まず、照明装置について説明する。
照明装置はバックライトと呼ばれ、大別して直下型バックライトとエッジライト型バックライトの2種類に分類される。直下型バックライトは光源が照光面の内側にある構成のものである。一方、エッジライト型バックライトは、光源が照光面の外側に配置され、照光面である導光体が透明なアクリル樹脂等からなり、その1辺若しくは2辺に蛍光ランプ(冷陰極放電管若しくは熱陰極放電管)等の円柱状発光体を配置し、その外側に反射体からなるランプカバーを設けて、導光体内に光を導入する構成のものである。尚、薄型が要求される液晶ディスプレイにはエッジライト型バックライトが有効であり、軽量で額縁の小さいことが要求される液晶ディスプレイには直下型バックライトが有効である。
従来の液晶表示装置は、エッジライト型バックライトが主流であり、面内の均一性を得るために導光体裏面に白色インクが塗られている構成となっている。また、光利用効率を向上させるために、反射型偏光板を適用しており、この反射型偏光板としては、USP.5,486,949や“SID92ダイジェストpp.427”に開示された誘電体多層膜による偏光分離器と、特開平7−36032号公報や“アジアディスプレイ95ダイジェストpp.735”に開示されたコレステリックフィルム+1/4波長板がある。以後、前者の誘電体多層膜による偏光分離器を反射型偏光板タイプ1、後者のコレステリックフィルム+1/4波長板を反射型偏光板タイプ2と呼ぶことにする。
ここで、偏光状態を示すS偏光は入射面(入射面とは、入射光線と境界面にたてた入射法線がなす平面)に垂直な偏光であり、P偏光は入射面に平行な偏光である。
一般に、屈折率N0の透明媒体と屈折率N1の透明媒体の界面において、N0媒体からN1媒体へ光が入射するとき入射する光の入射角をθとすると、入射角θの正接がN1/N0に等しい(tanθ=N1/N0)とき、P偏光の反射成分はなく、すべて反射光はS偏光となり、透過光は残りのS偏光とP偏光であることが知られている。このときの入射角θをブリュースタ角という。このブリュースタ角を利用して、屈折率の異なる媒体を積層し、その積層膜厚を波長オーダーで制御することで、各偏光の位相を制御しP偏光のみを透過しS偏光を反射する反射偏光板を作製することが可能である。
反射型偏光板タイプ1の一例を図10,図11に示す。
図10は、屈折率異方性を有する一軸異方性透明媒体31Aと等方性透明媒体31Bを31Aの光軸を合わせて多層積層した反射型偏光板31である。この反射型偏光板31への入射光である無偏光140は、一方の直線偏光141のみ透過し、141に直交する直線偏光142は反射される。
図11は、プリスム状の形状に屈折率の異なる2種の透明媒体を交互に積層した構造である。反射型偏光板32は、無偏光143の内、P偏光成分144のみを透過し、それに直交するS偏光成分145を反射する。
この反射された直線偏光は、偏光解消子としての散乱板や、偏光状態を変化させる位相差板を使用すると、その位相差板により楕円偏光(直線偏光,円偏光を含む)になり、再び反射偏光板に入射し一方の直線偏光成分のみが透過し、他方の直交する直線偏光成分は反射され導光体へ戻る。理論的には、これを繰り返すことにより、殆どすべての光が直線偏光に変換され出射されることになる。
しかしながら、実際には各部の吸収等が存在するために、反射された直線偏光が、全てそれに直交する直線偏光に変換されるように、往復透過後1/2波長板になるように1/4波長板として作用する位相差板を設定することが好ましい。
一方、反射型偏光板タイプ2の一例を図12に示す。
図12の構成は、“アジアディスプレイ95ダイジェストpp.735”に記載されるコレステリック液層高分子を可視波長域で選択反射を示すようにピッチの異なるコレステリック液晶高分子33Bを積層し、無偏光146の内ある回りの円偏光を透過,逆回りの円偏光148を反射させ、その上に1/4波長板33Aを積層し、ある1方向の直性偏光147を透過するものである。
反射型偏光板タイプ2の作用は、右回り(又は左回り)の円偏光のみを透過し、左回り(又は右回り)の円偏光を反射し、透過した円偏光は、1/4波長板で1方向の直線偏光となる。一方、反射された左回り(又は右回り)円偏光は、鏡面反射板で反射されて、右回り(又は左回り)の円偏光となり反射偏光板タイプ2を透過し、1/4波長板で1方向の直線偏光となり全ての光が直線偏光に変換される。反射板が鏡面反射板でない場合でも、反射光は、楕円偏光(直線偏光,円偏光を含む)になり、再び反射偏光板に入射し右回り(又は左回り)の円偏光のみが透過し、左回り(又は右回り)の円偏光は反射され導光体へ戻る。これを繰り返すことにより、殆どすべての光が右回り(又は左回り)の円偏光のみに変換され、その後1/4波長板で1方向の直線偏光となり出射される。従って、反射板には少なからず光の吸収が存在するため、反射された左回り(又は右回り)の円偏光が、全て右回り(又は左回り)の円偏光に変換されるように、鏡面反射板であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の構成及び効果と、従来のそれとの相違について明確にするために、まず、従来の液晶表示装置について図33〜図36を用いて説明する。
図35は、従来のエッジライト型バックライトの構成を示す図である。
この構成によるエッジライト型バックライトは、1枚の透明なアクリル樹脂からなり裏面に白色インクを有する導光体53の裏面に反射板54を、導光体53側面の少なくとも一方に光源51を配置し、更に導光体53の出射面に拡散板56が配置されている。
また、正面輝度を上げるための構成として、光路変換素子40が光源51の長辺と平行もしくは垂直に配置されている。この光路変換素子40は、図に示すような三角断面を有するストライプ形状である。また、液晶表示素子20は最も一般的なモードとして90°捩じれを有するTNモードが適用されている。尚、この液晶表示素子20は、下側偏光板の偏光透過軸14BBと上側偏光板の偏光透過軸14AAが直交するように配置された所謂ノーマリーホワイトモードである。従って、反射型偏光選択板30の偏光透過軸31は、下側偏光板の偏光透過軸14BBと平行に配置されている。つまり、光路変換素子40のストライプ方向41(以後、この方向41に直交する光路が変換される方向を光路変換素子の光路変換軸と呼ぶことにする)は、反射型偏光選択板30の偏光透過軸31と45°で交差する構成となっている。
