JP4066411B2 - 光信号増幅回路 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、受光素子の光電流を所望の電圧に変換する光信号増幅回路に関し、例えば、光磁気ディスクや光ディスクに記録されたデータを読み取るための光信号増幅回路に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、受光素子の光電流を所望の電圧に変換する光信号増幅回路としては、図6に示す回路構成のものが一般に用いられている。図6に示すように、入力端子と出力端子とを有し、光磁気ディスク等からの反射光を電気信号に変換する受光素子PDが入力端子に接続された反転アンプ101 と、反転アンプ101 の入出力端子間に設けられた帰還抵抗102 とからなるI/Vアンプ103 で構成されている。なお、図6において、Cinは受光素子PDの接合容量等の寄生容量である。
【0003】
次に、このように構成された光信号増幅回路の動作について説明する。例えば、光磁気ディスクからデータを読み出す再生時において、データ部からの反射光を受光素子PDが受光し、光電流Iinが流れたとすると、この光電流Iinは帰還抵抗102 に供給される。このため光電流は帰還抵抗102 により電圧に変換されて出力される。よって、出力電圧Vo は、反転アンプ101 の入力端子電圧をVin、帰還抵抗102 の値をRf1,光電流Iinの値をIin とすると、次式(1)で表される。
Vo =Vin−Rf1×Iin ・・・・・・・・・・・・(1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図6に示す光信号増幅回路の雑音は、入力換算雑音電流密度(単位:A/√Hz)で表わされるが、この雑音は帰還抵抗102 による熱雑音と反転アンプ101 内部の入力部の半導体デバイスのショット雑音で支配され、帰還抵抗102 による熱雑音In Rf1は:次式(2)で表される。
In Rf1=4kTΔf/Rf1 ・・・・・・・・・・(2)
ここで、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、Δf:雑音帯域幅である。また、この回路の−3dB帯域f-3dbは、次式(3)で表される。
f-3db=A/(2π・Cin・Rf1) ・・・・・・・・(3)
ここで、A:反転アンプ101 のオープンループ利得、Cin:受光素子PDの接合容量等の寄生容量である。
【0005】
これら(2),(3)式から雑音特性及び帯域特性には、帰還抵抗値が関係していることが分かる。ところで、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等により、抵抗の値は±20%〜±40%程度のバラツキがある。このため、雑音特性及び帯域特性も大きくばらつくことになる。
【0006】
このように、図6に示す従来の光信号増幅回路では、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等により、帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく光電流を所望のゲインで電圧に変換するという観点については、考慮がなされていない。
【0007】
本発明は、上記観点に着目してなされたもので、例えば、光情報記録媒体からデータを読み出す再生時に、受光素子から出力される光電流を、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等の影響により帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、所望のゲインで電圧に変換できる光信号増幅回路を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、入力端子と出力端子とを有し、入力端子に受光素子からの光電流が入力される反転アンプと、ドレインが前記反転アンプの入力端子に接続され、ソースが前記反転アンプの出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタとを具備し、前記光電流を電圧に変換するI/Vアンプと、演算増幅器と、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタのゲートと前記演算増幅器の出力に接続された第2のNMOSトランジスタと、前記演算増幅器の非反転入力端子と前記第2のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間に電流を供給する第1の電流源と、一端が前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決める第1の電圧源とを具備する抵抗値設定回路と、他端が前記第2のNMOSトランジスタのソースと前記第1の電圧源の他端に接続され、前記第2のNMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧を設定する第