JP4062228B2 - 直流電動機の駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、永久磁石を備えた回転子と電機子巻線を備えた固定子とからなる電動機の駆動装置に関し、特に固定子の巻線に誘起される電圧から回転子の位置検知を行うようにした位置センサレス方式の駆動装置において、周期的に大きな負荷変動がある場合でも対応可能とした直流電動機の駆動装置に関するものである。
回転子に永久磁石を装着し、固定子に電機子巻線を組み込んでなる直流ブラシレス電動機は、交流電動機のように回転子巻線に電流が流れることに起因する二次銅損の問題が無いことから、高効率のモータとして種々の用途に用いられている。このような直流ブラシレス電動機は、交流モータに比べて数十kW以下の中小容量範囲で特に効率改善効果が大きく、例えばインパクトレンチやインパクトドライバーなどのインパクト回転工具の駆動系に用いられている。
図16は、このようなブラシレス型の直流電動機の駆動装置10の構成を示すブロック図である。この駆動装置10は、直流電源2、インバータ回路3、位置検出回路4、及び制御回路50を備える。インバータ回路3は、ブリッジ結線された6個のスイッチング素子31とそのドライブ回路32とを有し、ドライブ回路32にて前記スイッチング素子31をオンオフ制御することで、直流電源2から供給される直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する。さらに前記ドライブ回路32は、前記スイッチング素子31をPWM(パルス幅変調)制御して電動機Mの電機子巻線(固定子巻線)MCへの印加電圧を調整する。位置検出回路4は、通電されていない開放相の固定子巻線MCの誘起電圧と、指令回転速度に応じた基準電圧とを比較することで、回転子MRの磁極位置を検出し、その検出位置に応じた位置検出信号を発生して制御回路50へ送信する。制御回路50は、前記位置検出信号に基づいて、いずれの固定子巻線MCに如何なる電圧を印加するかにつき、ドライブ回路32に対して指令を与える。
このような駆動回路により電動機Mへ駆動電圧が与えられ、電動機Mの永久磁石回転子MRが回転駆動されるのであるが、その速度制御は次のようになされる。すなわち、かかるブラシレス直流電動機Mの運転時において、位置検出回路4は通電されていない開放相の固定子巻線MCの端子電圧(Vu,Vv,Vwのいずれか)と基準電圧との比較結果に変化が生じたタイミングで回転子MRの磁極位置を検出する。そして制御回路50は該位置検出の間隔から実際の速度(検出速度)を検出し、両者に差異が存在する場合は、前記検出速度と指令速度とを一致させるために、速度制御演算を行って必要な制御電圧を求め、インバータ回路3を制御して所要の電圧を固定子巻線MCへ印加して指令速度に復帰させるものである。
特開平1−126190号公報
ところで、開放相の固定子巻線MCの誘起電圧に基づいて磁極の位置検出を行う方法にあっては、該誘起電圧の大きさは回転速度と比例関係にあるため、もし回転子が停止してしまった場合は、もはや回転子の磁極位置を検知できないことになる。従って、インパクト回転工具のように負荷が周期的に変動するものである場合、急激に負荷が増大し、これに速度制御機能の応答が追従できない場合には電動機Mが一瞬停止してしまうことがあるが、このような停止が生じると、前記の誘起電圧に基づく位置検出が行えなくなり、脱調してしまうという不都合があった。
図17はこのような事象を説明するためのタイミングチャートである。図17(a)は負荷を、(b)は固定子巻線MCへ流れる電流(電動機電流)を、(c)は回転子MRの回転速度を、(d)はインバータ回路3による印加電圧を、それぞれ経時的に変動状態を示している。いま時刻Tc1において負荷が増大すると、回転速度が低下するため、速度制御機能が動作して固定子巻線電流と印加電圧とが上昇して回転速度を指令速度に復帰させようとする。次いで時刻Tc2において負荷が急激に減少すると、回転速度は負荷が軽くなった分だけ急激に上昇し過速度状態となるので、これを指令速度に復帰させるために印加電圧を急減に低下させてついには零電圧とし、固定子巻線には負方向の電流を発生させ(時刻Tc3)、減速トルクを生じさせる。しかる後、時刻Tc4において再び負荷が急激に増加した場合、回転速度は急激に低下すると共に印加電圧は再び急上昇するのであるが、この段階で固定子巻線電流は減速トルクを発生すべく負方向の電流が流れていることから、負荷の増加への追従が遅れてしまい、これにより回転子の回転速度の上昇も遅れ、負荷の増加に抗しきれずに停止してしまう(時刻Tc5)のである。一旦脱調が生じると、該電動機Mの速度制御が不能になり再起動動作が必要となることから、かかる脱調が生じない直流電動機の駆動装置の開発が望まれていた。
本発明はこのような要請に鑑みてなされたもので、運転中に負荷が大きく変動する場合でも、脱調が生じることなく直流電動機を駆動可能とする、位置センサレス方式の直流電動機の駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第一の手段にかかる直流電動機の駆動装置は、永久磁石を備えた回転子と電機子巻線を備えた固定子とからなる電動機と、該電動機に交流電圧を印加するインバータ回路と、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、該速度検出手段が検出した速度と指令速度との差に基づいて前記インバータ回路により印加される電圧を制御する電圧制御手段とを具備すると共に、前記固定子の巻線に誘起される電圧から前記回転子の位置検知を行うようにした位置センサレス方式の直流電動機の駆動装置において、前記電動機の電機子巻線に流れる電動機電流を検出する電流検出手段と、前記インバータ回路による印加電圧の最低電圧値を設定する電圧設定手段と、前記電流検出手段が検出した電流値に基づいて、負荷が小さく且つ一定である第1の状態と、負荷が周期的に変動する第2の状態との別を判定し、前記第2の状態のときは前記電圧設定手段による前記最低電圧値が設定された状態とする一方で、前記第1の状態のときは前記電圧設定手段による前記最低電圧値の設定が解除された状態とする負荷状態判定手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明の第一の手段にかかる直流電動機の駆動装置においては、以下の実施態様構成を含む。請求項1において、前記負荷状態判定手段は、前記電流検出手段が検出した電流値が一定値を超過し、且つ該電流値が増加から減少に転じたときを起算点として、前記電圧設定手段による最低電圧値の設定を一定期間継続することを特徴とする(請求項)。
請求項1において、インバータ回路による印加電圧の最大電圧値を設定する第二の電圧設定手段を追加して設け、前記負荷状態判定手段は、前記電流検出手段が検出した電流値が一定値を超過し、且つ該電流値が増加から減少に転じたときを起算点として、前記第二の電圧設定手段による最大電圧値の設定を一定期間継続することを特徴とする(請求項)。
請求項2又は3において、前記位置信号に基づいて回転子の回転角度を検出して角度信号を生成する回転角度検出回路を設け、前記負荷状態判定手段は、前記起算点から、前記角度信号に基づいて回転角度のカウントを開始し、所定の回転角度に達するまでの間、前記電圧設定手段による最低電圧値の設定、若しくは前記第二の電圧設定手段による最大電圧値の設定を継続することを特徴とする(請求項)。
請求項1〜のいずれかにおいて、負荷変動量の大小に応じて、前記電圧設定手段により設定される最低電圧値、若しくは前記第二の電圧設定手段により設定される最大電圧値の少なくとも一方を変化させるよう構成したことを特徴とする(請求項)。
