JP4064302B2 - 金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその金属と樹脂分離回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、樹脂メッキ部品の金属と合成樹脂材との混合物のリサイクル技術に係り、特に樹脂メッキ部品から金属原料と樹脂原料を分離回収して、それぞれ金属原材又は樹脂原材として再利用することができる金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその金属と樹脂分離回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドアノブ、ラジエータ・グリル等について、従来は金属製の各種部品の代替素材として、軽量化等を目的とした、金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品が提案されている。その一方で、環境問題への対応としてこれらの金属で処理された樹脂メッキ部品を、金属原料と樹脂原材とに分離して再利用するリサイクル技術も実施されている。
【0003】
【特許文献1】
特許文献1の特開2002−28927号公報「樹脂粒状物の回収方法および樹脂粒状物」のように、金属で処理された樹脂素材について、固定刃と回転刃とからなる粉砕装置で粉砕し、磁力選別装置で粉砕粒状物を金属部分及び樹脂部分に分離して、樹脂粒状物を回収する方法が提案されている。この回収する方法に使用する磁力選別装置51は、図5に示すように、吊下型の強力磁石52を備えたものである。粉砕装置により粉砕された金属被膜、樹脂粒状物及び金属被膜付き樹脂粒状物との混合粒状物は、クッションタンク53へ搬送し、このクッションタンク53の下端部に取り付けたロータリーバルブ54を通して、第一コンベア55へ混合粒状物を落下させる。更に一段下方位置に第二コンベア56を配置している。これらの第一と第二コンベア55,56間において磁力選別装置51の強力磁石52を移動させるように配置したものである。
【0004】
磁力選別装置51の強力磁石52を、第一コンベア55上を搬送中の混合粉体から金属被膜のみを吸着して、金属原料回収槽57まで搬送する。一方金属被膜が分離され、大部分が樹脂粒状物になった混合粒状物は、第二コンベア56で樹脂原料回収槽58内に落下回収させる。
【0005】
【特許文献2】
更に、特許文献2の特開2002−336732号公報「磁力選別装置」のように、エンドレスベルトを上下方向に所定間隔あけて配置し、永久磁石により、粉砕した混合粒状物から磁性体(金属被膜)を吸着する技術が提案されている。この磁力選別装置は、一旦吸着した磁性体(金属被膜)のエンドレスベルトへの再吸着を阻止することに技術的な特徴を有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この特許文献1の磁力選別装置51は、吊下型の強力磁石52を備えたものであるために、混合粒状物が単純に磁性体(金属被膜)と非磁性体(樹脂粒状物)との混合物であれば容易に磁性体(金属原料)と非磁性体(樹脂原材)とに分離して回収できる。しかし、樹脂メッキ部品等を粉砕したような金属と合成樹脂材との混合物については、金属被膜付きの樹脂粒状物も金属原料として回収するために、金属含有率の低い金属原料になりやすいという問題を有していた。このように、樹脂分を多く含有する金属原料は再利用するときに再生しづらいという問題を有していた。同様に、金属を含有する樹脂原料になりやすいという問題を有していた。
【0007】
このように樹脂分を多く含有する金属原料、又は金属分を多く含有する樹脂原料は、更に樹脂と金属とを分離する工程が必要になるために、その処理時間が長くかかるという問題を有していた。
【0008】
また、特許文献2の磁力選別装置でも、金属被膜と樹脂粒状物の他に金属被膜付きの樹脂粒状物が混合した混合物については、純度の高い金属原料又は樹脂原材とに分離することができないという問題を有していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、粉砕した混合粉体中の金属被膜付き樹脂粉体の吸着率を低下させ、この金属被膜付き樹脂粉体を金属被膜粉体又は樹脂粉体から確実に分離することで、純度の高い金属原料及び樹脂原料に再生することができる金属被膜樹脂材の金属回収方法及びその金属被膜回収装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の分離回収方法によれば、金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品からなる金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び樹脂粉体(c)との混合粉体(m)を生成し、前記混合粉体(m)を均一に分散させ、かつ搬送させながら磁石(21)の磁力を用いて、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とに単純に分離してこの樹脂粉体(c)のみ回収し、次に、この分離した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体について更に分離するときは、該金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と磁石(8)との間隔(d)を広くして吸着率を低下させ、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを該磁石(8)で吸着分離することにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)を回収し、前記樹脂粉体(c)から、残存する金属被膜付き樹脂粉体(b)を更に分離するときは、該樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と磁石(8)との間隔(d)を狭くして吸着率を高め、金属被膜付き樹脂粉体(b)を該磁石(8)で吸着分離することにより、樹脂含有率の比較的高い樹脂粉体(c)を回収するように、混合粉体(m)から分離した金属被膜付き樹脂粉体(b)について、前記磁石(8)の磁力を調整して吸着率を可変させて分離回収する、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法が提供される。