2の電圧源とを備え、前記第1のNMOSトランジスタと第2のNMOSトランジスタを三極管領域で動作させ、前記第1のNMOSトランジスタのドレインとソースの間と、前記第2のNMOSトランジスタのドレインとソースの間を等価抵抗として用いるようにして、光信号増幅回路を構成し、ここで、前記第2の電圧源は、前記反転アンプと同一の構成である第2の反転アンプと、前記第2の反転アンプの入出力端子間に接続された帰還抵抗とを具備するリファレンス用I/Vアンプと、前記リファレンス用I/Vアンプの入力に接続された第2の電流源とで構成し、前記リファレンス用I/Vアンプの出力を前記第2のNMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧としたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、請求項1に係る発明に対応する実施の形態は、第1の実施の形態である。このように構成された光信号増幅回路においては、第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間に第1の電流源の電流が流れ、ドレイン−ソース間に第1の電圧源の電圧が加わえられるように、演算増幅器の出力が第2のNMOSトランジスタのゲートを制御する。これにより、第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間は、第1の電流源の電流値と第1の電圧源の電圧値で値が決まる抵抗となる。そして、第1のNMOSトランジスタのゲートにも、第2のNMOSトランジスタのゲートと同様に演算増幅器の出力が与えられており、第2の電圧源の電圧をI/Vアンプの出力電圧と同等の電圧に設定することで、第1のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間は、第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間と同様の抵抗とみなせる。したがって、I/Vアンプの帰還抵抗を電圧源及び電流源の値で決めることができ、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等による抵抗値のバラツキの影響により、帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、光電流を所望のゲインで電圧に変換することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る光信号増幅回路において、前記第1の電圧源は、前記第2の電圧源又はリファレンス用I/Vアンプの出力に入力が接続されたA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータの出力に前記第2のNMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決めるデジタル信号を印加する手段と、出力が前記演算増幅器の反転入力端子に接続されたD/Aコンバータとで構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、請求項2に係る発明に対応する実施の形態は、第3の実施の形態である。このように構成された光信号増幅回路においては、第1の電圧源の電圧値をデジタル信号により制御することで、I/Vアンプの帰還抵抗を設定・制御することが可能になる。
【0012】
請求項3に係る発明は、入力端子と出力端子とを有し、入力端子に受光素子からの光電流が入力される反転アンプと、ソースが前記反転アンプの入力端子に接続され、ドレインが前記反転アンプの出力端子に接続された第1のPMOSトランジスタとを具備し、前記光電流を電圧に変換するI/Vアンプと、演算増幅器と、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートと前記演算増幅器の出力に接続された第2のPMOSトランジスタと、前記演算増幅器の非反転入力端子と前記第2のPMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間に電流を供給する第1の電流源と、一端が前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、前記第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決める第1の電圧源とを具備する抵抗値設定回路と、前記第2のPMOSトランジスタのソースと前記第1の電圧源の他端に接続され、前記第2のPMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧を設定する第2の電圧源とを備え、前記第1のPMOSトランジスタと第2のPMOSトランジスタを三極管領域で動作させ、前記第1のPMOSトランジスタのドレインとソースの間と、前記第2のPMOSトランジスタのドレインとソースの間を等価抵抗として用いるようにして、光信号増幅回路を構成し、ここで、前記第2の電圧源は、前記反転アンプと同一の構成である第2の反転アンプと、前記第2の反転アンプの入出力端子間に接続された帰還抵抗とを具備するリファレンス用I/Vアンプで構成し、前記リファレンス用I/Vアンプの入力を前記第2のPMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧としたことを特徴とするものである。
