JP4066614B2 - 圧電デバイス、及び圧電振動片の製造方法 - Google Patents

圧電デバイス、及び圧電振動片の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片を実装した圧電振動子等の圧電デバイスに関し、特に圧電振動片の表面に形成される励振電極等の電極構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より情報通信機器やコンピュータ等のOA機器、電子時計等の民生機器を含む様々な電子機器に、例えば電子回路のクロック源としての圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く採用されている。一般に圧電デバイスは、圧電振動片が導電性接着剤で固着することにより、パッケージのベース又は実装基板の回路に機械的に支持されかつ電気的に接続されている。
【0003】
図6(A)は、水晶振動片1を絶縁材料のベース2に実装した従来の水晶振動子の構成を概略的に示している。水晶振動片1は、ATカット水晶薄板からなる水晶素子片の両面に形成した1対の励振電極3と、その一端に前記各励振電極から延出させた引出電極4とを有し、該引出電極において導電性接着剤5でベース2上の接続端子6に固着されている。導電性接着剤5は、シリコン系又はエポキシ系の熱硬化性樹脂に例えばAgからなる導電性フィラー7を混在させたものを使用するが、温度等の使用環境や衝撃等を考慮して、硬化後に優れた耐熱性及び弾性を発揮するものが好ましい。
【0004】
通常励振電極3及び引出電極4は、図6(B)に良く示すように、振動片表面に強固に付着させるために、水晶との馴染みが良いCr、Ni、Ti、Al、Ag等の金属材料で形成した下地金属層8aと、その上に良好な導電材料であるAu(又はAg)層8bを積層した2層構造の電極膜からなる。この電極膜は、一般にスパッタ法や真空蒸着法を用いて所望のパターンに形成される。
【0005】
スパッタ法による場合、図7に示すように、先ず所望の電極パターンを有するマスクを水晶素子片にセットしてスパッタ装置の仕込室内に導入する(ステップS1)。仕込室を排気して高真空にし、必要に応じて水晶素子片を加熱処理する(ステップS2)。次に、下地金属層を成膜するためのCrスパッタ部と、Au層を成膜するためのAuスパッタ部とを連続して設けたインラインタイプのスパッタ室内に水晶素子片を移送する(ステップS3)。水晶素子片を移動させ、放電させたCrスパッタ部を通過させて、その表面にCr層を成膜する(ステップS4)。次に、水晶素子片を更に移動させ、放電させたAuスパッタ部を通過させて、前記Cr層上にAu層を積層する(ステップS5)。このようにして所望のパターンを有する2層構造の励振電極及び引出電極を形成した後、一旦水晶振動片を取出室(又は元の仕込室)に移送し(ステップS6)、これを大気圧に戻してからスパッタ装置の外部に取り出す(ステップS7)。この後、水晶振動片は、例えば図6(A)において引出電極4を導電性接着剤5で接続端子6に固着させて、ベースに2に実装される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、導電性接着剤は、Au電極表面の部分よりもAg導電性フィラーの周囲の部分が早く硬化し、しかも硬化時に収縮する性質がある。他方、Auには、一般に分子量の小さい物質から先に付着するという性質があるため、Ag導電性フィラーは比較的Au電極表面に付着し難いと考えられる。そのため、導電性接着剤の硬化時には、導電性フィラーがAu電極表面から離れてその間に、図6(B)に示すような樹脂層9が形成されるので、引出電極と接続端子との導通性が低下し、水晶振動子のCI(クリスタルインピーダンス)値が高くなったり導通不良が発生し、信頼性を損なう虞がある。
【0007】
かかる問題を解消するため、導電性接着剤を付着させる引出電極の一部分に3層目のCr層又はNi層を形成して、導電性接着剤との導通性を確保する手法が従来から知られている。例えば、特開平5−335880号公報に記載される水晶振動子は、Cr・Ag混在層からなる引出電極の上にAlの電極ランドを形成している。しかしながら、これらの水晶振動子は、Cr層や電極ランド等を引出電極上に部分的に形成するため、水晶振動片の製造上工数が多くなり、作業が面倒で時間を要し、生産性を低下させることになる。例えばスパッタ法による場合、Cr層及びAu層を成膜した後で水晶素子片を一旦スパッタ装置から取り出し、第3層のパターンを有する新たなマスクを装着し直して、再度スパッタ装置に導入する必要があり、更に水晶振動片が汚れる可能性も高くなる。
