JP4063058B2 - 繊維マットの製造方法並びに該繊維マットを有する樹脂発泡体複合材の製造方法 - Google Patents

繊維マットの製造方法並びに該繊維マットを有する樹脂発泡体複合材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維マットの製造方法並びに該繊維マットを有する樹脂発泡体複合材の製造方法に関する。更に詳しくは、軽量で、引張強度が大きく且つ柔軟性に優れた繊維マットの製造方法並びにこの繊維マットを有する樹脂発泡体複合材の製造方法に関する。
本発明は、繊維強化プラスチックの補強材、発泡体シート等の補強材及びこれを用いた樹脂発泡体複合材等に広く利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ガラス繊維マットは、浴槽や浄化槽等のガラス繊維強化プラスチック成形品の補強材として用いられ、主にハンドレイアップ法と呼ばれる不飽和ポリエステル樹脂を含浸、成形する方法に多用されてきた。
また、近年では、自動車成形天井材等に樹脂発泡体のシートが使用される。この発泡体シートの表面に繊維マットを接着することによって、その剛性や寸法安定性を向上させた繊維マット補強樹脂発泡体複合材が開発されつつある。
この繊維マット補強樹脂発泡体複合材は、剛性、寸法安定性、断熱性、遮音性等の特性が必要とされるが、これ以外にもこの複合材を使用する自動車等の全体の重量を軽減するために軽量化が要求される。
また、繊維マットと樹脂発泡体基材とを接着する際、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等の接着剤を使用するが、その接着剤が繊維マットの裏面まで浸透しないと、成形された樹脂発泡体の剛性が不足し、または接着後にマットから繊維が剥がれ落ちることがあるため、マット裏面まで接着剤を浸透させる必要がある。
【0003】
この繊維補強樹脂発泡体複合材の重量を軽減し、接着剤を繊維マットの裏面まで浸透させるためには、繊維マットの目付を小さくすれば良い。しかし、目付が小さくなるほど、繊維マットの繊維同士の絡み合いが少なくなり、又は繊維の分散が不均一になってマットの引張強度が低下する。従って、マットを巻き芯に巻き取った後、このマットを引っ張ってほどき出す時に途中で破断しやすくなるため、作業性が低下するという問題がある。
【0004】
また、軽量のガラス繊維マットとしては、ガラスフィラメントを50〜100本程度束ねた後、連続繊維状態で渦状に堆積させたガラスコンティニアスストランドマットや、ガラスフィラメントを数十本から数百本束ねた後、長さ3〜25mmに切断したガラスチョップドストランドを水中でモノフィラメントに分散させ、抄紙したガラスペーパーが知られている。
しかし、ガラスコンティニアスストランドマットは、その製造効率が低く、価格が高いという問題があり、またガラスペーパーは、成形性が悪く、補強樹脂発泡体複合材としては剛性が不足するという問題がある。
【0005】
これを解決するために、ガラスチョップドストランド同士を結合剤により結合することによって、目付を小さくして軽量化を図るとともに、結合剤の使用量の適正化をはかることによって引張強度を大きくして破断の少ない、作業性に優れたガラスチョップドストランドマットと、これを用いた自動車成形天井材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−229255号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ガラスチョップドストランドマットにおいても、(1)軽量化を必要とする自動車天井成形材等の樹脂発泡体シートの補強材としては、なお目付けが大きく軽量化が不十分である、(2)目付量を考慮すると、このマットの引張強度は十分であるとは言えない、(3)このマットを接着して発泡体シートを補強して、発泡体複合材を製造する場合に、ガラスチョップドストランドが硬すぎて、シートにこれが食い込んで、製品表面に凹凸が発生する等の不都合があった。(4)この繊維マットを廃棄処理する場合の問題も考慮すると上記繊維の適切な選択が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量で、引張強度が大きく且つ柔軟性に優れた繊維マットの製造方法、並びにこの繊維マットを有する樹脂発泡体複合材の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、無機繊維及び天然繊維の少なくとも一方の繊維からなり、目付量が60〜120g/m であり、且つ引張強度が60N以上である繊維マットであって、接触する繊維同士が天然高分子により集束されてなる繊維集束体が互いに接触するように分散配置され、且つこの分散配置された繊維集束体同士の交絡点が結合されている繊維マットを製造する繊維マットの製造方法において、
繊維集束素材同士を結合剤により結合する結合工程と、
