JP4069618B2 - 車両用自動クラッチの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用自動クラッチの制御装置に係り、特に、車両走行中における自動クラッチの解放時の制御技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンと有段変速段との間に設けられた自動クラッチを、有段変速機の変速に際して自動的に解放および係合させる自動変速制御装置が提案されている。たとえば、特開平11−324753号に記載された装置がそれである。このような装置では、有段変速機の変速判断が行われると、エンジンが無負荷状態とされ且つ自動クラッチが解放され、その状態で変速操作が自動的に行われた後、エンジンが元の負荷状態に復帰させられるとともに自動クラッチが元の係合状態へ復帰させられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような自動変速制御装置では、自動クラッチの解放期間では、自動クラッチの伝達トルクは、無負荷状態に向かって変化させられるエンジンの出力トルクと同等な値となるように制御されるので、その自動クラッチの解放時点においては、減速感が発生して変速感が損なわれる場合があるという不都合があった。すなわち、エンジンの出力トルクのうちの主要部が車両の駆動トルクとして用いられるが、残りの部分は車両の走行抵抗などに消費されているので、エンジンが無負荷すなわち出力トルクが零とされると同時に、自動クラッチが解放されてその伝達トルクが零とされると、車両の走行抵抗などの分だけ減速させられた減速走行となり、運転者は車両の空走状態を予測しているのに反して、減速感が発生し、変速フィーリング(変速感)が損なわれるのである。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、自動変速時において自動クラッチの解放に起因する変速フィーリングの低下のない車両用自動クラッチの制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、エンジンと有段変速機との間に介そうされた自動クラッチにおいて、車両の走行中におけるその有段変速機の変速に際してその自動クラッチを一時的に解放させる車両用自動クラッチの制御装置であって、上記自動クラッチの伝達トルクを零に向かって低下させるクラッチ解放過程において、前記エンジンから出力されるエンジン出力トルクよりも所定値だけ低い値となるように該自動クラッチの伝達トルクを制御するクラッチトルク制御手段を、含むことにある。
【0006】
【発明の効果】
このような車両用自動クラッチの制御装置においては、車両の走行中におけるその有段変速機の変速に際して、クラッチトルク制御手段により、自動クラッチの伝達トルクを零に向かって低下させるクラッチ解放過程において、エンジンから出力されるエンジン出力トルクよりも所定値だけ低い値となるように自動クラッチの伝達トルクが制御されることから、自動クラッチ解放時にはエンジン出力トルクが未だ零とはなっておらず残存している状態であるので、自動変速時における自動クラッチの解放に起因する減速感の発生が抑制され、変速フィーリングの低下が好適に軽減される。
【0007】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記クラッチトルク制御手段は、クラッチ解放指令が出力される前は、前記自動クラッチの伝達トルクをエンジン出力トルクよりも所定値高い値となるように制御するものであり、そのクラッチ解放指令が出力された後は、自動クラッチの伝達トルクをエンジン出力トルクよりも低い値となるように制御するものである。このようにすれば、クラッチ解放指令が出力される前は自動クラッチのすべりが防止され、そのクラッチ解放指令が出力された後は、自動クラッチのすべりが適度に発生させられつつ、自動クラッチが解放されるので、自動クラッチの解放に起因する変速フィーリングの低下が好適に抑制される。
【0008】
また、好適には、前記クラッチトルク制御手段は、前記クラッチ解放指令が出力された直後は、前記自動クラッチの伝達トルクを前記エンジン出力トルクよりも速やかに低下させるために、予め記憶された第1の関係から実際のスロットル開度、エンジン回転速度、ギヤ段に基づいてその自動クラッチの伝達トルクの第1の減少率を決定し、その第1の減少率でその自動クラッチの伝達トルクを減少させる第1制御手段を含むものである。このようにすれば、クラッチ解放指令が出力された直後において、エンジン出力トルクの低下がない(変化しない)期間が終了するときに、自動クラッチの伝達トルクが前記エンジン出力トルクよりも低下させられるようになるので、自動クラッチのすべりがその自動クラッチのトルク低下制御に関して適切な時期に開始される。
【0009】
また、好適には、前記クラッチトルク制御手段は、前記自動クラッチの伝達トルクが前記エンジン出力トルクよりも低下した場合には、予め記憶された第2の関係から実際のエンジン出力トルク(変化量または変化率)、スロットル開度、エンジン回転速度、ギヤ段に基づいてその自動クラッチの伝達トルクの第2の減少率を決定し、その第2の減少率でその自動クラッチの伝達トルクを減少させる第2制御手段を含むものである。このようにすれば、自動クラッチの伝達トルクが前記エンジン出力トルクよりも所定量低い値を維持しつつ低下させられるようになるので、自動クラッチの解放に起因する変速フィーリングの低下が好適に抑制される。
【0010】
