JP4064029B2 - 断熱プラスチック成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂により成形されたユニットバス等の壁、天井を断熱するための断熱プラスチック成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、ユニットバス等の成形品の断熱や結露に対応するために、これらの壁、天井等の成型品全面に発泡体を積層被覆した断熱プラスチック成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、RC工法による住居用高層建造物や軽量鉄骨製の個人住宅の増加に伴いバス、タンク等の水廻りのユニット化は常識的になっている。しかし、これらのユニット製品はFRP等で作られた合成樹脂製の成形品であるため、本来は結露防止のためには断熱材の積層あるいは複合化が必須である。これらのユニットを構成する成形品はその形態保持、強度を持たせるため複雑なリブ等の補強構造となっているため、このリブが障害となり全壁面の断熱は難しい。
【0003】
このために補強構造のリブ間に発泡スチロールやガラス繊維マット等を、そのリブ形状に合わせてカットしたものを接着剤や両面接着テープ等によって裏貼りしたものや、無機繊維を混入した発泡性ディスバージョンを吹き付け被覆したものが知られている。また、これらの構造では、結露した水を連続的に排出する構造を備えている。
【0004】
しかし、突起しているリブ等の補強部分はその凹凸が邪魔になり平面部分のみの断熱となる。このためにユニットの外側面全体としては、裏貼りや被覆が不十分なため、実質的には断熱が十分に期待できず、結露問題は解決されていなかった。また、プラスチックを成形するにあたり、予め成形された発泡体を成形品の金型にインサートして、成形品と一体成形する方法も考えられるが、前述したようにプラスチック成形品は複雑なリブ等の補強構造をしているためリブ構造に金型が追従できず、隙間ができたり、あるいは破れが生じたりする。また、プラスチック材料が熱硬化型の場合、成形後に発熱を伴うため、発泡体部分が劣化するなど困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述したような背景で発明されたものであり、次の目的を達成するものである。
【0006】
本発明の目的は、リブ等の補強構造部分をも容易に断熱材で被覆することができる断熱プラスチック成形体の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、構造が簡素な断熱プラスチック成形体の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、組立が容易な断熱プラスチック成形体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の断熱プラスチック成形体の製造方法は、強化繊維に熱硬化樹脂を含浸したFRP成形体(14)の少なくとも片側一面に形成されたリブ(6)と、このリブ(6)に挿入されるリブ挿入穴(22)を有する熱可塑性合成樹脂発泡体が前記FRP成形体(14)の前記片側一面に配置された断熱プラスチック成形体の製造方法であって、
前記熱可塑性合成樹脂発泡体の前記挿入穴(22)を真空成形により成形するときの成形時の余熱があるときに、前記FRP成形体(14)の一面に形成された前記リブ(6)に前記リブ挿入穴(22)を挿入して前記熱可塑性合成樹脂発泡体を積層し、前記リブ(6)と前記熱可塑性合成樹脂発泡体とを、前記熱可塑性合成樹脂発泡体の熱収縮作用により前記リブ(6)を挟んで固定して接合し、前記熱可塑性合成樹脂系発泡体は、架橋度が10%〜70%、見掛け密度が0.2〜0.02g/cm3、厚さが2〜15mmのポリオレフィン系合成樹脂架橋発泡体であることを特徴とする。
【0013】