【0013】
ここで、請求項3に係る発明に対応する実施の形態は、第2の実施の形態である。このように構成された光信号増幅回路においては、第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間に第1の電流源の電流が流れ、ドレイン−ソース間に第1の電圧源の電圧が加わえられるように、演算増幅器の出力が第2のPMOSトランジスタのゲートを制御する。これにより、第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間は、第1の電流源の電流値と第1の電圧源の電圧値で値が決まる抵抗となる。そして、第1のPMOSトランジスタのゲートにも、第2のPMOSトランジスタのゲートと同様に演算増幅器の出力が与えられており、第2の電圧源の電圧をI/Vアンプの入力電圧と同等の電圧に設定することで、第1のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間は、第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間と同様の抵抗とみなせる。したがって、I/Vアンプの帰還抵抗を電圧源および電流源の値で決めることができ、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等による抵抗値のバラツキの影響により、帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、光電流を所望のゲインで電圧に変換することが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る光信号増幅回路において、前記第1の電圧源は、前記第2の電圧源又はリファレンス用I/Vアンプの出力に入力が接続されたA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータの出力に前記第2のNMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決めるデジタル信号を印加する手段と、出力が前記演算増幅器の反転入力端子に接続されたD/Aコンバータとで構成されたことを特徴とするものである。
【0015】
ここで、請求項4に係る発明に対応する実施の形態は、第3の実施の形態である。このように構成された光信号増幅回路においては、第1の電圧源の電圧値をデジタル信号により制御することで、I/Vアンプの帰還抵抗を設定・制御することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る光信号増幅回路に関連する第1の参照例を示す回路構成図である。入力端子と出力端子とを有し、入力端子に受光素子PDからの光電流が入力される反転アンプ1と、ドレインが反転アンプ1の入力端子に接続され、ソースが反転アンプ1の出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタQ1とを具備し、前記光電流を電圧に変換するI/Vアンプ11と、演算増幅器2と、ゲートが第1のNMOSトランジスタQ1のゲートと演算増幅器2の出力に接続された第2のNMOSトランジスタQ2と、演算増幅器2の非反転入力端子と第2のNMOSトランジスタQ2のドレインに接続され、第2のNMOSトランジスタQ2のドレイン−ソース間に電流を供給する第1の電流源3と、一端が演算増幅器2の反転入力端子に接続され、第2のNMOSトランジスタQ2のドレイン−ソース間の電圧を決める第1の電圧源4とを具備する抵抗値設定回路12と、第2のNMOSトランジスタQ2のソースと第1の電圧源4の他端に接続され、第2のNMOSトランジスタQ2と第1の電圧源4の基準電圧を設定する第2の電圧源5とを備え、前記第1のNMOSトランジスタQ1と第2のNMOSトランジスタQ2を三極管領域で動作させ、第1のNMOSトランジスタQ1のドレインとソースの間と、第2のNMOSトランジスタQ2のドレインとソースの間を等価抵抗として用いるように構成されている。
【0017】
次に、このように構成された第1の参照例の動作について説明する。まず、第1及び第2の電圧源4,5の電圧値をV1,V2とすると、第2のNMOSトランジスタQ2のソース電圧はV2となり、そのドレイン電圧は負帰還が掛かった演算増幅器2のバーチャル・ショートの原理によりV2+V1となる。これより、第2のNMOSトランジスタQ2のドレイン−ソース間電圧Vdsは、Vds=V1となる。よって、第2のNMOSトランジスタQ2のドレイン−ソース間抵抗Rf2は、第1の電流源3の電流値をI1とすると、次式(4)で表わせる。 Rf2=V1 /I1 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