また、好適には、前記クラッチトルク制御手段は、前記自動クラッチの伝達トルクが予め設定された判定基準値より低下した場合には、予め記憶された第3の関係から実際のスロットル開度、エンジン回転速度、ギヤ段に基づいて該自動クラッチの伝達トルクの第3の減少率を決定し、その第3の減少率で該自動クラッチの伝達トルクを減少させる第3制御手段を含むものである。このようにすれば、自動クラッチの解放直前になると、第2の減少率よりも大きな第3の減少率で自動クラッチの伝達トルクが減少させられるので、エンジン出力トルク低下特性に併せて高車速では速やかに低車速ではゆっくり解放される。
【0011】
また、好適には、前記自動クラッチの解放期間において前記エンジン回転速度の吹上りを判定するエンジン吹上り判定手段が備えられ、前記クラッチトルク制御手段は、そのエンジン吹上り判定手段によって前記エンジン回転速度の吹上りが判定された場合には、前記自動クラッチの伝達トルクを維持或いは増加させる第4制御手段を含むものである。このようにすれば、エンジン回転速度の吹上りが判定された場合には、前記自動クラッチの伝達トルクがその時の値に維持或いはその時の値から増加させられるので、エンジン回転速度の吹上りが速やかに解消される。
【0012】
また、好適には、前記エンジン回転速度の吹上りに基づいて実行された第4制御手段によるトルク維持或いは増加制御からの復帰条件が成立したか否かを判定する復帰条件成立判定手段が備えられ、前記クラッチトルク制御手段は、その復帰条件成立判定手段により復帰条件が成立したと判定された場合は、前記第2制御手段によるトルク減少制御へ切り換えるものである。このようにすれば、エンジン回転速度の吹上りが解消されると、直ちに第2制御手段によるトルク減少制御へ切り換えられるので、引き続き、エンジン出力トルクよりも所定値低い状態で自動クラッチの伝達トルクが低下させられる。
【0013】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の概略構成を説明する骨子図で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、走行用駆動源としてのエンジン12、自動クラッチ14、有段変速機16、差動歯車装置18を備えている。自動クラッチ14は、例えば図2に示す乾式単板式の摩擦クラッチで、エンジン12のクランクシャフト20に取り付けられたフライホイール22、クラッチ出力軸24に配設されたクラッチディスク26、クラッチハウジング28に配設されたプレッシャプレート30、プレッシャプレート30をフライホイール22側へ付勢することによりクラッチディスク26を挟圧して動力伝達するダイヤフラムスプリング32、クラッチレリーズシリンダ34によりレリーズフォーク36を介して図の左方向へ移動させられることにより、ダイヤフラムスプリング32の内端部を図の左方向へ変位させてクラッチを遮断(開放)するレリーズスリーブ38を有して構成されている。
【0014】
上記クラッチレリーズシリンダ34は、図3に示す油圧回路(HPU:Hydraulic Power Unit) 60によって油圧が供給されるようになっている。油圧回路60は、リザーバー62から作動油を汲み上げて吐出する電動式の油圧ポンプ64、油圧ポンプ64から吐出された作動油を蓄積するアキュムレータ66、クラッチレリーズシリンダ34に対する作動油の供給、排出を切り換える3ポートリニアスプール式等のクラッチソレノイドバルブ68を備えており、クラッチソレノイドバルブ68からクラッチレリーズシリンダ34に作動油が供給されることによって自動クラッチ14は遮断され、クラッチレリーズシリンダ34の作動油の流出が許容されると、自動クラッチ14のダイヤフラムスプリング32の付勢力に従ってクラッチレリーズシリンダ34のピストンが押し返されるとともに、自動クラッチ14が接続(係合)状態になる。クラッチソレノイドバルブ68は流量(流通断面積)を連続的に制御することが可能で、自動クラッチ14の接続時には、作動油の流出流量を変更することにより、変速の種類(アップダウンなど)や車速V、エンジン回転数NE などの変速条件に応じて接続速度(接続に要する所要時間)を適宜設定できる。なお、図中の70はリリーフ弁、72は逆止弁、74は作動油の油圧PO を検出する油圧センサである。
【0015】
図1に戻って前記有段変速機16は、差動歯車装置18と共に共通のハウジング40内に配設されてトランスアクスルを構成しており、そのハウジング40内に所定量だけ充填された潤滑油に浸漬され、差動歯車装置18と共に潤滑されるようになっている。有段変速機16は、(a) 平行な一対の入力軸42、出力軸44間にギヤ比が異なる複数の変速ギヤ対46a〜46eが配設されるとともに、それ等の変速ギヤ対46a〜46eに対応してシンクロメッシュタイプの複数の噛合クラッチ48a〜48eが設けられた2軸噛合式の変速機構と、(b) それ等の噛合クラッチ48a〜48eの3つのクラッチハブスリーブ50a、50b、50cにそれぞれ係合させられ、クラッチハブスリーブ50a、50b、50cを移動させることにより何れかの変速段を成立させる3本のフォークシャフト52aなどと、(c) セレクトシリンダ75の作動に従って機械的に軸方向であるセレクト方向へ移動させられることにより前記複数のフォークシャフト52aなどの任意の一つに選択的に係合させられるとともに、シフトトシリンダ77の作動に従ってそのセレクト方向と略直角なシフト方向、実施例では軸心まわりに回動させられることによりフォークシャフト52aなどを軸方向へ移動させて所定の変速段を成立させる図示しないシフト・セレクトシャフトとを備えており、前進5段の変速段が成立させられるようになっている。
【0016】
