JP4065091B2 - 積層剥離容器の製造方法、積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置、及び、積層射出成形体の外層のみに孔を形成する方法 - Google Patents
積層剥離容器の製造方法、積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置、及び、積層射出成形体の外層のみに孔を形成する方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外層の内側に剥離可能な内層を有し、前記外層に空気を取り込むための通気孔を形成した積層剥離容器の製造方法並びに製造装置、及び、積層剥離容器のブロー成形用パリソンなどの積層射出成形体の外層のみに孔を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平4−267727号公報には、容器の注出口からの吸気を防止するとともに収容物の注出を可能にすることを目的とした積層剥離容器が開示されている。この積層剥離容器は、バリア性を有する内層とスクイズ性を有する外層とから成り、内層は外層に対して易剥離性を有し、外層には外部と連通する層間通気孔が形成されている。従って、この積層剥離容器は、充填物の減少に伴って内層は自然収縮し、上記の層間通気孔から外層と内層との間に外部からの空気が流入して外層のみを復元し、この外層形状は常時維持され、容器内の充填物はその使用開始から使用終了まで外部からの空気や光などに影響されることなく、品質が維持されながら使用できるものである。
【0003】
上記従来の積層剥離容器では、層間通気孔は使用者の手指で閉止されるか、或いは、層間通気孔の内面に当該層間通気孔よりも大なるフィルムを一部貼着して外層の外面から内面にのみ空気流通を可能にする通気弁体が設けられている。すなわち、利用者が容器を握るとき、層間通気孔は使用者の手指で閉止されるか、或いは通気弁体によって閉止されるため、外層と内層との間の空気が容器外へと漏れ出ることはなく、外層の変形によって内層と外層との間に滞在している空気が内層を外側から加圧し、内層内の充填物が外部へと押し出されることになる。
【0004】
また、上記従来技術では、通気孔及び/又は通気弁体を設けた外層を別途ブロー成形或いは熱成形した後、内層および外層を一体化することとしている。或いは、ブロー成形の際に使用されるブロー金型内壁に突起を設け、外層のみに孔又は容易に孔を成形可能な溝部を形成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のごとく、通気孔及び/又は通気弁体を設けた外層を別途ブロー成形或いは熱成形した後、内層および外層を一体化する方法では、工程数が増えることになり、積層剥離容器の製造コストの上昇や歩留り低下のおそれがある。また、ブロー成形の際に使用されるブロー金型内壁に突起を設け、外層のみに孔を形成するとのことであるが、上記突起によって内層を傷付けることなしに外層にのみ孔を形成することが容易に行えるとは考えにくい。一方、孔を成形可能な溝部を形成することは可能と思われるが、この方法では、成形された容器の溝部に対して一つ一つ手で孔を形成していく作業が必要になるから、作業効率が低下して製造コストが上昇し、また、内層成形後に外層に対して孔開を行うのでは、内層を傷付ける可能性が高いという欠点がある。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、内層を傷付けることなしに外層に容易且つ確実に通気孔を形成することができる積層剥離容器の製造方法および積層剥離容器の製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、積層剥離容器のブロー成形用パリソンなどの積層射出成形体の外層のみに孔を形成する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0008】
即ち、本発明は、外層の内面に、該外層から剥離可能な内層が積層形成されているとともに、外層には、外層と内層との間に空気を流入するための通気孔が形成されている積層剥離容器の製造方法である。かかる本発明の積層剥離容器の製造方法は、外層プリフォームを射出成形する工程と、外層プリフォームの内面側に内層プリフォームを射出成形する工程と、外層プリフォームと内層プリフォームとからなるパリソンをブロー成形する工程とを有するものとすることができる。そして、前記外層プリフォームの射出成形工程において前記通気孔を形成することができ、該通気孔にピンを挿入した状態で内層プリフォームを射出成形することができる。
