JP4066771B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、反射表示を行なう液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、基本的に、表示の観察側である前側の基板とこの前側基板に対向する後側基板との間に液晶層が設けられ、前記液晶層に印加される電界に応じて透過光の偏光状態を制御する液晶素子と、前記液晶素子を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板とからなっている。
【0003】
この液晶表示装置には、外部環境の光である外光を利用して反射表示を行なう反射型のものと、後側にバックライトと呼ばれる面光源を備え、前記面光源からの光を利用して透過表示を行なうものとがある。
【0004】
前記反射表示を行なう液晶表示装置としては、前記液晶素子の前側と後側とにそれぞれ、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板を配置し、表示の観察側とは反対側の後側の吸収偏光板の後側に反射膜を配置した構成のものが広く利用されている。
【0005】
なお、液晶表示装置には、前記液晶素子の後側の偏光板を、互いに直交する2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を透過させ、他方の偏光成分を散乱させて反射または透過させる散乱偏光板とし、その後側に光吸収層または反射膜を配置して反射表示を行なうようにするか、あるいは、前記散乱偏光板の後側に面光源を配置して反射表示と透過表示との両方の表示を行なうようにしたものもある(特許文献1参照)。
【0006】
また、液晶表示装置には、前記液晶素子の前側と後側とにそれぞれ吸収偏光板を配置し、後側の吸収偏光板の後側に面光源を配置して透過表示を行なうようにするとともに、光の入射側である後側の吸収偏光板の入射面(面光源に対向する面)に、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を透過させ、他方の偏光成分を散乱させる異方性散乱層を設けることにより、前記面光源から出射し、前記後側の吸収偏光板を透過して液晶素子に入射する直線偏光の強度を高くするようにしたものもある(特許文献2、3、4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000− 75284号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2000−281446号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002− 6137号公報
【0010】
【特許文献4】
特開2002− 48912号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、液晶素子の前側と後側とにそれぞれ吸収偏光板を配置し、後側の吸収偏光板の後側に反射膜を配置した反射型液晶表示装置は、その前側から入射し、反射膜により反射されて再び前側に出射する光が、その過程で前側と後側の吸収偏光板による計4回の吸収を受けるため、前側からの入射光の強度に対する前側への出射光の強度低下が大きく、表示が暗い。
【0012】
しかも、この反射型液晶表示装置は、前記吸収偏光板の光吸収特性に波長依存性があるために、前記吸収偏光板を4回通過する過程で透過光に帯色が発生し、表示が暗く且つ表示が帯色するという問題をもっている。
【0013】
この発明は、明るく、帯色が無く、しかも充分なコントラストの反射表示を行なうことができる液晶表示装置を提供することを目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示装置は、表示の観察側である前側の基板とこの前側基板に対向する後側基板との間に液晶層が設けられ、前記液晶層に印加される電界に応じて透過光の偏光状態を制御する液晶素子と、前記液晶素子の前側に配置され、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板と、前記液晶素子の後側に配置され、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子と、前記偏光分離素子の後側に配置された反射膜と、前記液晶素子と前記偏光分離素子との間に配置され、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、前記偏光分離素子を透過する偏光成分を透過させ、前記偏光分離素子により反射される偏光成分を散乱させる異方性散乱層とを備えたことを特徴とする。 この液晶表示装置は、その前側から入射し、前記吸収偏光板と液晶素子と異方性散乱層とを透過して偏光分離素子に入射した光のうち、前記偏光分離素子を透過した偏光成分の光を反射膜により反射し、その反射光を前記偏光分離素子と異方性散乱層と液晶素子と吸収偏光板とを透過させて前側に出射することにより明表示を得るとともに、前側から前記吸収偏光板と液晶素子と異方性散乱層とを透過して前記偏光分離素子に入射し、この偏光分離素子により反射された偏光成分の光を前記異方性散乱層により散乱させ、前記液晶素子を再び透過して前記吸収偏光板に入射した散乱光のうち、前記吸収偏光板を透過して前側に出射する漏れ光の大部分を表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射させ、他の光を前記吸収偏光板により吸収して暗表示を得るようにしたものである。
【0015】
この液晶表示装置によれば、偏光板による光の吸収が液晶素子の前側に配置された1枚の吸収偏光板による吸収だけであるため、高強度の光を前側に出射し、充分な明るさで、帯色の無い明表示が得られる。しかも、前側から入射した光のうち、前記偏光分離素子により反射された偏光成分の光を前記異方性散乱層により散乱させ、その散乱光のうち、前記吸収偏光板を透過して前側に出射する漏れ光の大部分を表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射させ、他の光を前記吸収偏光板10により吸収して充分な暗さの暗表示を得ることができるため、充分なコントラストを得ることができる。
【0016】
このように、この発明の液晶表示装置は、液晶素子の前側に吸収偏光板を配置し、前記液晶素子の後側に入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子を配置し、さらに前記偏光分離素子の後側に反射膜を配置するとともに、前記液晶素子と前記偏光分離素子との間に、入射光の互いに異なる2つの直線偏光成分のうち、前記偏光分離素子を透過する偏光成分を透過させ、前記偏光分離素子により反射される偏光成分を散乱させる異方性散乱層を配置することにより、明るく、帯色が無く、しかも充分なコントラストの反射表示を行なうことができるようにしたものである。
【0017】
この発明の液晶表示装置において、前記異方性散乱層は、光学的に等方性な層と、この等方性層の屈折率と実質的に等しい屈折率の光学軸をもち、前記等方性層中に前記光学軸を一方向に揃えて分散された光学的に異方性な散乱物質とからなるものが好ましい。
【0018】
また、この液晶表示装置は、前記液晶素子と異方性散乱層との間と、前記異方性散乱層と偏光分離素子との間のうち、少なくとも一方に、前記液晶素子の後側基板と前記異方性散乱層及び前記偏光分離素子よりも屈折率が小さい低屈折率層を設けた構成とするのが望ましい。
【0019】
また、この液晶表示装置は、前記偏光分離素子と反射膜との間に、前記偏光分離素子を透過して前記反射膜に向かう光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる第2の偏光分離素子を配置した構成とするのが望ましい。
【0020】
さらに、この液晶表示装置は、前記偏光分離素子と前記反射膜との間に、前面及び後面からの入射光をそれぞれ透過させ、端面からの入射光を前記前面と後面の少なくとも一方から出射する導光板と、この導光板の前記端面に対向させて設けられた発光素子とからなる面光源を配置した構成とするのが望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は液晶表示装置の分解斜視図、図2は前記液晶表示装置のハッチングを省略した断面図である。
【0022】
この実施例の液晶表示装置は、液晶素子1と、前記液晶素子1の前側に配置された偏光素子10と、前記液晶素子1の後側に配置された偏光分離素子11と、前記偏光分離素子11の後側に配置された反射膜12と、前記液晶素子1と偏光分離素子11との間に配置された異方性散乱層13と、前記偏光分離素子11と反射膜12との間に配置された面光源16とを備えている。
【0023】
前記液晶素子1は、図2に示したように、表示の観察側である前側の透明基板2と、この前側基板2に対向する後側の透明基板3との間に液晶層5が設けられ、この液晶層5に印加される電界に応じて透過光の偏光状態を制御するものであり、前後の基板2,3は枠状のシール材4を介して接合され、液晶層5はこれらの基板2,3間の前記シール材4で囲まれた領域に設けられている。
【0024】
なお、図2では省略しているが、前記前後の基板2,3の内面には、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する透明電極が設けられ、その上に配向膜が設けられている。
【0025】
この実施例で用いた液晶素子1は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を能動素子とするアクティブマトリックス液晶素子であり、その一方の基板、例えば後側基板3の内面に、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極と、これらの画素電極にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにそれぞれゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFTにそれぞれデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられ、他方の基板である前側基板2の内面に、前記複数の画素電極にそれぞれ対向させて交互に並べて形成された複数の色、例えば赤、緑、青の3色のカラーフィルタと、前記複数の画素電極に対向する一枚膜状の対向電極とが設けられている。
【0026】
また、この液晶素子1は、例えばTN(ツイステッドネマティック)型のものであり、前記液晶層5は、液晶分子が前後の基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向した誘電異方性が正のネマティック液晶からなっている。
【0027】
図1において、矢印2aは前側基板2の近傍における液晶分子配向方向を示し、矢印3aは後側基板3の近傍における液晶分子配向方向を示しており、前側基板2の近傍における液晶分子配向方向2aは、液晶表示装置の画面の横軸xに対して一方の方向に実質的に45°の方向、後側基板3の近傍における液晶分子配向方向3aは、前記横軸xに対して他方の方向に実質的に45°の方向にあり、前記液晶層5の液晶分子は、そのツイスト方向を図に破線矢印で示したように、後側基板3から前側基板に向かって実質的に90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0028】