本発明の第二の手段にかかる直流電動機の駆動装置は、永久磁石を備えた回転子と電機子巻線を備えた固定子とからなる電動機と、該電動機に交流電圧を印加するインバータ回路と、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、該速度検出手段が検出した速度と指令速度との差に基づいて前記インバータ回路により印加される電圧を制御する電圧制御手段とを具備すると共に、前記固定子の巻線に誘起される電圧から前記回転子の位置検知を行うようにした位置センサレス方式の直流電動機の駆動装置において、前記電動機の電機子巻線に流れる電動機電流を検出する電流検出手段と、前記インバータ回路による印加電圧の最低電圧値を設定する第一の電圧設定手段と、前記インバータ回路による印加電圧の最大電圧値を設定する第二の電圧設定手段と、前記電流検出手段が検出した電流値に基づいて、負荷が小さく且つ一定である第1の状態と、負荷が周期的に変動する第2の状態との別を判定し、前記第2の状態のときは前記第一の電圧設定手段による前記最低電圧値が設定された状態とする一方で、前記第1の状態のときは前記第一の電圧設定手段による前記最低電圧値の設定が解除された状態とすると共に、前記第2の状態において負荷の減少期には第二の電圧設定手段による前記最大電圧値が設定された状態とする負荷状態判定手段と、を備えることを特徴とする(請求項6)。
本発明直流電動機の駆動装置によれば、インバータ回路による印加電圧の最低電圧値が定められることになるので、常時、つまり負荷が軽い場合でも、インバータ回路は少なくとも前記最低電圧値の電圧を発生し続けている。従って、急激に負荷が増大した場合でも、インバータ回路が発生する電圧の変動分を比較的少なくできることから、従来のように急激な負荷変動に追従できずに電動機が停止してしまうことがなく、而して開放相の固定子巻線の誘起電圧に基づいた磁極の位置検出を行うことができ、かかる位置検出信号に基づいて速度制御を継続して行うことができる。
さらに、負荷の変動を予めある程度予測してインバータ回路の印加電圧を制御する構成であるので、位置センサレス方式において誘起電圧のゼロクロス位置を利用した分解能の低い速度検出手段を採用しても十分対応が可能となり、速度制御回路の簡素化を図ることができ、またかかる簡素化により速度制御演算用に高速制御演算素子を用いる必要性がなくなり、当該駆動装置のコストダウンが図りうる等の優れた効果を奏する。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の一実施形態にかかる直流電動機の駆動装置1の構成を示すブロック図、図2は図1における制御回路5の構成を示すブロック図をそれぞれ示している。本実施形態にかかる駆動装置1は、直流電源2、インバータ回路3、位置検出回路4、電圧制御手段としての制御回路5及び電流検出回路(電流検出手段)6を備える。先に説明した図16に示した駆動回路10とは、電流検出回路6を付加した点と、制御回路5が前記電流検出回路6の出力を取り込んだ上でインバータ回路3の制御を行う点で相違する。以下、これらの点につき詳述する。
電流検出回路6は、直流電源2の出力端とインバータ回路3の入力端との間に介在され、インバータ回路3を通して、電動機Mの固定子巻線MCに流れる電流(以下単に電動機電流と言う)を検出し、その電流信号を制御回路5へ送信する。
制御回路5は、速度設定回路51、速度制御回路52、及び速度検出回路(速度検出手段)54を備え、位置センサを用いない位置センサレス方式による位置検出回路4からの信号に基づいて、永久磁石回転子MRの回転速度を制御する点で従来と同様であるが、本実施例装置ではさらに、前記電流検出回路6の電流信号に基づいて動作する平均電流検出回路561、負荷状態判定回路562、及びインバータ回路3により印加される電圧を制御する電圧制御手段としての最低電圧制限回路53を備えている点に特徴を有する。
前記速度設定回路51は、外部に設置された操作ボリューム等によって設定される回転速度に関する操作量を、現状で与えられている指令速度信号として速度制御回路52へ出力する。一方速度検出回路54は、位置検出回路4が通電されていない開放相の固定子巻線MCの端子電圧と基準電圧との比較によって検出した回転子MRの磁極位置に関する位置信号に基づいて演算を行い、回転子MRの実際の速度を検出して検出速度信号を生成する。前記速度設定回路51による指令速度信号と速度検出回路54による検出速度信号とは速度制御回路52へ入力され、速度制御回路52はこれらの信号に基づき、指令速度と検出速度との偏差をゼロにするために必要な、インバータ回路3による印加電圧の変動分を加味した指令電圧を演算し、これに応じた指令電圧信号を生成する。この指令電圧信号は、インバータ回路3のドライブ回路32へ向けて出力され、ドライブ回路32によりかかる制御信号に応じて変化された出力電圧が、固定子巻線MCへ印加される。
前記平均電流検出回路561には、前記電流検出回路6から出力された電流信号が入力され、平均電流検出回路561はその電流値の時間積算をして平均化処理を行い、平均電流信号を生成して負荷状態判定回路562へ出力する。負荷状態判定回路562は、しきい値となる基準電流値が設定されており、該基準電流値と平均電流検出回路561から入
力されて来る平均電流信号の電流値とを比較し、平均電流信号の電流値の方が基準電流値を上回った場合に、後述の最低電圧制限回路53に対する動作指令となる判定信号Aを生成して出力する。一方、基準電流値の方が大きい場合は、最低電圧制限回路53に対する停止指令となる判定信号Bを生成して出力する。
最低電圧制限回路53には、前記速度制御回路52からの指令電圧信号と、前記判定信号A若しくは判定信号Bと、最低電圧入力部531から与えられる最低電圧信号とが入力される。動作指令となる判定信号Aが負荷状態判定回路562から入力されている場合は、インバータ回路3の出力電圧、すなわち固定子巻線MCへの印加電圧が、最低電圧入力部531から与えられている一定の最低電圧値以下に低下しないよう、前記指令電圧信号の変動に制限を加える。つまり、本来の速度制御機能に基づくならばより低電圧にすべきところを、一定の最低電圧値以下に電圧値が低下しないよう前記指令電圧信号を補正する。この補正された指令電圧信号は、制限指令電圧信号としてインバータ回路3へ出力される。
一方、停止指令となる判定信号Bが負荷状態判定回路562から入力されている場合は、前記最低電圧制限回路53は事実上動作せず、速度制御回路52から出力された指令電圧信号が、そのままインバータ回路3へ出力されることになる。
続いて、以上説明した本実施例にかかる直流電動機の駆動装置1の動作を、図3に示したタイミングチャートを参照しつつ説明する。なお図3において、(a)は負荷、(b)は固定子巻線MCへ流れる電流(電動機電流)、(c)は回転子MRの回転速度、(d)はインバータ回路3による印加電圧、及び(e)は前記平均電流検出回路561における平均化処理状況を、それぞれ経時的な変動状態として示している。