【0018】
また、第2のNMOSトランジスタQ2が三極管領域で動作しているときには、第2のNMOSトランジスタQ2のドレイン−ソース間抵抗Rf2は、次式(5)で表わせる。
Rf2=1/{μn×COX2 ×(W2 /L2 )(Vgs2 −Vth2 )}
・・・・・・・・・(5)
μn:電子の移動度
COX2:第2のMOSトランジスタQ2のゲート酸化膜容量
W2:第2のMOSトランジスタQ2のゲート幅
L2:第2のMOSトランジスタQ2のゲート長
Vth2:第2のMOSトランジスタQ2の閾値電圧
【0019】
第1のNMOSトランジスタQ1のソース電圧は、I/Vアンプ11の出力電圧Vo であり、ゲート電圧は第2のNMOSトランジスタQ2のゲート電圧と同一で、演算増幅器2の出力電圧Vg となる。このため、第2の電圧源5の電圧V2をI/Vアンプ11の出力電圧Vo と同等の値にすると、第1及び第2のNMOSトランジスタQ1,Q2のゲート−ソース間電圧Vgs1,Vgs2は、次式(6)で表わせる。
Vgs1 =Vg −Vo ,Vgs2 =Vg −V2 =Vg −Vo
Vgs1 =Vgs2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
【0020】
第1のNMOSトランジスタQ1が三極管領域で動作しているときには、第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1は、次式(7)で表わせる。
Rf1=1/{μn×COX1 ×(W1 /L1 )(Vgs1 −Vth1 )}
・・・・・・・・・(7)
COX1:第1のMOSトランジスタQ1のゲート酸化膜容量
W1:第1のMOSトランジスタQ1のゲート幅
L1:第1のMOSトランジスタQ1のゲート長
Vth1:第1のMOSトランジスタQ1の閾値電圧
ここで、第1及び第2のNMOSトランジスタQ1とQ2が同一特性(COX1=COX2,W1=W2,L1=L2,Vth1=Vth2)とすると、(4),(5),(6)より、(7)式は次式(8)で表わせる。
Rf1=1/{μn×COX1 ×(W1 /L1 )(Vgs1 −Vth1 )}
=1/{μn×COX2 ×(W2 /L2 )(Vgs2 −Vth2 )}
=Rf2=V1 /I1 ・・・・・・・・・・・・・(8)
したがって、I/Vアンプ11の帰還抵抗となる第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1は、第1の電圧源4の電圧値V1と電流源3の電流値I1で決まることになる。
【0021】
このように本参照例では、光電流を電圧に変換するI/Vアンプ11の帰還抵抗を、第1の電圧源4と第1の電流源3の値で決めることができる第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1で構成したので、第1の電圧源4と第1の電流源3の値V1,I1を最適化することで、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等による抵抗値のバラツキの影響により、帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、光電流を所望のゲインで電圧に変換することが可能となる。
【0022】
次に、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。図2は、本発明に係る光信号増幅回路の第1の実施の形態を示す回路構成図である。図1に示した第1の参照例において、第2の電圧源5を、反転アンプ1と同一の構成である反転アンプ6と、反転アンプ6の入出力間に接続された帰還抵抗7とを具備するリファレンス用I/Vアンプ13と、リファレンス用I/Vアンプ13の入力に接続された第2の電流源8とで構成し、リファレンス用I/Vアンプ13の出力を第2のNMOSトランジスタQ2と第1の電圧源4の基準電圧とするものである。
【0023】
次に、このように構成された第1の実施の形態の動作について説明する。リファレンスI/Vアンプ13の出力電圧Vorは、第2の電流源8の電流値をI2,反転アンプ6の入力電圧をVirとすると、次式(9)で表わせる。
Vor=Vir−Rref ×I2 ・・・・・・・・・・・・(9)
I/Vアンプ11の出力電圧Vo は、光電流をIin,反転アンプ1の入力電圧をVi とすると、次式(10)で表わせる。
Vo =Vi −Rf1×Iin ・・・・・・・・・・・・(10)
ここで、反転アンプ1と反転アンプ6が同一構成であることから、Vir=Vi であり、第2の電流源8の電流値I2を光電流と同程度とし、帰還抵抗7の値Rref を第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1と同じ値に設定すると、(9),(10)式より次式(11)が成り立つ。
Vor=Vir−Rref ×I2 =Vi −Rf1×Iin=Vo ・・・・・・(11)
【0024】