前記液晶素子1の前側に配置された偏光素子10は、互いに直交する方向に透過軸10aと吸収軸(図示せず)とをもち、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記吸収軸に平行な振動面をもった一方の偏光成分の光を吸収し、前記透過軸10aに平行な振動面をもった他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板であり、この吸収偏光板10は、その透過軸10aを前記液晶素子1の前側基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に直交または平行(図では直交)にして、前記液晶素子1の前側基板2の外面に貼付けられている。
【0029】
一方、前記液晶素子1の後側に配置された偏光分離素子11は、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離特性を有している。
【0030】
この実施例で用いた偏光分離素子11は、互いに直交する方向に透過軸11pと反射軸11sとをもち、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射軸11sに平行な振動面をもった一方の偏光成分を反射し、前記透過軸11pに平行な振動面をもった他方の偏光成分を透過させる反射偏光板であり、この反射偏光板11は、その透過軸11pを前記吸収偏光板10の透過軸10aと実質的に直交させ、反射軸11sを前記吸収偏光板10の透過軸10aと実質的に平行にして配置されている。
【0031】
また、前記液晶素子1と前記反射偏光板11との間に配置された異方性散乱層13は、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射偏光板11を透過する偏光成分(反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分)を透過させ、前記反射偏光板11により反射される偏光成分(反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分)を散乱させる異方性散乱特性を有している。
【0032】
図4は、前記異方性散乱層13のハッチングを省略した断面図であり、この異方性散乱層13は、光学的に等方性な層14と、この等方性層14の屈折率と実質的に等しい屈折率の光学軸15aをもち、前記等方性層中14に前記光学軸15aを一方向に揃えて分散された光学的に異方性な散乱物質15とからなっている。
【0033】
図4に示した異方性散乱層13は、等方性高分子からなるフィルム状の等方性層14中に、分子長軸を一方向に揃えて配向させた液晶ポリマーからなる微粒子状の異方性散乱物質(以下、異方性微粒子と言う)15を分散させたものであり、例えば、重合条件が互いに異なる等方性高分子材料と液晶性高分子材料との混合溶液をフィルム状に成形し、前記等方性高分子材料を重合させることにより、スポンジのような断面をもった等方性高分子層内に前記液晶性高分子材料が分散状態で閉じ込められた複合フィルムを形成し、外部からの電界または磁界の印加により、前記液晶性高分子材料の分子を、その分子長軸が前記複合フィルム面と実質的に平行に、且つ一方向に揃うように配向させ、その状態で前記高分子液晶を重合させることにより製造されたものである。
【0034】
この異方性散乱層13の液晶ポリマーからなる異方性微粒子15は、前記高分子液晶の分子長軸に沿った方向に光学軸15aをもっており、その光学軸15a方向の屈折率が前記等方性層14の屈折率と実質的に等しく、前記光学軸15aに対して直交する方向の屈折率が前記等方性層14の屈折率と異なる光学異方性をもっている。
【0035】
この異方性散乱層13は、前記異方性微粒子15の光学軸15a方向の屈折率が前記等方性層14の屈折率と実質的に等しく、前記光学軸15aに対して直交する方向の屈折率が前記等方性層14の屈折率と異なるため、図4に示したように、前記光学軸15aに平行な振動面をもった直線偏光Pを、前記等方性層14と異方性微粒子15との界面で屈折または反射すること無く直進させて透過し、前記光学軸15aと直交する振動面をもった直線偏光Sを、前記等方性層14と異方性微粒子15との界面で屈折または反射させ、その光を、前記直線偏光Sに対して直交する偏光成分を含む様々な偏光状態の光に変換するとともに散乱させる。
【0036】
すなわち、この異方性散乱層13にその一方の面から入射した光のうち、前記異方性微粒子15の光学軸15aに平行な振動面をもった直線偏光Pは、その偏光状態のまま異方性散乱層13の他方の面から出射し、前記光学軸15aと直交する振動面をもった直線偏光Sは、散乱により偏光状態を変え、前記直線偏光Sの一部を前記直線偏光Pに変換されて、その偏光成分を含む様々な偏光成分を含む散乱光Rとなって異方性散乱層13の一方の面と他方の面のいずれかから様々な出射角で出射する。
【0037】
そして、前記異方性散乱層13は、図1に示したように、前記液晶素子1と反射偏光板11との間に、前記異方性微粒子15の光学軸15aを、前記反射偏光板11の透過軸11pと実質的に平行にし、前記反射偏光板11の反射軸11sと実質的に直交させて、前記反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった直線偏光Pを透過させ、前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光Sを散乱させるように配置されている。
【0038】
なお、この実施例では、前記液晶素子1の後側基板3の外面に前記異方性散乱層13を貼付け、この異方性散乱層13の後面に前記反射偏光板11を貼付けている。
【0039】
また、前記反射偏光板11と反射膜12との間に配置された面光源16は、前面及び後面からの入射光をそれぞれ透過させ、端面からの入射光を前記前面から出射する導光板17と、この導光板17の前記端面に対向させて設けられた発光素子18とからなっている。
【0040】
なお、この実施例で用いた面光源16は、LED(発光ダイオード)からなる複数の前記発光素子18を前記導光板17の端面に対向させて配置したものであるが、前記導光板17の端面に対向させて配置する発光素子は、直管状の冷陰極管等でもよい。
【0041】
この面光源16は、前記導光板17の前面から入射した光を透過させてこの導光板17の後面から出射し、前記導光板17の後面から入射した光を透過させてこの導光板17の前面から出射するとともに、前記発光素子18から出射して前記導光板17にその端面から入射した光を、この導光板17の前面及び後面と外気(空気)との界面で全反射しながら導光板17内を導いてその前面から出射するものであり、前記発光素子18は、充分な明るさの外光が得られる環境下で液晶表示装置を使用するときは消灯され、充分な明るさの外光が得られない環境下で液晶表示装置を使用するときに点灯される。
【0042】
この面光源16は、前記導光板17の前面を前記反射偏光板11の後面に対向させ、且つ前記導光板17の前面と前記反射偏光板11との間に空気層19aを設けて配置されており、前記反射膜12は、前記導光板17の後側に、前記導光板17の後面との間に空気層19bを設けて配置されている。
【0043】
この液晶表示装置は、充分な明るさの外光が得られる環境下では、前側から入射した外光を利用する反射表示を行ない、充分な明るさの外光が得られないときに前記面光源16の発光素子18を点灯させて、この面光源16からの照明光を利用する透過表示を行なうものである。
【0044】
この実施例の液晶表示装置は、図1に示したように、前記液晶素子1の液晶層5の液晶分子の初期配向状態を実質的に90°のツイスト角のツイスト配向とするとともに、前記液晶素子1の前側に配置された吸収偏光板10の透過軸10aを、前記液晶素子1の前側基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に直交または平行にし、前記異方性散乱層13の後側に配置された反射偏光板11の透過軸11pを、前記前側の吸収偏光板10の透過軸10aと実質的に直交させたものであるため、外光を利用する反射表示のときの表示も、また前記面光源16からの照明光を利用する透過表示も、前記液晶素子1の液晶層に電界を印加しない無電界時の表示が明表示である、いわゆるノーマリーホワイトモードの表示である。
【0045】
図3は、前記液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図であり、図では、前記液晶素子1の液晶層5と、前記異方性散乱層13とを、その厚さを大きく誇張して示している。
【0046】
まず、外光を利用する反射表示のときの入射光の透過経路を説明すると、この反射表示のときは、図3(a)のように、前側から入射した外光(非偏光)の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、液晶素子1の前側に配置された吸収偏光板10の吸収軸に平行な振動面をもった偏光成分がこの吸収偏光板10により吸収され、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な振動面をもった偏光成分が、この吸収偏光板10を透過して、直線偏光となって液晶素子1にその前側から入射する。
【0047】
この実施例では、前記吸収偏光板10の透過軸10aと前記異方性散乱層13の後側に配置された反射偏光板11の反射軸11sとを実質的に平行にしているため、前記吸収偏光板10を透過して液晶素子1に入射する光は、前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光Sである。
【0048】
そして、前記液晶素子1にその前側から入射した直線偏光Sは、前記液晶素子1の電極間に印加される電界により変化する液晶分子の配向状態に応じた液晶層5の複屈折作用を受けてこの液晶素子1の後側に出射する。
【0049】
すなわち、前記液晶素子10の電極間に電界を印加しない無電界時(V=0)の液晶分子の配向状態は、実質的に90°のツイスト角のツイスト配向であり、このときは、図3(a)の左側に示したように、前記吸収偏光板10を透過して液晶素子1にその前側から入射した直線偏光Sが、液晶層5の複屈折作用により実質的に90°旋光し、前記反射偏光板11の透過軸11pに平行な直線偏光Pとなって液晶素子1の後側に出射し、前記異方性散乱層13に入射する。
【0050】
そのため、無電界時は、前記液晶素子1の後側に出射した前記直線偏光Pがその偏光状態のまま前記異方性散乱層13を透過してその後側に出射し、前記反射偏光板11と、面光源16の導光板17とを透過して反射膜12により反射される。
【0051】
そして、前記反射膜12により反射された前記直線偏光Pは、前記導光板17と反射偏光板11と異方性散乱層13とを再び透過して液晶素子1にその後側から入射し、液晶層5により実質的に90°旋光され、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって前記吸収偏光板10に入射し、この吸収偏光板10を透過して前側に出射する。
【0052】
したがって、無電界時(V=0)は、前側から吸収偏光板10を透過して入射した光のほとんどが、反射膜12により反射されて前側に出射し、明表示となる。
【0053】
この明表示は、液晶素子の前側と後側とにそれぞれ吸収偏光板を配置し、後側の吸収偏光板の後側に反射膜を配置した従来の反射型液晶表示装置に比べて、はるかに明るく、しかも帯色の無い表示である。
【0054】
