JP4067711B2 - 超電導磁石装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば医療用断層撮像装置に用いられる超電導磁石装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高強度かつ高均一度で、時間的に安定した静磁場発生源として超電導磁石装置の使用が一般化している。特に、医療用断層撮像装置(以下、MRIという)の静磁場発生源としての普及が著しい。
MRI用磁石では、精密でコントラストの良い人体(患者)断層像を高速で撮るため、また高機能画像取得のために、撮像空間である磁石中心の直径30〜45(cm)の球状空間S内で、0.5〜2(Tesla)の磁場強度、1〜10(ppm)の磁場均一度、0.05(ppm/hr)の時間安定な静磁場特性が要求されている。
【0003】
これらの特性は、無損失で高電流密度が可能な超電導コイルと、超電導現象特有の永久電流モード運転を利用し、さらに、厳密な磁場均一度設計に基づいたコイル配置を採用した超電導磁石装置でしか満たせない。
【0004】
MRI用磁石では上記画像取得上要求される特性以外に、病院に設置される装置である関係上、全ての患者が安心して受診できるよう広い開口や開放感を有すること、手術や各種検査を実施しながら並行して撮像できること、心臓ペースメーカ装着者や他の機器への磁場影響を防止するため磁石が発生する漏洩磁場を極力軽減すること、外部からの微小な磁場変動による画像への影響をなくすため外乱磁場遮蔽機能を有すること、搬入・設置が簡便であるために装置が軽量小型であること、等々の多様な要求がある。
【0005】
ところで、最近MRI用磁石として従来の超電導磁石水平磁場方式と永久磁石垂直磁場方式の長所を合わせ持った超電導磁石垂直磁場方式のものが開発・商用化されつつある。
この方式のものは、従来の永久磁石垂直磁場方式が有する患者の安心感や開放感、患者へアクセス性、漏洩磁場軽減や外乱磁場遮蔽の機能を維持しつつ、永久磁石の超電導磁石化により、超電導磁石水平磁場方式と同等な磁場強度、磁場均一度、時間安定度特性を得ることができる。
【0006】
従来の超電導磁石垂直磁場方式によるMRI用磁石を図6に示す。図6(a)は磁石全体を示す斜視図、図6(b)は図6(a)の切断面VIb−VIbにおける断面図である。図6において、環状超電導コイル群101は5個のソレノイド型超電導コイルが同軸配置されたものであり、球状空間Sに高均一かつ安定な高強度の静磁場を発生する。低温容器102は、環状超電導コイル群101を収容しており、環状超電導コイル群101を超電導現象が発現する極低温まで冷却し保持する液体ヘリウムの容器を兼ねている。
【0007】
真空断熱容器103は、低温容器102を収容し、低温容器102から液体ヘリウムが蒸発するのを低減する。低温容器102と真空断熱容器103との間には、液体ヘリウムの蒸発をさらに低減するために、通常、複数の熱シールド槽(図示せず)が設置される。強磁性体製の磁気シールド板104は、漏洩磁場を軽減しまた外乱磁場を遮蔽する。
【0008】
強磁性体製のヨーク105は、上下の磁気シールド板104間を連結して磁束の流路を形成するとともに、磁気シールド板104の支持構造体も兼ねている。磁気シールド板104の側方の端面部104aがヨーク105に図示しないボルトで固定されている。
【0009】
連通管106は、図6における上下の低温容器102と真空断熱容器103を連結し、液体ヘリウムの通路や、上下の環状超電導コイル群101を接続するリードの通路を形成している。鉄シム片107は、撮像領域110の静磁場の均一度を調整するためのものである。鉄シム片107は、図6(b)のように真空断熱容器103の表面よりも突出しているが、図6(a)では簡略化して示している。
【0010】
また、図示しないが環状超電導コイル群101への通電や液体ヘリウム注液用サービスポート、環状超電導コイル群101を永久電流モード運転させるための永久電流スイッチ、複数の熱シールド槽を冷却するための冷凍機が設置されている。
【0011】
超電導磁石垂直磁場方式による従来のMRI用磁石の別の例として、図7に示すものがある。図7(a)は磁石全体を示す平面図、図7(b)は側面図である。図7のものは、図6のものに比し円板状の磁気シールド板104を真空断熱容器103の径よりも大きくし、円弧状の強磁性体である補助鉄111を追加したものである。なお、磁気シールド板104の側方の端面部104aがヨーク105の内側の段付き部105aにボルトで固定されている。
