JP4066504B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水性を有する照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、省エネルギー形の光源として、白熱電球に汎用されているE26型口金を蛍光ランプに取付けるとともに安定器などの点灯回路部品を組込んで、既存のソケットにそのまま装着して点灯できる白熱電球と互換性のある電球形蛍光ランプ装置が実用化されている。
【0003】
この電球形蛍光ランプ装置の蛍光ランプは、両端に電極を封着したガラス管バルブを略U字形に屈曲したり、この略U字形バルブをさらにもう一度略U字形に曲成させたいわゆる鞍形状の屈曲形のバルブ、または複数本の直管状のガラス管バルブを連結管を介して略U字形や略W字形に形成したコンパクト化したものが用いられている。
【0004】
そして、この蛍光ランプバルブおよび点灯回路部品は、合成樹脂材料で略半球状に成形した収容部を有するカバー体またはホルダに取付けられているとともにこの蛍光ランプバルブはカバー体の開口部にシリコーン樹脂接着剤で接合された合成樹脂材料やガラス材料で成形した透明や光拡散性を有するグローブで覆われていたりあるいは下方を開放した反射体内に配設されている。
【0005】
また、上記カバー体またはホルダの蛍光ランプバルブが取付けられた反対側には、円筒状部の外周に螺旋溝が刻設され、この螺旋溝にE26型口金が螺合して取付けられている。
【0006】
この電球形蛍光ランプ装置を口金上方でソケットに装着して点滅を繰り返すうち、カバー体に掛かった水は円滑に滴下せず、水の一部はカバー体とグローブや反射体との接合部に溜まり易くその部分から侵入することがある。特に、ランプの点灯熱で発生した水蒸気が接続部の接着剤層を透過してカバー体内に侵入してくることが考えられる。また、このランプ装置の点灯が屋外等の高い湿度雰囲気の場合にも同様に水分の侵入が起こり易い。
【0007】
そして、このランプ装置が消灯してバルブ壁やカバー体壁が冷えてくると水蒸気が水滴化してカバー体内に残る。このカバー体内の水分が多くなることは、ランプ点灯時に電気的な絶縁低下を招き点灯回路部品等の正常な動作を阻害する問題がある。
【0008】
そこで、電球形蛍光ランプ装置において、従来はカバー体とグローブとの接合部の外面に被膜を形成して、接合部からの水の侵入を防止することが実開昭63−131011号公報に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この公報によるものは、耐久性の問題があり、さらに改善が要望されている。
【0010】
本発明は、カバー体と反射体とからなる外囲器の接続部あるいは反射体内面とホルダとの固定箇所からの水分の侵入を防ぐことおよび万一水分の侵入があっても容易に除去できる電球形蛍光ランプ装置等の照明装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の照明装置は、カバー体に反射体が一体的に形成されてなる外囲器と、この外囲器内面に固定したホルダに支承されたランプと、上記反射体表面およびホルダ表面に形成された酸化チタンを含有してなる親水性被膜とを具備していることを特徴とする。
【0012】
照明装置が湯気や湿気等の水分に晒されることがあっても外囲器の外表面に形成した親水性被膜によって水の表面張力をなくし、水滴が形成され難いため、外囲器の外表面から落下して付着することはない。そして、水滴が伝わって接続部から水が侵入することを防止できる。
【0013】
また、上記親水性被膜は透明に近く、少なくとも接続部の外表面に形成されていればよい。
【0014】
また、上記親水性被膜の形成は、親水性をもたせるために光触媒反応を行わせる紫外線が必要で、これは蛍光ランプ自体の発光を利用しても他からの紫外線照射でもよい。
【0015】
なお、この反射体は、カバー体部分を含む全体を一体として成形してあっても、カバー体部分を含み分割成形したものを接続して一体化したものであってもよい。また、反射体の内面にはアルミニウム等からなる反射膜が形成してある。
【0016】
