JP4066223B2 - ユーディストミン合成中間体およびその合成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、何れの絶対立体配置の化合物も対応するアミノ酸の立体配置を規定することにより容易に合成できる一般式Cで表されるアルデヒドを用いた、高立体選択的反応を持って合成されるユーディストミン合成中間体の4つのジアステレオマーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ユーディストミン類はカリブ海のホヤから単離され既に構造決定されている(文献1)化合物群であり、特徴的なオキサチアゼピン環を有するテトラヒドロ−β−カルボリン誘導体(一般式D)を含んでいる。その中でも特にユーディストミンC(式Dにおいて、R1がH、R2がOHおよびR3がBrの化合物)およびE(式Dにおいて、R1がBr、R2がOHおよびR3がHの化合物)は強い抗ウィルス活性を示すことが報告され、抗ウィルス剤のリード化合物として期待されている。これまでに、いくつかのグループによって全合成が達成されている(文献2、文献3)。しかしながら、特に7員環オキサチアゼピン骨格の立体選択的構築をはじめとして収率、立体選択性に問題があり、商業ベースにのるような化合物の供給ができる合成法は実現されていない。
【0003】
【化5】
【0004】
前記文献2に記載の発明は、N−ヒドロキシトリプタミンとアミノアルデヒドから得られるニトロンのピクテット−スペングラ−(Pictet−Spengler)反応を鍵工程とし、メチルスルフィドのプンメラー(Pummerer)反応を応用した7員環オキサチアゼピン構造の構築に特徴があるが、前者の鍵工程によって合成した中間体を用いる7員環オキサチアゼピン環の形成は極めて効率が悪いという問題点がある。また、前記文献3に記載の発明は、末端にエステル基を有するO−アルキルヒドロキシルアミンの還元的環化反応により一挙にユーディストミンの基本骨格を構築する点に特徴があるが、アミノ酸由来のアミノ基の立体化学の影響による1位の立体化学の制御が天然のユーディストミンが持つ立体構造とは反対になるという問題点がある。いずれの先行技術においても、合成経路の効率性、立体構造の構造選択性、換言すればジアステレオ選択性が良くないと言う問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記先行技術の問題点を改善した収率、立体選択性の良いユーディストミンを合成することができる、特に7員環オキサチアゼピン骨格の立体選択的構築をはじめとして収率が改善されたユーディストミン合成中間体および該中間体の合成方法を提供することである。ピクテット−スペングラー(Pictet-Spengler)反応を、ユーディストミン合成工程の一工程とする合成反応は公知であるが、該反応の反応原料として用いる化合物により構造選択性および収率が良くないと言う問題点があった。そこで本発明者等は出発原料の検討から始め、最終目的物であるユーディストミン類縁体を立体構造を高度に制御して合成できる新規なユーディストミン合成中間体を製造できる出発原料と前記中間体の合成方法を確立することにより、前記本発明の課題を解決した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、前記一般式Aで表される2種のジアステレオマー構造のユーディストミン合成中間体である〔なお、本発明におけるユーディストミン骨格の番号付けは、図1に示すRinehartらにより用いられた方法による(文献1)。一般式Aでは、前記ユーディストミン骨格の番号付を敷衍して番号付けした。〕。
本発明の第2は、前記一般式Bの化合物と前記式Cのアルデヒドとからピクティット−スペングラー(Pictet-Spengler)反応により前記一般式Aの化合物を製造する方法であり、好ましくは、酸としてハロゲン置換酢酸を使用し、反応溶媒としてトルエンまたはベンゼンを用いて(1S、10R)の絶対立体配置を示す一般式Aの化合物を高選択的に製造する方法である。
本発明の第3は、一般式1で表される7位がOR3(R3はH、低級アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはトリフルオロメタンスルホニル基である。)であることを特徴とする、種々の誘導体が合成可能、例えば鈴木カップリング反応による7位に炭素と結合する残基を導入した化合物を合成可能中間体として有用なユーディストミン類縁体化合物に関する。
【0007】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明は前記一般式Bの化合物と一般式C、特に化合物1(式中、Bocはターシャリーブトキシカルボニルなどの置換基である。)とを反応させて得られる一般式Aに含まれる化合物は、1位と10位の立体配置を制御して所望の立体配置のユーディストミン類縁体を合成できる有用な中間体を製造できるという特徴がある。
【0008】
【化6】
【0009】