【0011】
また、金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品からなる金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び樹脂粉体(c)との混合粉体(m)を生成し、前記混合粉体(m)を均一に分散させ、かつ搬送させながら磁石(21)の磁力を用いて、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とに単純に分離してこの樹脂粉体(c)のみ回収し、次に、この分離した金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体について更に分離するときは、磁石(8)に対して前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)の搬送速度を速めて吸着率を低下させ、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを該磁石(8)で吸着分離することにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)を回収し、前記樹脂粉体(c)から、残存する金属被膜付き樹脂粉体(b)を更に分離するときは、磁石(8)に対して前記樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)の搬送速度を遅くして吸着率を高め、金属被膜付き樹脂粉体(b)を該磁石(8)で吸着分離することにより、樹脂含有率の比較的高い樹脂粉体(c)を回収するように、混合粉体(m)から分離した金属被膜付き樹脂粉体(b)について、前記磁石(8)の磁力を調整して吸着率を可変させて分離回収することも可能である。
【0012】
上記発明の方法では、混合粉体(m)と磁石(8)との間隔(d)を広くして、混合粉体(m)中の金属被膜付き樹脂粉体(b)の磁石(8)への吸着率を低下させることにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を金属被膜粉体(a)又は樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体(b)の含有率が低い金属原料に再生することができる。
【0013】
前記混合粉体(m)から前記金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)を分離するときに、該混合粉体(m)と磁石(8)との間隔(d)を広くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を低下させることにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを分離回収することにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体(b)の含有率が低い樹脂原料に再生することができる。
【0014】
前記混合粉体(m)から前記樹脂粉体(c)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを分離するときに、該混合粉体(m)と磁石(8)との間隔(d)を狭くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を高めることにより、金属含有率が低い樹脂粉体(c)を分離回収することができる。混合粉体(m)を搬送させながら磁石(21)の磁力を用いて、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とに単純に分離してこの樹脂粉体(c)のみ回収し、この分離した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体について更に分離することで、樹脂メッキ製品のような金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を、純度の高い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。
【0015】
前記混合粉体(m)から前記金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)を分離するときに、前記磁石(8)に対して前記混合粉体(m)の搬送速度を速めて、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を低下させることにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを分離回収することができる。
【0016】
前記混合粉体(m)から前記樹脂粉体(c)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを分離するときに、前記磁石(8)に対して前記混合粉体(m)の搬送速度を遅くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を高めることにより、金属含有率が低い樹脂粉体(c)を分離回収することができる。
【0017】
また、前記磁石(8)に対して前記混合粉体(m)の搬送速度を速めて、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を低下させることにより、樹脂の混ざった金属被膜が磁石(8)に吸着しないようにして、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を金属被膜粉体(a)から分離することができる。
【0018】
前記磁石(8)に対して前記混合粉体(m)の搬送速度を遅くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を高めることにより、樹脂の混ざった金属被膜を磁石(8)に吸着させて、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を樹脂粉体(c)から分離することができる。
