JP2010242929A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標アイドル回転速度がダウンシフト回転速度よりも高い場合の制動力発生時に、アイドル回転速度制御でエンジン出力が増大させられると、車速低下に伴って実行されるダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に制動力が急に大きくなってドラビリが悪化することを防止する。
【解決手段】目標アイドル回転速度neidlがダウンシフト回転速度nednより高く、且つブレーキON或いは車両減速度≧G1の所定の制動力発生中である場合は、目標アイドル回転速度neidlよりも高回転側でダウンシフトが行われるように、ダウンシフト変速線が高車速側へ変更されるため、アイドル回転速度制御が実施される前にダウンシフトが行われるようになり、アイドル回転速度制御の実施でエンジン出力が増大し、それに伴ってブレーキが踏み増しされるなどして、ダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に大きな制動力変化を生じることが防止される。
【選択図】図7
【解決手段】目標アイドル回転速度neidlがダウンシフト回転速度nednより高く、且つブレーキON或いは車両減速度≧G1の所定の制動力発生中である場合は、目標アイドル回転速度neidlよりも高回転側でダウンシフトが行われるように、ダウンシフト変速線が高車速側へ変更されるため、アイドル回転速度制御が実施される前にダウンシフトが行われるようになり、アイドル回転速度制御の実施でエンジン出力が増大し、それに伴ってブレーキが踏み増しされるなどして、ダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に大きな制動力変化を生じることが防止される。
【選択図】図7
Description
本発明は車両用自動変速機の制御装置に係り、特に、目標アイドル回転速度がダウンシフト回転速度よりも高い場合の制動力発生時に、アイドル回転速度制御でエンジン出力が増大させられると、車速低下に伴って実行されるダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に制動力が急に大きくなってドラビリが悪化することを防止する技術に関するものである。
車両用の自動変速機の一種に、自動クラッチを解放してエンジンの動力伝達を一時的に遮断し、その間に同期噛合式の変速クラッチによりギヤ段を切り換えるものがある(特許文献1参照)。このような車両用自動変速機は、一般に低車速になる程変速比が大きい低速ギヤ段へダウンシフトされるようになっている。このようなダウシンフトの変速マップ(変速条件)は、エンジンが低回転になってエンジンストールが生じる前にダウンシフトが行われるように、目標アイドル回転速度よりも高い回転速度に変速点が設定される。また、エンジンの目標アイドル回転速度は、暖機運転時か否か、エアコン等の使用による高負荷時か否か等により、増減制御されるようになっており、暖機運転時や高負荷時には予め定められた基準アイドル回転速度よりも高回転のファーストアイドル回転速度に制御される。
図9の破線は、第2速ギヤ段から第1速ギヤ段へダウンシフトする2→1ダウンシフト変速線の一例で、アクセル操作量θacc およびエンジン回転速度NEをパラメータとして定められており、アクセル操作量θacc が略0の時のダウンシフト回転速度nednは、エンジンの通常の目標アイドル回転速度すなわち基準アイドル回転速度neidlbよりも高い回転速度に設定される。また、暖機運転時や高負荷時のファーストアイドル回転速度は、基準アイドル回転速度neidlbよりも高回転で、図9ではダウンシフト回転速度nednよりも高回転の領域に定められている。ファーストアイドル回転速度は、エンジン冷却水温やエンジン負荷等のエンジン状態をパラメータとして段階的或いは連続的に変化させられるようになっている。図9の目標アイドル回転速度neidlは、ファーストアイドル時のものである。なお、図9のエンジン回転速度neclは、エンジンストールを防止するために自動クラッチを強制的に解放するクラッチ解放回転速度で、最低速ギヤ段である第1速ギヤ段走行時には、このクラッチ解放回転速度neclで自動クラッチが解放され、或いはスリップ状態とされる。基準アイドル回転速度neidlbは、このクラッチ解放回転速度neclよりも低い回転速度に設定される。
しかしながら、例えばブレーキを踏込み操作して車両を停止させる際に、車速低下に伴って行われるダウンシフトのエンジン回転速度が目標アイドル回転速度(例えばファーストアイドル回転速度)よりも低回転の場合、エンジン回転速度がその目標アイドル回転速度よりも低回転になると、目標アイドル回転速度に維持するようにアイドル回転速度制御でエンジン出力が増大させられることにより正の駆動力が発生する。このため、その駆動力に抗して車速を低下させるために運転者はブレーキを踏み増しする必要があるが、車速が更に低下してダウンシフト回転速度に達して自動クラッチが解放されると、動力伝達が遮断されることによりエンジンによる駆動力が0になるため、ブレーキ操作による制動力(車両減速度)が急に大きくなってドラビリ(ドライバビリティ;運転者の意思通りの走行フィーリング)が悪化することがある。
