JP4064883B2 - グリシジルエーテル及びその製造法 - Google Patents

グリシジルエーテル及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エピクロルヒドリン自己縮合物の少ない高純度のアルコールのグリシジルエーテル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコールのグリシジルエーテルの製造方法として、アルコールとエピクロルヒドリンをアルカリの存在下に反応させる一段法(例えば、特許文献1、2)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平01−151567号公報
【特許文献2】
特開平05−163260号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一段法で製造したグリシジルエーテルはエピクロルヒドリンの縮合物や重合物が多く副生し、グリシジルエーテルの収率が低下するという問題がある。かかる問題を解決するために特開平05−163260号公報では、共沸溶剤を使用し反応系の水と溶剤を共沸しながら反応させることを提案しているが、沸点50℃以下の溶剤は爆発の危険性が高く取り扱いにくく、沸点50℃を超える溶剤を使用して水との共沸温度下で反応を行うとグリシジルエーテル自体が反応したり、ポリマー化するという問題がある。また、反応系で過剰に用いるエピクロルヒドリンを回収する際、自己縮合物が多く副生する問題があり、高純度のグリシジルエーテルが望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、 固型アルカリ金属水酸化物の存在下にアルコールとエピクロルヒドリンを反応させてグリシジルエーテルを製造する方法において、下記(i)〜(iii)を必須条件として製造することを特徴とする、副生エピクロルヒドリン自己縮合物含量が少ないグリシジルエーテルの製造方法である。
(i)エピクロルヒドリンの3重量%以上のn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンおよびn−オクタンからなる群より選ばれる炭化水素系溶剤を加えて反応する。
(ii)40℃以下の温度で反応する。
(iii)反応後40℃以下の温度を保持して水を投入する。
【0006】
【発明の実施の形態】
アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるアルコールのグリシジルエーテル中には、エピクロルヒドリン自己縮合物が副生するが、その含有量が生成するグリシジルエーテルに対して1重量%以下であるものである。好ましくは0.1〜0.9重量%であり、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。エピクロルヒドリン自己縮合物の含量が1重量%を超えると、生成するグリシジルエーテルを使用して反応させた樹脂の物性を阻害し目的の物性が得られなくなる。ここでエピクロルヒドリン自己縮合物とは、エピクロルヒドリン同士が反応したものであり、具体的には例えばエピクロルヒドリンと固型アルカリ金属水酸化物より生成した末端水酸基化合物にエピクロルヒドリンが反応して生成したもの(自己縮合物A)、エピクロルヒドリンの2量化反応により生成したもの(自己縮合物B)、自己縮合物Bの脱塩素物(自己縮合物C)が挙げられるが、これらにさらにエピクロルヒドリンが反応したもの等が含まれる。
【0007】
【化1】
Figure 0004064883
【0008】
【化2】
Figure 0004064883
【0009】
【化3】
Figure 0004064883
【0010】
これらのエピクロルヒドリン自己縮合物の含有量はガスクロマトグラフィーにより測定できる。
(ガスクロマトグラフィーによるエピクロルヒドリン自己縮合物含量の測定法)[測定器具等例]
FID検出器つきガスクロマトグラフィー(JIS K0114:ガスクロマトグラフ分析のための通則に規定されたもの):GC−14B(島津製作所製)
カラム充填剤:Silicone GE SE−30 20%
カラム:3.2mm×3.1m
データ処理装置:C−R3A(島津製作所社製)
マイクロシリンジ、化学はかり
[測定条件例]
カラム初期温度:60℃
カラム初期温度保持時間:20分
昇温速度:22℃/分
最終到達温度:280℃
最終到達温度保持時間:50分
検出器温度:280℃
注入口温度:280℃
試料注入量:0.6μl
キャリアーガス:窒素
キャリアーガス流量:50ml/分
水素ガス流量:0.6kg/cm2
空気流量:0.5kg/cm2
Range:3
ATTEN:1
SPEED:3
MIN AREA:500
STOP TIME:70
[解析方法例]
上記GC測定条件に従い得られたチャートより、全体のピークエリアに対する副生物由来のピークエリアの和の百分率を副生物含量(%)とする。
【0011】
また、グリシジルエーテルの塩素含有量は好ましくは0.1重量%以下である。より好ましくは0.01〜0.09重量%であり、特に好ましくは0.01〜0.03重量%である。塩素含有量が0.1重量%以下であると基材金属への腐食が起こりにくい。塩素含量測定法は、加水分解性塩素含量測定法(ハルハルト法)によって測定できる。
【0012】
(塩素含有量の測定法)
試料4〜5gを三角フラスコに秤かりとり、ジオキサン30mlを加えて均一に溶解する。3mol/l水酸化リチウムエチルアルコール溶液20mlを加えて混合後、室温で30分間放置し閉環させる。反応終了後、メスシリンダーでイオン交換水30ml、30%硝酸水溶液30ml、ピペットで硫酸第二鉄アンモニウム飽和溶液(指示薬)3ml、メスシリンダーで酢酸エチル10ml及びピペットで0.1mol/l硝酸銀標準溶液20mlを加える。0.1mol/lチオシアン酸アンモニウム滴定用溶液で過剰の硝酸銀を逆滴定し、一滴の滴下で赤褐色が30秒間持続する点を終点とする。以上の操作を2個以上の試料について行うと共に空試験も行う。