【0009】
かかる本発明の積層剥離容器の製造方法では、外層プリフォームを成形する段階で通気孔を形成するので、ブロー成形の際に外層に孔を形成する従来技術では内層を傷付けるおそれがあるのに対し、本発明の製造方法によればそのようなおそれがない。また、射出成形後に外層に対して一つ一つ孔を形成していく作業も不要になるから、生産性も向上する。
【0010】
なお、外層および内層は、成形完了時点における形態はそれぞれ胴部と口部とを有するボトル状に構成することができる。そして、外層と内層の口部においては容易に剥離しないように、例えば内層の肉厚を比較的大きくすることができる。また、外層は、スクイズ性を有するものとし、手で押圧することで容易に弾性変形するものであってもよく、また、ボトル口部に、内層内の内容物を吸引するポンプを取り付ける場合には、外層は剛性であっても良い。
【0011】
上記本発明の積層剥離容器の製造方法において、パリソンのブロー成形は、通気孔が形成された箇所より下方側で延伸が行われるようにするのが好ましい。これによれば、通気孔が延伸によって変形してしまうことを防止でき、通気孔が閉塞されてしまうこともない。また、通気孔の周囲では延伸されないことから、通気孔近傍の内層部分はそのプリフォーム段階の肉厚が維持されることになる。したがって、充填物(内容液)が充填される内層の胴部は薄いフィルム状に構成しながら、通気孔近傍においては、内層を比較的厚い肉厚として弾性復元力を付与することが可能となり、通常時においてはこの内層により通気孔を閉塞し、外気導入時には外気圧により内層が内方に変形して通気孔を開くように構成することができ、このように内層に弁機能を付与することで別体の弁が不要となり、部品点数の削減、コスト低減を図ることが可能となる。
【0012】
上記した本発明の積層剥離容器の製造方法において、外層のみに通気孔を形成する具体的な方法は、適宜のものとすることができる。例えば、外層プリフォームの射出成形後、該外層プリフォームをキャビティ型から離型せずに外層プリフォーム成形用コア型を内層プリフォーム成形用コア型に交換して内層プリフォームを射出成形するとともに、通気孔を、外層プリフォームの射出成形工程において樹脂硬化前にピンを外層プリフォーム成形用コア型に突き当てることにより形成し、該ピンにより通気孔を塞いだ状態で内層プリフォームを射出成形することによって、外層のみに通気孔を形成することが可能である。
【0013】
かかる方法は、次の装置によって使用することが可能である。即ち、本発明は、外層プリフォームと内層プリフォームとを有し、外層プリフォームの所要部位に通気孔が形成された積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置であって、キャビティ型と、該キャビティ型に対して選択的に型締め可能な外層プリフォーム成形用コア型及び内層プリフォーム成形用コア型とを備え、キャビティ型には、前記通気孔を形成するためのピンが、外層プリフォーム成形用コア型をキャビティ型に型締めした状態で該コア型に突き当てる突出位置とキャビティ型内に没入する後退位置とに位置変更可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
上記製造装置では、通気孔を形成するためのピンをキャビティ型に設けたが、リップ型を備える金型においては、このリップ型に上記ピンを設けることも可能である。なお、この場合、後退位置のピンは、リップ型に没入する。
【0015】
また、外層プリフォームのみに通気孔を形成する他の方法として、外層プリフォームの射出成形後、該外層プリフォームを外層プリフォーム用射出成形金型から離型し、外層プリフォームを内層プリフォーム用射出成形金型に挿入し、外層プリフォームに形成されている通気孔に、内層プリフォーム用射出成形金型に設けたピンを、その先端部が外層プリフォームの内面とほぼ面一となるように外周側から挿入した状態で内層プリフォームを射出成形することによって、外層プリフォームのみに通気孔を形成することも可能である。
【0016】
かかる方法は、次の装置によって使用することが可能である。即ち、本発明は、外層プリフォームと内層プリフォームとを有し、外層プリフォームの所要部位に通気孔が形成された積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置であって、外層プリフォームの射出成形金型と、内層プリフォームの射出成形金型とを備え、外層プリフォーム用射出成形金型には、前記通気孔を形成するためのピンが出没動作可能に設けられ、内層プリフォーム用射出成形金型には、外層プリフォームに形成された通気孔に外周側から挿入可能な閉塞ピンが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