図9は、ファーストアイドル時に目標アイドル回転速度neidlが2→1ダウンシフト変速線よりも高回転になり、車両減速時にエンジン回転速度NEが目標アイドル回転速度neidlよりも低下すると、エンジン出力制御(アイドル回転速度制御)により斜線部分でエンジン駆動力が発生し、ブレーキを踏み増しする必要がある。そして、そのブレーキ操作で車速更にはエンジン回転速度NEが低下し、破線で示す2→1ダウンシフト変速線(ダウンシフト回転速度nedn)に達すると、ダウンシフトのために自動クラッチが解放されてエンジンの動力伝達が遮断され、エンジンによる正の駆動力が抜けるため、相対的に制動力が急に大きくなって運転者に違和感を生じさせる。目標アイドル回転速度neidlとダウンシフト回転速度nednとの差が大きい程エンジン駆動力は大きくなるため、斜線で示すエンジン回転速度領域すなわち目標アイドル回転速度neidlとダウンシフト回転速度nednとの差が大きい程、ダウンシフトの際の自動クラッチ解放時の制動力変化が大きくなる。
なお、運転者のブレーキ操作時だけでなく、登坂路などでブレーキOFFのまま重力による制動作用で車速が低下する場合でも、目標アイドル回転速度neidl以下になるとアイドル回転速度制御でエンジン駆動力が発生するため、更に車速が低下してダウンシフトが行われる際に自動クラッチが解放されると、上記と同様にエンジン駆動力が抜けることにより制動力(車両減速度)が急に大きくなって運転者に違和感を生じさせる。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、目標アイドル回転速度がダウンシフト回転速度よりも高い場合の制動力発生時に、アイドル回転速度制御でエンジン出力が増大させられると、車速低下に伴って実行されるダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に制動力(車両減速度)が急に大きくなってドラビリが悪化することを防止することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、所定車速以下になるとエンジンの動力伝達を遮断してダウンシフトを行う車両用自動変速機の制御装置において、(a) 前記エンジンの目標アイドル回転速度は、ダウンシフトが行われるエンジン回転速度よりも高回転側を含んで増減制御されるようになっており、(b) その目標アイドル回転速度が高い場合は低い場合に比較して、エンジン回転速度が高回転側でダウンシフトが行われるように変速点を変更する変速点変更手段を備えているとともに、(c) その変速点変更手段は、所定の制動力発生中であることを条件として前記変速点を変更することを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両用自動変速機の制御装置において、前記変速点変更手段は、前記目標アイドル回転速度以上のエンジン回転速度でダウンシフトが行われるように変速点を変更することを特徴とする。
このような車両用自動変速機の制御装置においては、目標アイドル回転速度が高い場合は低い場合に比較して、エンジン回転速度が高回転側でダウンシフトが行われるように、変速点変更手段によって変速点が変更されるため、その変速点が目標アイドル回転速度よりも高い場合には、目標アイドル回転速度に達してアイドル回転速度制御が実施される前にダウンシフトが行われるようになり、アイドル回転速度制御の実施でエンジン出力が増大し、それに伴ってブレーキが踏み増しされるなどして、ダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に大きな制動力変化を生じることが防止されてドラビリが向上する。変更後の変速点が目標アイドル回転速度より低い場合でも、目標アイドル回転速度との差が小さくなるため、アイドル回転速度制御によるエンジン出力の増大が抑制され、ダウンシフト時に動力伝達が遮断される際の制動力変化が小さくなってドラビリが向上する。
また、運転者のブレーキ操作時や登坂走行時等の所定の制動力発生中であることを条件として変速点を変更するため、目標アイドル回転速度が変速点より高回転で、車速の低下に伴ってアイドル回転速度制御が行われる場合でも、そのまま車速が低下してダウンシフトが行われる可能性が低い時まで変速点が変更されることはなく、エンジン回転速度が目標アイドル回転速度以下になってアイドル回転速度制御が実施されても、ダウンシフトによるドラビリの悪化の可能性が無い場合まで、変速点が変更されて不要なダウンシフトを実行したり、そのダウンシフト時に駆動力変化(エンジンブレーキ変化)が生じたりする恐れがない。すなわち、アイドル回転速度制御が実施されると、エンジン出力の増大制御で駆動力が増加するため、単なる惰性走行等の走行抵抗だけでは駆動力の増加で車速低下が阻止され、或いは増速に転じて、ダウンシフトが行われない場合があり、そのような場合まで変速点を変更する必要はないのである。
第2発明の変速点変更手段は、目標アイドル回転速度以上のエンジン回転速度でダウンシフトが行われるように変速点を変更するため、目標アイドル回転速度に維持するためにアイドル回転速度制御でエンジン出力が増大制御される前にダウンシフトが行われるようになり、アイドル回転速度制御に起因する大きな制動力変化が防止されてドラビリが向上する。
本発明が適用される自動変速機は、自動クラッチ等により動力伝達を遮断した状態で変速が行われるものであれば良く、同期噛合式の変速クラッチで複数の変速ギヤ対を切り換えて変速を行う常時噛合型平行軸式の自動変速機に好適に適用されるが、クラッチやブレーキ等の摩擦係合装置によって変速を行う遊星歯車式や入力経路切換式等の他の自動変速機にも適用され得る。自動クラッチ等による動力伝達の接続、遮断は、エンジンと自動変速機との間で行うことが望ましいが、自動変速機と車輪との間の動力伝達経路を接続、遮断するものでも良い。自動クラッチは、例えば油圧シリンダ等の油圧アクチュエータによって係合(接続)、解放(遮断)されるように構成されるが、電動モータを用いて接続、遮断制御が行われるようにすることもできる。