次式によって算出し、2個以上の測定値の平均を小数点以下3桁に丸めて報告する。
Figure 0004064883
但し、B:空試験に要したチオシアン酸アンモニウム滴定用溶液のml数、A:本試験に要したチオシアン酸アンモニウム滴定用溶液のml数、f:チオシアン酸アンモニウム滴定用溶液の力価、S:試料採取量(g)
【0013】
本発明のグリシジルエーテルは、固型アルカリ金属水酸化物の存在化にアルコールとエピクロルヒドリンを反応させてグリシジルエーテルを製造するものであるが、この製造方法において、下記(i)〜(iii)を必須条件として製造することを特徴とするものである。
(i)エピクロルヒドリンの3重量%以上の炭化水素系溶剤を加えて反応する。
(ii)40℃以下の温度で反応する。
(iii)反応後40℃以下の温度を保持して水を投入する。
この条件を満たすことにより副生エピクロルヒドリン自己縮合物含有量が少ないグリシジルエーテルが製造できる。
【0014】
グリシジルエーテルの原料としてのアルコールとしては、炭素数1〜18で、1〜6価のアルコールが挙げられる。1価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の飽和脂肪族アルコール;アリルアルコール、メタリルアルコール、オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;これらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物が挙げられる。2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキシレングリコール等の脂肪族アルコール;またはグリセリンモノラウリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル等3価アルコールのモノアルキル(炭素数1〜18)エーテル及びこれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物が挙げられる。3価以上のアルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族アルコール及びこれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物;フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物;ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜20モル)物等が挙げられる。
これらの内好ましくは2価又は3価以上の多価アルコールである。
【0015】
エピクロルヒドリンの量はアルコールの水酸基1当量に対して好ましくは1.2〜2.5当量であり、より好ましくは1.5〜2.0当量である。1.2当量以上であると反応時間が長くならず、生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりにくい。2.5当量以下であると反応バッチ当たりの収率が低下せず、生産効率が良好である。
【0016】
反応には炭化水素系溶剤を加えて行う。該炭化水素系溶剤としては n−ヘキサン(沸点:約69℃)、シクロヘキサン(沸点:約81℃)、n−ヘプタン(沸点:約98℃)、n−オクタン(沸点126℃)等の脂肪族若しくは脂環式炭化水素 が挙げられ、好ましくはn−ヘキサンであり、より好ましくはシクロヘキサンである。炭化水素系溶剤の量は通常エピクロルヒドリンに対して3重量%以上であり、好ましくは3〜40重量%であり、より好ましくは4〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。炭化水素系溶剤の量がエピクロルヒドリンに対して3重量%未満であるとエピクロルヒドリンの自己縮合物が多く生成する。また、留出回収物の水分が高くなり、そのままでは炭化水素系溶剤をリサイクル使用できない。40重量%以下であると反応時間が長くならず、バッチ当たりの収率が低下せず生産効率が良好である。
【0017】
使用される該固型アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムの固形物が挙げられ、好ましくは水酸化カリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
これらの固型アルカリ金属水酸化物は単独でも、2種類以上の混合物であっても良い。これらの固型アルカリ金属水酸化物の形状は、粒状、フレーク状、粉状の何れでも良い。大きさは、粒状物は好ましくは直径1〜5mm、フレーク状物は好ましくは0.5〜3cm角、粉状物は好ましくは30〜100μmであるが、本発明はこれに限定されない。作業従事者の取り扱い上、粒状が好ましい。
使用される固型アルカリ金属水酸化物の量は、アルコールの水酸基1当量に対して好ましくは1.1〜2.5当量であり、より好ましくは1.3〜1.9当量である。1.1当量以上であると固型アルカリ表面に生成塩が付着せず、アルカリ表面の活性が低下しないため反応が効率的に進行する。2.5当量以下であると生成物への着色がない。
【0018】
反応温度は通常40℃以下であり、好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは20〜30℃である。40℃を超えると生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりやすい。