上記した製造方法は、積層剥離容器のブロー成形用パリソンに係るものであるが、本発明は、これに限定されるものではなく、2層以上の樹脂層を有する積層体(積層パリソンなど)を射出成形によって得る種々のものに適用可能である。即ち、本発明は、外層の内面に内層が積層形成されている積層射出成形体の外層のみに孔を形成する方法であって、外層を射出成形する工程と、外層の内面側に内層を射出成形する工程とを有し、前記外層の射出成形工程において前記孔を形成し、該孔にピンを挿入した状態で内層を射出成形することを特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明の製造装置並びに製造方法におけるパリソン成形金型は、少なくともキャビティ型とコア型とを備え、キャビティ型に突出部材を前記コア型の側面に当接し得るように設けたものとすることができる。突出部材としては、ピンが好適であり、このピンを出没駆動させる適宜の駆動手段を設けることができる。
【0019】
この金型を用いて外層プリフォームを形成するとき、前記突出部材が存在する箇所には外層プリフォームの樹脂は存在できないから、この樹脂不存在部分が外層プリフォームの外側から内側に貫通する通気孔となって現れることになる。すなわち、外層プリフォームの成形段階で既に空気通路となる通気孔を形成しておくことができる。
【0020】
上記金型において、リップ型に突出部材を前記コア型の側面に当接し得るように設けてもよいし、コア型に突出部材をキャビティ型の内面またはリップ型の内面に当接し得るように設けてもよい。また、前記突出部材はプリフォームの容器口周囲のねじ部の下部に位置するのがよい。
【0021】
また、この発明の積層剥離容器の製造方法は、外層プリフォームを成形する段階で当該プリフォームの外側から内側に貫通する一以上の通気孔を形成する工程を有するものである。この製造方法では、外層プリフォームを成形する段階で通気孔を形成する。従って、ブロー成形の際に外層に孔を形成する従来技術では内層を傷付けるおそれがあるのに対し、かかる製造方法であばそのようなおそれはない。また、容器成形後に外層に対して一つ一つ手で孔を形成していく作業も不要になるから、作業効率も向上する。
【0022】
上記の製造方法により得られた外層プリフォームの内側に剥離可能な内層プリフォームを成形した後、前記通気孔が形成された箇所より下方側で延伸が行われるように延伸成形を行うのがよい。
【0023】
これによれば、前記通気孔が形成された箇所に対応する内層部分はそのプリフォーム段階の肉厚が維持されることになり、この比較的厚い肉厚が前記通気孔に対する弁として機能することができるから、別途弁を成形する場合に比べて製造が容易でコストも削減できる。
【0024】
更に、上記の製造方法において、前述のプリフォーム成形金型を用い、内層プリフォームを形成するときに、突出部材の先端を外層プリフォームの内面側に略面一で位置させておくのがよい。
【0025】
これによれば、外層プリフォームの通気孔となる部分に内層プリフォームの溶融樹脂が入り込んでしまうのを防止することができる。
【0026】
上述した製造方法においては、前記通気孔を前記外層プリフォームのねじ部の下部に形成するのが望ましい。
【0027】
また、この発明の積層剥離容器の製造装置は、外層プリフォームにその外側から内側に貫通する一以上の通気孔を形成して当該プリフォームを成形する第1射出機構と、前記外層プリフォームの内側に剥離可能な内層プリフォームを成形する第2射出機構と、前記通気孔が形成された箇所より下方側で延伸が行われるように延伸成形を行う延伸機構と、を備えているものとすることができる。なお、通気孔は、外層プリフォームのねじ部の下部に形成されるように構成されているのがよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1乃至図10に基づいて説明する。図1はこの実施形態の製造方法により製造されたデラミボトル20を利用した櫛形製品22の側面図であり、図2は図1の櫛キャップ部21を取り外して示したデラミボトル20の側面図であり、図3は図1の要部拡大断面図である。また、図4乃至図10はこの実施形態におけるデラミボトルのプリフォーム成形金型、積層剥離容器の製造方法、および製造装置を示した図である。
【0029】