先ず、基本動作を説明する。図示省略の電源スイッチが投入されると、直流電源2が発生する直流電圧はインバータ回路3へ印加される。インバータ回路3では、ドライブ回路32により6個のスイッチング素子31のオンオフ制御が行われ、前記直流電圧が三相交流電圧に変換されて、電動機Mの固定子巻線MCへ印加される。かかる動作により、電動機Mの回転子MRは回転するが、その回転数は制御回路5の速度設定回路51に対して操作者から入力された設定速度により定められる。速度設定回路51に与えられた設定速度は、指令速度信号として速度制御回路52へ入力される。位置検出回路4は、当該設定速度通りに回転子MRが回転するよう制御を行う速度制御用のセンシング要素としての働きをなし、回転子MRの磁極位置を検出して位置信号を生成して速度検出回路54へ出力する。該位置信号は、速度検出回路54により実際の回転子MRの回転速度を示す速度検出信号に変換されて、前記速度制御回路52へ入力される。速度制御回路52では、入力された前指令速度信号と検出速度信号とが比較され、両者の差異に応じた適宜な指令電圧信号が発生され、該指令電圧信号はインバータ回路3のドライブ回路32へ入力され、その結果として速度制御がなされるものである。
このような基本動作をなす駆動装置1において、先ず負荷(a)が小さく且つ一定の状態の間(図3の時刻T11に至るまでの間)は、電流検出回路6が検出する電動機電流、(b)及びインバータ回路3による印加電圧(d)も低く、回転速度(c)も安定状態にある。この場合、速度設定回路51が発する指令速度信号と速度検出回路54が発する検出速度信号とは一致しており、該指令速度信号に相当する駆動電圧が、そのまま指令電圧信号として速度検出回路54からインバータ回路3へ出力される。すなわち、この段階では平均電流検出回路561が検出する平均電流(e)は低い安定レベルであり、負荷状態判定回路562では低負荷状態と判定され、最低電圧制限回路53に対して「停止」指令の判定信号が出力されることとなり、結果として最低電圧入力部531から入力されている最低電圧信号のレベル値(最低電圧値VL)を下回る印加電圧でありながら、そのまま
の電圧がインバータ回路3による印加電圧として印加され続ける。このように低負荷状態にあるときは最低電圧制限が加えられず、省電力運転がなされる。
次に、負荷(a)が周期的に変動する状態、例えばインパクト回転工具等ではネジ締め動作等を開始した状態に移行(時刻T11)して、負荷が急激に増加すると、これに比例して電動機電流(b)が上昇すると共に、回転速度(c)は該負荷のために低下する。この速度低下は、位置検出回路4にて検知され、速度検出回路54で検出速度信号に変換されて速度制御回路52へ送られる。該検出速度信号の値は、速度設定回路51から与えられている指令速度信号の値より小さくなるので、速度制御回路52はこの両者の差を矯正すべく、出力する指令電圧信号の値を上昇させる。この結果、インバータ回路3による印加電圧(d)が増加し、これと連動して回転速度(c)も上昇傾向を示す。また、平均電流検出回路561が検出する平均電流(e)の値も、負荷増による電動機電流の増加に伴って上昇することになる。
前記平均電流検出回路561から出力される平均電流(e)の信号値が一定のしきい値を超えたとき(時刻T12)、負荷状態判定回路562から最低電圧制限回路53に対して「動作」指令の判定信号が出力される。最低電圧制限回路53は該判定信号を受けて、以後出力する指令電圧信号の値が、最低電圧入力部531から入力されている最低電圧値VLを下回らないように、制限が与えられる。
その後負荷(a)が減少に転じると(時刻T13)、過電圧状態になって今度は回転速度(c)が急激に増加する。かかる回転速度の増加は、同様に位置検出回路4にて検知され、速度検出回路54で検出速度信号に変換されて速度制御回路52へ送られる。この場合、該検出速度信号の値は、速度設定回路51から与えられている指令速度信号の値より大きくなるので、速度制御回路52はこの両者の差を矯正すべく、出力する指令電圧信号の値を下降させる。この結果、インバータ回路3による印加電圧(d)が減少し、これと連動して回転速度(c)も減速傾向を示すことになる。また電動機電流(b)は、減速トルクを発生するため下降する。
速度制御回路52が出力する指令電圧信号の値が、前記最低電圧値VLと等しくなったとき(時刻T14)、最低電圧制限回路53が作動し、以後負荷の低迷期に入り指令電圧信号が最低電圧値VLの値よりも小さくなったとしても、最低電圧制限回路53は最低電圧値VLをその値とする制限指令電圧信号を発生する。すなわち、時刻T14における負荷に対し、本来ならば過電圧となる値に印加電圧が維持されるものである。かかる最低電圧制限回路53の動作により、回転速度と電動機電流が低レベルに落ち込まないよう抑止されつつ、運転が継続されてゆく。
しかる後、再び負荷(a)が増加に転じたとき(時刻T15)、前記と同様に回転速度(c)が低下し、速度制御回路52はこれに応じて指令電圧信号の値を上昇させて出力する。この際、印加電圧(d)の値は時刻T15の直前において既に最低電圧値VLに保たれていることから、回転速度が減速され過ぎず、電動機電流も一定の正電流に保たれており、従って一定量の急激な負荷の増加があっても、電動機の停止が惹起されることはない。
以後、負荷の周期的変動に応じて、このようなサイクルが繰り返される。一方、負荷が周期的変動状態を脱し軽い一定負荷状態に移行した場合、或いは変動はあるが低レベルの負荷状態に移行した場合、平均電流検出回路561が検出する平均電流値は徐々に低いレベルに移行してゆく。そして、平均電流検出回路561が出力する平均電流信号の値がしきい値を下回ると、負荷状態判定回路562では低負荷状態と判定され、最低電圧制限回路53に対して「停止」指令の判定信号が出力される。これにより最低電圧制限は解除さ
れ、以後は速度制御回路52が出力する指令電圧信号が、そのままインバータ回路3へ出力されることになる。
以上説明した本実施例にかかる直流電動機の駆動装置1によれば、周期的に大きな変動がある負荷状態下において、その負荷の谷間期にあってもインバータ回路3の出力電圧が一定レベル以下に低下しないように最低電圧制限回路を設けているので、回転子の回転速度が低下し過ぎることはない。従って、前記無負荷期から急激に負荷が増加しても、一定の高い回転数に維持されていることから従来のように回転停止が招来されることはなく、回転子巻線の誘起電圧に基づいて速度検出を行う位置センサレス方式の速度制御が途切れる(脱調する)ことはない。
さらに本実施例では、電動機電流の平均電流値に基づいて、インバータ回路3の出力電圧値に最低電圧値VLの制限を与えるか否かを判定するよう構成したので、軽負荷時には余分な電圧を印加しないようにして省電力化を図ると共に、周期的負荷変動状態に移行したときは、電動機電流は負荷に比例することから、その負荷状態の変化を検知して自動的に最低電圧値VLの設定状態へ移行させることができ、脱調が生じることなく且つ効率的に直流電動機を駆動させることができる。
(第2の実施形態)
図4は、図2に示した直流電動機の駆動装置1における制御回路5の変形実施例にかかる、制御回路501の構成を示すブロック図である。図2に示した例と構成において相違する点は、電流検出回路6が生成した電流信号を、平均電流検出回路561だけでなく、負荷状態判定回路562Aへもパラレルに入力させるようにした点である。一方、機能面での相違点は、負荷状態判定回路562Aが最低電圧制限回路53に対して、最低電圧値VLによる制限加えるように「動作」指令の判定信号を出力するタイミングを、所定のしきい値を平均電流検出回路561が生成する平均電流の信号値が超過した時ではなく、電流検出回路6から入力される電流信号の値がしきい値を超過した時とした点である。以下、このような相違点を中心に、図5に示したタイミングチャートに基づいて、本実施例の動作を説明する。