また、上記入力軸42および出力軸44には更に後進ギヤ対54が配設され、図示しないカウンタシャフトに配設された後進用アイドル歯車と噛み合わされることにより後進変速段が成立させられるようになっている。なお、入力軸42は、スプライン嵌合55によって前記自動クラッチ14のクラッチ出力軸24に連結されているとともに、出力軸44には出力歯車56が配設されて差動歯車装置18のリングギヤ58と噛み合わされている。図1は、入力軸42、出力軸44、およびリングギヤ58の軸心を共通の平面内に示した展開図である。上記セレクトシリンダ75およびシフトトシリンダ77は、油圧回路60に設けられたセレクトソレノイドバルブ76およびシフトソレノイドバルブ78によって制御される。
【0017】
図1に戻って、前記差動歯車装置18は傘歯車式のもので、一対のサイドギヤ80R、80Lにはそれぞれドライブシャフト82R、82Lがスプライン嵌合などによって連結され、左右の前輪(駆動輪)84R、84Lを回転駆動する。
【0018】
図4は、本実施例の車両用駆動装置10の制御系統を説明するブロック線図である。シフト操作装置90は例えば運転席の横に配設されている。そのシフト操作装置90に備えられたシフトレバー92は、後進走行のための後進走行位置R、噛合クラッチ48a〜48eのいずれも係合状態とされないために有段変速機16内の動力伝達経路が遮断された中立状態とする中立位置N、自動変速モードでの前進走行位置D、手動変速モードにおけるアップ変速指令位置「+」、手動変速モードにおけるダウン変速指令位置「−」へそれぞれ操作可能に設けられている。シフト操作装置90には、シフトレバー92の各操作位置を検出するための図示しないスイッチを備えている。なお、有段変速機16の出力軸44をロックするための駐車位置Pが上記後進走行位置Rに隣接して設けられていてもよい。
【0019】
上記シフト操作装置90は、運転者によって操作されるシフトレバー92の操作位置を表す信号を変速用の電子制御装置94へ供給する。スロットル開度センサ96はエンジン12のスロットル開度θTH(%)を検出し、そのスロットル開度θTHを表す信号を電子制御装置94へ供給する。アクセル開度センサ98は、図示しないアクセルペダルの開度θACC (%)を検出し、そのアクセルペダルの開度θACC を表す信号を電子制御装置94へ供給する。エンジン回転速度センサ100は、エンジン12のクランク軸18の回転速度NE すなわち自動クラッチ14の入力回転速度を検出し、そのエンジン回転速度NE を表す信号を電子制御装置94へ供給する。入力軸回転速度センサ102は入力軸42の回転速度NINを検出し、その入力軸回転速度NINを表す信号を電子制御装置94へ供給する。また、車速センサ104は、たとえば有段変速機16の出力軸44の回転速度NOUT を検出し、その出力軸回転速度NOUT に基づいて車両の速度すなわち車速V(km/h)を算出し、その出力軸回転速度NOUT および車速Vを表す信号を電子制御装置94へ供給する。ギヤ段センサ106は有段変速機16の実際のギヤ段Gを検出し、そのギヤ段Gを表す信号を電子制御装置94へ供給する。
【0020】
上記電子制御装置94は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、自動クラッチ14の解放制御或いは係合制御、有段変速機16を変速制御のために、クラッチレリーズシリンダ34すなわちクラッチソレノイドバルブ68、セレクトシリンダ75およびシフトシリンダ77すなわちセレクトソレノイドバルブ76およびシフトソレノイドバルブ78を制御する。たとえば変速制御では、自動変速モードが選択されている場合たとえばシフトレバー92がたとえばMMT(マルチモードマニアルトランスミッション)ではEモード設定位置に操作されている場合には、よく知られた通常走行用すなわち常用の変速線図から実際の車両状態(車速Vおよびスロットル開度θTH)に基づいて変速判断を実行し、判断された変速が実行されるようにすなわち判断された変速先のギヤ段が成立するように、セレクトソレノイドバルブ76およびシフトソレノイドバルブ78が制御される。また、手動変速モードたとえばMMTではMモード、SMT(シングルモードマニュアルトランスミッション)ではSモードが選択されたときは、そのシフトレバー92の操作位置「+」或いは「−」に対応するアップ変速指令或いはダウン変速指令に応じて有段変速機16のギヤ段がそのときのギヤ段から1段だけアップ変速或いはダウン変速させられる。また、上記自動変速モードの変速制御による有段変速機16の自動変速操作時には、エンジン12の出力トルクが零とされると同時にクラッチ解放係合制御により自動クラッチ14が解放させた期間においてギヤ段の切り換え操作が行われる。
【0021】
図5は、上記電子制御装置94の制御機能の要部すなわち自動クラッチ解放制御を説明する機能ブロック線図である。変速制御手段110は、自動変速モードが選択されている場合たとえばシフトレバー92がEモード位置に操作されている場合には、よく知られた変速線図から実際の車両状態(車速Vおよびスロットル開度θTH)に基づいて変速判断を実行し、判断された変速が実行されるようにすなわち判断された変速先のギヤ段が成立するように、変速要求すなわちクラッチ解放指令を出力し、自動クラッチ14が解放されている間にセレクアクチュエータ、シフトアクチュエータを制御してギヤ段を切り換え、変速が終了するとクラッチ係合指令を出力する。この自動変速モードにおける変速範囲は、第1速ギヤ段G1 乃至第5速ギヤ段G5 の範囲である。また、上記変速制御手段110は、シフトレバー92の操作によって手動変速モードが選択されたときは、そのシフトレバー92の操作位置「+」或いは「−」に対応するアップ変速指令或いはダウン変速指令に応じて有段変速機16のギヤ段をそのときのギヤ段から1段だけアップ変速或いはダウン変速させる。また、シフトレバー92の操作位置「+」或いは「−」へ2回以上操作されることによりスキップアップ変速、スキップダウン変速させることもできる。
