JP4066226B2 - 高強度ポリオレフィン繊維およびその製造方法 - Google Patents

高強度ポリオレフィン繊維およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種スポーツ衣料や防弾・防護衣料・防護手袋や各種安全用品などの高性能テキスタイル、タグロープ・係留ロープ、ヨットロープ、建築用ロープなどの各種ロープ製品、釣り糸、ブラインドケーブルなどの各種組み紐製品、漁網・防球ネットなどの網製品さらには化学フィルター・電池セパレーター・コンデンサーセパレーターや各種不織布の補強材あるいはテントなどの幕材、又はヘルメットやスキー板などのスポーツ用やスピーカーコーン用やプリプレグなどのコンポジット用の補強繊維など、産業上広範囲に応用可能な新規な高強度ポリオレフィン繊維の製造方法およびそれより得られた高強度ポリオレフィン繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
高強度ポリエチレン繊維に関しては例えば、特公昭60―47922号公報、特公昭62−257414号公報に開示されるごとく、超高分子量のポリエチレンを原料にし、いわゆる“ゲル紡糸法・溶液紡糸”により従来に無い高強度・高弾性率繊維が得られることが知られており、既に産業上広く利用されている。
【0003】
溶融紡糸による高強度ポリエチレン繊維に関しては例えば、USP4228118に開示されている。同特許によれば、少なくとも20,000の数平均分子量および12,5000より小さい重量平均分子量を有するポリエチレンを220〜335℃に保たれた紡糸口金から押し出し少なくとも30m/minの速度で引き取り115〜132℃で20倍以上延伸することにより少なくとも強度10.6cN/dtex以上の高強度ポリエチレン繊維の製造方法が開示されている。
【0004】
また特表平8−504891号公報には、高密度を有するポリエチレンを紡糸口金を介して溶融紡糸し、得られた繊維を50〜150℃で延伸することによって製造される高強度ポリエチレン繊維に於いて、溶融紡糸に供せられるポリエチレンがエチレンの単独重合体であって、重量平均分子量Mwが125000〜175000であること、数平均分子量Mnが26000〜33000であること、ポリマー分散性(Mw/Mn)が5未満であること、および密度が0.955g/cm3より大きいこと、という条件を満たすと共に、延伸段階における延伸の度合いが少なくとも400%であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維の製造方法が開示されている。該特許の特徴は、ポリマー分散性と原料ポリエチレンの密度を上記値にコントロールすることである。
【0005】
さらに、特開平11−269717号公報には、重量平均分子量が200,000〜450,000の結晶性ポリプロピレンからなる、高強度ポリプロピレン繊維が開示されているものの、該特許で得られる高強度繊維の強度は、高々13cN/dtex程である。該特許の特徴は、メルトフローレートの異なる2種の原料ポリプロピレンをプレンドし溶融紡糸を行い、加圧水蒸気を使用して、120〜180℃の延伸温度下で前記繊維を5倍以上に延伸することである。
【0006】
ゲル紡糸・溶液紡糸に於いては溶媒・重合体との混合物を使用することから、工業的に見るとコストが非常に高くなる。つまり、該特許に開示されている方法では、原料ポリエチレンの濃度は高々50%以下であり生産性に乏しい。又、溶媒を使用すると回収・精製設備などの付帯設備が必ず必要になりコストがかかる。さらに、環境面でも好ましく無い。
【0007】
さらに溶融紡糸では、いくつかの技術が開示されているが、いずれにしても非常に限定された生産条件でのみ該繊維の高強度化が達成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ゲル紡糸・溶液紡糸の用に溶媒・重合体との混合物を用いないで高強度ポリオレフィン繊維を製造する方法を提供する。又、従来の溶融紡糸法で開示されている、非常に限られた分子量範囲、ポリマー密度、生産条件以外で、生産性に優れる高強度ポリオレフィン繊維の製造方法を提供する。つまり本発明は、新規な高強度ポリオレフィン繊維の製造方法およびそれより得られた高強度ポリオレフィン繊維に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は以下の構成からなる。
1.重量平均分子量が60,000〜600,000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.5以下である重合体を溶融紡糸し、次いで得られた未延伸糸を当該未延伸繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸することを特徴とする高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
2.引き取り速度と吐出線速度の比(ドラフト比)が100以上であることを特徴とする1記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
3.重合体が、実質エチレンからなるポリエチレンで5個以上の炭素を有するアルキル基の分岐鎖が炭素1,000個あたり0.01〜3.0存在することを特徴とする1又は2記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
4.未延伸繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸した後、更に1段以上延伸することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
5.全延伸倍率が10倍以上であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
6.1記載の製造方法により得られた繊維の平均強度が15cN/dtex以上、平均弾性率が500cN/dtexであることを特徴とする高強度ポリオレフィン繊維。
以下本発明を詳述する
【0010】