B.また、前記一般式1の新規なユーディストミン類縁体の特徴は、7位の置換基を種々の置換基に容易に変換できるという特徴を持ち、ユーディストミン類縁体の置換基と抗ウイルス剤などとしての特性を考察する上で重要な化合物である。
【0010】
【実施例】
実施例1
一般式BにおいてR1が水素、R2がメトキシ基、R3がBr、そしてR7がHである化合物2と一般式Cの化合物として、前記化合物1を用いて一般式Aに含まれる化合物3を合成する。
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】
前記化合物2(1.25g,3.62mmol)、前記アルデヒド1(1.07g,4.36mmol)のトルエン溶液に氷冷下でジクロロ酢酸(0.030ml,0.362mmol)を滴下した。同温で15分撹拌した後、反応液を酢酸エチルエステルで希釈した後、飽和重曹水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン/酢酸エチルエステル(4/1)溶出部より無色油状化合物3を2.01g(quant,11:1dr)得た。
【0014】
化合物3の物性:
IR(film、cm-1)3469,3359,2978,2981,1699,1366,1171,852,759;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.50(s,6H),1.54(s,9H),2.26(s,3H),2.72−2.82(m,1H),2.84−2.96(m,1H),3.04−3.16(m,1H),3.67−3.76(m,1H),3.77−3.83(m,1H),3.91(s,3H),4.06−4.15(m,1H),4.57−4.63(m,1H),4.64−4.70(m,1H),4.81(d,J=11.6Hz,1H),4.85(d,J=11.6Hz,1H),6.94(s,1H),7.50(s,1H),8.26(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ15.6,19.8,26.9,28.4,52.1,56.8,63.8,64.7,64.9,77.9,81.2,95.1,100.6,106.8,110.2,115.3,126.1,131.5,131.8,150.1.
【0015】
実施例2
実施例1と同様な方法により、前記化合物3の6位―OMeおよび7位―Brが水素の化合物4が得られる。
化合物4の物性:
IR(film、cm-1)3472,1700,1254,1171,1095,853,741;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ1.50(s,6H),1.55(s,9H),2.26(s,3H),2.77−2.97(m,2H),3.05−3.15(m,1H),3.67−3.75(m,1H),3.83(dd,J=3.7,9.5Hz,1H),4.09(dd,J=7.8,9.5Hz,1H),4.70(brs,2H),7.09(ddd,J=0.8,7.8,7.8Hz,1H),7.15(ddd,J=1.2,7.8,7.8Hz,1H),7.29(d,J=7.8Hz,1H),7.47(d,J=7.8Hz,1H),8.32(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ15.6,19.9,26.8,28.5,52.4,58.2,63.8,64.9,77.9,81.1,95.1,110.3,110.9,118.1,119.4,121.8,126.3,136.3,153.9.
【0016】
実施例3
実施例1と同様な方法により、前記化合物3の6位―OMeが水素、7位―BrがMsO(Msはメタンスルホニル)の化合物5が得られる。
化合物5の物性:
IR(film、cm-1)2979,2935,1748,1697,1478,1375,1181,967,836,757;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.43−1.72(m,15H),2.04(d,J=5.9Hz,3H),2.21(s,3H),2.53(dd,J=6.0,16.4Hz,1H),2.93−3.05(m,1H),3.13(s,3H),3.39−3.58(m,1H),3.68(dd,J=6.0,14.8Hz,1H),4.15−4.30(m,1H),4.46(dd,J=2.0,9.0Hz,1H),4.56-4.61(m,1H),4.85(d,J=11.0Hz,1H),4.89(d,J=11.0Hz,1H),4.94−5.06(m,1H),6.77(q,J=5.9Hz,2H),7.21−7.23(m,1H),7.41−7.49(m,1H),8.09(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ15.0,25.4,27.7,28.4,37.0,58.6,58.8,64.3,77.2,77.9,80.0,83.4,95.2,110.8,116.9,117.7,118.7,128.7,134.9,146.6,146.7,149.1.