すなわち、液晶素子の前側と後側とにそれぞれ吸収偏光板を配置し、後側の吸収偏光板の後側に反射膜を配置した従来の反射型液晶表示装置は、その前側から入射し、反射膜により反射されて再び前側に出射する光が、その過程で前側と後側の吸収偏光板による計4回の吸収を受けるため、前側からの入射光の強度に対する前側への出射光の強度低下が大きいが、この実施例の液晶表示装置は、液晶素子1の後側の偏光板を反射偏光板11とし、その後側に反射膜12を配置しているため、偏光板による光の吸収が、前記液晶素子1の前側に配置された1枚のの吸収偏光板10による吸収だけであり、したがって、従来の反射型液晶表示装置に比べて、はるかに明るく、しかも吸収偏光板を繰り返し通過することによる帯色の無い明表示を得ることができる。
【0055】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加したときは、図3(a)の右側に示したように、前記吸収偏光板10を透過して液晶素子1にその前側から入射した直線偏光Sが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の後側に出射して前記異方性散乱層13に入射する。
【0056】
そのため、電界印加時(V>Vth)は、前記異方性散乱層13に、前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な直線偏光Sが入射し、その光が前記異方性散乱層13により散乱され、前記直線偏光Sの一部を前記直線偏光Pに変換された様々な偏光成分を含む散乱光Rとなって前記異方性散乱層13の前後面のいずれかから出射する。なお、図3(a)では、図を簡単にするため、前記異方性散乱層13の後面から出射する一方向の散乱光Rだけを示している。
【0057】
前記異方性散乱層13の後面から出射した散乱光Rは反射偏光板11に入射し、その光のうち、前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分がこの反射偏光板11により反射され、前記反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分がこの反射偏光板11を透過する。
【0058】
前記反射偏光板11により反射された光、つまり前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光Sは、前記異方性散乱層13に入射して再び散乱され、散乱光Rとなって前記異方性散乱層13の前後面のいずれかから出射する。なお、図3(a)では、前記異方性散乱層13の前面から出射する一方向の散乱光Rだけを示している。
【0059】
そして、上述したように前側から吸収偏光板10と液晶素子1を透過して異方性散乱層13に入射し、この異方性散乱層13により散乱された散乱光Rのうち、前記異方性散乱層13の前面から出射した光(図示せず)と、前記異方性散乱層13の後面から出射し、前記反射偏光板11により反射されて前記異方性散乱層13により再び散乱された散乱光Rのうちの前記異方性散乱層13の前面から出射した光が、液晶分子が実質的に垂直に立上がり配向した液晶素子1を複屈折作用を受けること無く透過して前側の吸収偏光板10に入射し、その光のうち、前記吸収偏光板10の吸収軸に平行な直線偏光成分の光がこの吸収偏光板10により吸収されて暗表示になる。
【0060】
ただし、前記異方性散乱層13の前面から出射し、液晶素子1を複屈折作用を受けること無く透過して吸収偏光板10に入射する光は、様々な偏光成分を含む散乱光Rであるため、その光のうち、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光成分の光Sが、図に破線で示したように前記吸収偏光板10を透過して前側に漏れる。
【0061】
しかし、前記異方性散乱層13により散乱された散乱光Rは、様々な偏光成分を含む光であり、その光が図4に示したように様々な出射角で出射するため、異方性散乱層13の前面から出射し、吸収偏光板10の透過して前側に出射する漏れ光は少なく、しかも大部分は、表示の観察方向である正面方向(画面の法線付近の方向)に対して斜めに傾いた方向に出射する。
【0062】
そのため、表示の観察方向である正面方向に出射する漏れ光は極く僅かであり、したがって、前記漏れ光による暗表示の浮き上がりはほとんど無い。
【0063】
また、前側から吸収偏光板10と液晶素子1を透過して異方性散乱層13に入射し、前記異方性散乱層13により散乱されて前記反射偏光板11に入射した散乱光Rのうち、前記反射偏光板11を透過した光、つまり前記反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった直線偏光Pは、面光源16の導光板17を透過して反射膜12により反射される。
【0064】
そして、前記反射膜12により反射された前記直線偏光Pは、前記導光板17と反射偏光板11と異方性散乱層13とを再び透過して液晶素子1にその後側から入射し、この液晶素子1を複屈折作用を受けること無く透過して前記吸収偏光板10に入射し、この吸収偏光板10により吸収される。
【0065】
したがって、電界印加時は、前側から吸収偏光板10を透過して入射し、前記反射膜12により反射された光のほとんどが、表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射するか、或いは前記吸収偏光板10により吸収され、暗表示となる。
【0066】
すなわち、この液晶表示装置は、その前側から入射し、吸収偏光板10と液晶素子1と異方性散乱層13とを透過して反射偏光板11に入射した光のうち、前記反射偏光板11を透過した直線偏光成分の光Pを反射膜12により反射し、その反射光を前記反射偏光板11と異方性散乱層13と液晶素子1と前側の吸収偏光板10とを透過させて前側に出射することにより明表示を得るとともに、前側から前記吸収偏光板10と液晶素子1と異方性散乱層13とを透過して前記反射偏光板11に入射し、この反射偏光板11により反射された直線偏光成分の光Sを前記異方性散乱層13により散乱させ、前記液晶素子1を再び透過して前記吸収偏光板11に入射した散乱光Rのうち、前記吸収偏光板11を透過して前側に出射する漏れ光の大部分を表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射させ、他の光を前記吸収偏光板10により吸収して暗表示を得るようにしたものである。
【0067】
この液晶表示装置によれば、偏光板による光の吸収が、液晶素子1の前側に配置された1枚の吸収偏光板10による吸収だけであるため、従来の反射型液晶表示装置に比べてはるかに高い強度の光を前側に出射し、充分な明るさの明表示を得ることができる。
【0068】
しかも、この液晶表示装置によれば、前側から入射した光のうちの前記反射偏光板11により反射された偏光成分の光Sを前記異方性散乱層13により散乱させ、その散乱光Rのうちの前記吸収偏光板11を透過して前側に出射する漏れ光の大部分を表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射させ、他の光を前記吸収偏光板10により吸収して充分な暗さの暗表示を得ることができるため、充分なコントラストを得ることができる。
【0069】
次に、面光源16からの照明光を利用する透過表示のときの入射光の透過経路を説明すると、この透過表示は、前記面光源16の発光素子18を点灯させて行なわれ、前記発光素子18からの出射光は、図3(b)のように導光板17にその端面から入射し、この導光板17の前面及び後面と外気である空気層19a,19bとの界面で全反射しながら導光板17内を導かれ、前記導光板17の前面全体から出射する。
【0070】
なお、前記導光板17内を導かれる光の中には、導光板17の後面と外気との界面を透過して後側に漏れる光もあるが、その漏れ光は、前記導光板17の後側に配置された反射膜12により反射され、前記導光板17を透過してその前面から出射するため、前記発光素子18からの出射光を、略100%の出射率で前記導光板17の前面から出射させることができる。
【0071】
前記面光源16からの照明光(非偏光)は、まず反射偏光板11に入射し、その互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射偏光板11の吸収軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pが、この反射偏光板11を透過して前記異方性散乱層13に入射する。
【0072】
一方、面光源16からの照明光のうち、前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分の光Sは、この反射偏光板11により反射される。
【0073】
この反射偏光板11により反射された光、つまり前記反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光Sは、前記面光源16の導光板17を透過し、さらに前記導光板17の後面と反射膜12との間の空気層19bを通って反射膜12により反射されて偏光状態を変え、前記導光板17を再び透過して前記反射偏光板11に再入射し、その光のうち、前記反射偏光板11の吸収軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pが、この反射偏光板11を透過して異方性散乱層13に入射する。
【0074】
すなわち、前記面光源16からの照明光を直線偏光とするための後側の偏光板が吸収偏光板である場合は、前記照明光の50%以下の光しか直線偏光として取り出すことができないが、この実施例では、前記偏光素子を反射偏光板11とし、その後側に配置された面光源16の後側に反射膜12を配置しているため、前記面光源16からの照明光を、50%を越える高い比率で直線偏光Pとして取り出すことができる。
【0075】
前記反射偏光板11を透過して異方性散乱層13に入射した光、つまり前記反射偏光板11の透過軸11pに平行な直線偏光Pは、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射する。
【0076】
そして、前記液晶素子1にその後側から入射した前記直線偏光Pは、前記液晶素子1の電極間に印加される電界により変化する液晶分子の配向状態に応じた液晶層5の複屈折作用を受けてこの液晶素子1の前側に出射する。
【0077】
すなわち、前記液晶素子10の電極間に電界を印加しない無電界時(V=0)の液晶分子の配向状態は、実質的に90°のツイスト角のツイスト配向であり、このときは、図3(b)の左側に示したように、前記反射偏光板11を透過し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用により実質的に90°旋光し、前側の吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0078】
そのため、無電界時(V=0)は、前記液晶素子1の前側に出射した前記直線偏光Pのほとんどが、前記吸収偏光板10を透過して前側に出射し、明表示となる。
【0079】
この明表示の明るさは、従来の反射型液晶表示装置の後側の偏光板(吸収偏光板)と反射膜との間に面光源を配置し、前記面光源からの照明光を利用する透過表示を行なう場合に比べて、はるかに明るい表示である。
【0080】
すなわち、この実施例では、後側の偏光板を反射偏光板11とし、その後側に配置された面光源16の後側に反射膜12を配置しているため、上述したように、前記面光源16からの照明光を、50%を越える高い比率で直線偏光Pとして取り出して液晶素子1に入射させることができ、したがって、従来の反射型液晶表示装置に面光源を付加して透過表示を行なう場合に比べて、はるかに明るい明表示を得ることができる。
【0081】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加したときは、図3(b)の右側に示したように、前記反射偏光板11を透過し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0082】
