JP4070061B2 - 乾式目地ガスケットの止水構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用の外壁ボード間の目地空間に嵌入され、目地空間をシールする乾式目地ガスケットの止水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の乾式目地ガスケットの止水構造について図5を参照して説明すると、下地材2の表面に取付けられた建築用の外壁ボード1,1間の目地空間Mに長尺状(紙面の裏表方向に長く延びる)の乾式目地ガスケット10を嵌入し、乾式目地ガスケット10の左右両側面部に形成された複数(この場合では4個)のシールリップ部11,12,13,14を外壁ボード1,1の対向する端面に弾接させて止水効果が得られるようになっている。なお、乾式目地ガスケット10の最上側には装飾用のカラー材15が設定され、また下地材2と外壁ボード1との間には2次止水材16が取付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すものは外壁ボード1,1間で形成される目地空間Mの深さに対応して乾式目地ガスケット10の高さが決まるため、特に外壁ボード1の板厚が薄く、目地空間Mの深さが浅いと乾式目地ガスケット10の高さが低くなる。このような背の低い乾式目地ガスケット10は華奢な製品であるので、目地空間Mから脱落するおそれがある。
【0004】
そこで本発明の目的は、外壁ボードの板厚が薄くなっても十分シール性を発揮しうる乾式目地ガスケットの止水構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、外壁ボード間(1,1)の目地空間(M2)に嵌入される長尺状の乾式目地ガスケット(20)の止水構造であって、目地空間(M2)側となる左右外壁ボード(1,1)の少なくとも一方の端面を、外壁ボード(1,1)表側から裏側に向かって広がるテーパー状に切欠き、形成されたその端面間の目地空間(M2)の領域(T)に乾式目地ガスケット(20)を嵌入させるとともに、乾式目地ガスケット(20)が、略アーチ状のゴム又はゴム様弾性体からなり、内側に湾曲させられた状態で目地空間(M2)に嵌入され、形状の復元により外側を左右外壁ボード(1,1)の端面に弾接させて止水することを特徴とする。
【0006】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の目地空間(M2)側となる左右外壁ボード(1,1)の少なくとも一方の端面を、外壁ボード(1,1)表側から裏側に向かって広がるテーパー状に板厚を完全に貫通しない範囲で切欠いて目地空間(M2)を断面略傘形状にしたことを特徴とする。
【0007】
さらに請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の乾式目地ガスケットの、底面は切肉されてなることを特徴とする。
【0008】
なお、カッコ内の記号は図面に示し後述する発明の実施の形態の対応要素又は対応事項を示す。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、外壁ボードを切欠き、形成された目地空間のテーパー部の領域に長尺状の乾式目地ガスケットを嵌入するようにしたので、乾式目地ガスケットは容易に脱落することなく確実に保持される。
また乾式目地ガスケットは、略アーチ状のゴム又はゴム様弾性体からなり、内側に湾曲させられた状態で目地空間に嵌入され、形状の復元により外側を左右外壁ボードの端面に弾接させて止水するように構成されているので、その止水効果は柱部の両側に設けられたリップ部だけを湾曲させで弾接させるように構成された従来タイプの乾式目地ガスケットの止水効果よりも大きい。しかも、外壁ボードの端面にはテーパー状の切欠きが施されているため、乾式目地ガスケットにより強い復元力が加わっても乾式目地ガスケットは確実に保持されるので容易に脱落することはない。
【0010】
また請求項2に記載の発明によれば、テーパー状の切欠きは外壁ボードの板厚を完全に貫通しない範囲にされているので、嵌入される乾式目地ガスケット全体の高さ(背)は低くなる。そのため、外壁ボードの板厚が薄く従来形状のガスケットでは対応できないような場合であっても適用可能で優れたシール性を発揮する。