反応時間は好ましくは10〜30時間で、より好ましくは12〜20時間である。反応時間が10時間以上であると反応率が低くならず、30時間以下であると生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりにくい。
【0019】
反応は、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下(酸素濃度:好ましくは1,000ppm以下)で行われ、固型アルカリ金属水酸化物を投入する際には、反応容器に直結した密閉容器中に固型アルカリ水酸化物を入れ、不活性ガス雰囲気下にしてから反応容器に徐々に投入していくのが好ましい。アルコール類、エピクロルヒドリン、固型アルカリ金属水酸化物、炭化水素系溶剤の混合投入の順序は、アルコール類、炭化水素系溶剤を混合し、固型アルカリ金属水酸化物とエピクロルヒドリンを同時に混合投入しても良く、アルコール類に炭化水素系溶剤とエピクロの混合物と固型アルカリ金属水酸化物を同時に混合投入しても良いが、好ましくはアルコール類、エピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤を混合し、最後に固型アルカリ金属水酸化物を混合投入する方法である。最後に固型アルカリ金属水酸化物を混合投入すると着色が起りにくく好ましい。
【0020】
反応は固型アルカリ金属水酸化物の存在下で行うが、その固形物は新鮮な粉砕物を使用するのが好ましい。固型アルカリ金属水酸化物を粉砕する粉砕機器としては、粉砕機、混合機及びホモジナイザー等の装置を使用することが出来る。粉砕機、混合機の例としては、コーンミル、ロールクラッシャー、スクリュー中砕機、エッジランナー、リングロールミル、ロッドミル、ボールミル、衝撃微粉砕機、ジェット粉砕機、塔式摩砕機、コロイドミル、スクリュー混合機等が挙げられる。ホモジナイザーの例としては、ポッターエルビイエムホモジナイザー、アッターワークマンホモジナイザー、ワーリングブレンダー等が挙げられる。この際の粉砕方法としては反応容器の外に粉砕機器を設置し、反応容器から反応混合物を粉砕機器を通して循環する方法;反応容器中に粉砕機器を設置し、反応混合物を粉砕する方法;複数の粉砕機器を設置し、反応混合物を連続に粉砕する方法等が挙げられるが、好ましくは複数の粉砕機器を設置し、反応混合物を連続に粉砕する方法である。湿式粉砕機の例としては、例えば市販の小松デイスインテグレーター(小松ゼノア社製)が使用できる。
粉砕機器により粉砕された粉砕物の形状は粉状であり、大きさは好ましくは数μm〜20μmである。
【0021】
反応後の反応混合物に通常40℃以下の水、好ましくは10〜40℃の水を投入し、過剰のアルカリ金属水酸化物と生成塩を溶解させ分液する。分液後、有機層にアルカリ吸着剤を投入し、好ましくは70〜120℃、減圧下(好ましくは−85KPaG以下)でエピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤、水及びアルコール類を共に留去した後、ろ過することにより、高純度脂肪族グリシジルエーテルを得ることができる。
【0022】
反応混合物に水を投入して過剰のアルカリ金属水酸化物と生成塩を溶解させる際水の温度が40℃以下であるとグリシジルエーテルの自己縮合物が生成しにくくなる。分液後の有機層に投入する該アルカリ吸着剤は、例えば合成珪酸マグネシウム(例えば、「キョーワード600」:協和化学工業社製)、合成珪酸アルミニウム(例えば、「キョーワード700」:同上)、ハイドロタルサイト類(例えば、「キョーワード2000」:同上)、活性白土(例えば、「ガレオンアース」:同上))等が挙げられ、好ましくは合成珪酸マグネシウムである。これらの吸着剤と共に、ケイソウ土ろ過助剤(例えば、「ラヂオライト」:同上)を使用しても良い。アルカリ吸着剤の添加量は、分液後の有機層に対して好ましくは0.1〜2.0重量%である。エピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤、水及びアルコール類を留出する温度は好ましくは70〜120℃であり、より好ましくは90〜115℃である。留出温度が70℃以上であると実用的な留出速度が得られ、120℃以下であると反応系中に生成したエピクロの自己縮合物の留出を抑制できるためリサイクル使用が可能となる。圧力は好ましくは−85KPaG以下であり、より好ましくは−95KPaG以下である。−85KPaG以下であると実用的な留出速度が得られる。
【0023】
留出により得られたエピクロルヒドリンと炭化水素系溶剤及びアルコール類の混合物は、エピクロルヒドリンの自己縮合物等の副生物量が少なく回収して精製することなく、そのままリサイクル使用できる。
【0024】
上記のアルコールとエピクロルヒドリンとの反応には必要により公知の相間移動触媒を使用してもよい。相間移動触媒としては好ましくは第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩等が挙げられ、より好ましくは第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩には、例えばテトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート、トリオクチルアンモニウムクロライド、n−ラウリルピリジニウムクロライド等が含まれる。第4級ホスホニウム塩には、例えばテトラエチルホスホニウムクロライド、ジメチルジシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイドが含まれる。第4級アルソニウム塩には、例えばテトラメチルアルソニウムクロライド、テトラエチルアルソニウムブロマイド、テトラエチルアルソニウムヒドロオキサイドが含まれる。これら相間移動触媒を本発明の反応系に添加する場合の添加量は、アルコールに対して、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、特に好ましくは0.1重量%以下である。0.5重量%以下の使用すると、エピクロルヒドリンの自己縮合物を抑制し、かつ実用的な反応速度が得られる。混合する方法、時期には特に限定はないが、反応前に添加を行うのが好ましい。