そのため、電界印加時(V>Vth)は、前記面光源16から出射し、前記反射偏光板11と異方性散乱層13と液晶素子1とを透過して前記吸収偏光板10に入射した光のほとんどが前記吸収偏光板10により吸収され、充分な暗さの暗表示になる。
【0083】
したがって、この液晶表示装置によれば、前記面光源16からの照明光を利用する透過表示のときも、明るく、しかも充分なコントラストの表示を得ることができる。
【0084】
なお、上記実施例では、反射膜12を、面光源16の導光板17の後側に、前記導光板17の後面との間に空気層19bを設けて配置しているが、前記反射膜12は、前記導光板17の後側に蒸着またはメッキして形成してもよく、その場合でも、反射偏光板11により反射された直線偏光Sが、前記反射膜12により反射されてある程度偏光状態を変えるため、面光源16からの照明光を、50%を越える高い比率で直線偏光Pとして取り出すことができる。
【0085】
また、上記実施例では、異方性散乱層13として、図4に示したような、等方性層14中に、分子長軸を一方向に揃えて配向させた液晶ポリマーからなる異方性微粒子15を分散させたものを用いたが、液晶素子1と反射偏光板11との間に配置する異方性散乱層は、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射偏光板を透過する偏光成分を透過させ、前記反射偏光板により反射される偏光成分を散乱させる異方性散乱特性を有するものであれば、例えば等方性層中に異方性繊維をその光学軸(繊維の長さ方向または径方向)を一方向に揃えて分散させたものでもよい。
【0086】
さらに、前記異方性散乱層は、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射偏光板11を透過する一方の偏光成分を透過させ、前記反射偏光板11により反射される他方の偏光成分を、散乱により前記一方の偏光成分に変換する機能をもった光学素子を用いてもよい。
【0087】
その場合は、図3(a)において、液晶素子1の液晶層5に電界を印加したときに、前記液晶素子1を透過した直線偏光Pのほとんどが、前記反射偏光板11を透過する直線偏光Sに変換されて、その光が前記反射偏光板11を透過して反射膜12により反射され、さらに前記反射偏光板11と液晶素子1の液晶層5とをその偏光状態のまま通過して前記吸収偏光板10により吸収される。
【0088】
このように、前記光学素子からなる異方性散乱層を備えた液晶表示素子によれば、液晶素子1の液晶層5に電界を印加したときに、前記液晶素子1を透過した直線偏光Pのほとんど全てが直線偏光Pに変換されるため、前記反射偏光板11で直線偏光Sが反射されることがなくなり、表示の観察側の表面に出射光がより少なくなって、表示のコントラストが向上する。
【0089】
また、上記第1の実施例の液晶表示装置では、液晶素子1の後側基板3の外面に異方性散乱層13を貼付け、この異方性散乱層13の後面に反射偏光板11を貼付けているが、前記液晶素子1と異方性散乱層13との間と、前記異方性散乱層13と反射偏光板11との間のうち、少なくとも一方に、前記液晶素子1の後側基板3と前記異方性散乱層13及び前記反射偏光板11よりも屈折率が小さい低屈折率層を設けてもよい。
【0090】
図5及び図6はこの発明の第2の実施例を示しており、図5は液晶表示装置のハッチングを省略した断面図、図6は前記液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図である。
【0091】
この実施例の液晶表示装置は、異方性散乱層13を、液晶素子1の後側基板3の外面との間に空気層からなる低屈折率層(以下、空気層と言う)19cを設けて配置し、前記異方性散乱層13の後面に反射偏光板11を貼付けたものであり、他の構成は上述した第1の実施例と同じである。
【0092】
この実施例の液晶表示装置によれば、液晶素子1と異方性散乱層13との間に空気層19cを設けているため、反射表示における電界印加時(V>Vth)に、異方性散乱層13を透過する散乱光を異方性散乱層13と空気層19cとの界面により内面反射させ、また図6(a)の右側に示したように、前記異方性散乱層13の前側に出射した散乱光Rの一部を、前記空気層19cと液晶素子1の後側基板3の外面との界面で反射することができ、したがって、前側への漏れ光を上述した第1の実施例よりも少なくし、暗表示をさらに暗くして、よりコントラストの良い反射表示を行なうことができる。
【0093】
図7及び図8はこの発明の第3の実施例を示しており、図7は液晶表示装置のハッチングを省略した断面図、図8は前記液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図である。
【0094】
この実施例の液晶表示装置は、異方性散乱層13を、液晶素子1の後側基板3の外面との間に空気層19cを設けて配置するとともに、反射偏光板11を、前記異方性散乱層13との間に空気層19dを設けて配置したものであり、他の構成は上述した第1の実施例と同じである。
【0095】
この実施例の液晶表示装置によれば、液晶素子1と異方性散乱層13との間と、前記異方性散乱層13と反射偏光板11との間にそれぞれ空気層19c,19dを設けているため、反射表示における電界印加時(V>Vth)に、図8(a)の右側に示したように、異方性散乱層13の後側に出射して反射偏光板11により反射された直線偏光Sの一部を、前記異方性散乱層13の後面と前記空気層19dとの界面で反射するとともに、前記異方性散乱層13を透過する散乱光を異方性散乱層13と空気層19cとの界面により内面反射させ、さらに、前記異方性散乱層13の前側に出射した散乱光Rの一部を、前記空気層19cと液晶素子1の後側基板3の外面との界面で反射することができ、したがって、前側への漏れ光を上記第2の実施例よりもさらに少なくし、暗表示をより暗くして、さらにコントラストの良い反射表示を行なうことができる。
【0096】
また、上述した第1〜第3の実施例の液晶表示装置は、ノーマリーホワイトモードのものであるが、図9に示した第4の実施例のように、前記反射偏光板11を、その透過軸11pを吸収偏光板10の透過軸10と実質的に平行にして配置するとともに、前記異方性散乱層13を、その散乱物質(異方性微粒子)15の光学軸15aを前記反射偏光板11の透過軸11pと実質的に平行にし、前記反射偏光板11の反射軸11sと実質的に直交させて配置するか、あるいは液晶素子1の前側の吸収偏光板10をその透過軸10の向きを実質的に90°ずらして配置することにより、前記液晶素子1の液晶層に電界を印加しない無電界時の表示が明表示であるノーマリーブラックモードとしてもよい。
【0097】
また、上記各実施例では、液晶素子1の後側に配置する偏光分離素子として反射偏光板11を用いているが、前記偏光分離素子は、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させるものであれば、前記反射偏光板11または反射偏光素子に限らない。
【0098】
図10及び図11はこの発明の第5の実施例を示しており、図10は液晶表示装置の分解斜視図、図11は前記液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図である。
【0099】
この実施例の液晶表示装置は、前記反射偏光板11に代えて、偏光分離フィルム21と、この偏光分離フィルム21いずれか一方の面に積層された位相差板22とからなる偏光分離素子20を備えたものであり、他の構成は上述した第1の実施例と同じである。
【0100】
前記偏光分離素子20の偏光分離フィルム21は、例えばコレステリック液晶フィルムからなっており、その一方の面から入射した入射光の右回りと左回りの円偏光成分のうち、一方回り、例えば前記一方の面から見て右回りの円偏光成分を反射し、他方回りである左回りの円偏光成分を透過させるとともに、他方の面から入射した円偏光成分のうち、前記一方の面から見て一方回り、つまり右回りの円偏光成分を透過させ、他方回りである左回りの円偏光成分を反射する偏光分離特性を有している。
【0101】
また、前記位相差板22は、透過光の常光と異常光との間に1/4波長の位相差を与えるλ/4板であり、前記偏光分離フィルム21に対向する側とは反対面側から入射した直線偏光を円偏光にして前記偏光分離フィルム21に入射させ、前記偏光分離フィルム21から出射した円偏光を直線偏光にして前記反対面に側出射する。 なお、この実施例では、前記偏光分離フィルム21の前記一方の面にλ/4板22を積層しており、したがって、前記偏光分離フィルム21は、λ/4板22側の面から入射した光に対しては、前記λ/4板22側から見て右回りの円偏光成分を反射し、左回りの円偏光成分を透過させる特性を示し、反対側の面から入射した光に対しては、前記λ/4板22側から見て右回りの円偏光成分を透過させ、左回りの円偏光成分を反射する特性を示す。
【0102】
前記偏光分離フィルム21とλ/4板22とを積層した偏光分離素子20は、液晶素子1の後側に配置された異方性散乱層13とその後側に配置された面光源16との間に、前記λ/4板22を液晶素子1の後面に対向させ、且つ前記λ/4板22の光学軸(遅相軸)を異方性散乱層13の透過軸と実質的に45゜の角度で交差させて配置されている。
【0103】
この実施例の液晶表示装置の反射表示のときの入射光の透過経路を説明すると、反射表示のときは、上述した第1の実施例と同様に、前側から入射した外光(非偏光)が、吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1に入射する。
【0104】
そして、前記液晶素子10の電極間に電界を印加しない無電界時(V=0)は、図11(a)の左側に示したように、前記直線偏光Sが実質的に90°旋光した直線偏光Pが前記液晶素子1の後側に出射し、その直線偏光Pがその偏光状態のまま異方性散乱層13を透過してその後側に出射し、前記偏光分離素子20に入射する。
【0105】
この偏光分離素子20に入射した直線偏光Pは、まずλ/4板22により透過光の常光と異常光との間に1/4波長の位相差を与えられて前側から見て左回り(以下、単に左回りと言う)の円偏光C1になり、前記偏光分離フィルム21を透過して偏光分離素子20の後側に出射する。
【0106】
前記偏光分離素子20の後側に出射した左回りの円偏光C1は、面光源16の導光板17を透過して反射膜12により反射され、その偏光状態のまま前記導光板17を再び透過して前記偏光分離素子20にその後側から再入射する。
【0107】
すなわち、前記偏光分離素子20の後側に出射して反射膜12により反射された光は、偏光の回り方向と進行方向の両方が逆になった光であり、したがって、前記反射膜12により反射された光は、前記偏光分離素子20の後側に出射した左回りの円偏光C1と同じ偏光状態の光である。
【0108】
そして、前記偏光分離素子20の偏光分離フィルム21は、上述したように、λ/4板22の積層面とは反対側の面から入射した光に対しては、前記λ/4板22の積層面から見て右回りの円偏光成分を透過させ、左回りの円偏光成分を反射する特性を示すため、前記反射膜12により反射されて前記偏光分離素子20にその後側から再入射した左回りの円偏光C1は、偏光分離フィルム21により反射されて、進行方向が逆になった光、つまり前側から見て右回り(以下、単に右回りと言う)の円偏光C2となり、その光が前記反射膜12に入射して再反射され、前記右回りの円偏光C2のまま前記偏光分離素子20にその後側から再び入射する。
【0109】
前記偏光分離素子20にその後側から再び入射した前記右回りの円偏光C2は、前記偏光分離フィルム21を透過してλ/4板22により1/4波長の位相差を与えられ、前記偏光分離素子20にその前側から入射した直線偏光Pに戻されて偏光分離素子20の前側に出射する。