エンジンの目標アイドル回転速度は、例えば高低の2段階で制御されるものでも良いが、エンジン冷却水温やエアコン等のエンジン負荷、或いはISC(アイドル回転速度制御)学習状態、などに応じて段階的或いは連続的に目標アイドル回転速度が制御されるものでも良い。エンジン油温や、エンジン吸入空気温度とエンジン始動からの経過時間など、エンジン冷却水温以外の他のエンジン状態量をパラメータとして目標アイドル回転速度(ファーストアイドル)が設定されるようになっていても良い。変速点変更手段は、目標アイドル回転速度の制御態様に拘らず、例えば基準アイドル回転速度の場合とファーストアイドル回転速度の場合の2段階で変速点を変更するものでも良いが、目標アイドル回転速度の制御態様に応じてマップなどで段階的に変速点を変更したり、演算式等により連続的に変速点を変更したりするなど、種々の態様が可能である。
変速点変更手段は、目標アイドル回転速度以上のエンジン回転速度でダウンシフトが行われるように変速点を変更することが望ましいが、目標アイドル回転速度が高い場合には低い場合に比較してエンジン回転速度が高回転側でダウンシフトが行われるように変速点を変更するものであれば、変速点の変更後においても目標アイドル回転速度より低回転でダウンシフトが行われる場合であっても良い。
変速点変更手段は、例えば変速マップ等により設定された基準変速点を、目標アイドル回転速度等をパラメータとしてマップや演算式等により定められた補正値(加算分)で補正するように構成されるが、基準変速点とは別個に目標アイドル回転速度等に応じて新たな変速点をマップや演算式等により設定するものでも良い。基準変速点の補正値(加算分)や新たな変速点は、例えば目標アイドル回転速度をパラメータとして定められるが、目標アイドル回転速度の設定に関与するエンジン冷却水温やエンジン油温、エンジン吸入空気温度とエンジン始動からの経過時間等のエンジン状態量、或いはエアコンの作動状態等のエンジン負荷の大きさなどをパラメータとして設定することもできる。
上記変速点やその補正値は、エンジン回転速度で定められても良いが、エンジン回転速度は自動変速機の変速比に応じて車速や自動変速機の出力軸回転速度に対応するため、その車速や出力軸回転速度などエンジン回転速度に対して一定の関係を有する物理量を用いて設定することもできる。エンジン回転速度で設定する場合、自動変速機の変速の種類に拘らず同じ変速点および補正値を設定することもできるが、自動変速機の変速の種類毎に変速点および補正値を別々に設定することが望ましい。
変速点変更手段は、例えば(a) ダウンシフトの通常の変速点(マップ等により定められた基準変速点)よりも目標アイドル回転速度が高回転か否か等により、アイドル回転速度制御でダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に制動力変化が生じてドラビリが悪化することを予測するドラビリ悪化予測手段と、(b) ブレーキ操作時或いは車両減速度が所定の判定値以上で、アイドル回転速度制御の実施に拘らず車速が低下してダウンシフトが行われる可能性が高い所定の制動力発生中であることを判定する制動力判定手段とを有し、(c) ドラビリ悪化予測手段よってドラビリの悪化が予測され且つ制動力判定手段によって所定の制動力発生中であると判定された場合に変速点を変更するように構成することが望ましい。
上記ドラビリ悪化予測手段は、例えば基準アイドル回転速度は変速点よりも低回転であるがファーストアイドル回転速度は変速点よりも高回転である場合には、単にファーストアイドル時か否かを判断するだけでも良い。また、ダウンシフトの通常の変速点(基準変速点)よりも目標アイドル回転速度が高回転の場合に常にドラビリ悪化を予測する必要はなく、目標アイドル回転速度が変速点よりも予め定められた所定値以上高い場合にのみドラビリ悪化を予測するようにしても良いなど、種々の態様が可能である。
前記制動力判定手段は、ブレーキ操作時或いは車両減速度が所定の判定値以上かによって所定の制動力発生中か否かを判定するが、ブレーキ操作時で且つ車両減速度が所定の判定値以上の場合に所定の制動力発生中と判定したり、ブレーキ操作時および車両減速度が所定の判定値以上の何れか一方だけで所定の制動力発生中であることを判定したりするなど、アイドル回転速度制御の実施に拘らず車速が低下してダウンシフトが行われる可能性が高い制動力発生中であることを判定できる種々の態様が可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の概略構成を説明する骨子図で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関としてのエンジン12、自動クラッチ14、常時噛合型平行軸式の自動変速機16、差動歯車装置18を備えている。エンジン12は走行用駆動源である。自動クラッチ14は、例えば図2に示す乾式単板式の摩擦クラッチで、エンジン12のクランクシャフト20に取り付けられたフライホイール22、クラッチ出力軸24に配設されたクラッチディスク26、クラッチカバー28に配設されたプレッシャプレート30、プレッシャプレート30をフライホイール22側へ付勢することによりクラッチディスク26を挟圧して動力伝達するダイヤフラムスプリング32、クラッチレリーズシリンダ34によりレリーズフォーク36を介して図の左方向へ移動させられることにより、ダイヤフラムスプリング32の内端部を図の左方向へ変位させてクラッチを解放(遮断)するレリーズベアリング38を有して構成されている。