【0008】
そこで、特開2000−151345号公報に記載されるように、水晶表面に設けた一層目の下地金属に二層目のAuを積層して励振電極と引出電極とを形成し、一層目の下地金属を二層目のAuに拡散させてその一部をAu表面に析出させることにより、導通性を良好にしかつ生産性を向上させた電極構造の水晶振動子が提案されている。Cr等の下地金属は、図7のステップS6において水晶振動片を取出室に移送した後に加熱処理することによりAu層に拡散させ、更にその表面に析出させてCr層を形成することができる。また、特開昭63−128809号公報には、下地層にニクロムを使用し、その一部を熱拡散処理を施すことにより金電極の表面に析出させて振動素子を製造する方法が記載されている。
【0009】
しかしながら、このような加熱処理による下地金属の拡散・析出は、概して制御が困難で温度にばらつきを生じ易く、導電性接着剤との良好な導通性を安定して確保できない虞がある。また、従来よりも工数が増えることに加えて、真空中での水晶振動片の加熱拡散処理には1時間程度の追加時間を要し、生産性を大幅に低下させるという問題がある。更に、処理される水晶振動片の仕様によっては、加熱の条件が制限されて下地金属を十分に拡散又は析出させることができなかったり、加熱できない場合も予想される。
【0010】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性接着剤との良好な導通性を確保でき、かつその製造工程において、従来に比して実質的に工数を増やしたり多大な追加時間を要することなく形成し得る電極構造を有し、それにより振動特性が安定して信頼性の高い圧電振動片を備えた圧電デバイス、及び圧電振動片の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的を達成するために、例えば水晶からなる圧電素子片の表面に形成した励振電極と引出電極とを有し、前記励振電極及び引出電極が、前記圧電素子片表面に下地金属層と、Au層と、Cr、Ni又はニクロムのいずれかからなる表面層とを順次積層してなる圧電振動片を備えることを特徴とする圧電デバイスが提供される。
【0012】
前記引出電極のCr、Ni又はニクロムからなる表面層は、圧電振動片を該引出電極において導電性接着剤を用いてベース又は実装基板等に固着する際に、導電性接着剤がAu表面に付着させた場合のような樹脂層を前記表面層との間に作らず、かつその中に含まれる導電性フィラーが表面層の金属に付着し易い性質を有するので、引出電極と導電性接着剤との間に良好な導通性を確立することができる。
【0013】
このような3層構造の電極膜は、従来の成膜装置及び加工プロセスをそのまま利用して、各層を連続して成膜することが可能であり、上述した従来技術におけるように途中でマスクを交換したり成膜装置から取り出したりせず、多大な時間を要する加熱処理を追加する必要がなく、比較的短時間で効率よく形成することができる。しかも、各層の成膜プロセスは制御が容易で、表面層を所望の膜厚に安定して形成できるので、導電性接着剤との間で良好な導通性を常に安定して確保することができる。
【0014】
従って、本発明の別の側面によれば、所望のパターンを有する同じマスクを用いて、例えば水晶からなる圧電素子片の表面に金属材料を成膜して励振電極及び引出電極を形成する圧電振動片の製造方法において、該圧電素子片の表面に下地金属層を成膜し、その上にAu層を積層し、更にその上にCr、Ni又はニクロムのいずれかからなる表面層を積層することにより、前記励振電極及び引出電極を形成する過程を含むことを特徴とする圧電振動片の製造方法が提供される。
【0015】
或る実施例では、前記圧電素子片の一方の面に、下地金属層、Au層及び表面層を有する3層構造の電極膜からなる励振電極及び引出電極が形成され、前記圧電素子片の他方の面に、下地金属層及びAu層を有する2層構造の電極膜からなる励振電極及び引出電極が形成される。この場合、圧電素子片が、前記表面層を有する引出電極において導電性接着剤によりベース上の接続端子に固着されることにより、引出電極と導電性接着剤間に良好な導通性が得られることに加え、圧電素子片の前記他方の面に形成される2層構造の電極膜からなる励振電極を、例えばプラズマエッチングで部分的に削除することにより、圧電振動片の周波数を微調整するために使用することができる。前記表面層は、Auと比較してプラズマエッチングし難い金属材料で形成されており、またエッチングしようとすると、Auよりも多くのエッチング時間及び高い電圧・電力を要するのに対し、Au層に対しては、従来と同様に周波数の微調整を容易に行うことができる。