【0012】
補助鉄111は、ヨーク105と磁気シールド板104とが当接する当接部近傍の両側に、かつ磁気シールド板104と図7(b)における上下方向の位置が同じになるようにして、それぞれ設置されている。この補助鉄111は、環状超電導コイル群が発生する磁束のうち、磁気シールド板104にて吸収しきれなかったものを吸収する。
【0013】
なお、真空断熱容器103と補助鉄111との間及び真空断熱容器103とヨーク105との間に、径方向の間隙が設けられており、真空断熱容器103をその径方向に移動させて位置を調整することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来のMRI用の超電導電磁石装置は、以上のよう構成されているために、図6に示したものは漏洩磁場が大きく、図7に示したものは漏洩磁場は低減することができるが装置の寸法・重量の増加と患者に対する開放感の低下は避けられない。また、医師が患者にアクセスする際、ベッドの横から腰を伸ばして撮像領域全体に手が届く必要があるが、図7のものは上部の補助鉄111に医師の頭部が当たり、下部の補助鉄111に医師の脚部が当たることになり、患者へのアクセス性の低下も避けられなかった。
【0015】
また、対向する磁気シールド板104には互いに吸引する方向の電磁力が働くが、図6のものにおいては磁気シールド板104の側方端面部104aがヨーク105の内側面にボルトで固定されている。また、図7のものにおいては磁気シールド板104の側方端面部104aがヨーク本体部105の内側の段付き部105aにボルトで固定されている。このため、いずれも固定面積が小さく、上記電磁力による磁気シールド板104の撓みが大きくなり、磁気特性特に磁場の均一性に悪影響を及ぼし、性能の低下を招くという問題もあった。
【0016】
本発明は、上記のような問題点を解決して、装置の寸法や重量の増加を抑制できるとともに装置への接近性を向上させることができ、また性能の低下を防止できる超電導磁石装置を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の超電導磁石装置においては、軸方向に対向して配置された一対の環状の超電導コイル群、この各超電導コイル群をそれぞれ収容し超電導現象が発現する温度まで冷却する冷却容器、この冷却容器を個別に収納する二つの真空断熱容器、この二つの真空断熱容器を軸方向に挟むようにして対向配置された一対の強磁性体製の磁気シールド部材、二つの真空断熱容器を軸方向と直交する方向から挟むようにして対向配置されたものであって軸方向の端面が磁気シールド部材に当接するとともに磁気シールド部材を固定支持する強磁性体製の一対のヨーク、及び真空断熱容器よりもヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向に突出しないようにして、磁気シールド部材とヨークとの当接部近傍に磁気シールド部材の冷却容器側の面とヨークの対向方向の側面との双方に接し、少なくともヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向に対向して配置された一対の強磁性体製の補助磁性部材を備えた超電導磁石装置において、
ヨークは、後方に後退させ前後方向に非対称となるように配置され、
補助磁性部材は、その大きさが等しい若しくは後方よりも前方のほうを小さくされていることを特徴とするものである。
補助磁性部材は、磁気シールド部材の冷却容器側の面とヨークの対向方向の側面との双方に接して配置されているので磁気シールド部材の撓みを小さくして磁気特性の優れたものにできるとともに、真空断熱容器よりもヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向に突出しないので、装置への接近性が向上する。また、一対の補助磁性部材は、その大きさが等しい若しくは後方よりも前方のほうを小さくされているので、装置への接近性を向上させることができる。
【0018】
そして、補助磁性部材の前方のほうに配置されたものは、ヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向から見て真空断熱容器に近い方側の軸方向の寸法が遠い方側の軸方向の寸法よりも小さい台形状であることを特徴とする。