【0110】
そして、前記偏光分離素子20の前側に出射した前記直線偏光Pは、前記異方性散乱層13を再び透過して液晶素子1にその後側から入射し、液晶層5により実質的に90°旋光され、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって前記吸収偏光板10に入射し、この吸収偏光板10を透過して前側に出射する。
【0111】
したがって、無電界時は、前側から吸収偏光板10を透過して入射した光のほとんどが、反射膜12により反射されて前側に出射し、従来の反射型液晶表示装置に比べて、はるかに明るく、しかも帯色の無い明表示となる。
【0112】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加した電界印加時(V>Vth)は、図11(a)の右側に示したように、前側から吸収偏光板10を透過して液晶素子1に入射した直線偏光Sが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の後側に出射して前記異方性散乱層13に入射し、その光が前記異方性散乱層13により散乱され、前記直線偏光Sの一部を前記直線偏光Pに変換された様々な偏光成分を含む散乱光Rとなって前記異方性散乱層13の前後面のいずれかから出射する。
【0113】
前記異方性散乱層13の後面から出射した散乱光Rは、前記偏光分離素子20に入射し、前記λ/4板22により1/4波長の位相差を与えられて前記偏光分離フィルム21に入射し、その光のうち、前記左回りの円偏光C1がこの偏光分離フィルム21を透過し、前記右回りの円偏光C2が、前記偏光分離フィルム21により反射され、進行方向が逆になった光、つまり左回りの円偏光C1となる。
【0114】
前記偏光分離フィルム21により反射され、左回りの円偏光C1となった光は、前記λ/4板22により直線偏光Sとされて偏光分離素子20の前側に出射し、その直線偏光Sが、前記異方性散乱層13により再び散乱され、散乱光Rとなって前記異方性散乱層13の前後面のいずれかから出射する。
【0115】
そして、上述したように前側から吸収偏光板10と液晶素子1を透過して異方性散乱層13に入射し、この異方性散乱層13により散乱された散乱光Rのうちの前記異方性散乱層13の前面から出射した光(図示せず)と、前記偏光分離素子20により反射されて異方性散乱層13により散乱された散乱光Rのうちの前記異方性散乱層13の前面から出射した光は、液晶分子が実質的に垂直に立上がり配向した液晶素子1を複屈折作用を受けること無く透過して前側の吸収偏光板10に入射し、その光のうち、前記吸収偏光板10の吸収軸に平行な直線偏光成分の光がこの吸収偏光板10により吸収されて暗表示になる。
【0116】
なお、前記異方性散乱層13の前面から出射し、液晶素子1を複屈折作用を受けること無く透過して吸収偏光板10に入射する光は、様々な偏光成分を含む散乱光Rであるため、その光のうち、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光成分の光Sが、図に破線で示したように前記吸収偏光板10を透過して前側に漏れるが、第1の実施例で説明したように、その漏れ光は少なく、しかも大部分が正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射するため、前記漏れ光による暗表示の浮き上がりはほとんど無い。
【0117】
また、前記偏光分離素子20にその前側から入射し、前記λ/4板22により1/4波長の位相差を与えられて前記偏光分離フィルム21に入射した光のうち、この偏光分離フィルム21を透過した左回りの円偏光C1は、上述したように、前記反射膜12により反射され、さらに前記偏光分離フィルム21により反射されて右回りの円偏光C2となり、前記反射膜12により再反射される。
【0118】
前記反射膜12により再反射された右回りの円偏光C2は、その偏光状態のまま前記偏光分離フィルム21を透過し、前記λ/4板22により直線偏光Pとされて偏光分離素子20の前側に出射し、その直線偏光Pが、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過し、さらに液晶分子が実質的に垂直に立上がり配向した液晶素子1を複屈折作用を受けること無く透過して、前側の吸収偏光板10により吸収される。
【0119】
したがって、電界印加時は、前側から吸収偏光板10を透過して入射し、前記反射膜12により反射された光のほとんどが、表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射するか、或いは前記吸収偏光板10により吸収され、暗表示となる。
【0120】
そのため、この液晶表示装置によれば、明るく、しかも充分なコントラストの反射表示を行なうことができる。
【0121】
次に、面光源16からの照明光を利用する透過表示のときの入射光の透過経路を説明すると、前記面光源16からの照明光(非偏光)は、図11(b)に示したように、前記偏光分離素子20の偏光分離フィルム21にその後側から入射し、その光のうち、右回りの円偏光C2が、前記偏光分離フィルム21を透過し、λ/4板22により直線偏光Pとされて偏光分離素子20の前側に出射する。
【0122】
一方、前記偏光分離フィルム21にその後側から入射した光のうち、左回りの円偏光C1は、前記偏光分離フィルム21により反射され、進行方向が逆になった光、つまり右回りの円偏光C2となって前記偏光分離フィルム21の後側に出射する。
【0123】
そして、前記偏光分離フィルム21の後側に出射した右回りの円偏光C2は、前記面光源の導光板17を透過して反射膜12により反射され、その偏光状態のまま前記導光板17を再び透過して前記偏光分離素子20にその後側から再入射し、その右回りの円偏光C2が、前記偏光分離フィルム21を透過し、λ/4板22により直線偏光Pとされて偏光分離素子20の前側に出射する。
【0124】
そのため、この実施例の液晶表示装置によれば、前記面光源16からの照明光のほとんどを、前記直線偏光Pとして偏光分離素子20の前側に出射させることができる。
【0125】
前記偏光分離素子20の前側に出射した直線偏光Pは、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射する。
【0126】
そして、無電界時(V=0)は、図11(b)の左側に示したように、前記偏光分離素子20の前側に出射し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用により実質的に90°旋光し、前側の吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0127】
そのため、無電界時は、前記液晶素子1の前側に出射した前記直線偏光Pのほとんどが、前記吸収偏光板10を透過して前側に出射し、明表示となる。
【0128】
この明表示の明るさは、上述したように、前記面光源16からの照明光のほとんどが、直線偏光Pとなって前記偏光分離素子20の前側に出射するため、上述した第1〜第3の実施例の液晶表示装置よりもさらに明るい表示である。
【0129】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加したときは、図11(b)の右側に示したように、前記偏光分離素子20の前側に出射し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0130】
そのため、電界印加時(V>Vth)は、前記液晶素子1にその後側から入射し、この液晶素子1とを透過して前記吸収偏光板10に入射した光のほとんどが前記吸収偏光板10により吸収され、充分な暗さの暗表示になる。
【0131】
したがって、この液晶表示装置によれば、前記面光源16からの照明光を利用する透過表示のときも、明るく、しかも充分なコントラストの表示を得ることができる。
【0132】
図12及び図13はこの発明の第6の実施例を示しており、図12は液晶表示装置の分解斜視図、図13は前記液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図である。
【0133】
この実施例の液晶表示装置は、液晶素子1の後側に偏光分離素子として反射偏光板11を配置し、この反射偏光板11と最も後側の反射膜12との間に、前記反射偏光板11を透過して前記反射膜12に向かう光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる第2の偏光分離素子23を配置したものであり、他の構成は上述した第1の実施例と同じである。
【0134】
前記反射偏光板11と反射膜12との間に配置された第2の偏光分離素子23は、例えば、互いに直交する方向に透過軸23pと反射軸23sとをもち、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射軸23sに平行な振動面をもった一方の偏光成分を反射し、前記透過軸23pに平行な振動面をもった他方の偏光成分を透過させる反射偏光板であり、この実施例では、この第2の反射偏光板23を、その透過軸23pを前記異方性散乱層13の後側に配置された反射偏光板(以下、第1の反射偏光板と言う)11の透過軸11pに対して実質的に45°の角度で斜めに交差させて配置している。
【0135】
なお、この実施例では、図13に示したように、前記液晶素子1の後側基板3の外面に前記異方性散乱層13を貼付け、この異方性散乱層13の後面に前記第1の反射偏光板11を貼付けるとともに、前記第1の反射偏光板11と反射膜12との間の面光源16を、上述した第1の実施例と同様に導光板17の前面と前記第1の反射偏光板11との間に空気層19aを設けて配置し、前記第2の反射偏光板23を、前記面光源16と反射膜12との間に、これらとの間にそれぞれ空気層19e,19fを設けて配置している。
【0136】
この実施例の液晶表示装置の反射表示のときの入射光の透過経路を説明すると、反射表示のときは、上述した第1の実施例と同様に、前側から入射した外光(非偏光)が、吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1に入射する。
【0137】
そして、前記液晶素子10の電極間に電界を印加しない無電界時(V=0)は、図13(a)の左側に示したように、前記直線偏光Sが実質的に90°旋光した直線偏光Pが前記液晶素子1の後側に出射し、その直線偏光Pがその偏光状態のまま異方性散乱層13を透過するとともに、さらに前記第1の反射偏光板11を透過してその後側に出射する。
【0138】
前記第1の反射偏光板11の後側に出射した直線偏光Pは、面光源16の導光板17を透過して、透過軸23p及び反射軸23sを前記第1の反射偏光板11の透過軸11p及び反射軸11sに対して交差させて配置された第2の反射偏光板23に入射し、その光のうち、前記第2の反射偏光板23の反射軸23sに平行な偏光成分がこの第2の反射偏光板23により反射され、前記第2の反射偏光板23の透過軸23pに平行な偏光成分がこの第2の反射偏光板23を透過して反射膜12により反射される。
【0139】
この実施例では、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pと第2の反射偏光板23の透過軸23pとの交差角を実質的に45°としているため、前記第1の反射偏光板11の後側に出射した直線偏光Pのうち、略半分の光が前記第2の反射偏光板23により反射され、他の略半分の光が前記第2の反射偏光板23を透過して反射膜12により反射される。
【0140】