該結合工程により得られた結合集束体を押付ローラにて押圧して上記結合集束体の横断面を扁平又は線状とする押圧工程と、を備えることを特徴とする繊維マットの製造方法である。
請求項2の発明は、上記押圧の圧力は0.1〜1.0MPaである請求項1記載の繊維マットの製造方法である。
請求項3の発明は、上記天然高分子が澱粉であり、上記結合剤がアクリル系エマルションである請求項1又は2に記載の繊維マットの製造方法である。
請求項4の発明は、上記結合工程の前に、更に繊維を集束剤により集束させて繊維集束素材を得る集束工程を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維マットの製造方法である。
請求項5の発明は、上記繊維集束素材の繊維を100質量%とした場合に、上記集束剤の付着量が、0.5〜2.0質量%である請求項1ないし4のいずれかに記載の繊維マットの製造方法である。
請求項6の発明は、無機繊維及び天然繊維の少なくとも一方の繊維からなり、目付量が60〜120g/m であり、且つ引張強度が60N以上である繊維マットであって、接触する繊維同士が天然高分子により集束されてなる繊維集束体が互いに接触するように分散配置され、且つこの分散配置された繊維集束体同士の交絡点が結合されている繊維マットと、
該繊維マットに接着形成された樹脂発泡体基材とを備える樹脂発泡体複合材を製造する樹脂発泡体複合材の製造方法において、
繊維集束素材同士を結合剤により結合する結合工程と、
該結合工程により得られた結合集束体を押付ローラにて押圧して上記結合集束体の横断面を扁平又は線状とする押圧工程と、を備えることを特徴とする樹脂発泡体複合材の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)繊維マット
本発明の「繊維マット」は、目付量が60〜120g/mである。好ましくは60以上で80g/m未満であり、より好ましくは60〜78g/m2、更に好ましくは65〜75g/mである。目付量が120g/mを超える場合は、繊維マットは軽量化されず、高価になるためである。また、60g/m未満である場合は、マットの空隙が大きくなり、このマットを樹脂発泡体複合材に使用した場合に樹脂発泡体に対する補強効果が十分でないためである。
【0010】
この繊維マットは、引張強度が60N以上である。好ましくは65N以上であり、より好ましくは70N以上であり、更に好ましくは75N以上である。引張強度が60N未満の場合は、マットを巻き芯に巻き取った後、マットを使用するために引っ張ってほどき出す時に途中で破断しやすくなり、作業性が低下するためである。
上記引張強度とは、引張試験機を用いてチャック間距離150mmで80×250mmのガラス繊維マットを50mm/minの速さで引張り、マットが破断する最大荷重をいう。
【0011】
上記繊維マットを構成する「繊維」は、無機繊維及び天然繊維の少なくとも一方である。この無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。これらのうちでガラス繊維及び炭素繊維が好ましく用いられる。この無機繊維は1種のみ使用しても良いし2種以上を併用することもできる。又、天然繊維としては、麻、綿、しゅろ繊維、ここやし繊維等の植物繊維、絹、羊毛等の動物繊維が挙げられる。これらのうちで麻繊維が好ましく用いられる。この天然繊維は1種のみ使用しても良いし2種以上を併用することもできる。また、無機繊維の1種以上と天然繊維の1種以上を併用することもできる。上記繊維は、マットの使用後の廃棄も考慮して選択する必要がある。この場合は、上記繊維のうちで、炭素繊維及び天然繊維が好ましい。
【0012】
この繊維は通常、数ミクロンから十数ミクロンの繊維を数百〜数千本束ねて繊維集束体とする。
この繊維集束体の平均番手は50〜90テックス(テックスは長さ1000m当りのグラム重量)とすることが好ましく、より好ましくは65〜85テックスである。平均番手が50テックス未満の場合は、この集束体を得るには、直径の非常に小さな繊維を紡糸し、又は集束体1本当たりの繊維の集束本数を少なくする必要があるが、このような無機繊維又は天然繊維を製造する場合、紡糸時に切断しやすく、材料コストの上昇につながるため好ましくない。また、平均番手が90テックスを超える場合は、繊維集束体が太いため、繊維マットを製造する際に集束体の分散が不均一になりやすく、マットの空隙が大きくなり、このマットを樹脂発泡体複合材に使用する場合に樹脂発泡体に対する補強効果が十分でないため好ましくない。
【0013】
上記繊維集束体の長さは特に限定されない。この繊維マットに使用される集束体は、通常得られる集束体を適当な長さに裁断して用いられる。この長さは好ましくは35〜75mm、より好ましくは45〜65mmである。この長さが35mm未満の場合は、裁断された集束体同士の交絡点の数が減少し、結合力が弱くなり、繊維マットの引張強度が低下しやすい。また、75mmを越す場合は、マットを構成する繊維集束体の分散が不均一になりやすく、マットの空隙が大きくなり、樹脂発泡複合材の補強効果が十分でないため好ましくない。