反射型偏光選択板30として反射型偏光板タイプ1を適用した場合、上記のような構成では、図34に示すように、無偏光である導光体からの出射光194は、一方の直線偏光195が透過し、他方の直交する直線偏光196は反射型偏光板31で反射される。また、光路変換素子40の複屈折性の光軸が光路変換軸方向にあることがわかったが、この時、直線偏光である反射光196は、その偏光軸方向が光路変換素子40と45°角度を為すために、光路変換素子40の複屈折性により、偏光が維持できず直線偏光が楕円偏光になる。また、導光体裏面の白色インク及び拡散板56の光拡散により無偏光になり、反射板54で反射され無偏光197になる。従って、反射型偏光板31の偏光透過軸に平行な成分のみ透過し、透過光195と同一偏光である直線偏光透過光195Aとなる。透過光195Aの直線偏光とは直交する反射された直線偏光196Aは、反射光196と同様な過程で無偏光197Aとなる。透過光195,195Aと同一偏光である直線偏光透過光195Bとなる。更に、反射光196Bは、反射光196Aと同様の過程で無偏光197Bとなる。
以上の過程を繰り返すことで、理論的にはすべての光が同一の直線偏光に変換されて出射されることになるが、実際に液晶表示装置からの出射光の効率を測定すると、反射型偏光板31の有無で、高々30%程度光束量が増加するのみであった。この効率低下の直接要因は、反射板54,導光体,白色インク、及び拡散板56等の吸収、更には、反射型偏光板31の不完全性による不要偏光の透過であると考えられる。つまり、各部材の吸収は1回の透過反射ではわずかであるが、従来の構成では、1回の反射で効率良く偏光変換が行われないために多数回の反射・透過で偏光変換が行われるため各部材による吸収が増大してしまっている。つまり、効率低下の根本原因は、図35における光路変換素子40のストライプ方向41と反射型偏光選択板30の偏光透過軸31が45°で交差しているために、その複屈折性により直線偏光が楕円偏光に変換されることによる。これにより、1回の反射で効率良く偏光変換されずに、多数回の反射により偏光変換されるため、各部材の吸収の影響を大きく受け偏光変換効率が低下すると考えられる。
また、反射型偏光選択板30として反射型偏光板タイプ2を適用した場合、上記構成では、図33に示すように、無偏光である導光体からの出射光190は、一方の円偏光が透過し位相差板33Aで直線偏光191となり透過する。また、他方の円偏光192は反射型偏光板33で反射される。この時、円偏光である反射光192は、光路変換素子40の複屈折性により偏光が維持されず楕円偏光になる。また、導光体裏面の白色インク及び拡散板の光拡散により無偏光になり、反射板54で反射され無偏光193になる。従って、反射型偏光板33により一方の円偏光は透過し、位相差板33Aで191と同一の直線偏光191Aとなり、他方の逆回り円偏光192Aは反射され、反射光192と同様の過程で無偏光193Aとなる。同様の過程により、191B,192B,193Bとなる。
従って、この構成でも、理論的にはすべての光が同一の直線偏光に変換されることになるが、反射型偏光板タイプ1を用いた場合と同様に光利用効率向上は高々30%程度向上するのみであった。この要因は、反射型偏光板タイプ1の時と同様に多数回の反射による吸収損失であると考えられる。この反射型偏光板タイプ2の場合、円偏光が反射されるために、光路変換素子40を複屈折性のない等方性媒体を用いるか、光路変換素子40へ反射光が入射する前に光路変換軸と直交もしくは平行になるように位相差板を配置すればこの要因を緩和できると考えられる。
従来から、正面輝度を更に向上させるための構成として、図36の示す光路変換素子40,42のように、それぞれの光路変換軸を直交するように光路変換素子を配置させる構成が考えられている。この構成は、一枚の光路変換素子では一軸方向(水平又は垂直方向)のみに指向性を持たせていたものを、略全方位に指向性を持たせて正面輝度を上げることができるというものである。
従来のエッジライト型バックライトは、1枚の透明なアクリル樹脂からなり裏面に白色インクを有する導光体53の裏面に反射板54を配置し、また導光体53の側面の少なくとも一方に光源53を配置し、更に導光体53の出射面に拡散板56が配置される構成となっている。更に、光路変換素子40,42の光路変換軸は、光源51の長辺と平行もしくは垂直に配置されている。
液晶表示素子20は、最も一般的なモードとして90°捩じれを有するTNモードが適用されている。この例では下側偏光板の偏光透過軸14BBと上側偏光板の偏光透過軸14AAが、直交するように配置された所謂ノーマリーホワイトモードとなっている。従って、反射型偏光選択板30の偏光透過軸31は、下側偏光板の偏光透過軸14BBと平行に配置される構成となっている。つまり、光路変換素子40,42のストライプ方向41,43は、反射型偏光選択板30の偏光透過軸31と平行又は直交する構成となっている。このように構成した液晶表示装置であっても、図35と同様に反射型偏光板の適用により光利用効率がわずかに30%程度向上したのみである。この構成において、反射型偏光選択板30として、反射型偏光板タイプ2を用いた時には、光路変換素子40の直前に位相差板を配置して直線偏光にする必要があるが、反射型偏光板タイプ1を使用しても高々30%程度の光利用効率の向上である。この原因としては、光路変換素子40,42は異方性媒体であり、その光学軸の射影成分が入射する直線偏光と平行もしくは垂直にあっても偏光状態の変化を招くためであることがわかった。その偏光状態の変化の作用が光路変換素子が一枚の時には小さいが、二枚の時には一枚の時に比べ増強されたことによることがわかった。このように増強される原因は、光路変換素子40の頂角を90°とした時、垂直に入射した光は全反射されて出射されないために、2枚使用することで多重反射を繰り返し、偏光状態の変化を大きく受け効率が低下すると考えられる。
上述のように光利用効率向上及び正面輝度向上のために反射型偏光板及び光路変換素子を用いた場合、多数回の反射により光利用効率が向上できないことがわかってきた。また、光路変換素子の光路変換軸が偏光透過軸と合わないために効率が向上できないことがわかってきた。
そこで、本発明による、1回の反射で効率良く反射光を再利用する原理について、図13,図14を用いて説明する。
まず、反射型偏光選択板30として反射型偏光板タイプ1を適用した時の作用を図13により説明する。
導光体からの出射光である無偏光160の内、一方の直線偏光161が透過し、透過光161と直交する他方の直線偏光162は反射型偏光板31で反射され、1/4波長板として作用する複屈折媒体60により円偏光163に変換される。また、円偏光163は、反射板54で反射され163とは逆回りの円偏光164となる。円偏光164は、複屈折媒体である光路変換素子40で透過光161と同一の直線偏光165となり、反射型偏光板31を透過し166となる。この過程により一回の反射ですべての光が同一の直線偏光に変換され効率のよい偏光変換が達成できるというものである。