本発明に用いるプラスチック成形体は、その素材としては熱可塑性あるいは熱硬化性のいずれでも良いが、熱可塑性としてはABS樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、高密度ポリエチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂(PET、PBT)、ナイロン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール樹脂等が例示できる。中でもガラス繊維、炭素繊維等の繊維で強化されたものが好適に用いられる。熱硬化性としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂などが例示でき、これらをその樹脂の特徴に合わせて加熱圧縮、加熱真空成形、ハンドレアップ成形等の方法で成形体としたものである。中でも、有機、無機、天然繊維等をチョップした短繊維や織物等に不飽和ポリエステル樹脂を含浸させたものが好適に用いられる。
【0014】
本発明に用いる熱可塑性合成樹脂系発泡体としては、ポリスチレン系樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂に揮発性ガスを用いて押し出し発泡した、いわゆる無架橋型押し出し発泡体やポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂を用い、分解型化学発泡体を併用、更に、過酸化化合物による化学架橋を施した、あるいは電子線を用いて架橋を施し、化学発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡した架橋型発泡体が例示できるが、好ましいのは架橋型発泡体である。
【0015】
中でも、ポリオレフィン系架橋型発泡体の場合、その架橋度は10〜70%、好ましくは、15〜60%、見掛け密度は0.2〜0.02g/cm3、好ましくは0.5〜0.025g/cm3、厚さは断熱性から2〜15mm、好ましくは3〜12mmである。架橋度が10%未満では後の加熱真空成形後の形態保持性が悪化するので好ましくなく、架橋度が70%を越えると伸びが急速に低下するため複雑な形状に成形できなくなるので好ましくない。
【0016】
見掛け密度が0.2g/cm3未満では成形性の点では好ましいが、発泡倍率が低く成りすぎて断熱性能が急速に低下するので好ましくなく、70%を越えると伸びが急速に低下するため複雑な形状に成形できなくなるので好ましくない。見掛け密度が0.2g/cm3未満では成形性の点では好ましいが、発泡倍率が低く成りすぎて断熱性能が急速に低下するので好ましくなく、0.02g/cm3を越えると断熱性能の点では好ましいが、発泡体の腰がなくなり成形後の形態保持性が悪化、プラスチック成形体にはめ込む作業時の作業性が悪化するので好ましくない。
【0017】
厚さは2mm未満では真空成形後の絞りが大きい部分(特にリブ部)が薄く成りすぎて断熱性能が低下するので好ましくなく、15mmを越えると断熱性能の点では好ましいが、厚みが厚くなるため真空成形条件が狭くなることと、シャープな形状に成形できず、プラスチック成形体にはめ込む時、リブ部などに空間ができやすくなり、断熱性能が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明に用いる熱可塑性合成樹脂系発泡体は、ユニット構造体の外部だけでなく、内部の壁面、天井等にも配置して良い。内部への配置は、加飾と断熱双方を満足させるために少なくとも片面に繊維布帛やプラスチック製表皮、あるいはプラスチックフィルムを積層したものを用いることもできる。
【0019】
繊維布帛を積層したものはユニット構造体の内部、特に床部分などに用いると滑り止めになる等の効果が期待でき、更にプラスチック製表皮、具体的にはPVC(ポリ塩化ビニル)製表皮には加熱型等で凸凹模様を付加すると内部壁部分にタイルのような立体的な装飾を付加できるメリットもある。また、フィルムの場合発泡体表面、あるいはフィルムに印刷を施し、印刷面が発泡体側に成るように積層すると自由自在の装飾が付加できる。
【0020】
本発明のプラスチック成形体の少なくとも片面側全面には、配置される熱可塑性合成樹脂系発泡体の表面と同型、又は逆の凹凸構造、或いは類似構造を備えており、これらの構造に加えて他のプラスチック成形体に連結固定するための連結構造が形成されている。
【0021】
成形される熱可塑性合成樹脂系発泡体は、成形されたプラスチック成形体の積層被覆する面とまったく同一の形状に真空成形等の方法で成形した後、冷却し、不必要部をカットして作る。出来た断熱材としての熱可塑性合成樹脂系発泡体は、被覆するプラスチック成形体にかぶせ、リブなどの部分などを中心に押し込みながら、はめ込み一体化して、積層体とすればよい。熱可塑性合成樹脂系発泡体が常温に冷却する前にリブに挿入して組み立てる。熱可塑性合成樹脂系発泡体が常温に冷却すると熱収縮するので、リブに接着剤、ボルト、ナット、係止具等の機械的固定手段なして両者は固定される。