負荷(a)が小さく且つ一定の状態の間(図5の時刻T21に至るまでの間)は、実施例1の場合と同様に、負荷状態判定回路562Aからは最低電圧制限回路53に対して「停止」指令の判定信号が出力され、速度制御回路52から出力される指令電圧信号がそのままインバータ回路3へ入力される。次に、時刻T21において負荷(a)が急激に増加すると、これに比例して電動機電流(b)も増加することになるが、本実施例ではかかる電動機電流(b)に対しても、しきい値を与え、該電動機電流(b)がしきい値を超過したならば、負荷が周期的に変動する状態に移行したと判断して、前述の最低電圧制限を施与するものである。
具体的な動作としては、電流検出回路6にて生成された電流信号は、常時負荷状態判定回路562Aへ入力され、負荷状態判定回路562Aでは該電流信号としきい値との比較が行われており、負荷増加に伴い電流信号の値が増加してしきい値を超過したならば、最低電圧制限回路53に対して、最低電圧値VLによる制限加えるように「動作」指令の判定信号が出力される。而して、最低電圧制限回路53は該判定信号を受けて、以後出力する指令電圧信号の値が、最低電圧入力部531から入力されている最低電圧値VLを下回らないように、指令電圧信号に対して制限を与える。つまり、図2に示した第1の実施形態の制御回路5では、平均電流信号の値に基づき負荷状態判定回路562は判定信号を生成していたので、一定期間以上電動機電流が増加した状態が継続しないと(図5のタイミングチャートにおけるT11〜T12の期間)、負荷状態判定回路562から「動作」指令の判定信号が出力されなかったが、本実施例では、いわば負荷の増加に直結している電
動機電流に基づいて負荷状態判定回路562は判定信号を生成するので、負荷が増加すると直ちに負荷状態判定回路562から「動作」指令の判定信号が出力されることとなる。
その後負荷(a)が減少しても(時刻T22)、最低電圧制限回路53が動作して最低電圧値VL以下に印加電圧(d)が低下しないよう、制限指令電圧信号が発生される点は、第1の実施形態と同様である。この状態は、負荷(a)が周期的に大きく変動する状態の間、継続されることになる。
一方、負荷状態判定回路562Aが最低電圧制限回路53に対して、最低電圧値VLによる制限加えない「停止」指令の判定信号を出力するタイミングは、第1の実施形態と同様に、平均電流検出回路561から入力される平均電流(e)の信号値が、しきい値を下回るタイミングとされる。電動機電流は負荷に比例して変動するので、これに基づいて「停止」指令の判定信号を出力すると、周期的負荷変動状態にあるのに拘わらず「停止」させてしまう(例えば時刻T22の時点で)からである。
従って、時刻T23で周期的負荷変動状態を脱しても、しばらくは負荷状態判定回路562から「動作」指令の判定信号が与えられ、最低電圧制限回路53が動作されて最低電圧値VLによる制限が加えられた状態とされる。そして、時刻T24で平均電流検出回路561から入力される平均電流信号(e)の値がしきい値を下回ったとき、負荷状態判定回路562から「停止」指令の判定信号が最低電圧制限回路53に入力され、最低電圧値VLによる制限は解除されるものである。
本実施例によれば、最低電圧値VLによる制限加えるように「動作」指令の判定信号を出力するタイミングを、電流検出回路6から入力される電流信号の値がしきい値を超過した時点にしたので、負荷が周期的変動状態に移行したら直ちにインバータ回路3に対して最低電圧値VLによる制限が与えられることになる。すなわち、所定のしきい値を平均電流検出回路561が生成する平均電流信号の値が超過した時点を前記「動作」指令の判定信号の出力タイミングとすると、平均化処理を行う分だけ時間的に遅れが生じる(図5のタイミングチャートにおけるT11〜T12の期間)ことになるが、本実施例では電動機電流値に基づいて負荷状態判定回路562が判定を行うので、このような時間的遅れは発生することはない。負荷の周期的変動の幅が特に大きい用途では、該平均化処理の間に電動機Mが停止することも起こり得ることから、かかる用途には好適な実施例である。
(第3の実施形態)
図6は、図2に示した直流電動機の駆動装置1における制御回路5の変形実施例にかかる、制御回路502の構成を示すブロック図である。図2に示した例と構成において相違する点は、電流検出回路6で生成された電流信号が平均電流検出回路を介することなく直接負荷状態判定回路562Bへ入力されると共に、位置検出回路4が生成した位置信号が速度検出回路54だけでなく回転角度検出回路57へもパラレルに入力され、該回転角度検出回路57では角度信号が生成されて、この角度信号も前記負荷状態判定回路562Bへ入力されるようにした点である。
前記回転角度検出回路57では、位置検出回路4から入力される位置信号の変化をカウントすることで、回転子MRの回転角度が検出され、検出した回転角度に応じた角度信号が生成される。この角度信号は負荷状態判定回路562Bへ出力され、負荷状態判定回路562Bでは該角度信号を利用して、該負荷状態判定回路562Bが最低電圧制限回路53に対して、最低電圧値VLによる制限加えるように「動作」指令の判定信号を出力している状態から、「停止」指令の判定信号を出力する状態に切り替えるタイミングを設定するよう構成している。
負荷状態判定回路562Bでは電流検出回路6から入力される電流信号が監視され、その値が予め定められているしきい値を超過したとき、最低電圧制限回路53に対して「動作」指令の判定信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。続いて、前記電流信号の値が、増加から減少に転じたことを検知したときに、実際に最低電圧制限回路53に対して「動作」指令の判定信号が出力される。そして、この「動作」指令の判定信号の出力状態は、前記回転角度検出回路57から入力される角度信号に基づき、回転子MRが所定数の回転をなしたならば、自動的に「停止」指令の判定信号の出力に変更される。このような動作を、図7に示すタイミングチャートに基づいてさらに詳述する。
負荷(a)が小さく且つ一定の状態の間(図7の時刻T31に至るまでの間)は、負荷状態判定回路562Bからは最低電圧制限回路53に対して「停止」指令の判定信号が出力され、速度制御回路52から出力される指令電圧信号がそのままインバータ回路3へ入力される。次に、時刻T31において負荷(a)が急激に増加すると、これに比例して電動機電流(b)も増加することになる。電流検出回路6にて生成された電流信号は、常時負荷状態判定回路562Bへ入力され、負荷状態判定回路562Bでは該電流信号の値としきい値との比較が行われており、さらに負荷が増加して電流信号の値がしきい値を超過したとき(時刻T32)、前述の通り、負荷状態判定回路562Bでは最低電圧制限回路53に対して「動作」指令の判定信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。この状態では、負荷状態判定回路562Bからは「停止」指令の判定信号が出力されている。
負荷状態判定回路562Bでは前記電流信号の監視が継続され、負荷(a)が減少に転じ、これに対応して電動機電流(b)も減少に転じたとき(時刻T33)、最低電圧制限回路53に対して「動作」指令の判定信号が出力される。これにより、その後負荷が減少しても、最低電圧制限回路53が動作して最低電圧値VL以下に印加電圧(d)が低下しないよう、制限指令電圧信号が発生される。
この状態は、負荷(a)の増加の次周期まで(時刻T34まで)の間、少なくとも継続され、その後解除(時刻T35)される。すなわち、周期的に変動する負荷の場合、概ね負荷の増減周期は予測し得るところ、負荷の谷部に相当する期間(タイミングチャートの時刻T33〜時刻T34)は最低電圧値VLによる制限を少なくとも与えるものとし、誤差を考慮して若干長めに最低電圧値VLによる制限を行い(タイミングチャートの時刻T33〜時刻T35)、その後負荷(a)が増加期にある間に、最低電圧値VLによる制限を解除するものである。