また、反射型偏光選択板30として反射型偏光板タイプ2を適用した時の作用を図14により説明する。
導光体から無偏光170の内、一方の円偏光171が透過し、1/4波長板として作用する複屈折媒体33Aにより、直線偏光172となる。一方、コレステリック層33Bで反射された他方の円偏光173は、反射板54により鏡面反射され円偏光173と逆回りの円偏光174となる。円偏光174は、コレステリック層33Bを透過し、複屈折媒体33Aにより172と同一の直線偏光176となり出射される。この過程により一回の反射ですべての光が同一の直線偏光に変換され効率のよい偏光変換が達成できる。このタイプ2の反射型偏光板を用いる時には、光路変換素子に入射する前に直線偏光の変換するか、光路変換素子を少なくても1軸異方性更には等方性媒体を適用することが好ましい。光路変換素子として一軸異方性媒体を使用する場合は、直線偏光が透過後円偏光になるように1/4波長板として働くようにすることが好ましい。
このように、1回の反射で効率良く偏光変換を行うためには、光路変換素子の配置を複屈折性の影響を受けないような配置にする必要がある。また、導光体,拡散板等も偏光を維持するようにすることが効率向上には最適であることがわかった。また、全方位で指向性を高め、正面輝度向上を図る場合、従来、光路変換素子40を2枚用いていたが、2枚使用すると多重反射で効率が低下することがわかったので、一軸方向は導光体で指向性を高め、直交方向は光路変換素子で指向性を高める構成とすることが有効であると考えられることがわかった。
ここで、本発明による導光体の一例を図7〜図9により説明する。
反射型偏光板からの反射光の偏光を維持したまま再び液晶表示素子側に反射させるために、図7において導光体53裏面に微細な鏡面反射の傾斜面53Bとフラットな鏡面部53Aとを設け、導光体53の裏面に鏡面反射板54を設ける。このとき、傾斜面53Bはフラット部53Aに比べて面積比率を小さくする。また、傾斜面53Bは導光体53から光を出射させるための面で、鏡面反射面で、フラット部53Aは、導光体53内を全反射して伝搬させるためのものである。傾斜面及びフラット面を金属反射面にしてもよいが、導光体内を伝搬する時の反射回数は多数になるために、反射率の最も高い全反射を利用することが好ましい。
また、図8に示すように傾斜部53Aと若干傾斜したフラット部53Bを設けることも出来る。
この構成により、反射型偏光板から反射された光の殆どは導光体裏面のフラット部を透過し、裏面に配置された反射板で偏光状態を略維持したまま再び導光体から出射れる。これにより、液晶表示素子の入射側偏光板による吸収が殆どなく効率良く光を利用でき明るさ向上を図ることができる。また、図9に示すように傾斜部53Aと階段状のフラット部53Bを設けることも出来る。この構成により、反射型偏光板から反射された光の殆どは導光体裏面のフラット部を透過し、裏面に配置された反射板で偏光状態を略維持したまま再び導光体から出射れる。これにより、液晶表示素子の入射側偏光板による吸収が殆どなく効率良く光を利用でき明るさ向上を図ることができる。
光源からの光120が導光体53裏面のフラットな鏡面部53Aに入射した場合は全反射121し、導光体53中を伝搬し、微細な鏡面反射面53Bへ入射したときのみ導光体53より出射110Aされる。又は、透過光は導光体53中を伝搬111する。また、導光体53上面でも全反射する。導光体53の表面において、導光体の屈折率によって定まる全反射角θc以上の入射角の光が全反射し、導光体内を伝搬する。全反射角θc以下の入射角の光が導光体の上面で屈折し出射される。例えば、空気(屈折率n=1)と透明樹脂、例えば、アクリル,ポリカーボネート,ポリウレタン,ポリスチレン等のようなプラスチック(屈折率n=1.5程度)の界面における全反射角θcは、θc=sin-1(1/n)=42°で与えられる。導光体へ入射した光θは、−(90°−θc)≦θ≦+(90°−θc)内の光となるために、導光体の上面及び下面のフラット部では全反射する。
更に、図9においては、微細な鏡面反射面53Bへ入射したときのみ導光体53より出射110Aされると同時に透過光も導光体53裏面の反射板で反射され出射光11Aとなる。
本発明で最も重要である構成は、一軸方向は導光体で、それに直交する方向は光路変換素子で実現し、反射型偏光板を使用したときの再利用効率を向上させるために光路変換軸を偏光方向と垂直にすることである。液晶表示素子の画素の縦横比が3:1であることを利用して、少なくとも画素の短軸方向の平行度を上げることのできる図7〜図9の照明装置を用いる。これらの照明装置は、ストライプの溝が裏面に形成されているため図面に垂直方向の偏光成分が大きい。そこで、更に光利用効率を向上させるため、この偏光成分の大きいストライプ溝方向と、液晶表示素子の偏光板の偏光透過軸を合わせる構成とすることが考えられる。
更に光利用効率を大幅に向上させるため、光路変換素子の光路換軸と反射型偏光板の偏光透過軸と略直交させる構成とする。更に光利用効率を向上させるためには、平行化した照明装置上に液晶表示素子を配置し、出射側偏光板に外側(又は、偏光維持性能が高ければ内側へ)スクリーンを配置する構成とする。この構成により、液晶表示素子透過光を広げ視野角を拡大することができる。尚、このスクリーンは、外光を吸収し液晶表示素子の垂直透過光を効率良く透過し、斜め入射光を吸収するスクリーンを使用する。
さらに、吸収タイプのカラーフィルタの吸収損失を低減し、光利用効率向上を図るために、反射型の色選択層を適用する場合にも、上記構成と同様に偏光方向を考慮して配置することが好ましい。
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
まず、本発明の実施例について図1を用いて説明する。
本実施例では、図面の左右方向には特に指向性の強い(平行度の高い)照明装置50,反射型偏光選択板30として誘電体多層膜からなる図10の反射型偏光板31を、また、液晶表示素子20,光路変換素子40,複屈折媒体60,広視野角を図るスクリーン10を用いた構成となっている。
本実施例に適用する照明装置50としては、エッジライト型バックライト又は直下型バックライトを用いる。本実施例による照明装置50は、光源51の出射光に少なくとも一軸方向に指向性を持たせるため、例えば、図1のように導光板53の裏面に図面垂直方向には一定の微細な溝を設け、背面反射板54として反射率の高い金属(アルミ・銀等)を配置する構成となっている。光源51からの出射光の内、導光板53の裏面の左傾斜部に照射された成分は、反射され、指向性の強い(図面左右方向)光として上部に出射される。一方、右傾斜部に照射された成分は導光板53中を導光することにより面内の均一性が図れる。また、本実施例のようにストライプ溝を形成した導光体により、図面に垂直方向の偏光成分が大きくする。従って、導光体のストライプ溝方向と平行に、液晶表示素子20の下側偏光板14Bを配置すれば更に好ましい構成となる。尚、この構成については後述する。
