JP4065348B2 - 光ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー記録又は読み出し用の光ディスクを製造する方法に関するものであり、主に、一対のディスク基板を貼り合わせて構成する光ディスクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ビデオディスクやコンパクトディスク、ディスクメモリー等の光ディスクのディスク基板は、熱可塑性樹脂の中でもアクリル樹脂ないしポリカーボネートを射出成型することにより作られている。このようにして、作られたディスク基板は、情報パターンの転写性、基板の透明性や耐熱性に優れる上に、吸水性や複屈折性が低く、光ディスク用基板として優れている。
現在、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)に代表される光ディスクは、書き込み専用(DVD−ROM)と読み書き可能(DVD−RAM)の2種類に分類され、いずれも0.6mm厚の基板を2枚貼り合わせた構造になっている。片方にのみ記録面が形成されているディスクでは、反対側の基板は透光性を有しているため、紫外線により硬化する接着剤を用いて、透光性の基板面から紫外線を照射し、硬化させ接着する方法が取られている。
しかしながら、両面に記録面が形成されているディスクでは、紫外線の透過性がないため、両面接着テープ、2液反応型接着剤、又はカチオン系のエポキシ接着剤など紫外線硬化法を用いない方法が検討されている。
【0003】
それぞれの方法の概略について説明する。
両面接着テープの場合:PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの基剤フィルム上に粘着層を形成し、その粘着層の上を剥離紙でカバーして両面接着テープを構成する。このような両面接着テープを用い、その剥離紙をはがした後、片方の基板に粘着層を接着し、基剤フィルムをはがした後、もう片方の基板を対向させ接着する。このとき、基板間に閉じ込められた気泡を抜くため、粘着層が流動する温度まで温度上昇させ、圧力をかけることにより気泡を抜きながら貼り合わせる方法や、真空中で2枚の基板を貼り合わせることにより、気泡が入らないようにする方法が取られている。
2液反応型接着剤の場合:2種類の液がミキシングあるいは接触することで、硬化反応が開始するタイプの接着剤である。ミキシングタイプの場合、一対のディスク基板のうちの記録面が形成された方のディスク基板の記録面側にスタチックノズル等により2液をミキシングして供給し、もう一枚の基板を貼り合わせたのち、回転によりレベリングを行い、一対のディスク基板を貼り合わせる。
カチオン系エポキシ接着剤の場合:記録面が形成されたディスク基板の記録面側に紫外線硬化型の保護コート剤を塗布し、紫外線により硬化させる。硬化した層の上面にカチオン系のエポキシ接着剤を印刷により塗布し、所定量の紫外線を照射する。もう片方の基板にも同様の処理を行ったのち、一対のディスク基板の接着剤が塗布された面を互いに向かい合わせてプレスして硬化させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような方法では、課題として次のようなことが挙げられる。
(1) 貼り合わせ後の基板のチルトがディスクとしての重要な性能であるが、スピンで接着剤をレベリングする場合は、貼り合わせ前の単板のディスク基板のチルト精度に大きく左右される。つまり、ディスク基板のチルト精度が悪いものは、使用できない。
(2) 反射膜の材料には通常Al膜が用いられることが多いが、Al膜と接着剤とが反応を起こし、Alが腐食することがあることから、Al膜の防食用に保護コートをする必要がある。
(3) 両面接着テープ以外の2液反応型や嫌気反応硬化型のような反応型の接着剤の場合、硬化までに時間がかかるため、貼り合わせてからすぐに、次工程に進めることができない。
よって、本発明の目的は、上記課題を解決するものであって、貼り合わせ前のディスク基板のチルト精度によって貼り合わせ後の基板のチルト精度に影響がなく、かつ、反射膜が接着剤により腐食されることがない上に、反応型の接着剤のように硬化までに時間がかかることがない光ディスクの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明の第1態様によれば、ポリカーボネートの樹脂基板を有する一対の光ディスク基板のそれぞれの一主面に記録膜を形成し、