【0016】
或る実施例では、圧電素子片表面に下地金属層、Au層及び表面層を連続スパッタリングにより成膜し、別の実施例では、これら各層を連続真空蒸着により成膜することができる。いずれの場合にも、成膜工程の途中で圧電素子片を成膜装置から取り出すことなく、一回の加工プログラムで電極膜全体を形成できるので、短時間で処理することができる。
【0017】
或る実施例では、下地金属層がCr、Ni又はニクロムからなると、これらの金属は圧電材料特に水晶との馴染みが良いだけでなく、Auと比較して付着強度が高く、励振電極及び引出電極を良好に成膜できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施例を詳細に説明する。尚、各図面において、同様の構成要素には同じ参照符号を付すことにする。
図1(A)(B)は、水晶振動片11を絶縁材料からなる矩形箱状のベース12に実装した水晶振動子を示している。水晶振動片11は、ATカット水晶薄板からなる水晶素子片の両面に形成した1対の励振電極13と、その一端に各励振電極13から延出させた引出電極14とを有する。水晶振動片11は、引出電極14において導電性接着剤15でベース12底面の接続端子16に片持ちに固着され、機械的に支持されると同時に電気的に接続されている。本実施例の導電性接着剤15は、シリコン系の熱硬化性樹脂にAgからなる導電性フィラー17を混在させたもので、硬化後に優れた耐熱性及び弾性を発揮する。別の実施例では、例えばエポキシ系等の他の導電性接着剤を使用することができる。
【0019】
励振電極13及び引出電極14は、図1(B)及び図2に良く示すように、水晶との馴染みが良いCr、Ni、ニクロム、Ti、Al、Ag等の金属材料で形成した下地金属層18aと、その上に良好な導電材料のAu層18bと、更にその上にCr表面層18cを積層した3層構造の電極膜から構成される。特にCr、Ni及びニクロムは、Auと比較して付着強度が高いので、下地金属層として好ましい。導電性接着剤15は、Au表面に付着させた場合のような樹脂層をCr表面層18cとの間に作らず、導電性フィラー17がCr表面に付着し易い性質を有するので、引出電極14と導電性接着剤15、及びそれを介して接続端子16との間に良好な導通性を確立することができる。また、別の実施例では、Crに代えてNi又はニクロムで表面層を形成することができ、その場合にも同様に導電性接着剤との良好な導通性が得られる。
【0020】
前記電極膜は、以下に説明するように従来公知の連続スパッタ法や連続真空蒸着法を用いて、1回の加工プログラムで同一パターンの3層構造に形成される。本実施例では、下地金属層及び表面層にCrを用いて電極膜を形成する場合について説明する。この実施例では、図3に概略図示される従来のインラインタイプのスパッタ装置を使用し、図4に示す工程に従って、バッチ処理により多数の水晶振動片の電極膜を同時に形成する。このスパッタ装置20は、スパッタ室21と、その一端に接続された仕込室22及び外部との出入口となるストッカ室23とを有し、スパッタ室21には、Cr層を成膜するためのCrスパッタ部24と、Au層を成膜するためのAuスパッタ部25とが連続して設けられている。Crスパッタ部24及びAuスパッタ部25には、それぞれ水晶素子片の移動方向Aに沿ってその両側にCrターゲット24a、24b及びAuターゲット25a、25bが、水晶素子片の各面と対向するように配置されている。
【0021】
先ず、所定数の水晶素子片をキャリアに装填しかつ所望の電極パターンを有するマスクを取り付けた後、該キャリアをスパッタ装置20のストッカ室23に装着し、仕切扉26を開いて仕込室22内に導入する(ステップS11)。仕切扉26を閉じた後、仕込室22を排気して高真空にし、必要に応じて水晶素子片を加熱処理する(ステップS12)。次に、仕切扉27を開いて前記キャリアの水晶素子片を、Ar雰囲気のスパッタ室21内に移送する(ステップS13)。
【0022】
