JP4062384B2 - ホイールダンパ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二輪車における駆動力伝達機構等において、トルクを円滑に伝達するために用いられるホイールダンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図3ないし図5に示すように、ハブ51とホイール52との間の装着空間53に装着される、軸方向から見て略扇形を呈するホイールダンパ54が知られているが、この従来のホイールダンパ54はゴム状弾性材製の単品よりなる所謂ラバーオンリー品である。
【0003】
したがって、このホイールダンパ54に駆動力荷重が入力すると、このホイールダンパ54が周方向だけではなく軸方向にも弾性変形し、ハブ51とホイール52とを互いに離れるように押す方向すなわち軸方向の押圧荷重を発生させ、この軸方向への発生荷重によって、ホイールダンパ54の周辺に配置されるベアリングやハブ51の止め部等に破損をもたらすことがあると云う不都合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、ホイールダンパに荷重が入力したときにゴム状弾性材が軸方向に大きく弾性変形するのを抑えることができ、もってこの弾性変形により大きな軸方向荷重が発生するのを抑えることが可能なホイールダンパを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるホイールダンパは、ハブとホイールとの間の装着空間に装着されるホイールダンパであって、所定のバネ定数を備えたゴム状弾性材製のダンパ本体を有し、前記ダンパ本体は、互いに周方向に並べられた比較的大振りな扇形の分割部分と比較的小振りな扇形の分割部分とを連結部を介して連結した形状を有し、荷重入力時における前記ダンパ本体の軸方向への変形を制限する金属または樹脂製の保形部材が前記ダンパ本体内に設けられ、前記保形部材は前記ダンパ本体を周方向に仕切るように配置されるとともにその軸方向長さを前記ダンパ本体の軸方向長さと同じとされてその軸方向端面がダンパ本体の軸方向端面に対し面一状をなしていることを特徴とするものである。
【0007】
上記構成を備えた本発明の請求項1によるホイールダンパのように、荷重入力時におけるゴム状弾性材製のダンパ本体の軸方向への変形を制限する金属または樹脂製の保形部材がダンパ本体内に設けられると、この保形部材による保形作用ないしスペーサ作用により、当該ホイールダンパに荷重が入力したときにゴム状弾性材製のダンパ本体が軸方向に大きく弾性変形するのを抑えることが可能となる。そして、このような保形機能ないしスペーサ機能を十分に発揮し、なおかつ適切なダンパ機能を発揮するには、保形部材をダンパ本体を周方向に仕切る仕切り板のように形成するのが好適であり、換言すると、保形部材はダンパ本体を周方向に仕切るように配置されるとともにその軸方向長さをダンパ本体の軸方向長さと同じとされてその軸方向端面がダンパ本体の軸方向端面に対し面一状をなしているのが好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0009】
第一実施例・・・
図1は、当該実施例に係るホイールダンパ1を単品状態で示しており、同図(A)は同ダンパ1を軸方向一方から見た正面図、同図(B)は同図(A)におけるA−A線断面図である。
【0010】
当該実施例に係るダンパ1は先ず、所定のバネ定数を備えたゴム状弾性材製のダンパ本体2を有しており、このダンパ本体2が、互いに周方向に並べられた符号2aで示す分割部分と、符号2bで示す分割部分とに分けられて連結部2cをもって互いに連結されている。両分割部分2a,2bは、当該ダンパ1がハブ51とホイール52の間の装着空間53に装着されるときに、当該ダンパ1をハブ51側の周方向仕切り壁51aとの間で周方向に圧縮すべくホイール52の内部に予め設けられた周方向仕切り壁52a(何れも図3参照)の周方向両側に配置されるものであり、よって両部分2a,2bの間には、ホイール52側の周方向仕切り壁52aがちょうど嵌まり込むような所定の間隔を備えた溝状ないし隙間状の空間2dが設けられている(この隙間状空間2dの長手方向(図1(A)における上下方向)がハブ51、ホイール52および当該ダンパ1における径方向であり、図1(A)における左右方向がハブ51、ホイール52および当該ダンパ1における周方向であり、また図1(A)における紙面直交方向がハブ51、ホイール52および当該ダンパ1における軸方向である)。当該ダンパ1は装着空間53に複数が周方向に並べられて同時装着されるように、軸方向からこれを見て全体におよび部分2a,2bごとに扇形ないし略扇形に形成されている。
