JP4067230B2 - 人工芝生 - Google Patents

人工芝生

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は競技施設などに用いられる人工芝生に関し、さらに詳しく言えば、透水性を付与するための特別な後加工を必要としない透水性を有する人工芝生に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テニスコートなどの競技施設に用いられる人工芝生は、例えば繊維製基布からなる基材に人工芝糸(パイル)を所定のピッチで植設(タフト)することにより、その基本的な部分が構成されるが、人工芝糸の植え付け部分を固定するため、基材の裏面側にはバッキング材と呼ばれる接着材が塗布される。
【0003】
従来において、バッキング材にはゴム系ラテックスが用いられている。すなわち、ゴム系ラテックスを液重量で1平方メートルあたり約1000gとして塗布し、乾燥・加硫することにより、基材の裏面側にバッキング材を層状に形成するようにしている。
【0004】
ところで、特に屋外施設用の人工芝生には、降雨時や散水時に水たまりが生じないようにするため、その特性の一つに透水性がよいことが要求されている。繊維製基布はその織り目に隙間があるため、それ自体は透水性を有している。また、不織布の場合でも透水性がある。
【0005】
なお、基材に非透水性の合成樹脂シートを用いる場合でも、人工芝糸の植設に伴なってタフト孔が開けられるため、これにより透水性が付与される。このように、基材には透水性があるものの、その後にバッキング層が形成されることにより、全体としては非透水性となってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、従来ではバッキング層を形成した後に、透水加工を行なうようにしている。例えば、多数の針を有する加熱ロールもしくは先端が尖ったいわゆるハンダごてを用いて、人工芝生の裏面からバッキング層を通して基材に至る孔を開けるようにしている。
【0007】
しかしながら、これによると加熱ロールやハンダごてなどの孔開け専用機を必要とするとともに、その分の作業工数が増えるため、コストアップは避けられない。また、人工芝生の全面にわたって均一な透水性を得るには、それなりの緻密な孔開け作業が要求される。そればかりでなく、基材にも透水孔が開けられるため、基材自体の強度が低下してしまうことになる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、基材が有している透水性を損なうことなく、接着材にて人工芝糸を基材に接着固定することができるようにした人工芝生を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、人工芝糸が植設された透水性を有する基材を備え、上記人工芝糸の植え付け部分が上記基材の裏面側で接着材により固定されている人工芝生において、上記接着材は、粒状として上記基材の裏面側に1平方メートルあたり10〜1000gの量をもって散布され、上記基材に対して加熱融着されたものからなり、上記接着材内には、上記接着材に対して易着性の有機および/または無機の粒体が混入されていることを特徴としている。
【0010】
本発明において使用される基材は、それ自体が透水性を有する繊維性基布(織物、不織布)の他に、後加工により透水性が付与されたもの、例えば合成樹脂シートであって人工芝糸の植設に伴なってタフト孔が開けられたシート基材であってもよい。
【0011】
要するに、基材は接着材の塗布前に透水性を有しているものであればよい。なお、本発明において、人工芝生(完成品)についての透水性の有無は、JIS−A1218に準拠した透水試験で、透水係数が1.5×10−3(cm/sec)以上のものを「透水性あり」としている。
【0012】
すなわち、透水係数が1.5×10−3(cm/sec)以上であれば、1時間に5mm程度の降雨があっても容易に水が引き、人工芝生に透水性があるとしている。本発明において、人工芝生の透水性はもっぱら基材の透水性に依存しているため、したがって、基材の透水係数は人工芝生全体としての透水係数よりも大きいことが好ましい。
【0013】
本発明によると、バッキング材としての接着材は粒状として、人工芝糸が植設された基材の裏面側に散布され、加熱により同基材に融着されて人工芝糸の固定に供されるが、その散布量(付着量)は、1平方メートルあたり10〜1000gの範囲とされる。好ましくは、1平方メートルあたり600g以下がよい。