本実施例の照明装置は、光源51が図面に垂直方向に長く、その回りには反射板52が配置され光源51からの出射光110を導光板53に導くような構成になっている。光源51には冷陰極蛍光ランプを用いたがこれに限定されるものではない。また、表示面側にスクリーン10を配置しているために、透過率の向上、及び斜め入射に対する混色を無くす必要があり、少なくとも図面左右方向には指向性を持たせることが必要である。そこで、図7〜図9に示すように、本実施例による照明装置50の透明アクリル樹脂からなる導光板53の裏面は、微細な溝構造を形成することにより、導光板53からの出射光の少なくとも図面の左右方向に指向性を持たせることのできる構成とした。
この構成では、導光板53への入射光110の内、微細溝の傾斜部53Bへ入射した光は、傾斜角53Dにより反射され出射光110Aとして導光板53から出射される。一方、微細構造のフラット部53Aに入射した光は、全反射し、導光体53内を導光して図面右方向へ伝播し、傾斜部へ入射した時のみ出射光110Aとなり出射する。導光体53裏面の微細構造は、ピッチ53Cを200μm、傾斜角53Dを40度とした。但し、ピッチ53Cは10μm〜1000μm程度、傾斜角53Dは20度〜50度程度であれば良い。
図30により、本実施例で用いた照明装置50の出射特性を示す。
図面垂直方向特性は25A、図面左右方向特性は25Bであり、一軸方向に指向性の強い照明装置を実現できた。更に、この照明装置50に、頂角が略90°でストライプ形状の光路変換素子40(3M製の商品名BEF)を、導光体53のストライプ溝に直交するように適用した出射特性を図31に示す。図面垂直方向特性は25C、図面左右方向特性は25Dであり、図面垂直方向にも指向性の強い照明装置を実現できた。本実施例では、指向性のより強い方向を液晶表示素子の画素短軸方向に合わせた。
液晶表示素子20として、一対の透明基板11A,11B間に液晶層13を挟持し、図面に垂直方向にストライプ状のカラーフィルタ12,出射側基板11A及び入射側偏光板11Bに吸収型偏光板、及びスクリーン10を配置する。ここで、液晶層13は、90度捩じれを有するツイストネマチック層として、屈折率異方性Δndを0.4μmとした。また、透明基板11A,11Bはコーニング7059ガラス基板を使用し、その厚みを0.7mmとした。スクリーン10は、吸収型偏光選択板14Aの内側に配置する場合は偏光を維持することが必要である。また、吸収型偏光板として日東電工製の偏光板G1220DUを用いた。図1においては、液晶を一定方向にならべるために配向膜、液晶層13に電界を印加するための電極,スイッチング素子,配線等は省略している。また、一画素の大きさはRGB各100μm×300μmとした。ここで、図面の垂直方向に長軸を有する画素配置とした。液晶層13として、初期配向(電圧無印加時)として、ホモジニアス配向,ツイスト配向及びホメオトロピック配向を用いることができ、ホモジニアス配向・ツイスト配向は正の誘電異方性を持つ液晶,ホメオトロピック配向は負の誘電異方性を有する液晶を用いる。ツイスト配向としては、90度ツイスト配向が代表的であるが限定されるものではない。
本実施例によるスクリーン10の詳細を図2〜図4に示す。
スクリーン10は、球形状で、屈折率1.7のビーズ10A及び黒色吸収体10Bから構成されている。スクリーン10は、図4に示すようにビーズ10A,黒色吸収体10Bを最密構造になるように配置する。スクリーン10を出射側から見ると、10Cで示されるわずかな開口部を有し、その他の領域は10Bの黒色吸収体からなっている。このスクリーン10への平行入射光101Aは、ビーズ10Aへの入射角及び屈折率により開口部10Cへ集光され、スクリーン10から広がって出射101Bされる。一方、スクリーン10への斜め入射光102Aは、黒色吸収体10Bにより吸収され出射されない。従って、この構成により、画像の解像度を低下させる斜め入射光は吸収できることとなる。また、ディスプレイは、オフィス環境等の外光が存在する環境で使用されるが、本スクリーン10は、図3,図4に示すように表示面側から見た時はほとんどが吸収体10Bで覆われているために外光150Aはほとんどが吸収され、開口部10Cの反射成分150Bがわずかに反射されるのみである。従って、外光の存在する環境下においても表示の黒輝度が上昇しコントラスト比を低下させる事が無い構成とすることができる。本実施例では、球状ビーズを配列したスクリーンを使用したが、半球のマイクロレンズアレイとしても良い。更には、例えば、少なくとも照明装置50の指向性の強い方向に視野角拡大効果のあるストライプ状のロッドレンズアレイを配置してもよい。
本実施例においては、導光体53のストライプ溝方向と、光路変換素子40の溝方向を直交させて、導光体53のストライプ溝方向と反射型偏光選択板30の偏光透過軸方向を合わせる構成とした。導光体53からの出射光110Aは、図面に垂直方向の偏光成分が大きく、反射型偏光選択板30の偏光透過軸を合わせているため効率良く透過110Bして液晶表示素子20へ入射する。また、光路変換素子40の変換軸も合わせているために、110Bに直交する直線偏光である反射光110Cも複屈折媒体60で効率良く円偏光に変換され、反射板54で反射され再び複屈折媒体60を透過し、110Bと同一の直線偏光110Dとなり、液晶表示素子20への入射光110Eとなる。その結果、光の利用効率を図39,図41の構成と比較して20%以上向上することができる。また、本実施例の表示装置の解像度も高く、視野角性能が従来の液晶表示素子には無い全く階調間の反転が無く、色変化,コントラスト比変化の視野角依存性がほとんど無い表示を得ることができた。
図1の実施例の詳細を図5,図6に示す。
本実施例では、照明装置50の微細ストライプ溝方向と略45°になるように複屈折媒体60の延伸軸61を配置し、光路変換素子40のストライプ溝方向41を導光体53の微細ストライプ溝方向と略平行になるように配置して構成した。その結果、ストライプ溝方向41には、平行度が高く、偏光透過軸14AA方向に平行度を高めた照明装置50を実現することができた。尚、導光体53からの出射光がストライプ溝方向の偏光成分の高いことから、複屈折媒体60を導光体53と反射板54間に配置しても良い。また、液晶表示素子20の入射側偏光板の偏光透過軸14BB,出射側偏光板の偏光透過軸14AAを図示するように直交させ、反射型偏光選択板30の偏光透過軸31を14BBと略平行にし、更に、偏光透過軸31と光路変換素子40のストライプ溝方向41を略直交に配置して構成した。この構成により、図6に示すように導光体53からの出射光110Aは前述のように110C,110Dの過程を通って、1回のパスで効率良く偏光変換が行われるような出射光110B,110Eとなっている。光路変換素子40が複屈折性を有する場合、光路変換素子40と複屈折媒体60で1/4波長板として働くようにするか、光路変換素子40の複屈折性が無視できるように光軸を直線偏光方向と合わせることが好ましい。