図1に示すデラミボトル20を利用した櫛形製品22は、髪染め剤などの充填物を頭髪に均一に塗布するのに適したものであり、利用者がデラミボトル20を握ると、デラミボトル20が変形してその内部の液体は櫛キャップ部21内の図示しない流路を通って櫛先端部の孔から滲み出るようになっている。デラミボトル20を握ることを止めるとデラミボトル20は元の形状に復帰する。デラミボトル20のこのような特性はスクイズ性と呼ばれる。
【0030】
図2に示すように、デラミボトル20の容器口の外周には、ねじ部20aが形成されている。このねじ部20aに櫛キャップ部21のねじ部21a(図3参照)が螺合されることで、櫛キャップ部21がデラミボトル20に装着される。また、ねじ部20aの下側には、円形の通気孔20dが形成されている。この通気孔20dによってデラミボトル外の空気がボトル20内に取り込まれる。
【0031】
図3に示すように、デラミボトル20は、外層20bと、この外層20b内に形成され内層20cとから成る。外層20bは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)などから成る。内層20cは、外層20bに対して剥離可能で変形容易なフィルム状を成しており、その材料としてはガスバリア性に優れたポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレンなど)を用いることができる。通気孔20dは、外層20bの外側から内側に貫通して形成されており、内層20cには形成されていない。また、通気孔20dは、櫛キャップ部21によって塞がれることがないようにしてある。櫛キャップ部21には、デラミボトル20の容器口に向かって位置する弁体21bが形成されている。この弁体21bは、内層20c内の充填物が櫛キャップ部21側へ移動するときには容易に開く一方、櫛キャップ部21側から内層20cへの充填物の逆流、すなわち櫛先端部の孔から櫛キャップ部21内への空気の流入は阻止するようになっている。
【0032】
利用者がデラミボトル20を握ると、外層20bおよび内層20cが変形し、内層20c内の充填物は櫛キャップ部21へと移動する。デラミボトル20を握ることを止めると外層20bは元の形状に復帰するが、内層20cは復帰せず、内層20cと外層20bとの間に通気孔20dを介して空気が入り込む。そして、再び利用者がデラミボトル20を握るとき、内層20cが通気孔20dを押し塞いでいるため、外層20bと内層20cとの間の空気がボトル外へと漏れ出ることはなく、当該空気は外層20bの変形による容積縮小によって内層20cを外側から加圧し、内層20c内の充填物が櫛キャップ部21へと押し出されることになる。
【0033】
次に、図4乃至図10を用いてデラミボトル20のパリソン成形金型、デラミボトル20の製造方法、およびデラミボトル20の製造装置について説明していく。なお、図示しない基台には回転板19が設けられており、この回転板19は一方向に間欠的に回転し、その下面側で支持しているリップ型2を、射出ステーション、吹込ステーション、及び取出ステーションの順に巡回させるようになっている。また、リップ型2は左右方向に割型可能に構成されており、図示しない開閉手段によって開閉し、閉状態においてプリフォーム及びその延伸処理後のデラミボトルの容器口を一貫して保持する。リップ型2は回転板19の下面に取り付けられている。
【0034】
射出ステーションでは、外層プリフォームおよび内層プリフォームを成形する。なお、この実施形態では、同一ステーションにおいて後述するインジェクションコアの交換を行うことで外層プリフォームの成形後に同一の場所で内層プリフォームを成形している。
【0035】
図4および図5は、外層プリフォーム7Aの成形工程を図示している。図において、インジェクションコア1A、リップ型2、及びキャビティ型3は、上側からこの順に配置されている。これらを上下方向に嵌め合わせる型締めを行った後、ノズル6から溶融樹脂を射出し、この射出した溶融樹脂をホットランナー5及びホットランナーノズル4を介してキャビティ内に導入し、外層プリフォーム7Aを形成する。
【0036】
キャビティ型3は、水平方向に形成された二つのピン収容部3aを有する。このピン収容部3aには、突出部材であるピン13が摺動可能に設けられている。ピン13の先端部分は溶融樹脂注入時(注入開始前、或いは注入開始後)にキャビティ側に突出されてインジェクションコア1Aの側面に当接している。このピン13によってプリフォーム7Aが成形される段階で貫通穴71(即ち、通気孔20d)が形成されることになる。ピン13の出没動作は、この実施形態では、ソレノイド14によって行う。例えば、ソレノイド14に通電すると、ピン13はキャビティ側に突出してコア1Aの側面に当接し、通電を停止すると、ピン13はキャビティから退出するようにしてある。勿論、上記ソレノイドに限るものではなく、例えば、ピン13の退出用のばねと、ピン13の突出用のエア供給手段との組み合わせ機構等を採用してもよい。また、ピン13の先端面を、インジェクションコア1Aの曲率に対応させた凹面形状としてもよい。