【0022】
このとき、熱可塑性合成樹脂系発泡体が脱落などの心配があれば、各所に両面テープ、接着剤等をポイントで介在させておけばより完全に固定化できる。この場合、真空成形に用いる金型は、あらかじめ木製やプラスチック、アルミ鋳込み等の金型を作成し、通常の加熱真空成形しても良いが、コストが高くなったり、あるいは実際の製品面を完全に反映するのは難しく、成形した熱可塑性合成樹脂系発泡体をはめ込む際にリブなどの複雑な面に隙間ができたりするため空間部分に結露した水が溜まり剥がれることがあるので注意が必要である。
【0023】
一方、本発明で提案するものとしては、真空成形型として、実際のプラスチック成形体を真空成形型として用いるものである。このとき、プラスチック成形体に0.6mm程度の真空孔を開けておき、忠実にプラスチック成形体表面が再現できるようにしておく必要がある。この方法を用いれば、高価な金型を用いる必要もなく、単に真空孔を開ける程度の簡単な方法で成形型が得られ、かつ、忠実にプラスチック成形体表面が再現できる。
【0024】
熱可塑性合成樹脂系発泡体の成形は、真空成形に限ることなく、圧空成形(プレッシャ成形)でも良い。真空成形では、成形圧が1気圧以下であるが、圧空成形では3ないし8気圧の圧縮空気で成形するものであっても良い。これらは、熱成形法の一種として、周知の成形方法であり詳細な説明は省略する。これらの結果、本発明の成形法によると、従来非常に困難であったユニット構造体の全面積層による断熱化が安価に、かつ、精度良く得られるのである。
【0025】
【本発明の実施の形態】
図1は、ユニットバスの断面を示す断面図である。図2は、ユニットバスの側壁面を示す断面図である。ユニットバスは、全体形状は箱型の部屋であり家屋、ビル等の建築物に工場で組み立てられたものがユニットとして設置され、必要な配管がされて使用される。ユニットバスは、FRP(Fiber Rein Forced Plastics)で作られたものであり、その製造方法は周知であるので、その説明は省略する。
【0026】
ユニットバス1は、内部には浴槽2を設置するための浴槽置場3、洗い場4等が配置されている。浴槽置場3には、FRPで作られた浴槽2が配置されている。ユニットバス1には、排水パイプなどの配管5が接続されている。浴槽2の外側の全面には、機械的な剛性を高めるために縦横に一定の厚みを備えたリブ6が形成されている。
【0027】
また、浴槽置場3、及び洗い場4の下面(裏面)には、縦横に一定の厚みを備えたリブ7が形成されている。同様に、側壁面8にも縦横にに一定の厚みを備えたリブ9が形成されている。浴槽2には、お湯が満たされるので浴槽2の壁面は可能な限り断熱性を備えたものが望ましい、同様に、ユニットバス1の浴槽置場3、洗い場4、側壁面8、天井(図示せず)等の全ての外周面は断熱性を備えたものが望ましい。
【0028】
浴槽2のリブ6を備えた外面には、発泡材で作られた断熱材10が後述する方法で配置固定されている。ユニットバス1の浴槽置場3、洗い場4のリブ7を備えた裏面には、同様に断熱材11が配置固定されている。更に、ユニットバス1のリブ9を備えた側壁面8にも、同様に断熱材12が固定配置されている。以下、リブ6、7、9を備えた各面に、断熱材10、11、12を固定配置、言い換えると組立する方法、及び断熱材の成形方法について説明する。
【0029】
図3(a),(b)はリブの詳細な構造を壁面パネルを示す図であり、図3(a)は正面図であり、図3(b)は図3(a)のb−b線で切断したときの断面図である。なお、ユニットバス1を構成する各壁面パネル14の各リブ6、7、9の形状は、詳細には形状が異なるが、実質的に相似形状であるからリブ6を例にして以下説明する。
【0030】
[断熱材10の成形方法]
リブ6は、壁面パネル14を構成する壁面15の片面16に壁面15に一体に形成されている。壁面15とリブ6は、FRPで作られている。壁面15の片面16とリブ6の表面を覆うように、断熱材10がほぼ均一の厚さで配置固定されている。この断熱材10の成形方法の1例を説明する。
【0031】