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の概略構成を説明する骨子図で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関としてのエンジン12、自動クラッチ14、常時噛合型平行軸式の自動変速機16、差動歯車装置18を備えている。エンジン12は走行用駆動源である。自動クラッチ14は、例えば図2に示す乾式単板式の摩擦クラッチで、エンジン12のクランクシャフト20に取り付けられたフライホイール22、クラッチ出力軸24に配設されたクラッチディスク26、クラッチカバー28に配設されたプレッシャプレート30、プレッシャプレート30をフライホイール22側へ付勢することによりクラッチディスク26を挟圧して動力伝達するダイヤフラムスプリング32、クラッチレリーズシリンダ34によりレリーズフォーク36を介して図の左方向へ移動させられることにより、ダイヤフラムスプリング32の内端部を図の左方向へ変位させてクラッチを解放(遮断)するレリーズベアリング38を有して構成されている。
上記クラッチレリーズシリンダ34は、油圧回路90(図3参照)のクラッチソレノイドバルブ94に接続されており、電動式のオイルポンプ92によって汲み上げられた作動油がクラッチソレノイドバルブ94からクラッチレリーズシリンダ34に供給されると自動クラッチ14は遮断され、クラッチレリーズシリンダ34内の作動油の流出が許容されると、自動クラッチ14のダイヤフラムスプリング32の付勢力に従ってクラッチレリーズシリンダ34のピストンが押し返されるとともに、自動クラッチ14が接続(係合)状態になる。自動クラッチ14の係合トルクは、クラッチレリーズシリンダ34のピストンのストローク量SCLに関連して連続的に変化するため、上記クラッチソレノイドバルブ94を電気的に開閉してストローク量SCLを変更することにより、係合トルクを電気的に制御できる。なお、油圧の代りに電動モータを用いてクラッチレリーズシリンダ34のピストンストローク量SCL、更には自動クラッチ14の係合トルクを制御することもできる。
図1に戻って前記自動変速機16は、差動歯車装置18と共に共通のハウジング40内に配設されてトランスアクスルを構成しており、そのハウジング40内に所定量だけ充填された潤滑油に浸漬され、差動歯車装置18と共に潤滑されるようになっている。自動変速機16は同期噛合式変速機で、(a) 平行な一対の入力軸42、出力軸44間にギヤ比が異なる複数の変速ギヤ対46a〜46eが配設されるとともに、それ等の変速ギヤ対46a〜46eに対応して複数の同期噛合クラッチ48a〜48eが設けられた2軸噛合式の変速機構と、(b) それ等の同期噛合クラッチ48a〜48eの3つのクラッチハブスリーブ50a、50b、50cの何れかを選択的に移動させてギヤ段を切り換えるシフト・セレクトシャフト52とを備えており、前進5速のギヤ段が成立させられるようになっている。入力軸42および出力軸44には更に後進ギヤ対54が配設され、図示しないカウンタシャフトに配設された後進用アイドル歯車と噛み合わされることにより後進ギヤ段が成立させられるようになっている。なお、入力軸42は、スプライン嵌合55によって前記自動クラッチ14のクラッチ出力軸24に連結されているとともに、出力軸44には出力歯車56が配設されて差動歯車装置18のリングギヤ58と噛み合わされている。また、図1は、入力軸42、出力軸44、およびリングギヤ58の軸心を共通の平面内に示した展開図である。
シフト・セレクトシャフト52は、軸心まわりの回動可能且つ軸方向の移動可能に配設され、セレクトアクチュエータ96(図3参照)により軸心まわりの3位置、すなわち前記クラッチハブスリーブ50cと係合可能な第1セレクト位置、クラッチハブスリーブ50bと係合可能な第2セレクト位置、およびクラッチハブスリーブ50aと係合可能な第3セレクト位置に位置決めされる。また、シフトアクチュエータ98(図3参照)により軸方向の3位置、すなわち同期噛合クラッチ48a〜48eが何れも遮断され且つ後進ギヤ段も成立しない中央の中立位置(図1の状態;ニュートラル)と、その軸方向における両側の第1シフト位置(図1の右側)および第2シフト位置(図1の左側)とに位置決めされる。上記セレクトアクチュエータ96およびシフトアクチュエータ98は変速アクチュエータに相当し、それぞれセレクトソレノイドバルブ102、シフトソレノイドバルブ104を介して油圧回路90に接続され、油圧制御や回路の切換えによって作動状態が制御される。
上記第1セレクト位置の第1シフト位置では、同期噛合クラッチ48eが連結されることにより変速比e(=入力軸42の回転速度Nin/出力軸44の回転速度Nout )が最も大きい第1速ギヤ段が成立させられ、第1セレクト位置の第2シフト位置では、同期噛合クラッチ48dが連結されることにより変速比eが2番目に大きい第2速ギヤ段が成立させられる。第2セレクト位置の第1シフト位置では、同期噛合クラッチ48cが連結されることにより変速比eが3番目に大きい第3速ギヤ段が成立させられ、第2セレクト位置の第2シフト位置では、同期噛合クラッチ48bが連結されることにより変速比eが4番目に大きい第4速ギヤ段が成立させられる。この第4速ギヤ段の変速比eは1である。第3セレクト位置の第1シフト位置では、同期噛合クラッチ48aが連結されることにより変速比eが最も小さい第5速ギヤ段が成立させられ、第3セレクト位置の第2シフト位置では後進ギヤ段が成立させられる。
前記差動歯車装置18は傘歯車式のものであり、一対のサイドギヤ80R、80Lにはそれぞれドライブシャフト82R、82Lがスプライン嵌合などによって連結され、左右の前車輪(車両の駆動輪)84R、84Lを回転駆動する。