【0025】
本発明の製造法によれば、エピクロルヒドリン自己縮合物の少ない高純度のグリシジルエーテルを高効率で製造できる。また、本発明は、有害なエピクロルヒドリンを回収して精製することを必要とせず、そのままリサイクル使用できる環境にやさしい製造法である。本発明の実施により得られる高純度のグリシジルエーテルは、エポキシ樹脂等の種種の樹脂の原料若しくは変性剤として利用され、電気・電子材料、塗料分野、接着剤分野等で使用される樹脂の中間体として特に有益である。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部は重量部を示す。
実施例及び比較例において使用した原料、装置名は次の通りである。
【0027】
実施例1
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、「PP−400」(三洋化成工業社製;ポリオキシプロピレングリコール、分子量400) 8287部、エピクロルヒドリン 7736部、シクロヘキサン 931部、BTMAC(ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液) 5部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化カリウム 2760部を19〜29℃で9.5時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化カリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、PP−400をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化カリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水10204部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)80部を投入し、減圧下昇温して121℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとシクロヘキサン混合物の留出を行い回収する。残存物は、「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル 9989部を得た。グリシジルエーテル中の副生物量(エピクロルヒドリン自己縮合物):0.8%、塩素含量:0.02%であった。留出物の組成はエピクロルヒドリン:78.1%、シクロヘキサン19.6%、副生物(エピクロルヒドリン自己縮合物)1.6%、水分0.7%であった。
【0028】
実施例2
実施例1と同様の反応槽に、「PP−400」 8521部、エピクロルヒドリン 5803部、シクロヘキサン 419部、BTMAC 10部、実施例1で回収した留出物 1818部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:685ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化カリウム 2840部を19〜31℃で10時間かけて断続滴下し、27〜29℃で5時間反応熟成し、PP−400をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化カリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。内容物を21℃に冷却後、25℃の水 10487部を20〜27℃の範囲で投入し、分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)を実施例1と同様にして処理してグリシジルエーテル 10883部を得た。グリシジルエーテル中の副生物量(エピクロルヒドリン自己縮合物):0.6%、塩素含量:0.02%であった。留出物の組成はエピクロルヒドリン:80.1%、シクロヘキサン18.4%、副生物(エピクロルヒドリン自己縮合物)0.8%、水分0.7%であった。
【0029】
実施例3
実施例1と同様の反応槽に、「PP−400」 8538部、エピクロルヒドリン 5319部、シクロヘキサン 300部、BTMAC 10部、実施例2で回収した留出物 2427部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:705ppm)とし、18℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化カリウム 2840部を19〜31℃で10時間かけて断続滴下し、26〜28℃で4時間反応熟成し、グリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化カリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。内容物を21℃に冷却後、24℃の水 10493部を22〜28℃の範囲で投入し、分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)を実施例1と同様にして処理してグリシジルエーテル11024部を得た。グリシジルエーテル中の副生物量(エピクロルヒドリン自己縮合物):0.4%、塩素含量:0.01%であった。留出物の組成はエピクロルヒドリン:80.5%、シクロヘキサン18.2%、副生物(エピクロルヒドリン自己縮合物)0.7%、水分0.7%であった。