(11)式より、第1及び第2のNMOSトランジスタQ1,Q2のゲート−ソース間電圧Vgs1,Vgs2は、演算増幅器2の出力電圧をVg とすると、次式(12)で表わせる。
Vgs1 =Vg −Vo ,Vgs2 =Vg −Vor=Vg −Vo
Vgs1 =Vgs2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
これは(6)式と同じであり、第1の参照例と同様に第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1は(8)式となり、I/Vアンプ11の帰還抵抗となる第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1は、第1の電圧源4の値V1と第1の電流源3の値I1で決まることになる。
【0025】
このように本実施の形態では、第1の参照例と同様の効果が得られる。また、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等による抵抗値のバラツキがあり、帰還抵抗Rref が変動した場合でも特性への影響を低減することが可能である。例えば、光磁気ディスクに記録されたデータを読み取る場合、光電流Iin は10μA程度となる。そこで、第2の電流源8の電流値をI2=10μAとし、Rf1,Rf2は20kΩとなるように、第1の電圧源4と第1の電流源3の値V1とI1を設定し、帰還抵抗7の値Rref も20kΩとする。ここで、帰還抵抗7の値Rref が+40%ばらついたとすると、(9),(10)式からリファレンス用I/Vアンプ13の出力電圧Vorは、次式(13)となる。
Vor=Vir−20k×1.4 ×10μ=Vo −20k×0.4 ×10μ=Vo −0.08
・・・・・・・・・(13)
【0026】
I/Vアンプ11とリファレンス用I/Vアンプ13の出力電圧の差0.08Vが、第1及び第2のNMOSトランジスタQ1,Q2のゲート−ソース間電圧Vgs1,Vgs2の差となる。このとき、第2のNMOSトランジスタQ2のゲート−ソース間電圧Vgs2が2Vとなるように第2のNMOSトランジスタQ2のゲート長とゲート幅が設定され、第1のNMOSトランジスタQ1のゲート長とゲート幅も第2のNMOSトランジスタQ2と同一サイズであり、第1及び第2のNMOSトランジスタQ1とQ2の閾値電圧が、Vth1=Vth2= 0.8Vとすると、(4),(5),(7)式より、I/Vアンプ11の帰還抵抗となる第1のNMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間抵抗Rf1は、次式(14)となる。
Rf1=1/{μn×COX1 ×(W1 /L1 )(Vgs1 −Vth1 )}
=1/{μn×COX2 ×(W2 /L2 )(Vgs2 −0.08−0.8 )}
=Rf2×(Vgs2 −0.8 )/(Vgs2 −0.08−0.8 )
=(V1 /I1 )×(2−0.8 )/(2−0.08−0.8 )
=20k×1.07 ・・・・・・・・・・・・・・・(14)
【0027】
よって、帰還抵抗7が40%ばらついた場合でも、帰還抵抗であるRf1は7%程度の変動となり、変動を低減できる。第1及び第2のNMOSトランジスタQ1,Q2のゲート−ソース間電圧Vgs1,Vgs2を大きくすることで、更に変動を低減することも可能である。
【0028】
次に、第2の参照例について説明する。図3は本発明に係る光信号増幅回路に関連する第2の参照例を示す回路構成図である。この参照例は、入力端子と出力端子とを有し、入力端子に受光素子PDからの光電流が入力される反転アンプ1と、ソースが反転アンプ1の入力端子に接続され、ドレインが反転アンプ1の出力端子に接続された第1のPMOSトランジスタQ1′とを具備し、光電流を電圧に変換するI/Vアンプ11と、演算増幅器2と、ゲートが第1のPMOSトランジスタQ1′のゲートと演算増幅器2の出力に接続された第2のPMOSトランジスタQ2′と、演算増幅器2の非反転入力端子と第2のPMOSトランジスタQ2′のドレインに接続され、第2のPMOSトランジスタQ2′のドレイン−ソース間に電流を供給する第1の電流源3と、一端が演算増幅器2の反転入力端子に接続され、第2のPMOSトランジスタQ2′のドレイン−ソース間の電圧を決める第1の電圧源4とを具備する抵抗値設定回路12と、第2のPMOSトランジスタQ2′のソースと第1の電圧源4の他端に接続され、第2のPMOSトランジスタQ2′と第1の電圧源4の基準電圧を設定する第2の電圧源5とを備え、第1のPMOSトランジスタQ1′と第2のPMOSトランジスタQ2′を三極管領域で動作させ、第1のPMOSトランジスタQ1′のドレインとソースの間と、第2のPMOSトランジスタQ2′のドレインとソースの間を、等価抵抗として用いるように構成されている。
【0029】