図3は、本実施例の車両用駆動装置10の制御系統を説明するブロック線図で、電子制御装置110を備えている。この電子制御装置110はマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行ってエンジン12、自動クラッチ14、および自動変速機16等の制御を実行する。電子制御装置110には、イグニッションスイッチ120、エンジン回転速度(NE)センサ122、車速(V)センサ124、スロットル弁開度(θTH)センサ126、吸入空気量(Q)センサ128、吸入空気温(TA )センサ130、エンジン冷却水温(TW )センサ132、レバーポジション(PL )センサ134、アクセル操作量(θacc )センサ136、ブレーキスイッチ138、入力軸回転速度(Nin:入力軸42の回転速度)センサ140、クラッチストローク(SCL)センサ142、セレクトストローク(SSE)センサ144、シフトストローク(SSH)センサ146、エアコンスイッチ148などが接続され、それぞれイグニッションスイッチ120の操作位置、エンジン回転速度NE、車速V(出力軸44の回転速度Nout および前車輪(車両の駆動輪)84R、84Lの回転速度の平均値に対応)、電子スロットル弁156の開度θTH、吸入空気量Q、吸入空気温(外気温)TA 、エンジン冷却水温TW 、シフトレバー160(図4参照)の操作位置であるレバーポジションPL 、アクセルペダルの操作量θacc 、フットブレーキのON、OFF、入力軸回転速度Nin、自動クラッチ14のストロークすなわちクラッチレリーズシリンダ34のピストンのストローク量SCL、前記セレクトアクチュエータ96のストローク量SSE、前記シフトアクチュエータ98のストローク量SSH、エアコンスイッチ148の操作状態などを表す信号が供給されるようになっている。アクセル操作量θacc は運転者の駆動トルク要求量に相当し、アクセルペダルは運転者の駆動トルク要求量に応じて操作される駆動トルク要求操作部材に相当する。
そして、上記信号に従ってスタータ(電動モータ)150を回転駆動してエンジン12を始動したり、燃料噴射弁152の燃料噴射量や噴射時期を制御したり、イグナイタ154により点火プラグの点火時期を制御したり、電動モータ等のスロットルアクチュエータにより電子スロットル弁156の開度θTHを開閉制御したりすることにより、エンジン12の出力状態を電気的に制御する。また、前記油圧回路90のオイルポンプ92の作動を制御したり、クラッチソレノイドバルブ94、セレクトソレノイドバルブ102、シフトソレノイドバルブ104を切換え制御したりすることにより、クラッチレリーズシリンダ34の作動状態を切り換えて自動クラッチ14の遮断、接続制御や係合トルク制御を電気的に行うとともに、セレクトアクチュエータ96およびシフトアクチュエータ98の作動状態を切り換えて自動変速機16の変速制御を電気的に行う。更に、エンジン出力を利用して作動させられるエアコン106の作動状態が、エアコンスイッチ148の操作状態に応じて制御される。
前記シフトレバー160は、例えば運転席の横に配設されており、図4に示すように、たとえば「R(リバース)」ポジション、「N(ニュートラル)」ポジション、「D(ドライブ)」ポジション、および「S(シーケンシャル)」ポジションの4つの操作位置に選択操作されて位置決め保持されるとともに、「S」ポジションでは、車両の前後方向に設けられた「(−)」位置および「(+)」位置へ操作されるようになっており、レバーポジションセンサ134は、例えば各操作位置に配設された複数のON−OFFスイッチ等によってその操作位置(レバーポジション)を検出する。そして、シフトレバー160が「R」ポジションへ操作されると、自動変速機16は後進ギヤ段に切り換えられ、「N」ポジションへ操作されると動力伝達遮断状態(ニュートラル)に切り換えられる。
また、「D」ポジションでは、例えば車速Vおよびアクセル操作量θacc 等の運転状態をパラメータとして予め記憶された変速マップ(変速条件)に基づいて、実際の車速Vおよびアクセル操作量θacc に応じて判断された変速が実現されるように、複数の前進ギヤ段が自動的に切り換えられる。「S」ポジションでは、複数の前進ギヤ段を運転者の変速意思により手動操作で変更するシーケンシャルモードが成立させられ、「(+)」位置または「(−)」位置へシフトレバー160が操作されると、自動変速機16の複数の前進ギヤ段がアップダウンされる。「(+)」位置はアップ位置で、一回の操作毎にギヤ段はアップすなわち変速比eが小さい高速段側へ1段ずつ変速される一方、「(−)」位置はダウン位置で、一回の操作毎にギヤ段はダウンすなわち変速比eが大きい低速段側へ1段ずつ変速される。「S」位置の前後に設けられた「(−)」位置、「(+)」位置は何れも不安定で、それ等の「(−)」位置、「(+)」位置へ操作されたシフトレバー160はスプリング等の付勢装置により自動的に「S」ポジションへ戻される。なお、複数の前進ギヤ段をシフトレバー操作に従って直接切り換える代りに、変速可能な最高速ギヤ段が異なる複数の変速レンジを切り換え、その変速レンジ毎に設定された前進ギヤ段の範囲内で上記「D」ポジションと同様に車速Vおよびアクセル操作量θacc 等の運転状態に応じて自動変速が行われるようにしても良い。