本発明の最大の特徴は、ポリオレフィンの重量平均分子量が60,000〜600,000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.5以下である重合体を溶融押し出しし、押し出された溶融物を冷却し、該繊維の結晶分散温度以下の温度で一段目の延伸を行うことである。
【0011】
即ち本繊維の製造に当たっては、原料オレフィンポリマーの重量平均分子量が60,000〜600,000であることが重要であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.5以下となることが重要である。好ましくは、原料オレフィンポリマーの重量平均分子量が60,000〜300,000であることが重要であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下となることが重要である。さらに好ましくは、原料オレフィンポリマーの重量平均分子量が60,000〜200,000であることが重要であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.0以下となることが極めて重要である。
【0012】
本発明におけるオレフィンポリマーとは、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを特徴とし、少量の他のモノマーばα−オレフィンが共重合される。αオレフィンと共重合体を用いることによって長鎖の分岐をある程度含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸に於いての製糸上の安定を与えることとなり、より好ましい。つまり、特許第2963199号に開示されるように、ポリエチレンに長鎖分岐を含有させることにより、紡糸時のメルトフラクチャーの発生を低減させることが可能となる。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎると反って延伸の阻害要因となる為、高強度・高弾性率繊維を得るという観点からは、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり0,01〜3個以下であることが好ましい、より好ましくは炭素1,000個あたり0.01〜1個であり、さらに好ましくは0.05〜1.0個である。このようなポリエチレンポリマーは例えば、特許2963199に開示されるように、メタロセン触媒を用いて重合することが可能であるが、それにより限定されるものでは無い。
【0013】
原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,000未満となると溶融成形加工をし易いものの分子量が低い為に実際に得られる糸の強度は小さいものとなる。又、原料ポリエチレンの重量平均分子量が600,000を越えるような高分子量ポリエチレンでは溶融粘度が極めて高くなり、溶融成型加工が極めて困難となる。又、繊維状態の重量平均分子量と数平均分子量の比が4.5以上となると同じ重量平均分子量のポリマーを用いた場合と比較し最高延伸倍率が低く又、得られた糸の強度は低いものとなる。これは、緩和時間の長い分子鎖が延伸を行う際に延びきることが出来ずに破断が生じてしまうことと、分子量分布が広くなることによって低分子量成分が増加する為に分子末端が増加することにより強度低下が起こると推測している。
【0014】
本発明では、鋭意検討することにより上記の様な原料ポリエチレンから、高強度ポリエチレン繊維を得る手法を考案した。つまり、このような原料ポリエチレンを押し出し機で溶融しギアポンプにて定量的に紡糸口金を介して吐出させる。その後冷風にて該糸状を冷却し、所定の速度で引き取る。この時充分引き延ばして引き取ることが重要である。即ち、引き取り速度と吐出線速度との比が100以上で有ることが重要である、好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上である。吐出線速度と引き取り速度の比は、紡糸口金口径、単孔吐出量、オレフィンポリマー密度、引き取り速度から計算することが出来る。
【0015】
引き続き上記未延伸糸を以下に示す方法で延伸することが重要である。即ち該繊維を、少なくとも当該繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸を行うことである。次いで望ましくは当該1段延伸糸を更に、その結晶分散温度以上の温度で延伸を行う。この様な延伸条件を採用することにより驚く程、繊維の物性が向上することを見いだした。この際さらに多段に繊維を延伸しても良い。又。延伸工程は、一度巻き取った未延伸糸をオフラインにて延伸工程を行っても良いし、紡糸工程から一旦巻き取ることなしにそのまま延伸工程を行ってももちろん良い。延伸方法は特にこだわらない。これまでに公知な手法、例えばローラー延伸、スリット延伸などが推奨されるがこれに限定されるものでは無い。
【0016】
通常ポリエチレン配向物の最も高温側に観察される吸収は、結晶分散と呼ばれており、結晶相内の分子鎖熱運動に直接関与していると考えられている。この結晶分散温度は、動的粘弾性測定を行うことで測定することが出来る。即ち、測定で得られた貯蔵弾性率、損失弾性率から、損失正接を計算し、各温度で得られたこれらの三つの値を対数で縦軸に取り、横軸を温度でプロットし最も高温側に現れる吸収が結晶分散である。
【0017】
USP4228118号、特表平8−504891号公報、特開平5−186908号公報等、多数の文献に開示されるように、ポリオレフィン繊維を延伸する場合、該繊維を加熱し少なくとも50℃以上で延伸することが、物性面・生産性面でも好ましいことが開示されている。しかしながら、本発明では驚くべきことに、これまでの技術と相反して該繊維の結晶分散温度以下の温度条件で該繊維を延伸すると飛躍的に繊維物性が向上することを見いだし、本発明に到達した。
【0018】
即ち、該繊維を、該繊維の結晶分散温度以下の温度、具体的には65℃以下で延伸を行い、該繊維の結晶分散温度以上融点以下の温度、具体的には90℃以上でさらに延伸することが望ましい。好ましくは未延伸糸の結晶分散温度より10℃以上低い温度、さらに好ましくは20℃以上低い温度で一段目の延伸を行うことが極めて重要である。又、2段目の延伸以降は、該繊維の結晶分散温度より好ましくは20℃以上高い温度、さらに好ましくは30℃以上高い温度で延伸を行うことが重要である。