【0017】
参考例1
ここで、前記化合物3からユーディストミン類縁体を合成する概略の工程を説明する。先ず、9位のアミノ基のHをACE(アルファクロロエトキシカルボニル)化する。得られた化合物のMTM(メチルチオメチル)基をクロロメチルエーテル基に変換し、チオアセテート化する。得られた化合物6から以下に示す反応1の7員オキサチアゼピン環の形成によりユーディストミン類縁体7を合成することができる。
【0018】
【化9】
【0019】
前記環形成反応は次のようにして行った。
化合物6(1.15g,1.58mmol)、炭酸カリウム(1.09g,7.90mmol)のメタノール溶液を15分間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後メチレンクロライドで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン/酢酸エチルエステル(1/1)溶出部より無色粉末である化合物7を498mg(65%)得た。前記環形成反応後も、前記立体構造を決定する鍵反応である前記「0013」において、対応するアミノ酸より合成したRー体のアルデヒドをジクロロ酢酸とトルエン溶媒を用いて反応させることにより形成される(1S、10R)の立体配置が前記化合物7でも維持されていた。
【0020】
化合物7の物性:
IR(film、cm-1)3338,1685,1497,1164,1040,829,757;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.19(s,9H),2.72−2.85(m,2H),2.88−3.00(m,1H),3.06−3.19(m,1H),3.30(d,J=14.4Hz,1H),3.56−3.63(m,1H),3.90(s,1H),4.10(brs,1H),4.59−4.67(m,1H),4.79(d,J=8.8Hz,1H),4.93(d,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),7.46(s,1H),8.58(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.7,28.0,32.4,48.5,54.8,56.7,69.5,70.9,80.1,100.3,106.7,109.3,115.7,125.9,132.1,132.4,149.8,156.1.
【0021】
実施例4
前記化合物5を用いて、前記参考例と同様の方法により、7位がMsO−(メMsはメタンスルホニル)で置換されたユーディストミン類縁体8が得られた。
【0022】
【化10】
【0023】
化合物8の物性:
IR(film、cm-1)3329,2976,2925,2848,1686,1497,1365,1180,1112,835,754;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.17(s,9H),2.77−2.83(m,2H),2.90−3.00(m,1H),3.07(s,3H),3.09−3.19(m,1H),3.32(d,J=14.4Hz,1H),3.58−3.62(m,1H),4.14(brs,1H),4.63−4.71(m,1H),4.80(d,J=9.0Hz,1H),4.94(d,J=9.0Hz,1H),5.72(d,J=10.5Hz,1H),7.00(dd,J=2.2,8.5Hz,1H),7.24(d,J=2.2Hz,1H),7.43(d,J=8.5Hz,1H),8.90(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.7,28.1,32.5,36.8,48.6,54.9,69.5,71.0,80.2,105.1,109.5,113.7,118.8,125.4,132.7,136.8,144.9,156.2.
【0024】
実施例4’
化合物8の保護基(Boc)を取り除いた化合物8’の製造は以下の方法により行った。
【0025】
【化11】
【0026】
化合物8(11.0mg、0.0234mmol)およびNaI(16.7mg、0.117mmol)のCH3CN溶液にクロロトリメチルシラン(6.0μL、0.0468mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で加える。反応混合物は飽和NaHCO3に注ぎ、ついで酢酸エチルで抽出する。抽出物はブラインで洗浄、Na2SO4上で乾燥する。ろ過、ロータリー蒸発器で濃縮して粗生成物を得た。該粗生成物は精製用薄膜クロマトグラフィー(CH2Cl2中10%のメタノールを混合した溶媒を使用)により精製して化合物8’を得た。
化合物8’の物性:
〔α〕D−94.6ー(c0.62,MeOH);IR(film、cm-1)3377,3168,2919,1559,1473,1178,1100,955,839,750;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.95(brs,2H),2.72−2.85(m,1H),3.06−3.13(m,1H),3.14(s,3H),3.29(d,J=14.4Hz,1H),3.53−3.61(m,2H),4.06(brs,1H),4.78(d,J=9.0Hz,1H),4.91(d,J=9.0Hz,1H),7.00(dd,J=2.2,8.6Hz,1H),7.30(d,J=2.2Hz,1H),7.42(d,J=8.6Hz,1H),8.90(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.9,34.1,37.0,50.6,53.8,69.6,71.5,105.3,110.7,113.9,118.9,125.5,132.7,136.7,144.8.