【0011】
さらに請求項3に記載の発明によれば、乾式目地ガスケットの底面は切肉されているので、内側に湾曲しやすく復元力も大きい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る乾式目地ガスケットの止水構造について説明する。なお、従来例と同一部分には同一符号を付した。
【0013】
この止水構造は、左右の外壁ボード間1,1によって形成される目地空間M2とそれに嵌入される長尺状の乾式目地ガスケット20に関するものである。なお、図1(a)はその乾式目地ガスケット20を、図1(b)は形成された目地空間M2を、そして図1(c)は目地空間M2に乾式目地ガスケット20が嵌入された状態を示す。
【0014】
左右の外壁ボード1,1間に形成された目地空間M2は、図1(b)に示すようにテーパー部の領域Tと細溝の領域Hからなる断面略傘形状に加工されている。これは、目地空間M2側となる左右外壁ボード1,1の端面を、それぞれ外壁ボード1表側から裏側に向かって広がるテーパー状に切欠くことにより形成される。また、本実施形態例の図1〜図3では、板厚を完全に貫通しない範囲で切欠くように、外壁ボード1の板厚の略2/3を切欠いたが、図4に示すように板厚を完全に貫通してもよい。
また目地空間M2側となる左右外壁ボード1,1の端面をそれぞれテーパー状に切欠いたが、一方の端面だけをテーパー状に切欠くようにしても効果がある。
【0015】
乾式目地ガスケット20は、図1(c)に示すように形成された目地空間M2のテーパー部の領域Tに嵌入させられるものであり、その形状は図1(a)に示すように断面略台形で底面20Aが切肉された略アーチ状であり、その材質はゴム又は軟質の樹脂等を含むゴム様弾性体からなる。
乾式目地ガスケット20の幅は、目地空間M2の巾よりも広く、切肉された部位の開口を小さくするあるいはなくすように内側に湾曲させられた状態で目地空間M2に嵌入され、形状の復元により外側を左右外壁ボード1,1の端面に弾接させることにより止水して目地空間M2から建物内部への浸水を防止するようになっている。乾式目地ガスケット20は内側に湾曲させられると目地空間M2の巾よりもその幅は小さくなるので挿入作業性は簡単である。
【0016】
このように、目地空間M2に形成されたテーパー部の領域Tへの嵌入時、全体がアーチ状に湾曲された乾式目地ガスケット20はその復元力により左右外壁ボード1,1の端面に密着させられるように構成されているので、その止水効果は柱部の両側に設けられたリップ部だけを湾曲させで弾接させるように構成された乾式目地ガスケットの止水効果よりも大きい。しかも、左右外壁ボード1,1の端面にはテーパー状の切欠きが施されているため、乾式目地ガスケット20により強い復元力が加わっても乾式目地ガスケット20は確実に保持されるので容易に脱落することはない。
よって、乾式目地ガスケット20の高さ(背)を外壁ボード1の板厚と同じにしてもよいが、テーパー部の領域Tに対応して板厚の略2/3、あるいはそれ以下としても十分な止水効果が得られる。
【0017】
なお、乾式目地ガスケット20の最上側には装飾用のカラー材25が設定されている。カラー材25は、乾式目地ガスケット20本体と一体でもよいし別体のものを貼付けてもよいが、製造コストを考慮すると乾式目地ガスケット20本体と押出一体成形した方が好ましい。これにかえてシボ模様を施したり塗装をするなどして美観を高めるようにしてもよい。また下地材2と外壁ボード1との間には2次止水材26が取付けられていて、2次止水材26の上部突起部26Aが目地空間M2の細溝の領域Hに外壁ボード1の裏側から挿入されることにより2次止水材26の位置決めも行うことができる。
【0018】
目地空間M2に嵌入される乾式目地ガスケットは、カラー材25が設定された最上側を平面状にし目地空間M2への嵌入時に最上側が上側に向けて凸状に湾曲するようにした乾式目地ガスケット20(図1)に対して、図2に示す乾式目地ガスケット30のように、最上側を下側に向けて凸状に湾曲させるようにして目地空間M2への嵌入時に最上側を平面状にするようにしてもよく、また図3に示す乾式目地ガスケット40のように、最上側を平面状に分離し目地空間M2への嵌入時にも最上側は平面状に維持されるようにしてもよい。