【0022】
クラッチトルク制御手段112は、車両走行中の非変速時では、自動クラッチ14のすべりが発生しない範囲で可及的に低いトルクとするために、エンジン出力トルクTE よりも所定値高い伝達トルクすなわちクラッチトルクTCLとする。すなわち、予め記憶された関係からスロットル開度θTHおよびエンジン回転速度NE に基づいてエンジン12の実際の出力トルクTE を算出(推定)し、その出力トルクTE に自動クラッチ14のすべりを防止するための余裕値ΔTE を加算した値と自動クラッチ14のクラッチトルクTCLとが一致するようにクラッチトルク指令値TCLd を出力させる。このクラッチトルク指令値TCLd は、たとえば図6に示す予め記憶された関係によって自動クラッチ14のクラッチストロークに変換され、クラッチリリースシリンダ34からそのクラッチストロークが出力される。有段変速機16を自動変速させるための変速要求があると、クラッチトルク制御手段112は、前記エンジントルクTE の低下に伴って自動クラッチ14の伝達トルクすなわちクラッチトルクTCLを零に向かって低下させ、回転同期或いはシフトストロークに基づく変速完了判断があると、エンジントルクTE の上昇に伴ってクラッチトルクTCLを上昇させ、完全係合させる。
【0023】
また、上記クラッチトルク制御手段112は、自動クラッチ14のクラッチ解放期間では、スロットル開度θTHが閉じられることによって低下させられるエンジン出力トルクTE よりもその自動クラッチ14の伝達トルクTCLを所定値だけ低い値としつつ、伝達トルクTCLを低下させて自動クラッチ14を解放する。すなわち、クラッチトルク制御手段112は、変速要求を受ける前、換言すればクラッチ解放指令が出力される前は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLをエンジン出力トルクTE よりも所定値高い値となるように制御するが、そのクラッチ解放指令が出力された後は、自動クラッチ解放過程において、自動クラッチ14の伝達トルクTCLをエンジン出力トルクTE よりも所定値だけ低い値となるように制御するものである。本実施例の制御では、予め実験的に求められた関係(マップ)から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて決定されたトルク減少率に従って伝達トルクTCLが低下させられる。この結果、上記のように、自動クラッチ解放過程においては自動クラッチ14の伝達トルクTCLがエンジン出力トルクTE よりも所定値たとえば車両の走行抵抗分に相当するトルクだけ低い値となるように制御され、自動クラッチ14の解放状態すなわち伝達トルクTCLが零状態では、エンジン出力トルクTE が上記所定値とされて減速感の発生が抑制されるようになっている。上記関係はそのように設定されているのである。
【0024】
上記クラッチトルク制御手段112は、第1制御手段114、第2制御手段116、第3制御手段118、第4制御手段120を含む。第1制御手段114は、前記変速要求すなわちクラッチ解放指令が出力された直後は、当初はエンジン出力トルクTE より大きい自動クラッチ14の伝達トルクTCLをそのエンジン出力トルクTE よりも速やかに低下させて下回らせて自動クラッチ14のすべりを発生させるために、エンジン出力トルクTE の不感帯の幅を算出するために予め記憶された関係(マップ)から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて、クラッチ解放指令が出された直後のエンジン出力トルクTE が変化しない区間(不感帯)の時間tC を算出する。同時に、予め記憶された第1の関係(マップ)から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて、上記不感帯の時間tC 経過後にすなわち不感帯の終了時に伝達トルクTCLがエンジン出力トルクTE を下回るような第1の減少量(率)a1 を決定し、その第1の減少率a1 で自動クラッチ14の伝達トルクTCLを減少させるようにクラッチトルク指令値TCLd (=TCLd -1+a1 )を出力する。上記不感帯の幅を算出するための関係においては、エンジン回転速度NE 、アクセル開度θACC が小さくなるほど時間tC が長くなるように実験的に設定されている。また、上記第1の関係では、エンジン回転速度NE 、アクセル開度θACC が小さくなるほど第1の減少率a1 を小さい値とするように実験的に設定されている。図7は、自動クラッチ14の解放期間におけるトルク変化を示すタイムチャートであり、その第1制御手段114は傾きモデル1で伝達トルクTCLが減少させられる第1区間K1 すなわち上記不感帯における自動クラッチ14の伝達トルクTCLを第1の減少率a1 で減少させる制御を実行する。実際の伝達トルクTCLは上記クラッチトルク指令値TCLd に略一致して変化させられる。図7において、1点鎖線は上記クラッチトルク指令値TCLd であり、2点鎖線はスロットル開度θTHに対応するエンジントルク指令値であり、実線はそれに対応する実エンジントルクTE である。
【0025】