時刻T33〜時刻T35までの間、負荷状態判定回路562Bから最低電圧制限回路53に対して「動作」指令の判定信号が継続して出力されるが、この継続時間は、回転角度検出回路57から入力される角度信号に基づき、回転子MRの回転角度に置換されて定められる。具体的には、負荷状態判定回路562Bにおいて時刻T33から回転子MRの回転角度が前記角度信号に基づいてカウントされ、所定の回転角度(θ1)に達したならば(時刻T35)、最低電圧制限回路53に対して「停止」指令の判定信号が出力され、最低電圧値VLによる制限が解除されるものである。以後、さらに負荷が増加して電流信号の値がしきい値を超過したら(時刻T36)、上記と同様の動作が繰り返されるものである。なお本実施例では回転子MRの回転角度に基づいて最低電圧値VLによる制限を行う期間を定めるようにしたが、これに代えて適宜な時間設定が行えるタイマー手段を用いるようにしても良い。
本実施例によれば、最低電圧値VLによる制限が、回転子MRの回転角度が所定の回転角度(θ1)に達したら自動的に解除される構成であり、必要なときだけ、つまり周期的負荷変動状態の無負荷時のみ最低電圧値VLによる制限を加えることができるので、省電
力化を図ることができる。また、周期的負荷変動状態から一定軽負荷状態に移行したときでも、直ちに最低電圧値VLによる制限状態が解除できるという利点がある。
(第4の実施形態)
図8は、図2に示した直流電動機の駆動装置1における制御回路5の変形実施例にかかる、制御回路503の構成を示すブロック図である。本実施例は、図6に示した実施例にインバータ回路3による印加電圧の最大電圧値を設定する第二の電圧設定手段としての最大電圧制限回路58A、及び最大電圧入力部581が付加された構成を備えている。最大電圧制限回路58Aには最大電圧入力部581からインバータ回路3の出力電圧の上限を定める最大電圧値VHが入力されている。負荷状態判定回路562Cが生成する判定信号は、最低電圧制限回路53Aだけでなく、前記最大電圧制限回路58Aにも入力されるよう構成されている。
それぞれ負荷状態判定回路562Cから「動作」指令の判定信号が入力された場合、速度制御回路52から出力されて来る指令電圧信号が最低電圧値VLを下回っているときは、既述の実施例と同様に最低電圧制限回路53Aがインバータ回路3による印加電圧を最低電圧値VLとする制限指令電圧信号を発生するだけでなく、前記指令電圧信号が最大電圧値VHを超過したときには、前記最大電圧制限回路58Aが動作して、印加電圧を最大電圧値VHとする制限指令電圧信号を発生する。また、最大電圧値VHによる制限状態は、回転角度検出回路57Aから入力される角度信号に基づき、所定の回転角度(θ2)に達したときに、自動的に解除されるものである。
このように構成された制御回路503の動作を、図9に示すタイミングチャートに基づいて説明する。まず負荷(a)が小さく且つ一定の状態の間(図9の時刻T41に至るまでの間)は、負荷状態判定回路562Cからは最低電圧制限回路53A及び最大電圧制限回路58Aに対して「停止」指令の判定信号が出力され、速度制御回路52から出力される指令電圧信号がそのままインバータ回路3へ入力される。次に、時刻T41において負荷(a)が急激に増加すると、これに比例して電動機電流(b)も増加することになる。電流検出回路6にて生成された電流信号は、常時負荷状態判定回路562Cへ入力され、負荷状態判定回路562Cでは該電流信号の値としきい値との比較が行われており、さらに負荷が増加して電流信号の値がしきい値を超過したとき(時刻T42)、負荷状態判定回路562Cでは最低電圧制限回路53A及び最大電圧制限回路58Aに対して「動作」指令の判定信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。この状態では、負荷状態判定回路562Cからは「停止」指令の判定信号が出力されている。
負荷状態判定回路562Cでは前記電流信号の監視が継続され、負荷(a)が減少に転じ、これに対応して電動機電流(b)も減少に転じたとき(時刻T43)、最低電圧制限回路53A及び最大電圧制限回路58Aに対して「動作」指令の判定信号が出力される。これにより、最低電圧制限回路53Aが動作して最低電圧値VL以下に印加電圧(d)が低下しないよう、また最大電圧制限回路58Aが動作して最大電圧値VH以上に印加電圧(d)が上昇しないよう、以後制限指令電圧信号が発生可能とされる。
時刻T43の時点で、印加電圧(d)が最大電圧値VHを上回っているので、前記最大電圧制限回路58Aの動作により、速度制御回路52出力された指令電圧信号に対し、その値を最大電圧値VHに補正する制限指令電圧信号が発生されてインバータ回路3へ出力され、これにより印加電圧(d)は最大電圧値VHに抑制される。かかる動作により、回転速度(c)は比較的低いレベルに抑制されることになる。この最大電圧値VHによる制限状態は、回転子MRの回転角度が所定の角度(θ2)に達するまで継続される。具体的には、負荷状態判定回路562Cにおいて時刻T43から回転子MRの回転角度が回転角度検出回路57Aから入力される角度信号に基づいてカウントされ、所定の回転角度(θ
2)に達したならば(時刻T44)、最大電圧制限回路58Aに対して「停止」指令の判定信号が出力され、最大電圧値VHによる制限が解除される。なお、前記継続時間(所定角度θ2)は、周期的に変動する負荷(a)において、負荷の減少期の時間(最大負荷=時刻T43から無負荷になるまでの時間)よりも僅かに長い時間(角度)に設定すれば良い。
一方、最低電圧制限回路53Aによる最低電圧値VLの制限は、負荷(a)の増加の次周期まで(時刻T45まで)の間、少なくとも継続され、その後解除(時刻T46)される。この最低電圧制限回路53Aの動作については、前述の実施例3と同様であるので、説明は割愛する。以後、さらに負荷が増加して電流信号の値がしきい値を超過したら(時刻T47)、上記と同様の動作が繰り返されるものである。なお、上記最低電圧値VL及び最大電圧値VHは、専ら回転速度(c)の速度が速いか否かに基づいて定めればよく、高速回転する電動機の場合は、最低電圧値VL及び最大電圧値VHとも比較的高いレベルに設定される。このようにして最低電圧値VL及び最大電圧値VHを定めることで、印加電圧(d)の不連続な変化の程度を抑制でき、様々な回転速度(c)に対応できるようになる。
本実施例によれば、最低電圧値VLだけでなく、負荷の減少期に最大電圧値VHにも制限を加える構成であるので、急激に負荷が減少した場合でも印加電圧(d)は最大電圧値VHに制限されるので、回転速度(c)の急激な上昇が抑制される。その結果、速度制御機能によって発生される減速トルクも抑制され、再び負荷(a)が増加するタイミングでは減速トルクが小さくなっているので、電動機の回転停止がより生じにくくなり、而して「脱調」の問題はより改善される。
(第5の実施形態)
図10は、図2に示した直流電動機の駆動装置1における制御回路5の変形実施例にかかる、制御回路504の構成を示すブロック図である。本実施例は、負荷変動の大小に応じて、前記最低電圧値VL及び最大電圧値VHの値を変更する態様であり、図8に示した第4の実施形態に平均電流検出回路561Aが付加された構成を備えている。