仕切扉27を閉じかつスパッタ室21内の圧力を調整・安定させた後、前記キャリアの水晶素子片28を前方へ移動させ、放電させたCrスパッタ部24のCrターゲット24a、24b間を通過させて、その両面に下地金属層としてのCr層を成膜する(ステップS14)。次に、水晶素子片28を更に前方へ移動させ、放電させたAuスパッタ部25のAuターゲット25a、25b間を通過させて、その両面の前記Cr層上にそれぞれAu層を積層する(ステップS15)。この後、前記キャリアの水晶素子片28は、図中矢印で示すように逆向きに移動させ、再び放電させたCrスパッタ部24を通過させて、その両面の前記Au層の上にそれぞれ表面層としてのCr層を成膜する(ステップS16)。このようにして両面に所望のパターンを有する3層構造の励振電極及び引出電極を形成した水晶振動片は、仕切扉27を開いて一旦元の仕込室22に移送する(ステップS17)。仕切扉27を閉じかつ仕込室22を大気圧に戻した後、仕切扉26を開いてストッカ室23から外部に取り出す(ステップS18)。
【0023】
図3のスパッタ装置を用いた場合、下地金属層及び表面層はいずれもCr層で形成される。別の実施例において、下地金属層と表面層とを異なる金属材料で形成する場合には、スパッタ室21のAuスパッタ部25の下流側に別のスパッタ部を設けたインラインタイプのスパッタ装置を使用すればよい。この場合、3層全ての電極膜を成膜した水晶振動片は、スパッタ室21の仕込室22とは反対側の取出室から外部に搬出される。
【0024】
本発明によれば、このように所望の電極パターンを有する同じマスクを用いて、成膜工程の途中で水晶素子片をスパッタ装置から取り出すことなく、連続した一回の加工プログラムで3層構造の電極膜を形成できるので、従来のようなマスクの交換や成膜装置からの取出し等で工数が大幅に増えたりせず、処理時間が短くて済み、生産性が向上する。また、従来の加熱拡散処理のように、水晶振動片やその仕様によって表面層の加工が制限されたりできなくなる虞がない。また、工程中に水晶振動片が汚れる虞が少なく、高い信頼性及び歩留まりの向上が得られる。
【0025】
特に、Cr表面層の成膜が制御可能なため、その膜厚や成膜状態にばらつきが無く、常に安定して導電性接着剤との良好な導通性を保証することができる。従って、良好な導通性が得られる限り、Cr表面層18cの膜厚は薄くて良く、例えば膜厚2000ÅのAu層に対して、約100Å又はそれ以下の膜厚で十分である。
【0026】
上述した3層構造の電極膜を形成した本発明の水晶振動片は、図1に示すように導電性接着剤を用いてベースに実装される。このとき、本願発明者によれば、水晶振動片のマウント強度が従来よりも向上することが分かった。実際に、Cr(100Å)/Au(2000Å)/Cr(100Å)の電極膜を形成した本発明の水晶振動片を、シリコン系導電性接着剤を用いて図1に示すようにベースに固着し、その先端に上向きの引剥し力を作用させてマウント強度を試験した。比較のため、Cr(100Å)/Au(2000Å)の電極膜を形成した従来の水晶振動片を、同様にシリコン系導電性接着剤を用いてベースに固着し、そのマウント強度を測定した。その結果、本発明の水晶振動片は、従来の水晶振動片に比してマウント強度が約20%も向上していることが分かった。
【0027】
図5(A)(B)は、本発明の第2実施例による水晶振動子の構成を概略的に示している。第2実施例の水晶振動子は、図1の第1実施例と同様に、ATカット水晶薄板からなる水晶素子片からなる水晶振動片11が、絶縁材料からなる矩形箱状のベース12に実装されている。水晶振動片11は、その両面に1対の励振電極13a、13bと、前記各励振電極から延出させた引出電極14a、14bとが形成され、前記引出電極において導電性接着剤15でベース12の接続端子16に片持ちに固着して、機械的に支持されかつ電気的に接続されている。導電性接着剤15は、第1実施例と同様にシリコン系の熱硬化性樹脂にAgからなる導電性フィラー17を混在させたものであるが、エポキシ系等の他の導電性接着剤を使用することもできる。
【0028】
水晶振動片11のベース12に対向する面即ち図中下面側の励振電極13a及び引出電極14aは、図5(B)に良く示すように、水晶との馴染みが良いCr、Ni、ニクロム、Ti、Al、Ag等の金属材料で形成した下地金属層18aと、その上のAu層18bと、更にその上に積層したCr表面層18cとを有する3層構造の電極膜から構成される。これに対し、水晶振動片11のベース12とは反対側の面即ち図中上面側の励振電極13b及び引出電極14bは、同じくCr、Ni、ニクロム、Ti、Al、Ag等の金属材料で形成した下地金属層18aと、その上に積層したAu層18bとを有する、従来と同様の2層構造の電極膜から構成される。前記下面側の引出電極14aは、Cr表面層18cが水晶振動片11の端面まで回り込んでその途中まで形成されている。