【0014】
すなわち、散布量を1000g/m以下とすることにより、基材が有している透水性が阻害されることがなく、したがってその後において透水性を得るための孔開け加工を不要とすることができる。また、散布量が10g/m以上であるため、接着材粉末のより均一な散布が容易に行なえるとともに、人工芝糸の固定強度が確保される。
【0015】
上記接着材は、架橋型樹脂などの接着固定後には熱可塑性が失われる高分子体であってもよいが、本発明においては、上記人工芝糸の接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体からなることが好ましく、これによれば、人工芝生全体が熱可塑性樹脂にて統一的に構成されるため、張り替えのために回収された人工芝生を例えば複合再生法などによりリサイクルすることができる。
【0016】
この種の接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体としては、オレフィン系熱可塑性樹脂、代表的にはポリプロピレンやポリエチレンが挙げられるが、その中でもアイソタクチックポリマー、アタクチックポリマー、それにエチレン含有のコポリマーなどがより好ましく例示される。
【0017】
本発明によると、この高分子体からなる接着材内に、上記接着材に対して易着性を有する有機および/または無機の粒体が混入される。これによれば、易着性の個々の粒体が接着材に包み込まれるように含まれるため、バッキング材としての強度が高められる。
【0018】
また、ジョイントテープや下地上にじかに塗布された接着層によって人工芝生の端部間を接続する際、接着材の表面に露出された粒体がその下地側接着層に食い込んだり、粒体の材質によってはその下地側接着層に強く付着するため、人工芝生の端部間の接合力も高められる。
【0019】
この接着材内に混入される粒体の易着性(親和性、付着性)は、その材質自体によるものであってもよいし、もしくはその形状効果により粒体に易着性を付与するようにしてもよい。いずれにしても、粒体が易着性を有することから、少量の粒体で接着強度を高めることができるとともに、接着材の熱可塑性が維持されるため、リサイクル性が損なわれることもない。
【0020】
特に、粒体の易着性を形状効果により求める場合には、研磨工程により発生した研磨粉が最適と言える。すなわち、研磨粉はその表面積が同じ重量の粉体に比べて格段に大きいことから、接着材に対する易着性にきわめて優れており、相対的に接着材に対する添加量を減らすことができる。しかも、この種の研磨粉は特に他の利用用途がなく、そのまま廃棄されるものであるため、低コストにて入手できる。
【0021】
接着材に馴染みのよい易着性の粒体としては、各種ゴム、各種ウレタン、各種熱可塑性エラストマーを例示することができるが、特にウレタン、天然ゴムやスチレンブタジエンラバーなどは汎用性が高く、好適に採用される。
【0022】
また、熱可塑性樹脂でもよく、例えば接着材にポリエチレン、易着性の粒体として融点の高いポリプロピレンを用いて両者の粉末を加熱してバッキング材とすることもできる。無機の粒体としては、炭酸カルシウムや酸化アルミニウムなどのほかに、クレーなどの土壌や砂なども使用可能である。
【0023】
接着材と粒体との接着性の点からすれば、粒体の粒径は小さく(例えば、1mm以下)、その表面積が大きいもの(例えば、研磨粉などの表面に傷が付けられたもの)が好ましい。
【0024】
このように、粒体の粒径は好ましくは1mm以下とされるが、ジョイントテープなどの下地側接着層との接着性を優先するならば、その中でも粒体の粒径は大きい方が好ましい。例えば、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは80μm以上、さらには40メッシュ/300μm以上であれば、十分な接着効果が認められる。この場合においても、表面形状については上記と同様にその表面積が大きいものが好ましい。
【0025】
他方において、リサイクル性の点から言えば、粒体の粒径は小さい方(100μm以下)が好ましい。特には20μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下であるとよい。すなわち、粒体の粒径が大きいと、その粒体が異物として接着材内に残るため、接着材の熱可塑性が損なわれるおそれが出てくる。これに対して、粒体の粒径が小さいと、その粒体が接着材内にいわゆる充填材(骨材)として分散されるため、接着材に熱可塑性が残される。
【0026】