【0019】
当該未延伸糸の結晶分散温度散以下の温度で一段目の延伸を行うことによって、繊維物性が向上する理由は定かでは無いが、以下の様に推測している。つまり、該繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸を行うこととにより、繊維により延伸張力がかかる。又、該繊維の結晶分散温度以下で延伸を行っているが為に、結晶自体は延伸によって動きにくく、主に非晶部分のみの延伸が行われる。つまり、超延伸の様に結晶からの分子鎖の引きずり出しが極めて起こりにくい。このことによって、2段目以降の延伸がスムーズに行われる様な構造が繊維に形成され、2段目以降の延伸がスムーズに行われ、延伸後の繊維の物性が向上するものと推測しているが、詳細は定かで無い。
【0020】
以下に本発明における特性値に関する測定法および測定条件を説明する。
【0021】
(強度・弾性率)
本発明における強度,弾性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪ー応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力を強度(cN/dtex)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線より弾性率(cN/dtex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
【0022】
(重量平均分子量Mw、数平均分子量MnおよびMw/Mn)
重量平均分子量Mw、数平均分子量MnおよびMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては、Waters製GPC 150C ALC/GPCを持ち、カラムとしてはSHODEX製GPC UT802.5を一本UT806Mを2本用いて測定した。測定溶媒は、o−ジクロロベンゼンを使用しカラム温度を145℃した。試料濃度は1.0mg/mlとし、200マイクロリットル注入し測定した。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により分子量既知のポリスチレン試料を用いて構成されている。
【0023】
(分岐の測定)
オレフィンポリマーの分岐の測定は、13C−NMR(125MHz)を用いて決定される。ランダル(Randall)の方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3),P.285−297)の記載されている方法を用いて測定を行った。
【0024】
(動的粘弾弾性測定)
本発明における動的粘度測定は、オリエンテック社製「レオバイブロンDDV−01FP型」を用いて行った。繊維は全体として100デニール±10デニールとなるように分繊あるいは合糸し、各単繊維ができる限り均一に配列するように配慮して、測定長(鋏金具間距離)が20mmとなるように繊維の両末端をアルミ箔で包みセルロース系接着剤で接着する。その際の糊代ろ長さは、鋏金具との固定を考慮して5mm程度とする。各試験片は、20mmの初期幅に設定された鋏金具(チャック)に糸が弛んだり捩じれたりしないように慎重に設置され、予め60℃の温度、110Hzの周波数にて数秒、予備変形を与えてから本実験を実施した。本実験では−150℃から150℃の温度範囲で約1℃/分の昇温速度において110Hzの周波数での温度分散を低温側より求めた。測定においては静的な荷重を5gfに設定し、繊維が弛まない様に試料長を自動調整させた。動的な変形の振幅は15μmに設定した。
【0025】
(吐出線速度と紡糸速度の比(ドラフト比))
ドラフト比(Ψ)は、以下の式で与えられる
ドラフト比(Ψ)=紡糸速度(Vs)/吐出線速度(V)
【0026】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を説明する。
【0027】
(実施例1)
重量平均分子量115,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.3、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり0.4個である高密度ポリエチレンをφ0.8mm、30Hからなる紡糸口金から290℃で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した。押し出された繊維は、15cmの保温区間を通りその後20℃、0.5m/sのクエンチで冷却され、300m/minの速度で巻き取られる。該未延伸糸を、複数台の温度コントロールの可能なネルソンロールにて延伸した。1段延伸は、25℃で2.8倍の延伸を行った。さらに115℃まで加熱し5.0倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0028】
(実施例2)
実施例1の延伸糸を125℃に加熱し、さらに1.3倍の延伸を行った。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0029】
(実施例3)
1段目の延伸温度を40℃とした以外は、実施例1と同様の条件で延伸糸を作成した。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0030】
(実施例4)
1段目の延伸温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の条件で延伸糸を作成した。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0031】
(実施例5)
重量平均分子量152,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.4、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり0.4個である高密度ポリエチレンを、φ0.9mm、30Hの紡糸口金から300℃で単孔吐出量0.3g/minの速度で押し出した以外は実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0032】