平均電流検出回路561Aは、電流検出回路6から入力される電流信号の値を時間積算して平均化処理を行ない、これを平均電流値信号として負荷状態判定回路562Dへ逐次出力する。負荷状態判定回路562Dでは、該平均電流値信号の値に基づいて負荷変動の大小を判断し、負荷変動量が大きい場合は、値が比較的大きい最低電圧値VL1及び最大電圧値VH1にて最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bが動作するように、「動作」指令の判定信号(1)が出力される。一方、負荷変動量が小さい場合は、前記最低電圧値VL1及び最大電圧値VH1に比べて小さい値の最低電圧値VL2及び最大電圧値VH2にて最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bが動作するように、「動作」指令の判定信号(2)が出力される。なお、これら前記最低電圧値VL1、VL2及び最大電圧値VH1、VH2は、想定される負荷に応じて、それぞれ最低電圧入力部531及び最大電圧入力部581にて予め設定される。
このように構成された制御回路504の動作を、図11に示すタイミングチャートに基づいて説明する。まず負荷(a)の変動が大きい状態(負荷モードI)のとき、比較的大きい値に最低電圧値VL1及び最大電圧値VH1が設定されて、前述の実施例4と同様の動作が為される。すなわち、負荷が急激に増加(時刻T51)し、やがて電動機電流(b)がしきい値を超過(時刻T52)したら、負荷状態判定回路562Dでは、最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bに対して、最低電圧値VL1及び最大電圧値VH1にて動作する「動作」指令の判定信号(1)を、いつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。そして負荷モードIにおいて負荷が減少に転じ、これに対応して電動機電流
(b)も減少に転じたとき(時刻T53)を動作タイミングとして、所定の回転角度(θ1)だけ最低電圧値VL1以下に印加電圧(d)が低下しないよう時刻T56まで、また所定の回転角度(θ2)だけ最大電圧値VH1以上に印加電圧(d)が上昇しないよう時刻T54まで、それぞれ最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bから制限指令電圧信号が発生可能とされる。
次に、負荷(a)の変動が比較的小さい状態(負荷モードII)に移行したとき、電動機電流(b)もその分低いレベルとなることから、平均電流検出回路561Aから負荷状態判定回路562Dへ入力される平均電流信号の値も小さくなる。負荷状態判定回路562Dは、前記平均電流信号の値に基づいて、負荷モードIの領域か負荷モードIIの領域か(高負荷変動状態か低負荷変動状態か)を判定する判定部を備えており、負荷モードIIであると判定したときは最低電圧値及び最大電圧値を、比較的値の低いVL2、VH2として最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bを動作させる「動作」指令の判定信号(2)を出力する。
具体的には、電動機電流(b)がしきい値を超過(時刻T57)したら、負荷状態判定回路562Dは前記した「動作」指令の判定信号(1)又は(2)のいずれかを出力できるようスタンバイ状態とされる。そして、負荷モードIIにおいて負荷が減少に転じたとき(時刻T58)において、平均電流信号の値についての判定がなされることとなり、この場合負荷変動が小さいので低負荷状態と判定され、負荷状態判定回路562Dから最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bに対して、最低電圧値VL2及び最大電圧値VH2にて動作する「動作」指令の判定信号(2)が出力される。
以下、この時刻T58を動作タイミングとして、所定の回転角度(θ1)だけ最低電圧値VL2以下に印加電圧(d)が低下しないよう時刻T592まで、また所定の回転角度(θ2)だけ最大電圧値VH2以上に印加電圧(d)が上昇しないよう時刻T59まで、それぞれ最低電圧制限回路53B及び最大電圧制限回路58Bから制限指令電圧信号が発生可能とされる。ここでのθ1は、負荷(a)が再び増加に転じる時刻T591よりも僅かに長く、また、θ2は負荷の減少期の時間よりも僅かに長く設定される点は、上述の実施例と同様である。なお本実施例では、平均電流信号に基づいて負荷変動量の大小を判定するようにしたが、これ以外に、例えば速度設定回路51へ入力される指令速度に応じて判定を為すようにしても良い。この場合、先に説明した第4の実施形態と実質的に同様な制御を採用でき、指令速度が速い場合、すなわち電動機が高速回転する場合は、図9に示した最低電圧値VL及び最大電圧値VHとも比較的高いレベルに設定すれば良い。
本実施例によれば、負荷変動量の大小に応じて、最低電圧値VL及び最大電圧値VHの値を変更する構成であるので、周期的な負荷変動がある場合において、さらにその負荷変動量に波がある場合でも、印加電圧(d)の変動量を比較的小さくすることができ、電動機の回転停止が防止される。
(第6の実施形態)
図12は、図2に示した直流電動機の駆動装置1における制御回路5の変形実施例にかかる、制御回路505の構成を示すブロック図である。本実施例は図6に示した第3の実施形態に係る構成をベースとしており、図6の例と構成において相違する点は、最低電圧制限回路を省く一方で、速度制御回路52Aに制御ゲイン調整部521を設け、該制御ゲイン調整部521における制御ゲインの調整を、負荷状態判定回路562Eから出力される制御信号に基づいて行われるよう構成した点である。
負荷状態判定回路562Eでは電流検出回路6から入力される電流信号が監視され、その値が予め定められているしきい値を超過したとき、速度制御回路52Aの制御ゲイン調
整部521に制御信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。該スタンバイ状態において、前記電流信号の値が、増加から減少に転じたことを検知したときに、実際に制御ゲイン調整部521に対して制御信号が出力される。制御ゲイン調整部521はかかる制御信号を受けて、適宜な制御ゲインを選定し、速度制御回路52Aはこの選定された制御ゲインにて制御演算を行ない、インバータ回路3に対して指令電圧信号を出力する。
ここでの制御ゲインとは、速度設定回路51から入力される指令速度信号と速度検出回路54から入力される検出速度信号との偏差をゼロにするために、必要な指令電圧を演算するに際して、前記偏差を比例、積分、微分演算した夫々の結果に乗算する定数を意味する。前記制御ゲイン調整部521は、速度制御回路52Aの制御ゲインを調整するもので、負荷状態判定回路562Eからの制御信号により比例項、積分項、及び微分項の定数を変更する処理が行なわれる。一般に制御ゲインが大きくなる程、前記指令速度信号と検出速度信号との偏差は早くゼロに収束されるが、その経時変化は振動的になる傾向がある。
このように構成された制御回路505の動作を、図13に示すタイミングチャートに基づいて説明する。まず負荷(a)が小さく且つ一定の状態の間(図13の時刻T61に至るまでの間)は、負荷状態判定回路562Eからは制御ゲイン調整部521に対して通常の制御ゲインで動作するよう制御信号が出力される。これにより、速度制御回路52Aの制御ゲイン(e)は通常ゲインモード(I)にて指令電圧信号の演算がなされ、そのようにして生成された指令電圧信号がインバータ回路3へ入力される。
次に、時刻T61において負荷(a)が急激に増加すると、これに比例して電動機電流(b)も増加することになる。電流検出回路6にて生成された電流信号は、常時負荷状態判定回路562Eへ入力され、負荷状態判定回路562Eでは該電流信号の値としきい値との比較が行われており、さらに負荷が増加して電流信号の値がしきい値を超過したとき(時刻T62)、負荷状態判定回路562Eでは速度制御回路52Aの制御ゲイン調整部521に制御ゲインの変更を行わせる制御信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。従ってこの状態では、まだ制御ゲイン(e)は、通常ゲインモード(I)とされている。