図1の実施例では、反射型偏光選択板30としてタイプ1である図10の31を用いたが、タイプ2の反射型偏光板を含め、光路変換素子を用いた時の最適構造と、その詳細な実施例を図15,図16に示す。
まず、図15に反射型偏光選択板30としてタイプ1の反射型偏光板31を用いた照明装置を示す。
本実施例の断面図は、図1の断面方向とは異なり、図1の断面方向の方位角を90°回転した方向の断面図を示している。
図15の構成では、導光板の裏面に反射板54を配置し、導光板上に複屈折媒体60,光路変換素子40,反射型偏光板31を配置した構成である。
導光板から出射される出射光130は、図面に平行方向の偏光成分が大きい出射光であり、光路変換素子40により正面方向に指向され、反射型偏光板31を透過131する。一方、反射型偏光板31で反射された透過光131と直交する直線偏光132は、光路変換素子を透過,屈折し、複屈折媒体60を透過し、円偏光133となる。また、この時、複屈折媒体60は、斜め入射に対して1/4波長板として作用する。反射板54で反射された円偏光134は、円偏光133と逆回りの円偏光であり、複屈折媒体60で直線偏光となり、光路変換素子40で屈折され、屈折光135は、反射型偏光板31の偏光透過軸と同一となり出射光136になる。このように1回のパスで効率良く偏光変換が実現できる。
次に、図16に反射型偏光選択板30としてタイプ2の反射型偏光板33を用いた照明装置を示す。
本実施例の断面図は、図15と同様に図1の断面方向の方位角を90°回転した方向の断面図を示している。導光板の裏面に反射板54を配置し、導光板上に複屈折媒体61A,61B,光路変換素子40,反射型偏光板33を構成する位相差板33A,コレステリック層33Bを配置した構成である。
導光体から出射光180は、図面に平行方向の偏光成分が大きい出射光であり、光路変換素子40により正面方向に指向され、コレステリック層33Bを透過181し、位相差板33Aで直線偏光に変換される。一方、コレステリック層33Bで反射された透過光181と逆回りの円偏光182は、複屈折媒体61Aで直線偏光184に変換され、光路変換素子40を透過,屈折し、複屈折媒体61Bを透過し、円偏光185となる。また、この時、複屈折媒体61Bは、斜め入射に対して1/4波長板として作用する。反射板54で反射された円偏光186は、円偏光185と逆回りの円偏光であり、複屈折媒体61Bで直線偏光となり、光路変換素子40で屈折され、屈折光187は、複屈折媒体61Aで円偏光187になり、コレステリック層33Bを透過し、円偏光189は、位相差板33Aで透過光182と同一の直線偏光190となり出射される。このように、1回のパスで効率良く偏光変換が実現できる。
次に、更に従来のカラーフィルタによる吸収損失を無くし光利用効率を向上させ低消費電力で明るい表示を得るための実施例について示す。
図17に示すようにコレステリック層73,反射型色選択層70としてコレステリック層73とは逆捩じれの2層コレステリック層72と1/4波長板として作用する位相差板71,液晶表示素子20の上部側にスクリーン10とで構成される。その他の構成は、図1と同様に図20に示された構成である。
図17において反射型色選択層70は、特定波長の特定偏光を透過し、特定偏光のその他の波長を反射する。例えば三原色(赤,緑,青)の内の一色を透過し、他の色を反射する。また、コレステリック層73は、少なくても可視波長領域で、一方の円偏光を透過し、他方の円偏光を反射する。このように照明装置50上にコレステリック層73,反射型色選択層70,液晶表示素子20を配置することにより、前述のように各層70,73からの反射光を再利用でき吸収損失の少ない光利用効率の高い液晶表示装置を実現できる。
次に、図21に示される照明装置を用いた液晶表示装置の実施例について図20により説明する。
本実施例による照明装置は、図21に示すように導光体53の裏面にはストライプ状微細溝を有し、側面には光源51及びランプカバー52を備え、導光体背面に反射板54を配置する構成である。
本実施例の照明装置50は、ストライプ溝に直交する方向の出射特性は指向性が高く、ストライプ溝に平行方向は出射特性に広がりのある特性で、定性的には300,301で示される出射特性である。
ここで、図21の照明装置の出射特性を図30に示す。
導光体53の微細ストライプ溝方向に平行方向は25A、それに垂直方向は25Bのような特性になり、一軸方向は十分に平行度を高めることができた。
本照明装置50を適用した実施例を図20に示す。
導光体53のストライプ溝方向と、光路変換素子40の溝方向を直交させて、導光体53のストライプ溝方向と反射型偏光選択板30の偏光透過軸方向を合わせた。導光体からの出射光ストライプ溝に平行方向の偏光成分が大きく、反射型偏光選択板30の偏光透過軸を合わせているために効率良く透過し、液晶表示素子20へ入射する。また、光路変換素子40の変換軸と反射型偏光選択板30の偏光透過軸を略平行するように合わせている構成である。この構成のより、導光体53からの偏光成分の高い方向を合わせているため効率良く偏光変換が達成でき光利用効率を大幅に向上できる。また、本実施例の表示装置の解像度も高く、視野角性能が従来の液晶表示素子には無い全く階調間の反転が無く、色変化,コントラスト比変化の視野角依存性がほとんど無い表示を得ることができる。
次に、本発明による反射型色選択層70,反射型偏光選択板73の作用について図18を用いて詳細に説明する。
反射型色選択層70の一例として、コレステリックの選択反射を利用したコレステリック層72A〜72Cと各波長に対して1/4波長として作用する位相差板71を用いる。この位相差板71は、各色において1/4波長として作用するようにコレステリック層72同様に各色毎に配置されていても良い。反射型偏光選択板73として例えば、少なくても3原色に対して特性反射を有するコレステリック層を用い、コレステリック層72A〜72Cとは逆ねじりの層とする。反射型色選択層70としてのコレステリック層72A〜72Cと位相差板71及び反射型偏光選択板としてのコレステリック層を導光部と反射部からなる照明装置上に配置する。