図5は、前記電子制御装置110による信号処理で実行される機能を説明する機能ブロック線図で、エンジン制御手段162および変速制御手段164を備えている。エンジン制御手段162は、アクセル操作量θacc に応じて前記電子スロットル弁156および燃料噴射弁152を開閉制御するなどしてエンジン12の出力を制御する他、アクセル操作量θacc が略0のアイドル時には、エンジン回転速度NEが所定の目標アイドル回転速度neidlとなるように電子スロットル弁156等をフィードバック制御するアイドル回転速度制御を行う。目標アイドル回転速度neidlは、エンジン冷却水温TW が所定温度以上で且つエアコン106が停止している等の低負荷時には、予め定められた比較的低回転の基準アイドル回転速度neidlbに設定されるが、エンジン冷却水温TW が所定温度以下の場合には暖機のために、エアコン106の作動時等の高負荷時には負荷に抗して所定のエンジン出力が得られるように、それぞれ基準アイドル回転速度neidlbよりも高回転のファーストアイドル回転速度とされる。また、ISC学習状態の時にも所定のファーストアイドル回転速度とされる。
ファーストアイドル回転速度は、エンジン冷却水温TW やエアコン106等の負荷状態に応じて予め定められたマップにより、例えば図8の(a) に示すファーストアイドル回転速度域の範囲内で段階的或いは連続的に変化させられるようになっている。ファーストアイドル時の目標アイドル回転速度neidlそのものをマップ等で設定することもできるが、基準アイドル回転速度neidlbに対する補正量(増加回転速度)をマップ等で設定しても良い。基準アイドル回転速度neidlbは、図8の(a) において破線で示されている2→1ダウンシフト変速線のアクセル操作量θacc ≒0の時のエンジン回転速度NE、すなわちダウンシフト回転速度nednよりも低回転で、自動クラッチ14を強制的に解放するクラッチ解放回転速度neclよりも低回転である。
変速制御手段164は、シフトレバー160が「D」ポジションへ操作された場合、或いは「S」ポジションで変速レンジが切り換えられる場合に、前記車速Vおよびアクセル操作量θacc 等の運転状態をパラメータとして予め設定された例えば図7に示す変速マップ(変速条件)に基づいて、実際の車速Vおよびアクセル操作量θacc に応じて複数の前進ギヤ段を自動的に切り換える。図6の実線はアップシフト変速線で破線はダウンシフト変速線である。図8の(a) の2→1ダウンシフト変速線は、図6の2→1ダウンシフト変速線の横軸(車速V)を第2速ギヤ段の変速比eによってエンジン回転速度NEに置き換えたもので、変速線そのものも直線的に簡略化して示した図である。
上記変速制御手段164による変速制御は、先ず、自動クラッチ14を解放するとともに、必要に応じてエンジン12の出力を電子スロットル弁156の閉じ制御などで一時的に低下させた後、それまでのギヤ段を抜くようにセレクトアクチュエータ96およびシフトアクチュエータ98を作動させ、次いで、変速判断された変速先のギヤ段を成立させるようにセレクトアクチュエータ96およびシフトアクチュエータ98を作動させ、新たなギヤ段に切り換えられた後に自動クラッチ14を接続し、必要に応じてエンジン12の出力を復帰させる。アクセル操作量θacc が略0のアクセルOFF時には、変速時のエンジン出力制御は必ずしも必要ない。変速マップに基づく自動変速だけでなく、「S」ポジションにおけるシフトレバー操作に従ってギヤ段を切り換えるマニュアル変速の場合も、同様の変速制御が行われる。
ここで、図8の(a) に示す破線は、第2速ギヤ段から第1速ギヤ段へダウンシフトする2→1ダウンシフト変速線で、アクセル操作量θacc が略0の時のダウンシフト回転速度nednは、エンジン12の基準アイドル回転速度neidlbよりも高回転であり、目標アイドル回転速度neidlが基準アイドル回転速度neidlbであれば、その基準アイドル回転速度neidlbに達する前に2→1ダウンシフトが行われる。一方、暖機運転時や高負荷時等のファーストアイドル回転速度は、その基準アイドル回転速度neidlbよりも高回転で、上記ダウンシフト回転速度nednよりも更に高回転の領域に定められている。したがって、図8の(a) に示すように目標アイドル回転速度neidlがファーストアイドル回転速度域に設定されている場合に、車両を停止させるためのブレーキ操作などで車速Vが低下し、エンジン回転速度NEがその目標アイドル回転速度neidlよりも低下すると、エンジン出力制御(アイドル回転速度制御)により正のエンジン駆動力が発生し、ブレーキを踏み増しする必要がある。このため、そのブレーキ操作で車速V更にはエンジン回転速度NEが低下し、破線で示す2→1ダウンシフト変速線(ダウンシフト回転速度nedn)に達すると、ダウンシフトのために自動クラッチ14が解放されてエンジン12の動力伝達が遮断され、エンジン12による正の駆動力が抜けるため、制動力が急に大きくなってドラビリが悪化し、運転者に違和感を生じさせる。目標アイドル回転速度neidlとダウンシフト回転速度nednとの差が大きい程、アイドル回転速度制御によってエンジン駆動力は大きくなるため、目標アイドル回転速度neidlとダウンシフト回転速度nednとの差が大きい程、ダウンシフトの際の自動クラッチ14の解放に伴う制動力変化が大きくなる。
上記のようなドラビリの悪化は、ダウンシフトが行われる際のエンジン回転速度NE(ダウンシフト回転速度nedn)よりも目標アイドル回転速度neidlの方が高回転の場合には同様に発生し、2→1ダウンシフト時だけでなく3→2ダウンシフト時や4→3ダウンシフト時等にも発生する可能性がある。なお、図8(a) のエンジン回転速度neclは、エンジンストールを防止するために自動クラッチ14を強制的に解放するクラッチ解放回転速度で、最低速ギヤ段である第1速ギヤ段走行時には、このクラッチ解放回転速度neclで自動クラッチ14が解放され、或いはスリップ状態とされる。