総じて言えば、接着強度を高めるには、粒体の粒径は1μm以上で1mm以下が好ましく、リサイクル性の点では1〜100μmの範囲が好ましいと言える。
また、リサイクル性の点で、接着材と粒体との混合比率は、重量比で、接着材:粒体=99:1〜20:80の範囲内であることが好ましい。
【0027】
本発明で用いられる基材は、とりわけそれ自体が透水性を有する例えばポリプロピレンやポリエステルなどの糸を用いた平織り基布であることが好ましい。すなわち、平織り基布は経糸と緯糸の単純な編組体からなり、その織り目部分に空隙が2次元のマトリクス状に規則性をもって存在するため、接着材の樹脂粉末が均一に散布し易く、また、樹脂溶融後に比較的大きな空隙が残される。したがって、全面にわたって透水性が均一とされた広幅で長尺の人工芝生を得ることができる。
【0028】
本発明の人工芝生は、例えば透水アスファルトなどの透水性を有する基層上に敷設されることが好ましい。また、その芝目内に目砂やゴムチップなどの粒状物を充填してなるいわゆる砂入り人工芝生として構築されてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図面に示されている実施例に基づいてより詳しく説明する。
【0030】
図1の断面図には、本発明の実施例に係る人工芝生1がいわゆる砂入り人工芝生としてが示されている。これによると、この人工芝生1は多数の人工芝糸2が植設された基材3を備えている。
【0031】
人工芝糸2は、オレフィン系の樹脂繊維、その中でもとりわけポリプロピレン繊維であることが好まれるが、この他の樹脂繊維であってもよい。人工芝糸2は、基材3の裏面側においてその植え付け部分が接着材(バッキング材)4により固定されている。
【0032】
本発明において、基材3には接着材4を塗布する前に透水性を有しているものが用いられる。したがって、それ自体が元来的に透水性を有する織布や不織布などの繊維性基布が好ましく採用されるが、この他に、後加工により透水性が付与されたもの、例えば合成樹脂シートであって人工芝糸2の植設に伴なってタフト孔が開けられたシート基材も使用することができる。なお、もともと透水性を有する繊維性基布においても、人工芝糸2の植設によりタフト孔が開けられるため、透水性がより大きくなる。
【0033】
この実施例では、基材3に平織り基布が用いられていおり、図2(a)には平織り基布の一部拡大平面図が示されており、同図(b)はそのA−A線断面図である。この平織り基布は、例えばポリエステルやポリプロピレンなどの平糸からなる経糸3aと緯糸3bを互いにジクザグ状に織り込んだもので、その織り目部分に透水可能な微細な空隙Gが2次元のマトリクス状に規則正しく存在している。また、ミクロ的に見ると空隙Gの部分は図2(b)に示されているような段差状となっている。
【0034】
この平織り基布からなる基材3に多数の人工芝糸2が所定のピッチで植設され、その植え付け部分(根元部)が基材3の裏面側で接着材4により固定されるのであるが、本発明では、接着材4を粉末状として基材3の裏面側に散布し、それを加熱溶融させて、基材3に融着させるようにしている。
【0035】
図3(a)には、人工芝糸2が植設された基材3の裏面側(同図において上面側)に接着材4の粉末樹脂4aが散布された状態が示されている。なお、粉末樹脂には粒状樹脂も含まれ、したがって、本明細書において粉末樹脂4aは粉末もしくは粒状の接着材と定義される。
【0036】
ここで、重要なことは粉末樹脂4aの散布量である。すなわち、その散布量は加熱融着させたときに、基材3の透水性を損なう(失なう)ものであってはならない。他方において、人工芝糸2を固定し得る強度がなくてはならない。
【0037】
そこで、本発明では、接着材4の粉末樹脂4aの散布量を10〜1000g/mの範囲としている。好ましい数値を具体的に示せば600g/mである。すなわち、粉末樹脂4aの散布量が1000g/m以下であることにより、基材3が有している透水性が阻害されることがなく、したがってその後において透水性を得るための孔開け加工を不要とすることができる。
【0038】
特には、600g/m以下であれば、砂などの充填材を人工芝生の芝目間に入れて使用する際にも十分な透水性が得られる。一方、散布量が10g/m以上であるため、粉末樹脂4aを均一に散布することができるとともに、人工芝糸2を基材3に固定するうえで必要とされる固定強度が確保される。
【0039】
この実施例では、基材3が平織り基布からなるため、その裏面側に散布された粉末樹脂4aが例えば次段の加熱溶融工程に搬送される際の振動などにより移動して部分的に偏ってしまうおそれがない。