【0011】
上記したように、この種のダンパ1には一般に、駆動力荷重が入力したときにダンパ1が周方向だけでなく軸方向にも弾性変形し、ハブ51とホイール52を押す方向すなわち軸方向の押圧荷重を発生させ、この軸方向に発生した荷重によって、ダンパ1の周辺に配置されるベアリングやハブ51の止め部等に破損をもたらす不都合があるが、当該ダンパ1は、これを防止すべく以下の構成を備えている。
【0012】
すなわち、荷重入力時におけるダンパ本体2の軸方向への弾性変形を所定量までに制限ないし抑止する金属または樹脂製の保形部材3がダンパ本体2内に所要数設けられており、この保形部材3が、ダンパ本体2を周方向に仕切る仕切り板としてダンパ本体2に所要数埋設されている。図の例では、上記したように周方向に二分割されたダンパ本体2のうち、比較的大振りな符号2aの部分の内部に保形部材3が三枚配置されてゴム状弾性材が周方向に四分割されるとともに、比較的小振りな符号2bの部分の内部に保形部材3が一枚配置されてゴム状弾性材が周方向に二分割されている。保形部材3は何れも平板状に形成されて上記隙間状空間2dに対して平行に配置されている。また、この保形部材3は何れも十分な保形作用ないしスペーサ作用を奏するように、その軸方向長さをダンパ本体2の軸方向長さと同じとされており、その軸方向端面はそれぞれダンパ本体2の軸方向端面に対して面一状をなしている。また、金属または樹脂製の保形部材3とゴム状弾性材製のダンパ本体2とは、インサート成形の実施等によって互いに加硫接着されることにより一体化されている。
【0013】
そして、このように、荷重入力時におけるダンパ本体2の軸方向への弾性変形を所定量までに制限ないし抑止する剛材製の保形部材3がダンパ本体2内に設けられていると、この保形部材3による保形作用ないしスペーサ作用によって、荷重入力時におけるダンパ本体2の軸方向への弾性変形が少なく抑えられ、軸方向への発生荷重が少なく抑えられる。したがって、この軸方向への発生荷重によって、当該ダンパ1の周辺に配置されるベアリングやハブ51の止め部等が破損するのを未然に防止することができる。また、当該ダンパ1の製作に際して、保形部材3の厚さ、形状、材質、設置数、設置間隔または設置方向等を適宜変更すれば、当該ダンパ1の各方向についてのバネ定数を任意に変更することも可能となる。
【0014】
第二実施例・・・
図2は、当該実施例に係るホイールダンパ1を単品状態で示しており、同図(A)は同ダンパ1を軸方向一方から見た正面図、同図(B)は同図(A)におけるB−B線断面図である。
【0015】
当該実施例に係るダンパ1は先ず、所定のバネ定数を備えたゴム状弾性材製のダンパ本体2を有しており、このダンパ本体2が、互いに周方向に並べられた符号2aで示す部分と、符号2bで示す部分とに分けられて、連結部2cをもって互いに連結されている。両部分2a,2bは、当該ダンパ1がハブ51とホイール52の間の装着空間53に装着されるときに、当該ダンパ1をハブ51側の周方向仕切り壁51aとの間で周方向に圧縮すべくホイール52の内部に予め設けられた周方向仕切り壁52a(何れも図3参照)の周方向両側に配置されるものであり、よって両部分2a,2bの間には、ホイール52側の周方向仕切り壁52aがちょうど嵌まり込むような所定の間隔を備えた溝状ないし隙間状の空間2dが設けられている(この隙間状空間2dの長手方向(図2(A)における上下方向)がハブ51、ホイール52および当該ダンパ1における径方向であり、図2(A)における左右方向がハブ51、ホイール52および当該ダンパ1における周方向であり、また図2(A)における紙面直交方向がハブ51、ホイール52および当該ダンパ1における軸方向である)。当該ダンパ1は装着空間53に複数が周方向に並べられて同時装着されるように、軸方向からこれを見て全体におよび部分2a,2bごとに扇形ないし略扇形に形成されている。
【0016】
上記したように、この種のダンパ1には一般に、駆動力荷重が入力したときにダンパ1が周方向だけでなく軸方向にも弾性変形し、ハブ51とホイール52を押す方向すなわち軸方向の押圧荷重を発生させ、この軸方向に発生した荷重によって、ダンパ1の周辺に配置されるベアリングやハブ51の止め部等に破損をもたらす不都合があるが、当該ダンパ1は、これを防止すべく以下の構成を備えている。
【0017】