上記各光ディスク基板において上記記録膜上に金属反射膜を形成した後、
上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の外周端部と内周端部でかつ上記金属反射膜上以外の部分に、紫外線硬化型の接着剤を大略環状にそれぞれ塗布し、
上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の上記金属反射膜上に大略円環状のポリエチレンテレフタレートフィルムを配置した後、
減圧雰囲気中で、上記一対の光ディスク基板を上記金属反射膜を互いに対向させかつ上記フィルムを上記一対の光ディスク基板の間に挟むようにして上記接着剤により上記一対の光ディスク基板を貼り合わせて、紫外線により上記接着剤を硬化させるようにしたことを特徴とする光ディスクの製造方法を提供する。
本発明の第2態様によれば、ポリカーボネートの樹脂基板を有する一対の光ディスク基板のそれぞれの一主面に記録膜を形成し、
上記各光ディスク基板において上記記録膜上に金属反射膜を形成した後、
上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の上記金属反射膜上に大略円環状のポリエチレンテレフタレートフィルムを配置し、
上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の外周端部と内周端部でかつ上記金属反射膜上以外の部分に、紫外線硬化型の接着剤を大略環状にそれぞれ塗布した後、
減圧雰囲気中で、上記一対の光ディスク基板を上記金属反射膜を互いに対向させかつ上記フィルムを上記一対の光ディスク基板の間に挟むようにして上記接着剤により上記一対の光ディスク基板を貼り合わせて、紫外線により上記接着剤を硬化させるようにしたことを特徴とする光ディスクの製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1(a),(b)に、本発明の一実施形態にかかる光ディスクの断面構造を示す。図2にその光ディスクの製造工程を示す。
図1(a)において、光ディスク101は、2枚の円形ディスク基板102の間に透光性の円環板状の樹脂スペーサー103を挾み、内外周端部を接着剤104により貼り合わせた構造になっている。図1(b)に拡大して示すように、各ディスク基板102は、透光性樹脂基板105上に、誘電体膜106、記録膜107、誘電体膜108、反射膜109の順に積層されて構成されている。
ここで、透光性の樹脂スペーサー103の一例としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、透光性樹脂基板105の一例としてはポリカーボネート、誘電体膜106及び108の一例としてはZnS−SiO2、記録膜107の一例としてはGeSbTe、反射膜109の一例としてはAl−2%Siを用いることができる。スペーサー103の一例としては、厚みが50μm±5μmのものを用いることができるが、これに限定されるものではないが、厚みのバラツキは厚みに対して±10%以内が望ましい。接着剤104は、紫外線硬化型の接着剤であり、接着剤の塗布位置は、記録膜や金属反射膜の無い部分であり、紫外線に対して透明であるため、紫外線硬化型の接着剤を用いることで短時間で硬化が可能となる。
【0012】
図2(a)〜(c)及び図3を用いて、この光ディスクの製造方法を説明する。
上記一対のディスク基板102,102の各々は、一例として、厚さ0.6mmで、直径約120mm,中心部に直径約15mmの貫通孔102a,102aが形成されたドーナッツ状の形状であるとする。
まず、図3のステップS1において、上記一対のディスク基板102,102のそれぞれの一主面に記録膜107を形成する。
次いで、図3のステップS2において、各ディスク基板102において、記録膜上に金属反射膜109を形成する。
次いで、図3のステップS3において、図2(a)に示すように、ディスク基板101の外周端部と内周端部の記録膜107および反射膜109が形成されていない部分に、それぞれ、紫外線硬化性の接着剤104を大略環状に塗布する。
【0013】
次いで、図3のステップS4において、図2(b)に示すように、一対のディスク基板102,102のうちの少なくとも一方のディスク基板102の金属反射膜109上に、接着剤104を覆うことがないように、透光性の円環板状の樹脂のスペーサー103を配置する。