【0040】
すなわち、平織り基布の場合、先にも説明したように、その各織り目部分に段差があるため、これにより粉末樹脂4aの移動範囲が限定されることになる。この意味において、粉末樹脂4aの粒径は、その段差に引っかかるような大きさ、すなわち1mm以下、さらには500μm以下のいわゆる粉末状のものが好ましく選択される。
【0041】
図3(b)には、粉末樹脂4aを加熱溶融して基材3の裏面に接着材4を付着した状態が模式的に示されている。同図から分かるように、本発明によれば、接着材4が粉末樹脂の加熱溶融物からなるため、層状として基材3の裏面全面を覆うことはなく、その塗布箇所は部分的に止められる。
【0042】
したがって、透水性に寄与する織り目部分の空隙Gおよびタフト孔の一部が接着材4に塞がれたとしても、大部分の空隙Gとタフト孔が依然として残されるため、透水性が失われることはない。しかも、粉末樹脂4aが均一に散布されることにより、これに伴なって人工芝生1の透水性も全体として均一化されることになる。
【0043】
使用する接着材4は、ウレタンなどの架橋型樹脂であってもよいが、リサイクル性を得ようとするのであれば、接着材4は、人工芝糸2の接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体からなることが好ましい。なお、この接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体としては、オレフィン系熱可塑性樹脂、代表的にはポリプロピレンやポリエチレンが挙げられるが、その中でもアイソタクチックポリマー、アタクチックポリマー、それにエチレン含有のコポリマーなどがより好ましく例示される。
【0044】
本発明では、図4に示されているように、接着材4内に粒体5を含ませるている。この粒体5は、上記高分子体および図示しないジョイントテープの接着層に対して馴染みのよい易着性(親和性)を有するものであれば、その材質は有機、無機のいずれであってもよい。
【0045】
粒体5の易着性をその材質に求めるならば、有機の場合には、各種のゴム、ウレタン、熱可塑性エラストマーなどが例示されるが、特にはウレタン、天然ゴムやスチレンブタジエンラバーが好適である。無機の粒体としては、炭酸カルシウムや酸化アルミニウム、それにクレーなどの土壌や砂なども使用できる。
【0046】
粒体5の易着性をその形状に求めるならば、接着材との接触面積が大きくて、いわゆる「かじり付き性」によいものが好ましい。例えば、研磨工程により発生した研磨粉が最適である。
【0047】
また、粒体5の粒径rについては、接着材4自体の強度を高めることからすれば、その粒径rは1mm以下であることが好ましい。より好ましくは、その上で研磨粉のように表面積が大きいとよい。
【0048】
粒体5は接着材4内に均一に混合されることにより、図4に示されているように、一部の粒体5が接着材4aの表面にも露出され、その結果、ジョイントテープとの接着力を高めることになる。すなわち、人工芝生1の裏面にジョイントテープを貼り合わせる際、粒体5がジョイントテープの接着層に食い込んで、いわゆるアンカーの役割を果たすため、人工芝生1とジョイントテープとがより強固に接合される。
【0049】
この粒体5によるアンカー効果をより発揮させるという点からすれば、粒体5の粒径rが1mm以下の下において、その粒径rは大きい方が好ましく、1μm以上であるとよい。例えば、40メッシュ/300μm以上とすることにより、ジョイントテープとの十分な接合強度が得ることができる。
【0050】
他方において、接着材4のリサイクル性を維持するには、粒体5の粒径rは小さい方が好ましい。具体的には100μm以下で、好ましくは20μm以下、さらには5μm以下がよい。要するに、接着強度を高めるには、粒体5の粒径rが1μm≦r≦1mmであることが好ましく、これに対してリサイクル性を維持するには、粒径rが1μm≦r≦100μmの範囲内がよいということになる。
【0051】
この人工芝生1は、次のようにして得ることができる。図5によりその一例を説明すると、人工芝糸2が植設された基材3は、その裏面側を上にして搬送ローラR、Rによる搬送経路に沿って矢印A方向(図5において右方向)に搬送される。この搬送経路上にはホッパ6が設けられている。また、ホッパ6よりも搬送方向下流側には、例えば赤外線ヒータからなるヒータ7が設けられている。
【0052】