第1クラッチトルク低下判定手段122は、上記第1制御手段114により低下させられた自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が実際のエンジン出力トルクTE よりも低下したか否かを、たとえば変速要求すなわちクラッチ解放指令が出力された時点からの経過時間tELが前記不感帯の時間tC を超えたか否かに基づいて判定する。上記第2制御手段116は、上記第1クラッチトルク低下判定手段122によって自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が実際のエンジン出力トルクTE よりも低下したと判定された場合には、予め記憶された第2の関係から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて自動クラッチ14の伝達トルクの減少率a2 を決定し、第2の減少量(率)(=ΔTE +a2 )で自動クラッチ14の伝達トルクTCLを減少させるように伝達トルク変化量(率)ΔTCLd (=ΔTE +a2 )を算出し、クラッチトルク指令値TCLd (=TCLd -1+ΔTCLd )を出力する。上記第2の関係は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が実際のエンジン出力トルクTE よりも低下アクセル開度θACC 、エンジン回転速度NE が大きいほど第2の減少率a2 を大きい値となるように実験的に設定されている。図7の傾きモデル2により伝達トルクTCLが減少させられる第2区間K2 および第4区間K4 は、上記第2制御手段116により自動クラッチ14の伝達トルクTCLが減少させられている状態を示している。
【0026】
第2クラッチトルク低下判定手段124は、上記第2制御手段116により低下させられた自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が、予め設定された自動クラッチ14の解放直前のトルク値TCLA よりも下回ったか否かを判定する。第3制御手段118は、上記第2クラッチトルク低下判定手段124によって自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が予め設定されたトルク値TCLA よりも下回ったと判定された場合には、予め記憶された第3の関係から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて第2の減少率a2 よりも大きな自動クラッチ14の伝達トルクの第3の減少率a3 を決定し、その第3の減少量(率)a3 で自動クラッチ14の伝達トルクTCLを減少させるように伝達トルク変化量(率)ΔTCLd (=a3 )を算出し、クラッチトルク指令値TCLd (=TCLd -1+ΔTCLd )を出力する。上記第3の関係は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が実際のエンジン出力トルクTE よりも低下アクセル開度θACC 、エンジン回転速度NE が大きいほど第2の減少率a2 を大きい値となるように且つ速やかに自動クラッチ14を解放させるように実験的に設定されている。図7の傾きモデル2.5により伝達トルクTCLが減少させられる第5区間K5 は、上記第3制御手段116により自動クラッチ14の伝達トルクTCLが減少させられている状態を示している。解放判定手段130によって自動クラッチ14の解放すなわち伝達トルクTCLの零が判定されるまで、上記第3制御手段118による自動クラッチ14の伝達トルクTCLの減少が継続される。
【0027】
エンジン吹上り判定手段126は、自動クラッチ14の解放期間においてエンジン回転速度NE の吹上りを、たとえばそのエンジン回転速度NE の変化率(回転加速度)が予め設定された吹き発生判定値を超えたことに基づいて判定する。第4制御手段120は、上記エンジン吹上り判定手段126によって自動クラッチ14の解放期間においてエンジン回転速度NE の吹上りが判定された場合には、自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd をその時の値に維持し或いはその時の値から増加させることにより自動クラッチ14を相対的に係合側へ変化させることにより、上記エンジン回転速度NE の吹上りを抑制する。
【0028】
復帰条件成立判定手段128は、エンジン回転速度NE の吹上りに基づいて実行された第4制御手段120によるクラッチトルク指令値TCLd のトルク維持或いは増加制御からの復帰条件が成立したか否かを、たとえばエンジン回転速度NE の変化率(回転加速度)が予め設定された吹き消滅判定値を下回ったか否かに基づいて判定する。前記クラッチトルク制御手段112は、上記復帰条件成立判定手段128により復帰条件が成立したと判定された場合は、第2制御手段116によるトルク減少制御へ切り換える。
【0029】
次に、前記電子制御装置94の制御作動の要部すなわち自動クラッチトルク低下制御作動を、図8および図9のフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。図8は自動クラッチ解放トルク制御ルーチンであり、図9は、エンジン回転速度NE の吹き上がりを防止するために自動クラッチの解放を一時的に中止させる自動クラッチ解放中止制御ルーチンであり、所定の周期毎に割り込みにより実行される。
【0030】
図8において、ステップ(以下、ステップを省略する)S1では、自動クラッチ14の解放トルクに関連するパラメータ、すなわち実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gが読み込まれるとともに、予め用意されたデータベースすなわち予め記憶されたデータマップからそれらスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて、前記不感帯の時間tC と、各クラッチトルク低下モードすなわち各傾きモデル1、2、2.5、3におけるクラッチトルク指令値TCLd とが決定される。