【0027】
実施例5
前記化合物8から、以下に記載の合成法により、MsをHとする化合物9が得られる。
化合物8(20.7mg、0.0441mmol)のメタノール(0.5mL)溶液にKOH(60.4g、0.882mmol)を加える。反応混合物を15分加熱還流する。冷却後、反応混合物を飽和NH4Cl溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出する。抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、ついで減圧下で乾燥する。化合物9の化合物は、精製用薄層クロマトグラフィー(ヘキサン中に40%の酢酸エチルを混合した溶媒を使用)にかけて得られた。
【0028】
化合物9の物性:
IR(film、cm-1)3344,2970,2844,168,1634,1498,1366,1164,1038,787;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.19(s,9H),2.72−2.78(m,2H),2.78−2.99(m,1H),3.10−3.18(m,1H),3.25−3.36(m,1H),3.53−3.63(m,1H),4.11(brs,1H),4.56−4.65(m,1H),4.80(d,J=9.0Hz,1H),4.93(d,J=9.0Hz,1H),5.26(brs,1H),5.70(d,J=10.0Hz,1H),6.64(dd,J=2.2,8.6Hz,1H),6.71(d,J=2.2Hz,1H),7.22−7.26(m,1H),8.44(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.8,28.1,32.5,48.8,54.9,69.5,71.0,80.1,97.4,109.1,109.4,118.6,120.9,122.8,129.4,138.1,151.9.
【0029】
実施例5’
化合物9の保護基(Boc)を取り除いた化合物9’は前記化合物8’の製造方法と同様の方法によって得られる。
化合物9’の物性:
〔α〕D−93.7ー(c0.37,MeOH);IR(film、cm-1)3281,2918,1633,1457,1151,1038,832,722;1H−NMR(400MHz,CD3OD)δ2.58−2.65(m,1H),2.69−2.80(m,2H),2.94−3.04(m,1H),3.11−3.19(m,1H),3.41−3.48(m,2H),3.95(brs,1H),4.68(d,J=9.0Hz,1H),4.80(d,J=9.0Hz,1H),6.47(dd,J=2.0,8.5Hz,1H),6.64(d,J=2.0Hz,1H),7.10(d,J=8.5Hz,1H);13C−NMR(100MHz,CD3OD)δ21.8,34.0,50.8,55.2,71.3,72.0,97.9,110.1,111.2,119.3,121.6,130.0,140.1,154.3.
【0030】
実施例6
化合物9のOHをトリフルオロメタンスルフォニル(Tf)化した化合物10は、以下の方法により合成される。この化合物は遷移金属触媒を用いたカップリング反応、特に鈴木カップリング反応、薗頭カップリング反応、Stilleカップリング反応、Heck反応の原料として有用である。
化合物10の合成。前記化合物9(18.9mg、0.0483mmol)のCH2Cl2溶液に、ピリジン(12μL、0.145mmol)および無水トリフルオロメタンスルフォン酸(12μL、0.0725mmol)を0℃で加える。反応混合物を室温まで暖め、飽和NaHCO3に注ぎ、ついでCH2Cl2で抽出する。抽出物はブラインで洗浄、MgSO4上で乾燥、ろ過、減圧下で蒸発させる。化合物10は、精製用薄層クロマトグラフィー(ヘキサン中に20%の酢酸エチルを混合した溶媒を使用)にかけて得られた。
【0031】
化合物10の物性:
IR(film、cm-1)3321,2976,1685,1498,1367,1143,1097,948,868,757;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.17(s,9H),2.79−2.84(m,2H),2.90−3.01(m,1H),3.11−3.18(m,1H),3.33(d,J=14.4Hz,1H),3.59−3.63(m,1H),4.11(brs,1H),4.62−4.71(m,1H),4.80(d,J=9.0Hz,1H),4.94(d,J=9.0Hz,1H),5.74(d,J=10.5Hz,1H),6.98(dd,J=2.2,8.8Hz,1H),7.22(d,J=2.2Hz,1H),7.42(d,J=8.8Hz,1H),8.95(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.7,28.1,32.5,48.6,55.0,69.6,71.1,80.5,104.6,109.8,112.9,119.0,120.5,126.2,133.5,136.6,145.4,156.3.