前記第2の反射偏光板23により反射された光、つまり前記第2の反射偏光板23の反射軸23sに平行な振動面をもった直線偏光Saは、前記面光源16の導光板17を再び透過して、前記第1の反射偏光板11にその後側から再入射し、その略半分の光(第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光S)がこの第1の反射偏光板11により反射され、他の略半分の光(第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった直線偏光P)がこの第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射する。
【0141】
また、前記反射膜12により反射された光、つまり前記第2の反射偏光板23の透過軸23pに平行な振動面をもった直線偏光Paは、前記第2の反射偏光板23と面光源16の導光板17とを再び透過して、前記第1の反射偏光板11にその後側から再入射し、その略半分の光(第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光S)がこの第1の反射偏光板11により反射され、他の略半分の光(第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった直線偏光P)がこの第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射する。
【0142】
すなわち、この実施例の液晶表示装置は、前側から入射し、前記液晶素子10と異方性散乱層13と第1の反射偏光板11とを透過した光を、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と前記第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射させて第1の反射偏光板11の前側に出射させるようにしたものである。
【0143】
以下は上述した第1の実施例と同じであり、前記第1の反射偏光板11の前側に出射した直線偏光Pは、前記異方性散乱層13を再び透過して液晶素子1にその後側から入射し、液晶層5により実質的に90°旋光され、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって前記吸収偏光板10に入射し、この吸収偏光板10を透過して前側に出射して、明るく、しかも帯色の無い明表示となる。
【0144】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加した電界印加時(V>Vth)は、図13(a)の右側に示したように、前側から吸収偏光板10を透過して液晶素子1に入射した直線偏光Sが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の後側に出射して前記異方性散乱層13に入射し、その光が前記異方性散乱層13により散乱され、前記直線偏光Sの一部を前記直線偏光Pに変換された様々な偏光成分を含む散乱光Rとなって前記異方性散乱層13の前後面のいずれかから出射する。
【0145】
前記異方性散乱層13の後面から出射した散乱光Rは、前記第1の反射偏光板11に入射し、その光のうち、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pがこの第1の反射偏光板11を透過し、前記第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分の光Sがこの第1の反射偏光板11により反射される。
【0146】
前記第1の反射偏光板11を透過した直線偏光Pは、上述した無電界時(V=0)と同様に、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と前記第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射され、前記第1の反射偏光板11により反射された直線偏光Sとともに第1の反射偏光板11の前側に出射する。
【0147】
以下は上述した第1の実施例と同じであり、したがって、電界印加時は、前側から吸収偏光板10を透過して入射し、前記反射膜12により反射された光のほとんどが、表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射するか、或いは前記吸収偏光板10により吸収され、暗表示となる。
【0148】
この実施例の液晶表示装置によれば、上述したように、前側から入射し、前記液晶素子10と異方性散乱層13と第1の反射偏光板11とを透過した光を、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と前記第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射させて第1の反射偏光板11の前側に出射させるようにしているため、前記無電界時(V=0)に、前側から入射した光のほとんどを反射させて前側に出射するとともに、その反射光のうちの前記多重反射された光を、前記1回の反射で出射する光の周囲から出射させることができ、したがって、明表示部からの光の出射面積を大きくし、明表示部を全体的に明るくするとともに、前記暗表示の影を無くし、二重像の無い良好な品質の反射表示を行なうことができる。
【0149】
次に、面光源16からの照明光を利用する透過表示のときの入射光の透過経路を説明すると、前記面光源16からの照明光(非偏光)は、図13(b)に示したように、前記第1の反射偏光板11にその後側から入射し、その光のうち、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pが前記第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射し、前記第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分の光Sが前記第1の反射偏光板11により反射される。
【0150】
そして、前記面光源16からの照明光のうち、前記第1の反射偏光板11により反射された直線偏光Sは、前記第2の反射偏光板23及びその後側の反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射され、その過程で、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pが、前記第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射する。
【0151】
したがって、前記面光源16からの照明光は、そのほとんどが直線偏光Pとなって前記第1の反射偏光板11の前側に出射し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射する。
【0152】
以下は上述した第1の実施例と同じであり、無電界時(V=0)は、図13(b)の左側に示したように、前記液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用により実質的に90°旋光し、前側の吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0153】
そのため、無電界時は、前記液晶素子1の前側に出射した前記直線偏光Pのほとんどが、前記吸収偏光板10を透過して前側に出射し、明表示となる。
【0154】
この明表示は、上述したように、前記面光源16からの照明光のほとんどが、前記直線偏光Pとなって前記第1の反射偏光板11の前側に出射するとともに、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射された光のうちの前記多重反射された光が、前記1回の反射で出射する光の周囲から出射するため、明表示部が全体的に明るくなった表示である。
【0155】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加したとき(V>Vth)は、図13(b)の右側に示したように、前記第1の反射偏光分板11の前側に出射し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0156】
そのため、電界印加時(V>Vth)は、前記液晶素子1にその後側から入射し、この液晶素子1とを透過して前記吸収偏光板10に入射した光のほとんどが前記吸収偏光板10により吸収され、充分な暗さの暗表示になる。
【0157】
したがって、この液晶表示装置によれば、前記面光源16からの照明光を利用する透過表示のときも、明るく、しかも充分なコントラストの表示を得ることができる。
【0158】
なお、上記実施例では、第1の反射偏光板11の透過軸11pと第2の反射偏光板23の透過軸23pとを実質的に45°の角度で交差させているが、その交差角を他の角度に設定し、第1及び第2の反射偏光板11,23による反射光と透過光の比率を変えてもよい。
【0159】
図14及び図15はこの発明の第7の実施例を示しており、図14は液晶表示装置の分解斜視図、図15は前記液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図である。
【0160】
この実施例の液晶表示装置は、前記第6の実施例の液晶表示装置における第2の反射偏光板23を、その透過軸23pを前記液晶素子1の後側に配置された第1の反射偏光板11の透過軸11pと実質的に平行にして配置し、前記第1の反射偏光板11と第2の反射偏光板23との間に、その間を透過する光の偏光状態を変化させる位相差板24を配置したものであり、他の構成は上述した第1の実施例と同じである。
【0161】
前記第1の反射偏光板11と第2の反射偏光板23との間に配置された位相差板24は、例えば、透過光の常光と異常光との間に1/4波長の位相差を与えるλ/4板であり、このλ/4板24は、その遅相軸24aを前記第1と第2の反射偏光板11,23の透過軸11p,23pに対して実質的に45°の角度で斜めに交差させて配置されている。
【0162】
なお、この実施例では、図15に示したように、前記液晶素子1の後側基板3の外面に前記異方性散乱層13を貼付け、この異方性散乱層13の後面に前記第1の反射偏光板11を貼付けるとともに、前記λ/4板24を、前記第1の反射偏光板11とその後側の面光源16との間に、これらとの間にそれぞれ空気層19g,19hを設けて配置し、さらに、前記第2の反射偏光板23を、前記面光源16と反射膜12との間に、これらとの間にそれぞれ空気層19e,19fを設けて配置している。
【0163】
この実施例の液晶表示装置の反射表示のときの入射光の透過経路を説明すると、反射表示のときは、上述した第1の実施例と同様に、前側から入射した外光(非偏光)が、吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1に入射する。
【0164】
そして、前記液晶素子10の電極間に電界を印加しない無電界時(V=0)は、図15(a)の左側に示したように、前記直線偏光Sが実質的に90°旋光した直線偏光Pが前記液晶素子1の後側に出射し、その直線偏光Pがその偏光状態のまま異方性散乱層13を透過するとともに、さらに前記第1の反射偏光板11を透過してその後側に出射する。
【0165】
前記第1の反射偏光板11の後側に出射した直線偏光Pは、前記λ/4板24により円偏光Dとされ、面光源16の導光板17を透過して第2の反射偏光板23に入射し、その光のうち、前記第2の反射偏光板23の反射軸23sに平行な偏光成分がこの第2の反射偏光板23により反射され、前記第2の反射偏光板23の透過軸23pに平行な偏光成分がこの第2の反射偏光板23を透過して反射膜12により反射される。