【0019】
逆に、単純に金属材料の回収率を高めたいときは、混合粉体(m)と磁石(8)との間隔(d)を狭くすることで、金属分を多く回収することができる。この回収した金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合物は、再度分離回収処理することで、金属被膜付き樹脂粉体(b)の含有率が低い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。同様に、前記磁石(8)に対して前記混合粉体(m)の搬送速度を遅くすることでも、金属分を多く回収することができる。
【0020】
本発明の分離回収装置によれば、金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品からなる金属被膜樹脂材(p)を粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)について、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とを選別するために、ベルトを掛け渡すローラの一方に磁石(21)を具備した他の磁気選別装置(22)と、前記他の磁気選別装置(22)上に、混合粉体(m)を均一に分散させて供給する振動フィーダー(10)と、前記他の磁気選別装置(22)の下方に、分離した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体を搬送するために、ロ−ラ(12)間にベルト(13)を掛け渡した搬送ベルトコンベア(11)と、前記搬送ベルトコンベア(11)の上方に配置した、ローラ(12)間にベルト(13)を掛け渡した吸着ベルトコンベア(14)と、前記吸着ベルトコンベア(14)の下側のベルト(13)の内面に設けた、前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着するための磁石(8)と、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を前記吸着ベルトコンベア(14)の上側に搬送するために、該吸着ベルトコンベア(14)の一側のロ−ラ(12)に設けた磁石(17)と、から成る磁気選別装置(7)を備え、分離した金属被膜付き樹脂粉体(b)について、更に磁石(8)の磁力を調整して吸着率を可変させて分離回収するために、前記磁気選別装置(7)の搬送ベルトコンベア(11)と前記吸着ベルトコンベア(14)との間隔(d)を調整し得るように構成した、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置が提供される。
【0021】
上記発明の装置では、搬送ベルトコンベア(11)上の混合粉体(m)から金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着ベルトコンベア(14)の磁石(8)で吸着する。このとき、前記搬送ベルトコンベア(11)と前記吸着ベルトコンベア(14)との間隔(d)を調整し得るように構成したので、その吸着率を低下させることにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を金属被膜粉体(a)又は樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。磁気選別装置(7)と他の構成の磁気選別装置(21)と組み合わせて使用することで、金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を、純度の高い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。振動フィーダー(10)により粉砕した混合粉体(m)を搬送ベルトコンベア(11)上に均一に分散させることで、金属被膜粉体(a)が樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)の下側に埋もれた状態になり、吸 着されずに搬送されることを回避することができる。
【0022】
前記磁気選別装置(7)は、その吸着ベルトコンベア(14)に対して、前記搬送ベルトコンベア(11)を昇降させるように構成した。これにより、金属被膜付き樹脂粉体(b)に対する磁石(8)の磁力を調整することができ、その吸着率を可変させることが可能になる。
【0023】
吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を前記吸着ベルトコンベア(14)の上側に搬送するために、該吸着ベルトコンベア(14)の一側のロ−ラ(12)に磁石(17)を更に備えた。これにより、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を、吸着ベルトコンベア(14)の上面へ搬送することができ、所望の位置において回収することができる。
【0024】
前記磁気選別装置(7)は、その吸着ベルトコンベア(14)の搬送方向の全長が、前記搬送ベルトコンベア(11)の搬送方向の全長より長いものを配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成することができる。これにより、吸着ベルトコンベア(14)の下面に吸着している金属被膜付き樹脂粉体(b)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を、この吸着ベルトコンベア(14)の一端において回収することができる。
【0025】
前記磁気選別装置(7)は、その吸着ベルトコンベア(14)と前記搬送ベルトコンベア(11)を搬送方向にずらして配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成することが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収する装置の概略説明図である。図2は磁気選別装置を示す概略説明図である。図3は金属被膜樹脂材を粉砕した状態を示すものであり、(a)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが付着している状態、(b)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが分離した状態、(c)は金属被膜付き樹脂粉体、及び(d)はわずかに金属被膜が付着した金属被膜付き樹脂粉体である。