本発明の請求項2に記載の照明装置は、上記反射体内面のホルダ固定箇所の表面に撥水性被膜が形成してあることを特徴とする。
【0017】
反射体内面のホルダ固定箇所の接続部外表面に水分が付着したとしても、この接続部の外表面には撥水性被膜が形成してあるので、上記請求項1に記載したと同様な作用を奏する。
【0018】
また、この撥水性被膜の形成は、親水性被膜の上面でも下面であってもよい。
【0019】
本発明の請求項3に記載の照明装置は、上記撥水性被膜が、シリコーン系樹脂またはフッ素系樹脂あるいはこれらの混合したものからなることを特徴とする。
【0020】
上記撥水性樹脂材料からなる被膜は、上記請求項1または2に記載したと同様な作用を奏することができる。
【0021】
本発明の請求項4に記載の照明装置は、カバー体が合成樹脂または金属からなることを特徴とする。
【0022】
上記親水性被膜および撥水性被膜剤は、合成樹脂、金属あるいはガラスに形成してよく被着し、長期に亘り剥離することがない。
【0023】
本発明の請求項5に記載の照明装置は、ランプが蛍光ランプであり、この蛍光ランプに接続した点灯回路がカバー体内に収容されていることを特徴とする。
【0024】
このランプ装置に雨水等が掛かってもカバー体と反射体との表面には親水性被膜が形成してあり、また、接続部の表面には撥水性被膜が形成してあるので、水滴はとどまることなくはじかれて例え段溝状の凹部が在ってもこの部分に水分の残ることがなく、外囲器やホルダの内部への水の侵入を防ぐことができる。
【0025】
また、上記撥水性被膜は透明に近く、カバー体と反射体の全表面に形成されていなくても少なくとも接続部の外表面に形成されていればよい。
【0026】
なお、この場合カバー体と口金との接合にも、上記撥水性被膜材料を添加した接着剤を用いていれば、常時、撥水作用を有しこの口金の接合部から外囲器内に水分の侵入する虞もない。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は電球形蛍光ランプ装置からなる照明装置Lの一部断面正面図である。
【0028】
図中7は外囲器で、カバー体1とここでは略らっぱ状をなす反射体7Rとで構成されている。
【0029】
このカバー体1はPBT樹脂等の電気絶縁性の耐熱性合成樹脂材料で形成され、その一端側の円筒状部(図示しない。)の外面に刻設された捩子部にはE26型の口金2が螺合して取付けられているとともに、その隙間にはシリコーン系の熱硬化性接着剤(図示しない。)を充填して両者は接合されている。
【0030】
また、カバー体1の他端側はドーム状をなし図において下方側の開口部にはPBT樹脂などの耐熱性合成樹脂材料で形成した円皿形をなすホルダ3が開口部を塞ぐようにして固定されている。このホルダ3の固定は両者に形成した凹凸部(図示しない。)の係合や耐熱性接着剤5により行われる。
【0031】
また、4は蛍光ランプで、ガラス管バルブ41を略U字形に屈曲したものをさらに略U字形に屈曲した鞍形をなす放電路を有し、その両端部にフィラメントコイルからなる電極(図示しない。)が設けられている。また、ガラス管バルブ41の内面に蛍光体膜(図示しない。)が形成され内部に放電媒体として水銀(電極を支持するリード線等にアマルガムとして取付けられていてもよい。)およびアルゴン等の希ガスが封入されている。
【0032】
上記ホルダ3には蛍光ランプ4のバルブ41の端部が差し込まれ、シリコーン系などの熱硬化性接着剤6を介して接合固定されている。また、このホルダ3の上方側には、配線基板35が取付けられ例えばトランジスタインバータを用いた高周波点灯用の回路部品36,…が設けられていて、上記蛍光ランプ4の外部リード線が電気的に接続されている。
【0033】
また、上記外囲器7を構成する反射体7Rは合成樹脂やアルミニウム等ここでは合成樹脂製の略3段形状のカバー体1となる上段2段目72の内面下方部に上記ホルダ3がシリコーン系などの熱硬化性接着剤5を介し爪による結合等の手段で固定されていて、3段目の内部に蛍光ランプ4が配設されているとともに内面に反射面が形成されている。そして、この反射体7Rの内面およびバルブ41接合部の接着剤6を含むホルダ3の表面部分を覆って酸化チタンを含有した材料からなる親水性被膜8が形成してある。