【0166】
なお、この実施例では、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pと第2の反射偏光板23の透過軸23pとを実質的に互いに平行にしているため、前記第1の反射偏光板11の後側に出射した直線偏光Pのうち、略半分の光が前記第2の反射偏光板23により反射され、他の略半分の光が前記第2の反射偏光板23を透過して反射膜12により反射される。
【0167】
前記第2の反射偏光板23により反射された光、つまり前記第2の反射偏光板23の反射軸23sに平行な振動面をもった直線偏光Saは、前記面光源16の導光板17を再び透過し、前記λ/4板24により円偏光Dとされて前記第1の反射偏光板11にその後側から再入射し、その略半分の光(第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光S)がこの第1の反射偏光板11により反射され、他の略半分の光(第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった直線偏光P)がこの第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射する。
【0168】
また、前記反射膜12により反射された光、つまり前記第2の反射偏光板23の透過軸23pに平行な振動面をもった直線偏光Paは、前記第2の反射偏光板23と面光源16の導光板17とを再び透過し、前記λ/4板24により円偏光Dとされて前記第1の反射偏光板11にその後側から再入射し、その略半分の光(第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった直線偏光S)がこの第1の反射偏光板11により反射され、他の略半分の光(第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった直線偏光P)がこの第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射する。
【0169】
すなわち、この実施例の液晶表示装置は、前側から入射し、前記液晶素子10と異方性散乱層13と第1の反射偏光板11とを透過した光を、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と前記第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射させて第1の反射偏光板11の前側に出射させるようにしたものである。
【0170】
以下は上述した第1の実施例と同じであり、前記第1の反射偏光板11の前側に出射した直線偏光Pは、前記異方性散乱層13を再び透過して液晶素子1にその後側から入射し、液晶層5により実質的に90°旋光され、前記吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって前記吸収偏光板10に入射し、この吸収偏光板10を透過して前側に出射して、明るく、しかも帯色の無い明表示となる。
【0171】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加した電界印加時(V>Vth)は、図15(a)の右側に示したように、前側から吸収偏光板10を透過して液晶素子1に入射した直線偏光Sが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の後側に出射して前記異方性散乱層13に入射し、その光が前記異方性散乱層13により散乱され、前記直線偏光Sの一部を前記直線偏光Pに変換された様々な偏光成分を含む散乱光Rとなって前記異方性散乱層13の前後面のいずれかから出射する。
【0172】
前記異方性散乱層13の後面から出射した散乱光Rは、前記第1の反射偏光板11に入射し、その光のうち、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pがこの第1の反射偏光板11を透過し、前記第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分の光Sがこの第1の反射偏光板11により反射される。
【0173】
前記第1の反射偏光板11を透過した直線偏光Pは、上述した無電界時(V=0)と同様に、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と前記第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射され、前記第1の反射偏光板11により反射された直線偏光Sとともに第1の反射偏光板11の前側に出射する。
【0174】
前記第1の反射偏光板11の前側に出射した光のうち、前記直線偏光Pは、異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射し、また、前記直線偏光Sは、前記異方性散乱層13により再び散乱され、その散乱光Rのうちの前記異方性散乱層13の前面から出射した光が前記液晶素子1にその後側から入射する。
【0175】
以下は上述した第1の実施例と同じであり、したがって、電界印加時は、前側から吸収偏光板10を透過して入射し、前記反射膜12により反射された光のほとんどが、表示の観察方向である正面方向に対して斜めに傾いた方向に出射するか、或いは前記吸収偏光板10により吸収され、暗表示となる。
【0176】
この実施例の液晶表示装置によれば、上述したように、前側から入射し、前記液晶素子10と異方性散乱層13と第1の反射偏光板11とを透過した光を、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と前記第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射させて第1の反射偏光板11の前側に出射させるようにしているため、前記無電界時(V=0)に、前側から入射した光のほとんどを反射させて前側に出射するとともに、その反射光のうちの前記多重反射された光を、前記1回の反射で出射する光の周囲から出射させることができ、したがって、明表示部からの光の出射面積を大きくし、明表示部を全体的に明るくするとともに、前記暗表示の影を無くし、二重像の無い良好な品質の反射表示を行なうことができる。
【0177】
次に、面光源16からの照明光を利用する透過表示のときの入射光の透過経路を説明すると、前記面光源16からの照明光(非偏光)は、図15(b)に示したように、前記第1の反射偏光板11にその後側から入射し、その光のうち、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pが前記第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射し、前記第1の反射偏光板11の反射軸11sに平行な振動面をもった偏光成分の光Sが前記第1の反射偏光板11により反射される。
【0178】
そして、前記面光源16からの照明光のうち、前記第1の反射偏光板11により反射された直線偏光Sは、前記第2の反射偏光板23及びその後側の反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射され、その過程で、前記第1の反射偏光板11の透過軸11pに平行な振動面をもった偏光成分の光Pが、前記第1の反射偏光板11を透過してその前側に出射する。
【0179】
したがって、前記面光源16からの照明光は、そのほとんどが直線偏光Pとなって前記第1の反射偏光板11の前側に出射し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射する。
【0180】
以下は上述した第1の実施例と同じであり、無電界時(V=0)は、図15(b)の左側に示したように、前記液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用により実質的に90°旋光し、前側の吸収偏光板10の透過軸10aに平行な直線偏光Sとなって液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0181】
そのため、無電界時は、前記液晶素子1の前側に出射した前記直線偏光Pのほとんどが、前記吸収偏光板10を透過して前側に出射し、明表示となる。
【0182】
この明表示は、上述したように、前記面光源16からの照明光のほとんどが、前記直線偏光Pとなって前記第1の反射偏光板11の前側に出射するとともに、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12による1回の反射と、前記第2の反射偏光板23及び反射膜12と第1の反射偏光板11との間での多重反射とにより反射された光のうちの前記多重反射された光が、前記1回の反射で出射する光の周囲から出射するため、明表示部が全体的に明るくなった表示である。
【0183】
一方、前記液晶素子10の電極間に液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に立上がり配向させる電界を印加したとき(V>Vth)は、図15(b)の右側に示したように、前記第1の反射偏光分板11の前側に出射し、前記異方性散乱層13を散乱されること無く透過して液晶素子1にその後側から入射した直線偏光Pが、液晶層5の複屈折作用を受けること無く液晶素子1の前側に出射し、前記吸収偏光板10に入射する。
【0184】
そのため、電界印加時(V>Vth)は、前記液晶素子1にその後側から入射し、この液晶素子1とを透過して前記吸収偏光板10に入射した光のほとんどが前記吸収偏光板10により吸収され、充分な暗さの暗表示になる。
【0185】
したがって、この液晶表示装置によれば、前記面光源16からの照明光を利用する透過表示のときも、明るく、しかも充分なコントラストの表示を得ることができる。
【0186】
なお、この実施例の液晶表示装置において、前記位相差板(λ/4板)24は、透過光に指向性をもたせるためのレンズシートを積層したものでもよく、このようなレンズシート積層位相差板を用いることにより、表示装置の前側に出射する光の正面輝度を高くし、より明るい明表示を得ることができる。
【0187】
また、上記第6及び第7の実施例では、第2の反射偏光板23を面光源16と反射膜12との間に配置しているが、前記第2の反射偏光板23は、前記面光源16と第1の反射偏光板11との間に配置してもよい。
【0188】
さらに、上記第第7の実施例では、第1の反射偏光板11と第2の反射偏光板23との間に位相差板(λ/4板)24を配置しているが、図16に示した第8の実施例のように、前記第1の反射偏光板11と第2の反射偏光板23との間に、位相差板からなる導光板25とその端面に端面に対向させて設けられた発光素子18とからなる面光源16aを配置し、前記位相差板(λ/4板)24を省略してもよい。
【0189】
なお、この実施例では、前記面光源16aの導光板25をλ/4板とし、前記第1の反射偏光素子11と第2の反射偏光素子23を、それぞれの透過軸11p,23pを実質的に互いに平行にして配置し、前記λ/4板からなる導光板25を、その遅相軸25aを前記第1及び反射偏光素子11,23のそれぞれの透過軸11p,23pに対して実質的に45°の角度で斜めにずらして配置している。
【0190】
この実施例の表示装置によれば、前記面光源16aの導光板25により第1と第2の反射偏光素子11,23の間を透過する光の偏光状態を変化させることができるため、上記第7の実施例のように第1と第2の反射偏光素子11,23の間に位相差板24と面光源16とを配置する場合に比べて、液晶表示装置の構成を簡単にし、薄型化することができる。
【0191】