【0029】
図示するように導電性接着剤15は、水晶振動片11の前記端面まで回り込んだCr表面層18cを有する前記下面側の引出電極14aと、ベース12上の接続端子16との間に付着される。導電性接着剤15は、上述したようにAu表面に付着させた場合のような樹脂層をCr表面層18cとの間に作らず、更に導電性フィラー17がCr表面に付着し易い性質を有するので、引出電極14aと導電性接着剤15、及びそれを介して接続端子16との間に良好な導通性が確立される。従って、水晶振動片11の前記上面側の引出電極14bがCr表面層を有しない従来と同様の2層構造であることは、引出電極14aと導電性接着剤15との導通性に何ら影響を与えない。尚、第2実施例においても、Crに代えてNi又はニクロムで前記表面層を形成することができ、その場合にも同様に導電性接着剤15との良好な導通性が得られる。
【0030】
他方、水晶振動片11の前記上面に形成した2層構造の励振電極13bは、周波数の微調整に使用することができる。図5(A)に示すように水晶振動片11をベース12に実装した水晶振動子は、前記上面側の励振電極13bを例えばプラズマエッチングで部分的に削除することにより、その周波数を微調整することができる。Cr表面層18cを有する3層構造の電極膜は、CrがAuと比較してプラズマエッチングし難い金属材料であり、またプラズマエッチングしようとすると、Auよりも多くのエッチング時間及び高い電圧・電力を要することになる。第2実施例では、ベース12とは反対側の励振電極13bの表面がAu層18bであるため、従来と同様にプラズマエッチングによる周波数の微調整を容易に行うことができる。
【0031】
第2実施例の励振電極13a、13b及び引出電極14a、14bは、図1の実施例と同様に、図3に示す従来のインラインタイプのスパッタ装置20を使用し、かつ図4に示す工程に従ってバッチ処理により多数の水晶振動片について同時に形成することができる。即ち、先ず所定数の水晶素子片を装填しかつ所望の電極パターンを有するマスクを取り付けたキャリアを、スパッタ装置20のストッカ室23から仕込室22内に導入し(ステップS11)、必要に応じて加熱処理した(ステップS12)後、Ar雰囲気のスパッタ室21内に移送する(ステップS13)。
【0032】
前記キャリアの水晶素子片28は、放電させたCrスパッタ部24のCrターゲット24a、24b間を通過させて、その両面に下地金属層としてのCr層を成膜し(ステップS14)、次に放電させたAuスパッタ部25のAuターゲット25a、25b間を通過させて、前記両面の各Cr層上にそれぞれAu層を積層した(ステップS15)後、図中矢印で示すように逆向きに移動させて、再びCrスパッタ部24を通過させる。このとき、本実施例では、一方のCrターゲット24a(又は24b)のみを放電させ、他方のCrターゲット24b(又は24a)は放電を停止させておく。これにより、前記各水晶素子片には、放電させたCrターゲット24aに対向する側の面についてのみ、前記Au層の上に表面層としてのCr層が成膜される(ステップS16)。また、前記水晶素子片の引出電極側の端面には、スパッタされたCr原子の回り込みにより、少なくとも部分的にCr層が前記Au層の上に積層される。
【0033】
所望の3層構造の励振電極13a及び引出電極14aと2層構造の励振電極13b及び引出電極14bを形成した水晶振動片は、再び仕込室22を経て元のストッカ室23から外部に取り出される(ステップS17、S18)。このように第2実施例の水晶振動片も、従来公知の連続スパッタ法や連続真空蒸着法を用いて、成膜工程の途中で水晶素子片をスパッタ装置から取り出すことなく、連続した1回の加工プログラムで両面に所望の前記電極膜を形成することができる。
【0034】
また第2実施例においても、下地金属層と表面層とを異なる金属材料で形成する場合には、スパッタ室21のAuスパッタ部25の下流側に別のスパッタ部を有するインラインタイプのスパッタ装置を使用すればよく、スパッタ室21の仕込室22とは反対側に設けた取出室から外部に搬出することができる。この場合、前記別のスパッタ部は、水晶素子片の移動方向に沿ってその前記3層構造の電極膜を形成したい一方の面の側にのみターゲットを配置すればよい。
【0035】