この製造例において、ホッパ6内には接着材(上記高分子体)4の樹脂粉末4aと、有機もしくは無機の粒体5とが混合されて入れられており、基材3の搬送に伴なって、ホッパ6から基材3の裏面側にその適量が散布される。そして、ヒータ7にて加熱されることにより、基材3の裏面側に粒体5を含む接着材4が付着され、人工芝糸2が固定される。
【0053】
なお、ホッパーを2つ用意し、その一方のホッパから接着材4の粉末樹脂4aを散布し、他方のホッパーから粒体5を散布するようにしてもよい。いずれの場合においても、粉末樹脂4aをホッパー内で流動化しない範囲で予熱してもよい。
【0054】
テニスコート面などを構築するにあたって、この人工芝生1は図示しない下地上に敷設され、その隣接する端部同士がジョイントテープを介して互いに連結される。なお、ジョイントテープによる連結後に、必要に応じて人工芝生1の芝目内に目砂Sが充填される。
【0055】
本発明による人工芝生1は、バッキング材としての接着材4によって基材3の透水性が損なわれることがないため、従来のように針付き加熱ローラや棒状のハンダごてによる孔開けを行なう必要はない。
【0056】
なお、人工芝生の透水性有無の判断基準として、本発明では、土の透水試験方法であるJIS−A1218に準拠した透水試験で、透水係数が1.5×10−3(cm/sec)以上のものを「透水性あり」としている。
【0057】
ここで、図6の模式図により、その試験装置10について説明する。同試験装置10は、樋状の外側水槽11と、上面および下面が開放された内側水槽12とを備えている。外側水槽11の側壁の所定高さ位置には排水口11aが設けられており、また、内側水槽12の側壁上部には水位を一定に保つための越流口12aが設けられている。
【0058】
内側水槽12は、その下面に試験材Dが張設された状態で、外側水槽11内の支持台13上に載置される。支持台13は、有孔底板13aとその周りに形成された側板13bとを有し、内側水槽12は、その内部の水が試験材Dのみを通して外側水槽11内に漏れ出るように支持台13上にセットされる。
【0059】
試験に際しては、例えば外側水槽11内に水をその排水口11aの水位近くに至るまで貯めた状態として、内側水槽12を支持台13上にセットする。そして、内側水槽12内に水を連続的に供給し、余剰な水が越流口12aからあふれ出るようにして、内側水槽12内の水位が常に一定に保たれるようにする。
【0060】
これにより、試験材Dには常に一定の水圧がかけられ、試験材Dを透過した水量分だけ外側水槽11の水かさが増えることになり、同量の水が排水口11aから排水される。この排水量を所定時間単位で計量することにより、試験材Dの透水係数が求められる。その透水係数kの計算式は次式による。
【0061】
k=L/h×〔Q/{A×(t1−t2)}〕
式中、Lは試験材Dの厚さ、hは水頭差、Aは透水面積、Qは透水量、t1−t2は透水時間である。
【0062】
【実施例】
次に、本発明に基づいて実際に行った実施例(参考実施例を含む)とその比較例について説明するが、各例では、人工芝糸(パイル糸)には8000dのポリプロピレン製テープ糸を用い、基材に対する植え付け密度は5/16ゲージ、4.5ステッチとした。
【0063】
透水性の有無については、先に図6で説明した試験装置により、試験材Dとして各人工芝生の透水係数を測定した。各人工芝生ともに、その厚さL(芝長さ)は1.9cm、水頭差hは5.0cm、透水面積Aは456.75cm、透水時間は約30秒とした。
【0064】
また、パイル糸の引張(抜糸)強度については、接着材による固定後に、毎分100mmの引張力を加えて抜けの有無を観察した。リサイクル性(熱可塑性の有無)の評価は、人工芝全体を粉砕機により粒径5mm程度に粉砕し、180℃のオーブンに投入して、その溶融状態を観察した。
【0065】
参考実施例1》
基材としてナイロン製の不織布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設し、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンを1平方mあたり950g散布し、加熱融着させた。この人工芝生の透水係数kは1.6×10−3(cm/sec)であり、通常レベルの透水性が得られた。パイル糸の引張強度は良好で、リサイクル性はきわめて良好であった。
【0066】
参考実施例2》