上記繊維集束体は、繊維集束体を他の用途に用いた場合に余剰となった端材であっても良い。環境保全の観点からは、上記端材を用いることが好ましい。
【0014】
この繊維集束体の横断面は扁平又は線状である(図2、図3参照)。繊維集束体の横断面が扁平又は線状であると、繊維集束体同士の交絡点での結合が平面的になり、結合面積が大きくなるため、集束体同士の結合が強固になる。従って、繊維マットの引張強度が大きくなる。また、集束体同士が扁平又は線状に結合されていて、マットも薄く且つ均一な厚さになるため柔軟な繊維マットを得ることができる。
【0015】
この繊維の集束には天然高分子が使用される。この天然高分子とは、合成高分子以外の高分子をいい、天然に存在する高分子自体及びこれを加工して得られる高分子も含む。この天然高分子は無機繊維又は天然繊維を集束できるものであれば特に限定されない。
具体的には、澱粉、デキストリン等及びこれらを加工して得られる澱粉系高分子、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白等及びこれらを加工して得られる蛋白質系高分子及び天然ゴム乳液等が挙げられる。これらのうちで澱粉及び澱粉を加工して得られる加工澱粉が好ましく用いられる。これらの集束剤は単独で用いても良いし、2種以上を使用することもできる。
この集束剤の使用形態は特に限定されない。例えば、糊状、液状、ペースト状、溶液状、及び粉末状等が挙げられる。これらのうちで糊状のものが好ましく用いられる。
【0016】
また、この複数の繊維集束体は、互いに接触するようにマット上に分散され、この分散された繊維集束体同士の交絡点は、結合剤により結合されている。この繊維集束体は繊維マット全体に均一に分散されていることが好ましい。均一に分散されていると、結合された交絡点も繊維マット全体に均一に分散するため引張強度が大きくなる。
【0017】
上記繊維集束体を結合するための結合剤は、この繊維集束体を結合することができるものであれば、特に限定されない。
具体的には、この結合剤として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びエラストマー等が挙げられる。
熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル三元共重合体等の酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体等のアクリル系等のアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体等のスチレン−ブタジエン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12等のポリアミド系樹脂、及びポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びウレタン樹脂等が挙げられる。
【0018】
また、エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体等のスチレン系エラストマー、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマー、1,2−ポリブタジエン等のポリジエン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エストラマー、ポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
これらのうちで、熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、この熱可塑性樹脂のうちで特にアクリル酸エステル(メチル,エチル,プロピル、ブチル、2−ヘキシル等)−スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル系樹脂が好ましく用いられる。この結合剤は、単独で用いてもよいし、相溶性があれば2種以上を使用してもよい。
また、潤滑剤、帯電防止剤等の他の成分を含むことができる。
【0019】
この結合剤の形態は特に限定されない。例えば、エマルション、粉末状、繊維状、シート状、フィルム状及び溶液状等が挙げられる。これらのうちでエマルションが好ましく用いられる。特に熱可塑性樹脂エマルションが好ましく用いられる。
【0020】
(2)繊維マットの製造方法
〔1〕繊維集束素材の製造
上記無機繊維又は天然繊維の集束に用いられる集束剤をこの繊維に塗布した後、多数本の繊維を集束して巻き取る。これを乾燥した後、所定の長さに裁断して本発明の繊維集束素材として用いる。この繊維集束素材への集束剤の付着量は、上記繊維を100質量%とした場合に、0.5〜2.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.4〜1.9質量%、更に好ましくは、0.3〜1.8質量%である。