補助磁性部材をこのような台形状にすることにより、装置への接近性をさらに向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の一形態であるMRI用磁石を示すもので、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図である。図1において、円筒状の真空断熱容器103は、図示を省略しているが図7の低温容器102と同様の円筒状の低温容器を収容し、低温容器から液体ヘリウムが蒸発するのを低減している。低温容器と真空断熱容器との間には、液体ヘリウムの蒸発をさらに低減するために、通常、複数の熱シールド槽(図示せず)が設置される。
【0020】
また、低温容器には、図6に示した環状超電導コイル群101と同様の環状超電導コイル群が収容されている。環状超電導コイル群は、複数のソレノイド型超電導コイルが同軸配置され、球状空間Sに高均一かつ安定な高強度の静磁場を発生する。低温容器は、環状超電導コイル群を超電導現象が発現する極低温まで冷却し保持する液体ヘリウムの容器を兼ねている。
【0021】
連通管106は、上下の低温容器及び真空断熱容器103を連通している。図示を省略しているが、上方の真空断熱容器103と下方の真空断熱容器103との対向する面側には図6の鉄シム片107と同様の鉄シム片が設けられ、これにより球状空間Sの球状空間の均一度を調整している。
【0022】
強磁性体製の磁気シールド板14は、漏洩磁場を軽減しまた外乱磁場を遮蔽するもので、中央板部14aの径は真空断熱容器103の径よりも所定寸法大きくされ、端部14bの内側の面14cは機械加工により平坦にされている。図1(b)における上方及び下方の磁気シールド板14が二つの真空断熱容器103を上下方向に挟んで設けられ、図1(b)における左右の強磁性体製のヨーク15は同じく二つの真空断熱容器103を図の左右方向から挟んで設けられ、強磁性体製のヨーク15が上方及び下方の磁気シールド板14間を連結して磁束の流路を形成している。
【0023】
上方及び下方の磁気シールド板14が、ヨーク15の各端面15aに図示しないボルトにより固定されている。このとき、磁気シールド板14の各面14cがヨーク15の各端面15aの全面に亘り密着するようにして固定される。ヨーク15は、磁気シールド板14の支持構造体も兼ねており、ヨーク15の上方の端面15aによって磁気シールド板14の重量と上下の磁気シールド板14同士の吸引力を支える。
【0024】
強磁性体である補助磁性部材としての補助鉄17は、図1(a)に示す如く真空断熱容器103の軸と直角な方向の断面が三角形である三角柱形状である。また、その長さは一方の端面17aが磁気シールド板14の中央板部14aの下面14dに当接し、他方の端面が真空断熱容器の103の軸方向の中央部に達する長さにされている。
【0025】
補助鉄17は、図示の如く磁気シールド板14の中央板部14aの下面14dにその端面17aを密着させ、かつヨーク15の側面15bにその側面17bを密着させて、図示しないボルトにより固定されている。また、補助鉄17は、図1(a)のように図の上下方向すなわちヨーク15が対向する対向方向と直角な方向に真空断熱容器103よりも突出しない大きさにされている。
【0026】
なお、真空断熱容器103と補助鉄17との間及び真空断熱容器103とヨーク15との間に、径方向の間隙が設けられており、真空断熱容器103をその径方向に移動させて位置を調整することができる。
【0027】
次に、動作について説明する。環状超電導コイル群は定格電流が定まっており、発生する磁束量は一定である。磁束の多くは磁気シールド板14によって吸収され、ヨーク15を通って還流するが、一部は磁性体外部の空間を通って還流し漏洩磁場をつくる。
【0028】
詳細な磁場解析によれば、強磁性体で構成された還流路に1(mm)程度の僅かなエアーギャップがあれば強磁性体の還流磁束量は大きく制限され、空間の還流磁束量が増加し、漏洩磁場が増大する。これを防止するため、磁気シールド板14の面14cとヨーク15の端面15aとは機械加工等により平坦に加工され密着固定されている。
【0029】
また、磁気シールド板14が吸収した磁束は集まってヨーク15に流れるため、磁気シールド板14とヨーク15の当接部近傍としての磁気シールド板14の中央板部14aと端部14bとの境界部近傍の磁束密度が最大となり、当接部近傍の磁束還流路断面積を増加することが漏洩磁束の低減上効果的である。
【0030】