なお、上記第第7及び第8の実施例では、第1の反射偏光板11の透過軸11pと第2の反射偏光板23の透過軸23pとを実質的に互いに平行にしているが、前記第1と第2の反射偏光板11,23は、それぞれの透過軸11p,23pを実質的に直交させて配置してもよく、その場合も、これらの間の位相差板24または前記面光源16aの導光板25をλ/4板とすることにより、同様な表示を行なうことができる。
【0192】
さらに、前記第1と第2の反射偏光板11,23をそれぞれの透過軸11p,23pを斜めに交差させて配置するとともに、前記透過軸11p,23pの交差角と前記位相差板24または面光源16aの導光板25の位相差を適当に選ぶことにより、第1及び第2の反射偏光板11,23による反射光と透過光の比率を変えてもよい。
【0193】
また、上述した第5〜第8の実施例では、液晶素子1の後側基板3の外面に異方性散乱層13を貼付け、この異方性散乱層13の後面に反射偏光板11を貼付けているが、前記液晶素子1と異方性散乱層13との間と、前記異方性散乱層13と反射偏光板11との間のうち、少なくとも一方に、前記液晶素子1の後側基板3と前記異方性散乱層13及び前記反射偏光板11よりも屈折率が小さい低屈折率層(例えば空気層)を設けてもよく、このようにすることにより、上述した第2または第3の実施例と同様に前側への漏れ光を少なくし、暗表示をさらに暗くして、よりコントラストの良い反射表示を行なうことができる。
【0194】
さらに、上述した第5〜第8の実施例の液晶表示装置は、ノーマリーホワイトモードのものであるが、例えば液晶素子1の前側の吸収偏光板10の透過軸10の向きを実質的に90°ずらすことにより、ノーマリーブラックモードとしてもよい。
【0195】
また、上述した第1〜第3の実施例及び第5〜第8の実施例における液晶素子1の後側の偏光分離素子11と、前記第5〜第8の実施例における第2の偏光分離素子23は、2枚の反射偏光板をそれぞれの透過軸を互いに平行にして積層した二層偏光板としてもよく、このようにすることにより、前記偏光分離素子11,23の偏光度を高くすることができる。
【0196】
さらに、前記偏光分離素子11,23は、反射偏光板に限らず、例えば、入射光の右回りと左回りの2つの円偏光成分のうち、一方の円偏光成分を反射し、他方の円偏光成分を透過させる偏光分離フィルム(例えばコレステリック液晶フィルム)を挟んで、入射する直線偏光を円偏光にして前記偏光分離フィルムに入射させ、前記偏光分離フィルムから出射した円偏光を直線偏光にして出射する一対の位相差板(例えばλ/4板)を積層してなり、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる反射偏光素子でもよい。
【0197】
また、上記第1〜第8の実施例の液晶表示装置は、TN型の液晶素子1を備えたものであるが、液晶素子は、TN型に限らず、ツイスト配向、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向、横電界型、強誘電または反強誘型等のECB(複屈折効果)型液晶素子でもよく、その場合は、液晶素子の後側の偏光分離素子11または20をノーマリホワイトまたはノーマリブラック型の液晶表示装置を構成するように配置することにより、上記各実施例の液晶表示装置と同様な効果を得ることができる。
【0198】
さらに、上記各実施例の液晶表示装置は、異方性散乱層13の後側の偏光分離素子11または20と反射膜12との間に面光源16または16aを配置し、外光を利用する反射表示と、前記面光源16または16aからの照明光を利用する透過表示との両方の表示を行なうようにしたものであるが、この発明は、前記面光源16,16aを備えない、反射表示専用の液晶表示装置にも適用することができる。
【0199】
【発明の効果】
この発明の液晶表示装置は、液晶素子の前側に吸収偏光板を配置し、前記液晶素子の後側に入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子を配置し、さらに前記偏光分離素子の後側に反射膜を配置するとともに、前記液晶素子と前記偏光分離素子との間に、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記偏光分離素子を透過する偏光成分を透過させ、前記偏光分離素子により反射される偏光成分を散乱させる異方性散乱層を配置したものであるため、明るく、帯色が無く、しかも充分なコントラストの反射表示を行なうことができる。
【0200】
この発明の液晶表示装置において、前記異方性散乱層は、光学的に等方性な層と、この等方性層の屈折率と実質的に等しい屈折率の光学軸をもち、前記等方性層中に前記光学軸を一方向に揃えて分散された光学的に異方性な散乱物質とからなるものが好ましく、このような異方性散乱層を配置することにより、前記液晶素子の後側に配置された偏光分離素子を透過する偏光成分を透過させ、前記偏光分離素子により反射される偏光成分を散乱させることができる。
【0201】
また、この液晶表示装置は、前記液晶素子と異方性散乱層との間と、前記異方性散乱層と偏光分離素子との間のうち、少なくとも一方に、前記液晶素子の後側基板と前記異方性散乱層及び前記偏光分離素子よりも屈折率が小さい低屈折率層を設けた構成とするのが望ましく、このようにすることにより、前側への漏れ光をより少なくし、暗表示をさらに暗くして、よりコントラストの良い反射表示を行なうことができる。
【0202】
また、この液晶表示装置は、前記異方性散乱層の後側に配置された偏光分離素子と反射膜との間に、前記偏光分離素子を透過して前記反射膜に向かう光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる第2の偏光分離素子を配置した構成とするのが望ましく、このようにすることにより、明表示部からの光の出射面積を大きくし、明表示部を全体的に明るくするとともに、前記暗表示の影を無くし、二重像の無い良好な品質の反射表示を行なうことができる。
【0203】
さらに、この液晶表示装置は、前記異方性散乱層の後側の偏光分離素子と前記反射膜との間に、前面及び後面からの入射光をそれぞれ透過させ、端面からの入射光を前記前面から出射する導光板と、この導光板の前記端面に対向させて設けられた発光素子とからなる面光源を配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、外光を利用する反射表示と、前記面光源からの照明光を利用する透過表示との両方の表示を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【図2】第1の実施例の液晶表示装置のハッチングを省略した断面図。
【図3】第1の実施例の液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図。
【図4】異方性散乱層のハッチングを省略した断面図。
【図5】この発明の第2の実施例を示す液晶表示装置のハッチングを省略した断面図。
【図6】第2の実施例の液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図。
【図7】この発明の第3の実施例を示す液晶表示装置のハッチングを省略した断面図。
【図8】第3の実施例の液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図。
【図9】この発明の第4の実施例を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【図10】この発明の第5の実施例を示す液晶表示装置のハッチングを省略した断面図。
【図11】第5の実施例の液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図。
【図12】この発明の第6の実施例を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【図13】第6の実施例の液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図。
【図14】この発明の第7の実施例を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【図15】第7の実施例の液晶表示装置の反射表示のときと透過表示のときの入射光の透過経路を示す模式図。
【図16】この発明の第8の実施例を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【符号の説明】
1…液晶素子
2,3…基板
5…液晶層
10…吸収偏光板
10a…透過軸
11…偏光分離素子(反射偏光板)
11s…反射軸
11p…透過軸
12…反射膜
13…異方性散乱層
14…等方性層
15…異方性微粒子(散乱物質)
15a…光学軸
16…面光源
17…導光板
18…発光素子
19c,19d…低屈折率層(空気層)
20…偏光分離素子(反射偏光素子)
21…偏光分離フィルム
22…位相差板(λ/4板)
22a…遅相軸
23…第2の偏光分離素子(反射偏光板)
23s…反射軸
23p…透過軸
24…位相差板(λ/4板)
24a…遅相軸
16a…面光源
25…位相差板(λ/4板)を兼ねる導光板
25a…遅相軸

Claims (5)

  1. 表示の観察側である前側の基板とこの前側基板に対向する後側基板との間に液晶層が設けられ、前記液晶層に印加される電界に応じて透過光の偏光状態を制御する液晶素子と、
    前記液晶素子の前側に配置され、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板と、
    前記液晶素子の後側に配置され、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子と、
    前記偏光分離素子の後側に配置された反射膜と、
    前記液晶素子と前記偏光分離素子との間に配置され、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、前記偏光分離素子を透過する偏光成分を透過させ、前記偏光分離素子により反射される偏光成分を散乱させる異方性散乱層と、
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 異方性散乱層は、光学的に等方性な層と、この等方性層の屈折率と実質的に等しい屈折率の光学軸をもち、前記等方性層中に前記光学軸を一方向に揃えて分散された光学的に異方性な散乱物質とからなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 液晶素子と異方性散乱層との間と、前記異方性散乱層と偏光分離素子との間のうち、少なくとも一方に、前記液晶素子の後側基板と前記異方性散乱層及び前記偏光分離素子よりも屈折率が小さい低屈折率層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 偏光分離素子と反射膜との間に、前記偏光分離素子を透過して前記反射膜に向かう光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる第2の偏光分離素子が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  5. 偏光分離素子と反射膜との間に、前面及び後面からの入射光をそれぞれ透過させ、端面からの入射光を前記前面と後面の少なくとも一方から出射する導光板と、この導光板の前記端面に対向させて設けられた発光素子とからなる面光源が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
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