JP3946346B2 - 人工芝生およびその製造方法と人工芝生用基材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人工芝生に関し、さらに詳しく言えば、気温変化や水分付加、日光の照射などの環境変化による基材の寸法変化が小さく、しかも低コストで安定した量産が可能な人工芝生およびその製造方法と、その人工芝生に好適な人工芝生用基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人工芝生はシート状の基材に合成樹脂製のパイルを多数植設したものからなり、パイル強度が高く、水はけもよいことなどから、ほとんどメンテナンスフリーで連続使用に耐える。この点が評価されて、天然芝生に代わるものとして、近年急速に普及している。
【0003】
それに伴ない、より安全でしかも運動をしやすい人工芝生を実現するため、様々な改良が加えられ、特にプレーヤーなどに対する衝撃力を緩和するため、基材面に弾性層を設ける提案が数多くなされている。
【0004】
例えば、特開平8−109610号公報においては、繊維基材の上面に弾性シートを一体的に接合した基布に、芝葉がその弾性シート側に植設されるように、合成樹脂製パイル糸をタフティングするとともに、繊維基材の下面にバッキング材を設けた人工芝生が提案されている。
【0005】
この従来例に見られるように、一般的に弾性シートには、柔軟性およびクッション性を有する比較的嵩高なシート状物で、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂発泡体、ウレタンゴムなどのゴム質体もしくはその発泡体などが用いられ、この種の弾性シート材は繊維基材に対してウレタン系、エポキシ系などの接着剤にて一体的に接合される。なお、砂入りの場合、弾性シート上の芝目内には、砂などの充填材が充填されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これによれば、弾性シートの存在により確かにクッション性に改善が見られるが、他方において、その弾性シートを設けることに起因して次のような課題が生ずる。
【0007】
すなわち、弾性シート材はそのほとんどが上記したような発泡体からなるが、その発泡体内には、残留ひずみ応力、それに不安定な気泡や分子などが潜在しているため、温度変化や水分の付加などにより寸法が変化しやすく、これが原因で芝表面にふくれや裂けが生ずる。
【0008】
また、運動競技場に敷設する場合、例えばテニスコートでは400m2程度、グラウンドとなると10000m2程度の人工芝生が必要であり、家庭のベランダやビルの屋上などに敷設される日用的なものに比べて大面積の製品が要求される。
【0009】
現状の一般的な人工芝生製造装置によると、最大で約3.6m幅の人工芝生を連続的に生産することができるが、比較的施工面が小さいとされるテニスコートの場合でも、50m程の長さの人工芝生が必要とされる。
【0010】
現場での施工作業性を考慮すると、人工芝生はロール状として現場に搬入され、そのまま転がしながら敷設できることが好ましいが、弾性シート材が発泡体からなる場合には、ある程度の厚さがあるためロール状に巻き取るにしても、その巻き取り長さに限界があった。
【0011】
このため、人工芝生は小径のロールに巻き取られ、施工現場で長さが足りない場合には、ロールの終端が別のロールの始端とつなぎ合わせられることになるが、これによると、どうしてもそのつなぎ目箇所が増え、特にその部分において膨みや裂けが発生するおそれがあるため、好ましくない。
【0012】
本発明は、このような従来の諸問題を解決するためになされたもので、その目的は、気温変化や水分付加、日光の照射などの環境変化による寸法変化が小さな基材を備えているとともに、長尺のロール体として巻き取ることができ、しかも低コストで安定した量産が可能な人工芝生およびその製造方法と、その人工芝生に好適な人工芝生用基材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、基礎シート材と、上記基礎シート材の上面に一体的に設けられた弾性層とからなる基材を備え、上記基材には上記弾性層側から上記基礎シート材を貫通するように多数のパイルが植設されている人工芝生において、上記弾性層として、上記パイルが植設される前に、加熱処理もしくは加圧処理の少なくともいずれか一方の処理が施され、発泡体内部に存在する不安定な因子が除去された合成樹脂系発泡体が用いられていることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、パイルが植設される前に発泡体に潜在する残留ひずみ応力や不安定な気泡状態、不安定な分子など、発泡体内部に存在する不安定な因子が除去されるため、気温変化や水分付加などに対して寸法安定性のよい人工芝生が得られる。