本発明の金属と樹脂材の分離回収方法は、図1に示すような、金属メッキ等の金属被膜樹脂材pを一次粉砕機1で粗粉砕し、次に、この粗粉砕した金属被膜樹脂材pをコンベア2で計量ホッパー3まで搬送し、所定量を軽量した後、二次粉砕機4へ搬送して微粉砕する。この二次粉砕機4では、金属被膜樹脂材pから金属被膜粉体aを剥離しやすいように、粒径は0.6mmから2mm程度が望ましい。本発明では金属被膜樹脂材pの粒径を均一にするために、粉砕した金属被膜樹脂材pをメッシュスクリーン5に通し、サイクロン6から磁気選別装置7へ供給している。
【0027】
この金属被膜樹脂材pは、粉砕されて金属被膜粉体a、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとが混合された混合粉体mとなる。この混合粉体mの粒径は0.6mmより小さく粉砕すると、静電気の影響で次の工程における搬送ベルトコンベア11と吸着ベルトコンベア14のベルトや機構部分に付着して、その処理に手間がかかることがあるからである。
【0028】
この金属被膜樹脂材pは、上述したドアノブ、フロントグリル等の自動車部部品に限定されず、家電・OA機器の廃材として、コピー、ファクシミリ、プリンタ等のトナーカートリッジやドラム類、ノートパソコンの部品等、その他、コンパクトディスク、光ディスク等の金属と樹脂が混合した樹脂メッキ部品についても処理することができる。
【0029】
次に、磁気選別装置7において、金属被膜粉体a、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mから磁石8の磁力で金属被膜粉体aと、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとに分離する。この磁気選別装置7には、金属被膜粉体a、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mを捕集するサイクロン6から振動フィーダー10を介して供給するようになっている(図2参照)。この振動フィーダー10の先端から、搬送ベルトコンベア11上に混合粉体mを供給する。振動フィーダー10は、粉砕した混合粉体mを搬送ベルトコンベア11上に均一に分散させて、金属被膜粉体aが樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bの下側に埋もれた状態になり、吸着されずに搬送されることを回避するものである。搬送ベルトコンベア11はローラ12間にベルト13を掛け渡したものである。なお、この磁石8について、本発明では永久磁石について説明しているが、この永久磁石に限定されずに、電磁石に変更できることは勿論である。
【0030】
この搬送ベルトコンベア11の上方に、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと吸着するために、ローラ12間に掛け渡した下側のベルト13の内面に板状の磁石8を設けた吸着ベルトコンベア14を配置した。この吸着ベルトコンベア14と搬送ベルトコンベア11との間隔、即ちギャップ幅dを長短調整し得るようになっている。これにより、金属被膜付き樹脂粉体bに対する磁石8の磁力を調整することができ、その吸着率を可変させることが可能になる。例えば、図2に示すように、吸着ベルトコンベア14に対して搬送ベルトコンベア11を昇降させるように構成した。勿論、吸着ベルトコンベア14側を昇降させるように構成することも可能である。
【0031】
この磁気選別装置7は、振動フィーダー10から搬送ベルトコンベア11上を搬送される混合粉体m中の金属被膜粉体aを磁石8に吸着させて樹脂粉体cと分離させる。搬送ベルトコンベア11上に残った樹脂粉体cはそのまま樹脂原料回収槽15へ搬送される。一方、磁石8に吸着された金属被膜粉体aは吸着ベルトコンベア14のベルト13上搬送されて金属原料回収槽16へ搬送される。そこで、吸着ベルトコンベア14の一方のローラ12(図2では左側)は磁石17を用いている。これにより、金属被膜付き樹脂粉体b及び金属被膜付き樹脂粉体bを、吸着ベルトコンベア14の上面へ搬送することができ、所望の位置において回収することができる。
【0032】
本発明の磁気選別装置7では、搬送ベルトコンベア11と吸着ベルトコンベア14との間隔dを広くして、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石8への吸着率を低下させるようになっている。これにより、図3に示すように、金属被膜付き樹脂粉体bにおける金属被膜粉体の付着含量に応じて、樹脂粉体cから確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体の含有率が低い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。
【0033】
逆に、搬送ベルトコンベア11と吸着ベルトコンベア14との間隔dを狭くして、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石8への吸着率を高める。これにより、金属被膜付き樹脂粉体bを吸着して樹脂粉体cから確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体bの含有率が低い樹脂原料に再生することができる。
【0034】
本発明の磁気選別装置7により、金属被膜樹脂材pから樹脂分を回収したときの試験結果を表1と表2に示す。表1は、金属膜が銅、ニッケルとクロムからなる部品についての平均膜厚と樹脂分の回収量を示すものである。表2は、金属膜がニッケルとクロムからなる部品についての平均膜厚と樹脂分の回収量を示すものである。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