【0021】
繊維集束素材の繊維を100質量%とした場合に、集束剤の付着量が2.0質量%を超える場合は、繊維が硬く集束しすぎるために、この繊維集束素材を結合剤により結合するときに、繊維集束素材同士の交絡点において、後述する押圧によってつぶれにくい。このため図1に結合状態を模式的に示すように繊維集束素材同士の接触面積が点接触的になりやすく、結合剤による結合力が弱いものとなる。このため、マットの引張強度が小さくなる。また、結合が弱いために繊維集束体が繊維マットから剥がれやすい。そのため、繊維マットの取り扱いが困難となる。
更に無機繊維又は天然繊維集束体が硬すぎて、この繊維マットを樹脂発泡体基材に接着して樹脂発泡体複合材を製造した場合に、集束体が樹脂発泡体基材に食い込んで、製品に凹凸が発生しやすい。
【0022】
また、集束剤の付着量が0.5質量%未満の場合は、無機繊維又は天然繊維が良好に集束しないため、集束素材に毛羽立ちが発生したり、繊維が切断したりして取り扱いが困難になる。更に、繊維集束素材自身の引張強度が小さいため、繊維マットの引張強度も小さくなる。
【0023】
一方、集束剤の付着量が上記範囲内であると、無機繊維又は天然繊維の集束が適度に緩く、繊維集束素材同士を結合剤で結合する場合に、この交絡点において、この繊維集束素材が押圧により押しつぶされて図2、3に示すように容易に扁平又は線状になる。従って、繊維集束体同士の交絡点が面接触的になる。このため、押圧された繊維集束体同士の結合面積が大きくなり結合剤による結合力が大きくなり、その結果引張強度が大きくなる。
【0024】
〔2〕繊維集束素材同士の結合
繊維集束素材同士は、交絡点において前記した結合剤により、結合され、結合集束体となる。この結合は通常加熱して行う。この加熱温度及び加熱時間は熱可塑性樹脂を使用する場合は、少なくともこの熱可塑性樹脂が軟化する温度及び時間であれば特に限定されない。結合剤の種類によって適宜選択することができるが、加熱温度は80〜160℃が好ましく、より好ましくは110〜130℃である。また、加熱時間は好ましくは1〜6分であり、より好ましくは3〜4分である。
上記加熱温度及び加熱時間は、使用する結合剤の軟化温度又は溶融温度が低い場合は、低い温度で通常短時間加熱すればたりる。
【0025】
〔3〕結合集束体の押圧
本製造において、上記結合集束体は押圧される。この結合集束体が押圧により押しつぶされて扁平又は線状となる状態を模式的に図2、3に示す。この押圧の圧力は、結合集束体の横断面を扁平又は線状にさせることができれば良く特に限定されない。繊維集束素材に使用されている集束剤の種類、量及び製造条件並びに集束体の番手等によって適宜選択することができる。この圧力は好ましくは0.1〜1.0MPaであり、より好ましくは0.25〜0.5MPaである。
【0026】
0.1MPa未満である場合は、この押圧で結合集束体を押し潰して繊維集束体を扁平又は線状にするのが困難な場合がある。また、1.0MPaを越える場合は、集束体が潰れすぎて、開繊してしまうことがあるため好ましくない。
この圧力は、繊維集束素材に使用される集束剤の量が多い場合は通常大きく、集束剤の量が少ない場合は通常小さくできる。また、繊維集束素材に使用される集束剤の種類により結合集束体が硬い場合は通常大きく、柔らかい場合は通常小さくできる。
また、この押圧は、前記結合剤が,軟化又は溶融している間に行うことができるし、十分に軟化または溶融していない場合であっても、繊維集束体素材の横断面を扁平または線状にすることができる。また、加熱後に押圧しても、良いし押圧後に加熱しても良いし、又は、加熱しつつ押圧しても良い。
【0027】
上記押圧によって、図2、3に示すように、押圧された繊維集束体の横断面は扁平又は線状となる。上記結合剤は押圧された繊維集束体同士を交絡点で平面的に結合し、繊維マットを成形する。その後、このマットは自然冷却又は、通常用いられる強制冷却手段を用いて冷却されて製品となる。この繊維マットは、繊維集束体同士の交絡点が平面的に結合して、結合が強固になるためマットの引張強度が大きくなると共に繊維集束体の横断面が扁平又は線状であるため繊維マットの厚さが薄く且つ均一となるためこの繊維マットは柔軟になる。従って,このマットは、巻取機に容易に巻き取ることができる。
【0028】
(3)繊維マットを用いた樹脂発泡体複合材
この樹脂発泡体複合材は、用途や目的に応じた形状とすることができる。例えば、シート状、板状及び直方体状等とすることができる。樹脂発泡体複合材をシート状にした場合の模式横断面を図7に示す。
この樹脂発泡体複合材は、樹脂発泡体基材の少なくとも一方の面に前記繊維マットを接着すると軽量且つ強度特性の優れた樹脂発泡体複合材が得られる。樹脂発泡体基材は樹脂を発泡したものであれば特に限定されない。具体的には、ウレタン等のウレタン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ABS等のアクリル−ブタヂエン−スチレン共重合樹脂及びスチロール等のスチレン系樹脂の発泡体が挙げられる。これらのうちで発泡ウレタンが好ましく用いられる。