【0015】
本発明においては、弾性層に対する加熱処理もしくは加圧処理の少なくともいずれか一方の処理が、パイルの植設前に施され、パイルの植設前にすでに弾性層が安定しているため、パイル植設後に処理を行なう場合に比べてパイルが不揃いとなるおそれを少なくすることができる。
【0016】
また、弾性層を構成する合成樹脂系発泡体が、オレフィン系の好ましくは架橋タイプであることも、本発明の特徴の一つとして挙げることができる。すなわち、オレフィン系であることにより、吸水率が小さく化学的に安定した弾性層が得られる。
【0017】
オレフィン系樹脂のように、三次元構造をその材料のみでとらないものを架橋体とするには、主として電子線架橋と化学架橋とがあるが、化学架橋によれば、その架橋密度が高いため、寸法変化を小さくすることができるので、化学架橋が好ましく採用される。
【0018】
本発明において、基礎シート材は、繊維製の織布からなることが好ましい。すなわち、織布は不織布や樹脂シートに比べて寸法安定性がきわめて高く、しかも発泡体と一体に接合可能であるため、発泡体の寸法変化が押さえ込まれるとともに、パイルのタフト時に弾性層としての発泡体の破け現象を可及的に少なくすることができる。
【0019】
また、基材の幅は1.5m以上の広い幅であることが好ましい。一般的に、人工芝生はロール体として施工現場に搬入され、そのロール体を転がしながら下地基盤上に帯状の列として敷設される。したがって、基材が広幅であることにより、列間のジョイント部が少なくなるため、その分、施工が容易になる。特に、縦横がともに比較的大きなテニスコートやグランドの施工に適している。
【0020】
通常の合成樹脂系発泡体は、押し出し機などの製造装置の能力上の制約から、その幅に限界があり、現状では約1m幅以上のものを製造することは困難とされている。そこで、本発明においては、上記基礎シート材に対して、それよりも幅の狭い複数枚の上記弾性層を並設し、その各弾性層の端面同士を溶融接合することを特徴としている。これにより、例えば1.5m幅以上の広幅の人工芝生が容易に得られる。
【0021】
上記基礎シート材と上記弾性層とが、感熱および/または感圧型接着剤により一体的に接合されている態様も本発明に含まれる。具体的には、基礎シート材と弾性層の少なくともそのいずれか一方の合わせ面に、感熱および/または感圧型接着剤を塗布し乾燥させた後、両者を重ね合わせて加熱可能な接合装置内で加圧することにより、基礎シート材と弾性層とを一体的に接合することができる。
【0022】
また、本発明の製造方法においては、基礎シート材に合成樹脂系発泡体からなる弾性層を設けて基材とし、上記基材に上記弾性層側から上記基礎シート材を貫通するように多数のパイルを植設してなる人工芝生の製造方法において、上記基礎シート材と上記合成樹脂系発泡体とを感熱および/または感圧型接着剤にて接着するとともに、その接着剤の加熱および/または加圧時に上記合成樹脂系発泡体を同時に加熱および/または加圧処理して上記合成樹脂系発泡体内部に存在する不安定な因子を除去したのち、上記基材に上記パイルを植設することを特徴としている。
【0023】
さらには、人工芝生を構成するパイルが植設される人工芝生用基材において、基礎シート材と弾性層としての合成樹脂系発泡体とが感熱および/または感圧型接着剤にて一体的に接着されているとともに、その接着剤の加熱および/または加圧時に上記合成樹脂系発泡体が同時に加熱および/または加圧処理され、上記合成樹脂系発泡体内部に存在する不安定な因子が除去されている人工芝生用基材も本発明に含まれ、この基材を用いることにより、気温変化や水分付加などに対して寸法安定性のよい人工芝生が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するため、図面を参照しながら、その実施の形態について説明する。
【0025】
図1の断面図に示されているように、この人工芝生10は、基礎シート材(基礎基材)11上に弾性層12を形成してなる基材13を備えている。基材13には多数のパイル(人工芝糸)14が植設されている。なお、この実施例では、パイル14間の芝目内に、充填材15として砂などの粒状物が充填されている。