次いで、図3のステップS5において、図2(c)に示すように、減圧雰囲気下で、もう一枚のディスク基板102を向かい合わせて、一対のディスク基板102,102を互いに接着させ、紫外線照射ランプ120により紫外線を一方のディスク基板102の上方から約500mj照射して、上記接着剤104を硬化させる。減圧雰囲気下で行うのは、ディスクの封止された雰囲気に湿気を含む空気が残存していると、腐食の原因となるからである。接着剤104は、ディスク基板102の内周端部と外周端部にのみ配置されているため、紫外線をディスク基板102の上方から照射しても、ディスク基板102の外周端部側では、ディスク基板102の外側から紫外線が接着剤104に確実に照射され、内周端部側では、ディスク基板102の貫通孔102aから紫外線が内周側に入り込んで、内周端部の接着剤104に確実に照射することができる。よって、ディスク基板102の内周端部と外周端部の両方の接着剤104を確実に硬化させることができる。よって、一対のディスク基板102,102の片面にのみ記録膜107があるものに限らず、両面に記録膜107,107があるものでも、全く同様に、スペーサー103及び接着剤104を介して貼り合わされた一対のディスク基板102,102の上方から紫外線を照射すれば、接着剤104を確実に硬化させることができる。なお、従来、一対のディスク基板102,102の両面に記録膜107,107が形成されている場合は、上記内周端部と外周端部との間のスペーサー103の部分にも接着剤が形成されているため、この部分の接着剤に紫外線を照射することができなかったのである。これに対して、本実施形態では、この部分に接着剤が無く、スペーサー103が配置されているため、従来のような問題は無い。
一例として、本実施形態にかかる光ディスク製造方法により製造された光ディスクの信頼性評価を80℃85%×96時間の条件(DVDの信頼性評価の基本条件)で行ったが、チルト特性および記録再生特性ともに、問題の発生は無かった。
【0014】
上記実施形態によれば、光ディスクは、貼り合わせる2枚のディスク基板102,102の間に、透光性の樹脂スペーサー103を挾み、内周端部と外周端部のみを接着剤104により接着された構造になっている。
従って、ディスク基板自体のチルトが透光性の板状の樹脂スペーサー103により矯正されるために、ディスク基板単板のチルト精度が悪いものでも使用でき、しかも、反射膜上には接着剤を塗布することがないため、接着剤104による反射膜109の腐食も問題にならない。
さらには、接着剤104として紫外線硬化型の接着剤が用いる場合には、短時間での硬化処理が可能となる。また、貼り合わせ後の一対のディスク基板102,102に対して紫外線を照射する場合でも、ディスク基板102の上方又は下方から紫外線を照射させることにより、ディスク基板102の内周端部と外周端部とに形成された接着剤104に紫外線を照射することができるので、一対のディスク基板102,102の両方に記録膜107,107が形成されている場合及び片方にのみ記録膜107が形成されている場合のいずれでも同一の方法により紫外線を照射して接着剤を硬化させることができる。よって、いずれの場合でも同一の貼り合わせ方法で光ディスクを製造することができるため、貼り合わせ機も同一のものでよいことになる。
【0015】
本発明は、上記実施形態に限らず、その他種々の態様で実施することができる。例えば、図4に示すように、スペーサー配置工程と接着剤塗布工程の順序を入れ換えるようにしてもよい。すなわち、ステップS1で記録膜107,107を形成し、ステップS2で金属反射膜109,109を形成したのち、図4のステップS13において、一対のディスク基板102,102のうちの少なくとも一方のディスク基板102の金属反射膜109上に、接着剤104を覆うことがないように、透光性の樹脂のスペーサー103を配置する。次いで、図3のステップS14において、ディスク基板101の外周端部と内周端部の記録膜107および反射膜109が形成されていない部分でかつ上記スペーサー103も配置されていない部分に、紫外線硬化性の接着剤104を塗布する。以後、一対のディスク基板102,102を金属反射膜109,109が互いに対向するようにステップ103及び接着剤104を介して貼り合わせたのち、ステップS5の紫外線照射工程を同様に行う。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、光ディスクは、貼り合わせる2枚のディスク基板の間に、透光性の樹脂フィルムを挾み、内周端部と外周端部のみを接着剤により接着された構造になっている。