【0029】
また、この繊維マットを接着するための接着剤は特に限定されない。通常使用される接着剤を使用することができる。例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂及びポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂接着剤、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂及びウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂接着剤、天然ゴム系、ポリウレタン系等のエラストマー接着剤が使用できる。これらのうちで、特にエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性接着剤が好ましく用いられる。また、接着方法も、加熱、加圧等の接着剤に適した方法を適宜選択できる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
(1)ガラス繊維マットの作成
〔1〕実施例1
澱粉を集束剤として使用し、この集束剤の付着量が繊維集束素材に対して1.5質量%(固形換算)であり、番手が72テックスであるガラスストランドを予め55mmの長さに裁断し(以下「チョップドストランド」という)、1000g/minずつ図6に示すチャンバー71中のかご72に送り込んだ。チャンバー71の底部には、第一の搬送コンベア73が配置され、カゴ72の振動によりコンベア上に目付けが70g/mになるように均一にチョップドストランドを分散させた。このシート状に堆積したチョップドストランドをチャンバー71の外へ搬送し、次の第二コンベア74に搬送した。
【0031】
第二搬送コンベア74上で移動するチョップドストランド上に散布機75によって結合剤としてアクリル系エマルションを、ガラスチョップドストランドを100質量%とした場合に10質量%(固形分換算)となるように均一にスプレーした後、次の第三搬送コンベア77に搬送した。
第三搬送コンベア77の途中には、加熱炉78、押付ローラ79が配置されている。上記エマルションが散布されたチョップドストランドのシート状堆積物を、加熱炉78中に移動させて100℃で3分間加熱しつつ、押付ローラ79により0.3MPaで押圧した。これを自然冷却し厚さ0.3mmのガラス繊維マット80が得た。
その後、巻き取り機81によって巻き取った。このガラス繊維マットを80×250mmに切り取って試料1とした。
この試料1の複写物を図4に示す。
【0032】
〔2〕比較例1
上記集束剤として熱硬化性エポキシ樹脂を使用し、この集束剤の使用量が1.5質量%(固形換算)であること以外は、実施例1と同様な方法で試料2を得た。
この試料2の複写物を図5に示す。
【0033】
(2)物性の評価方法
〔1〕引張強度:
引張強度試験機(島津製作所製、型式「AGS−5kND」)を用いて、80×250mm(チャック間150mm)の試料1及び2の各試料を、引張速度を50mm/minで測定して、破断したところを引張強度とした。
〔2〕目付の測定:
JIS R 3420に基づいて測定した。
〔3〕集束剤の付着量の測定:
JIS R 3420に基づいて強熱減量を測定し、
[(強熱前重量−強熱後重量)/強熱前重量]×100の計算式で求めた。
【0034】
(3)各試料の物性値
こうして得られた試料1及び2の引張強度を測定したところ、試料2が51.1Nに対して、試料1は82.5Nであった。
また、得られたガラス繊維マットの目付は各試料とも70g/mであった。
【0035】
(4)実施例の効果
実施例1も比較例1も共に目付が70g/mであるのに、比較例1(集束剤として熱硬化性樹脂を使用したもの)は、引張強度が51.1Nであるのに対して、実施例1は、82.5Nである。これは比較例1の値に対して62%も大きい。従って、この実施例1のガラス繊維マットは、優れた引張強度を有することが判る。
【0036】
比較例1は集束剤が熱硬化性樹脂であるため、この集束体を結合剤で結合したときに押圧したものの、この押圧によって、繊維集束体の横断面が扁平又は線状にならないために、その状態を模式的に示す図1のように、交絡点が点接触的になっていると考えられる。これは比較例の試料2を複写した図5からも確認できる。このことからも引張強度が小さいことが判る。
【0037】
これに対して実施例1は、接触するガラス繊維同士を澱粉系集束剤で集束し、その使用量も適切であるため、この集束体同士を結合剤で結合したときの押圧で、その状態を模式的に示す図2のように押付ローラの0.3MPaの押圧によりつぶれて、この集束体の横断面が線状となって、繊維集束体の結合が平面的になされていると考えられる。これは実施例の試料1を複写した図4からも確認できる。このことからも引張強度が大きいことが判る。