図1の実施の形態においては、磁気シールド板14の中央板部14aの下面14dとヨーク15の側面15bに密着固定された三角柱形状の補助鉄17は当接部の磁束還流路断面積を増加させるとともに、ヨーク15の側面15bから磁束が入るのでヨーク15の端部の磁束密度を下げ磁気シールド板14からの還流磁束を流入し易くする効果がある。さらに、補助鉄17を還流する方が磁束還流の磁路長が短かく、磁束はこちらを通過しようとする。これらのため、補助鉄17の大きさをそれほど大きくしなくても高い効果を得ることができ、軽量な補助鉄の使用にて装置全体の重量の増加を抑制しつつ、漏洩磁束を低減できる。
【0031】
また、ヨーク15の端面15aによって磁気シールド板14の重量と上下の磁気シールド板14同士の吸引力を支え、さらに補助鉄17で磁気シールド板14の中央板部14aの下面14dを支え、図示しないボルトで両者を固定しているので、磁気シールド板14は端面15a及び補助鉄17により支持固定されることになり支持固定面積が広くなり、磁気シールド板14の撓みが軽減され、磁気特性の低下、ひいては性能の低下を防止できる。
【0032】
そして、補助鉄17を三角柱形状にし、かつ補助鉄17が図1(a)の上下方向すなわちヨーク15が対向する対向方向と直角な方向に真空断熱容器103よりも突出しないようにすることにより、装置への接近性、特に医師が患者に接近するときのアクセス性が向上する。すなわち、装置の寸法や重量の増加を極力抑制しつつ、接近性の改善を図ることができる。
【0033】
実施の形態2.
図2は、さらにこの発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示すもので、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図である。図2において、強磁性体製の磁気シールド板24の中央板部24aの径は真空断熱容器103の径よりも所定寸法大きくされ、端部24bは図1の端部14bよりも幅広にされ、後述のヨーク25の最大幅dと同じ幅にされている。端部24bの内側の面24cは機械加工により平坦にされている。
【0034】
強磁性体製のヨーク25は、その断面が真空断熱容器103に近い側の幅cよりも外方側の幅dが大きく、すなわち真空断熱容器103の軸と直交する方向(図2(a)の紙面と平行な方向)の断面がほぼ台形状(厳密には一辺が円弧状であるが)にされており、端面25aは平坦に機械加工されている。図2(b)における上方及び下方の磁気シールド板24が二つの真空断熱容器103を上下方向に挟んで設けられ、図2(b)における左右の強磁性体製のヨーク25は同じく二つの真空断熱容器103を図の左右方向から挟んで設けられ、強磁性体製のヨーク25が上方及び下方の磁気シールド板24間を連結して磁束の流路を形成している。
【0035】
上方及び下方の磁気シールド板24は、ヨーク25の各端面25aに図示しないボルトにより固定されている。このとき、磁気シールド板24の各面24cがヨーク25の各端面25aの全面に亘り密着するようにして固定される。ヨーク25は、磁気シールド板24の支持構造体も兼ねており、ヨーク25の上方の端面25aによって磁気シールド板24の重量と上下の磁気シールド板24同士の吸引力を支える。
【0036】
強磁性体である補助鉄27は、真空断熱容器103の軸と直角な方向の断面が三角形である三角柱形状である。また、その長さは一方の端面27aが磁気シールド板24の中央板部24aの下面24dに当接し、他方の端面が真空断熱容器の103の軸方向の中央部に達する長さにされている。
【0037】
補助鉄27は、図示の如く磁気シールド板24の中央板部24aの下面24d及び端部24bの面24cにその端面27aを密着させ、ヨーク15の側面25bにその側面27bを密着させて、図示しないボルトにより固定されている。また、補助鉄27は、図2(a)のように図の上下方向すなわちヨーク25が対向する対向方向と直角な方向に真空断熱容器103よりも突出しない大きさにされている。
【0038】
なお、真空断熱容器103と補助鉄27との間及び真空断熱容器103とヨーク25との間に、径方向の間隙が設けられており、真空断熱容器103をその径方向に移動させて位置を調整することができる。
【0039】
図2(a)に示すように、ヨーク25の断面の形状を台形状にすると医師の患者へのアクセス性を損なうことなくヨーク25の断面積を大きくして磁気特性を改善することができる。これに加えて、補助鉄27を設けることにより、図1の実施の形態と同様に漏洩磁束を軽減して一層の磁気特性の改善を図ることができる。
【0040】
実施の形態3.