【0037】
図6は内層プリフォーム7Bが成形される様子を示している。この図6に示す状態は、インジェクションコア1Aを引き抜いて別のインジェクションコア1Bを挿入した状態である。リップ型2およびキャビティ型3は図4,図5と同一のものである。ピン13については、図4,図5に示した状態のまま、すなわちピン13の先端は外層プリフォーム7Aの内面側に略面一で位置している。インジェクションコア1Bの先端のキャビティ挿入部分は、インジェクションコア1Aの先端のキャビティ挿入部分よりもプリフォーム7Bの肉厚分だけ小径である。また、インジェクションコア1Bには、プリフォーム7B用の溶融樹脂をキャビティ内に射出するための樹脂流路(図において点線で示している)が形成されている。上記のごとく、プリフォーム7Bを形成するときにはピン13の先端は外層プリフォーム7Aの内面側に略面一で位置しているので、プリフォーム7Bとなる溶融樹脂がプリフォーム7Aの貫通穴71に入り込むのが防止される。
【0038】
内層プリフォーム7Bが成形されたら、ピン13をキャビティから退出させて型開きを行う。型開きがされても、プリフォーム7A・7B(以下、両者をまとめて示すときにはパリソン7とする)はリップ型2により保持されることになる。
【0039】
図7乃至図9に示す吹込ステーションでは、延伸ロッド8を装着したブローコア9、パリソン7を保持したリップ型2、吹込型10、及び底型11を上側からこの順に配置する。これらを嵌め合わせてパリソン7を吹込型10のキャビティ内に収容した後、延伸ロッド8を下方に移動させてその先端部をパリソン7内に挿入し、この有底円筒状パリソン7の底を押して下方に延伸し、更にブローコア9を介してパリソン7内に空気を導入して横方向にも延伸する。ここで、貫通穴71(通気孔20d)が形成されている部分(容器口の下部近辺)は、吹込型10内で型材に保持された状態にあるため、この貫通穴71の部分では延伸されず、貫通穴71の下方側で延伸が行われる。この延伸の後に冷却が行われてデラミボトル20が完成する。
【0040】
図10に示す成形品取出ステーションでは、エジェクターロッド23、デラミボトル20を保持したリップ型2、及びコンベア等の搬送機24を上側からこの順に配置する。エジェクターロッド23の先端に取り付けてあるエジェクターコマ25をデラミボトル20の口に差し込むとともにリップ型2を左右方向に開くことで、デラミボトル20を搬送機24上に置く。
【0041】
以上説明したように、外層プリフォーム7Aを成形する段階で貫通穴71(通気孔20d)が形成される。従って、ブロー成形の際に外層に孔を形成する従来技術では内層を傷付けるおそれがあるのに対し、上述した製造方法であばそのようなおそれはない。また、デラミボトル20の成形後に外層20bに対して一つ一つ手で孔を形成していく作業も不要になるから作業効率も向上する。外層プリフォーム7Aの内側に剥離可能な内層プリフォームを成形した後、貫通穴71(通気孔20d)が形成された箇所より下方側で延伸が行われるから、通気孔20dが形成された箇所に対応する内層部分はそのプリフォーム段階の肉厚がほぼ維持されることになり、この比較的厚い肉厚が前記通気孔20dに対する弁として機能することができ、別途弁を成形する場合に比べると製造が容易でコストも削減できる。更に、内層プリフォーム7Bを形成するときに、ピン13の先端を外層プリフォーム7Aの内面側に略面一で位置させているから、外層プリフォーム7Aの貫通穴71に内層プリフォーム7Bとなる溶融樹脂が入り込んでしまうのを防止することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、同一ステーションにおいてインジェクションコアの交換を行うことでプリフォーム7Aの成形後に同一の場所で内層プリフォーム7Bを成形したが、射出ステーションを、外層プリフォーム7Aの射出成形金型を有する第1の射出ステーション(第1射出機構)と、内層プリフォーム7Bの射出成形金型を有する第2の射出ステーション(第2射出機構)とに分けてもよい。具体的には、外層プリフォーム7Aを成形した後、型開きを行ってプリフォーム7Aを取り出し、これを移送して内層用のプリフォーム成形型に挿入して内層プリフォーム7Bを成形するようにしてもよい。この場合、第2射出ステーションを構成する内層プリフォーム用射出成形金型に、外層プリフォームに形成した通気孔に挿通し得る閉塞ピンを設けておき、このピンに対して通気孔を正確に位置合わせしつつ外層プリフォームを挿入して、上記ピンの先端部が外層プリフォームの内面とほぼ面一となるように外周側から挿入した状態で内層プリフォームを外層プリフォームの内面に積層形成することが可能である。