このようなドラビリの悪化を抑制するため、前記電子制御装置110は更に変速点変更手段166を備えている。変速点変更手段166は、ドラビリ悪化予測手段168および制動力判定手段170を機能的に備えており、図7のフローチャートに従って信号処理を行う。図7のフローチャートのステップS1およびS2はドラビリ悪化予測手段168に相当し、ステップS3は制動力判定手段170に相当する。
図7のステップS1では、予め定められた変速マップに基づいて現在のギヤ段からダウンシフトする場合のエンジン回転速度NEであるダウンシフト回転速度nednを計算する。具体的には、現在のギヤ段が第2速ギヤ段の場合、図8(a) の2→1ダウンシフト変速線に基づいてアクセル操作量θacc ≒0の時に第1速ギヤ段へダウンシフトするエンジン回転速度NEをダウンシフト回転速度nednとして求める。このダウンシフト回転速度nednは、変速マップによって定められた変速点(基準変速点)に相当する。
ステップS2では、前記エンジン制御手段162から現在の目標アイドル回転速度neidlを読み込み、その目標アイドル回転速度neidlが上記ダウンシフト回転速度nedn以上か否かを判断する。言い換えれば、アクセル操作量θacc ≒0のアクセルOFF状態で車速Vが低下した場合に、アイドル回転速度制御が実施されて正のエンジン駆動力が発生し、ダウンシフト回転速度nednに達して自動クラッチ14が解放された際に制動力が急に大きくなってドラビリが悪化するか否かを予測する。そして、ステップS2の判断がYES(肯定)の場合、すなわちnedn≦neidlの場合にはドラビリが悪化する可能性があるため、ステップS3以下を実施するが、NO(否定)の場合、すなわちnedn>neidlの時には、アイドル回転速度制御が実施される前にダウンシフトが行われるためドラビリが悪化する恐れはなく、ステップS5で変速線(変速マップ)を変更することなく一連の制御を終了する。なお、ダウンシフト制御の応答遅れを考慮し、目標アイドル回転速度neidlに所定値を加算して上記ステップS2の判断を行うようにしても良い。
ステップS3では、車両減速度が予め定められた判定値G1以上であるか、或いはブレーキスイッチ138からブレーキペダルの踏込み操作を表すブレーキON信号が供給されているかを判断する。すなわち、アイドル回転速度制御の実施に拘らず車速Vが低下してダウンシフトが行われる可能性が高い所定の制動力発生中であるか否かを判定するためのステップで、判定値G1は例えば0.1G(Gは重力加速度)程度の値が設定される。したがって、運転者が減速意思を持って積極的に車速Vを低下させるブレーキ操作時だけでなく、登坂路などで車速Vが低下する場合も、その車両減速度が判定値G1以上の場合には、アイドル回転速度制御の実施に拘らず車速Vが更に低下してダウンシフトが行われ、自動クラッチ14が解放される際にエンジン駆動力が抜けて制動力が急に大きくなり、ドラビリが悪化する可能性が高い所定の制動力発生中であると判定される。
そして、何れか一方が肯定された場合にはステップS4を実行するが、何れも否定された場合すなわち車両減速度<G1で且つブレーキOFFの場合には、目標アイドル回転速度neidlがダウンシフト回転速度nednより高回転でアイドル回転速度制御が行われる場合でも、そのまま車速Vが低下してダウンシフトが行われる可能性が低く、ダウンシフトによるドラビリの悪化の可能性は無いものとして、前記ステップS5を実施し、変速線(変速マップ)を変更することなく一連の制御を終了する。すなわち、アイドル回転速度制御が実施されると、そのエンジン出力の増大制御で駆動力が増加するため、単なる惰性走行等の走行抵抗だけでは駆動力の増加で車速低下が阻止され、或いは増速に転じて、ダウンシフトが行われない場合があり、そのような場合まで変速線(変速マップ)を変更する必要はないのである。なお、上記ステップS3では、車両減速度≧G1およびブレーキONの何れか一方だけを判断するようにしても良いし、車両減速度≧G1で且つブレーキONの場合、すなわち運転者が積極的に減速意思を持って所定の減速度以上で減速する場合だけステップS4を実施するようにしても良い。
ステップS4では、ダウンシフト回転速度nednを所定量だけ上昇させる。具体的には、例えば図8の(b) に示すように目標アイドル回転速度neidlをパラメータとして段階的に定められたマップに従って、実際の目標アイドル回転速度neidlに応じて加算分(補正量)ΔVを算出し、前記図6の変速マップのダウンシフト変速線をその加算分だけ高車速側へ変更する。図8(a) の加算回転速度Δneは、上記加算分ΔVを第2速ギヤ段の変速比eに基づいてエンジン回転速度に換算した値であり、基準変速点であるダウンシフト回転速度nednにその加算回転速度Δneを加算したダウンシフト回転速度(nedn+Δne)で2→1ダウンシフトの変速判断が行われるようになる。図8の(a) の一点鎖線は、この新たなダウンシフト回転速度(nedn+Δne)で、目標アイドル回転速度neidlよりも高回転である。上記加算分ΔVに関する情報が前記変速制御手段164に出力され、変速制御手段164はその加算分ΔVだけダウンシフト変速線を高車速側へ変更してダウンシフト制御を実行する。加算分ΔVは、新たなダウンシフト回転速度(nedn+Δne)が目標アイドル回転速度neidlよりも高回転となるように、目標アイドル回転速度neidlおよび変速比eに応じて定められ、ダウンシフトの種類毎すなわち2→1ダウンシフトか3→2ダウンシフトか4→3ダウンシフトか等によって異なる値が設定されている。また、ビジーシフト或いはアップダウン変速線の逆転を防止するため、アップシフト変速線についても上記加算分ΔVと同じだけ、或いは別個に定められた変更量だけ高車速側へ補正される。