この反射型偏光選択板73としてのコレステリック層を用いることは既に知られており、特開平3−45906号公報,特開平6−324333号公報に開示された技術を適用することができる。コレステリック層による選択反射波長λ=(no+ne)/2Pはコレステリックの螺旋ピッチP,材料の常方向no,異常方向屈折率neで決まり、選択反射帯域Δλ=ΔnPは、屈折率異方性Δn=ne−noと螺旋ピッチPで決まる。しかしながら、Δnは高々0.3程度であり全可視域をカバーすることができないため、異なるピッチのコレステリック層を積層あるいは、コレステリック層内でピッチを変化させて対応する。また、反射型色選択層70としてのコレステリック層72A〜72Cは、反射型偏光選択板73と同様の材料を用いることができ、赤,緑,青の特性反射をするようにそれぞれの層の螺旋ピッチを設定する。選択反射中心波長、選択反射帯域は限定されないが、それぞれの中心波長を470nm,550nm,620nmとし、特性反射帯域を±35nm程度が好ましい。
説明の都合上、コレステリック層72A〜72Cは右捩じれ、反射型偏光選択板73として用いるコレステリック層73は左捩じれとする。従って、コレステリック層73は、可視領域で左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。また、コレステリック層72A〜72Cはそれぞれ、赤色の右円偏光,緑色の右円偏光,青色の右円偏光を反射し、それ以外の色を透過する。
透明アクリル樹脂からなる導光部からの白色無偏光である出射光200は、反射型偏光選択板であるコレステリック層73に入射し、透過光は白色の右円偏光201に反射光は白色の左円偏光203となる。透過光である白色の右円偏光201は、コレステリック層72A,72Cに入射し、緑色の右円偏光202が透過し、青色,赤色の右円偏光206は反射される。また、透過した緑色の右円偏光は位相差板71により緑色の直線偏光213になる。
一方、反射された白色の左円偏光203は、導光部の裏面に配置された反射板54で反射され、左円偏光207になり、コレステリック層73を透過する。コレステリック層73を透過した白色の右円偏光はコレステリック層72B,72Cに入射し、赤色の右円偏光205のみが透過し、残りの右円偏光211は反射される。透過した右円偏光205は、位相差板71により緑色の直線偏光213と同一方向の赤色直線偏光214に変換される。
反射された青色,赤色の右円偏光206は反射板54で反射され青色,赤色の左円偏光207になり、コレステリック層73で左円偏光208のまま反射され、再び反射板54で反射され右円偏光209になる。右円偏光209は、コレステリック層73を透過し、コレステリック層72A,72Bへ入射し、青色右円偏光210のみ透過し、残りは反射される。透過した青色右円偏光210は、位相差板71で直線偏光213,214と同一方向の直線偏光215に変換される。ここで、導光部53,反射板54に散乱による偏光解消がない場合を例に挙げて説明したが、偏光解消がある場合には、所望の偏光成分のみ透過し、不要の偏光成分は反射されることを繰り返すことにより光の再利用が行われる。
また、反射型色選択層であるコレステリック層からの反射光211,212は、上記と同様な現象で再利用される。
次に、反射型色選択層70,反射型偏光選択板73の作用について図19を用いて説明する。
反射型色選択層70の一例として、各色の直交する一方の直線偏光を透過し、他方の直線偏光を反射する誘電体多層膜74A〜74Cを利用する。反射型偏光選択板として例えば、少なくても3原色に対して直交する一方の直線偏光を透過し、他方の直線偏光を反射する誘電体多層膜73Bとする。誘電体多層膜74A〜74Cと誘電体多層膜73Bの偏光方向は略等しく配置する。反射型色選択層70としての誘電体多層膜層74A〜74C及び反射型偏光選択板としての誘電体多層膜層73Bを導光部と反射板からなる照明装置上に配置する。好ましくは、各波長に対して1/4波長として働く位相差板61Cを誘電体多層膜73Bと反射板54間に配置する。更に好ましくは、反射型色選択層である層に合わせてストライプ状にして各色に対して位相差を合わせた位相差板61Cとする。更に、好ましくは指向性を高めるために光路変換素子40を配置しても良い。
この反射型偏光選択板としての誘電体多層膜73Bを用いることは既に知られており、例えばWO95/27919に開示された技術を適用することができる。また、反射型色選択層70としての誘電体多層膜層74A〜74Cは、反射型偏光選択板と同様の材料を用いることができ、赤,緑,青の直交する直線偏光の一方の直線偏光を透過し、他方の直線偏光を反射するようにそれぞれの層を設定する。
説明の都合上、図面に垂直方向の直線偏光を+として、図面の左右方向の直線偏光を−として表記する。透明アクリル樹脂からなる導光部からの白色無偏光である出射光200Aは、反射型偏光選択板である誘電体多層膜73Bに入射し、透過光は白色の+直線偏光201Aに反射光は白色の−直線偏光203Aとなる。透過光である白色の+直線偏光201Aは、誘電体多層膜層74A,74Cに入射し、緑色の+直線偏光202Aが透過し、青色,赤色の+直線偏光209Aは反射される。
一方、反射された白色の直線偏光203Aは、位相差板61Cで右円偏光204Aに変換され、導光部53の裏面に配置された反射板54で反射され、左円偏光205Aになり、再び位相差板61Cを透過して、+直線偏光206Aに変換され、誘電体多層膜層73Bを透過し、+直線偏光207Aになる。誘電体多層膜層73Bを透過した+直線偏光207Aは誘電体多層膜層74B,74Cに入射し、赤色の+直線偏光208Aのみが透過し、残りの+直線偏光218Aは反射され、同様な原理で再利用される。
反射された青色,赤色の+直線偏光209Aは、位相差板61Cで左円偏光210Aに変換され、反射板54で反射され青色,赤色の右円偏光211Aになり、再び位相差板61Cに入射し、−直線偏光212Aになり、誘電体多層膜層73Bで反射され反射された−直線偏光213Aは、位相差板61Cを透過後右円偏光214Aになり、反射板54で反射され左円偏光215Aになり、再び位相差板61Cを透過し+直線偏光216Aとなり、誘電体多層膜層73Bを透過する。透過光である+直線偏光216Aは、誘電体多層膜層74A,74Bに入射し、青色の+直線偏光のみが透過し、残りが反射され反射光219Aとなり同様な原理で再利用される。ここで、導光部,反射板54に散乱による偏光解消がない場合を例に挙げて説明したが、偏光解消がある場合には、所望の偏光成分のみ透過し、不要の偏光成分は反射されることを繰り返すことにより光の再利用が行われる。