【0026】
基礎シート材11には、織布、不織布もしくは樹脂シートなどを適宜選択して用いることができるが、寸法安定性が良好である点を評価すれば、平織りのポリプロピレン基布が好適である。
【0027】
弾性層12は、合成樹脂系発泡体のシートからなる。好ましくは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系発泡体が採用される。その発泡倍率は適宜選択可能であるが、パイル14のタフト性およびプレーヤーに与える適度なクックョン性の面からすれば、8〜40倍、好ましくは10〜35倍がよい。
【0028】
弾性層12の厚みは、パイル14の長さより小さいことが基本的な条件であるが、10mm以下、好ましくは3〜8mmの範囲から選択される。なお、この弾性層の厚みは、加熱/加圧処理後の厚みである。
【0029】
パイル14には、合成樹脂繊維や天然繊維など種々のものが用いられる。また、この実施例では、基礎シート材11の裏面側にバッキング材16が設けられている。この人工芝生10は下地基盤17上に敷設されるが、下地基盤17は全体が一様に平坦の面であれば、その材質を問わない。コンクリート、アスファルトのほか、転圧砕石、弾性シート、現場打ち弾性体、透水孔(もしくは透水性)を有するシートなどを例示できる。
【0030】
次に、図2に基づいて、この人工芝生10の製造方法をその工程別に説明する。同図(a)には、弾性層12として用いられる発泡体シート12aが示されている。この発泡体シート12aは図示しない例えば押し出し成形機などにより製造されるが、既存の製造設備ではもっとも広幅のものでも、その幅が約1m程度のものしか得られない。
【0031】
これに対して、基礎シート材11にはその幅に特に制限はなく、通常、テニスコートやグランドに用いられる人工芝生には、施工する際にもっとも扱いやすく、しかもジョイント部が少なくて済むなどの理由により、幅なりに4m程度のものが広く用いられている。
【0032】
そこで本発明では、図2(b)に示されているように、例えば2枚の発泡体シート12a,12aを平行に並べ、それらの端面同士を溶融させて一体に接合して1枚の広幅の弾性層12を得るようにしている。具体的には、各発泡体シート12aの幅方向端面をカッターなどで切断してきれいな平行端面とし、それらの各端面同士を突き合わせて加熱鏝などにて加熱して溶融接合する。
【0033】
次に、図2(c)に示されているように、基礎シート材11と弾性層12とを一体的に接着して基材13とする。この接着には、感熱および/または感圧型の接着剤が用いられる。例えば、広用されているクロロプレン系などの接着剤を挙げることができる。
【0034】
この接着剤を、基礎シート材11と弾性層12との合わせ面の両方もしくは片方に塗布し乾燥させる。そして、両者を重ね合わせ加熱処理直後もしくは加熱しながら、加圧ローラ間を通してその厚み方向に加圧する。これにより、弾性層12に加熱/加圧処理が施されるとともに、弾性層12と基礎シート材11とが一体的に接着された基材13が得られる。
【0035】
しかる後、基材13を図示しないタフト機に投入して、図2(d)に示されているように、基材13にパイル14を植設する。タフトの条件は任意に選択できるが、この場合、前工程である図2(c)の工程において、弾性層12が加熱/加圧処理され、また、弾性層12と基礎シート材11とが強固に接合されているため、もっとも安定した状態でパイル14をタフトすることができる。
【0036】
この実施例では、パイル14のタフト後に基礎シート材11の裏面側にバッキング材16が設けられる。バッキング材16には、例えばNR/SBRラテックスなどが用いられ、これは例えば120℃程度の加熱により硬化する。
【0037】
こようにして、加熱/加圧処理された弾性層12を有する人工芝生10が得られるが、透水性を持たせるため、基材13およびバッキング材16を貫通するように孔明け加工を行なうこともできる。
【0038】
【実施例】
次に、実施例1〜8およびその比較例1,2について説明する。各例とも、その各々の基材に、6000dのポリプロピレン製スプリット状テープ糸を、5/16Ge,4.5Stの植え付け条件で、25±5℃の工場内で植設したタフテッド人工芝生である。そして、各例について次のテストを行なった。なお、基材に用いる弾性層(弾性シート)の幅は、概ね市販サイズの1m幅とした。
【0039】