基材としてポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設し、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンを1平方mあたり950g散布し、加熱融着させた。この人工芝生の透水係数kは3.0×10−3(cm/sec)であり、実施例1よりも高い透水性が得られた。また、実施例1と同様に、パイル糸の引張強度は良好で、サイクル性はきわめて良好であった。
【0067】
参考実施例3》
基材として実施例2と同じくポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設し、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンを1平方mあたり590g散布し、加熱融着させた。そして、この実施例3では、芝目内に住友ゴム工業社製のオムニサンドNを目砂として厚さ18mmに充填し、砂入り人工芝生とした。この人工芝生の透水係数kは3.1×10−3(cm/sec)であり、充填材として目砂を入れても優れた透水性が得られた。また、実施例1と同じく、パイル糸の引張強度は良好で、リサイクル性はきわめて良好であった。
【0068】
《実施例
基材としてポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設し、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンに、平均粒径が約300μmのウレタン研磨粉を重量比100:15で混合したものを1平方mあたり338g散布し、加熱融着させた。この人工芝生の透水係数kは1.0×10−1(cm/sec)であり、通常レベル以上であった。パイル糸の引張強度およびリサイクル性はともに良好であった。
【0069】
《実施例
基材としてポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設し、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンに、平均粒径が約300μmのクレーを重量比100:20で混合したものを1平方mあたり417g散布し、加熱融着させた。そして、この実施例5では芝目内に住友ゴム工業社製のオムニサンドNを目砂として厚さ18mmに充填し、砂入り人工芝生とした。この人工芝生の透水係数kは1.3×10−2(cm/sec)であり、通常レベル以上であった。また、パイル糸の引張強度およびリサイクル性はともに良好であった。
【0070】
〈比較例1〉
基材としてポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設した後、基材の裏面側にポリエチレンを溶融後、1平方cmあたり400gとして均一に熱ラミネートした。この人工芝生の透水係数kは1.0×10−4(cm/sec)であり、明らかに透水性不足であった。なお、パイル糸の引張強度およびリサイクル性はともに良好であった。
【0071】
〈比較例2〉
基材としてポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設した後、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンを1平方mあたり9g散布し、加熱融着させた。この人工芝生の透水係数kは1.5×10−1(cm/sec)で良好あったが、接着材の使用量(粉末樹脂の散布量)が少ないため、パイル糸を強固に固定し得ず、パイル糸の引張強度試験でいくらかの糸抜けが見られた。なお、リサイクル性は良好であった。
【0072】
〈比較例3〉
基材としてポリプロピレン製の平織り基布を用いた。この基材に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設した後、基材の裏面側に接着材の粉末樹脂として平均粒径が約300μmの粉末ポリエチレンを1平方mあたり1080g散布し、加熱融着させた。接着材の使用量(粉末樹脂の散布量)多いため、この人工芝生の透水係数kは1.0×10−3(cm/sec)で透水性不足と判定された。なお、パイル糸の引張強度およびリサイクル性はともに良好であった。
【0073】
〈透水性についての参考例〉
基材としてのポリプロピレン製の平織り基布に上記の植え付け条件で人工芝糸を植設した後、その裏面側にSBR/NRラテックスを1平方mあたり約1000gベタ塗りして均一な厚さのバッキング層を形成した。そして、透水性を付与するため、後加工として加熱棒にて直径5mmの透水孔を縦・横方向ともに7cm間隔で開け、しかる後、芝目内に住友ゴム工業社製のオムニサンドNを目砂として厚さ18mmに充填し、砂入り人工芝生とした。この種の後加工による人工芝生では、約0.5×10−2〜2.0×10−2(cm/sec)の透水係数が得られている。なお、この参考例では、パイル糸の引張強度はきわめて良好であるが、リサイクル性はない。