これにより、第2の電圧源5の電圧V2をI/Vアンプ11の入力電圧Vi と同等の値にし、第1及び第2のPMOSトランジスタQ1′とQ2′が同一特性とすると、第1の実施の形態と同様に、I/Vアンプ11の帰還抵抗となる第1のPMOSトランジスタQ1′のドレイン−ソース間抵抗Rf1は、第1の電圧源4の値V1と第1の電流源3の値I1で決まることになる。したがって、第1の電圧源4と第1の電流源3の値V1,I1を最適化することで、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等による抵抗値のバラツキの影響により、帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、光電流を所望のゲインで電圧に変換することが可能となる。
【0030】
次に、第2の実施の形態について説明する。図4は、本発明に係る光信号増幅回路の第2の実施の形態を示す回路構成図である。この実施の形態は、図3に示した第2の参照例において、第2の電圧源5を、反転アンプ1と同一の構成である反転アンプ6と、反転アンプ6の入出力端子間に接続された帰還抵抗7とを具備するリファレンス用I/Vアンプ13で構成し、リファレンス用I/Vアンプ13の入力を第2のPMOSトランジスタQ2′と第1の電圧源4の基準電圧とするものである。
【0031】
これにより、反転アンプ1と反転アンプ6が同一構成であることから、反転アンプ1の入力端子電圧Vi と反転アンプ6の入力端子電圧Virは、Vir=Vi であり、第1及び第2のPMOSトランジスタQ1′,Q2′のゲート−ソース間電圧Vgs1,Vgs2は、演算増幅器2の出力電圧をVg とすると、次式(15)で表わせる。
Vgs1 =Vg −Vi ,Vgs2 =Vg −Vir=Vg −Vi
Vgs1 =Vgs2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(15)
【0032】
よって、第1の実施の形態と同様に、I/Vアンプ11の帰還抵抗となる第1のPMOSトランジスタQ1′のドレイン−ソース間抵抗Rf1は、第1の電圧源4の値V1と第1の電流源3の値I1で決まることになる。したがって、第1の電圧源4と第1の電流源3の値V1,I1を最適化することで、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等による抵抗値のバラツキの影響により、帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、光電流を所望のゲインで電圧に変換することが可能となる。
【0033】
次に、第3の実施の形態について説明する。図5は、本発明に係る光信号増幅回路の第3の実施の形態を示す回路構成図である。図2に示した第1の実施の形態において、第1の電圧源4は、リファレンス用I/Vアンプ13の出力Vorに入力が接続されたA/Dコンバータと、このA/Dコンバータの出力に第2のNMOSトランジスタQ2(又は第2のPMOSトランジスタQ2′)のドレイン−ソース間の電圧を決めるデジタル信号V1を印加する手段9と、出力(Vor+V1)が演算増幅器2の反転入力端子に接続されたD/Aコンバータとで構成されたことを特徴とするものである。
【0034】
これにより、第1の実施の形態と同様の動作をすると共に、第1の電圧源の電圧値V1をデジタル信号により制御・設定することになる。このため、第1の実施の形態と同様の効果が得られると共に、I/Vアンプ11の帰還抵抗Rf1をデジタル信号により設定・制御することが可能になる。
【0035】
なお、この実施の形態では、図2に示した第1の実施の形態における第1の電圧源4に対して、その変形例を適用したものを示したが、この第1の電圧源4の変形例は、上記第1及び第2の参照例、並びに第2の実施の形態における第1の電圧源に対しても適用できるものであり、同様な効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
以上実施の形態に基づいて説明したように、本発明に係る光信号増幅回路によれば、受光素子から出力される光電流を、半導体の製造プロセスのバラツキや温度の変動等の影響により帯域特性及び雑音特性を劣化させることなく、所望のゲインで電圧に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光信号増幅回路に関連する第1の参照例を示す回路構成図である。
【図2】 本発明に係る光信号増幅回路の第1の実施の形態を示す回路構成図である。
【図3】 本発明に係る光信号増幅回路に関連する第2の参照例を示す回路構成図である。
【図4】 本発明に係る光信号増幅回路の第2の実施の形態を示す回路構成図である。
【図5】 本発明に係る光信号増幅回路の第3の実施の形態を示す回路構成図である。
【図6】 従来の光信号増幅回路の構成例を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 反転アンプ
2 演算増幅器
3 第1の電流源
4 第1の電圧源
5 第2の電圧源
6 反転アンプ
7 帰還抵抗
8 第2の電流源
9 デジタル信号印加手段
11 I/Vアンプ
12 抵抗値設定回路
13 リファレンス用I/Vアンプ
Claims (4)