(1)対温度寸法変化:真夏の炎天下で想定される最高温度(80℃)になるように人工芝表面を加熱して、その人工芝表面の状態を観察した。
(2)量産性:工場内で連続物の人工芝生が容易に作成できるか否か、すなわち広幅で長尺の人工芝生の生産性の容易さを評価した。
(3)コスト性:製造コストの高低を比較した。
(4)施工性:施工性(施工時間、施工作業性および施工精度)をトータルで評価した。
(5)外観性:人工芝生表面の性状を観察した。
(6)耐久性:60kg、接地面形状が直径50mmの重りを1昼夜乗せた後、その重りを取り除いたときの弾性層の性状を観察した。
【0040】
各項目の評価は、◎=きわめて良好、◎〜〇=良好、〇=やや良好、〇〜△=普通、△=不良、×=きわめて不良の6段階評価とし、最終的にこれらの各項目をまとめて総合評価を行なった。
【0041】
《実施例1;参考例》
基礎シート材として、ポリプロピレン製平織布を用いた。弾性層にはポリエチレン発泡体(発泡倍率15倍、電子線架橋)を用いた。基礎シート材と弾性層とをウレタン系1液接着剤にて接着して基材とし、この基材にパイルを植設した後、100℃の加熱槽内を通過させて、加熱処理を行なった。このようにして、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は◎のきわめて良好、(2)量産性は〇のやや良好、(3)コスト性も〇のやや良好、(4)施工性も〇のやや良好、(5)外観性も〇のやや良好、(6)耐久性も〇のやや良好で、総合評価としては〇のやや良好であった。
【0042】
《実施例2》
基礎シート材と弾性層、および接着剤は実施例1と同じものを用いた。この実施例2では、基礎シート材と弾性層とを接着した基材を、先に100℃の加熱槽内を通過させて加熱処理を行ない、その後、同基材にパイルを植設した。このようにして、実施例1と同じく、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は◎のきわめて良好、(2)量産性は〇のやや良好、(3)コスト性も〇のやや良好、(4)施工性も〇のやや良好、(5)外観性は◎〜〇の良好、(6)耐久性は〇のやや良好で、総合評価としては〇のやや良好であった。
【0043】
《実施例3》
基礎シート材と弾性層は実施例1と同じものを用いた。この実施例3では、接着剤として感熱接着剤を用いて、基礎シート材と弾性層とを接着した。その際、その弾性層の接着面側をヒータで100℃に加熱した後、引き続いて圧縮ローラ間を通過させた。すなわち、接着と同時に加熱/加圧処理を行なった。しかる後、基材にパイルを植設した。このようにして、実施例1と同じく、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は◎のきわめて良好、(2)量産性は◎〜〇の良好、(3)コスト性は◎のきわめて良好、(4)施工性は〇のやや良好、(5)外観性は◎〜〇の良好、(6)耐久性は〇のやや良好で、総合評価としては◎〜〇の良好であった。
【0044】
《実施例4》
基礎シート材は実施例1と同じポリプロピレン製平織布を用いたが、この実施例4では、弾性層にはポリエチレン発泡体(発泡倍率15倍、化学架橋)を用い、また、接着剤は実施例3と同じく感熱接着剤を用いた。そして、実施例3と同じく基礎シート材と弾性層とを感熱接着剤にて接着する際、弾性層の接着面側をヒータで100℃に加熱した後、引き続いて圧縮ローラ間を通過させた。すなわち、接着と同時に加熱/加圧処理を行なった。しかる後、基材にパイルを植設した。このようにして、実施例1と同じく、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は◎のきわめて良好、(2)量産性は◎〜〇の良好、(3)コスト性は◎のきわめて良好、(4)施工性は〇のやや良好、(5)外観性は◎のきわめて良好、(6)耐久性も◎のきわめて良好で、総合評価としては◎のきわめて良好であった。
【0045】
《実施例5》
全体的には実施例4とほぼ同じとしたが、この実施例5では、人工芝生の幅を4.0mとした。すなわち、幅4.0mの基礎シート材に対して、幅1.0mの弾性層を4枚用意し、それらを並設して端面同士を溶融接合して1枚の弾性層とした上で、感熱接着剤にて基礎シート材に接着した。その際、弾性層の接着面側をヒータで100℃に加熱した後、引き続いて圧縮ローラ間を通過させた。すなわち、接着と同時に加熱/加圧処理を行なった。しかる後、基材にパイルを植設した。このようにして、幅4.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化、(2)量産性、(4)施工性、(5)外観性、(6)耐久性のいずれも◎のきわめて良好であり、また、(3)コスト性は◎〜〇の良好であり、総合評価としても最高であり、◎のきわめて良好であった。