【0034】
この電球形蛍光ランプ装置Lの場合は、蛍光ランプ4を点灯するとランプ4からの直射光およびランプ4から反射面に入射し反射した反射光が反射体7Rの開口部71から放射され、所定の指向性のある集光(スポット)や拡散(フラッド)した配光特性を得ることができる。
【0035】
また、この蛍光ランプ装置Lの場合は、反射体7Rの内面およびホルダ3の表面部分が親水性被膜8で覆われているので、これらの部分に水滴等が付着しようとしても表面張力をなくしとどまることなくはじかれて水分の残ることがない。
【0036】
したがって、例えばランプ点灯時に電気的な絶縁低下を招くことがなく、長期に亘り点灯回路部品等を正常に動作させることができる。
【0037】
なお、本発明は上記親水性被膜8を形成したその外表面上にさらにシリコーン樹脂またはフッ素樹脂あるいは両者の混合体からなる撥水性被膜を形成した防水処理された構成であってもよい。
【0038】
また、上記外囲器7は、カバー体1部と反射面が形成された反射体7R部とを別体で成形したものを接続して一体化したもの(異なる材質のもの)であっても、カバー体1部と反射体7R部との両者を一体成形したものであってもよい。
【0039】
また、この蛍光ランプ装置Lは、ベースアップで点灯される場合、通電当初のランプ自体および点灯回路部品36からの熱は反射体7R内奥の熱の遮蔽体となるホルダ3近傍に集まり、端部の排気管45内に水銀をアマルガムとして封入した蛍光ランプ4では水銀の蒸発が速く、特に低温時等に立上がり特性がよくなる。また、点灯経過後ランプ4や点灯回路部品36の温度が上昇してくると、表面積の大きい反射体7Rは放熱性がよく、ランプ4の温度上昇を抑制してランプ4の発光特性を良好に維持できるという付随した作用効果を有する。
【0040】
そして、このような構成のいわゆる反射形の電球形蛍光ランプ装置Lは、上記ホルダ3部分の取付部65や接着剤5、6部分を通じての水分の侵入を抑制して防水をする作用効果を奏する。
【0041】
なお、この図1の蛍光ランプ装置Lに係わる、反射体7Rの有無および周囲温度と点灯経過時間とを調査した結果を図2に示す。図2において、横軸は点灯経過時間(分)、縦軸は蛍光ランプ装置Lの直下照度(Lx)である。
【0042】
図2から明らかなように、反射体7Rを有する本発明品(線A)は周囲温度が低い状態(5℃)でも、従来品(線B…周囲温度25℃,線C…周囲温度5℃)に比べ反射体7Rを用いているため直下照度(Lx)の向上はもとより、点灯初期の安定するまでの時間を少々短縮することが確認できた。
【0043】
なお、本発明でいう上記親水性被膜8の形成材料としては、例えば石原産業株式会社製の酸化チタンST−01やST−03等があり、これら材料をカバー体1と反射体7との外表面に塗布して、常温から約150℃で加熱乾燥して親水性被膜8が形成できる。
【0044】
また、撥水被膜の形成材料としては、例えば信越シリコーン株式会社製形名CMA431A/X32−1387を50重量%と、信越シリコーン株式会社製形名CMA431B/X32−1387を50重量%とを混練したシリコーン樹脂により形成することができる。
【0045】
なお、本発明者が上記本発明の電球形蛍光ランプ装置Lについて、JIS C 0920 4,5 に定められた防水型機器の試験を行ったところ、ランプ装置Lで内部に水の侵入は認められなかった。(この試験は、口金を上方にした状態で、その上方300〜500mmの高さのところから、鉛直〜両側各60度までの全方向に亘ってじょおろを用い散水して、ランプ装置内部に正常な動作を阻害するような浸水がないかを調べる。)
さらに、上記の実施の形態では、電球形蛍光ランプ装置Lに係わるものについて述べたが、本発明は電球形蛍光ランプ装置に限らず他の照明装置であってもよい。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に記載したものに限定されない。たとえば、照明装置の外囲器を形成する反射体等の形状あるいは構造は、ランプの形状や組込む部品等に応じて種々変形してもよい。また、反射体等は、それぞれが一部材に限らず、複数の部材を接合したものであってもよく、本発明を各接続部に適用することによって最大の効果を奏する。