本発明の磁気選別装置7は、吸着ベルトコンベア14の搬送方向の全長が、その搬送ベルトコンベア11の搬送方向の全長より長いものを配置することにより、吸着ベルトコンベア14の下面に吸着している金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bを、この吸着ベルトコンベア14の一端において回収することができる。このときは、吸着ベルトコンベア14にスクレイパー(図示していない)を設けて掻き落とすようにする。
【0038】
また、吸着した金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bを回収するために、吸着ベルトコンベア14と搬送ベルトコンベア11を搬送方向にずらして配置することにより、この吸着ベルトコンベア14の一端において回収することができる。
【0039】
なお、単純に金属材料の回収率を高めたいときは、搬送ベルトコンベア11と吸着ベルトコンベア14との間隔dを短くする。この回収した金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bとの混合物は、再度分離回収処理することで、金属被膜付き樹脂粉体の含有率が低い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。
【0040】
図4は本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収する装置の他の実施の形態を示す概略説明図である。他の構成の磁気選別装置21と組み合わせて使用すること純度の高い金属原料及び樹脂原料に再生する
本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収する装置では、上述した磁気選別装置7を単体のみで使用する必要はなく、他の構成の磁気選別装置21と組み合わせて使用することが好ましい。図示するように、先ず粉砕した混合粉体mを、例えばローラ部分に磁石21を構成した他の磁気選別装置22で、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体cとに単純に分離して樹脂粉体cのみを回収する。次に、金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mについては、更に本発明の磁気選別装置7を用いて金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体cとに精度の高い分離回収を行う。このときは、混合粉体mの金属や樹脂の種類、また粒径の大小に応じて搬送ベルトコンベア11と吸着ベルトコンベア14との間隔dを調整して、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石8への吸着率を低下させる。
【0041】
なお、本発明は上述した発明の実施の形態に限定されず、粉砕した混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの吸着率を低下させ、この金属被膜付き樹脂粉体bを金属被膜粉体a又は樹脂粉体cから確実に分離することで、純度の高い金属原料及び樹脂原料に再生する方法又は処理装置であれば、図示した工程、処理設備又は処理装置のような構成に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0042】
【発明の効果】
上述したように、本発明の分離回収方法は、混合粉体中の金属被膜付き樹脂粉体の磁石への吸着率を低下させることにより、この金属被膜付き樹脂粉体を金属被膜粉体又は樹脂粉体から確実に分離することにより、金属被膜付き樹脂粉体の含有率が低い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。
【0043】
本発明の分離回収装置は、搬送ベルトコンベアと吸着ベルトコンベアとの間隔を調整し得るように構成して、金属被膜付き樹脂粉体の吸着率を低下させ、搬送ベルトコンベア上の混合粉体から金属被膜粉体のみを吸着することにより、この金属被膜付き樹脂粉体を金属被膜粉体又は樹脂粉体から確実に分離することができる、等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収する装置の概略説明図である。
【図2】 磁気選別装置を示す概略説明図である。
【図3】 金属被膜樹脂材を粉砕した状態を示すものであり、(a)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが付着している状態、(b)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが分離した状態、(c)は金属被膜付き樹脂粉体、及び(d)はわずかに金属被膜が付着した金属被膜付き樹脂粉体である。
【図4】 本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収する装置の他の実施の形態を示す概略説明図である。
【図5】 従来の吊下型の強力磁石を備えた磁力選別装置を示す説明図である。
【符号の説明】
7 磁気選別装置
8 磁石
11 搬送ベルトコンベア
12 ロ−ラ
13 ベルト
14 吸着ベルトコンベア
17 磁石(ロ−ラ)
d 搬送ベルトコンベアと吸着ベルトコンベアとの間隔
a 金属被膜粉体
b 金属被膜付き樹脂粉体
c 樹脂粉体
m 混合粉体
Claims (6)
- 金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品からなる金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び樹脂粉体(c)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を均一に分散させ、かつ搬送させながら磁石(21)の磁力を用いて、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とに単純に分離してこの樹脂粉体(c)のみ回収し、
次に、この分離した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体について更に分離するときは、該金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と磁石(8)との間隔(d)を広くして吸着率を低下させ、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを該磁石(8)で吸着分離することにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)を回収し、