【0031】
次いで、前記第1制御手段114に対応するS2では、当初はエンジン出力トルクTE より大きい自動クラッチ14の伝達トルクTCLが、図7の第1区間K1 に示される傾きモデル1で減少させられるようにクラッチトルク指令値TCLd が出力され、上記第1区間K1 すなわち不感帯における自動クラッチ14の伝達トルクTCLが第1の減少率a1 で速やかに減少させられる。次に、前記第1クラッチトルク低下判定手段122に対応するS3では、自動クラッチ14の伝達トルクTCLがエンジン出力トルクTE を下回ったか否かが、変速要求(クラッチ解放指令)からの経過時間tELが不感帯の時間tC を超えたか否かに基づいて判定される。このS3の判断が否定される場合は待機させられるが、肯定されると、前記第2制御手段116に対応するS4において、自動クラッチ14の伝達トルクTCLが、図7の第2区間K2 に示される傾きモデル2で減少させられるようにクラッチトルク指令値TCLd (=TCLd -1+ΔTCLd 但し、TCLd -1は前回値)が出力され、上記第2区間K2 および第4区間K4 における自動クラッチ14の伝達トルクTCLが伝達トルク変化量(率)ΔTCLd (=ΔTE +a2 )で減少させられる。すなわち、低下するエンジン出力トルクTE に沿い且つそのエンジン出力トルクTE よりも所定値低くなるように自動クラッチ14の伝達トルクTCLが減少させられる。
【0032】
次に、前記第2クラッチトルク低下判定手段124に対応するS5において、第2制御手段116(S4)により低下させられた自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd が、予め設定された自動クラッチ14の解放直前のトルク値判定値TS よりも下回ったか否かが判定される。このS5の判断が否定される場合は待機させられるが、肯定されると、前記第3制御手段118に対応するS6において、自動クラッチ14の伝達トルクTCLが、図7の第5区間K5 に示される傾きモデル2.5で減少させられるようにクラッチトルク指令値TCLd (=TCLd -1+ΔTCLd )が出力され、上記第5区間K5 における自動クラッチ14の伝達トルクTCLが伝達トルク変化量(率)ΔTCLd (=第3の減少量(率))で減少させられる。そして、解放判定手段130に対応するS7において自動クラッチ14の解放すなわち伝達トルクTCLの零が判定されるまで、その傾きモデル2.5の減少が継続される。
【0033】
図9の割り込みルーチンにおいて、前記エンジン吹上り判定手段126に対応するS8では、自動クラッチ14の解放期間においてエンジン回転速度NE の吹上りの発生が、たとえばそのエンジン回転速度NE の変化率(回転加速度)が予め設定された吹き発生判定値を超えたか否かに基づいて判定される。このS8の判断が否定される場合は待機させられるが、肯定される場合は、前記第4制御手段120に対応するS9において、自動クラッチ14の伝達トルクTCLすなわちクラッチトルク指令値TCLd がその時の値に維持されるか或いはその時の値から増加させられることにより自動クラッチ14が相対的に係合側へ変化させられることにより、上記エンジン回転速度NE の吹上りが抑制されるようにする。図7の第3区間は、この状態を示している。そして、前記復帰条件成立判定手段128に対応するS10において、上記エンジン回転速度NE の吹上りを抑制するためのクラッチトルク指令値TCLd のトルク維持或いは増加制御からの復帰条件が成立したか否かが、たとえばエンジン回転速度NE の変化率(回転加速度)が予め設定された吹き消滅判定値を下回ったか否かに基づいて判定される。このS10の判断が否定されるうちは待機させられるが、肯定されると、前記第2制御手段116に対応するS11において、自動クラッチ14の伝達トルクTCLが、図7の第4区間K4 に示される傾きモデル2で減少させられるようにクラッチトルク指令値TCLd (=TCLd -1+ΔTCLd )が出力され、上記第2区間K2 および第4区間K4 における自動クラッチ14の伝達トルクTCLが伝達トルク変化量(率)ΔTCLd (=ΔTE +a2 )で減少させられる。すなわち、低下するエンジン出力トルクTE に沿い且つそのエンジン出力トルクTE よりも所定値低くなるように自動クラッチ14の伝達トルクTCLが減少させられる。
【0034】
上述のように、本実施例の車両用自動クラッチの制御装置においては、車両の走行中におけるその有段変速機16の変速に際して、クラッチトルク制御手段112(S4、S6)により、自動クラッチ14の伝達トルクTCLを零に向かって低下させるクラッチ解放期間に、エンジン12から出力されるエンジン出力トルクTE よりも自動クラッチ14の伝達トルクTCLが低い値とされることから、自動クラッチ解放時にはエンジン出力トルクTE が未だ零とはなっておらず残存している状態であるので、自動変速時における自動クラッチ14の解放に起因する減速感の発生が抑制され、変速フィーリングの低下が好適に軽減される。
【0035】