【0046】
《実施例6》
基礎シート材は実施例1と同じポリプロピレン製平織布を用いたが、この実施例6では、弾性層にはウレタン発泡体(発泡倍率15倍、架橋)を用い、また、接着剤には速乾接着剤を用いた。そして、基礎シート材と弾性層とを速乾接着剤にて接着する際、その基材を100℃の加熱槽内を通過させて加熱処理した。しかる後、基材にパイルを植設した。このようにして、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は◎のきわめて良好、(2)量産性は〇のやや良好、(3)コスト性も〇のやや良好、(4)施工性も〇のやや良好、(5)外観性は◎のきわめて良好、(6)耐久性は◎〜〇の良好で、総合評価としては〇のやや良好であった。
【0047】
《実施例7;参考例》
基礎シート材をナイロン不織布とした。弾性層には実施例6と同じのウレタン発泡体(発泡倍率15倍、架橋)を用い、また、接着剤には実施例1と同じのウレタン系1液接着剤を用いた。基礎シート材と弾性層とをウレタン系1液接着剤にて接着した後、この実施例7では、先にその基材にパイルを植設した。次に、100℃の加熱槽内を通過させて加熱処理をした。このようにして、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化、(2)量産性、(3)コスト性、(4)施工性、(5)外観性のいずれも〇のやや良好で、これに対して(6)耐久性のみが◎〜〇の良好で、総合評価としては〇のやや良好であった。
【0048】
《実施例8》
実施例1と同じく、基礎シート材にポリプロピレン製平織布を用い、弾性層にはポリエチレン発泡体(発泡倍率15倍、電子線架橋)を用いた。接着剤は速乾接着剤とした。この実施例8では、基礎シート材の幅を1.6mとした。これに対して、幅0.8mの弾性層を2枚用意し、それらを並設して端面同士を溶融接合して1枚の弾性層とした上で、速乾接着剤にて基礎シート材に接着した。そして、その基材を圧縮率200%の圧縮ローラ間に通過させて加圧処理した後、パイルの植設を行なった。このようにして、幅1.6m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は◎のきわめて良好、(2)量産性は〇のやや良好、(3)コスト性は◎〜〇の良好、(4)施工性も◎〜〇の良好、(5)外観性も◎〜〇の良好、(6)耐久性は〇のやや良好で、総合評価としては◎〜〇の良好であった。
【0049】
〈比較例1〉
実施例1と同じく、基礎シート材にポリプロピレン製平織布を用い、弾性層にはポリエチレン発泡体(発泡倍率15倍、電子線架橋)を用いた。この比較例1では、基礎シート材と弾性層とをウレタン接着剤にて接着し、特に加熱/加圧処理を行なうことなく、その基材にパイルを植設して、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は△の不良、(2)量産性は〇のやや良好、(3)コスト性も〇のやや良好、(4)施工性も〇のやや良好、(5)外観性は△〜×の中間、(6)耐久性は△の不良であり、総合評価としては△の不良であった。
【0050】
〈比較例2〉
基礎シート材は、実施例1と同じポリプロピレン製平織布を用いたが、この比較例2では、弾性層としてクロロプレンゴム発泡体(発泡倍率5倍、架橋)を用いた。基礎シート材と弾性層とをウレタン接着剤にて接着し、比較例1と同じく、特に加熱/加圧処理を行なうことなく、その基材にパイルを植設して、幅1.0m、長さ100mの人工芝生を作製した。そして、各項目の評価を行なったところ、(1)対温度寸法変化は〇〜△の普通、(2)量産性は×のきわめて不良、(3)コスト性は△の不良、(4)施工性は×のきわめて不良、(5)外観性は〇の普通、(6)耐久性は◎〜〇の良好であったが、総合評価としては比較例1と同様△の不良であった。
【0051】
上記実施例1〜8と比較例1,2の対比を容易にするため、それらの試験結果を表1,表2に示す。
【0052】