図5(a)は真空成形用型19の拡大平面図であり、図5(b)は図5(a)のb−b線で切断したときの断面図である。真空成形用型19は、壁面パネル14と実質的に同一の形で同一の材料で作られたものである。従って、以下真空成形用型19の符号は、壁面パネル14と同一部分は同一符号を用いる。リブ6の両側に沿って、複数の真空孔17が壁面15を貫通するように形成されている。真空孔17の直径の大きさは、可能な限り小径が望ましい。真空孔17の数は、リブ6のコーナー18の位置には間隔が小さく密度多く配置されている。
【0032】
また、リブ6の間の中心位置にも真空孔17が配置されている。真空孔17は、FRPによりユニットバスを成形するときにピン(図示せず)を挿入し、成形後にピンを抜いて形成する。又は、ドリル加工のような機械加工、レーザー加工等の手段で穿孔してもよい。
【0033】
図6に示すように、このようにして作られた真空成形用型19は、真空型台座装置20上に搭載される。真空型台座装置20は、熱成形の一種である真空成形するための装置であり、真空ポンプ(図示せず)に連結されている。真空ポンプにより、真空型台座装置20の上表面から空気を引き込むことができる。真空型台座装置20の構造、機能は、周知であり詳記しない。真空型台座装置20の上面には、真空成形用型19が搭載される。
【0034】
真空成形用型19の各真空孔17から空気が吸引されている。また、真空成形用型19は、加熱装置(図示せず)で加熱されている。この状態で、真空成形用型19の上部には、板状で発泡さ成形された断熱板21が配置される。断熱板21の材質は、熱可塑性の合成樹脂である。断熱板21は、加熱装置(図示せず)により断熱板21が軟化する程度に加熱された状態で真空成形用型19の上に搭載される。断熱板21は、真空孔17により吸引されるので、真空成形用型19のリブ6の凹凸形状に沿って成形されて断熱材10となる(図1参照)。
【0035】
成形が完了すると、真空成形用型19から断熱材10を取り出して成形は完了する。結果として断熱材10の断面の肉厚は、リブ6の部分は薄く、底面部分は厚く成形される。この断熱材10の肉厚は、放熱特性からも好ましい。即ち、壁面パネル14のリブ6の部分は、リブ6の肉厚があるので熱伝導抵抗が高いのでその分だけ断熱材10の肉厚は薄くても良い。
【0036】
図7は、成形された断熱材10の断面形状を示すものである。リブ挿入穴22は、リブ6と凹凸が逆の形の形状をしたものであり、リブ挿入穴22にリブ6を挿入して断熱材10を壁面パネル14に固定する。この固定は、真空成形用型19で成形された断熱材10が常温に冷却しない余熱がある段階で、断熱材10を壁面パネル14に挿入する。なお、この熱収縮作用による固定と併用して、接着を塗布して両者を固定しても良い。
【0037】
断熱材10が常温に冷却すると、収縮するので成形された断熱材10のリブ挿入穴22の間隔が縮まりリブ6を強く挟んで固定する。図8は、断熱材とプラスチック成形体とを積層した状態を示す断面図である。成形された断熱材10は、図8に示すように壁面15に貼られた両面テープ24により、壁面パネル14に固定される。断熱材10は、真空成形用型19と同一形状の壁面パネル14で成形されたものであるから、隙間を生じることなくピッタリと挿入固定される。前述した断熱板21は、均一な発泡された熱可塑性合成樹脂の板材であった。
【0038】
図9は、表皮を備えた断熱板の断面図である。断熱板21は、表面に熱可塑性エラストマー製の表皮25を積層したものである。表皮25の成形方法は、種々の方法が知られているのでここでは詳記しない。即ち、他の方法で成形された表皮25を断熱板21に接着する方法、発泡成形用の金型を冷却して表面部分の発泡を押さえて表皮25とする方法等である。表皮25を形成することにより、より断熱効果を高めることができる。
【0039】
図10は、成形しない断熱板21を用いて壁面パネル14に固定する方法で固定した断面図である。FRPによる成形された壁面パネル14は、直後は約150度C程度に余熱がある。壁面パネル14の余熱があるときに、断熱板21のリブ6の上に載せるとこの余熱で断熱板21の表面の一部が熱により溶けて両者は、熱融着される。リブ6とリブ6とに囲まれた空間26により、この空間26による断熱作用により断熱効果が一層高くなる。
【0040】
[実施例1]