以上のように図18,図19で反射型色選択層70と反射型偏光選択板73の作用について述べたが、反射型色選択層70にコレステリック層,反射型偏光層73に誘電体多層膜層を、反射型色選択層70に誘電体多層膜層,反射型偏光選択板73にコレステリック層を用いることもでき、これに限定されるものではない。
更には、図18,図19で説明した反射型偏光選択板73の視野角特性は、一般的に吸収型偏光板と比較すると悪い(斜め入射により所望の偏光状態からずれた偏光状態になる)ので、照明装置の平行度に合わせて必要であれば、液晶表示素子の入射面側に図26に示すよう吸収型偏光選択板14Bを配置することが好ましい。更に、反射型色選択層70の視野角特性も一般に悪く、斜め入射により偏光状態が所望の偏光状態からずれるため、照明装置の平行度に合わせて、必要であれば、液晶表示素子内に吸収型色選択層としてカラーフィルタを配置することが好ましい。更には、反射型色選択層70の視野角依存性を補償するために、斜め入射光を吸収する図2〜図4に示すようなスクリーンを用いることが好ましい。また、反射型色選択層70の視野角依存性を補償するために、所望の色以外を吸収する色素等を混入又は積層することができる。
更には、反射型色選択層をストライプ状に配置しそのストライプ方向に直交する方向に指向性を有する照明装置を用い、表示面側でその指向性を有する方向のみ拡散させることで反射型色選択層間の混色のない広視野角な表示を得る。このように反射型色選択層をストライプ状に配置すれば、そのストライプ方向には指向性を設けることなく画素(画素)間の混色による画質の劣化を排除することができる。また、照明装置も一方向にのみ平行度(指向性)を高めることにより、照明装置自体の出射光量を増加させることができるばかりか、構造も単純化することができる。例えば、上記照明装置のストライプ微細溝を反射型色選択層のストライプ方向と略平行にし、導光体上部のレンズシートを省くことができる。
更に、反射型色選択層の液晶層側に第2の吸収型偏光選択層を配置することで、斜め入射に対する反射型色選択層の特性変化(色変化,偏光変化)を補償し、斜め入射光に対する色再現性の高い表示を得る。ストライプ方向には、光源の広がりが存在しても、ストライプ方向は同色であるために混色等の問題がなくなるばかりか、光の利用効率を劣化させることなく、指向性を高めることができ光利用効率の高いカラー液晶表示装置が実現できる。
更に好ましくは、反射型色選択層のストライプ方向には視野角が広い液晶表示モードを用いることで、表示面側の拡散板で拡散されない方向での斜め入射光においても表示品質の高い表示を得る。更に好ましくは、ランプの長手方向と該色選択層のストライプ方向が略平行に配置することで照明装置の構成が容易になる。
上記手段を用いることで、従来問題であった基板の厚みによる画質の劣化及び、斜め入射に対するコントラスト比,表示色等の表示性能の劣化を防止でき、吸収損失の少ない低消費電力で明るい表示装置を得ることができる。つまり、光源の全方位での平行度を高め、液晶表示素子の出射側に光拡散層を配置することで、反射型色選択層及び液晶層を透過する光を基板に略垂直に透過させ、表示面側で光拡散させて広視野角を実現する。このため、従来問題であった斜め入射に対する問題は解決され、視野角による画質劣化のない広視野角な表示装置を得ることができる。更には、反射型色選択層及び反射型偏光選択板からの反射光を効率良く利用でき光の再利用による効率向上も図れる。
次に、カラーフィルタによる吸収損失を低減し、光利用効率を向上させ低消費電力で明るい表示を実現するための反射型の色選択層を用いた実施例図17の効果・作用について説明する。従来の照明装置では画像の不鮮明さ,混色の問題が生じた。そこで、反射型色選択層70は、液晶層13のピッチに合わせて図面に垂直方向にストライプ状(画素(画素)に合わせてピッチ100μm)の構造とした。本発明に用いた照明装置50は、図面の左右方向に指向性の強い、つまり、平行度の高い出射光特性を有する。これにより、反射型色選択層70のストライプに垂直方向は、平行度が高いため、反射型色選択層70を透過した光が液晶表示素子の同一の色に対応する画素を通過し、上部のスクリーン10により図面の左右方向に広げられ、画像の不鮮明さ,コントラスト比の低下,色純度の低下のない広視野角な表示を得ることができた。一方、図面に垂直方向は、同一の色を表示するために、必ずしも光源の平行度が高い必要はなく、照明装置50からの出射光を広げずにそのままの表示を見るように、しかしながら、反射型色選択層70の視野角依存性を考慮して、照明装置の指向性をつけることが必要である。照明装置50からの出射光において指向性の強い方向は少なくても広げ、それに垂直方向にはスクリーン10が必ずしも広げる必要がない。これにより、少なくても反射型色選択層70のストライプに垂直方向にのみ平行度を高めれば、ガラス基板の厚みによる混色を排除することができ、広視野角な表示が可能となった。本実施例では、画像の混色が無く,コントラスト比も高い特性を得ることができた。
以上のように本実施例では、画像が不鮮明になることなく、広視野角な表示が実現できた。また、従来の偏光板,カラーフィルタによる吸収損失を低減でき光利用効率が大幅に向上した。まず、導光体53からの出射光は無偏光であるが、コレステリック層73で一方の円偏光が透過し、他方の円偏光が反射される。透過した円偏光は反射型色選択層72で色選択を受け所望の色の円偏光のみ透過(異なる色は反射)し位相差板71で直線偏光になり、液晶層13で偏光変調を受け吸収型偏光選択板14Aで選択され画像信号に合わせた表示がされる。一方、コレステリック層73で反射された他方の円偏光は、導光体裏面の反射板54で反射され逆回りの円偏光となりコレステリック層73を透過し同様に表示に利用される。同様に、反射された異なる色の反射光は、導光体裏面の反射板54で反射を繰り返すうちに所望の色選択層に入射した時に再利用される。従って、反射板54や選択層72に若干の吸収損失があるが原理的にはすべての光が再利用され光利用効率が大幅に向上できた。本実施例では、コレステリック層73及び色選択層72が無い時と比較して光利用効率が約3.5 倍に向上した。
次に、一軸及び全方位における平行度の高い照明装置の実施例について説明する。これまで実施した照明装置は勿論用いることができるがそれ以外の実施例を示す。