【0030】
比較例1
実施例1と同様の反応槽に、「PP−400」 8533部、エピクロルヒドリン 7994部、BTMAC 5部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:695ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化カリウム 2850部を20〜31℃で10時間かけて断続滴下し、27〜29℃で4時間反応熟成し、グリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化カリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。内容物を20℃に冷却後、24℃の水 10525部を20〜28℃の範囲で投入し、分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)を実施例1と同様にして処理してグリシジルエーテル 11018部を得た。グリシジルエーテル中の副生物量(エピクロルヒドリン自己縮合物):3.2%、塩素含量:0.01%であった。留出物の組成はエピクロルヒドリン:94.0%、副生物(エピクロルヒドリン自己縮合物)4.6%、水分1.4%であった。
【0031】
比較例2
実施例1と同様の反応槽に、「PP−400」 8527部、エピクロルヒドリン 4681部、BTMAC 5部、比較例1で回収した留出物 3034部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:670ppm)とし、20℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化カリウム 2850部を19〜31℃で10時間かけて断続滴下し、26〜29℃で4時間反応熟成し、グリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化カリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。内容物を21℃に冷却後、24℃の水 10513部を22〜27℃の範囲で投入し、分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)を実施例1と同様にして処理してグリシジルエーテル 10997部を得た。グリシジルエーテル中の副生物量(エピクロルヒドリン自己縮合物):3.6%、塩素含量:0.02%であった。留出物の組成はエピクロルヒドリン:91.9%、副生物(エピクロルヒドリン自己縮合物)6.7%、水分1.4%であった。
【0032】
表1に実施例1〜3及び比較例1〜2の「PP−400」に対するエピクロルヒドリンと固型アルカリ金属水酸化物の投入当量数、及び炭化水素系溶剤の種類とエピクロルヒドリンに対する投入重量%を示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004064883
【0034】
【発明の効果】
本発明の製造法、及び得られるグリシジルエーテルは下記の効果を奏する。
(1)エピクロルヒドリンの自己縮合物が少ない。
(2)塩素含量が少ない。
(3)回収したエピクロルヒドリンと炭化水素系溶剤及びアルコール類の混合物中にはエピクロルヒドリンの自己縮合物等の副生物量が少なく回収してものを精製することなく、そのままリサイクル使用できる
従って、この高純度のグリシジルエーテルは、電気・電子材料、塗料、接着等に使用されるエポキシ樹脂の中間体に有用である。

Claims (4)

  1. 固型アルカリ金属水酸化物の存在下にアルコールとエピクロルヒドリンを反応させてグリシジルエーテルを製造する方法において、下記(i)〜(iii)を必須条件として製造することを特徴とする、副生エピクロルヒドリン自己縮合物含有量が少ないグリシジルエーテルの製造方法。
    (i)n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンおよびn−オクタンからなる群より選ばれる炭化水素系溶剤を、エピクロルヒドリンの3重量%以上加えて反応する。
    (ii)40℃以下の温度で反応する。
    (iii)反応後40℃以下の温度を保持して水を投入する。
  2. 該炭化水素系溶剤がシクロヘキサンである請求項1記載のグリシジルエーテルの製造方法。
  3. さらに下記(iv)〜(vi)の条件下で製造することを特徴とする請求項1又は2記載のグリシジルエーテルの製造方法。
    (iv)アルコールの水酸基1当量に対して、1.2〜2.5当量のエピクロルヒドリンを使用する。
    (v)アルコールの水酸基1当量に対して、1.1〜2.5当量の固型アルカリ金属水酸化物を加える。
    (vi)アルコール、エピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤を混合した後、固型アルカリ金属水酸化物を加える。
  4. 該アルコールが多価アルコールである請求項1〜3いずれか記載のグリシジルエーテルの製造方法。
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