以下、前述した本発明の実施例1について説明する。成形型としてFRP製ユニットバス壁用パネル(共和工業(株)社製、所在地、新潟県三条市)に、リブ6のコーナー等に0.6mmの真空孔17を開けて台座にセットして用い、熱可塑性合成樹脂系発泡体として架橋度が32%、密度が0.033g/cm3、厚みが6mmの架橋ポリプロピレン系発泡体(東レ(株)製トーレペフPP AP66)を準備し、FRP製ユニットバス壁用パネルサイズに合わせてカットし、真空成形機にクランプ、発泡体の表面温度が160℃となるようにヒーター加熱、真空成形した。
【0041】
冷却後、成形品の目視検査を行ったが、破れや偏肉による極端な厚みの薄い部分は見あたらず良好な成形品であった。この成形品をFRP製ユニットバス壁用パネルにかぶせ、前述したリブ部分などにはめ込み全体を積層体、即ち断熱プラスチック成形体とした。20分後、再度積層体の形態を観察したが成形、はめ込み不具合による浮き部分なども認められず、また、この成形積層体を垂直に立てかけたり、あるいは裏返しの状態にしても熱可塑性合成樹脂系発泡体成形品の脱落はなく、リブ等の部分のはめ込み部がしっかり保持の機能を果たしていることが確認された。
【0042】
なお、積層体を気温差20℃、相対湿度45%にした雰囲気に設置して結露の状態を確認した結果、全く結露は認められず断熱効果が確認された。尚、このときに同時に断熱材なし、従来の厚さ10mmのポリスチレン系ビーズ発泡ブロック品をフラットな部分に貼り付けたものも同時に評価したが、断熱材なしは結露がひどく、成型品表面を結露水が流れ落ちていた。
【0043】
また、部分断熱したものはリブなど非被覆部分に結露が認められ、断熱材の脇を結露水が流れていた。従って、全面に断熱材をはめ込み被覆した積層体はユニット成型品の断熱に好適なものであるし、真空成形品をはめ込むことが好適な積層体の製造方法である。
【0044】
[測定法、評価基準]
本発明における架橋度、見掛け密度、厚み、成形状態、結露(断熱性)性の評価の測定法、評価基準は次の通りである。
1.熱可塑性合成樹脂発泡体の架橋度
熱可塑性合成樹脂発泡体を細断し、0.2g精秤する。このものを130℃のテトラリン中に浸積し、攪拌しながら3時間加熱し溶解部分を溶解せしめ、不溶部分を取り出しアセトンで洗浄してテトラリンを除去後、純水で洗浄しアセトンを除去して120℃の熱風乾燥機にて水分を除去して室温になるまで自然冷却する。このものの重量(W1)gを測定し、次式で架橋度を求める。
架橋度=[(0.2−W1)/0.2]×100 (%)
2.見掛け密度
発泡体を10×10cmに切り出し、厚み(tmm)、その重量(wg)を測定し次の算式で見掛け密度を算出する
見掛け密度=w/10×10×t (g/cm3)
3.厚み
発泡体を10×10cmに切り出し、その中心部を日本工業規格(JIS−K−6767)に準じて測定する。
【0045】
4.成形状態
真空成形したプラスチック成形品のリブ部等絞りのきついところを目視検査し、極端に薄くなっていないか、破れていないかをみる。また、その部分を切り出し厚みを測定し、用いた厚みの1/3以下のものは不合格。
【0046】
5.はめ込み状態
真空成形したものをはめ込み積層して20分以上経過してから、状態を目視し、はめ込み部が浮いて、膨らんでいないか見る。
【0047】
6.結露(断熱性)性の評価
断熱性評価室にユニットをセットし、内外気温差20℃、相対湿度45%で放置、24時間後、内外を目視で観察、ユニットの表面に水滴が付着していないか確認する。水滴が発生したものは不合格。
【0048】
[実施例2]
真空成形用型用の金型としてFRP製のユニットパス用パネル(共和工業(株)社製、所在地、新潟県三条市)を用いた。ユニットパス用パネルのリプのコーナー等に0.6mmの真空孔17を開けて台座にセットした。熱可塑性合成樹脂系発泡体として架橋度が38%、密度が0.025g/cm3、厚みが5mmの架橋ポリプロビレン系発泡体(東レ(株)製トーレペフPP AP66)を準備し、FRP製ユニットパス壁用パネルのサイズに合わせてカットし、真空成型機にクランプ、発泡体の表面温度が160℃となるようにヒーターで加熱しつつ、真空成形した。冷却後、成形品の目視検査、FRP製ユニットパス壁用パネルにかぶせ、リブ部分などにはめ込み全体を積層体とした。積層体を気温差20℃、相対湿度45%に設定した雰囲気に設置して結露性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