【0038】
【発明の効果】
本発明の製造方法により製造される繊維マットは、軽量で、引張強度が大きく、且つ柔軟である。
この繊維マットの繊維をガラス繊維とする場合は、更に、軽量で、引張強度が大きく、且つ柔軟である。
繊維集束体の横断面が扁平又は線状であ、集束体は交絡点において平面的に結合されるため、この無機繊維及び天然繊維マットは特に引張強度が大きく、柔軟性に富む。
また、本発明の製造方法によれば、繊維集束体同士の結合力が大きく、軽量で、引張強度の大きく、且つ柔軟な繊維マットを得ることができる。
上記繊維マットの製造方法において、更に繊維を集束剤により集束させて繊維集束素材を得る集束工程を上記結合工程の前に備える場合は、容易に所望の繊維集束素材を得ることができる。
更に、上記繊維マットの製造方法において、繊維集束素材の繊維を100質量%とした場合に、該繊維集束素材への集束剤の付着量が、0.5〜2.0質量%である集束体を用いると、集束体が容易に押し潰され、集束体の横断面が扁平又は線状になるため、集束体同士の結合力が大きく、引張強度の大きく且つ柔軟性のある繊維マットが得られる。
また、本発明の製造方法により製造される樹脂発泡体複合材は、軽量で、強度が大きく、製造容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 押圧によって繊維集束体の横断面が扁平又は線状にならない場合の集束体の結合状態を模式的に示した図である。
【図2】 押圧によって繊維集束体の横断面が扁平になった場合の集束体の結合状態を模式的に示した図である。
【図3】 押圧によって繊維集束体の横断面が線上になった場合の集束体の結合状態を模式的に示した図である。
【図4】 実施例1で製造したガラス繊維マットの複写物で示す説明図である。
【図5】 比較例1で製造したガラス繊維マットの複写物で示す説明図である。
【図6】 繊維マットの製造装置の模式図である。
【図7】 樹脂発泡体複合材の横断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1:繊維マット、1a、1b:繊維集束体、11a、11b:繊維、2;繊維集束体、2a、2b:繊維集束体、21a、21b:繊維、3;樹脂発泡体複合材、31:発泡体基材、32a:上部繊維マット層、32b:下部繊維マット層、7:繊維マット製造装置、71:チャンバー、72:カゴ、73:第一搬送コンベア、74:第二搬送コンベア、75:散布機、76:エマルション、77:第三搬送コンベア、78:加熱炉、79:押付ローラ、80:繊維マット、81:巻取機

Claims (6)

  1. 無機繊維及び天然繊維の少なくとも一方の繊維からなり、目付量が60〜120g/m であり、且つ引張強度が60N以上である繊維マットであって、接触する繊維同士が天然高分子により集束されてなる繊維集束体が互いに接触するように分散配置され、且つこの分散配置された繊維集束体同士の交絡点が結合されている繊維マットを製造する繊維マットの製造方法において、
    繊維集束素材同士を結合剤により結合する結合工程と、
    該結合工程により得られた結合集束体を押付ローラにて押圧して上記結合集束体の横断面を扁平又は線状とする押圧工程と、を備えることを特徴とする繊維マットの製造方法。
  2. 上記押圧の圧力は0.1〜1.0MPaである請求項1記載の繊維マットの製造方法。
  3. 上記天然高分子が澱粉であり、上記結合剤がアクリル系エマルションである請求項1又は2に記載の繊維マットの製造方法。
  4. 上記結合工程の前に、更に繊維を集束剤により集束させて繊維集束素材を得る集束工程を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維マットの製造方法。
  5. 上記繊維集束素材の繊維を100質量%とした場合に、上記集束剤の付着量が、0.5〜2.0質量%である請求項1ないし4のいずれかに記載の繊維マットの製造方法。
  6. 無機繊維及び天然繊維の少なくとも一方の繊維からなり、目付量が60〜120g/m であり、且つ引張強度が60N以上である繊維マットであって、接触する繊維同士が天然高分子により集束されてなる繊維集束体が互いに接触するように分散配置され、且つこの分散配置された繊維集束体同士の交絡点が結合されている繊維マットと、
    該繊維マットに接着形成された樹脂発泡体基材とを備える樹脂発泡体複合材を製造する樹脂発泡体複合材の製造方法において、
    繊維集束素材同士を結合剤により結合する結合工程と、
    該結合工程により得られた結合集束体を押付ローラにて押圧して上記結合集束体の横断面を扁平又は線状とする押圧工程と、を備えることを特徴とする樹脂発泡体複合材の製造方法。
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