【0074】
まとめとして、上記参考実施例1〜3、実施例1および2、比較例1〜3そして参考例の各仕様および評価を次表に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0004067230
【0076】
参考実施例1〜3、実施例1,2のように、人工芝糸を基材に固定するための接着材を粉末状として、その適量を基材裏面に散布して加熱融着させることにより、人工芝生に要求されている透水性、すなわち1時間に5mm程度の降雨があっても容易に水が引く透水係数が1.5×10−3(cm/sec)以上の人工芝生が得られる。したがって、透水性を付与するための後加工が不要になる。
【0077】
また、参考例として説明した後加工により透水孔を開けたものは確かに透水係数が高いが、透水孔からのみ水が抜けるため部分的な排水となる傾向にあるが、本発明によれば、人工芝生全体として均一な透水性が得られる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、人工芝糸が植設された透水性を有する基材に接着材を塗布して人工芝糸を固定するにあたって、接着材を粒状(粉末状)として、その適量を基材裏面に散布して加熱融着させ、基材が有している透水性を損なうことなく、人工芝糸を基材に接着固定するようにしたことにより、特に屋外で使用される人工芝生に要求されている所定の透水性が得られ、また、その接着材内に、同接着材に対して易着性の有機および/または無機の粒体を混入することにより、ジョイントテープなどの下地側接着層との接合強度を高めることができる。
【0079】
したがって、人工芝糸の接着固定後に特に透水孔を開ける後加工が不要となるため、製造工程が簡略化され、その分のコストダウンが図れる。また、基材に透水孔が開けられることがないため、基材の強度も弱められることもない。
【0080】
さらには、接着材として人工芝糸の接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体を用いることにより、張り替え時に回収された人工芝生を例えば複合再生法などによりリサイクルすることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る人工芝生を示した断面図。
【図2】上記実施例で基材として用いられている平織り基布の拡大平面図およびそのA−A線断面図。
【図3】上記平織り基布上に接着材の粉末樹脂を散布した状態およびその粉末樹脂を加熱溶融させた状態をそれぞれ示した断面図。
【図4】本発明の他の実施例を示した図1と同様の断面図。
【図5】本発明による人工芝生を得るための製造装置の一例を示した模式図。
【図6】人工芝生の透水試験を行なう試験装置を示した模式図。
【符号の説明】
1 人工芝生
2 人工芝糸
3 基材
3a 経糸
3b 緯糸
4 接着材
4a 接着材の粉末(粒状)樹脂
5 粒体
6 ホッパ
7 ヒータ

Claims (5)

  1. 人工芝糸が植設された透水性を有する基材を備え、上記人工芝糸の植え付け部分が上記基材の裏面側で接着材により固定されている人工芝生において、
    上記接着材は、粒状として上記基材の裏面側に1平方メートルあたり10〜1000gの量をもって散布され、上記基材に対して加熱融着されたものからなり、
    上記接着材内には、上記接着材に対して易着性の有機および/または無機の粒体が混入されていることを特徴とする人工芝生。
  2. 上記接着材が、上記人工芝糸の接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体からなることを特徴とする請求項1に記載の人工芝生。
  3. 上記基材は、それ自体が透水性を有するシート状であることを特徴とする請求項1または2に記載の人工芝生。
  4. 上記シート状基材が、平織り基布であることを特徴とする請求項に記載の人工芝生。
  5. 当該人工芝生は透水性を有している基層上に敷設されることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の人工芝生。
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