また、本実施例では、クラッチトルク制御手段112(S2、S4、S6)は、クラッチ解放指令が出力される前は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLをエンジン出力トルクTE よりも所定値高い値となるように制御するものであり、そのクラッチ解放指令が出力された後は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLをエンジン出力トルクTE よりも所定値低い値となるように制御するものであることから、クラッチ解放指令が出力される前は自動クラッチ14のすべりが防止され、そのクラッチ解放指令が出力された後は、自動クラッチ14のすべりが適度に発生させられつつ、自動クラッチ14が解放されるので、自動クラッチ14の解放に起因する変速フィーリングの低下が好適に抑制される。
【0036】
また、本実施例では、クラッチトルク制御手段112は、クラッチ解放指令が出力された直後は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLをエンジン出力トルクTE よりも速やかに低下させるために、予め記憶された第1の関係から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいてその自動クラッチ14の伝達トルクTCLの第1の減少率を決定し、その第1の減少率でその自動クラッチ14の伝達トルクTCLを減少させる第1制御手段114(S2)を含むものであることから、クラッチ解放指令が出力された直後において、エンジン出力トルクの低下がない(変化しない)期間が終了するときに、自動クラッチ14の伝達トルクが前記エンジン出力トルクよりも下まわるようになるので、自動クラッチのすべりがその自動クラッチのトルク低下制御に関して適切な時期に開始される。
【0037】
また、本実施例では、クラッチトルク制御手段112は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLがエンジン出力トルクTE よりも下まわるようになった場合には、予め記憶された第2の関係から実際のエンジン出力トルクTE (変化量または変化率ΔTE )、スロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいてその自動クラッチ14の伝達トルクTCLの第2の減少率を決定し、その第2の減少率でその自動クラッチ14の伝達トルクTCLを減少させる第2制御手段116(S4)を含むものであることから、自動クラッチ14の伝達トルクTCLがエンジン出力トルクTE よりも所定量低い値を維持しつつ低下させられるようになるので、自動クラッチ14の解放に起因する変速フィーリングの低下が好適に抑制される。
【0038】
また、本実施例では、クラッチトルク制御手段112は、自動クラッチ14の伝達トルクTCLが予め設定された判定基準値TS より低下した場合には、予め記憶された第3の関係から実際のスロットル開度θTH(アクセル開度θACC )、エンジン回転速度NE 、ギヤ段Gに基づいて自動クラッチ14の伝達トルクTCLの第3の減少率を決定し、その第3の減少率で自動クラッチ14の伝達トルクTCLを減少させる第3制御手段118(S6)を含むものである。このようにすれば、自動クラッチの解放直前になると、第2の減少率よりも大きな第3の減少率で自動クラッチの伝達トルクが減少させられるので、エンジン出力トルク低下特性に併せて速やかに解放される。
【0039】
また、本実施例では、自動クラッチ14の解放期間においてエンジン回転速度NE の吹上りを判定するエンジン吹上り判定手段が備えられ、クラッチトルク制御手段112は、そのエンジン吹上り判定手段126(S8)によってエンジン回転速度NE の吹上りが判定された場合には、自動クラッチ14の伝達トルクTCLを維持或いは増加させる第4制御手段120(S9)を含むものであることから、エンジン回転速度NE の吹上りが判定された場合には、自動クラッチ14の伝達トルクTCLがその時の値に維持或いはその時の値から増加させられるので、エンジン回転速度NE の吹上りが速やかに解消される。
【0040】
また、本実施例では、エンジン回転速度NE の吹上りに基づいて実行された第4制御手段120(S9)によるトルク維持或いは増加制御からの復帰条件が成立したか否かを判定する復帰条件成立判定手段128(S10)が備えられ、クラッチトルク制御手段112は、その復帰条件成立判定手段128により復帰条件が成立したと判定された場合は、前記第2制御手段116(S11)によるトルク減少制御へ切り換えるものであることから、エンジン回転速度NE の吹上りが解消されると、直ちに第2制御手段116によるトルク減少制御へ切り換えられるので、引き続き、エンジン出力トルクTE よりも所定値低い状態で自動クラッチ14の伝達トルクTCLが低下させられる。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0042】
たとえば、前述の実施例において、第2制御手段116、第3制御手段118は、自動クラッチ14の解放期間において、エンジン出力トルクTE よりも略走行抵抗分だけ低くなるように自動クラッチ14の伝達トルクTCLを制御していたが、必ずしも略走行抵抗分だけ低くなるようにしてなくてもよく、少なくともエンジン出力トルクTE よりも自動クラッチ14の伝達トルクTCLを低く制御することによって一応の効果が得られるのである。
【0043】
また、前述の実施例のクラッチ制御手段112は、クラッチトルク指令値TCLd を出力することにより自動クラッチ14の伝達トルクTCLをそのクラッチトルク指令値TCLd に従った値とするオープンループ制御を行っていたが、そのクラッチトルク指令値TCLd を目標値としてクローズドループの制御を実行してもよい。
【0044】