このように本実施例の自動変速機16の制御装置は、目標アイドル回転速度neidlが基準変速点であるダウンシフト回転速度nednより高い場合には、その目標アイドル回転速度neidlよりも高回転側でダウンシフトが行われるように、ダウンシフト変速線が加算分ΔVだけ高車速側へ変更されるため、目標アイドル回転速度neidlに達してアイドル回転速度制御が実施される前にダウンシフトが行われるようになり、アイドル回転速度制御の実施でエンジン出力が増大し、それに伴ってブレーキが踏み増しされるなどして、ダウンシフト時に動力伝達が遮断される際に大きな制動力変化を生じることが防止されてドラビリが向上する。
また、ブレーキON或いは車両減速度≧G1の場合、すなわち運転者のブレーキ操作時或いは登坂走行時等の所定の制動力発生中であることを条件として変速マップ(ダウンシフト線およびアップシフト線)を変更するため、目標アイドル回転速度neidlがダウンシフト回転速度nednよりも高回転で、車速Vの低下に伴ってアイドル回転速度制御が行われる場合でも、そのまま車速Vが低下してダウンシフトが行われる可能性が低い時まで変速マップが変更されることはなく、エンジン回転速度NEが目標アイドル回転速度neidl以下になってアイドル回転速度制御が実施されても、ダウンシフトによるドラビリの悪化の可能性が無い場合まで、変速マップが変更されて不要なダウンシフトを実行したり、そのダウンシフト時に駆動力変化(エンジンブレーキ変化)が生じたりする恐れがない。すなわち、アイドル回転速度制御が実施されると、エンジン出力の増大制御で駆動力が増加するため、単なる惰性走行等の走行抵抗だけでは駆動力の増加で車速低下が阻止され、或いは増速に転じて、ダウンシフトが行われない場合があり、そのような場合まで変速マップを変更する必要はないのである。
また、本実施例では、前記加算分ΔVが目標アイドル回転速度neidlをパラメータとして段階的に設定されているため、目標アイドル回転速度neidlに応じてダウンシフト回転速度(nedn+Δne)が極め細かく制御され、ダウンシフト回転速度nednの変更による変速ショック等の変速特性の悪化を最小限に抑制しつつ、アイドル回転速度制御の実施によるエンジン出力の増大に起因するダウンシフト時のドラビリの悪化が防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:エンジン 16:自動変速機 110:電子制御装置 166:変速点変更手段 NE:エンジン回転速度 neidl:目標アイドル回転速度 nedn:ダウンシフト回転速度(変速点) nedn+Δne:変更後のダウンシフト回転速度
Claims (2)
- 所定車速以下になるとエンジンの動力伝達を遮断してダウンシフトを行う車両用自動変速機の制御装置において、
前記エンジンの目標アイドル回転速度は、ダウンシフトが行われるエンジン回転速度よりも高回転側を含んで増減制御されるようになっており、
該目標アイドル回転速度が高い場合は低い場合に比較して、エンジン回転速度が高回転側でダウンシフトが行われるように変速点を変更する変速点変更手段を備えているとともに、
該変速点変更手段は、所定の制動力発生中であることを条件として前記変速点を変更する
ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 前記変速点変更手段は、前記目標アイドル回転速度以上のエンジン回転速度でダウンシフトが行われるように変速点を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009094953A JP2010242929A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 車両用自動変速機の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009094953A JP2010242929A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 車両用自動変速機の制御装置 |
Publications (1)
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JP2010242929A true JP2010242929A (ja) | 2010-10-28 |
Family
ID=43096129
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2009094953A Pending JP2010242929A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 車両用自動変速機の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010242929A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015068480A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | ダイハツ工業株式会社 | 車両の変速制御装置 |
-
2009
- 2009-04-09 JP JP2009094953A patent/JP2010242929A/ja active Pending
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