【0043】
また、内層プリフォーム7Bを外層プリフォーム7Aの容器口の上縁を越えて折り返すような形でねじ部20aの上縁付近に至るように成形してもよい。このための方法としては、外層プリフォーム7Aを成形して冷却した後、リップ型2を外して別のリップ型を取り付ける。このこの別のリップ型が、外層プリフォーム7Aのねじ部20aの上縁付近との間に隙間を有するように形成されていれば、上記隙間においてプリフォーム7Bとなる樹脂が入り込み、上述したようなプリフォーム7Bの折り返しが実現できる。
【0044】
また、上記実施形態では、キャビティ型3にピン13を設けたが、前記リップ型2にピン13を前記コア1Aの側面に当接し得るように設けてもよいし、或いは、前記コア1Aにピン13を前記キャビティ型3の内面またはリップ型2の内面に当接し得るように設けてもよい。また、前記リップ型2は横方向に分割可能であるので、この分割方向に平行に突出部材を固定的に設け、型締めの状態で前記突出部材がコア1Aの側面に当接するようにしてもよい。また、図6に示したように、内層プリフォーム7Bの溶融樹脂をインジェクションコア1Bに形成した樹脂流路から射出するようにしたが、外層プリフォーム7Aの底部に貫通穴を形成しておき、この貫通穴からプリフォーム7Bとなる溶融樹脂を射出するようにしてもよい。また、外層が一層で内層も一層の場合を例示したが、外層及び/又は内層が二層以上とされる積層剥離容器においてもこの発明を適用することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、外層プリフォームを成形する段階で通気孔が形成されるから、積層剥離容器の内層を傷付けずに外層にのみ通気孔を形成することが容易且つ確実に行えることになり、通気孔付きの積層剥離容器の製造においてその歩留りの向上および作業効率の向上が図れる。
【0046】
外層プリフォームの内側に内層プリフォームを成形した後、通気孔が形成された箇所より下方側で延伸を行うことにより、前記通気孔が形成された箇所に対応する内層部分はそのプリフォーム段階の肉厚がほぼ維持されていることになり、この比較的厚い肉厚が前記通気孔に対する弁として機能することが可能になり、別途弁を成形する場合に比べると製造が容易でコストも削減できる。
【0047】
内層プリフォームを形成するときに、ピンの先端を外層プリフォームの内面側に略面一で位置させておけば、外層プリフォームの通気孔となる部分に内層プリフォームとなる樹脂が入り込んでしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る積層剥離容器の製造方法により製造されたデラミボトルを利用した櫛形製品の側面図である。
【図2】図1の櫛キャップ部を取り外して示したデラミボトルの側面図である。
【図3】図1の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態の射出ステーション(外層プリフォーム成形)での型締工程を示した説明図である。
【図5】本発明の実施形態の射出ステーション(外層プリフォーム成形)での射出工程を示した説明図である。
【図6】本発明の実施形態の射出ステーション(内層プリフォーム成形)での射出工程を示した説明図である。
【図7】本発明の実施形態の吹込ステーションでのプリフォーム移動工程を示した説明図である。
【図8】本発明の実施形態の吹込ステーションでの型締・延伸工程を示した説明図である。
【図9】本発明の実施形態の吹込ステーションでの吹込・冷却工程を示した説明図である。
【図10】本発明の実施形態の取出ステーションでの成形品取出工程を示した説明図である。
【符号の説明】
1A インジェクションコア
1B インジェクションコア
2 リップ型
3 キャビティ型
3a ピン収容部
7 パリソン
7A 外層プリフォーム
7B 内層プリフォーム
8 延伸ロッド
9 ブローコア
10 吹込型
11 底型
13 ピン(突出部材)
20 デラミボトル
20b 外層
20c 内層
20d 通気孔(貫通穴71)
Claims (8)
- 外層(20b)の内面に、該外層(20b)から剥離可能な内層(20c)が積層形成されているとともに、外層(20b)には、外層(20b)と内層(20c)との間に空気を流入するための通気孔(20d)が形成されている積層剥離容器の製造方法であって、