【0047】
また、材間の接続は、接着剤による接合に限らず、重合等の手段であってもよく、その場合は例えば撥水性被膜が重合部材間に隙間なく充填して形成された水分の透過がない状態であればよい。
【0048】
また、電球形蛍光ランプ装置を構成するランプや回路部品を支持するホルダ、カバー体や反射体等は、ランプの形状や組込む部品等に応じて種々変形していてもよい。蛍光ランプのバルブ形状は、1本のガラス管で屈曲部を形成しても、複数本のガラス管で屈曲部を形成したものでもあるいは複数本の直管状バルブを繋ぎ管を介し放電路を形成したものであってもよい。また、ホルダとの関係において単なる略U字形状や略W字形状あるいは略U字形状のバルブを円周状に配置したものであっても差支えない。
【0049】
さらに、ランプの点灯回路も、高周波点灯方式に限らず、他の方式による点灯であってもよく、さらにまた、点灯回路を構成する点灯回路部品は配線基板を用いることなくホルダあるいはカバー体に直接に設けられていてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明の請求項1の記載によれば、カバー体と反射体とからなる外囲器およびこの外囲器内面に固定したホルダの表面には親水性の被膜が形成してあり、外囲器やホルダに水分の付着がないので、外囲器内には水分の侵入がない。したがって、寿命中を通じ装置の内部に浸水による支障のない長寿命の照明装置を提供できる利点を有する。
【0051】
本発明の請求項2の記載によれば、反射体内面のホルダ固定箇所の外表面には高撥水性の被膜が存在するので、反射体内で発生した水分の透過を阻止し、外囲器内には水分の侵入がない。したがって、上記請求項1を兼ね備えた効果を奏する寿命中を通じ装置の内部に浸水による支障のない長寿命の照明装置を提供できる利点を有する。
【0052】
本発明の請求項3の記載によれば、上記請求項1または2に記載したと同様な効果を奏する。
【0053】
本発明の請求項4の記載によれば、形成部材の材質に係わりなく、上記請求項1ないし3に記載したと同様な効果を奏する。
【0054】
本発明の請求項5の記載によれば、電球形蛍光ランプに適用して、上記請求項1ないし4に記載したと同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の電球形蛍光ランプ装置を示す一部断面正面図である。
【図2】 反射体の有無および周囲温度と点灯経過時間とを要因として、点灯経過時間(分)と蛍光ランプ装置の直下照度(Lx)とを対比測定したグラフである。
【符号の説明】
L:電球形蛍光ランプ装置(照明装置)、 5,6:接着剤、
1:カバー体、 7:外囲器、
2:口金、 7R:反射体、
3:ホルダ、 8:親水性被膜、
4:蛍光ランプ、

Claims (5)

  1. カバー体に反射体が一体的に形成されてなる外囲器と;
    この外囲器内面に固定したホルダに支承されたランプと;
    上記反射体表面およびホルダ表面に形成された酸化チタンを含有してなる親水性被膜と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
  2. 上記外囲器内面のホルダ固定箇所の表面に撥水性被膜が形成してあることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  3. 上記撥水性被膜が、シリコーン系樹脂またはフッ素系樹脂あるいはこれらの混合したものからなることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
  4. 上記カバー体および反射体が合成樹脂または金属からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の照明装置。
  5. 上記ランプが蛍光ランプであり、この蛍光ランプに接続した点灯回路がカバー体内に収容されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の照明装置。
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