【表1】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次のような効果が奏される。まず、弾性層を合成樹脂系発泡体とし、パイルが植設される前に、上記弾性層に加熱処理もしくは加圧処理の少なくともいずれか一方の処理を施したことにより、発泡体に潜在する残留ひずみ応力や不安定な気泡状態、不安定な分子など、発泡体内部に存在する不安定な因子が除去されるため、気温変化や水分付加などの環境変化に対して、寸法安定性のよい人工芝生が得られる。
【0054】
また、パイルの植設前にすでに弾性層が安定しているため、パイル植設後に処理を行なう場合に比べてパイルが不揃いとなるおそれを少なくすることができる。
【0055】
また、弾性層を構成する合成樹脂系発泡体を、オレフィン系の好ましくは架橋タイプ、好ましくは化学架橋のものとしたことにより、吸水率が小さく化学的に安定した弾性層が得られる。
【0056】
基礎シート材として、繊維製の織布を用いることにより、発泡体との接合性が良好であり、発泡体の寸法変化が押さえ込まれるとともに、パイルのタフト時に弾性層としての発泡体の破け現象を可及的に少なくすることができる。
【0057】
また、本発明によれば、基礎シート材に対して、それよりも幅の狭い複数枚の弾性層を並設し、その各弾性層の端面同士を溶融接合することにより、例えば1.5m幅以上の広幅の人工芝生が容易に得られる。したがって、ジョイント部が少なくなるため、その分、施工が容易になる。
【0058】
さらには、基礎シート材と弾性層とを、感熱および/または感圧型接着剤により一体的に接合することにより、その接着工程において、弾性層を同時に加熱/加圧処理することができ、製造工程の簡素化と時間短縮が図られ、その分、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による人工芝生の一実施例を示した模式的断面図。
【図2】本発明の人工芝生の製造工程を例示した模式図。
【符号の説明】
10 人工芝生
11 基礎シート材
12 弾性層
12a 発泡体シート
13 基材
14 パイル
15 充填材
16 バッキング材
17 下地基盤
Claims (8)
- 基礎シート材と、上記基礎シート材の上面に一体的に設けられた弾性層とからなる基材を備え、上記基材には上記弾性層側から上記基礎シート材を貫通するように多数のパイルが植設されている人工芝生において、
上記弾性層として、上記パイルが植設される前に、加熱処理もしくは加圧処理の少なくともいずれか一方の処理が施され、発泡体内部に存在する不安定な因子が除去された合成樹脂系発泡体が用いられていることを特徴とする人工芝生。 - 上記弾性層を構成する上記合成樹脂系発泡体が、オレフィン系の架橋タイプであることを特徴とする請求項1に記載の人工芝生。
- 上記基礎シート材が、繊維製の織布からなることを特徴とする請求項1または2に記載の人工芝生。
- 上記基材が1.5m以上の広い幅を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の人工芝生。
- 上記基礎シート材に対して、それよりも幅の狭い複数枚の上記弾性層が並設して用いられ、その各弾性層の端面同士が溶融接合されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の人工芝生。
- 上記基礎シート材と上記弾性層は、感熱および/または感圧型接着剤により一体的に接合されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の人工芝生。
- 基礎シート材に合成樹脂系発泡体からなる弾性層を設けて基材とし、上記基材に上記弾性層側から上記基礎シート材を貫通するように多数のパイルを植設してなる人工芝生の製造方法において、
上記基礎シート材と上記合成樹脂系発泡体とを感熱および/または感圧型接着剤にて接着するとともに、その接着剤の加熱および/または加圧時に上記合成樹脂系発泡体を同時に加熱および/または加圧処理して上記合成樹脂系発泡体内部に存在する不安定な因子を除去したのち、上記基材に上記パイルを植設することを特徴とする人工芝生の製造方法。 - 人工芝生を構成するパイルが植設される人工芝生用基材において、基礎シート材と弾性層としての合成樹脂系発泡体とが感熱および/または感圧型接着剤にて一体的に接着されているとともに、その接着剤の加熱および/または加圧時に上記合成樹脂系発泡体が同時に加熱および/または加圧処理され、上記合成樹脂系発泡体内部に存在する不安定な因子が除去されていることを特徴とする人工芝生用基材。
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