負荷状態判定回路562Eでは前記電流信号の監視が継続され、負荷(a)が減少に転じ、これに対応して電動機電流(b)も減少に転じたとき(時刻T63)、負荷状態判定回路562Eから制御ゲイン調整部521に制御ゲインを小さくするよう、制御信号が出力される。これにより、速度制御回路52Aの制御ゲイン(e)はゲイン小モード(II)に移行され、速度制御回路52Aでは該ゲイン小モード(II)の下、前記指令速度信号と検出速度信号との偏差を緩やかに収束するように指令電圧の演算が行われることになる。従って、ゲイン小モード(II)にあっては、印加電圧(d)が緩やかに低下してゆき、これに対応して減速トルクも小さく、回転速度(c)も緩やかに低下傾向を示す。
かかるゲイン小モード(II)は、負荷(a)が再び増加に転じる時刻T64の直前まで継続される。この継続期間は、回転角度検出回路57Bから入力される角度信号に基づき、回転子MRの回転角度に置換されて定められる。具体的には、負荷状態判定回路562Eにおいて時刻T63から回転子MRの回転角度が前記角度信号に基づいてカウントされ、所定の回転角度(θ3)に達するまで(時刻T64)、ゲイン小モード(II)が継続されるよう、負荷状態判定回路562Eは対応する制御信号を制御ゲイン調整部521に出力する。
続いて、時刻T64の直前において、負荷状態判定回路562Eから制御ゲイン調整部521に制御ゲインを大きくするよう、制御信号が出力される。これにより、速度制御回
路52Aの制御ゲイン(e)はゲイン大モード(III)に移行され、速度制御回路52A
では該ゲイン大モード(III)の下、前記指令速度信号と検出速度信号との偏差を素早く
収束するように指令電圧の演算が行われることになる。従って、該ゲイン大モード(III
)にあっては、負荷の急激な増加が生じたとしても回転速度(c)のリカバリーを素早く行うことができる。
かかるゲイン大モード(III)は、負荷(a)が最大になる時刻T66の直前の時刻(
時刻T65)まで継続される。この継続期間は、同様に回転角度検出回路57Bから入力される角度信号に基づき、回転子MRの回転角度に置換されて定められる。具体的には、前記ゲイン小モード(II)が終了する時刻T64から、負荷状態判定回路562Eにおいて時刻T63を起点として前記角度信号に基づいてカウントされ、所定の回転角度(θ4)に達するまでの時刻T65の間、ゲイン大モード(III)が継続されるよう、負荷状態
判定回路562Eは対応する制御信号を制御ゲイン調整部521に出力する。以後、負荷の変動周期に応じて、ゲイン小モード(II)とゲイン大モード(III)とが繰り返される。
本実施例によれば、周期的負荷変動状態において、負荷が存在する状態では速度制御回路52Aの制御ゲインを大きくし、負荷の低迷期には制御ゲインを小さくするよう制御ゲインを調整するので、負荷が急激に増加する場合は指令速度に素早く一致させるよう速度制御回路52Aが動作して回転速度の低下が抑制され、また、負荷の谷部では緩やかに指令速度に一致させるよう動作して減速トルクの発生が抑制される。従って、負荷が急激に増加するタイミングでは既に減速トルクは低いレベルに抑制されており、加えて大きな制御ゲインで演算されることから、電動機の回転停止が効果的に防止され、而して脱調が生じることは無く、固定子巻線MCの誘起電圧に基づいた位置センサレス制御を持続させることができる。
(第7の実施形態)
図14は、図2に示した直流電動機の駆動装置1における制御回路5の変形実施例にかかる、制御回路506の構成を示すブロック図である。本実施例も図6に示した第3の実施形態に係る構成をベースとしており、図6の例と構成において相違する点は、最低電圧制限回路を省く一方で、速度制御回路52Bの出力側に電圧加算回路59を設け、負荷状態判定回路562Fから出力される制御信号に基づいて、速度制御回路52Bから出力される指令電圧信号に、一定の値を加算して補正指令電圧信号を生成し、該補正指令電圧信号がインバータ回路3へ出力されるよう構成した点である。
負荷状態判定回路562Fでは電流検出回路6から入力される電流信号が監視され、その値が予め定められているしきい値を超過したとき、電圧加算回路59に加算動作を行わせる制御信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。該スタンバイ状態において、前記電流信号の値が、増加から減少に転じたことを検知したときに、実際に電圧加算回路59に対して制御信号が出力される。電圧加算回路59はかかる制御信号を受けて、予め設定されている追加電圧信号を、速度制御回路52Bから入力されて来る指令電圧信号に加算して補正指令電圧信号を生成し、インバータ回路3に対して前記補正指令電圧信号を出力する。
このように構成された制御回路506の動作を、図15に示すタイミングチャートに基づいて説明する。まず負荷(a)が小さく且つ一定の状態の間(図15の時刻T71に至るまでの間)は、負荷状態判定回路562Fからは電圧加算回路59に対して「停止」状態とするよう制御信号が出力される。これにより、電圧加算回路59による電圧加算値(e)はゼロとされ、速度制御回路52Bから出力される指令電圧信号がそのままインバータ回路3へ入力される。
次に、時刻T71において負荷(a)が急激に増加すると、これに比例して電動機電流(b)も増加することになる。電流検出回路6にて生成された電流信号は、常時負荷状態判定回路562Fへ入力され、負荷状態判定回路562Fでは該電流信号の値としきい値との比較が行われており、さらに負荷が増加して電流信号の値がしきい値を超過したとき(時刻T72)、負荷状態判定回路562Eでは電圧加算回路59に「動作」状態とする制御信号をいつでも出力できるスタンバイ体制が採られる。従ってこの状態では、まだ電圧加算値(e)はゼロである。
負荷状態判定回路562Fでは前記電流信号の監視が継続され、負荷(a)が減少に転じ、これに対応して電動機電流(b)も減少に転じたとき(時刻T73)を起点として、一定時間tx1の経過後(時刻T74に到達した時)に負荷状態判定回路562Fから電圧加算回路59に「動作」制御信号が出力される。前記一定時間tx1は周期的負荷変動状態における負荷の谷部の時間にほぼ相当し、かかる一定時間tx1の設定は、回転角度検出回路57Cから入力される角度信号に基づき、回転子MRの回転角度に置換されて定められる。具体的には、負荷状態判定回路562Fにおいて時刻T73から回転子MRの回転角度が前記角度信号に基づいてカウントされ、所定の回転角度(θ5)に達するまで(時刻T74)の時間として設定される。
そして回転角度θ5に達したら、負荷状態判定回路562Fは電圧加算回路59に「動作」状態とする制御信号を出力し、これを受けて電圧加算回路59による電圧加算値(e)はゼロからεに増加する。以後時刻T75へ至る一定時間tx2だけ、電圧加算回路59によって、速度制御回路52Bから入力されて来る指令電圧信号に、前記電圧加算値εが加算されて補正指令電圧信号が生成され、インバータ回路3に対して前記補正指令電圧信号を出力される。前記一定時間tx2の設定は、回転角度(θ5)のカウントが終了した時刻T74から、時刻T73を起点としてカウントを開始した所定の回転角度(θ6)に達するまで(時刻T75)の差として設定される。時刻T75を経過すると、電圧加算回路59の動作は停止され、補正がなされない状態で、指令電圧信号がインバータ回路3へ出力される。以後、電動機電流(b)の値がしきい値を再び超過する時刻T76及び電流が減少に転じる時刻T77を基準として、同様な動作が繰り返される。