すなわち、荷重入力時におけるダンパ本体2の軸方向への弾性変形を所定量までに制限ないし抑止する金属または樹脂製の保形部材3がダンパ本体2内に所要数設けられており、この保形部材3が、ダンパ本体2を周方向に仕切る仕切り板としてダンパ本体2に所要数埋設されている。図の例では、上記したように周方向に二分割されたダンパ本体2のうち、比較的大振りな符号2aの部分および比較的小振りな符号2bの部分の双方ともそれぞれ、内部に保形部材3が一枚ずつ配置されてゴム状弾性材が周方向に二分割されている。保形部材3は何れも平板状に形成されて上記隙間状空間2dに対して平行に配置されており、なおかつ軸方向両端部にそれぞれダンパ本体2の軸方向端面と平行な平面部3aを備えて断面形状をI字形ないし略I字形に形成されている。また、この保形部材3は何れも十分な保形作用ないしスペーサ作用を奏するように、その軸方向長さをダンパ本体2の軸方向長さよりも僅かに長く形成されており、その軸方向端面(上記平面部3aの平端面)はそれぞれその肉厚の半分ほど、ダンパ本体2の軸方向端面よりも軸方向に突出している。また、金属または樹脂製の保形部材3とゴム状弾性材製のダンパ本体2とは、インサート成形の実施等によって互いに加硫接着されることにより一体化されている。
【0018】
そして、このように、荷重入力時におけるダンパ本体2の軸方向への弾性変形を所定量までに制限ないし抑止する剛材製の保形部材3がダンパ本体2内に設けられていると、この保形部材3による保形作用ないしスペーサ作用によって、荷重入力時におけるダンパ本体2の軸方向への弾性変形が少なく抑えられ、軸方向への発生荷重が少なく抑えられる。したがって、この軸方向への発生荷重によって、当該ダンパ1の周辺に配置されるベアリングやハブ51の止め部等が破損するのを未然に防止することができる。また、当該ダンパ1の製作に際して、保形部材3の厚さ、形状、材質、設置数、設置間隔または設置方向等を適宜変更すれば、当該ダンパ1の各方向についてのバネ定数を任意に変更することも可能となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0020】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1によるホイールダンパによれば、ゴム状弾性材製のダンパ本体内に配置された剛材製の保形部材による保形作用ないしスペーサ作用によって、荷重入力時におけるダンパ本体の軸方向への弾性変形を少なく抑えることができ、これにより軸方向への発生荷重を少なく抑えることができる。したがって、この軸方向への発生荷重によって、当該ダンパの周辺に配置されるベアリングやハブの止め部等が破損するのを未然に防止することができる。また、当該ダンパの製作に際して、上記保形部材の厚さ、形状、材質、設置数、設置間隔または設置方向等を適宜変更することにより、当該ダンパの各方向についてのバネ定数を任意に変更することもできる。
また、保形部材がダンパ本体を周方向に仕切るように配置されるとともにその軸方向長さをダンパ本体の軸方向長さと同じとされてその軸方向端面がダンパ本体の軸方向端面に対し面一状をなしていることから、保形部材は保形機能ないしスペーサ機能を十分に発揮し、なおかつ当該ダンパは適切なダンパ機能を発揮する
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第一実施例に係るホイールダンパの正面図、(B)は同図(A)におけるA−A線断面図
【図2】(A)は本発明の第二実施例に係るホイールダンパの正面図、(B)は同図(A)におけるB−B線断面図
【図3】ホイールダンパの装着使用例を示す駆動力伝達系の分解斜視図
【図4】同駆動力伝達系の一部切欠した正面図
【図5】図4におけるC−O−C線断面図
【符号の説明】
1 ホイールダンパ
2 ダンパ本体
2a,2b 分割部分
2c 連結部
2d 隙間状空間
3 保形部材
3a 平面部
51 ハブ
51a,52a 周方向仕切り壁
52 ホイール
53 装着空間
Claims (1)
- ハブとホイールとの間の装着空間に装着されるホイールダンパ(1)であって、
所定のバネ定数を備えたゴム状弾性材製のダンパ本体(2)を有し、
前記ダンパ本体(2)は、互いに周方向に並べられた比較的大振りな扇形の分割部分(2a)と比較的小振りな扇形の分割部分(2b)とを連結部(2c)を介して連結した形状を有し、
荷重入力時における前記ダンパ本体(2)の軸方向への変形を制限する金属または樹脂製の保形部材(3)が前記ダンパ本体(2)内に設けられ、
前記保形部材(3)は前記ダンパ本体(2)を周方向に仕切るように配置されるとともにその軸方向長さを前記ダンパ本体(2)の軸方向長さと同じとされてその軸方向端面がダンパ本体(2)の軸方向端面に対し面一状をなしていることを特徴とするホイールダンパ。
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