】
実施例1で得られたメタクリレート11.8g、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメタクリレート12.4g、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル60mg、テトラヒドロフラン100mLの混合物を窒素雰囲気下、60℃で20時間加熱攪拌した。放冷後、激しく攪拌したメタノール2L中に反応混合物を滴下し、析出した沈殿を濾別分離した。得られた固体をメタノール洗浄後、減圧乾燥し目的の重合体を13.3g得た。収率55%。1H−NMRスペクトルの積分比より共重合比は50:50であった。GPC分析による重量平均分子量はポリスチレン換算で10,200、分散度(Mw/Mn)は1.78であった。
【0036】
[実施例4] 下記構造式(13)で示される重合体の合成(式中x=0.4、y=0.5、z=0.1)。
【化13】
【0037】
原料モノマーとして、実施例1で得たメタクリレート9.5g、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート12.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.3gを用いた以外は、実施例3と同様にして上記重合体を得た。収率52%。Mw=11,000、Mw/Mn=1.85。
【0038】
[実施例5] 重合体を用いたレジストパターンの形成
実施例3で得られた重合体を用いて、以下に示す組成でレジスト組成物を調製した。
(A)ベースポリマー(実施例3で得られた重合体)80重量部、(B)酸発生剤としてトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム1.0重量部、
(C)溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート480重量部、(D)その他トリブチルアミン0.08重量部。
このレジスト組成物を0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターを用いて濾別した後、90℃、40秒間ヘキサメチルジシラザンを噴霧したシリコンウェハー上へ回転塗布し、110℃、90秒間の熱処理を施して、厚さ500nmのレジスト膜を形成した。これをArFエキシマレーザー光で露光し、110℃、90秒間の熱処理を施した後、23℃まで冷却し、2.38%のテトラヒドロアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、23℃、60秒間浸漬現像を行ない、1:1のライン・アンド・スペース・パターンを形成した。現像済ウェハーを上空SEMで観察したところ、0.17μmのパターンまでパターン剥がれなく解像していることが確認された。同様にして実施例4で得られた重合体についてもレジスト性能を評価し、0.18μmのパターンまでパターン剥がれなく解像していることが確認された。このことから本発明のフォトレジスト組成物は優れた基板密着性及び解像性を有することが分かった。
【0039】
[実施例6] 重合体の透明性の評価
実施例3で得た重合体1.0gをシクロヘキサノン6.0gに溶解したのち、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターを用いて濾過した。得られた溶液を石英基板上に回転塗布し、90℃、60秒間の熱処理を施して、膜厚500nmの薄膜を形成した。この薄膜について、紫外可視分光光度計を用いて193nmにおける透過率を測定したところ、500nmあたり80%の透過率であった。同様にして実施例4で得た重合体についても測定を行ない、透過率は500nmあたり82%であった。この結果から本発明の重合体はエキシマレーザー用フォトレジストベースポリマーとして充分な透明性を有することが確認された。
【0040】
[実施例7] 重合体のエッチング耐性の評価
実施例3で得た重合体2gをシクロヘキサノン10gに溶解したのち、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターを用いて濾過した。得られた溶液をシリコンウェハー上に回転塗布し、90℃、60秒間の熱処理を施して、膜厚700nmの薄膜を形成した。この薄膜についてリアクティブイオンエッチング装置を用いて、Power100W、圧力5Pa、ガス流量30ml/minの条件でCF4ガスに対するエッチング速度を測定した。その結果、エッチング速度(ノボラックレジストを1.00として規格化した値)は1.13であった。同様に実施例4で得た重合体についても測定を行ない、エッチング速度は1.05であった。一方、比較のためにKrFレジストのベースポリマーとして使用されているポリ(p−ヒドロキシスチレン)についても測定を行ない、エッチング速度は1.20であった。この結果から本発明の重合体はCF4ガスに対するエッチング速度が遅く、ドライエッチング耐性に優れていることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
上記の説明より明らかなように、本発明の重合体は透明性、特にエキシマレーザー露光波長での透明性及びドライエッチング耐性に優れ、更に、本発明の重合体を用いて調製したレジスト材料は、高エネルギー線によく感応し、解像性に優れ、電子線や遠紫外線による微細加工に有用である。また基板密着性に優れるため、微細でしかも基板に対して垂直なパターンを容易に形成でき、超LSI製造用の微細パターン形成材料として好適である。従って、本発明のラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物はレジストの解像性とエッチング耐性をともに向上させる上で非常に有用である。
Claims (7)
- 一般式(1a)で示される繰り返し単位のモル分率が少なくとも5%であることを特徴とする請求項3に記載の重合体。
- 請求項2乃至4の何れかl項に記載の重合体を含有することを特徴とするレジスト材料。
- (A)請求項2乃至4の何れかl項に記載の重合体、(B)酸発生剤、(C)有機溶剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
- (1)請求項5又は6に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程、(2)次いで、加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線又は電子線で露光する工程、(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程、からなることを特徴とするパターン形成方法。
Priority Applications (1)
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