電圧加算回路59による電圧加算が行われる時間帯は、周期的負荷変動状態において負荷が急激に立ち上がる時間帯であって、かかる時間帯には印加電圧(d)が急激に低下すると共に回転速度(c)も低下することから、電圧加算を行うことで印加電圧(d)の落ち込みを抑制するものである。従って、前記回転角度(θ5)は負荷の谷部の時間よりも僅かに少ない時間に、回転角度(θ6)は負荷の急激な立ち上がり時間よりも僅かに長い時間に、それぞれ設定することが望ましい。
本実施例によれば、周期的負荷変動状態において負荷が急激に増加する期間に、電圧加算回路59による電圧加算を行うので、負荷増加に伴う印加電圧の低下が効果的に抑制され、従って電動機の回転停止が惹起されにくくなるという効果を奏する。
本発明にかかる直流電動機の駆動装置の構成例を示すブロック図であって、第1の実施形態に係る直流電動機の駆動装置を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第2の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第3の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第3の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第4の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第4の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第5の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第5の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第6の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第6の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第7の実施形態に係る制御回路の構成を示すブロック図である。 第7の実施形態に係る制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 従来の直流電動機の駆動装置の構成例を示すブロック図である。 従来の直流電動機の駆動装置における制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
符号の説明
1 直流電動機の駆動装置
2 直流電源
3 インバータ回路
4 位置検出回路
5、501〜506 制御回路(電圧制御手段)
51 速度設定回路
52、52A、52B 速度制御回路
53、53A、53B 最低電圧制限回路(電圧設定手段)
54 速度検出回路(速度検出手段)
561 平均電流検出回路
562、562A〜562F 負荷状態判定回路(負荷状態判定手段)
57A〜57C 回転角度検出回路
58A、58B 最大電圧制限回路(第二の電圧設定手段)
59 電圧加算回路
6 電流検出回路(電流検出手段)
M 電動機
MC 固定子巻線(電機子巻線)
MR 回転子

Claims (6)

  1. 永久磁石を備えた回転子と電機子巻線を備えた固定子とからなる電動機と、該電動機に交流電圧を印加するインバータ回路と、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、該速度検出手段が検出した速度と指令速度との差に基づいて前記インバータ回路により印加される電圧を制御する電圧制御手段とを具備すると共に、前記固定子の巻線に誘起される電圧から前記回転子の位置検知を行うようにした位置センサレス方式の直流電動機の駆動装置において、
    前記電動機の電機子巻線に流れる電動機電流を検出する電流検出手段と、
    前記インバータ回路による印加電圧の最低電圧値を設定する電圧設定手段と
    前記電流検出手段が検出した電流値に基づいて、負荷が小さく且つ一定である第1の状態と、負荷が周期的に変動する第2の状態との別を判定し、前記第2の状態のときは前記電圧設定手段による前記最低電圧値が設定された状態とする一方で、前記第1の状態のときは前記電圧設定手段による前記最低電圧値の設定が解除された状態とする負荷状態判定手段と、
    を備えることを特徴とする直流電動機の駆動装置。
  2. 前記負荷状態判定手段は、前記電流検出手段が検出した電流値が一定値を超過し、且つ該電流値が増加から減少に転じたときを起算点として、前記電圧設定手段による最低電圧値の設定を一定期間継続することを特徴とする請求項1記載の直流電動機の駆動装置。
  3. インバータ回路による印加電圧の最大電圧値を設定する第二の電圧設定手段を追加して設け、
    前記負荷状態判定手段は、前記電流検出手段が検出した電流値が一定値を超過し、且つ該電流値が増加から減少に転じたときを起算点として、前記第二の電圧設定手段による最大電圧値の設定を一定期間継続することを特徴とする請求項1記載の直流電動機の駆動装置。
  4. 前記位置信号に基づいて回転子の回転角度を検出して角度信号を生成する回転角度検出回路を設け、
    前記負荷状態判定手段は、前記起算点から、前記角度信号に基づいて回転角度のカウントを開始し、所定の回転角度に達するまでの間、前記電圧設定手段による最低電圧値の設定、若しくは前記第二の電圧設定手段による最大電圧値の設定を継続することを特徴とする請求項2又は3記載の直流電動機の駆動装置。
  5. 負荷変動量の大小に応じて、前記電圧設定手段により設定される最低電圧値、若しくは前記第二の電圧設定手段により設定される最大電圧値の少なくとも一方を変化させるよう構成したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の直流電動機の駆動装置。
  6. 永久磁石を備えた回転子と電機子巻線を備えた固定子とからなる電動機と、該電動機に交流電圧を印加するインバータ回路と、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、該速度検出手段が検出した速度と指令速度との差に基づいて前記インバータ回路により印加される電圧を制御する電圧制御手段とを具備すると共に、前記固定子の巻線に誘起される電圧から前記回転子の位置検知を行うようにした位置センサレス方式の直流電動機の駆動装置において、
    前記電動機の電機子巻線に流れる電動機電流を検出する電流検出手段と、
    前記インバータ回路による印加電圧の最低電圧値を設定する第一の電圧設定手段と、
    前記インバータ回路による印加電圧の最大電圧値を設定する第二の電圧設定手段と、
    前記電流検出手段が検出した電流値に基づいて、負荷が小さく且つ一定である第1の状態と、負荷が周期的に変動する第2の状態との別を判定し、前記第2の状態のときは前記第一の電圧設定手段による前記最低電圧値が設定された状態とする一方で、前記第1の状態のときは前記第一の電圧設定手段による前記最低電圧値の設定が解除された状態とすると共に、前記第2の状態において負荷の減少期には第二の電圧設定手段による前記最大電圧値が設定された状態とする負荷状態判定手段と、
    を備えることを特徴とする直流電動機の駆動装置。
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