前記樹脂粉体(c)から、残存する金属被膜付き樹脂粉体(b)を更に分離するときは、該樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と磁石(8)との間隔(d)を狭くして吸着率を高め、金属被膜付き樹脂粉体(b)を該磁石(8)で吸着分離することにより、樹脂含有率の比較的高い樹脂粉体(c)を回収するように、混合粉体(m)から分離した金属被膜付き樹脂粉体(b)について、前記磁石(8)の磁力を調整して吸着率を可変させて分離回収する、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。 - 金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品からなる金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び樹脂粉体(c)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を均一に分散させ、かつ搬送させながら磁石(21)の磁力を用いて、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とに単純に分離してこの樹脂粉体(c)のみ回収し、
次に、この分離した金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体について更に分離するときは、磁石(8)に対して前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)の搬送速度を速めて吸着率を低下させ、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを該磁石(8)で吸着分離することにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)を回収し、
前記樹脂粉体(c)から、残存する金属被膜付き樹脂粉体(b)を更に分離するときは、磁石(8)に対して前記樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)の搬送速度を遅くして吸着率を高め、金属被膜付き樹脂粉体(b)を該磁石(8)で吸着分離することにより、樹脂含有率の比較的高い樹脂粉体(c)を回収するように、混合粉体(m)から分離した金属被膜付き樹脂粉体(b)について、前記磁石(8)の磁力を調整して吸着率を可変させて分離回収する、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。 - 金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品からなる金属被膜樹脂材(p)を粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)について、金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)とを選別するために、ベルトを掛け渡すローラの一方に磁石(21)を具備した他の磁気選別装置(22)と、
前記他の磁気選別装置(22)上に、混合粉体(m)を均一に分散させて供給する振動フィーダー(10)と、
前記他の磁気選別装置(22)の下方に、
分離した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体を搬送するために、ロ−ラ(12)間にベルト(13)を掛け渡した搬送ベルトコンベア(11)と、
前記搬送ベルトコンベア(11)の上方に配置した、ローラ(12)間にベルト(13)を掛け渡した吸着ベルトコンベア(14)と、前記吸着ベルトコンベア(14)の下側のベルト(13)の内面に設けた、前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着するための磁石(8)と、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を前記吸着ベルトコンベア(14)の上側に搬送するために、該吸着ベルトコンベア(14)の一側のロ−ラ(12)に設けた磁石(17)と、から成る磁気選別装置(7)を備え、
分離した金属被膜付き樹脂粉体(b)について、更に磁石(8)の磁力を調整して吸着率を可変させて分離回収するために、前記磁気選別装置(7)の搬送ベルトコンベア(11)と前記吸着ベルトコンベア(14)との間隔(d)を調整し得るように構成した、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。 - 前記磁気選別装置(7)は、その吸着ベルトコンベア(14)に対して、前記搬送ベルトコンベア(11)を昇降させるように構成したものである、ことを特徴とする請求項3の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
- 前記磁気選別装置(7)は、その吸着ベルトコンベア(14)の搬送方向の全長が、前記搬送ベルトコンベア(11)の搬送方向の全長より長いものを配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成したものである、ことを特徴とする請求項3又は4の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
- 前記磁気選別装置(7)は、その吸着ベルトコンベア(14)と前記搬送ベルトコンベア(11)を搬送方向にずらして配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成したものである、ことを特徴とする請求項3又は4の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
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