図3は、さらにこの発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示すもので、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図である。図3において、強磁性体である補助鉄37は、図3(a)の上方から見て三角形の三角柱形状であり、すなわち真空断熱容器103の軸と直角な方向の断面が三角形である。そして、図3(b)に示すように真空断熱容器103の軸と直角な方向から見たとき真空断熱容器103に近い方の寸法が遠い方の寸法よりも小さい台形状であり、三角柱形状のものを斜めに切断したような変形三角柱形状のものである。
【0041】
補助鉄37は、図示の如く磁気シールド板24の端部24bの面24cにその端面37aを密着させ、強磁性体製のヨーク25の側面25bにその側面37bを密着させて図示しないボルトにより固定されている。なお、補助鉄37は、図3(a)のように図の上下方向すなわちヨーク25が対向する対向方向と直角な方向に真空断熱容器103よりも突出しない大きさにされている。
その他の構成については、図2に示した実施の形態と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
補助鉄37の形状を上記のように変形三角柱状とすることにより球状空間Sに近い部分が切断除去されたような形状となり、かつ補助鉄37が真空断熱容器103よりも図3(a)のように図の上下方向に突出しないようにすることにより、医師が患者に接近するときの障害がさらに減少し、アクセス性を一層向上させることができる。
【0043】
実施の形態4.
図4は、さらにこの発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示すもので、図4(a)は平面図、図4(b)は正面図である。図4において、強磁性体製の磁気シールド板44の中央板部44aの径は真空断熱容器103の径よりも所定寸法大きくされ、端部44bは後述のヨーク45の最大幅と同じ幅にされている。端部44bの内側の面44c及び端面44hは機械加工により平坦にされている。また、その中央部に階段状凹部44gが設けられている。
【0044】
強磁性体であるヨーク45は、図4(a)のようにその断面が台形状にされており、端面45aは平坦に機械加工されている。また、ヨーク45の外側部に突出部45jを設け、磁気シールド板44の端面と密着するように平坦に機械加工している。上方及び下方の磁気シールド板44が、ヨーク45の各端面45aに図示しないボルトにより固定されている。このとき、磁気シールド板44の各面44cがヨーク45の各端面45aの全面に亘り密着するとともに磁気シールド板44の端面44hがヨーク45の突出部45jに密着するようにして固定される。ヨーク45は、磁気シールド板44の支持構造体も兼ねており、ヨーク45の上方の端面45aによって磁気シールド板44の重量と上下の磁気シールド板44同士の吸引力を支える。
【0045】
追加補助鉄48は円弧板状の形状を有し、磁束密度が最大となる磁気シールド板44の中央板部44aと端部44bとの境界部近傍であって強磁性体製の磁気シールド板44の外側に図のように設けられている。
その他の構成については、図2に示した実施の形態と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
磁気シールド板44の中で還流磁束密度が低い中央部に階段状凹部44gを設けて重量を軽減し、逆に、磁気シールド板44から強磁性体製のヨーク45に磁束が移る近傍では還流磁束密度が高くなるのでこれを軽減するために追加補助鉄48を新たに設けたものである。追加補助鉄48を設けることにより、当接部の磁束還流路断面積を増加させることができ、漏洩磁束をさらに低減することができる。また、磁気シールド板44の端面44hにヨーク45の外周部の突出部45jを密着させことにより一層漏洩磁束が低減される。
【0047】
実施の形態5.