外層プリフォーム(7A)を射出成形する工程と、外層プリフォーム(7A)の内面側に内層プリフォーム(7B)を射出成形する工程と、外層プリフォーム(7A)と内層プリフォーム(7B)とからなるパリソン(7)をブロー成形する工程とを有し、
前記外層プリフォーム(7A)の射出成形工程において前記通気孔(20d)を形成し、該通気孔(20d)に先端部が外層プリフォーム(7A)の内面とほぼ面一となるように外周側からピン(13)を挿入した状態で内層プリフォーム(7B)を射出成形することを特徴とする積層剥離容器の製造方法。 - 外層プリフォーム(7A)の射出成形後、該外層プリフォーム(7A)をキャビティ型(3)から離型せずに外層プリフォーム成形用コア型(1A)を内層プリフォーム成形用コア型(1B)に交換して内層プリフォーム(7B)を射出成形するとともに、通気孔(20d)を、外層プリフォームの射出成形工程において樹脂硬化前にピン(13)を外層プリフォーム成形用コア型(1A)に突き当てることにより形成し、該ピン(13)により通気孔(20d)を塞いだ状態で内層プリフォーム(7B)を射出成形することを特徴とする請求項1に記載の積層剥離容器の製造方法。
- 外層プリフォーム(7A)の射出成形後、該外層プリフォーム(7A)を外層プリフォーム用射出成形金型から離型し、外層プリフォーム(7A)を内層プリフォーム用射出成形金型に挿入し、外層プリフォーム(7A)に形成されている通気孔(20d)に、内層プリフォーム用射出成形金型に設けたピンを、その先端部が外層プリフォーム(7A)の内面とほぼ面一となるように外周側から挿入した状態で内層プリフォーム(7B)を射出成形することを特徴とする請求項1に記載の積層剥離容器の製造方法。
- パリソン(7)のブロー成形は、通気孔(2d)が形成された箇所より下方側で延伸が行われるようにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層剥離容器の製造方法。
- 外層プリフォーム(7A)と内層プリフォーム(7B)とを有し、外層プリフォーム(7A)の所要部位に通気孔(2d)が形成された積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置であって、キャビティ型(3)と、該キャビティ型(3)に対して選択的に型締め可能な外層プリフォーム成形用コア型(1A)及び内層プリフォーム成形用コア型(1B)とを備え、キャビティ型(3)には、前記通気孔(2d)を形成するためのピン(13)が、外層プリフォーム成形用コア型(1A)をキャビティ型(3)に型締めした状態で該コア型(1A)に突き当てる突出位置とキャビティ型(3)内に没入する後退位置とに位置変更可能に設けられていることを特徴とする積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置。
- リップ型(2)を備え、ピン(13)はリップ型(2)に設けられている請求項5に記載の積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置。
- 外層プリフォーム(7A)と内層プリフォーム(7B)とを有し、外層プリフォーム(7A)の所要部位に通気孔(2d)が形成された積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置であって、外層プリフォーム(7A)の射出成形金型と、内層プリフォーム(7B)の射出成形金型とを備え、外層プリフォーム用射出成形金型には、前記通気孔(2d)を形成するためのピン(13)が出没動作可能に設けられ、内層プリフォーム用射出成形金型には、外層プリフォーム(7A)に形成された通気孔(2d)に外周側から挿入可能な閉塞ピンが設けられていることを特徴とする積層剥離容器のブロー成形用パリソンの製造装置。
- 外層(7A)の内面に内層(7B)が積層形成されている積層射出成形体(7)の外層(7A)のみに、外層(7A)と内層(7B)との間に空気を流入するための通気孔(20d)を形成する方法であって、外層(7A)を射出成形する工程と、外層(7A)の内面側に内層(7B)を射出成形する工程とを有し、前記外層(7A)の射出成形工程において前記通気孔(20d)を形成し、該通気孔(20d)に先端部が外層(7A)の内面とほぼ面一となるように外周側からピン(13)を挿入した状態で内層(7B)を射出成形することを特徴とする積層射出成形体の外層のみに孔を形成する方法。
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