従って、ディスク基板自体のチルトが透光性の樹脂フィルムにより矯正されるために、ディスク基板単板のチルト精度が悪いものでも使用でき、しかも、反射膜上には接着剤を塗布することがないため、接着剤による反射膜の腐食も問題にならない。
さらには、接着剤として紫外線硬化型の接着剤が用いる場合には、短時間での硬化処理が可能となる。また、貼り合わせ後の一対のディスク基板に対して紫外線を照射する場合でも、ディスク基板の上方又は下方から紫外線を照射させることにより、ディスク基板の内周端部と外周端部とに形成された接着剤に紫外線を照射することができるので、一対のディスク基板の両方に記録膜が形成されている場合及び片方にのみ記録膜が形成されている場合のいずれでも同一の方法により紫外線を照射して接着剤を硬化させることができる。よって、いずれの場合でも同一の貼り合わせ方法で光ディスクを製造することができるため、貼り合わせ機も同一のものでよいことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b)はそれぞれ本発明の一実施形態にかかる光ディスクの断面構造図、及び、他方のディスク基板、スペーサー、接着剤を一点鎖線で示した状態での、図1(a)において矢印Bに示す円形領域の基板の拡大断面図である。
【図2】 (a),(b),(c)はそれぞれ上記光ディスクの製造工程を説明する図である。
【図3】 上記一実施形態にかかる光ディスクの製造工程を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の別の実施形態にかかる光ディスクの製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 光ディス
102 ディスク基板
102a 貫通孔
103 透光性の樹脂スペーサー
104 接着剤
105 透光性樹脂基板
106 誘電体膜
107 記録膜
108 誘電体膜
109 反射膜

Claims (2)

  1. ポリカーボネートの樹脂基板を有する一対の光ディスク基板のそれぞれの一主面に記録膜を形成し、
    上記各光ディスク基板において上記記録膜上に金属反射膜を形成した後、
    上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の外周端部と内周端部でかつ上記金属反射膜上以外の部分に、紫外線硬化型の接着剤を大略環状にそれぞれ塗布し、
    上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の上記金属反射膜上に大略円環状のポリエチレンテレフタレートフィルムを配置した後、
    減圧雰囲気中で、上記一対の光ディスク基板を上記金属反射膜を互いに対向させかつ上記フィルムを上記一対の光ディスク基板の間に挟むようにして上記接着剤により上記一対の光ディスク基板を貼り合わせて、紫外線により上記接着剤を硬化させるようにしたことを特徴とする光ディスクの製造方法。
  2. ポリカーボネートの樹脂基板を有する一対の光ディスク基板のそれぞれの一主面に記録膜を形成し、
    上記各光ディスク基板において上記記録膜上に金属反射膜を形成した後、
    上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の上記金属反射膜上に大略円環状のポリエチレンテレフタレートフィルムを配置し、
    上記一対の光ディスク基板のうちの少なくとも一方の光ディスク基板の外周端部と内周端部でかつ上記金属反射膜上以外の部分に、紫外線硬化型の接着剤を大略環状にそれぞれ塗布した後、
    減圧雰囲気中で、上記一対の光ディスク基板を上記金属反射膜を互いに対向させかつ上記フィルムを上記一対の光ディスク基板の間に挟むようにして上記接着剤により上記一対の光ディスク基板を貼り合わせて、紫外線により上記接着剤を硬化させるようにしたことを特徴とする光ディスクの製造方法。
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