以上、本発明の好適実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記各実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、水晶振動片の3層構造の電極膜は、連続真空蒸着によっても、スパッタ法に関連して上述した本発明の利益を損なうことなく、一回の加工プログラムで形成することができる。また、上記実施例ではバッチ処理により水晶振動片に電極膜を形成したが、枚葉処理により個々の水晶振動片を個別に成膜加工することもできる。更に、本発明は、ATカット以外の水晶や水晶以外の圧電材料からなる圧電振動片、及び水晶振動子以外の様々な圧電デバイスについても同様に適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の圧電デバイスは、上述したように圧電素子片表面に順次積層した下地金属層、Au層及びCr、Ni又はニクロムからなる表面層の3層構造で励振電極及び引出電極を構成することにより、圧電振動片を該引出電極において導電性接着剤を用いて固着する際に、導電性接着剤がAu表面に付着させた場合のような樹脂層を前記表面層との間に作らず、かつその中に含まれる導電性フィラーが表面層の金属に付着し易い性質を有するので、引出電極と導電性接着剤との間に良好な導通性を確立することができる。また、このような3層構造の電極膜は、圧電振動片の製造工程において、従来の成膜装置及び加工プロセスをそのまま利用して各層を連続して成膜できるので、処理時間が短くて済み、生産性が向上する。しかも、表面層はその膜厚等を制御して形成できるので、導電性接着剤との間で良好な導通性を常に安定して確保でき、安定した振動特性、高い信頼性を実現できる。
【0037】
また、本発明の圧電振動片の製造方法によれば、所望のパターンを有する同じマスクを用いて、圧電素子片表面に下地金属層、その上にAu層、更にその上にCr、Ni又はニクロムからなる表面層を順次積層することにより、所望の3層構造の電極膜を形成することができるので、従来のようにマスクの交換や成膜装置からの取出しで工数が大幅に増えたりせず、処理時間が短く、加工中に圧電素子片が汚れる虞が少なくなるので、生産性の向上に加えて、歩留まり及び信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)図は本発明を適用した水晶振動子の第1実施例の平面図、(B)図はそのB−B線における拡大断面図。
【図2】図1の水晶振動片のマウント部分を示す部分拡大図。
【図3】本実施例に使用するスパッタ装置を示す概略構成図。
【図4】本実施例による電極成膜工程を説明するフロー図。
【図5】(A)図は本発明を適用した水晶振動子の第2実施例の概略断面図、(B)図はその部分拡大図。
【図6】(A)図は従来の水晶振動子の断面図、(B)図は水晶振動片のマウント部分を示す部分拡大図。
【図7】従来の電極成膜工程を説明するフロー図。
【符号の説明】
1、11 水晶振動片
2、12 ベース
3、13、13a、13b 励振電極
4、14、14a、14b 引出電極
5、15 導電性接着剤
6、16 接続端子
7、17 導電性フィラー
8a、18a 下地金属層
8b、18b Au層
9 樹脂層
18c Cr表面層
20 スパッタ装置
21 スパッタ室
22 仕込室
23 ストッカ室
24 Crスパッタ部
24a、24b Crターゲット
25 Auスパッタ部
25a、25b Auターゲット
26、27 仕切扉
28 水晶素子片

Claims (4)

  1. 圧電素子片の表面に形成した励振電極と引出電極とを有し、前記圧電素子片の一方の面に形成される前記励振電極及び引出電極が、下地金属層と、その上に積層したAu層と、その上に積層したCr、Ni又はニクロムのいずれかからなる表面層とからなり、前記圧電素子片の他方の面に形成される前記励振電極及び引出電極が、下地金属層と、その上に積層したAu層とからなり、前記表面層が前記圧電素子片の端面まで回り込んで形成されていることを特徴とする圧電デバイス。
  2. 前記圧電素子片が、前記表面層を有する前記引出電極において導電性接着剤によりベース上の接続端子に固着されていることを特徴とする請求項に記載の圧電デバイス。
  3. 前記下地金属層がCr、Ni又はニクロムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電デバイス。
  4. 前記圧電素子片が水晶からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の圧電デバイス。
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