図5は、さらにこの発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示す斜視図である。図5において、この実施の形態は、ヨークを後方に後退させ前後方向に非対称とする構成を採用し、患者の開放感、医師の患者へのアクセス性を重視したMRI用磁石において、装置の寸法や重量の増加を抑制しつつ磁気特性の改善、性能の向上を図ったものである。
【0048】
図5において、強磁性体製の磁気シールド板54は、その中央板部54aの径は真空断熱容器103の径よりも所定寸法大きくされ、両側の端部54bが図5において後方へ後退した蝶のような形状をしている。端部54bの内側の面54cは機械加工により平坦にされている。
【0049】
強磁性体製のヨーク55は、円柱状であり、端面は平坦に機械加工されている。上方及び下方の磁気シールド板54が、ヨーク55の各端面に図示しないボルトにより固定されている。このとき、磁気シールド板54の各面54cがヨーク55の各端面の全面に亘り密着するようにして固定される。ヨーク55は、磁気シールド板54の支持構造体も兼ねており、ヨーク55の上方の端面によって磁気シールド板54の重量と上下の磁気シールド板54同士の吸引力を支える。
【0050】
三角柱形状の強磁性体である補助鉄57は、図示の如く磁気シールド板54の端部54bの内側の面54cにその端面57aを密着させ、ヨーク55の側面55bにその側面57bを密着させて図示しないボルトにより固定されている。また、補助鉄57は、図5(a)のように図の上下方向すなわちヨーク55が対向する対向方向と直角な方向に真空断熱容器103よりも突出しない大きさにされている。
【0051】
なお、真空断熱容器103と補助鉄57との間に、径方向の間隙が設けられており、真空断熱容器103をその径方向に移動させて位置を調整することができる。
【0052】
この実施の形態は、前後方向が非対称な構成のため、磁気シールド板54内の還流磁束の分布は前部(図5における手前側)が多く、また磁気シールド板54の前部での撓みが大きくなりやすいので、このようにヨーク55の端面に各磁気シールド板54の面54cを密着させて固定することが一層効果的であり、撓みを小さくして磁気特性の優れたものにできる。また、補助鉄57により磁気シール板54の内側の面54cを支えていることも、磁気シールド板54の撓み防止に寄与している。
【0053】
以上の各実施の形態では、補助鉄17、27、37、57が8個とも全て同じ形状であるものを示したが、上下方向の漏洩磁場許容値や、医師のアクセス性等の要件により、例えば図1(b)において下方の補助鉄17を上方のものより小さくして医師が患者に接近するときの足下を広くするとか、図1(a)において図の前方の補助鉄17を後方のものより小さくして前方からの接近性を改善するとかもできる。
【0054】
また、補助鉄が三角柱形状や変形三角柱形状の例を示したが、磁気シールド板とヨークに密着固定でき、還流磁束の磁路を構成し磁気シールド板の端部を支えるものであれば、補助鉄は他の形状のものであってもよい。
【0055】
さらに、超電導磁石装置としてMRI用磁石について示したが、MRI用に限定されるものではなく、他の用途に用いられるものであってもよい。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0057】
本発明の超電導磁石装置においては、軸方向に対向して配置された一対の環状の超電導コイル群、この各超電導コイル群をそれぞれ収容し超電導現象が発現する温度まで冷却する冷却容器、この冷却容器を個別に収納する二つの真空断熱容器、この二つの真空断熱容器を軸方向に挟むようにして対向配置された一対の強磁性体製の磁気シールド部材、二つの真空断熱容器を軸方向と直交する方向から挟むようにして対向配置されたものであって軸方向の端面が磁気シールド部材に当接するとともに磁気シールド部材を固定支持する強磁性体製の一対のヨーク、及び真空断熱容器よりもヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向に突出しないようにして、磁気シールド部材とヨークとの当接部近傍に磁気シールド部材の冷却容器側の面とヨークの対向方向の側面との双方に接し、少なくともヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向に対向して配置された一対の強磁性体製の補助磁性部材を備えた超電導磁石装置において、ヨークは、後方に後退させ前後方向に非対称となるように配置され、補助磁性部材は、その大きさが等しい若しくは後方よりも前方のほうを小さくされていることを特徴とするものであるので、補助磁性部材は、磁気シールド部材の冷却容器側の面とヨークの対向方向の側面との双方に接して配置されているので磁気シールド部材の撓みを小さくして磁気特性の優れたものにできるとともに、真空断熱容器よりもヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向に突出しないので、装置への接近性が向上する。