- 入力端子と出力端子とを有し、入力端子に受光素子からの光電流が入力される反転アンプと、ドレインが前記反転アンプの入力端子に接続され、ソースが前記反転アンプの出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタとを具備し、前記光電流を電圧に変換するI/Vアンプと、演算増幅器と、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタのゲートと前記演算増幅器の出力に接続された第2のNMOSトランジスタと、前記演算増幅器の非反転入力端子と前記第2のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間に電流を供給する第1の電流源と、一端が前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決める第1の電圧源とを具備する抵抗値設定回路と、前記第2のNMOSトランジスタのソースと前記第1の電圧源の他端に接続され、前記第2のNMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧を設定する第2の電圧源とを備え、前記第1のNMOSトランジスタと第2のNMOSトランジスタを三極管領域で動作させ、前記第1のNMOSトランジスタのドレインとソースの間と、前記第2のNMOSトランジスタのドレインとソースの間を等価抵抗として用いるように構成し、ここで、前記第2の電圧源は、前記反転アンプと同一の構成である第2の反転アンプと、前記第2の反転アンプの入出力端子間に接続された帰還抵抗とを具備するリファレンス用I/Vアンプと、前記リファレンス用I/Vアンプの入力に接続された第2の電流源とで構成し、前記リファレンス用I/Vアンプの出力を前記第2のNMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧としたことを特徴とする光信号増幅回路。
- 前記第1の電圧源は、前記第2の電圧源又はリファレンス用I/Vアンプの出力に入力が接続されたA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータの出力に前記第2のNMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決めるデジタル信号を印加する手段と、出力が前記演算増幅器の反転入力端子に接続されたD/Aコンバータとで構成されたことを特徴とする請求項1に係る光信号増幅回路。
- 入力端子と出力端子とを有し、入力端子に受光素子からの光電流が入力される反転アンプと、ソースが前記反転アンプの入力端子に接続され、ドレインが前記反転アンプの出力端子に接続された第1のPMOSトランジスタとを具備し、前記光電流を電圧に変換するI/Vアンプと、演算増幅器と、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートと前記演算増幅器の出力に接続された第2のPMOSトランジスタと、前記演算増幅器の非反転入力端子と前記第2のPMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間に電流を供給する第1の電流源と、一端が前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、前記第2のPMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決める第1の電圧源とを具備する抵抗値設定回路と、前記第2のPMOSトランジスタのソースと前記第1の電圧源の他端に接続され、前記第2のPMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧を設定する第2の電圧源とを備え、前記第1のPMOSトランジスタと第2のPMOSトランジスタを三極管領域で動作させ、前記第1のPMOSトランジスタのドレインとソースの間と、前記第2のPMOSトランジスタのドレインとソースの間を等価抵抗として用いるように構成し、ここで、前記第2の電圧源は、前記反転アンプと同一の構成である第2の反転アンプと、前記第2の反転アンプの入出力端子間に接続された帰還抵抗とを具備するリファレンス用I/Vアンプとで構成し、前記リファレンス用I/Vアンプの入力を前記第2のPMOSトランジスタと前記第1の電圧源の基準電圧としたことを特徴とする光信号増幅回路。
- 前記第1の電圧源は、前記第2の電圧源又はリファレンス用I/Vアンプの出力に入力が接続されたA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータの出力に前記第2のNMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタのドレイン−ソース間の電圧を決めるデジタル信号を印加する手段と、出力が前記演算増幅器の反転入力端子に接続されたD/Aコンバータとで構成されたことを特徴とする請求項3に係る光信号増幅回路。
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