照明装置50Aの実施例として図22に示す照明装置50上にストライプ状の三角断面形状を有する光路変換素子40としてレンズシートを用いて、図面奥行き方向にも指向性を有する特性とした。本実施例では、頂角40Aを90度、ピッチを50μmとしたが、限定されるものではない。その結果、左右方向出射特性300A,垂直方向出射特性301Aに示すように全方位で指向性を強めることができ平行度を向上できた。その時の出射特性を図31に示すが、左右方向出射特性25Dはやや広がったが、垂直方向出射特性25Cの指向性を高めることができた。この照明装置50Aを図17に適用することで、指向性による正面輝度の向上と共に、反射型色選択層のストライプ方向の斜め入射光を低減でき視野角における色再現性が向上した。また、この時スクリーン10として、図2,図3,図4に示すスクリーンを配置することで、液晶層13の透過光を全方位にわたり広げることができ、視野角特性が向上できた。本実施例では、画像の混色が無い、コントラスト比の高い特性を得ることができた。
レンズシートに代わり、図23に示すコリメートシート41を適用する照明装置50Bの実施例を図24に示す。コリメートシート41としては、ストライプ状の配置で底面が狭くなった透明アクリル樹脂からなり、ピッチ4mm,高さ4mm,底面1mmの形状を用いた。底面が狭く上面に近づくにしたがい広がる構造であれば、形状は限定されるものではない。この結果、このコリメートシート41の底面に入射した光は、図面左右方向にのみ指向性を向上した300Bのような特性になり、図面奥行き方向は301Bに示す入射光視野角特性を反映した広がりのある特性となる。このコリメートシート41のストライプ方向を照明装置50の溝方向と直交するように配置して、導光板53とコリメートシート41間は屈折率の略等しい透明媒体で接合した。この結果、導光体53の裏面の微細傾斜溝部で反射された光のみ出射されるが、それ以外のコリメートシート41が無いときには導光板54内で全反射され導光した光もコリメートシート41の底面に入射した光は出射される。従って、左右方向の出射特性300Cは、導光体53裏面の微細溝により平行光化され、垂直方向出射特性301Cは、コリメートシート41により平行光化される。好ましくは、コリメートシート41の接着部を底面全域では無く、導光板53裏面の微細溝に平行に一定間隔で接着する。この照明装置50Bを図17に適用すると、指向性による正面輝度の向上と共に、反射型色選択層70のストライプ方向の斜め入射光を低減でき視野角における色再現性が向上した。
次に、液晶表示素子20の異なる実施例について説明する。
液晶表示素子20の実施例を図25に示す。
照明装置50として図18と同等の構造を用いたが、これまで実施した照明装置いずれも使用できる。図18の実施例と異なる点は、反射型色選択層70,反射型偏光選択板73を透明基板11Bの内側に配置した点である。本実施例では、反射型色選択層70を内部に配置することがポイントで、反射型偏光選択板73は、画素(画素)合わせが必要無いため透明基板11Bの照明装置側に配置しても良い。図18においては、透明基板11A,11Bの厚みが画像を不鮮明にする要因である。つまり照明装置からの出射光の平行度が悪いと反射型色選択層70と液晶層13の画素が異なる領域を透過することになり混色等を生じる。本構成とすることで、透明基板11Bの厚みの影響は無くなり照明装置50の平行度が少なくても鮮明な画像を得ることができる。
液晶表示素子20の他の実施例を図26に示す。
照明装置50として図18と同等の構造を用いたが、これまで実施した照明装置いずれも使用できる。図18の実施例と異なる点は、吸収型偏光選択板14Bを透明基板14と反射型色選択層70間に配置した。吸収型偏光選択板14Bとして日東電工製の偏光板G1220DU を用いた。本実施例では、反射型色選択層70,反射型偏光選択板73としてコレステリック層を用いており、偏光度及び偏光の視野角依存性が吸収型偏光選択層と比較して悪いのが現状である。従って、反射型偏光選択板73,反射型色選択層70上に吸収型偏光選択板14Bを配置することで、70層からの不要な偏光を吸収型偏光選択板14Bで吸収することができ、透過光の偏光特性が向上し、表示のコントラスト比が向上できる。
液晶表示素子20の他の実施例を図27に示す。
照明装置50として図26と同等の構造を用いたが、これまで実施した照明装置いずれも使用できる。図26の実施例と異なる点は、吸収型偏光選択板14Bを透明基板11Bと反射型色選択層70間に配置した。吸収型偏光選択板14Bとして日東電工製の偏光板G1220DU を用いた。本実施例では、反射型色選択層70,反射型偏光選択板73としてコレステリック層を用いており、偏光度及び偏光の視野角依存性が吸収型偏光選択層と比較して悪いのが現状である。従って、反射型偏光選択板73,反射型色選択層70上に吸収型偏光選択板14Bを配置することで、70層からの不要な偏光を吸収型偏光選択板14Bで吸収することができ、透過光の偏光特性が向上し、表示のコントラスト比が向上できる。図26と比較してより鮮明な画像を得ることができた。
また、本実施例では、吸収型色選択層であるカラーフィルタを除いた構成で説明したが、色純度あげるためにカラーフィルタを配置しても良い。カラーフィルタを配置すると表示色の色再現性が向上できる。
次に、スクリーン10の更なる実施例について説明する。
スクリーン10Dの特性の一例を図28に示す。前記実施例では、スクリーン10としては、左右方向には302Aのように出射特性を有し、垂直方向には303Aに示すように広がりの無い特性を有する一軸光拡散層として住友化学製のルミスティーを使用できる。本実施例においては、一軸散乱性を有するスクリーン10Dとして、図29に示すストライプ状のロッドレンズアレイ(ピッチは約50μm)を使用した。本実施例で使用した照明装置50は、左右方向に指向性の強いものであり、液晶層13透過後に一軸光散乱層として働くスクリーン10Dで広げることで、鮮明で広視野角な表示を実現できた。好ましくは、図2〜図4に示すように出射側の吸収体を配置することが良い。
以上、一軸又は全方位平行度の高い照明装置、一軸又は全方位出射光を広げるスクリーン,反射型偏光板,光路変換素子,反射型色選択層を使用した液晶表示装置の実施例を説明したが、それぞれ組み合わせて適用することが可能である。また、本実施例は、液晶の表示モードは限定されるものではない。
以上、本発明において、反射型の色選択層,偏光選択層,光路変換素子,スクリーンを用いて広視野角で光利用効率の高い液晶表示装置が実現できる。正面輝度を向上させるために光路変換素子を適用した時の光路変換素子と偏光板の最適化な軸配置を規定し、反射型偏光板からの反射光の偏光を維持でき、かつ、指向性を向上できる導光体を用いて、光利用効率及び正面輝度の向上を実現することができる。
更には、偏光板・カラーフィルタによる吸収損失を無くし、光利用効率の向上を目指すものであるが、従来技術では問題であったガラス基板の厚みによる画質の劣化(不鮮明さ)及び、斜め方向での画質の劣化(コントラスト比低下,表示色の劣化)を排除し、斜め方向から見た場合でも表示品質の高い広視野角のカラー液晶表示装置を得ることにある。