[実施例3]
真空成形用型用の金型は実施例2と同じものを用いた。熱可塑性合成樹脂系発泡体として架橋度が28%、密度が0.025g/cm3、厚みが10mmの架橋ポリエチレン系発泡体(東レ(株)製トーレペフ AG00)を用いた以外は、実施例1及び2と同じ評価を行った。結果は表1に示した。
【0051】
[比較例1]
実施例2ないし3に用いたFRP製ユニットパス壁用パネルをそのまま用いて評価した。結果は表1に示した。
【0052】
[比較例2]
実施例2ないし3に用いたFRP製ユニットバス壁用パネルのフラットな部分に厚さ10mmのポリスチレンビーズ発泡ブロックから形状に合わせてカット、両面粘着テープで貼り付けて評価した。結果は表1に示した。
【0053】
【発明の効果】
本発明の断熱プラスチック成形体の製造方法は、ユニット成形品等の複雑な表面形状を持つ成形品を安価に全面を断熱被覆することが可能で、従来のカット品を貼り付ける方法や吹き付けによる方法のものに比べ圧倒的に優れた断熱プラスチック成形体を得ることができる。また、熱可塑性合成樹脂発泡体を成形したときの余熱によりプラスチック成形体に固定する場合、固定が確実、作業時間が短時間、接着剤が不要となる等の効果がある。
【0054】
本発明の断熱プラスチック成形体の製造方法により得られる断熱プラスチック成形体発泡体は、ユニットバスの壁、天井やシンク等のユニット水廻り分野等一体成形ユニットで結露防止を必要とする分野に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ユニットバスの断面を示す断面図である。
【図2】図2は、ユニットバスの側壁面を示す断面図である。
【図3】図3(a),(b)はリブの詳細な構造を壁面パネルを示す図であり、図3(a)は正面図であり、図3(b)は図3(a)のb−b線で切断したときの断面図である。
【図4】図4は、壁面パネルに断熱材を積層したときの断面図である。
【図5】図5(a)は真空成形用型19の拡大平面図であり、図5(b)は図5(a)のb−b線で切断したときの断面図である。
【図6】図6は、真空成形用型により真空成形するときの成形状況を示す側面図である。
【図7】図7は、成形された断熱材の断面形状を示す側面図である。
【図8】図8は、断熱材とプラスチック成形体とを積層した状態を示す断面図である。
【図9】図9は、表皮を備えた断熱板の断面図である。
【図10】図10は、成形しない断熱板を壁面パネルに固定した断熱プラスチック成形体の断面図である。
【符号の説明】
1…ユニットバス
2…浴槽
3…浴槽置場
4…洗い場
5…配管
6,7,9…リブ
8…側壁面
10,11,12…断熱材
14…壁面パネル
15…壁面
16…片面
17…真空孔
18…コーナー
19…真空成形用型
20…真空型台座装置
21…断熱板
22…リブ挿入穴
24…両面テープ
25…表皮
26…空間
Claims (2)
- 強化繊維に熱硬化樹脂を含浸したFRP成形体(14)の少なくとも片側一面に形成されたリブ(6)と、このリブ(6)に挿入されるリブ挿入穴(22)を有する熱可塑性合成樹脂発泡体が前記FRP成形体(14)の前記片側一面に配置された断熱プラスチック成形体の製造方法であって、
前記熱可塑性合成樹脂発泡体の前記挿入穴(22)を真空成形により成形するときの成形時の余熱があるときに、
前記FRP成形体(14)の一面に形成された前記リブ(6)に前記リブ挿入穴(22)を挿入して前記熱可塑性合成樹脂発泡体を積層し、
前記リブ(6)と前記熱可塑性合成樹脂発泡体とを、前記熱可塑性合成樹脂発泡体の熱収縮作用により前記リブ(6)を挟んで固定して接合し、
前記熱可塑性合成樹脂系発泡体は、架橋度が10%〜70%、見掛け密度が0.2〜0.02g/cm3、厚さが2〜15mmのポリオレフィン系合成樹脂架橋発泡体である
ことを特徴とする断熱プラスチック成形体の製造方法。 - 請求項1に記載の断熱プラスチック成形体の製造方法において、前記ポリオレフィン系合成樹脂架橋発泡体は、少なくとも片面に繊維布帛やプラスチック製表皮、あるいはプラスチックが積層されたものであることを特徴とする断熱プラスチックから成ることを特徴とする断熱プラスチック成形体の製造方法。
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