(比較例1)
1段目の延伸温度を90℃とした以外は、実施例1と同様の条件で延伸糸を作成した。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0033】
(比較例2)
紡糸速度を60℃、1段目の延伸温度を90℃、延伸倍率を1段目3.0倍、2段目7.0倍とした以外は、実施例1と同様の条件で延伸糸を作成した。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0034】
(比較例3)
重量平均分子量123,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり12個である高密度ポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様の条件で延伸糸を作成したが、延伸時に糸切れが多発し、低い延伸倍率の延伸糸しか得られなかった。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0035】
(比較例4)
重量平均分子量121,500、重量平均分子量と数平均分子量の比が5.1、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり0.4個である高密度ポリエチレンをφ0.8mm、30Hからなる紡糸口金から270℃で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した以外は実施例1と同様に未延伸糸を作成した。該未延伸糸を、90℃で2.8倍の延伸を行った。さらにその後115℃まで加熱し3.8倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0036】
(比較例5)
比較例4で得られた未延伸糸を、40℃で2.8倍の延伸を行った。さらにその後115℃まで加熱し4.0倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0037】
(比較例6)
紡糸速度を80m/minとした以外は、比較例4と同様にして未延伸糸を作成した。該未延伸糸を80℃で2.8倍の延伸を行った。さらにその後115℃まで加熱し4.0倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0038】
(比較例7)
重量平均分子量123,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が6.0、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり0個である高密度ポリエチレンをφ0.8mm、30Hからなる紡糸口金から295℃で、単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した以外は実施例1と同様に未延伸糸を作成した。該未延伸糸を、90℃で2.8倍の延伸を行った。さらにその後115℃まで加熱し3.7倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0039】
(比較例8)
重量平均分子量52,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.3、5個以上の炭素を有する長さの分岐鎖が炭素1,000個あたり0.6個である高密度ポリエチレンをφ0.8mm、30Hからなる紡糸口金から255℃で、単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した以外は実施例1と同様に未延伸糸を作成した。該未延伸糸を、40℃で2.8倍の延伸を行った。さらにその後100℃まで加熱し5.0倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0040】
(比較例9)
重量平均分子量820,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5、5個以上の炭素を有する長さの分岐が炭素1,000個あたり1.3個である高密度ポリエチレンを用いて紡糸を行おうとしたが、溶融粘度が高く過ぎて均一に押し出すことが出来なかった。
【0041】
【表1】
Figure 0004066226
【0042】
【表2】
Figure 0004066226
【0043】
【発明の効果】
本発明によると新規な高強度ポリオレフィン繊維を効率的に製造する方法を提供することを可能とした。

Claims (4)

  1. 重量平均分子量が60,000〜600,000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.5以下である重合体を引き取り速度と吐出線速度の比(ドラフト比)が100以上で溶融紡糸し、次いで得られた未延伸糸を当該未延伸繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸することを特徴とする高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
  2. 重合体が、実質エチレンからなるポリエチレンで5個以上の炭素を有するアルキル基の分岐鎖が炭素1,000個あたり0.01〜3.0存在することを特徴とする請求項1記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
  3. 未延伸繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸した後、更に1段以上延伸することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
  4. 全延伸倍率が10倍以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強度ポリオレフィン繊維の製造方法。
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