【0032】
実施例7
化合物10のTfO−をp−メトキシフェニルにし、保護基(Boc)を取り除いた化合物11は以下の方法により合成される(いわゆる、鈴木カップリング法)。
化合物11の合成。化合物10(8.7mg、0.0166mmol)および4−メトキシフェニルホウ酸(5.1mg、0.0332mmol)のジオキサン(0.3mL)−飽和Na2CO3(0.1mL)溶液にPd(PPh3)4(2.0mg、0.00166mmol)を加えた。混合物を15分間80℃で加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈、ブラインで洗浄、MgSO4上で乾燥する。ろ過、ロータリー蒸発器で濃縮し粗生成物を得た。粗生成物は、精製用薄層クロマトグラフィー(ヘキサン中に20%の酢酸エチルを混合した溶媒を使用)で精製されて所望の生成物を得た。該所望の生成物およびNaI(12.5mg、0.0664mmolのCH3CN(0.5mL)溶液にクロロトリメチルシラン(4.5μL、0.0332mmol)を、アルゴン気流下の室温において加えた。反応混合物は飽和NaHCO3に注ぎ、ついで酢酸エチルで抽出した。抽出物は、ブラインで洗浄、Na2SO4上で乾燥される。ろ過、ロータリー蒸発器上で濃縮することにより粗生成物を得た。粗生成物は、精製用薄層クロマトグラフィー(CH2Cl2中に10%のメタノールを混合した溶媒を使用)で精製され化合物11を得た。
【0033】
化合物11の物性:
〔α〕D−154.3ー(c0.55,MeOH);IR(film、cm-1)3311,2916,2838,1509,1465,1245,1179,1037,823,734;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ2.39−2.50(m,1H),2.69−2.98(m,5H),3.05−3.14(m,1H),3.16(d,J=14.9Hz,1H),3.46−3.53(m,1H),3.86(s,3H),4.07(brs,1H),4.62(d,J=9.0Hz,1H),4.82(d,J=9.0Hz,1H),6.98(d,J=8.8Hz,2H),7.35(dd,J=1.5,8.2Hz,1H),7.47(d,J=8.2Hz,1H),7.70(brs,1H),8.96(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.5,33.1,50.3,53.7,55.7,68.5,71.1,109.9,114.2,116.1,118.5,119.7,124.6,130.4,134.3,135.9,137.2,149.6,153.7.
【0034】
実施例8
前記前記化合物9から、水素をアリル基にし、保護基(Boc)を取り除いたた化合物12が以下の方法により得られる。
化合物12の合成。化合物9(12.5mg、0.0319mmol)、テトラブチルアンモニウムヨウ化物(23.6mg、0.0638mmol)および粉末化K2CO3(22.1g、0.160mmol)溶液に、臭化アリル(28μL、0.319mmol)を加える。混合物は30分間加熱還流する。冷却後、反応混合物は酢酸エチルで希釈され、飽和NH4Clで洗浄、MgSO4上で乾燥される。ろ過、ロータリー蒸発器上で濃縮することにより粗生成物を得た。粗生成物を精製用薄層クロマトグラフィー(ヘキサン中に20%の酢酸エチルを混合した溶媒を使用)にかけ、所望の生成物を得た。該所望の生成物およびNaI(23.9mg、0.160mmolのCH3CN(0.5mL)溶液にクロロトリメチルシラン(8.1μL、0.0638mmol)を、アルゴン気流下の室温において加えた。反応混合物は飽和NaHCO3に注ぎ、ついで酢酸エチルで抽出した。抽出物はブラインで洗浄、Na2SO4上で乾燥される。ろ過、ロータリー蒸発器上で濃縮することにより粗生成物を得た。粗生成物は、精製用薄層クロマトグラフィー(CH2Cl2中に10%のメタノールを混合した溶媒を使用)で精製され化合物12を得た。
【0035】
化合物12の物性:
〔α〕D−98.5ー(c0.45,MeOH);IR(film、cm-1)3246,2921,1507,1271,1154,1031,817,773;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ2.39(brs,2H),2.70−2.90(m,2H),3.03−3.13(m,1H),3.18(d,J=14.9Hz,1H),3.44−3.51(m,1H),3.71−3.78(m,1H),4.05(brs,1H),4.58(d,J=5.4Hz,2H),4.65(d,J=9.0Hz,1H),4.84(d,J=9.0Hz,1H),5.29(dd,J=1.4,10.5Hz,1H),5.48(dd,J=1.4Hz,18.0Hz,1H),6.08(ddt,J=5.4,10.5,18.0Hz,1H),6.81(dd,J=2.0,8.6Hz,1H),7.12(d,J=2.0Hz,1H),7.32(d,J=8.6Hz,1H),8.99(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.6,33.2,50.2,53.7,68.5,69.4,71.1,96.5,110.2,110.8,117.7,118.9,120.2,128.7,133.4,137.4,155.7.