また、一対の補助磁性部材は、その大きさが等しい若しくは後方よりも前方のほうを小さくされているので、装置への接近性を向上させることができる。
【0058】
そして、補助磁性部材の前方のほうに配置されたものは、ヨークの対向方向と直交するとともに軸方向と直交する方向から見て真空断熱容器に近い方側の軸方向の寸法が遠い方側の軸方向の寸法よりも小さい台形状であることを特徴とするので、補助磁性部材をこのような台形状にすることにより、装置への接近性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の一形態であるMRI用磁石を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は正面図である。
【図2】 さらに、この発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は正面図である。
【図3】 さらに、この発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は正面図である。
【図4】 さらに、この発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は正面図である。
【図5】 さらに、この発明の他の実施の形態であるMRI用磁石を示す斜視図である。
【図6】 従来のMRI用磁石を示すもので、図(a)磁石全体を示す斜視図、図(b)は図(a)の切断面VIb−VIbにおける断面図である。
【図7】 他の従来のMRI用磁石を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は正面図である。
【符号の説明】
14,24,44,54 磁気シールド板、
14c,24c,44c,54c 面、15,25,45,55 ヨーク、
15a,25a,37a,45a 端面、
15b,25b,45b,55b 側面、17,27,37,57 補助鉄、
17a,27a,37a,57a 端面、
17b,27b,37b,57b 側面、101 環状超電導コイル群、
103 真空断熱容器。
Claims (2)
- 軸方向に対向して配置された一対の環状の超電導コイル群、
この各超電導コイル群をそれぞれ収容し超電導現象が発現する温度まで冷却する冷却容器、
この冷却容器を個別に収納する二つの真空断熱容器、
この二つの真空断熱容器を上記軸方向に挟むようにして対向配置された一対の強磁性体製の磁気シールド部材、
上記二つの真空断熱容器を上記軸方向と直交する方向から挟むようにして対向配置されたものであって上記軸方向の端面が上記磁気シールド部材に当接するとともに上記磁気シールド部材を固定支持する強磁性体製の一対のヨーク、
及び上記真空断熱容器よりも上記ヨークの対向方向と直交するとともに上記軸方向と直交する方向に突出しないようにして、上記磁気シールド部材と上記ヨークとの当接部近傍に上記磁気シールド部材の上記冷却容器側の面と上記ヨークの上記対向方向の側面との双方に接し、少なくとも上記ヨークの上記対向方向と直交するとともに上記軸方向と直交する方向に対向して配置された一対の強磁性体製の補助磁性部材
を備えた超電導磁石装置において、
上記ヨークは、後方に後退させ前後方向に非対称となるように配置され、
上記補助磁性部材は、その大きさが等しい若しくは後方よりも前方のほうを小さくされていることを特徴とする超電導磁石装置。 - 上記補助磁性部材の上記前方のほうに配置されたものは、上記ヨークの対向方向と直交するとともに上記軸方向と直交する方向から見て上記真空断熱容器に近い方側の上記軸方向の寸法が遠い方側の上記軸方向の寸法よりも小さい台形状であることを特徴とする請求項1に記載の超電導磁石装置。
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