これらによれば、嵌入時に乾式目地ガスケット30,40の最上側が平面状であるので湿式シーリングに似た態様になり外観上見栄えがよくなる。
【0019】
【発明の効果】
以上のとおり請求項1に記載の発明によれば、外壁ボードを切欠き、形成された目地空間のテーパー部の領域に長尺状の乾式目地ガスケットを嵌入するようにしたので、乾式目地ガスケットは容易に脱落することなく確実に保持される。
また乾式目地ガスケットは、略アーチ状のゴム又はゴム様弾性体からなり、内側に湾曲させられた状態で目地空間に嵌入され、形状の復元により外側を左右外壁ボードの端面に弾接させて止水するように構成されているので、その止水効果は柱部の両側に設けられたリップ部だけを湾曲させで弾接させるように構成された従来タイプの乾式目地ガスケットの止水効果よりも大きい。しかも、外壁ボードの端面にはテーパー状の切欠きが施されているため、乾式目地ガスケットにより強い復元力が加わっても乾式目地ガスケットは確実に保持されるので容易に脱落することはない。
【0020】
また請求項2に記載の発明によれば、テーパー状の切欠きは外壁ボードの板厚を完全に貫通しない範囲にされているので、嵌入される乾式目地ガスケット全体の高さ(背)は低くなる。そのため、外壁ボードの板厚が薄く従来形状のガスケットでは対応できないような場合であっても適用可能で優れたシール性を発揮する。
【0021】
さらに請求項3に記載の発明によれば、乾式目地ガスケットの底面は切肉されているので、内側に湾曲しやすく復元力も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る断面図であり、(a)は乾式目地ガスケットを、(b)は形成された目地空間を、そして(c)は乾式目地ガスケットが目地空間に嵌入された状態を示す。
【図2】別の実施形態に係る断面図であり、(a)は乾式目地ガスケットを、(b)は乾式目地ガスケットが目地空間に嵌入された状態を示す。
【図3】もう一つ別の実施形態に係る断面図であり、(a)は乾式目地ガスケットを、(b)は乾式目地ガスケットが目地空間に嵌入された状態を示す。
【図4】さらに別の実施形態に係る断面図であり、乾式目地ガスケットが目地空間に嵌入された状態を示す。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 外壁ボード
2 下地材
10 乾式目地ガスケット
11〜14 シールリップ
15 カラー材
16 2次止水材
20 乾式目地ガスケット
20A 底面
25 カラー材
26 2次止水材
26A 上部突起部
30 乾式目地ガスケット
40 乾式目地ガスケット
H 細溝の領域
M 目地空間
M2 目地空間
T テーパー部の領域

Claims (3)

  1. 外壁ボード間の目地空間に嵌入される長尺状の乾式目地ガスケットの止水構造であって、
    前記目地空間側となる左右外壁ボードの少なくとも一方の端面を、外壁ボード表側から裏側に向かって広がるテーパー状に切欠き、形成されたその端面間の目地空間の領域に乾式目地ガスケットを嵌入させるとともに、乾式目地ガスケットが、略アーチ状のゴム又はゴム様弾性体からなり、内側に湾曲させられた状態で目地空間に嵌入され、形状の復元により外側を左右外壁ボードの端面に弾接させて止水することを特徴とする乾式目地ガスケットの止水構造。
  2. 前記目地空間側となる左右外壁ボードの少なくとも一方の端面を、外壁ボード表側から裏側に向かって広がるテーパー状に板厚を完全に貫通しない範囲で切欠いて目地空間を断面略傘形状にしたことを特徴とする請求項1に記載の乾式目地ガスケットの止水構造。
  3. 前記乾式目地ガスケットの、底面は切肉されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾式目地ガスケットの止水構造。
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