【0036】
実施例9
化合物10のTfOを−CO2Me基にした化合物13は以下の方法により合成される。
化合物10(7.4mg,0.0141mmol)およびEt3N(10mL、0.0705mmol)のメタノール(0.4mL)−DMF(0.0141mmol)溶液にPdCl2(dppf)(1.1mg、0.00141mmol)をCO雰囲気(1気圧=0.101325MPa)下で加えた。反応混合物は15分間80℃で加熱した。冷却後、反応混合物は酢酸エチルで希釈、ブラインで洗浄、MgSO4上で乾燥する。ろ過、ロータリー蒸発器で濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を精製用薄層クロマトグラフィー(ヘキサン中に20%の酢酸エチルを混合した溶媒を使用)で精製し、化合物13を得た(3.7mg、収率60%)。
【0037】
化合物13の物性:
〔α〕D−78.4ー(c0.15,MeOH);IR(film、cm-1)3326,2925,1714,1505,1321,1211,1164,1089,767;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.16(s,9H),2.79−2.88(m,2H),2.92−3.03(m,1H),3.11−3.20(m,1H),3.33(d,J=14.0Hz,1H),3.91(s,3H),4.16(brs,1H),4.64−4.71(m,1H),4.81(d,J=9.0Hz,1H),4.95(d,J=9.0Hz,1H),5.72(d,J=10.5Hz,1H),7.44(d,J=8.3Hz,1H),7.77(d,J=8.3Hz,1H),8.04(s,1H),8.86(brs,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ20.7,28.1,32.5,48.6,51.9,54.9,69.7,71.1,80.3,109.7,113.6,117.5,120.6,129.8,134.6,138.6,148.7,156.2,168.2.
【0038】
引用文献リスト:
文献1:Rinehart, K. L., Jr.; Kobayashi, J.; Harbour, G. C.; Hughes, R. G., Jr.; Mizsak, S. A.; Scahill, T. A.J.Am.Chem.Soc.,1984, 106,1524.,
文献2:M.Nakagawa et al.,J.Chem.Soc.,Perkin 1,3487(2000),
文献3:P.H.H.Hermkens et al.,Tetrahedron,49,2325(1993),
文献4:P.H.H.Hermkens et al.,J.Org.Chem.,55,3998-3946(1990),
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の中間体を用いることにより、7員環オキサチアゼピン骨格の形成工程の収率および立体選択性が改善されるという優れた効果がもたらされ、また、新規なユーディストミン類縁体は種々の置換基を導入した化合物が合成できる点で、ユーディストミン類縁体の置換基と機能の検討に役立つという、優れた効果がもたらされる。
【0040】
略語一覧
Boc :ターシャリーブトキシカルボニル
Me :メチル
Ns :オルトニトロベンゼンホンスルホニル
DEAD :ジエチルアゾジカルボキシレート
PPh3 :トリフェニルフォスフィン
TFA :トリフルオロアセティクアシッド
Me2S :ジメチルスルフィド
PhSH :チオフェノール
DMF :ジメチルカーボネート
iPr2Net :ジイソプロピルエチルアミン
AcSH :チオアセティックアシッド
AcOH :アセティックアシッド
Ms :メタンスルホニル
ACE :アルファクロロエトキシカルボニル
TMSCl :トリメチルシリルクロライド
Tf2O :トリフルオロメタンスルフォニックアンハイドライド
PdCl2(dppf):ジクロロパラジウムジフェニルフォスフィノフェロセン
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラインハートらによるユーディストミン骨格の順番の付与方法
【図2】 一般式Aの1、10位の立体構造の違いに基づく4つの異性体
Claims (4)
- 一般式Aで表される構造において、1位および10位の絶対立体配置が(1S、10R)または(1R、10R)であるユーディストミン合成中間体。
(ここで、R1、R2、およびR3は、H、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン、低級パーフルオロアルキル基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルまたはアシルアミノ基、低級アルキルまたはアリ−ルスルホニルオキシ基から独立に選択される基である。R4はアルコキシカルボニル基、アシル基、低級アルキルまたはアリ−ルスルホニル基を示す。R6はH、シリル基、アシル基、または、他の低級アルコールとアセタール構造を形成してもよい。また、R5はH、またはR6と分子内アセタール構造を形成してもよい。Meはメチル基、R7はH、アルキル基、アルコキシカルボニル基、低級アルキルまたはアリ−ルスルホニル基を示す。 - 請求項2に記載の一般式Bの化合物と式Cのアルデヒドとからピクティット−スペングラー( Pictet-Spengler )反応により請求項1に記載の一般式Aの化合物を製造する方法において、酸としてハロゲン置換酢酸を使用し、反応溶媒としてトルエンまたはベンゼンを用いて前記式Cの立体配置に対応した請求項1に記載の(1S、10R)の絶対立体配置を示す一般式Aの化合物を高選択的に製造する方法。
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