また、前述の実施例では、走行用駆動源であるエンジン10としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは勿論、電動モータ等の他の駆動源であっても良い。有段変速機16は、平行な2軸間に変速比が異なる複数の変速ギヤ対が配設されるとともに、それ等の変速ギヤ対に対応して複数の噛合クラッチが設けられた2軸噛合式のものであったが、必ずしも複数の前進変速段を備えている必要はなく、前後進切換え用の変速機であっても良い。また、自動クラッチ14は、単板式であったが、電磁クラッチ、磁粉式電磁クラッチなどであってもよい。要するに、伝達トルクTCLを制御可能な自動クラッチであればよい。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両にも適用され得るなど、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用自動クラッチの制御装置を備えている車両用駆動装置の概略構成を示す骨子図である。
【図2】図1の車両用駆動装置の自動クラッチの一例を説明する図である。
【図3】図2の自動クラッチを遮断、接続制御する油圧回路の回路図である。
【図4】図1の車両用駆動装置の制御系統を説明するブロック線図である。
【図5】図4の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図6】図5において、自動クラッチの伝達トルク制御のためのクラッチストロークを説明する図である。
【図7】図4の電子制御装置による自動クラッチのトルク低下制御を説明するタイムチャートである。
【図8】図4の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートであって、自動クラッチ解放トルク制御ルーチンを示している。
【図9】図4の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートであって、エンジン回転速度NE の吹き上がりを防止するために自動クラッチの解放を一時的に中止させる自動クラッチ解放中止制御ルーチンを示している。
【符号の説明】
12:エンジン
14:自動クラッチ
16:有段変速機
112:クラッチトルク制御手段
114:第1制御手段
116:第2制御手段
118:第3制御手段
120:第4制御手段
122:第1クラッチトルク低下判定手段
124:第2クラッチトルク低下判定手段
126:エンジン吹上がり判定手段
128:復帰条件成立判定手段
Claims (7)
- エンジンと有段変速機との間に介そうされた自動クラッチにおいて、車両の走行中における該有段変速機の変速に際して該自動クラッチを一時的に解放させる車両用自動クラッチの制御装置であって、
前記自動クラッチの伝達トルクを零に向かって低下させるクラッチ解放過程において、前記エンジンから出力されるエンジン出力トルクよりも所定値だけ低い値となるように、該自動クラッチの伝達トルクを制御するクラッチトルク制御手段を、含むことを特徴とする車両用自動クラッチの制御装置。 - 前記クラッチトルク制御手段は、クラッチ解放指令が出力される前は、前記自動クラッチの伝達トルクをエンジン出力トルクよりも所定値高い値となるように制御するものであり、該クラッチ解放指令が出力された後は、該自動クラッチの伝達トルクをエンジン出力トルクよりも低い値となるように制御するものである請求項1の車両用自動クラッチの制御装置。
- 前記クラッチトルク制御手段は、前記クラッチ解放指令が出力された直後は、前記自動クラッチの伝達トルクを前記エンジン出力トルクよりも速やかに低下させるために、予め記憶された第1の関係から実際のスロットル開度、エンジン回転速度、ギヤ段に基づいて該自動クラッチの伝達トルクの第1の減少率を決定し、該第1の減少率で該自動クラッチの伝達トルクを減少させる第1制御手段を含むものである請求項1または2の車両用自動クラッチの制御装置。
- 前記クラッチトルク制御手段は、前記自動クラッチの伝達トルクが前記エンジン出力トルクよりも低下した場合には、予め記憶された第2の関係から実際のエンジン出力トルク、スロットル開度、エンジン回転速度、ギヤ段に基づいて該自動クラッチの伝達トルクの第2の減少率を決定し、該第2の減少率で該自動クラッチの伝達トルクを減少させる第2制御手段を含むものである請求項1乃至3のいずれかの車両用自動クラッチの制御装置。
- 前記クラッチトルク制御手段は、前記自動クラッチの伝達トルクが予め設定された判定基準値より低下した場合には、予め記憶された第3の関係から実際のスロットル開度、エンジン回転速度、ギヤ段に基づいて該自動クラッチの伝達トルクの第3の減少率を決定し、該第3の減少率で該自動クラッチの伝達トルクを減少させる第3制御手段を含むものである請求項1乃至4のいずれかの車両用自動クラッチの制御装置。
- 前記自動クラッチの解放期間において前記エンジン回転速度の吹上りを判定するエンジン吹上り判定手段が備えられ、
前記クラッチトルク制御手段は、該エンジン吹上り判定手段によって前記エンジン回転速度の吹上りが判定された場合には、前記自動クラッチの伝達トルクを維持或いは増加させる第4制御手段を含むものである請求項1乃至5のいずれかの車両用自動クラッチの制御装置。 - 前記エンジン回転速度の吹上りに基づいて実行された第4制御手段によるトルク維持或いは増加制御からの復帰条件が成立したか否かを判定する復帰条件成立判定手段が備えられ、
前記クラッチトルク制御手段は、該復帰条件成立判定手段により復帰条件が成立したと判定された場合は、前記第2制御手段によるトルク減少制御へ切り換えるものである請求項4の車両用自動クラッチの制御装置。
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